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特開2024-94308様々な照射機構のための共通レンズアレイを備えるカメラ照射デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094308
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】様々な照射機構のための共通レンズアレイを備えるカメラ照射デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 19/00 20060101AFI20240702BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240702BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240702BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240702BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20240702BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B19/00
G02B3/00 A
G03B15/00 S
G03B15/02 G
G03B15/02 S
G03B15/03 W
G03B15/05
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219530
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】10 2022 134 863.6
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514076766
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユリア・ユエン
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ・ベッシュ
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ヘトリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シャウアー
(72)【発明者】
【氏名】アンゲーリカ・ホフマン
【テーマコード(参考)】
2H052
2H053
【Fターム(参考)】
2H052BA02
2H052BA03
2H052BA07
2H052BA09
2H052BA11
2H053BA31
2H053CA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象、特に電子組み立て部品を光学的に検知するためのカメラを作成すること。
【解決手段】本発明は、対象を検知するためのカメラであって、(a)カメラの対象面に位置している対象を照らすための照射デバイスと、(b)照射デバイスによって照らされる対象の画像を取り込むためのカメラセンサと、を備える。照射デバイスは、(a1)第一照射角度で第一照射光を対象に照射するための複数の第一光源を有する第一照射機構と、(a2)第一照射角度とは異なる第二照射角度で第二照射光を前記対象に照射するための複数の第二照射光源を有している第二照射機構と、(a3)第一照射光及び第二照射光をコリメートするための複数の独立レンズを有している光学レンズアレイと、を有する。各々の独立レンズは少なくとも1つの第一光源に割り当てられ、各々の前記独立レンズは少なくとも2つの第二光源に割り当てられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(192)、特に電子組み立て部品(192)を光学的に検知するためのカメラ(130)であって、
カメラ(130)の対象面(230a)に位置している前記対象(192)を照らすための照射デバイス(240)と、
前記照射デバイス(240)によって照らされる前記対象の画像を取り込むためのカメラセンサ(285)と、
を備え、
前記照射デバイス(240)は、
第一照射角度で第一照射光(352)を前記対象(192)に照射するための複数の第一光源(351)を有する第一照射機構(350)と、
前記第一照射角度とは異なる第二照射角度で第二照射光(362)で前記対象(192)に照射するための複数の第二照射光源(361)を有している第二照射機構(360)と、
前記第一照射光(352)及び前記第二照射光(362)をコリメートするための複数の独立レンズ(355)を有している光学レンズアレイ(354)と、
を有し、
各々の前記独立レンズ(355)は少なくとも1つの前記第一光源(351)に割り当てられ、
各々の前記独立レンズ(355)は少なくとも2つの前記第二光源(361)に割り当てられている、
カメラ(130)。
【請求項2】
各々の前記独立レンズ(355)の光軸に関して、少なくとも1つの割り当てられた前記第一光源(351)が少なくとも2つの割り当てられた前記第二光源(361)よりも前記光軸に対してより近くに配置されている、請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項3】
