(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094301
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】三角測量を介して組織接触をマッピングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0538 20210101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B5/0538
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219195
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】63/477,339
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/506,666
(32)【優先日】2023-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】パラス・パリーク
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127BB05
4C127GG09
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】患者身体内において解剖学的信号をマッピングし、プローブに対する解剖学的幾何学形状を視覚化する方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】本明細書に提示されるシステム及び方法は、概して、エンドエフェクタの電極が組織と接触していることを判定することと、組織接触をグラフィカルに表示することと、を含む。エンドエフェクタの電極の位置は、前進した現在位置を使用して決定することができる。電極と組織との間の接触力の大きさは、組織と接触している電極と1つ以上の基準電極(例えば、身体パッチ(複数可))との間のインピーダンス測定値に基づいて決定することができる。組織と接触している3つの電極は、エンドエフェクタに対する組織の位置及び向きを示すためにグラフィカルに表示され得る平面及びベクトルを画定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定システムであって、
複数の電極を含む医療用プローブと、
各回路からインピーダンスを測定するために、前記複数の電極の各々の間に回路を画定するように構成された少なくとも3つの電極パッドと、
ディスプレイと、
メモリと、
前記メモリ、前記医療用プローブ、及び前記ディスプレイに動作可能に結合されたプロセッサであって、
臓器の組織と接触している前記複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信し、
インピーダンス測定による三角測量に基づいて前記臓器内の前記複数の電極の各々の位置を特定し、
前記複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を、前記少なくとも3つの電極が前記臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有するように選択し、
前記少なくとも3つの電極間に平面を画定し、
前記臓器内の前記少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記平面の重心を決定し、
前記ディスプレイ上に、前記平面によって接続された前記少なくとも3つの電極の視覚表現と、前記臓器の解剖学的表現に対する前記平面の前記重心とを表示するように構成されているプロセッサと、を備える位置測定システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記臓器の前記解剖学的表現に対して前記重心から延びる矢印を表示するように更に構成されている、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項3】
前記平面の頂点は、前記複数の電極上の中心点によって画定される、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記少なくとも3つの電極の前記インピーダンス値に基づいて前記少なくとも3つの電極の質量中心を決定し、前記質量中心が前記平面に直交する直交線によって表されるようにし、
前記直交線と交差する接触ベクトルを表示するように更に構成されている、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記臓器の前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極からのインピーダンス値の差に基づいて、前記複数の電極と前記少なくとも3つの電極パッドとの間の空間的関係を決定し、
前記平面及び前記空間的関係によって、前記臓器の前記組織に対する前記医療用プローブの力の大きさ及び力の方向を示す接触ベクトルを推定するように更に構成されている、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項6】
前記1つ以上のインピーダンス値は、前記臓器の前記組織と接触しているそれぞれの電極の力の大きさを示す、請求項5に記載の位置測定システム。
【請求項7】
前記接触ベクトルは、前記平面内のほぼ中央に位置合わせされる、請求項4に記載の位置測定システム。
【請求項8】
前記空間的関係は、前記少なくとも3つの電極と前記臓器の前記組織との間に加えられた力を示す、請求項5に記載の位置測定システム。
【請求項9】
前記医療用プローブは、
折り畳み構成から拡張構成へと半径方向外向きに曲がるように構成された複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを更に備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項10】
前記拡張可能バスケットアセンブリは、前記医療用プローブの少なくとも一部が前記組織と接触しているときに変形するように構成されている、請求項9に記載の位置測定システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記拡張可能バスケットアセンブリが前記組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させるように構成されている、請求項10に記載の位置測定システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記臓器の前記組織に対する接触ベクトルの視覚表現を表示するように更に構成されている、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記医療用プローブに近接して配置された磁気センサと複数の基準電磁(EM)センサとに基づいて、前記医療用プローブの位置を特定するように更に構成され、前記基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項14】
複数の電極を備える医療用プローブのカテーテルエンドエフェクタによる臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための方法であって、
接地パッドと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の電極の少なくとも一部分の位置を決定することと、
前記組織と接触している前記複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を選択することと、
前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極に隣接する平面を画定することと、
前記臓器の視覚的表現に対して前記平面の視覚的インジケータを表示することと、を含む方法。
【請求項15】
前記それぞれの電極と前記接地パッドとの間の前記インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極を識別することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極の位置に基づいて、前記平面の重心を決定することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組織と接触している前記少なくとも3つの電極の質量中心を決定することであって、前記質量中心は、前記少なくとも3つの電極の前記インピーダンス測定値に基づく、決定することと、
前記平面に直交する直交線を表示することであって、前記直交線は前記質量中心を示す、表示することと、
