(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094306
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】セラミック配線部材
(51)【国際特許分類】
H01L 23/13 20060101AFI20240702BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240702BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L23/12 C
H01L23/12 Q
H05K1/03 610D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219318
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/048270
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(71)【出願人】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】塩原 正人
(72)【発明者】
【氏名】西川 勝裕
(57)【要約】
【課題】実装性に優れ、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高いセラミック配線部材を提供すること。
【解決手段】
セラミック配線部材は、本体部と導電部と、を備える。本体部は、板状部と、第1キャビティを取り囲む第1枠部と、を含む。導電部は、二対の外部接続端子と、二対の内部配線とを含む。二対の外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、第1枠部の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。二対の外部接続端子のそれぞれと二対の内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、外部接続端子の外縁と第1枠部の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置する。前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック製である本体部と、
前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備え、
前記本体部は、
平板状の形状を有する板状部と、
前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含み、
前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有し、
前記導電部は、
前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、
前記第1枠部の内部を貫通し、二対の前記外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含み、
前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、
二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置し、
前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接しておらず、
二対の前記外部接続端子のそれぞれと二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、前記仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、前記外部接続端子の外縁と前記第1枠部の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置し、
前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である、
セラミック配線部材。
【請求項2】
セラミック製である本体部と、
前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備え、
前記本体部は、
平板状の形状を有する板状部と、
前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含み、
前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有し、
前記導電部は、
前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、
前記第1枠部の内部を貫通し、二対の前記外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含み、
前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、
二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置し、
前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接しておらず、
二対の前記外部接続端子のそれぞれと二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも前記第1枠部の外縁に近い側に位置し、
前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である、
セラミック配線部材。
【請求項3】
二対の前記外部接続端子のそれぞれと前記二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも前記第1枠部の前記外縁に近い側に位置する、
請求項1に記載のセラミック配線部材。
【請求項4】
前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上であるという構成が、
前記二対の前記外部接続端子と前記二対の前記内部配線との接続位置のすべてにおいて充足されている、
請求項1または請求項2に記載のセラミック配線部材。
【請求項5】
前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、
前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁との幅のうち最も狭い部分の幅と、前記ビアの径と、を比較すると、
前記最も狭い部分の幅は、前記ビアの直径の2.5倍~10倍である、
請求項1または請求項2に記載のセラミック配線部材。
【請求項6】
前記二対の前記外部接続端子はいずれも、前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちの短辺と重なる位置に位置する、
請求項1または請求項2に記載のセラミック配線部材。
【請求項7】
前記本体部は、前記板状部の前記第1主面とは厚み方向において反対側に位置する第2主面上の空間である第2キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第2枠部をさらに含み、
二対の前記内部配線のうち、
第1対の内部配線は、前記第1キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される一対の第1内部端子に接続されており、
第2対の内部配線は、前記第2キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される一対の第2内部端子に接続されている、
請求項1または請求項2に記載のセラミック配線部材。
【請求項8】
前記第2枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第2端面を有し、
前記第2枠部は、前記第2端面を含むように配置された導電領域を含み、
前記導電領域は、前記第1対の内部配線および前記第2対の内部配線のうちのいずれかの内部配線と接続されており、
前記導電領域と前記外部接続端子とが電気的に接続されている、
請求項7に記載のセラミック配線部材。
【請求項9】
前記第1枠部の前記第1端面上に、二対の前記外部接続端子とは異なるグラウンド端子を備え、
前記第2枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第2端面を有し、
前記第2枠部は、前記第2端面を含むように配置された導電領域を含み、
前記導電領域は、前記第1対の内部配線および前記第2対の内部配線のうちのいずれかの内部配線と接続されることなく、
前記導電領域と前記グラウンド端子とが電気的に接続されている、
請求項7に記載のセラミック配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品を搭載可能なセラミック配線部材が知られている(たとえば、特許文献1、2)。特許文献1のセラミック配線部材は、矩形の基板と、基板の主面上に位置する枠体とを備える。枠体の下面には、4つの外部端子が備えられている。特許文献1のセラミック配線部材は、枠体の4隅に、枠体の側面に沿って延びる凹部(キャスタレーション)を有する。当該凹部に形成された導体層が、接続部を介して外部端子と接続している。この構成によって、外部端子と枠体の内部に収容される電子部品との間が電気的に接続される。
【0003】
特許文献2のセラミック配線部材は、基板と、基板の下面に設けられた枠体とを備える。枠体の下面の4隅に、外部端子が設けられている。外部端子は、枠体の内部を貫通するビアによって、枠体の内部に収容される電子部品と接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88634号公報
