(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094302
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】変形したスパイン電極バスケット及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219213
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】63/477,315
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/500,285
(32)【優先日】2023-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】イシャン・カーン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK17
4C160KK38
4C160KL03
4C160MM38
4C160NN01
(57)【要約】
【課題】拡張可能なバスケットアセンブリを提供すること。
【解決手段】開示される技術は、拡張可能なバスケットアセンブリを含む医療用プローブを含む。バスケットアセンブリはスパインを含み、スパインは、電極を堆積させるために使用することができる変形領域、スパイン突起を含む。電極は、絶縁層及び電極層を含むことができる電極アセンブリから形成し得る。電極アセンブリは、スパインの長さに沿って配置されなければならない別個の電極構成要素の必要性を回避するように、スパイン突起上に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なバスケットアセンブリであって、
縦軸に沿って延在し、前記拡張可能なバスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行されるときに前記縦軸から半径方向外向きに湾曲するように構成された少なくとも1つのスパインであって、前記少なくとも1つのスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含む、少なくとも1つのスパインと、
突起幅及び突起高さを含むスパイン突起であって、前記突起幅又は前記突起高さのうちの少なくとも1つは、前記スパイン幅及び前記スパイン高さのうちの少なくとも1つより大きい、スパイン突起と、
前記スパイン突起に配置された電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
電極層と、
前記電極層と前記スパイン突起との間に配置された絶縁層と、を含む、電極アセンブリと、を含む、拡張可能なバスケットアセンブリ。
【請求項2】
前記電極層は、前記絶縁層上に堆積された膜を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記電極層は、蒸着された伝導性膜を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記電極層は、公称厚さが少なくとも5μm(5ミクロン)の白金層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記スパイン突起上に堆積された膜を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記絶縁層は、蒸着された絶縁膜を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記絶縁層は、膜キャスト絶縁膜を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記絶縁層は、ポリイミドの層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記突起高さは、前記スパイン高さよりも大きい高さを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記突起幅は、前記スパイン幅よりも大きい幅を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記スパイン突起及び前記電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記スパイン突起の前記概ね台形の輪郭は、突起長さを含み、前記電極アセンブリは、前記突起長さより短い電極アセンブリ長さを含む、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記スパイン突起及び前記電極アセンブリは、曲線輪郭を画定する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
スパイン突起及び前記電極アセンブリは、前記電極アセンブリの各々の上部に概ね平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、前記電気コネクタは、ワイヤを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記電気コネクタの少なくとも一部は、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含む導電性カバー材料であって、前記導電性コア材料を取り囲む、導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を備える、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、前記電気コネクタは、フレキシブル回路を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含む、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
拡張可能なバスケットアセンブリを組み立てる方法であって、前記方法は、
前記拡張可能なバスケットアセンブリのための第1のスパインを形成して、前記第1のスパインの一部が第1のスパイン突起を備えるようにすることと、
前記第1のスパイン突起の一部を覆う第1の電極層を含む第1の電極アセンブリを堆積させることと、
医療用プローブの電気コネクタに前記第1の電極層を電気的に接続することと、を含む方法。
【請求項20】