各々の前記独立レンズ(355)が正確に1つの前記第一光源(351)に割り当てられている、請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記独立レンズ(355)は、球面レンズ、特に非回転対称レンズである、請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項5】
前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)は全ての前記独立レンズ(355)の共通焦点面(364a)に配置されている、請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項6】
前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)は共通回路基板(364)に配置され、電気的に接続され、任意選択で前記レンズアレイ(354)は前記共通回路基板(364)に直接的又は間接的に取り付けられている、請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項7】
前記第一光源(351)は2次元構造格子の格子点に各々配置され、前記第二光源(361)は前記2次元構造格子の追加格子点に少なくともおおよそ各々配置され、前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)は共通面(364a)に配置され、
任意選択で前記第一光源の格子点が、関連する前記第一光源(351)に割り当てられている前記独立レンズ(355)の光軸上にある中心格子点であり、
前記第二光源(361)の複数の追加格子点はそれぞれ隣接した格子点であり、
前記構造格子に、各々の中心格子点のための予め定められた数の前記隣接した格子点があり、
前記隣接した格子点は、前記中心格子点の周りに互いに対称的に配置されている、
請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項8】
少なくともいくつかの前記第二光源(361)の実際の位置は各々の前記追加格子点に対して空間的にずれており、特に対応する空間的なずれは、2つのすぐ近くに隣接する格子点間の距離の1/5、好ましくは1/10よりも小さい、
請求項7に記載のカメラ(130)。
【請求項9】
前記照射デバイス(240)は、
前記レンズアレイ(354)及び/又は(i)前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)と(ii)前記レンズアレイ(354)との間の中間空間を少なくとも部分的に横方向に囲む、鏡面境界(456)をさらに備えている、
請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項10】
前記第一照射角度が0度の角度を備える、
及び/又は前記第二照射角度が20度から40度の範囲、好ましくは25度から35度の範囲にある、
請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項11】
(i)前記レンズアレイ(354)及び前記対象面(230a)の間の前記第一照射光(352)の光学照射経路内、
及び(ii)前記第一照射光(352)及び/又は前記第二照射光(362)が前記対象(192)で散乱することにより測定光が生じる、前記対象面(230a)と前記カメラセンサ(285)との間の前記測定光の光学測定光路内に配置されている、ビームスプリッタ(365)をさらに備え、
任意選択で前記第一照射光(352)及び前記第二照射光(362)が、透過時に前記ビームスプリッタ(365)を通過し、前記測定光が前記カメラセンサ(285)で反射した後に前記対象(192)によって放出される、
請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項12】
前記ビームスプリッタは、2つの照射機構(350、360)の関係において、ビームスプリッタキューブ(365)の内側側壁(365a)での全反射を前記第二照射光(362)の一部が受けるように前記レンズアレイ(354)が配置されるように構成されているビームスプリッタキューブであって、
全反射する前記内側側壁(365a)が前記カメラセンサ(285)に対向し、
任意選択で前記第二照射光(362)の追加の一部が前記ビームスプリッタキューブ(365)の追加内側側壁(365b)上で全反射を受け、前記全反射する追加内側側壁(465b)は前記カメラセンサ(285)の反対側を向いている、
請求項11に記載のカメラ(130)。
【請求項13】
前記ビームスプリッタキューブ(365)は、前記ビームスプリッタキューブ(365)の外側で反射する少なくとも1つの反射側壁(365c)を有している、
請求項12に記載のカメラ(130)。
【請求項14】
前記照射デバイス(240)は、
前記第一照射角度及び前記第二照射角度の両方と比較してよりフラットである、第三照射角度で第三照射光(372)を前記対象(192)に照射するための複数の第三光源(371)を有している第三照射機構(370)と、
前記第三照射光(372)をコリメートするための光学コリメーション配置(474)と、
を備え、
任意選択で前記光学コリメーション配置(474)は少なくとも1つの屈折光学部品(474a)及び/又は少なくとも1つの反射光学部品(474b)を有している、
請求項1に記載のカメラ(130)。
【請求項15】
前記対象面(230a)は前記ビームスプリッタ(365)の照射経路の領域に沿って空間的に前記ビームスプリッタ(365)から離れ、
前記光学コリメーション配置(474)は設置空間の周りに配置され、その結果前記対象面(230a)及び前記ビームスプリッタ(365)が離間され、