【特許文献2】特開2016-72652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品が搭載されたセラミック配線部材は、配線基板上に実装される。このため、セラミック配線部材は実装性に優れることが望まれる。具体的には、セラミック配線部材が配線基板上に確実に固定され、また、セラミック配線部材と配線基板との間を接続するために形成されるはんだフィレットの形態を視認しやすいことが望ましい。また一方で、セラミック配線部材において、電子部品から外部端子に至る配線の配置は自由度が高いことが望ましい。
【0006】
このような状況に鑑み、実装性に優れ、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高いセラミック配線部材を提供することが、本開示の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従ったセラミック配線部材は、セラミック製である本体部と、前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。前記本体部は、平板状の形状を有し、板状部と、前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有する。前記導電部は、前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、前記第1枠部の内部を貫通し、前記二対の外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含む。前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、前記二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接していない。二対の前記外部接続端子のそれぞれと二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、前記仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、前記外部接続端子の外縁と前記第1枠部の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置する。前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。
【0008】
また、本開示に従ったセラミック配線部材は、セラミック製である本体部と、前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。前記本体部は、平板状の形状を有し、板状部と、前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有する。前記導電部は、前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、前記第1枠部の内部を貫通し、前記二対の外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含む。前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、前記二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接していない。前記二対の前記外部接続端子のそれぞれと前記二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも前記第1枠部の前記外縁に近い側に位置する。前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。
【発明の効果】
【0009】
上記セラミック配線部材によれば、実装性に優れ、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高いセラミック配線部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構成部品の配置を特に示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図7(b)は、
図7(a)中に示すb-b線で切断した状態を示す断面模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態4におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態7におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
【
図14】
図14は、ビアの直径とビアの外縁から枠体の外縁までの距離の比率と、外縁にかかる応力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に従ったセラミック配線部材は、セラミック製である本体部と、前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。前記本体部は、平板状の形状を有し、板状部と、前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有する。前記導電部は、前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、前記第1枠部の内部を貫通し、前記二対の外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含む。前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、前記二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接していない。二対の前記外部接続端子のそれぞれと二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、前記仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、前記外部接続端子の外縁と前記第1枠部の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置する。前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。
【0012】
また、本開示に従ったセラミック配線部材は、セラミック製である本体部と、前記本体部に接触して配置され、導電体から構成される導電部と、を備える。前記本体部は、平板状の形状を有し、板状部と、前記板状部の第1主面上の空間である第1キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第1枠部と、を含む。前記第1枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第1端面を有する。前記導電部は、前記第1枠部の前記第1端面上に配置される二対の外部接続端子と、前記第1枠部の内部を貫通し、前記二対の外部接続端子のそれぞれに接続する二対の内部配線と、を含む。前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、前記二対の前記外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。前記第1枠部の前記第1端面の外縁を規定する二対の前記対辺のうちの他方には、二対の前記外部接続端子のいずれの外縁も接していない。前記二対の前記外部接続端子のそれぞれと前記二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも前記第1枠部の前記外縁に近い側に位置する。前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。
【0013】
従来、セラミック配線部材において、キャビティを取り囲む枠体の端面上に外部接続端子が設けられたものが知られている。外部接続端子は、端面の四隅に設けられることが多い。このような外部接続端子は、枠体の端面を枠体の厚み方向に平面的に見るとき、枠体の外縁の2辺と外部接続端子の外縁とが重なるように配置されるものがある(例えば特許文献2)。一方、外部接続端子が枠体に対してオフセットされ、外部接続端子の外縁が枠体の外縁よりも内側に位置するものがある(例えば特許文献1)。
【0014】
セラミック配線部材における外部接続端子は、セラミック配線部材と配線基板との接続箇所である。セラミック配線部材と配線基板との密着性(実装強度)を確保するためには、外部接続端子の面積が大きいことが望ましい。外部接続端子の面積を大きくするためには、枠体の外縁にまで外部接続端子を拡張すればよい。しかしながら、外部接続端子の外縁2辺が枠体の外縁2辺と重なる位置に配置される場合、セラミック配線部材の製造において、外部接続端子とセラミック配線部材の本体との精密な位置合わせが求められ、位置ズレの検出が必要となる。このため、生産性については改良の余地がある。他方、外部接続端子の外縁を枠体の外縁からオフセットさせる場合、位置ズレの検出は容易になるが、外部接続端子の面積を大きくするという面では改良の余地がある。また、外部接続端子と配線基板との間ははんだによって接続されるところ、実装時にははんだフィレットの状態を外部から視認しやすいことが好ましい。
【0015】