前記第1の電極アセンブリの第1の絶縁層を前記第1のスパイン突起上に堆積させて、前記第1の絶縁層が前記第1のスパイン突起と前記第1の電極層との間に堆積されるようにすることを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2022年12月27日に出願された「DEFORMED SPINE ELECTRODE BASKET AND METHODS OF THE SAME」と題する米国特許仮出願第63/477,315号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイス、特に電極を有するカテーテルに関し、更に、心臓組織の不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を誘導するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための存在するある特定の処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する傾向にある。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、蒸気破裂、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱細胞傷害のリスクの高まりなどの特定の欠点を有し得る。冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難であり、したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0005】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれ、優先出願第63/477,315号の付録に添付されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。しかしながら、スパイン及び電極のサイズが小さいことに起因して、スパインに電極構成要素をはんだ付け、溶接、又は分離することは困難な作業であり得、製造時間及びコストを増加させ、不適切な結合又は位置ずれに起因して電極が機能しなくなる可能性がある。したがって、必要とされるものは、バスケットアセンブリのスパイン上に電極アセンブリを作成するために、はんだ付け、溶接、又は別個の電極取付具を使用する必要なく、バスケットアセンブリのスパインを製造するためのシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態により、多電極カテーテル用拡張可能なバスケットアセンブリが提供される。バスケットアセンブリは、縦軸に沿って延在する少なくとも1つのスパインを含むことができる。少なくとも1つのスパインは、拡張可能なバスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行するときに、縦軸から半径方向外向きに湾曲するように構成され得る。少なくとも1つのスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含むことができる。バスケットアセンブリは、突起幅及び突起高さを有するスパイン突起を含むことができる。突起幅又は突起高さのうちの少なくとも1つは、スパイン幅及びスパイン高さのうちの少なくとも1つよりも大きくすることができる。バスケットアセンブリは、スパイン突起に配置された電極アセンブリを含むことができる。電極アセンブリは、電極層及び絶縁層を含むことができ、絶縁層は、電極層とスパイン突起との間に配置される。
【0008】
電極層は、絶縁層上に堆積された膜を含むことができる。電極層は更に、伝導性蒸着膜を含むことができる。いくつかの例では、電極層は、公称厚さが少なくとも5ミクロンの白金層を含むことができる。
【0009】
絶縁層は、スパイン突起上に堆積された膜を含むことができる。いくつかの例では、絶縁層は、膜キャスト絶縁膜を含むことができる。絶縁層は、例えば、ポリイミド又はポリウレタンの層を含むことができる。
【0010】
突起高さは、スパイン高さよりも大きい高さを含むことができる。突起幅は、スパイン幅よりも大きい幅を含むことができる。スパイン突起及び電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成することができる。スパイン突起の概ね台形の輪郭は、突起長さを含むことができ、電極アセンブリは、突起長さよりも短い電極アセンブリ長さを含むことができる。
【0011】
スパイン突起及び電極アセンブリは、曲線輪郭を画定することができる。スパイン突起及び電極アセンブリは、電極アセンブリの各々の上部に概ね平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成することができる。
【0012】
電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含むことができ、電気コネクタはワイヤを含むことができる。電気コネクタの少なくとも一部は、第1の導電率を含む導電性コア材料と、第1の導電率よりも低い第2の導電率を含む導電性カバー材料と、を含むことができる。導電性カバー材料は、導電性コア材料を取り囲むことができ、絶縁ジャケットは、導電性カバー材料を取り囲むことができる。
【0013】
電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含むことができ、電気コネクタはフレキシブル回路を含むことができる。フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含むことができる。
【0014】
少なくとも1つのスパインは、炭素繊維、ニチノール、又はコバルトクロムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
電極アセンブリは、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され得、パルスは、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する。
【0016】
拡張可能なバスケットアセンブリは、交点から半径方向に延在する少なくとも3つのスパインを含むことができ、少なくとも3つのスパインの各々は、それぞれの電極アセンブリを含むことができる。
【0017】
バスケットアセンブリは、近位端及び遠位端を含むチューブ状シャフトを含むことができる。拡張可能なバスケットアセンブリは、チューブ状シャフトの遠位端の遠位に配置され得る。
【0018】
本発明の一実施形態により、多電極カテーテル用拡張可能なバスケットアセンブリが更に提供される。本方法は、第1のスパインの一部が第1のスパイン突起を含むように、拡張可能なバスケットアセンブリのための第1のスパインを形成することを含むことができる。本方法は、第1のスパイン突起の一部を覆う第1の電極層を含む第1の電極アセンブリを堆積させることを含むことができる。本方法は、医療用プローブの電気コネクタに第1電極層を電気的に接続することを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施例では、本方法は、第1の絶縁層が第1のスパイン突起と第1の電極層との間に堆積されるように、第1のスパイン突起上に第1の電極アセンブリの第1の絶縁層を堆積させることを含むことができる。
【0020】
いくつかの例では、本方法は、第1の絶縁層を堆積させることが、第1のスパイン突起上に第1の絶縁層を蒸着又は膜キャスティングすることを含み、第1の電極層を堆積させることが、第1の絶縁層上に第1の電極層を蒸着させることを含むことができる。
【0021】