前記直交線と交差し、前記平面内のほぼ中心に位置合わせされた接触ベクトルを表示することと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記医療用プローブが前記臓器の前記組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて、前記接触ベクトルを適合させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電極に近接して配置された磁気センサと複数の外部基準電磁(EM)センサとに基づいて、前記医療用プローブを配向することを更に含み、前記基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記医療用プローブは、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交点で収束する複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを備え、前記複数のスパインのうちの各スパインは、少なくとも2つの電極を備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月27日に出願された先願の米国特許仮出願第63/477,339号の利益を主張するものであり、当該米国特許仮出願は、本明細書に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に医療用デバイスに関し、具体的には患者身体内において解剖学的信号をマッピングし、プローブに対する解剖学的幾何学形状を視覚化する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
広範な医療処置は、身体内に、センサ、チューブ、カテーテル、分注デバイス、及び移植片などの物体を設置することを伴う。いくつかのシステムでは、解剖学的構造及び挿入された物体のグラフィカル表現は、医師が処置を実行するのを支援するために表示される。CARTO(登録商標)システムは、体内の物体の位置を決定するための位置検知技術と、解剖学的構造(例えば、心臓)のマップを構築するためのマッピング技術と、解剖学的構造及び挿入された物体のグラフィカル表現を表示するためのワークステーションとを含むシステムの一例である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に提示されるシステム及び方法は、概して、エンドエフェクタの電極が組織と接触していることを判定することと、組織接触をグラフィカルに表示することとを含む。エンドエフェクタの電極の位置は、前進した現在位置を使用して決定することができる。電極と組織との間の接触の大きさは、組織と接触している電極と1つ以上の基準電極(例えば、身体パッチ(複数可))との間のインピーダンス測定値に基づいて決定することができる。組織と接触している3つの電極は、エンドエフェクタに対する組織の位置及び向きを示すためにグラフィカルに表示され得る平面及びベクトルを画定することができる。
【0005】
例示的な位置測定システムは、医療用プローブと、少なくとも3つの電極パッドと、ディスプレイと、メモリと、プロセッサとを含むことができる。医療用プローブは、複数の電極を含むことができる。少なくとも3つの電極パッドは、各回路からインピーダンスを測定するために、複数の電極の各々の間に回路を画定するように構成されることができる。プロセッサは、メモリ、医療用プローブ、及びディスプレイに動作可能に結合することができる。プロセッサは、臓器の組織と接触している複数の電極から1つ又は複数のインピーダンス値を受信し、インピーダンス測定による三角測量に基づいて臓器内の複数の電極のそれぞれの位置を特定し、臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極を選択し、少なくとも3つの電極間の平面を画定し、臓器内の少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて平面の重心を決定し、平面によって接続された少なくとも3つの電極の視覚表現及び臓器の解剖学的表現に対する平面の重心を表示するように構成することができる。
【0006】
プロセッサは更に、臓器の解剖学的表現に対して重心から延びる矢印を表示するように構成することができる。
【0007】
平面の頂点は、複数の電極上の中心点によって画定され得る。
【0008】
プロセッサは、少なくとも3つの電極のそれぞれのインピーダンス値に基づいて少なくとも3つの電極の質量中心を決定するように更に構成することができる。質量中心は、平面に直交する線によって表すことができる。プロセッサは、直交線と交差する接触ベクトルを表示するように更に構成され得る。
【0009】
プロセッサは、臓器の組織と接触している少なくとも3つの電極からのインピーダンス値の差に基づいて、複数の電極と少なくとも3つの電極パッドとの間の空間的関係を決定するように更に構成され得る。プロセッサは、平面及び空間的関係によって、臓器の組織に対する医療用プローブの力の大きさ及び力の方向を示す接触ベクトルを推定するように更に構成することができる。
【0010】
1つ以上のインピーダンス値は、臓器の組織と接触しているそれぞれの電極の力の大きさを示すことができる。
【0011】
接触ベクトルは、平面内のほぼ中央に位置合わせすることができる。
【0012】
複数の電極と少なくとも3つの電極パッドとの間の空間的関係は、少なくとも3つの電極と臓器の組織との間に加えられた力を示すことができる。
【0013】
医療用プローブは、折り畳み構成から拡張構成へと半径方向外向きに曲がるように構成された複数のスパインを有する拡張可能バスケットアセンブリを更に含み得る。バスケットアセンブリは、医療用プローブの少なくとも一部が組織と接触しているときに変形するように構成され得る。
【0014】
プロセッサは、バスケットアセンブリが組織との接触中に変形を受けるとき、空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させるように構成することができる。
【0015】
プロセッサは、臓器の組織に対する接触ベクトルの視覚表現を表示するように更に構成することができる。
【0016】
プロセッサは、プローブに近接して配置された磁気センサに基づいて、かつ複数の基準電磁(EM)センサに基づいて、医療用プローブの位置を特定するように更に構成され得る。基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定することができる。
【0017】
複数の電極を有するカテーテルエンドエフェクタによる臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための例示的な方法は、様々な順序で実行される以下のステップを含むことができ、インターリーブするステップを有する。本方法は、それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、複数の電極の少なくとも一部の場所を判定することと、組織と接触している複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を選択することと、組織と接触している少なくとも3つの電極に隣接する平面を画定することと、臓器の視覚表現に対して平面の視覚インジケータを表示することとを含むことができる。
【0018】
本方法は、それぞれの電極パッドと接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、組織と接触している少なくとも3つの電極を識別することを更に含むことができる。
【0019】
本方法は更に、組織と接触している少なくとも3つの電極の場所に基づいて、平面の重心を決定するステップを含むことができる。
【0020】
本方法は、組織と接触している少なくとも3つの電極の質量中心を決定することを更に含むことができ、質量中心は、少なくとも3つの電極のそれぞれのインピーダンス値に基づく。本方法は、平面に直交する線を表示することを更に含むことができ、この線は、質量中心を表す。この方法は、直交線と交差する接触ベクトルを表示することを更に含むことができる。接触ベクトルは、平面内のほぼ中央に位置合わせすることができる。
【0021】
方法は、電極に近接して配置された磁気センサ及び複数の外部基準電磁(EM)センサに基づいて医療用プローブを配向することを更に含むことができ、基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する。
【0022】
医療用プローブは、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交差部で収束する複数のスパインを有する拡張可能バスケットアセンブリを更に含むことができる。複数のスパインのうちの各スパインは、少なくとも2つの電極を含むことができる。
【0023】
本方法は更に、各電極の点を、組織と接触しているそれぞれの電極間に形成される平面の頂点として構成することを含むことができる。
【0024】
本方法は、接触ベクトルを平面にほぼ直交するように整列させることを更に含むことができる。
【0025】
本方法は、接触ベクトルを平面のほぼ中心に位置合わせすることを更に含むことができる。
【0026】
本方法は、医療用プローブが臓器の組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させることを更に含むことができる。
【0027】
本方法は、組織と接触している電極を介して、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達することを更に含み得、電気パルスは、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する。
【0028】
本方法は、噴霧ポートを介して、灌注流体を電極に送達することを更に含むことができる。
【0029】