また、セラミック配線部材では、セラミック配線部材のキャビティ内に配置される電子部品と外部接続端子との間が、枠体を厚み方向に貫通するビアに形成される配線を介して接続される。一般に、ビアは、配線部材の主面方向に沿って配置される配線の幅よりも大きな直径を有するものとされる。このため、ビアの位置や大きさによっては、電子部品を搭載するパッドからビアに至る配線の配置が制限され、パッケージの小型化に限界があることがあった。
【0016】
本開示にかかるセラミック配線部材は、外部接続端子が設けられた枠体の端面を枠体の厚み方向に平面的に見るとき、二対の外部接続端子のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、枠体の端面の外縁を規定する二対の対辺のうちのいずれか一方と重なる位置に位置する。また、端面の外縁を規定する二対の対辺のうちの他方には、二対の外部接続端子のいずれの外縁も接していない。つまり、外部接続端子の外縁は、枠体が有する二対の対辺のうち、第1の対辺のみ、あるいは、第2の対辺のみと重なる位置に配置される。
また、二対の外部接続端子のそれぞれと二対の内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、外部接続端子の外縁と枠体の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置する。つまり、ビアの中心が、外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、外部接続端子の外縁と枠体の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置する。また、前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。これらの構成を有する本開示のセラミック配線部材によれば、外部接続端子の面積を大きく確保することが可能であり、また、外部接続端子が適切な位置に配置されていることを容易に確認できる。また、外部接続端子の一部が枠体の外縁に重なる位置にあるため、はんだフィレットの状態を外部から視認することが容易である。また、外部接続端子を対称性の高い配置とすることができ、配線基板に実装した際の熱応力を低減できる。さらに、セラミック配線部材の中心から離れた位置で外部接続端子とビアとが接続されるため、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高い。これらの構成によって、実装性に優れ、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高いセラミック配線部材が提供される。さらに、第1枠部の外縁において発生する応力が安定して低くなる。このため、熱による第1枠部へのストレスを緩和することが可能で、信頼性に優れたセラミック配線部材が提供される。
【0017】
前記セラミック配線部材において、二対の前記外部接続端子のそれぞれと二対の前記内部配線のそれぞれとの接続位置にあるビアの中心は、前記外部接続端子を包含する最小の仮想矩形において、前記仮想矩形の対角線で区切られる領域のうち、前記外部接続端子の外縁と前記第1枠部の外縁とが重なる部分を含む領域内に位置し、かつ、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも前記外縁に近い側に位置するものとできる。また、前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上である。この構成によれば、パッケージの小型化を阻害することなく、セラミック配線部材における配線配置の自由度がより確保される。
【0018】
前記セラミック配線部材において、前記ビアの外縁と前記第1枠部の外縁とを結ぶ最短の直線の長さは、前記ビアの直径の1倍以上であるという構成は、前記二対の前記外部接続端子と前記二対の前記内部配線との接続位置のすべてにおいて充足されていてもよい。この場合、前述の効果をさらに確実に得ることができる。
【0019】
前記セラミック配線部材において、前記第1枠部の前記第1端面を、前記第1枠部の厚み方向に平面的に見て、前記第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁との幅のうち最も狭い部分の幅と、前記ビアの径と、を比較すると、前記最も狭い部分の幅は、前記ビアの直径の2.5倍~10倍であってよい。この範囲であるとき、第1枠部の強度が確保されるとともに、セラミック配線部材を小型化できる。
【0020】
前記セラミック配線部材において、前記二対の前記外部接続端子はいずれも、前記第1端面の外縁を規定する二対の対辺のうちの短辺と重なる位置に位置してもよい。このとき、はんだフィレットの形状を確認する際に、2つのはんだフィレットをより短い間隔で確認できるため、カメラでより強拡大しつつ2つのはんだフィレットを同時に確認することが容易となる、という効果を得ることができる。
【0021】
前記セラミック配線部材において、前記本体部は、前記板状部の前記第1主面とは厚み方向において反対側に位置する第2主面上の空間である第2キャビティを取り囲むように前記板状部から立ち上がる第2枠部をさらに含んでよい。二対の前記内部配線のうち、第1対の内部配線は、前記第1キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される一対の第1内部端子に接続され、第2対の内部配線は、前記第2キャビティに面する前記本体部の表面に接触して配置される一対の第2内部端子に接続されてもよい。セラミック配線部材において、板状部の両面それぞれに独立したキャビティが設けられた形態が知られている。このような形態のセラミック配線部材では、内部配線の配置が複雑になる傾向がある。本開示にかかるセラミック配線部材によれば、板状部の両面それぞれに独立したキャビティが設けられたセラミック配線部材において、内部配線の自由度が高く、また、実装性に優れたセラミック配線部材が提供される。
【0022】
前記セラミック配線部材において、前記セラミック配線部材は、前記第1枠部の前記第1端面上に、二対の前記外部接続端子とは異なるグラウンド端子を備えてよい。前記第2枠部は、前記板状部の厚み方向において前記板状部とは反対側に位置する第2端面を有してよい。前記第2枠部は、前記第2端面を含むように配置された導電領域を含んでよい。前記導電領域は、前記第1対の内部配線および前記第2対の内部配線のうちのいずれかの内部配線と接続されており、前記導電領域と前記外部接続端子とが電気的に接続されていてよい。また、前記導電領域は、前記第1対の内部配線および前記第2対の内部配線のうちのいずれかの内部配線と接続されることなく、前記導電領域と前記グラウンド端子とが電気的に接続されていてもよい。このようなセラミック配線部材によれば、第2枠部の導電領域から外部接続端子に至る電気的な接続を、効率的な配線配置によって実現できる。この構成によれば、内部配線の自由度が高く、実装性に優れるとともに、第2枠部に配置される導電性の部材(典型的には蓋部材)の帯電を防止できる。
【0023】
[実施形態の具体例]
次に、本開示のセラミック配線部材の具体的な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図2および
図4は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図3は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の構成部品の配置を説明するための図である。
図1は、
図2~
図4に示す線分I-Iに沿う断面に対応する図である。
図5は、実施の形態1におけるセラミック配線部材の使用状態を示す概略断面図である。
【0025】
(本体部)
図1~
図4を参照して、セラミック配線部材1は、本体部10と、本体部10に接触して配置され、導電体から構成される導電部30とを備えている。本体部10は、板状部11と、第1枠部13と、第2枠部12とを含む。板状部11は、平板状の形状を有している。板状部11の形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態において、板状部11の平面形状(第2主面11Aに対して垂直な方向;Z軸方向に見た形状)は、四角形(長方形)である(
図2~4参照)。
【0026】
図1を参照して、板状部11は、第2主面11Aおよび第1主面11Bを有する。第2主面11A上に第2枠部12が、第1主面11B上に第1枠部13が、それぞれ備えられる。第1枠部13は、板状部11の第1主面11Bから立ち上がる環状の部分である。第1枠部13は、板状部11の第1主面11B上の空間である第1キャビティ22を取り囲む。Z軸方向に見た第1枠部13の外縁の形状は、板状部11の外縁(外周面)に沿う矩形(長方形)である(
図2および
図3参照)。第2枠部12は、板状部11の第2主面11Aから立ち上がる環状の部分である。第2枠部12は、板状部11の第2主面11A上の空間である第2キャビティ21を取り囲む。Z軸方向に見た第2枠部12の外縁の形状は、板状部11の外縁(外周面)に沿う矩形(長方形)である(
図4参照)。
【0027】
第2枠部12は、第2キャビティ21を取り囲む枠状の形状を有し、板状部11から立ち上がるセラミック製の枠体121と、枠体121の板状部11とは反対側に位置する端面上に配置された導電領域としての導電層122と、を含む。導電層122は、板状部11の厚み方向(Z軸方向)において板状部11とは反対側に位置する第2端面12Aを含むように配置される。すなわち、導電層122は、第2端面12Aを構成する。
【0028】
板状部11、第1枠部13および第2枠部12の枠体121は、セラミック製である。板状部11、枠体121および第1枠部13を構成するセラミックは、特に限定されるものではないが、たとえば酸化アルミニウム(Al2O3)を採用することができる。また、本体部10を構成するセラミックは、焼結助剤として二酸化珪素(SiO2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化マンガン(MnO)からなる群から選択される少なくとも1つを含んでよい。