いくつかの例では、本方法は、第1の絶縁層を堆積させることが、第1のスパイン突起上に第1の絶縁層を蒸着又は膜キャスティングすることを含むことができる。
【0022】
第1の絶縁層は、膜層を含むことができる。第1の絶縁層は、ポリイミドの層を含むことができる。
【0023】
電気コネクタは、フレキシブル回路を含むことができる。フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含むことができる。
【0024】
第1のスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含むことができる。第1のスパイン突起は、突起幅及び突起高さを含むことができ、突起幅又は突起高さのうちの少なくとも1つは、スパイン幅及びスパイン高さのうちの対応する少なくとも1つよりも大きくすることができる。
【0025】
第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成することができる。第1のスパイン突起の概ね台形の輪郭は、突起長さを含むことができ、第1の電極アセンブリは、突起長さよりも短い電極アセンブリ長さを含むことができる。
【0026】
第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、曲線輪郭を形成することができる。第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、電極アセンブリの各々の上部に平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成することができる。
【0027】
いくつかの例では、本方法は、第1のスパイン上に第2のスパイン突起を形成することと、第2のスパイン突起に近接して第2の電極層を含む第2の電極アセンブリを堆積させることと、医療用プローブの電気コネクタに第2の電極層を電気的に接続することと、を含むことができる。第2の電極アセンブリは、第2のスパイン上に堆積された第2の絶縁層を含むことができる。第2の電極層は、第2の絶縁層上に堆積され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による、その遠位端が電極を伴うバスケットアセンブリを含む、医療用プローブを備える医療用システムの概略絵図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
【
図2B】本開示の技術による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトと共に組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトと共に組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、スパイン、スパイン突起、電極アセンブリの側面図を示す概略描画図である。
【
図4B】本発明の一実施形態による、スパイン、スパイン突起、電極アセンブリの側面図を示す概略描画図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による、スパイン、スパイン突起、電極アセンブリの側面図を示す概略描画図である。
【
図4D】本発明の一実施形態による、スパイン、スパイン突起、電極アセンブリの上面図を示す概略描画図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、拡張可能なバスケットアセンブリを組み立てる方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0030】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする、好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被検体」という用語は、任意のヒト被検体又は動物被検体象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0031】
本明細書で述べる「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々なあらゆる該当するタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0032】
本明細書で考察されるように、「作業者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達と関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0033】
本明細書で考察されるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0034】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に配置された2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0035】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0036】
本明細書で考察されるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0037】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0038】
本開示は、スパインに添着された電極を含むエンドエフェクタを利用するシステム、方法又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを管理するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0039】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0040】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションと関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0041】
本開示で考察されるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療エリアにおいて熱を生成し、治療エリア内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0042】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を印加することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はほぼ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0043】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織においてエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的電気穿孔は、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先出願第63/477,315号の付録に添付されている。