臓器に対するカテーテルの電極の視覚表現を表示する例示的な方法は、様々な順序で実行される以下のステップを含むことができ、インターリーブするステップを含む。本方法は、カテーテルの遠位端にあり、臓器の組織と接触している複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信することを含むことができる。本方法は、インピーダンス測定による三角測量に基づいて、臓器内の複数の電極のそれぞれの位置を特定することを含むことができる。本方法は、臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極を選択することを含むことができる。本方法は、少なくとも3つの電極間に平面を画定することを含むことができる。本方法は、臓器内の少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて平面の重心を決定することを含むことができる。本方法は、平面によって接続された少なくとも3つの電極の視覚的表現と、臓器の解剖学的表現に対する平面の重心とを画面上に表示することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
【
図1】本発明の態様による、例示的なカテーテルに基づく電気生理学的マッピング及びアブレーションシステムの図である。
【
図2A】本発明の態様による、電極間の三角平面を画定するエンドエフェクタを示す図である。
【
図2B】本発明の態様による、折り畳まれた構成の
図2Aに示すエンドエフェクタを示す図である。
【
図3】本発明の態様による、三角平面及びベクトルを画定するエンドエフェクタを示す図である。
【
図4A】本発明の態様による、解剖学的構造、医療用プローブ、並びに接触された組織の組織位置及び配向を示す平面及びベクトルのグラフィカル表現の図である。
【
図4B】本発明の態様による、インピーダンスによって決定された平面及びベクトルの第1の例を示す図である。
【
図4C】本発明の態様による、インピーダンスによって決定された平面及びベクトルの第2の例を示す図である。
【
図4D】本発明の態様による、インピーダンスによって決定された平面及びベクトルの第3の例を示す図である。
【
図5】本発明の態様による、複数の電極を有するカテーテルエンドエフェクタによって臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための方法のフロー図である。
【
図6】本発明の態様による、臓器に対するカテーテルの電極の視覚表現を表示する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0032】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。
【0033】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。加えて、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々なあらゆる該当するタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「近位」は、操作者に近い方の場所を示す一方、「遠位」は、操作者又は医師から更に遠い場所を示す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「操作者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、熱アブレーションを含む様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0037】
本明細書で論じられるように、「双極」、「ユニポーラ」、及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「ユニポーラ」及び「単極」とは、本明細書で互換的に使用され、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を含む1つの電極が治療部位に配置され、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を含む第2の電極が、治療部位から遠隔に配置される。
【0038】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0039】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0040】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例等のうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載のその他の教示、表現、変形例、実施例等のうちのいずれか1つ以上と組み合わされてもよい。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例等は、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示と組み合わされてもよい様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正例及び変形形態は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0041】
図1は、例示的なカテーテルに基づく電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム10を示す図である。システム10は、患者の血管系を通じて、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12内の所望の場所付近の左心房又は右心房に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含んでもよい。IEGM及びアブレーションを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部28を心臓壁と接触させる。
【0042】
カテーテル14は、遠位先端部28においてバスケットアセンブリ100の複数のスパイン214にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知し、アブレーション信号を提供するように構成された1つ、好ましくは複数の電極40を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0043】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14の遠位端28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気系の位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、及び同第6,892,091号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、かつ優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。
【0044】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極40のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極40に向けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンス系の位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、かつ優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。
【0045】
磁気ベースの位置センサ29を使用して、電極40のインピーダンスベースの追跡を較正することができる。ワークステーション55は、磁気センサ29及び複数の基準電磁(EM)センサに基づいてカテーテル14の遠位先端28の位置を特定するように構成することができる。基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定するように構成され得る。
【0046】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、カテーテル14の電極40で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心拍リズムをペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0047】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極又は双極高電圧DCパルスを含む、無線周波数(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0048】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテル、電気生理学的機器、電源、及びシステム10の動作を制御するためのワークステーション55の間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、場所パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの場所のリアルタイム計算を実施するため、かつECG計算を実行するための処理能力を含む。