【0029】
(導電部)
導電部30は、本体部10に接触して配置され、導電体から構成される部分である。
図1および
図2を参照して、導電部30は、第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)である、二対の外部接続端子を含む。第1対の外部接続端子31は、第1外部入力端子31Aと、第1外部出力端子31Bとを含む。第2対の外部接続端子32は、第2外部入力端子32Aと、第2外部出力端子32Bとを含む。第1対の外部接続端子31および第2対の外部接続端子32は、セラミック配線部材1の使用状態において、配線基板上に載置されて、配線基板とセラミック配線部材1との接続部となる。
図2を参照して、第1外部入力端子31A、第1外部出力端子31B、第2外部入力端子32A、第2外部出力端子32Bは、第1枠部13の第1端面13Aに接触して配置されている。
【0030】
図1、2、4を参照して、導電部30は、第1対の内部端子36(36A、36B)および第2対の内部端子37(37A、37B)である、二対の内部端子を含む。第1対の内部端子36は、第1内部入力端子36Aと、第1内部出力端子36Bとを含む。第2対の内部端子37は、第2内部入力端子37Aと、第2内部出力端子37Bとを含む。
図1、
図4を参照して、第1内部端子としての第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、第2キャビティ21に面する本体部10の表面に接触して配置されている。より具体的には、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bは、板状部11の第2主面11Aに接触して配置されている。第2内部端子としての第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bは、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36Bと離れて、本体部10に接触して配置されている。より具体的には、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37Bは、板状部11の第1主面11Bに接触して配置されている。
【0031】
第1対の内部端子36(第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36B)のそれぞれは、第1対の外部接続端子31(第1外部入力端子31Aおよび第1外部出力端子31B)のそれぞれと、接続されている。具体的に、第1内部入力端子36Aと第1外部入力端子31Aとは、電子部品用配線としての配線51により電気的に接続されている。配線51は、板状部11の第2主面11A上に形成される配線部分51Aと、板状部11および第1枠部13を貫通して厚み方向(Z軸方向)に延びるビア41Aの内部に形成される配線部分51Bと、を含む。
図4は模式図であり実際の寸法を反映するものではないが、ビア41A(配線部分51B)の直径は、配線部分51Aの幅よりも大きくすることができる。配線部分51Bの末端は、第1外部入力端子31Aに接続している。また、第1内部出力端子36Bと第1外部出力端子31Bとは、電子部品用配線としての配線52により電気的に接続されている(
図1、
図4参照)。配線52は、板状部11の第2主面11A上に形成される配線部分52Aと、板状部11および第1枠部13を貫通して厚み方向(Z軸方向)に延びるビア41Bの内部に形成される配線部分52Bと、を含む。ビア41B(配線部分52B)の直径は、配線部分52Aの幅よりも大きくすることができる。配線部分52Bの末端は、第1外部出力端子31Bに接続している。
【0032】
図1、
図2を参照して、第2対の内部端子37(第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37B)のそれぞれは、第2対の外部接続端子32(第2外部入力端子32Aおよび第2外部出力端子32B)のそれぞれと接続されている。具体的には、第2内部入力端子37Aと第2外部入力端子32Aとは、電子部品用配線としての配線53により電気的に接続されている。配線53は、板状部11の第1主面11B上に形成される配線部分53Aと、第1枠部13を貫通して厚み方向(Z軸方向)に延びるビア42Aの内部に形成される配線部分53Bと、を含む。ビア42A(配線部分53B)の直径は、配線部分53Aの幅よりも大きくすることができる。配線部分53Bの末端の一方は、第2外部入力端子32Aに接続している。また、第2内部出力端子37Bと第2外部出力端子32Bとは、電子部品用配線としての配線54により電気的に接続されている。配線54は、板状部11の第1主面11B上に形成される配線部分54Aと、第1枠部13を貫通して厚み方向(Z軸方向)に延びるビア42Bの内部に形成される配線部分54Bと、を含む。ビア42B(配線部分54B)の直径は、配線部分54Aの幅よりも大きくすることができる。配線部分54Bの末端は、第2外部出力端子32Bに接続している。また、配線54は、配線55とも接続する。配線55は、導電層122と配線54との間に介在する。配線55により、導電層122と第2外部出力端子32Bとの間が電気的に接続される。なお、配線の接続は上述の態様に限られない。例えば、配線55が設けられていなくてもよい。
【0033】
導電部30、導電層122および配線51、52、53、54、55は、たとえばW(タングステン)、Mo(モリブデン)およびCu(銅)の少なくともいずれか1つを含む導電体から構成される。
【0034】
セラミック配線部材の具体的な寸法は特に制限されるものではないが、典型的には以下のとおりであってよい。
図1を参照して、板状部11の厚み(Z軸方向の厚み)は0.030~0.160mmであってよい。第1枠部13の厚み(Z軸方向の厚み)は、0.030~0.430mmであってよい。第2枠部12の厚み(Z軸方向の厚み)は、0.030~0.300mmであってよい。
図2を参照して、第1枠部13を厚み方向(Z軸方向)に平面的に見るとき、第1枠部13の外縁の長辺の長さは1.0~4.0mmであってよい。同じく、短辺の長さは、1.0~3.0mmであってよい。
【0035】
図2を参照して、内部端子37(37A、37B)は矩形であってよく、その短辺(X軸に沿う方向に延びる辺)の長さは0.15~0.4mmであってよい。同じく長辺(Y軸に沿う方向に延びる辺)の長さは0.25~0.5mmであってよい。内部端子37の外縁から第1枠部13の内縁までの距離k1は0.05~0.20mmであってよい。外部接続端子31、32と第1枠部13の外縁との距離(オフセットされた長さ)k2は、0.01~0.10mmであってよい。
【0036】
(外部接続端子およびビアの配置)
図3を参照して、セラミック配線部材1における、第1対の外部接続端子31および第2対の外部接続端子32の配置について説明する。
図3においては、理解容易のため
図2に示した構成のいくつかを省略して示している。セラミック配線部材1は、第1枠部13の第1端面13Aを第1枠部13の厚み方向に平面的に見て(すなわち
図3に示す状態)、第1端面13Aの四隅それぞれの近傍に第1対の外部接続端子31および第2対の外部接続端子32のそれぞれが配置されている。第1対の外部接続端子31および第2対の外部接続端子32は、第1枠部13の第1端面13A上に配置される。第1端面13Aの外縁は、第1の対辺としての一対の長辺L1、L3と、第2の対辺としての一対の短辺L2、L4とによって、規定される。第1端面13Aの内縁は、第1キャビティ22に面しており、第3の対辺としての一対の内側長辺M1、M3と、第4の対辺としての一対の内側短辺M2、M4とによって規定される。
【0037】
第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)のそれぞれは、第1キャビティ22に近い部分が一部矩形に切り欠かれた、矩形の形状を有する。第1対の外部接続端子31および第2対の外部接続端子32のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、一対の長辺L1、L3のいずれかと重なる位置に位置している。具体的に、第1外部入力端子31Aの外縁の1辺である辺31aおよび第2外部入力端子32Aの外縁の1辺である辺32aは、第1端面13Aの長辺L1と重なる位置に位置している。また、第1外部出力端子31Bの外縁の1辺である辺31bおよび第2外部出力端子32Bの外縁の1辺である辺32bは、第1端面13Aの長辺L3と重なる位置に位置している。第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)のいずれの外縁も、第1端面13Aの短辺L2、L4とは重ならない。第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)は、第1端面13Aの短辺L2、L4からオフセットされている。別の言い方をすると、第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)の外縁は、長辺L1、L3に接し、かつ、短辺L2、L4には接しない。この構成によれば、外部接続端子が枠体の外縁の一部に重なる位置まで構成されているために外部接続端子の面積を大きくできる。また、配線基板上にセラミック配線部材を実装した際、外部接続端子と配線基板との間に形成されるはんだフィレットの形態を外部から容易に視認できる。さらに、外部接続端子それぞれの外縁が、枠体の外縁の1辺のみと重なる構成であるため、製造時における第1端面13Aに対する外部接続端子の位置ズレの確認が容易となる。
【0038】