【0044】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に提示されており、これらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、優先出願第63/477,315号の付録に添付されている。
【0045】
IRE(不可逆エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有するフレキシブル挿入管と、フレキシブル挿入管の遠位端におけるバスケットアセンブリとを含む。バスケットアセンブリは、少なくとも1つのスパインと、細長いスパインの変形した部分上の少なくとも1つの電極アセンブリとを含む。
【0046】
図1は、本発明の実施形態による、その遠位端が電極を伴うバスケットアセンブリを含む、医療用プローブを備える医療用システムの概略描画図である。
図1は、例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の場所に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含んでもよい。IEGMを感知するように構成されている例示的な医療用プローブ14(例えば、アブレーションカテーテル)が本明細書に示されている。医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、医療用プローブ14の遠位先端部28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0047】
医療用プローブ14は、遠位先端部28において複数のスパイン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極260を含む例示的なカテーテルである。医療用プローブ14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含んでもよい。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0048】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。医療用プローブ14の遠位端28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、米国特許第5,5391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、及び同第6,892,091号に記載されている。
【0049】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極260のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極260に向けられ、電極パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンス系の位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0050】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、医療用プローブ14の電極260で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0051】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー又はパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0052】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0053】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択で、(1)心内膜解剖学的構造を3次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(5)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供してもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USAから市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0054】
図1に示される医療用プローブ14の遠位先端28は、外向きにバスケット形状に延在する複数のスパイン22を含むことが留意される。
図1に示す例示的なバスケット形状は、単なる例示である。以下の説明では、医療用プローブ14の遠位先端部28がどのように構成され得るかについての詳細を更に提供する。
【0055】
図2Aは、挿入管100の遠位端288において挿入管の管腔110から外に前進させられることなどによって拘束されていないときの拡張形態のバスケットアセンブリ200を有する医療用プローブ14の斜視図を示す概略描画図である。
図2Bは、挿入管100内の圧潰形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(
図2A)では、スパイン22は、半径方向外向きに湾曲し、圧潰形態(
図2B)では、スパインは、概して挿入管100の縦軸286に沿って配設されている。
【0056】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ200は、チューブ状シャフト284の端部に形成され、両端で接続された複数のフレキシブルスパイン22を含む。医療手技中、医療専門家(例えば、医師24)は、チューブ状シャフト284を挿入管100から延在させて、バスケットアセンブリ200を挿入管から退出させ、拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ200を展開することができる。スパイン22は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見える場合がある)の断面を有し、可撓性で弾性の材料(例えば、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロムなどの形状記憶合金)、又は(炭素繊維を含むがこれに限定されない)任意の他の好適な材料を含み得る。いくつかの例では、スパイン22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリエーテルブロックアミド(Pebax(登録商標))収縮スリーブなどの絶縁コーティング、ポリイミド膜、及び/又はスパイン22の伝導特性を更に低減するために表面パッシベーションプロセスによって作成されたコーティングを含むことができる。