【0049】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能とを含む。ワークステーション55は、複数の機能を提供するように構成することができ、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデル化し、そのモデル又は解剖学的マップ20を表示デバイス27に表示するためにレンダリングすることと、(2)表示デバイス27上に、記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的印又は画像で表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの場所及び配向を表示することと、(4)アブレーションエネルギーが印加されたところなどの関心部位を表示デバイス27上に表示することとを含む。システム(10)の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.(31A Technology Drive,Irvine,CA,92618)から市販されている、CARTO(商標)3システムとして、入手可能である。
【0050】
ワークステーション55は更に、インピーダンス測定を使用して組織接触を検出するように適合され得る。カテーテル電極40とリターン電極38との間のインピーダンスに基づくインピーダンスベースの組織接触の詳細は、米国特許第5,935,079号、同第5,836,990号、同第5,447,529号、及び同第6,569,160号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、かつ優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。
【0051】
ワークステーション55は更に、電極パッチ38と電極40との間の電流を監視することによって、電極40による組織接触を検出するように適合され得る。電流ベースの組織接触検出の詳細は、参照により本明細書に組み込まれ、優先特許出願第63/477,339号の付録に添付される米国特許第7,848,787号に記載されている。カテーテル14の遠位端28が移動すると、少なくとも1つのパッチ38に対する相対インピーダンスが変化する。それによって、相対インピーダンスの変化の測定は、遠位端28の追跡を可能にする。対照的に、カテーテル電極40が内部組織に接触する場合、パッチ38における電流は変化するが、相対インピーダンスの値は変化しない。その結果、上述したように、上述の方法が使用されるとき、組織接触による位置測定の誤差が低減される。これらの方法は更に、電流の変化が相対インピーダンスの変化によって反映されないときを感知することによって、内部組織接触を評価する手段を提供する。
【0052】
ワークステーション55は更に、カテーテル14の遠位先端28の電極40のうちの少なくとも3つが組織と接触していることを検出し、ディスプレイ27上に、心臓12の解剖学的表現に対する平面によって接続された少なくとも3つの電極の視覚的表現を表示するように適合され得る。ワークステーションは更に、心臓12の解剖学的表現に対する平面の重心を表示することができる。どの電極40が組織と接触しているかを決定するために、ワークステーション55は、心臓12の組織と接触している電極40から1つ又は複数のインピーダンス値を受信し、心臓12との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極40を選択するように構成することができる。心臓12内の電極40の空間的関係を決定するために、ワークステーションは、インピーダンス測定による三角測量に基づいて電極40の少なくとも一部の位置を特定するように構成することができる。ワークステーション55は、少なくとも3つの電極40の間の平面と、心臓12内の組織と接触している少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて平面の重心とを画定するように構成することができる。
【0053】
システム10は、カテーテル14に灌注流体を提供するように構成されている灌注源(図示せず)を更に含むことができる。ワークステーション55は、カテーテル14の遠位端28において灌注を提供するために、灌注源を制御するように構成することができる。
【0054】
図2Aは、挿入管34の遠位端36において挿入管ルーメン37(
図2B)から前進して出ることなどによる、非拘束時の拡張形態のバスケットアセンブリ100を含む医療用プローブ22の斜視図を示す概略描画図である。
図2Aに示す医療用プローブ22は、
図1に示したカテーテル14と同様に構成され得る。
【0055】
図2Bは、ガイドシースの挿入管34内の折り畳み形態のバスケットアセンブリ100を示す。拡張形態(
図2A)では、スパイン214は、半径方向外向きに曲がり、折り畳み形態(
図2B)では、スパインは、挿入管34の長手方向軸86に概ね沿って配置される。
【0056】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ100は、チューブ状シャフト84の端部に形成された複数の可撓性スパイン214を含む。医療手技中、医療専門家24(
図1)は、チューブ状シャフト84を挿入管34から延在させて、バスケットアセンブリ100を挿入管34から退出させ、拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ100を展開することができる。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0057】
複数のスパイン214は、バスケットアセンブリ100の遠位端211にある中央スパイン交差部において集合する。いくつかの実施例では、中心スパイン交差部211は、各スパインのそれぞれの取り付け端部がスパイン保持ハブ90に接続されるときに、スパイン214の屈曲を可能にする、1つ又は2つ以上の切り欠きを含み得る。
【0058】
本明細書に記載の実施形態では、バスケットアセンブリ100のスパイン214上に位置付けられる1つ又は複数の電極40は、心臓12内の組織にアブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を送達するように構成され得る。追加的又は代替的に、電極40を使用して、バスケットアセンブリ100の位置を決定すること、及び/又は心臓12内の組織上のそれぞれの位置における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極40は、1つ又は複数の電極40のより多くの部分がバスケットアセンブリ100から外向きに面するように付勢され得、その結果、1つ又は複数の電極40は、内向きよりもバスケットアセンブリ100から離れる方向に外向きに(すなわち、心臓12組織に向かって)より多くの量の電気エネルギーを送達する。
【0059】
電極40を形成するのに理想的に適した材料の例としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0060】
医療用プローブ22は、チューブ状シャフト84の遠位端からバスケットアセンブリ100の遠位端211に向かって縦方向に延在する、スパイン保持ハブ90を含むことができる。システム10は、チューブ状シャフト84を通してバスケットアセンブリ100に灌注流体を送達する灌注モジュールを含むことができる。
【0061】
図2Aは、各々が3つの電極40を含む複数の三角形平面41を示す。例えば、バスケットアセンブリ100の遠位端211における遠位平面41aは、遠位端211に最も近い3つの電極40a、40b、40cによって画定される。追加の平面41は、図示のとおり3つ1組の電極40b、40c、40d、電極40c、40d、40e、電極40b、40d、40g、電極40d、40e、40f、及び電極40d、40f、40gによって画定される。
【0062】
図3は、遠位平面41aを例として用いて、各平面41の特徴を示す。平面41aは、それぞれの電極40a、40b、40cの中心点によってそれぞれ画定される3つの頂点A、B、Cを有する。各平面41は、頂点A、B、Cの間に辺AB、BC、ACを有する。
図3はまた、平面41a内の中心に配置され、バスケットアセンブリ100から離れて平面41aから直角に向いているベクトル42を示す。ベクトル42は、組織の位置及び向きの視覚的表示を提供することができる。
【0063】
図4Aは、心臓の左心房LA、医療用プローブ22、並びに接触された組織の組織位置及び配向を示す平面41及びベクトル42のグラフィカル表現の図である。グラフィカル表現は、ワークステーション55のディスプレイ27上に表示され、医師24に視覚的支援を提供することができる。ベクトル42及び平面41を生成するために、組織と接触している電極を使用することができる。加えて、フレーム形状(変形)の動的視覚化は、インピーダンスベースの場所感知を使用して、電極パッチ38(
図1)に対する電極位置を決定することによって達成されてもよく、それは、ベクトル42がフレーム形状の変化(例えば、組織との接触中のフレーム変形)に適応することを可能にすることができる。