本開示に従うセラミック配線部材における外部接続端子と内部配線との接続位置について説明する。前述のとおり、第1対の外部接続端子31(31A、31B)および第2対の外部接続端子32(32A、32B)のそれぞれには、配線部分51B、52B、53B、54Bがそれぞれ接続している。配線部分51Bはビア41Aに、配線部分52Bはビア41Bに、配線部分53Bはビア42Aに、配線部分54Bはビア42Bにそれぞれ設けられている。貫通孔であるビアを埋めるように充填された導電体が、配線を構成する。このため、ビアの中心と、外部接続端子に接続する配線部分の中心とは、同じ位置となる。第1外部入力端子31Aとビア41Aとの位置関係は次のとおりである。すなわち、ビア41Aの中心は、第1外部入力端子31Aを包含する最小の仮想矩形Sにおいて、仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる4つの領域q1、q2、q3、q4のうち、第1外部入力端子31Aの外縁(辺31a)と第1枠部13の外縁(L1)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第1外部出力端子31Bにおいては、ビア41Bの中心は、第1外部出力端子31Bを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる領域のうち、第1外部出力端子31Bの外縁(辺31b)と第1枠部13の外縁(L3)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第2外部入力端子32Aにおいて、ビア42Aの中心は、第2外部入力端子32Aを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる領域のうち、第2外部入力端子32Aの外縁(辺32a)と第1枠部13の外縁(L1)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第2外部出力端子32Bにおいて、ビア42Bの中心は、第2外部出力端子32Bを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる領域のうち、第2外部出力端子32Bの外縁(辺32b)と第1枠部13の外縁(L3)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。
【0039】
上述の位置関係でビアを設けることによって、外部接続端子の外縁の一部が枠部の外縁からオフセットされている場合であっても、セラミック配線部材の第1端面13Aの中心から離れた位置にビアを配置することが可能となり、内部配線の取り回しの自由度が高くなり、かつ、小型のパッケージを実現できる。
【0040】
また、セラミック配線部材1において、ビア41A、41B、42A、42Bそれぞれの中心は、第1枠部13の内縁M1、M2、M3、M4と外縁L1、L2、L3、L4とを最短距離で結ぶ仮想線c1の中央c0よりも外縁L1、L2、L3、L4に近い側に位置する。
図3に、仮想線c1の中央c0をつないだ仮想線C1を示す。ビア41A、41B、42A、42Bそれぞれの中心は、仮想線C1よりも外側に位置している。このような位置関係でビアを設けることによって、外部接続端子の外縁の一部が枠部の外縁からオフセットされている場合であっても、セラミック配線部材の中心から離れた位置にビアを配置することが可能となり、内部配線の取り回しの自由度が高くなり、かつ、小型のパッケージを実現できる。
【0041】
図13は、
図3における第2外部入力端子32Aの近傍を拡大して示す一部拡大図である。
図13を参照して、ビア42Aの外縁と外縁L1とを結ぶ最短の直線である直線n1の長さは、ビア42Aの直径r1の1倍以上である。直線n1の長さは、言い換えると、ビア42Aの外縁から第1枠部13の外縁L1までの距離である。この距離がビア42Aの直径r1よりも大きいときに、第1枠部13にかかる応力が安定して低くなることが見出された。この関係は外部接続端子と内部配線との接続位置にあるビアのうちの一部で充足されていてもよいが、すべての外部接続端子においてこの関係が満たされていることが好ましい。
【0042】
図14は、ビアの直径とビアの外縁から枠体の外縁までの距離の比率と、外縁にかかる応力との関係を示すグラフである。
図14に示すグラフの横軸は、ビアの直径とビアの外縁から枠体外縁までの距離が等しい場合を100%として示している。すなわち、
図14に示すグラフの横軸は、(ビア外縁から枠体外縁までの距離/ビア直径)×100で算出される値を示す。
図14のグラフの縦軸は、横軸の値が220%である場合に発生する応力を1.0とした場合の相対値を示している。
【0043】
図14のグラフに示されるとおり、ビアの外縁から枠体の外縁までの距離がビアの直径よりも大きい場合(
図14の横軸が100%以上である場合)、枠体の外縁にかかる応力は安定して小さい。これに対して、ビアの外縁から枠体の外縁までの距離がビアの直径よりも小さい場合(
図14の横軸が100%未満である場合)には、枠体の外縁にかかる応力は相対的に大きく、枠体へのストレスが発生しやすい。
【0044】
図14に示すグラフは以下の条件のシミュレーションにより算出されたものである。以下の設定で、温度変化に伴って生じる熱変形の際に発生する応力を算出した。
・セラミック配線部材の外縁:1.7mm×1.3mm
・第1枠部の外縁:1.7mm×1.3mm
・第1枠部の内縁:1.0mm×0.7mm
・セラミック配線部材の厚み:0.5mm(第1枠部:0.25mm、基板部0.1mm、第2枠部0.15mm)
・ビア径:0.05mm
・温度変化:-90℃
【0045】
シミュレーションにおける物性値は以下の表1のとおりとした。なお、セラミックのヤング率は250~350GPa、ポアソン比は0.20~0.25、線膨張係数は7.0~8.0ppm/K程度のものを用いることができる。また、外部接続端子およびビアのヤング率は100~400GPa、ポアソン比は0.25~0.35、線膨張係数は4.0~18.0ppm/K程度のものを用いることができる。
【表1】
【0046】
図13を参照して、第1枠部13の幅n2はビア42Aの直径r1の5.6倍である。第1枠部の幅は必ずしも一様ではないが、第1枠部の内縁と前記第1枠部の外縁との幅のうち最も狭い部分の幅が、ビアの直径の2.5倍以上10倍以下であることが好ましい。枠体の幅がビアの直径の2.5倍以下になると枠体の強度が低下することがある。枠体の幅がビアの直径の10倍以上になるとセラミック配線部材の小型化が困難になることがある。なお、枠体の幅は、第1枠部13の内縁と前記第1枠部の外縁とを最短距離で結ぶ仮想線n2の長さと言い換えることができる。
【0047】
(セラミック配線部材の使用形態)
図5を参照してセラミック配線部材1の使用形態を説明する。上述のとおり、セラミック配線部材1においては、各内部端子36A、36B、37A、37Bと、各外部接続端子31A、31B、32A、32Bとが、一対一の関係で電気的に接続されている。そのため、
図5に示すように、第1内部入力端子36Aおよび第1内部出力端子36B上に、たとえば圧電振動素子である水晶振動子71を配置することができる。また、第2内部入力端子37Aおよび第2内部出力端子37B上に、たとえばサーミスタ72を配置することができる。セラミック配線部材1は、複数の電子部品を搭載可能なセラミック配線部材である。具体的に、セラミック配線部材1は、第2キャビティ21と第1キャビティ22のそれぞれに配置された電子部品を搭載可能なセラミック配線部材である。
【0048】
水晶振動子71の発信周波数は温度の影響を受ける。
図5のように、水晶振動子71と温度を検知する素子であるサーミスタ72とを単一のセラミック配線部材1上に搭載することにより、サーミスタ72にて検知した温度に基づいて水晶振動子71を駆動することにより、水晶振動子71を適切に動作させることができる。
【0049】
第2枠部12の第1端面12A上に金属製の蓋81を配置することで、水晶振動子71を第2キャビティ21内に気密状態で封止することができる。蓋81と第2枠部12の第2端面12A(導電層122)とは、溶接、ロウ付け、圧接など任意の方法で接合することができる。第2枠部12の第2端面12A上に金属製の蓋81を配置すると、蓋81と外部接続端子32Bとが導電層122および配線55および配線部分54Bを介して電気的に接続される。セラミック配線部材1は、金属製の蓋81で封止可能な第2キャビティ21内に搭載される水晶振動子71を含む複数の電子部品(水晶振動子71およびサーミスタ72)を搭載可能で、かつ、配線基板への実装性に優れ、セラミック配線部材に設けられる配線の配置の自由度が高いセラミック配線部材を提供できる。
【0050】
(セラミック配線部材の製造方法)
次に、本実施の形態のセラミック配線部材1の製造方法の一例を概略的に説明する。本実施の形態のセラミック配線部材1の製造方法では、まず本体部10となるべきグリーンシートが準備される。具体的には、本体部10を構成するセラミックの主成分であるAl
2O
3粉末と、焼結助剤であるSiO
2、CaO、MgOおよびMnOからなる群から選択される少なくとも1つの粉末と、樹脂、溶剤等とをボールミルにて混合し、スラリーを得る。このスラリーを、ドクターブレード法によりグリーンシートに加工する。これにより、本体部10となるべきグリーンシートが得られる。ここで、
図1を参照して、板状部11となるべきグリーンシートとして平面形状が矩形のグリーンシートが複数枚準備される。また、第1枠部13および第2枠部12となるべきグリーンシートも複数枚準備される。第1枠部13および第2枠部12となるべきグリーンシートとしては、矩形の平面形状を有し、第1キャビティ22および第2キャビティ21に対応する部分(中央部)が除去された環状のグリーンシートが準備される。
【0051】
次に、準備されたグリーンシートに、導電部30、導電層122および配線51、52、53、54、55となるべきペーストが印刷される。具体的には、まずW、MoおよびCuの少なくともいずれか1つの金属成分と、添加材、樹脂、溶剤などとを配合し、さらに必要に応じてセラミック粉末を添加し、混錬することによりペーストを作成する。