【0057】
いくつかの例では、スパイン22は炭素繊維を含むことができる。炭素繊維は、例えば、ニチノールと比較して伝導性が低いが、強く、可撓性があり、ヒステリシスがほとんどないため有利であり得る。炭素繊維の更なる利点は、エポキシ及び他の接着剤が材料に良好に接着することができ、これを使用して電極260(及び/又は電極層404若しくは絶縁層402)をスパイン22に取り付け可能なことである。更なる利点としては、高い剛性、高い引張強度、高い強度対体積比、高い耐薬品性、高温耐性、及び低い熱膨張が挙げられる。繊維は、特定の曲げ方向において高度の可撓性を得るように操作することができる定義された方向を有する。
【0058】
電極260を参照し、電極260は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓26内の組織に送達するように構成され得る。追加的又は代替的に、電極260を使用して、バスケットアセンブリ200の位置を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの位置における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極260は、電極260の大部分がバスケットアセンブリ200から外向きに向くように付勢することができ、電極260は、バスケットアセンブリ200に向かって内向きよりもバスケットアセンブリ200から離れて外向きに(すなわち、心臓の組織に向かって)大量の電気エネルギーを送達する。この外向きフレアは、スパイン突起400に関して本明細書でより詳細に説明される。
【0059】
図3A及び
図3Bは、本発明の一実施形態による、スパイン22がチューブ状シャフト284と共に組み立てられ得る方法の一例を提供するための、バスケットアセンブリ200のチューブ状シャフト284及びスパイン22の分解図を示す概略描画図である。
図3Aに示されるように、スパイン22は、平面材料の単一シートから形成されて、概ね星形を形成することができる。換言すれば、スパイン22は、スパイン22が中央交差部211に向かって収束するように、平面材料の単一シートから形成することができる(ただし、後述するスパイン突起400を除く)。交差部211は、(
図3Aに示されるように)材料の固体片であり得、又は(
図3Bに示されるように)1つ以上の開口部を含み得る。示されるように、バスケットアセンブリ200は、交点211において接続された複数のスパイン22を有することができ、
図3A及び
図3Bにおいて6つのスパインを示す実施例など、少なくとも3つのスパインを含む。
【0060】
スパイン22は、
図3Bに示されるように、スパイン22の近位端216がチューブ状シャフト284の遠位端85内に挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に曲げられ得る。
図3A及び
図3Bには示されていないが、スパインがチューブ状シャフト284内に挿入されてバスケットアセンブリ200を形成する前に、電極260をスパイン22に取り付けるか形成できることが理解されるであろう。前述のように、スパイン22は、バスケットアセンブリ200が挿入管100から展開されるときに、バスケットアセンブリ200が(
図2Bに示されるような)その圧潰形態から(
図2Aに示されるような)その拡張形態に移行することを可能にし得る、可撓性で弾性の材料(例えば、炭素繊維、ニチノール、コバルトクロムなど)を含むことができる。本開示を通して明らかになるように、スパイン22は、電極260からスパイン22へのアーク放電を防止するように、電極260から電気的に絶縁され得る。
【0061】
本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、材料の単一シートから形成され、中央交差部で収束するスパイン22を有する、
図2A~
図3Bに示されるバスケットアセンブリ200は、単に例示目的のために提供され、本開示の技術は、バスケットアセンブリ200の他の構成に適用可能であり得る。例えば、本開示の技術は、単一のスパイン22又は複数のスパイン22から形成され、各スパイン22が両端に取り付けられたバスケットアセンブリ200に適用可能であり得る。他の例では、バスケットアセンブリ200は、バスケットアセンブリ200の遠位端290において複数のスパイン22を一緒に接続する中央ハブを含むことができる。更に他の例では、バスケットアセンブリ200は、螺旋を形成するように構成された単一のスパイン22、螺旋を形成するように構成された複数のスパイン22、1つ又は複数の三脚を形成するように構成された複数のスパイン22、又はバスケットアセンブリ200の任意の他の形状を含み得る。同様に、スパインアセンブリ210は、円筒形の中空ストック材料をレーザー切断することによって形成することができ、それによって、レーザーは、円筒形ストックを通して切断しながら、円筒形ストックの縦軸を中心とした回転(及びそれに対する並進)のために搭載される。したがって、
図2A~
図3Bは、バスケットアセンブリ200の特定の構成を示すが、本開示の技術は、そのように限定されると解釈されるべきではない。
【0062】
ここで、
図4A~4Dを参照すると、スパイン22、スパイン突起400、及び電極アセンブリ300の様々な実施例が記載されている。上述のように、電極260の1つの目的は、電極を外向きに付勢して、バスケットアセンブリ200に向かって内向きよりもバスケットアセンブリ200から離れて外向きに(すなわち、心臓組織に向かって)より多くの量の電気エネルギーを送達することである。そうするために、電極260は、スパイン突起400上に配置された電極アセンブリ300(以下でより詳細に説明する)として形成することができる。最初にスパイン突起400を参照すると、バスケットアセンブリ200の1つ以上のスパイン22の各々は、スパイン22の表面から延在する1つ以上のスパイン突起400を有することができる。スパイン突起400は、他の点では均一なスパインの幾何学的形状の変形であり、電極260(又は電極アセンブリ300)を配置するための領域を提供する変形である。スパイン突起400は、突起幅W1(
図4D参照)及び突起高さH1(
図4C参照)を有することができる。突起幅W1は、電極260が標的組織に接触するためのより多くの表面積を有するように、外向きフレアを提供するように、スパイン幅W2より大きくすることができる。突起高さH1は、組織とより良好に接触するように、標的組織に向かって上向き及び外向きのフレアを提供するように、スパイン高さH2より大きくすることができる。
【0063】
変形したスパイン22、すなわちスパイン突起400の利点は、スパイン22上に別個の電極構成要素を組み立てる必要なく、スパイン22上に電極260を直接堆積させるための領域を提供することである。例えば、従来の設計では、電極アセンブリは別個の構成要素であり、スパイン22の長さに沿ってそれらの正しい位置までスライドさせる必要があった。このような製造手順を完了するために、特別な工具が必要となる場合がある。現在の設計では、電極をスパイン突起400上に直接製造することができ、これにより製造効率が大幅に改善される。