任意選択で前記照射デバイス(240)は設置スペースを横方向に少なくとも部分的に囲む、追加鏡面境界(475)をさらに備えている、
請求項9及び14に記載のカメラ(130)。
【請求項16】
請求項1に記載の2つのカメラ(130)を有するカメラシステム(125)であって、
前記2つのカメラ(130)は共通キャリア機構(226)上に空間的に固定されて互いに取り付けられている、
カメラシステム(125)。
【請求項17】
前記2つのカメラ(130)の間に配置されている光吸収体(342)をさらに備えている、請求項16に記載のカメラシステム(125)。
【請求項18】
前記第一カメラ(130)の前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)と、前記第二カメラ(130)の前記第一光源(351)及び前記第二光源(361)とは、共通焦点面(364a)及び特に共通回路基板(364)上に配置されている、
請求項16に記載のカメラシステム。
【請求項19】
組み立て部品キャリア(190)を装着するための設置ヘッド(120)であって、
シャシー(120a)と、
電子組み立て部品(192)を一時的にピックアップするための前記シャシー(120a)に取り付けられた少なくとも1つの組み立て部品保持デバイス(123)と、
前記シャシー(120a)に取り付けられた請求項1に記載のカメラ(130)または前記シャシー(120a)に取り付けられた請求項16に記載のカメラシステム(125)と、
を備える、設置ヘッド(120)。
【請求項20】
前記電子組み立て部品(192)を前記組み立て部品キャリア(190)に設置するための自動設置機構(100)であって、
フレーム機構(101)と、
設置領域(102)に取り付けられる前記組み立て部品キャリア(190)を供給するため、及び前記設置領域(102)から少なくとも部分的に取り付けられた前記組み立て部品キャリア(190)を取り除くために前記フレーム機構(101)に取り付けられた搬送デバイス(103)と、
前記フレーム機構(101)に固定的に取り付けられた、少なくとも1つの固定部品(105a)を有し、前記固定部品(105a)に関して相対的に位置することができる、可動部品(105b)を有する測位システム(105)と、
前記可動部品(105b)に取り付けられ、前記組み立て部品(192)をピックアップするため、及び前記可動部品(105b)を適切に位置合わせした後に、前記組み立て部品キャリア(190)に前記組み立て部品(192)を取り付けるために構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載の設置ヘッド(120)と、
を備え、
各々の前記組み立て部品(192)はあらかじめ定められた設置位置で前記組み立て部品キャリア(190)に取り付けられる、
自動設置機構(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工業的な生産工学における自動化プロセスを監視するカメラの技術分野に概して関する。本発明は特に電子組み立て部品を光学的に検知するためのカメラに関し、前記カメラは(i)電子組み立て部品を照らすための照射デバイスと、(ii)照射デバイスによって照らされる電子組み立て部品の画像を取り込むためのカメラセンサと、を備えている。本発明はさらに(少なくとも1つの)上記したようなカメラを有する、組み立て部品キャリアの自動設置のための設置ヘッドに関する。本発明はまた(少なくとも1つの)上記したような設置ヘッドを備える自動設置機構にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動組み立て機構を用いる組み立て部品キャリアの自動組み立ての間、電子組み立て部品は設置ヘッドによって組み立て部品供給デバイスからピックアップされ、自動設置機構の設置領域に移動させられ、予め定められた組立部品設置位置にて、適切な組み立て部品キャリア上の前記設置領域に設置される。例えば、組み立て部品供給デバイスから設置領域への移動の間に設置ヘッドの組み立て部品保持デバイスによって保持される組み立て部品の位置と、角度位置と、を検知するために、カメラが設置ヘッドに取り付けられて用いられる。このようにして、何らの組立時間の追加の損失なく角度位置及び位置を検知することができ、組み立て部品保持デバイスを回転させることによって角度位置を調整することができ、その結果本組立デバイスは正しい方向に組み立て部品キャリアの上に置かれる。
【0003】
設置ヘッドに取り付けられるカメラは一般に取り込まれる組み立て部品を照らす照射デバイスを有し、その結果組み立て部品の十分に明るい画像を短い露光時間で取り込むことができる。適切な照射デバイスは通常複数の照射機構を含み、前記照射デバイスの各々が特定の照射角度で検知される組み立て部品を照らす。照射機構は少なくとも1つの光源、すなわち一般的には少なくとも1つの発光ダイオード(LED)と、通常はさらに少なくとも1つの、光源によって放出される照射光がコリメートされる照射光学デバイスと、を備える。
【0004】
全ての照射角度ひいては全ての照射機構は画像処理のための他の対象への照射特性についての課題を有している。対象、すなわち電子組み立て部品に関して、照射機構の様々な空間的な配置によってさまざまな照射角度を生み出すことができる。例えば、フラットで、遠隔照射機構は少なくとも約0度の角度で対象に当たる急峻な照射を作り出す。対象から異なる距離に配置された環状の照射機構は、おそらく適切な照射光学系を有し、例えば30度から80度の間の角度を有する「環状光」を生成することができる。