【0052】
このペーストを、先に準備されたグリーンシートに、たとえばスクリーン印刷により印刷する。このとき、
図1~
図4を参照して、導電部30、導電層122および配線51、52、53、54、55のうち、X-Y平面内で広がる、または延びるものについてはグリーンシートの表面に上記ペーストを印刷し、Z軸方向に延びるものについてはグリーンシートを厚み方向に貫通する貫通孔(ビア)を形成し、当該貫通孔を上記ペーストにて充填する。その後、ペーストが印刷されたグリーンシートが乾燥され、積層されることにより、積層体が得られる。そして、この積層体が焼成されることにより、セラミック配線部材1が得られる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図6は、実施の形態1の
図3に対応する図である。
【0054】
実施の形態2のセラミック配線部材101は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。ただし、
図6および
図3を参照して、実施の形態2のセラミック配線部材101は、実施の形態1のセラミック配線部材1に対して、外部接続端子および内部配線(ビア)の配置において、実施の形態1とは異なっている。セラミック配線部材101において、セラミック配線部材1と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0055】
実施の形態2のセラミック配線部材101は、実施の形態1のセラミック配線部材1における本体部10と同様の本体部を有する。
図6を参照して、板状部11の第1主面11B上に第1枠部13が備えられる。第1枠部13の第1端面13A上に、第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)である、2対の外部接続端子が設けられる。第1端面13Aを第1枠部13の厚み方向に平面的に見て(すなわち、
図6に示す状態)、第1端面13Aの四隅それぞれの近傍に第1対の外部接続端子131および第2対の外部接続端子132のそれぞれが配置されている。
【0056】
第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)のそれぞれは、第1キャビティ22に近い部分が一部矩形に切り欠かれた、矩形の形状を有する。第1対の外部接続端子131および第2対の外部接続端子132のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、一対の短辺L2、L4のいずれかと重なる位置に位置している。具体的に、第1外部入力端子131Aの外縁の1辺である辺131aおよび第2外部出力端子132Bの外縁の1辺である辺132bは、第1端面13Aの短辺L2と重なる位置に位置している。また、第1外部出力端子131Bの外縁の1辺である辺131bおよび第2外部入力端子132Aの外縁の1辺である辺132aは、第1端面13Aの短辺L4と重なる位置に位置している。第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)のいずれの外縁も、一対の長辺L1、L3とは重ならない。言い換えると、第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)は、一対の長辺L1、L3からオフセットされている。また、別の言い方をすると、第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)の外縁は、短辺L2、L4に接し、かつ、長辺L1、L3には接しない。このように、外部接続端子が第1枠部の短辺に接している場合、はんだフィレットの形状を確認する際に、2つのはんだフィレットがより短い間隔で確認できるため、カメラでより強拡大しつつ2つのはんだフィレットを同時に確認することが容易となる効果があり、好ましい。
【0057】
第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)のそれぞれには、配線部分151B、152B、153B、154Bがそれぞれ接続している。配線部分151Bはビア141Aの内部に、配線部分152Bはビア141Bの内部に、配線部分153Bはビア142Aの内部に、配線部分154Bはビア142Bの内部に、それぞれ設けられている。第1外部入力端子131Aとビア141Aとの位置関係は次のとおりである。すなわち、ビア141Aの中心は、第1外部入力端子131Aを包含する最小の仮想矩形Sにおいて、仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる4つの領域のうち、第1外部入力端子131Aの外縁(辺131a)と第1枠部13の外縁(L2)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第1外部出力端子131Bにおいては、ビア141Bの中心は、第1外部出力端子131Bの外縁(辺131b)と第1枠部13の外縁(L4)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。第2外部入力端子132Aにおいて、ビア142Aの中心は、第2外部入力端子132Aの外縁(辺132a)と第1枠部13の外縁(L4)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。第2外部出力端子132Bにおいて、ビア142Bの中心は、第2外部出力端子132Bの外縁(辺132b)と第1枠部13の外縁(L2)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。
【0058】
セラミック配線部材101において、ビア141A、141B、142A、142Bそれぞれの中心は、第1枠部13の内縁M1、M2、M3、M4と外縁L1、L2、L3、L4とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも外縁L1、L2、L3、L4に近い側に位置する。
図6には、第1枠部13の外縁および内縁の各点に対応する仮想線の中央をつないだ仮想線C1を示す。ビア141A、141B、142A、142Bそれぞれの中心は、仮想線C1よりも外側に位置している。
【0059】
ビア142A、142B、142A、142Bの外縁と、第1枠部13の外縁とを結ぶ最短の直線である直線の長さは、ビア142A、142B、142A、142Bの直径の1倍以上である。言い換えると、ビア142A、142B、142A、142Bの外縁から第1枠部13の外縁までの距離は、ビア142A、142B、142A、142Bの直径r1よりも大きい。この構成により、第1枠部13にかかる応力を安定して低くできる。
【0060】
セラミック配線部材101は、セラミック配線部材1と同様に、外部接続端子の外縁の一部が枠体の外縁の一部に重なる位置まで構成されているために外部接続端子の面積を大きくできる。また、外部接続端子の外縁が枠体の外縁の1辺のみと重なる構成であるため、製造時における外部接続端子の位置ズレの確認が容易となる。また、配線基板上にセラミック配線部材を実装した際、外部接続端子と配線基板との間に形成されるはんだフィレットの形態を外部から容易に視認できる。
【0061】
また、上述の位置関係でビアを設けることによって、外部接続端子の外縁の一部が枠部の外縁からオフセットされている場合であっても、セラミック配線部材の中心から離れた位置にビアを配置することが可能となり、内部配線の取り回しの自由度が高くなり、かつ、小型のパッケージを実現できる。
【0062】
(実施の形態3)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図7(a)、(b)は、実施の形態3におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図7(a)は、実施の形態1の
図2に対応する図である。
図7(a)は、セラミック配線部材201における第1枠部213の第1端面213A、板状部211の第1主面211Bおよび関連する構成を取り出して示している。
図7(b)は、
図7(a)中に示すb-b線で切断した状態を示す断面模式図である。
【0063】
実施の形態3のセラミック配線部材201は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。ただし、
図7および
図2を参照して、実施の形態3のセラミック配線部材201は、実施の形態1のセラミック配線部材1に対して、本体部の形態および配線の構成において、実施の形態1とは異なっている。なお、セラミック配線部材201において、セラミック配線部材1と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0064】
図7(a)を参照して、セラミック配線部材201の本体部210は、4隅に凹部が形成されている。具体的に、セラミック配線部材201は、第1枠部213の第1端面213Aを第1枠部213の厚み方向に平面的に見て(すなわち、
図7(a)に示す状態)、本体部210の四隅それぞれに、凹部261、262、263、264を有する。凹部261、262、263、264はセラミック配線部材201の厚み方向(Z軸方向)に延びる凹部である。凹部261には、凹部261に沿って導電体からなる側面導通部271が形成されている。同様に、凹部262、263、264のそれぞれに、側面導通部272、273、274が形成されている。側面導通部271、272、273、274は、板状部211の側面と、第1枠部213の側面に設けられていてよい。側面導通部271、272、273、274はセラミック配線部材201における配線の一部を構成しうる。これらの凹部ははんだフィレットを形成するため、セラミック配線部材201と配線基板との接合信頼性を高める。