【0064】
図4Bは、インピーダンスによって決定された平面41及びベクトル42aの第1の例を示す図である。平面41の3つの頂点A、B、Cの位置は、例えば、インピーダンスベースの追跡を介して、位置感知によって決定することができる。これは、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、かつ優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。加えて、又は代替として、平面41の3つの頂点A、B、Cの場所は、磁気ベースの位置感知技術によって判定されることができる。これは、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、及び同第6,892,091号に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれ、かつ優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。
【0065】
3つの頂点A、B、Cのそれぞれにおける各電極の接触インピーダンスは、米国特許第5,935,079号、同第5,836,990号、同第5,447,529号、及び同第6,569,160号に記載されているような方法によって検出することができ、これらの特許は参照により本明細書に組み込まれ、優先特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。図示の例では、頂点Aは40オームのインピーダンスを有し、頂点Bは70オームのインピーダンスを有し、頂点Cは110オームのインピーダンスを有する。インピーダンスの特定の数値は、単に例示のために選択されたものであり、当業者によって理解されるように、システム10の構成と一致する代替値を有してもよい。例として、組織接触が少なくとも10オームと測定されるときに十分な接触が決定されると考える。この例では、インピーダンスが大きいほど、電極40の表面積のより大きな部分が組織に接触していることを示す。
【0066】
各頂点電極40における接触インピーダンスに加えて、又は代替として、参照することによって本明細書に組み込まれ、優先特許出願第63/477,339号の付録に添付される米国特許第7,848,787号に説明されるような、電流ベースの組織接触方法検出を使用することができる。カテーテル22が動くと、少なくとも1つのパッチ38に対する相対インピーダンスが変化する。それによって、相対インピーダンスの変化の測定は、カテーテル22の追跡を可能にする。対照的に、カテーテル電極40が内部組織に接触すると、パッチ38における電流は変化するが、相対インピーダンスの値は変化しない場合もある。その結果、米国特許第7,848,787号に記載された方法が使用される場合、組織接触による位置測定の誤差が低減される。これらの方法は更に、電流の変化が相対インピーダンスの変化によって反映されないときを感知することによって、内部組織接触を評価する手段を提供する。パッチ38における電流は、したがって、組織接触を判定するための別の測定基準として使用されることができる。
【0067】
図4Bに示すベクトル42aは、平面41の重心44から延びている。重心44は、平面41の中心点である。平面41は三角形であるので、平面41の重心44の幾何学的定義は、三角形の3つの中央値が交差する点である。中央値は、三角形の辺の中点と反対側の頂点とを結ぶ線である。三角形の重心は、2:1の比で中央値を分離する。重心44のx,y座標は、三角形のすべての頂点A,B,Cのx座標点及びy座標点の平均をとることによって求めることができる。ベクトル42aは、平面41に直交して延在し、組織の方を指すことができる。この例では、各頂点A、B、Cにおけるインピーダンスは、平面41を画定するために組織と接触している電極(例えば、最も高いインピーダンスを有する電極)を選択するために使用される。ベクトル42aは、電極40によって接触される中心点及び電極40に対する組織の方向を視覚化することができるように、医師24にとって有用であり得る。
【0068】
図4Cは、インピーダンスによって決定された平面41及びベクトル42bの第2の例の図である。平面41及び頂点A、B、Cは、
図4B及び本明細書の他の箇所に関連して開示されるように決定することができる。平面の質量中心46は、各頂点の位置及び各頂点における相対インピーダンスに基づいて、周知の質量中心計算によって決定することができる。平面が三角形であると仮定して、各頂点A、B、Cがそれぞれの(x,y)座標(x
A,y
A)、(x
B,y
B)、(x
C,y
C)を有し、インピーダンスは、それぞれの質量m
A,m
B,m
Cを示し、次に、質量中心46のx座標x
CMが、式x
CM=(x
Am
A+x
Bm
B+x
Cm
C)/Mによって計算され得、質量中心46のy座標y
CMが、式y
CM=(y
Am
A+y
Bm
B+y
Cm
C)/Mによって計算され得る。式中、M=m
A+m
B+m
Cである。ベクトル42bは、平面41に直交して延在し、組織の方を指すことができる。ベクトル42bは、頂点A、B、Cにおける3つの電極40間の接触面積の差を視覚化することができるために、医師24にとって有用であり得る。質量中心46が重心44に近ければ近いほど、頂点A、B、Cにおけるインピーダンスがよりバランスがとれ、したがって、頂点A、B、Cにおける電極40間の接触面積がよりバランスがとれる。医師24は、バスケットアセンブリ100の位置を調節して、電極40間の接触の所望の分布を提供することを選択し得る。ベクトル42bの方向は、組織の位置を示す。
【0069】
図4Dは、インピーダンスによって決定された平面41及びベクトル42cの第3の例を示す図である。平面41及び頂点A、B、Cは、
図4B及び本明細書の他の箇所に関連して開示されるように決定することができる。重心44は、
図4Bに関連して開示したように決定することができる。質量中心46は、
図4Cに関連して開示したように決定することができる。質量中心46からのベクトル42bは、
図4Cに関連して開示したように決定することができる。
図4Dにおいて、質量中心ベクトル42bは、質量中心46を通過する平面41に直交する線を表す。接触ベクトル42cは、重心から延び、かつ、平面41に直交して延びるのではなく、ベクトル42bの直交線と交差する。ベクトル42cは、頂点A、B、Cにおける3つの電極40間の接触面積の差を視覚化することができるために、医師24にとって有用であり得る。質量中心46が重心44に近ければ近いほど、重心44を通るベクトル42cは平面41に対してより直交するようになる。質量中心46が重心44に近ければ近いほど、頂点A、B、Cにおけるインピーダンスがよりバランスがとれ、したがって、頂点A、B、Cにおける電極40間の接触面積がよりバランスがとれる。医師24は、バスケットアセンブリ100の位置を調節して、電極40間の接触の所望の分布を提供することを選択し得る。
【0070】
以上をまとめると、
図4Bに示す第1ベクトル42aは、重心44から平面41に直交して延び、
図4C及び
図4Dに示す第2のベクトル42bは、質量中心46から平面41に直交して延び、
図4Dに示す第3のベクトル42cは、重心から延び、ベクトル42bの直交線と交差する。平面41は、組織にほぼ平行であり、バスケットアセンブリ100と接触している組織の位置を示すために組織の近くにある。したがって、ベクトル42a、42b、42cは、少なくとも平面41に対して表示されることによって、組織に対して表示される。組織のグラフィック表現も表示することができる。
【0071】
図1に示されるワークステーション55は、第1のベクトル42a、第2のベクトル42b、第3のベクトル42c、又はそれらの任意のサブコンビネーションを表示するように構成され得る。ワークステーション55は、医師24がどのベクトル42a、42b、42cを表示するかを選択することを可能にするように構成され得る。
【0072】
インピーダンスは、頂点A、B、Cにおける電極40の組織への表面積接触を示すことができる。組織への電極に加えられる力が大きいほど、一般に、接触表面積が大きくなる。したがって、ワークステーション55は、平面41の幾何学的形状及び頂点A、B、Cにおけるインピーダンスに少なくとも部分的に基づいて、臓器の組織に対する医療用プローブの力の大きさ及び力の方向を推定するように構成することができる。表示されるベクトル42a、42b、42cの長さは、力の大きさに少なくとも部分的に基づくことができる。第3のベクトル42c(
図4D)の方向は、力の方向に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0073】