【0064】
ここで、電極アセンブリ300を参照すると、スパイン22上に形成される電極は、前述のスパイン突起400上に直接形成及び/又は堆積され得る。それぞれのスパイン突起400上に形成された電極アセンブリ300は、電極層404及び絶縁層402を含むことができる。絶縁層402は、例えば、電極層404とスパイン突起400との間に配置することができる。最初に絶縁層402を参照すると、この層は、スパイン突起400上に堆積された薄膜とすることができる。この膜は、例えば、スパイン突起400上への膜キャスティング又は蒸着によって堆積させることができる。一例を使用すると、絶縁材料は、電極層404が堆積される絶縁層402を生成するように、スパイン突起400上に薄膜層で膜キャスティングされ得る。絶縁材料は、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリウレタンなどであり得る。いくつかの例では、絶縁層402は、電極層404をスパイン突起400に接着するエポキシであり得る。
【0065】
ここで、電極層404を参照すると、この層は、バスケットアセンブリ200上に堆積された膜層であり得る。いくつかの例において、膜層は、絶縁層402上に堆積され得る。しかしながら、いくつかの例では、例えば、スパイン22が炭素繊維などの非伝導性材料から作製されるシナリオでは、電極アセンブリ300は電極層404のみを含んでもよいことが理解されるであろう。その使用事例では、電極層404は、スパイン突起400上に直接堆積させることができる。
【0066】
電極層404は、伝導性蒸着膜を含むことができる。いくつかの例では、電極層404は、金、白金、パラジウム、及び/又はそれらのそれぞれの合金を含むことができる。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパイン22に隣接する電極の部分)に、次に心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。例示的な材料として白金を考慮すると、電極層404のための白金層は、公称厚さが少なくとも5ミクロンであり得る。
【0067】
ここで、
図4A及び
図4Bに示されるスパイン突起400及び電極アセンブリ300の形状を参照すると、スパイン突起400及び電極アセンブリ300の輪郭は、非外傷性輪郭を提供するように平滑であり得る。したがって、スパイン22の縦軸に沿ったスパイン突起400及び電極アセンブリ300の端部は、電極アセンブリ300の上部/先端406に向かって滑らかなテーパを有することができる。例えば、
図4Aを考慮すると、スパイン突起400及び電極アセンブリ300は、曲線輪郭を画定することができる。スパイン突起400の輪郭は、ベース突起長さL1を有することができ、スパイン突起400の輪郭は、絶縁層402に向かって内向きに先細になることができ、絶縁層402は、電極層404に向かって内向きに先細になることができる。電極層の上部/先端406は、ベース突起長L1よりも短い長さL2を有する概ね平坦な表面を有することができる。ここで、
図4Bを参照すると、スパイン突起400及び電極アセンブリ300は、概ね台形の輪郭を形成することができる。曲線輪郭と同様に、スパイン突起400の概ね台形の輪郭は、突起長さL1を有することができ、電極アセンブリ300は、突起長さL1よりも短い電極アセンブリ長さL2を有することができる。
【0068】
ここで、
図4Dを参照すると、これは、電極アセンブリ300のためのベースを提供するための変形領域(突起)を伴う例示的スパイン22の上面図である。電極層404は、電気コネクタ408を介した医療用プローブ14への電気接続を含むことができる。電気コネクタは、電極層404を医療用プローブ14に接続するワイヤを含むことができる。他の実施例では、電気コネクタ408はフレキシブル回路を含むことができる。一実施例では、フレキシブル回路は、フォトリソグラフィを介して生成された電気接続であってもよく、フレキシブル回路をスパイン22上に直接堆積させてもよく、又は電気接続は絶縁層によってスパイン22から分離されてもよい。フレキシブル回路は更に、スパイン22上に直接スパッタリングされた伝導性膜であってもよく、又は膜は絶縁層によってスパイン22から分離されてもよい。更に他の実施例では、フレキシブル回路は、スパイン22上に直接印刷された印刷伝導性ワイヤであってもよく、又は印刷ワイヤは、絶縁層によってスパイン22から分離されてもよい。フレキシブル回路及び/又はワイヤはまた、電気コネクタ408を通過する電流が電極260に到達する前に周囲の組織に放散されないように、絶縁層によって被覆され得る。
【0069】
任意の実施例で、電気コネクタ408は、第1の導電率を含む導電性コア材料と、第1の導電率よりも低い第2の導電率を含む導電性カバー材料と、を有することができる。導電性カバー材料は、導電性コア材料を取り囲むことができ、絶縁ジャケットは、導電性カバー材料を取り囲むことができる。任意の実施例における電気コネクタ408は、IREパルスを送達するのに十分なバスケットアセンブリ200の隣接するワイヤの電圧差に耐えるように構成することができる。好ましくは、電気コネクタ408は、隣接するワイヤ間で少なくとも900V、より好ましくは少なくとも1800Vに耐えることができる。更に、全ての実施例において、電気コネクタ408自体は、少なくとも900Vのピーク電圧を有する電気パルスを送達することができる。
【0070】
図5は、本発明の一実施形態による、拡張可能なバスケットアセンブリ200を組み立てる方法500を示すフロー図である。方法500は、第1のスパイン22の一部が第1のスパイン突起400を含むように、拡張可能なバスケットアセンブリ200のための第1のスパイン22を形成すること502を含むことができる。方法500は、第1のスパイン突起400の一部を覆う第1の電極層404を含む第1の電極アセンブリ300を堆積させること504を含むことができる。方法500は、医療用プローブ14の電気コネクタ408に第1の電極層404を電気的に接続すること506を含むことができる。
【0071】
方法500は、接続するステップ506の後に終了することができる。他の実施例では、拡張可能なバスケット200を組み立てるため、追加的なステップを実行することができる。例えば、方法500は、第1絶縁層402が第1スパイン突起400と第1絶縁層402との間に堆積されるように、第1電極アセンブリ300の第1絶縁層402を第1スパイン突起400上に堆積させることを含み得る。第1の絶縁層を堆積させることは、第1のスパイン突起400上に第1の絶縁層402を膜キャスティング(又は蒸着)することを含み得て、第1の電極層404を堆積させることは、第1の絶縁層402上に第1の電極層404を蒸着させることを含み得る。第1の絶縁層402を堆積させることは、第1のスパイン突起400上に第1の絶縁層402を膜キャスティング(又は蒸着)することを含み得る。