【0065】
図7(a)、(b)を参照して、側面導通部271は、第1端面213A上で第1外部入力端子31Aに接続している。よって側面導通部271は第1内部入力端子36A(図に現われていない)と接続されている。同様に、側面導通部272は、第1端面213A上で第2外部入力端子32Bに接続している。よって側面導通部272は第2内部出力端子37Bおよび導電層122と接続されている。同様に、側面導通部273は、第1端面213A上で第1外部出力端子31Bに接続している。よって側面導通部273は第1内部出力端子36Bと接続されている。同様に、側面導通部274は、第1端面213A上で第2外部入力端子32Aに接続している。よって側面導通部274は第2内部入力端子37Aと接続されている。
【0066】
セラミック配線部材201における外部接続端子およびビアの配置は、第1端面213A上で2対の外部接続端子(31A、31B、32A、32B)のそれぞれに側面導通部271、272、273、274が接続していることを除いて、実施の形態1におけるセラミック配線部材1と同様である。実施の形態3では、外部接続端子のそれぞれを包含する最小の仮想矩形Sは、
図7に示すとおり規定される。実施の形態3のように側面導通部が形成されている場合、外部接続端子(例えば第1外部入力端子31A)と側面導通部(例えば側面導通部271)とは、その形状または機能から合理的に区別されうる。すなわち、側面導通部271は、第1外部入力端子31Aとは別の構成として区別される。第1外部入力端子31Aを包含する仮想矩形Sを仮定する際には、側面導通部271は除外した状態で、仮想矩形Sが仮定される。
【0067】
(実施の形態4)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図8は、実施の形態4におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図8は、実施の形態1の
図3に対応する図である。
【0068】
実施の形態4のセラミック配線部材301は、基本的には実施の形態3の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。
図8および
図7を参照して、実施の形態4のセラミック配線部材301は、実施の形態3のセラミック配線部材201と共通する本体部210を有する。本体部210の四隅に、凹部261、262、263、264を有する。凹部261、262、263、264にはそれぞれ、側面導通部271、272、273、274が形成されている。一方、実施の形態4のセラミック配線部材301は、外部接続端子および内部配線(ビア)の配置において、実施の形態3のセラミック配線部材201とは異なっている。セラミック配線部材301において、既述のセラミック配線部材と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0069】
セラミック配線部材301における、第1対の外部接続端子131(131A、131B)、第2対の外部接続端子132(132A、132B)の配置は、実施の形態2のセラミック配線部材101と同様であり、同じ符号を付して説明の大部分を省略する。第1外部入力端子131Aの外縁の1辺である辺131aおよび第2外部出力端子132Bの外縁の1辺である辺132bは、第1端面213Aの短辺L2と重なる位置に位置している。また、第1外部出力端子131Bの外縁の1辺である辺131bおよび第2外部入力端子132Aの外縁の1辺である辺132aは、第1端面213Aの短辺L4と重なる位置に位置している。また、第1対の外部接続端子131(131A、131B)および第2対の外部接続端子132(132A、132B)は、一対の長辺L1、L3からオフセットされている。また、セラミック配線部材301における、ビア141A、141B、142A、142Bの配置は、実施の形態2のセラミック配線部材101と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
(実施の形態5)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図9は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図10は、実施の形態5におけるセラミック配線部材の構造を示す概略断面図である。
図10は、
図9に示す線分X-Xに沿う断面に対応する図である。
図9は、実施の形態1の
図2、3に対応する図である。
図10は実施の形態1の
図1に対応する図である。
【0071】
実施の形態5のセラミック配線部材401は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。ただし、
図9、
図10および
図1~3を参照して、実施の形態5のセラミック配線部材401は、実施の形態1のセラミック配線部材1に対して、本体部の形態、配線および外部接続端子の構成において異なっている。なお、セラミック配線部材401において、既述の構成と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0072】
図9、
図10を参照して、セラミック配線部材401の本体部410は、板状部411と、第1枠部413と、第2枠部412とを含む。板状部411は、平板状の形状を有している。板状部411の形状は特に限定されるものではないが、セラミック配線部材401において、板状部411の平面形状(第2主面411Aに対して垂直な方向;
図9の状態)は、四角形(略正方形)である。つまり、第1対の対辺L1、L3と、第2対の対辺L2、L4は、略同じ長さである。セラミック配線部材401の本体部410は、平面形状が異なることを除いて、基本的にセラミック配線部材1の本体部10と同様の構成を有する。
【0073】
セラミック配線部材401は、外部接続端子および配線の構成において、セラミック配線部材1と異なる。
図9を参照して、セラミック配線部材401は、第1枠部413の第1端面413Aを第1枠部413の厚み方向に平面的に見て(すなわち
図9に示す状態)、第1端面413Aの四隅それぞれの近傍に第1対の外部接続端子431(431A、431B)、第2対の外部接続端子432(432A、432B)およびグラウンド端子433が配置されている。グラウンド端子433は、第1対の外部接続端子431(431A、431B)、第2対の外部接続端子432(432A、432B)とは別に設けられた外部接続端子である。第1対の外部接続端子431(431A、431B)、第2対の外部接続端子432(432A、432B)およびグラウンド端子433のそれぞれは、第1枠部413の第1端面413A上に配置される。グラウンド端子433は、第2外部出力端子432Bに隣接し、かつ、第2外部出力端子432Bと接触することなく配置されている。
【0074】
第1対の外部接続端子431(431A、431B)、第2対の外部接続端子432(432A、432B)、グラウンド端子433のそれぞれは、矩形の形状を有する。第2外部出力端子432Bおよびグラウンド端子433は、その他の外部接続端子と比べて約1/2の面積である長方形状とされている。セラミック配線部材401において、第1対の外部接続端子431、第2対の外部接続端子432、グラウンド端子433のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、一対の長辺L1、L3のいずれかと重なる位置に位置している。具体的に、第1外部入力端子431Aの外縁の1辺である辺431aおよび第2外部入力端子432Aの外縁の1辺である辺432aは、第1端面413Aの辺L1と重なる位置に位置している。また、第1外部出力端子431Bの外縁の1辺である辺431b、第2外部出力端子432Bの外縁の1辺である辺432b、グラウンド端子433の外縁の1辺である辺433aは、第1端面413Aの辺L3と重なる位置に位置している。第1対の外部接続端子431(31A、31B)、第2対の外部接続端子32(32A、32B)、グラウンド端子433のいずれの外縁も、一対の辺L2、L4とは重ならない。すなわち、第1対の外部接続端子31(31A、31B)、第2対の外部接続端子32(32A、32B)およびグラウンド端子433は、一対の辺L2、L4からオフセットされている。
【0075】
第1対の外部接続端子431(431A、431B)および第2対の外部接続端子432(432A、432B)のそれぞれには、配線部分451B、452B、453B、454Bがそれぞれ接続している。グラウンド端子433には、配線455が接続している。配線部分451Bはビア441Aに、配線部分452Bはビア441Bに、配線部分453Bはビア442Aに、配線部分454Bはビア442B、配線455はビア445に、それぞれ設けられている。ビア441A、441B、442A、442B、445は第1枠部413を厚み方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔である。貫通孔であるビアに充填された導電体が、配線を構成する。
【0076】