力の大きさ及び/又は方向は、加えて、又は代替として、組織と接触していない電極40を含む電極40の位置に基づいて推定されてもよい。例えば、バスケットアセンブリ100は、拘束されておらず自由空間にある(例えば、血液、空気、又は他の流体に浮遊している)ときにバスケットアセンブリ100がとる所定の形状を有することができ、バスケットアセンブリ100は、組織に押し付けられたときに所定の形状から変形することができる。所定の形状における電極40間の空間的関係は、バスケットアセンブリ100が組織と接触していないときに、例えば、インピーダンスベースの位置感知、及び/又は磁気ベースの位置感知、又は当業者によって理解されるような他の位置技法を通して、判定されることができる。電極40間の空間的関係は、バスケットアセンブリ100が組織と接触しているときに再び決定され得る。バスケット100の機械的特性は、組織接触によるバスケット100上の力及び力の方向がバスケット100の変形形状に基づいて計算され得るように、知ることができる。例えば、スパイン214のばね定数を知ることができ、ばね定数に少なくとも部分的に基づいて力を計算することができる。加えて、又は代替として、プローブ22は、種々の力がバスケット100に印加され、バスケット100の変形形状が観察され、較正情報がカテーテル14及び/又はワークステーション55のメモリに記憶され、これによって、力が較正情報及び観察されたバスケットアセンブリ100の変形に基づいて計算され得るように、治療前に試験装置を使用して較正されることができる。表示されるベクトル42a、42b、42cの長さは、力の大きさに少なくとも部分的に基づくことができる。第3のベクトル42c(
図4D)の方向は、力の方向に少なくとも部分的に基づくことができる。ワークステーション55は、バスケットアセンブリ100が組織との接触中に変形を受けるとき、表示された接触ベクトル42a、42b、42cを動的に適合させるように構成することができる。
【0074】
力の大きさ及び/又は方向を計算するための前述の方法は、いくつかの用途において、接触力センサの必要性を排除し得る。ただし、医療用プローブ22は、管84(
図2A)の内側で、バスケットアセンブリ100に対して近位に、バスケットアセンブリ100に可能な限り近接して配置される接触力センサ(図示せず)を備えてもよく、これによって、電極40による心臓組織との接触が接触力センサに伝達され得る。接触力センサは、接触力を決定し、したがって接触ベクトル42a、42b、42cの視覚表示を決定するために、組織と接触している電極におけるインピーダンスを利用することに加えて、又はその代替として使用することができる。接触力センサは、接触力を決定し、したがって接触ベクトル42a、42b、42cの視覚的表示を決定するために、バスケット100の変形を利用することに加えて、又は代替として使用することができる。接触力センサの例の詳細は、2021年3月18日に公開された米国特許出願公開第2021/0077180号(A1)に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれ、優先権特許出願第63/477,339号の付録に添付されている。
【0075】
本明細書に示される実施例は、バスケットアセンブリ100を含むが、本明細書に開示されるシステム及び方法の原理は、当業者によって理解されるように、他の球状カテーテル(例えば、バルーン)、平面カテーテル、光線カテーテル(例えば、PENTARAY(登録商標))、それらの代替物、及びそれらの変形物を含む、種々のカテーテル幾何学形状に適用されることができる。本明細書に示される例示的平面41は、組織と接触している3つの電極によって画定されるが、平面内に3つを上回る電極を有するカテーテル幾何学形状は、3つを上回る電極によって画定される表示された平面をもたらすことができる。そのような平面の重心及び質量中心は、当業者によって理解されるように、3つより多くの頂点に基づいて計算され得る。同様に、組織に対するカテーテルエンドエフェクタの力の大きさ及び方向、したがって表示されるベクトルは、当業者によって理解されるように、代替カテーテル幾何学形状に対して決定されることができる。更なる電極40は、様々な断面形状、曲率、長さなどを有することができる。図示された電極40は、医療デバイス22と共に使用することができる電極40の1つの様々な構成を示すために提供されるが、限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、電極40の様々構成が、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の技術を用いて使用することができることを理解するであろう。カテーテル14の遠位端28は、当業者によって理解されるように、代替の間隔で代替の数の電極を担持することができる。
【0076】
図5は、複数の電極を有するカテーテルエンドエフェクタによる臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための方法500のフロー図である。カテーテルは、当業者によって理解されるように、本明細書に開示されるカテーテル14及び/又は医療用プローブ22、それらの変形例、並びにそれらの代替例と同様に構成されることができる。臓器は、カテーテルベースのシステムによってアクセスすることができる心臓又は他の臓器を含むことができる。
【0077】
ステップ502において、複数の電極の少なくとも一部の位置が決定される。位置は、それぞれの電極パッドと接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。インピーダンス測定値は、本明細書の他の箇所に記載されるもの、その代替物、及び当業者に理解されるような変形を含む様々な方法によって得ることができる。位置は、組織と接触している電極について決定することができる。位置は更に、組織と接触していない電極に対して決定され得る。
【0078】
ステップ504において、組織と接触している少なくとも3つの電極が、複数の電極から選択され得る。電極は、当業者によって理解されるように、本明細書に開示される方法、その代替、及びその変形に基づいて、組織と接触していると判定されることができる。例えば、組織と接触している少なくとも3つの電極は、それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて識別することができる。
【0079】
ステップ506では、ステップ504で選択された、組織と接触している電極に隣接する平面を画定することができる。平面は、当業者によって理解されるように、本明細書に図示される平面41、本明細書に別様に開示される平面、その代替例、及びその変形例と同様に構成されることができる。
【0080】
ステップ508において、臓器の視覚表現に対して平面の視覚インジケータを表示することができる。例えば、
図4Aを参照されたい。平面及び臓器は、当業者によって理解されるように、CARTO(商標)システム、nGEN、その代替例、及びその変形例のグラフィカル表現を、臓器に対して表示される平面を含むように修正することによって別様に表示されてもよい。組織と接触している各電極は、平面の頂点として構成することができる。
【0081】
方法500は、追加の工程を更に含むことができる。平面の重心は、組織と接触している電極の位置に基づいて決定することができる。質量中心は、組織と接触している電極について決定することができる。質量中心は、電極のそれぞれのインピーダンス値に基づくことができる。質量中心で平面に直交する線を表示することができる。直交線と交差する接触ベクトルを表示することができ、接触ベクトルは平面と直交しなくてもよい。複数の接触ベクトルを表示することができ、ベクトル(複数可)は、重心及び/又は質量中心から延びることができる。ベクトルは、平面に直交してもよい。ベクトルは、医療用プローブが臓器の組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて適合され得る。不可逆的エレクトロポレーションのために、組織と接触している電極に電気パルスを送達することができる。電気パルスは、少なくとも900Vのピーク電圧を有することができる。灌注流体は、スプレーポートを介して電極に送達することができる。
【0082】
図6は、臓器に対するカテーテルの電極の視覚表現を表示する方法600のフロー図である。カテーテルは、当業者によって理解されるように、本明細書に開示されるカテーテル14及び/又は医療用プローブ22、それらの変形例、並びにそれらの代替例と同様に構成されることができる。臓器は、カテーテルベースのシステムによってアクセスすることができる心臓又は他の臓器を含むことができる。
【0083】
ステップ602において、カテーテルの遠位端にあり、臓器の組織と接触している複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信することができる。インピーダンス値は、それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。インピーダンス測定値は、本明細書の他の箇所に記載されるもの、その代替物、及び当業者に理解されるような変形を含む様々な方法によって得ることができる。位置は、組織と接触している電極について決定することができる。
【0084】
ステップ604において、複数の電極の各々は、三角測量インピーダンス測定値に基づいて臓器内に配置することができる。三角測量インピーダンス測定値は、それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。三角測量インピーダンス測定値は、当業者によって理解されるように、本明細書に開示される方法、その代替例、及びその変形例を使用して得ることができる。位置は、組織と接触している電極について決定することができる。位置は更に、組織と接触していない電極に対して決定され得る。
【0085】
ステップ606において、臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極を選択することができる。電極は、インピーダンス値が所定の閾値を超えることに基づいて、及び/又はカテーテルの電極のインピーダンス値を互いに比較し、接触を最も示すインピーダンス(例えば、最高インピーダンス)を有する電極を選択することによって、選択することができる。あるいは、電極は、当業者に理解されるような本明細書に開示される方法、その代替例、及びその変形例によって選択することができる。