【0072】
更に、方法500は、第1のスパイン22上に第2のスパイン突起を形成することを含み得る。方法500は、第2のスパイン突起に近接して第2の電極層を含む第2の電極アセンブリを堆積させることを含み得る。方法500は、医療用プローブの電気コネクタに第2電極層を電気的に接続することを含み得る。
【0073】
本開示の実施例は、以下の番号付けされた条項のいずれかによって実施することができる。
条項1:拡張可能なバスケットアセンブリであって、縦軸に沿って延在し、拡張可能なバスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行されるときに縦軸から半径方向外向きに湾曲するように構成された少なくとも1つのスパインであって、少なくとも1つのスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含む、少なくとも1つのスパインと、突起幅及び突起高さを含むスパイン突起であって、突起幅又は突起高さのうちの少なくとも1つは、スパイン幅及びスパイン高さのうちの少なくとも1つより大きい、スパイン突起と、スパイン突起に配置された電極アセンブリであって、電極アセンブリは、電極層と、電極層とスパイン突起との間に配置された絶縁層と、を含む、電極アセンブリと、を含む、拡張可能なバスケットアセンブリ。
【0074】
条項2:電極層は、絶縁層上に堆積された膜を含む、条項1に記載のアセンブリ。
【0075】
条項3:電極層は、蒸着された伝導膜を含む、条項1又は条項2に記載のアセンブリ。
【0076】
条項4:電極層は、公称厚さが少なくとも5ミクロンの白金層を含む、条項1又は条項2に記載のアセンブリ。
【0077】
条項5:絶縁層は、スパイン突起上に堆積された膜を含む、条項1~4のいずれかに記載のアセンブリ。
【0078】
条項6:絶縁層は、蒸着された絶縁膜を含む、条項1~5のいずれかに記載のアセンブリ。
【0079】
条項7:絶縁層は、膜キャスト絶縁膜を含む、条項1~6のいずれかに記載のアセンブリ。
【0080】
条項8:絶縁層は、ポリイミドの層を含む、条項1~7のいずれかに記載のアセンブリ。
【0081】
条項9:突起高さは、スパイン高さよりも大きい高さを含む、条項1~8のいずれかに記載のアセンブリ。
【0082】
条項10:突起幅は、スパイン幅よりも大きい幅を含む、条項1~9のいずれかに記載のアセンブリ。
【0083】
条項11:スパイン突起及び電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成する、条項1~10のいずれかに記載のアセンブリ。
【0084】
条項12:スパイン突起の概ね台形の輪郭は、突起長さを含み、電極アセンブリは、突起長さより短い電極アセンブリ長さを含む、条項11に記載のアセンブリ。
【0085】
条項13:スパイン突起及び電極アセンブリは、曲線輪郭を画定する、条項1~10のいずれかに記載のアセンブリ。
【0086】
条項14:スパイン突起及び電極アセンブリは、電極アセンブリの各々の上部に概ね平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成する、条項1~10のいずれかに記載のアセンブリ。
【0087】
条項15:電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、電気コネクタは、ワイヤを含む、条項1~14のいずれかに記載のアセンブリ。
【0088】
条項16:電気コネクタの少なくとも一部は、第1の導電率を含む導電性コア材料と、第1の導電率未満の第2の導電率を含む導電性カバー材料であって、導電性コア材料を取り囲む、導電性カバー材料と、導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を備える、条項15に記載のアセンブリ。
【0089】
条項17:電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、電気コネクタは、フレキシブル回路を含む、条項1~14のいずれかに記載のアセンブリ。
【0090】
条項18:フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含む、条項17に記載のアセンブリ。
【0091】
条項19:少なくとも1つのスパインは、炭素繊維、ニチノール、又はコバルトクロムのうちの少なくとも1つを含む、条項1~18のいずれかに記載のアセンブリ。
【0092】
条項20:電極が、不可逆的エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され、パルスが、少なくとも900ボルト(V)の電圧を有する、条項1~19のいずれかに記載の方法。
【0093】
条項21:拡張可能なバスケットアセンブリは、交点から半径方向に延在する少なくとも3つのスパインを含み、少なくとも3つのスパインの各々は、それぞれの電極アセンブリを含む、条項1~20のいずれかに記載のアセンブリ。
【0094】
条項22:近位端及び遠位端を含む管状シャフトを更に備え、拡張可能なバスケットアセンブリは、管状シャフトの遠位端の遠位に配置される、条項1~20のいずれかに記載のアセンブリ。
【0095】
条項23:拡張可能なバスケットアセンブリを組み立てる方法であって、方法は、拡張可能なバスケットアセンブリのための第1のスパインを形成して、第1のスパインの一部が第1のスパイン突起を備えるように、することと、第1のスパイン突起の一部を覆う第1の電極層を含む第1の電極アセンブリを堆積させることと、医療用プローブの電気コネクタに第1の電極層を電気的に接続することと、を含む方法。
【0096】
条項24:第1の電極アセンブリの第1の絶縁層を第1のスパイン突起上に堆積させて、第1の絶縁層が第1のスパイン突起と第1の電極層との間に堆積されるようすることを更に含む、条項23に記載の方法。
【0097】
条項25:第1の絶縁層を堆積させることは、第1のスパイン突起上に第1の絶縁層を蒸着させることを含み、第1の電極層を堆積させることは、第1の絶縁層上に第1の電極層を蒸着させることを含む、条項24に記載の方法。
【0098】
条項26:第1の絶縁層を堆積させることは、第1のスパイン突起上に第1の絶縁層を蒸着させることを含む、条項24に記載の方法。
【0099】
条項27:第1の絶縁層を堆積させることは、第1のスパイン突起上に第1の絶縁層を膜キャスティングすることを含む、条項24に記載の方法。
【0100】
条項28:第1の絶縁層は膜層を含む、条項24~27のいずれかに記載の方法。
【0101】
条項29:第1の絶縁層はポリイミドの層を含む、条項24~28のいずれかに記載の方法。
【0102】
条項30:電気コネクタが、フレキシブル回路を含む、条項23~29のいずれかに記載の方法。
【0103】
条項31:フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含む、条項30に記載の方法。
【0104】