ビア441Aの中心は、第1外部入力端子431Aを包含する最小の仮想矩形Sにおいて、仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる4つの領域のうち、第1外部入力端子431Aの外縁(辺431a)と第1枠部413の外縁(辺L1)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第1外部出力端子431Bにおいては、ビア441Bの中心は、第1外部出力端子431Bを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線で区切られる領域のうち、第1外部出力端子431Bの外縁(辺431b)と第1枠部413の外縁(辺L3)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第2外部入力端子432Aにおいて、ビア442Aの中心は、第2外部入力端子432Aを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線で区切られる領域のうち、第2外部入力端子432Aの外縁(辺432a)と第1枠部413の外縁(辺L1)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。同様に、第2外部出力端子432Bにおいて、ビア442Bの中心は、第2外部出力端子432Bを包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線で区切られる領域のうち、第2外部出力端子432Bの外縁(辺432b)と第1枠部413の外縁(L3)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。ビア445の中心は、グラウンド端子433を包含する最小の仮想矩形Sにおける仮想矩形Sの対角線X1、X2で区切られる領域のうち、グラウンド端子433の外縁(辺433A)と第1枠部413の外縁(L3)とが重なる部分を含む領域である領域q1内に位置する。
【0077】
また、セラミック配線部材401において、ビア441A、441B、442A、442B、445それぞれの中心は、第1枠部13の内縁M1、M2、M3、M4と外縁L1、L2、L3、L4とを最短距離で結ぶ仮想線の中央よりも外縁L1、L2、L3、L4に近い側に位置する。
図9に、前述の仮想線の中央をつないだ仮想線C1を示す。ビア441A、441B、442A、442B、445それぞれの中心は、仮想線C1よりも外側に位置している。
【0078】
図10を参照して、セラミック配線部材401における本体部410の構成および配線の構成を説明する。板状部411、第1枠部413、第2枠部412(枠体428、導電層429)、第1キャビティ422、第2キャビティ421の構成は、実施の形態1のセラミック配線部材1において対応する構成と同様であり、説明を省略する。
【0079】
図9、10を参照して、導電部430は、第1外部入力端子431Aと、第1外部出力端子431Bと、第2外部入力端子432Aと、第2外部出力端子432Bと、グラウンド端子433と、第1内部入力端子436A(図に現われていない)と、第1内部出力端子436Bと、第2内部入力端子437Aと、第2内部出力端子437Bと、を含む。
【0080】
グラウンド端子433は、第1外部入力端子431A、第1外部出力端子431B、第2外部入力端子432A、第2外部出力端子432B、第1内部入力端子436A、第1内部出力端子436B、第2内部入力端子437Aおよび第2内部出力端子437Bと電気的に接続されることなく、グラウンド配線としての配線455により導電層429と電気的に接続されている。つまり、配線455が、導電層429と、グラウンド端子433との間を接続している。
【0081】
第1内部出力端子436Bと第1外部出力端子431Bとは、配線452により電気的に接続されている。
図10には現れていないが、第1内部入力端子436Aと第1外部入力端子431Aとは、配線451により電気的に接続されている(
図9参照)。
図10には現れていないが、第2内部入力端子437Aと第2外部入力端子432Aとは、配線453により電気的に接続されている(
図9参照)。第2内部出力端子437Bと第2外部出力端子432Bとは、配線454により電気的に接続されている。
【0082】
なお、セラミック配線部材401では、上記のように端子間を配線が接続する構造が採用されるが、上記接続に代えて、第1内部入力端子436Aと第2外部入力端子432Aとが、配線により電気的に接続されてもよい。第1内部出力端子436Bと第2外部出力端子432Bとが、配線により電気的に接続されてもよい。第2内部入力端子437Aと第1外部入力端子431Aとが、配線により電気的に接続されてもよい。第2内部出力端子437Bと第1外部出力端子431Bとが、配線により電気的に接続されてもよい。
【0083】
(実施の形態6)
本開示の他の実施の形態である実施の形態6について説明する。
図11は、実施の形態6におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図11は、実施の形態5の
図9に対応する図である。
【0084】
実施の形態6のセラミック配線部材501は、基本的に実施の形態5の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。ただし、
図11および
図9を参照して、実施の形態6のセラミック配線部材501は、実施の形態5のセラミック配線部材401に対して、外部接続端子の配置において異なっている。なお、セラミック配線部材501において、セラミック配線部材401と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略することがある。以下、セラミック配線部材501がセラミック配線部材401と異なる点を主に説明する。
【0085】
セラミック配線部材501は、第2外部出力端子432Bと、グラウンド端子533の配置が、セラミック配線部材401と異なる。すなわち、
図9に示すセラミック配線部材401においては、第1枠部413の1隅に互いに隣接して配置された第2外部出力端子432Bおよびグラウンド端子433は、グラウンド端子433が角部に配置される。第2外部出力端子432Bは、グラウンド端子433よりも、X軸に沿って第1枠部413の中央寄りに配置されている。これに対して、
図11に示すセラミック配線部材501では、第2外部出力端子532Bとグラウンド端子533との配置が逆にされている。すなわち、セラミック配線部材501では、第2外部出力端子532Bが角部に配置される。グラウンド端子433は、第2外部出力端子532Bよりも、X軸方向に沿って第1枠部413の中央寄りに配置されている。
【0086】
(実施の形態7)
本開示の他の実施の形態である実施の形態7について説明する。
図12は、実施の形態7におけるセラミック配線部材の構造を示す概略平面図である。
図12は、実施の形態6の
図11に対応する図である。
【0087】
実施の形態7のセラミック配線部材601は、基本的に実施の形態6の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏するとともに同様に製造することができる。
図12および
図11を参照して、実施の形態7のセラミック配線部材601は、実施の形態6のセラミック配線部材501に対して、外部接続端子の配置において実施の形態6とは異なっている。以下、セラミック配線部材601がセラミック配線部材501と異なる点を主に説明する。
【0088】
図11を参照して、セラミック配線部材501では、第1対の外部接続端子431(431A、431B)、第2対の外部接続端子532(432A、532B)、グラウンド端子533のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、第1対の対辺L1、L3のいずれかと重なる位置に位置している。また、第1対の外部接続端子431、第2対の外部接続端子532およびグラウンド端子533は、第2対の対辺L2、L4からオフセットされている。これに対して、
図12を参照して、セラミック配線部材601では、第1対の外部接続端子631(631A、631B)、第2対の外部接続端子632(632A、632B)、グラウンド端子633のそれぞれが有する外縁のうちの1辺は、第2対の対辺L2、L4のいずれかと重なる位置に位置している。また、第1対の外部接続端子631、第2対の外部接続端子632およびグラウンド端子633は、第1対の対辺L1、L3からオフセットされている。
【0089】
(変形例)
実施の形態1においては、セラミック配線部材1に搭載可能な電子部品の一例として水晶振動子71およびサーミスタ72を例示したが、本開示のセラミック配線部材に搭載可能な電子部品はこれらに限られない。たとえば、サーミスタ72に代えて、集積回路(Integrated Circuit;IC)がセラミック配線部材1の内部端子37A、37B上に搭載されてもよい。ICはサーミスタを内蔵していてもよい。
【0090】
実施の形態1~4においては枠体の端面上に設けられる外部接続端子の数は4つ、実施の形態5~7においては外部接続端子の数は5つであるが、外部接続端子の数はこれらに限定されない。例えば、枠体の隅部に配置される外部接続端子に加えて、枠体の辺の中央付近にさらに外部接続端子が設けられてもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1、101、201、301、401、501、601セラミック配線部材、10、210、410 本体部、11、411 板状部、12、412 第2枠部、13、213、413 第1枠部、21、421 第2キャビティ、22、422 第1キャビティ
30、430 導電部、31(31A、31B)、131(131A、131B)、32(32A、32B)、132(132A、132B)、431(431A、431B)、432(432A、432B)、532(532B)、631、632 外部接続端子、36(36A、36B)、37(37A、37B)、436A、436B、437A、437B 内部端子、41A、41B、42A、42B、141A、141B、142A、142B、441A、441B、442A、442B、445 ビア、51、52、53、54、55、451、452、453、454、455 配線、71 水晶振動子、72 サーミスタ、81 蓋、121、428 枠体、122、429 導電層、261、262、263、264 凹部、271、272、273、274 側面導通部、433、533、633 グラウンド端子。