【0086】
ステップ608において、ステップ606において選択された電極間に平面を画定することができる。平面は、ステップ606で選択された電極のうちの少なくとも3つに対して頂点を有することができる。
【0087】
ステップ610において、臓器内の少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて、平面の重心を決定することができる。
【0088】
ステップ612では、ステップ608で画定された平面によって接続された、ステップ606で選択された3つの電極の視覚表現が、臓器の解剖学的表現に関して画面上に表示され得る。ステップ610で決定された平面の重心を表示することができる。
【0089】
本発明に含まれる主題の例示的な実施形態について図示及び説明したが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合は、特許請求の範囲から逸脱することなく適切な修正によって達成することができる。更に、上記の方法及びステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、特定のステップは、説明された順序で実行される必要はなく、ステップが、実施形態がそれらの意図された目的のために機能することを可能にする限り、任意の順序で実行されることが意図される。したがって、本開示の趣旨の範囲内であるか、又は特許請求の範囲に見出される本発明と同等である本発明の変形例が存在する限り、本特許はそれらの変形例も包含することが意図されている。一部のそのような修正は、当業者には明らかであるはずである。例えば、上述の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは、例示的なものである。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び操作の特定の詳細に限定されるべきではない。
【0090】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
条項1.位置測定システムであって、複数の電極を含む医療用プローブと、各回路からインピーダンスを測定するために、複数の電極の各々の間に回路を画定するように構成された少なくとも3つの電極パッドと、ディスプレイと、メモリと、メモリ、医療用プローブ、及びディスプレイに動作可能に結合されたプロセッサであって、臓器の組織と接触している複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信し、インピーダンス測定による三角測量に基づいて臓器内の複数の電極の各々の位置を特定し、臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極を選択し、少なくとも3つの電極間に平面を画定し、臓器内の少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて、平面の重心を決定し、ディスプレイ上に、平面によって接続された少なくとも3つの電極の視覚表現と、臓器の解剖学的表現に対する平面の重心とを表示するように構成されたプロセッサと、を備える位置測定システム。
【0091】
条項2.プロセッサは、臓器の解剖学的表現に対して重心から延びる矢印を表示するように更に構成されている、条項1に記載のシステム。
【0092】
条項3.平面の頂点は、複数の電極上の中心点によって画定される、条項1に記載のシステム。
【0093】
条項4.プロセッサは、少なくとも3つの電極のそれぞれのインピーダンス値に基づいて少なくとも3つの電極の質量中心を決定し、質量中心が平面に直交する線によって表され、直交線と交差する接触ベクトルを表示するように更に構成されている、条項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【0094】
条項5.プロセッサは、臓器の組織と接触している少なくとも3つの電極からのインピーダンス値の差に基づいて、複数の電極と少なくとも3つの電極パッドとの間の空間的関係を決定し、平面及び空間的関係によって、臓器の組織に対する医療用プローブの力の大きさ及び力の方向を示す接触ベクトルを推定するように更に構成されている、条項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【0095】
条項6.1つ以上のインピーダンス値は、臓器の組織と接触しているそれぞれの電極の力の大きさを示す、条項5に記載のシステム。
【0096】
条項7.接触ベクトルは、平面内のほぼ中央に位置合わせされる、条項4に記載のシステム。
【0097】
条項8.空間的関係は、少なくとも3つの電極と臓器の組織との間に加えられた力を示す、条項5に記載のシステム。
【0098】
条項9.医療用プローブは、折り畳み構成から拡張構成へと半径方向外向きに曲がるように構成された複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを更に備える、条項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【0099】
条項10.バスケットアセンブリは、医療用プローブの少なくとも一部が組織と接触しているときに変形するように構成されている、条項9に記載のシステム。
【0100】
条項11.プロセッサは、バスケットアセンブリが組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させるように構成されている、条項10に記載のシステム。
【0101】
条項12.プロセッサは、臓器の組織に対する接触ベクトルの視覚表現を表示するように更に構成されている、条項1~12のいずれか1つに記載のシステム。
【0102】
条項13.プロセッサは、プローブに近接して配置された磁気センサと複数の基準電磁(EM)センサとに基づいて、医療用プローブの位置を特定するように更に構成され、基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、条項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【0103】
条項14.複数の電極を備える医療用プローブのカテーテルエンドエフェクタによる臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための方法であって、それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、複数の電極の少なくとも一部分の位置を決定することと、組織と接触している複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を選択することと、組織と接触している少なくとも3つの電極に隣接する平面を画定することと、臓器の視覚的表現に対して平面の視覚的インジケータを表示することと、を含む方法。
【0104】
条項15.それぞれの電極と接地パッドとの間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、組織と接触している少なくとも3つの電極を識別することを更に含む、条項14に記載の方法。
【0105】
条項16.組織と接触している少なくとも3つの電極の位置に基づいて、平面の重心を決定することを更に含む、条項14又は15に記載の方法。
【0106】
条項17.組織と接触している少なくとも3つの電極の質量中心を決定することであって、質量中心は、少なくとも3つの電極のそれぞれのインピーダンス値に基づく、決定することと、平面に直交する線を表示することであって、線は質量中心を示す、表示することと、直交線と交差する接触ベクトルを表示することと、を更に含む、条項16に記載の方法。
【0107】
条項18.接触ベクトルは、平面内のほぼ中心に位置合わせされている、条項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
条項19.電極に近接して配置された磁気センサと複数の外部基準電磁(EM)センサとに基づいて、医療用プローブを配向することを更に含み、基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、条項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
条項20.医療用プローブは、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交点で収束する複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを備え、複数のスパインのうちの各スパインは、少なくとも2つの電極を備える、条項14~19のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
条項21.各電極の点を、組織と接触しているそれぞれの電極間に形成される平面の頂点として構成することを更に含む、条項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