条項32:第1のスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含み、第1のスパイン突起は、突起幅及び突起高さを含み、突起幅又は突起高さのうちの少なくとも1つは、スパイン幅及びスパイン高さのうちの対応する少なくとも1つよりも大きい、条項23~31のいずれかに記載の方法。
【0105】
条項33:第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成する、条項23~32のいずれかに記載の方法。
【0106】
条項34:第1のスパイン突起の概ね台形の輪郭は、突起長さを含み、第1の電極アセンブリは、突起長さよりも短い電極アセンブリ長さを含む、条項33に記載の方法。
【0107】
条項35:第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、曲線輪郭を形成する、条項23~34のいずれかに記載の方法。
【0108】
条項36:第1のスパイン突起及び第1の電極アセンブリは、電極アセンブリの各々の上部に平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成する、条項23~34のいずれかに記載の方法。
【0109】
条項37:第1のスパイン上に第2のスパイン突起を形成することと、第2のスパイン突起に近接して第2の電極層を含む第2の電極アセンブリを堆積させることと、医療用プローブの電気コネクタに第2の電極層を電気的に接続することと、を更に含む、条項23~36のいずれかに記載の方法。
【0110】
条項38:第2の電極アセンブリは、第2のスパイン上に堆積された第2の絶縁層を含み、第2の電極層は、第2の絶縁層上に堆積される、条項37に記載の方法。
【0111】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまで述べた様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0112】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能なバスケットアセンブリであって、
縦軸に沿って延在し、前記拡張可能なバスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行されるときに前記縦軸から半径方向外向きに湾曲するように構成された少なくとも1つのスパインであって、前記少なくとも1つのスパインは、スパイン幅及びスパイン高さを含む、少なくとも1つのスパインと、
突起幅及び突起高さを含むスパイン突起であって、前記突起幅又は前記突起高さのうちの少なくとも1つは、前記スパイン幅及び前記スパイン高さのうちの少なくとも1つより大きい、スパイン突起と、
前記スパイン突起に配置された電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
電極層と、
前記電極層と前記スパイン突起との間に配置された絶縁層と、を含む、電極アセンブリと、を含む、拡張可能なバスケットアセンブリ。
(2) 前記電極層は、前記絶縁層上に堆積された膜を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(3) 前記電極層は、蒸着された伝導性膜を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(4) 前記電極層は、公称厚さが少なくとも5μm(5ミクロン)の白金層を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(5) 前記絶縁層は、前記スパイン突起上に堆積された膜を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0113】
(6) 前記絶縁層は、蒸着された絶縁膜を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(7) 前記絶縁層は、膜キャスト絶縁膜を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(8) 前記絶縁層は、ポリイミドの層を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(9) 前記突起高さは、前記スパイン高さよりも大きい高さを含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(10) 前記突起幅は、前記スパイン幅よりも大きい幅を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0114】
(11) 前記スパイン突起及び前記電極アセンブリは、概ね台形の輪郭を形成する、実施態様1に記載のアセンブリ。
(12) 前記スパイン突起の前記概ね台形の輪郭は、突起長さを含み、前記電極アセンブリは、前記突起長さより短い電極アセンブリ長さを含む、実施態様11に記載のアセンブリ。
(13) 前記スパイン突起及び前記電極アセンブリは、曲線輪郭を画定する、実施態様1に記載のアセンブリ。
(14) スパイン突起及び前記電極アセンブリは、前記電極アセンブリの各々の上部に概ね平坦な表面を有する実質的に曲線の輪郭を形成する、実施態様1に記載のアセンブリ。
(15) 前記電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、前記電気コネクタは、ワイヤを含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0115】
(16) 前記電気コネクタの少なくとも一部は、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含む導電性カバー材料であって、前記導電性コア材料を取り囲む、導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を備える、実施態様15に記載のアセンブリ。
(17) 前記電極層は、電気コネクタを用いて医療用プローブに電気的に接続される部分を含み、前記電気コネクタは、フレキシブル回路を含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(18) 前記フレキシブル回路は、印刷された伝導性ワイヤを含む、実施態様17に記載のアセンブリ。
(19) 拡張可能なバスケットアセンブリを組み立てる方法であって、前記方法は、
前記拡張可能なバスケットアセンブリのための第1のスパインを形成して、前記第1のスパインの一部が第1のスパイン突起を備えるようにすることと、
前記第1のスパイン突起の一部を覆う第1の電極層を含む第1の電極アセンブリを堆積させることと、
医療用プローブの電気コネクタに前記第1の電極層を電気的に接続することと、を含む方法。
(20) 前記第1の電極アセンブリの第1の絶縁層を前記第1のスパイン突起上に堆積させて、前記第1の絶縁層が前記第1のスパイン突起と前記第1の電極層との間に堆積されるようにすることを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【外国語明細書】