条項22.接触ベクトルを平面にほぼ直交するように整列させることを更に含む、条項14~21のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
条項23.接触ベクトルを平面のほぼ中心に位置合わせすることを更に含む、条項14~22のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
条項24.医療用プローブが臓器の組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させることを更に含む、条項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
条項25.組織と接触している電極を介して、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達することを更に含み、電気パルスは、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項14~24のいずれか1項に記載の方法。
【0115】
条項26.噴霧ポートを介して、灌注流体を電極に送達することを更に含む、条項14~25のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
条項27.臓器に対するカテーテルの電極の視覚表現を表示するための方法であって、カテーテルの遠位端にあり、臓器の組織と接触している複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信することと、インピーダンス測定による三角測量に基づいて、臓器内の複数の電極のそれぞれの位置を特定することと、臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有する少なくとも3つの電極を選択することと、少なくとも3つの電極間に平面を画定することと、臓器内の少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて平面の重心を決定することと、平面によって接続された少なくとも3つの電極の視覚的表現と、臓器の解剖学的表現に対する平面の重心とを画面上に表示することと、を含む方法。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 位置測定システムであって、
複数の電極を含む医療用プローブと、
各回路からインピーダンスを測定するために、前記複数の電極の各々の間に回路を画定するように構成された少なくとも3つの電極パッドと、
ディスプレイと、
メモリと、
前記メモリ、前記医療用プローブ、及び前記ディスプレイに動作可能に結合されたプロセッサであって、
臓器の組織と接触している前記複数の電極から1つ以上のインピーダンス値を受信し、
インピーダンス測定による三角測量に基づいて前記臓器内の前記複数の電極の各々の位置を特定し、
前記複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を、前記少なくとも3つの電極が前記臓器との十分な組織接触を示すインピーダンス値を有するように選択し、
前記少なくとも3つの電極間に平面を画定し、
前記臓器内の前記少なくとも3つの電極の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記平面の重心を決定し、
前記ディスプレイ上に、前記平面によって接続された前記少なくとも3つの電極の視覚表現と、前記臓器の解剖学的表現に対する前記平面の前記重心とを表示するように構成されているプロセッサと、を備える位置測定システム。
(2) 前記プロセッサは、
前記臓器の前記解剖学的表現に対して前記重心から延びる矢印を表示するように更に構成されている、実施態様1に記載の位置測定システム。
(3) 前記平面の頂点は、前記複数の電極上の中心点によって画定される、実施態様1に記載の位置測定システム。
(4) 前記プロセッサは、
前記少なくとも3つの電極の前記インピーダンス値に基づいて前記少なくとも3つの電極の質量中心を決定し、前記質量中心が前記平面に直交する直交線によって表されるようにし、
前記直交線と交差する接触ベクトルを表示するように更に構成されている、実施態様1に記載の位置測定システム。
(5) 前記プロセッサは、
前記臓器の前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極からのインピーダンス値の差に基づいて、前記複数の電極と前記少なくとも3つの電極パッドとの間の空間的関係を決定し、
前記平面及び前記空間的関係によって、前記臓器の前記組織に対する前記医療用プローブの力の大きさ及び力の方向を示す接触ベクトルを推定するように更に構成されている、実施態様1に記載の位置測定システム。
【0118】
(6) 前記1つ以上のインピーダンス値は、前記臓器の前記組織と接触しているそれぞれの電極の力の大きさを示す、実施態様5に記載の位置測定システム。
(7) 前記接触ベクトルは、前記平面内のほぼ中央に位置合わせされる、実施態様4に記載の位置測定システム。
(8) 前記空間的関係は、前記少なくとも3つの電極と前記臓器の前記組織との間に加えられた力を示す、実施態様5に記載の位置測定システム。
(9) 前記医療用プローブは、
折り畳み構成から拡張構成へと半径方向外向きに曲がるように構成された複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを更に備える、実施態様1に記載の位置測定システム。
(10) 前記拡張可能バスケットアセンブリは、前記医療用プローブの少なくとも一部が前記組織と接触しているときに変形するように構成されている、実施態様9に記載の位置測定システム。
【0119】
(11) 前記プロセッサは、前記拡張可能バスケットアセンブリが前記組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて接触ベクトルを適合させるように構成されている、実施態様10に記載の位置測定システム。
(12) 前記プロセッサは、前記臓器の前記組織に対する接触ベクトルの視覚表現を表示するように更に構成されている、実施態様1に記載の位置測定システム。
(13) 前記プロセッサは、前記医療用プローブに近接して配置された磁気センサと複数の基準電磁(EM)センサとに基づいて、前記医療用プローブの位置を特定するように更に構成され、前記基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、実施態様1に記載の位置測定システム。
(14) 複数の電極を備える医療用プローブのカテーテルエンドエフェクタによる臓器の組織への電極接触の視覚インジケータを提供するための方法であって、
接地パッドと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間のインピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の電極の少なくとも一部分の位置を決定することと、
前記組織と接触している前記複数の電極のうちの少なくとも3つの電極を選択することと、
前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極に隣接する平面を画定することと、
前記臓器の視覚的表現に対して前記平面の視覚的インジケータを表示することと、を含む方法。
(15) 前記それぞれの電極と前記接地パッドとの間の前記インピーダンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極を識別することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0120】
(16) 前記組織と接触している前記少なくとも3つの電極の位置に基づいて、前記平面の重心を決定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 組織と接触している前記少なくとも3つの電極の質量中心を決定することであって、前記質量中心は、前記少なくとも3つの電極の前記インピーダンス測定値に基づく、決定することと、
前記平面に直交する直交線を表示することであって、前記直交線は前記質量中心を示す、表示することと、
前記直交線と交差し、前記平面内のほぼ中心に位置合わせされた接触ベクトルを表示することと、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記医療用プローブが前記臓器の前記組織との接触中に変形を受けるときの空間的関係の変化に基づいて、前記接触ベクトルを適合させることを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記電極に近接して配置された磁気センサと複数の外部基準電磁(EM)センサとに基づいて、前記医療用プローブを配向することを更に含み、前記基準EMセンサは、EM座標系及び身体座標系を画定する、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記医療用プローブは、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交点で収束する複数のスパインを備える拡張可能バスケットアセンブリを備え、前記複数のスパインのうちの各スパインは、少なくとも2つの電極を備える、実施態様14に記載の方法。
【外国語明細書】