【0005】
照射光に要求される明るさは、相応の多くの数の光源を用いることにより得ることができる。
【0006】
たとえ比較的小さいLEDが光源として用いられたとしても、高い明るさが求められる多くのLEDは比較的大きな設置スペースを必要とする。さらに、様々な照射機構の照射光学系及び光源の各ビーム経路は、対象に効率的に照射光を「導く」ことができるようにするために、比較的大きなスペースを必要とする。これは、電子組み立て部品の光学検知のための設置ヘッド内に「確保しておかなければ」ならない、照射デバイスを備えるカメラのために全体的として大きな設置スペースをもたらす。円形リングキャリアに配置される複数の組み立て部品保持デバイスを有し、回転軸について共に回転することができる、いわゆるタレット設置ヘッド内で、円形リングキャリア上の組み立て部品保持デバイスのための回転角度範囲、すなわち電子組み立て部品が(i)電子組み立て部品供給デバイスによってピックアップされ得る回転角度範囲および/または(ii)関連する組み立て部品キャリア上に置くことができるピックアップされた電子組み立て部品の回転角度範囲で、カメラのための大きな設置スペースが減少することを意味する。これは設置ヘッドの設置性能、すなわち、確実な時間内でピックアップし、設置することができる電子組み立て部品の数に悪い影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、対象、特に電子組み立て部品を光学的に検知するためのカメラを作成するという目的に基づき、(i)様々な照射角度のために高度にコリメートされ、明るい照射光を実現する照射デバイスを有し、(ii)それにもかかわらず小さな設置スペース内で実現することができる。
【0008】
この目的は独立請求項の保護対象によって達成される。本発明の有利な実施形態は従属項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、カメラは対象、特に電子組み立て部品を光学的に検知するものとして説明される。説明されるカメラは、カメラの対象面に位置している対象を照らすための照射デバイス(a)と、照射デバイスによって照射される対象の画像を取り込むためのカメラセンサ(b)と、を備えている。照射デバイスは、第一照射角度で第一照射光を物体に照射するための複数の第一光源を備える第一照射機構(b1)と、第一照射角度とは異なる第二照射角度で第二照射光を物体に照射するための複数の第二光源を有している第二照射機構(b2)と、第一照射光及び第二照射光をコリメートするための複数の独立レンズを有している光学レンズアレイ(b3)と、を有している。本発明によれば、各々の独立レンズは少なくとも1つの第一光源に割り当てられ、各々の独立レンズは少なくとも2つの第二光源に割り当てられる。
【0010】
説明されるカメラは、様々な角度で対象への照射を確実にする、第一照射光及び第二照射光の両方をコリメートするための光学レンズアレイの独立レンズを共同で用いることにより、小さな設置スペース内で照射光線のコリメーションを実現することができるという見識に基づいている。さらに、共通レンズアレイの使用は光学部品の数、及び特に光線のコリメーションに求められる光学部品の数を減少させる。
【0011】
マイクロレンズアレイとしても言及され得る、説明されるレンズアレイは、少なくとも2つの独立レンズを有している。2つの照射光による、2つの空間的な方向に沿った特に均質な照射を得るために、レンズアレイは独立レンズの個数の平方個数分を有してもよい。説明されるカメラの小さなデザインは、カメラの光軸に垂直な方向にもまた沿って、正確に4つの独立レンズ(及び4倍の少なくとも1つの第一光源)を備えるレンズアレイによって得ることができる。カメラの光軸は第一及び/又は第二照射光のための光軸であってもよい。カメラの光軸はさらに、測定光又はカメラセンサの対象の光学的な画像にも関連する。
【0012】
本明細書では、均質な照射は、特に、対象の全ての部分領域が(照射デバイスの)カメラの光軸に対して垂直に、少なくともおおよそ同様の光強度を備えて照射されるように、対象を照らす照射を意味すると理解される。これが本対象の特に信頼できる検知につながる。
【0013】
本明細書では、照射角度は一つであり、正確に定義された角度であることを必ずしも意味しない。むしろ、2つの照射角度が、例えば決して完全ではない光学コリメーションによって、特定の角度又は目標角度周辺の特定の角度スペクトルを含んでいてもよい。好ましくは、2つの角度範囲は選定され、2つの照射角度が非常に異なるため、第一照射光の光線と第二照射光の光線の間に重なりがない。第一照射光のために定められた角度範囲は、例えば、±3度(プラスマイナス3度)、±6度又は12度であってもよい。第一照射光が例えばおよそ0度の第一照射角度を備える急峻な照射光であり、第二照射光が例えばおよそ30度の第二照射角度を備える幾らかフラットな照射光である実施形態において、この第二照射光の角度範囲は第一照射光の角度範囲よりもむしろかなり大きい。第二照射光の角度範囲は、例えば、±10度(プラスマイナス10度)、±15度又は20度であってもよい。
【0014】
本明細書では、0度の照射角度は(照射デバイスの)カメラの光軸に対して平行に、対象に対して垂直に当たる照射光線を意味する。ほぼ90度の照射角度は光軸にほぼ垂直な照射に対応し、従って極端に斜め又は平らな照射に対応する。
【0015】
第一光源及び/又は第二光源は好ましくは発光ダイオード(LED)である。より好ましくは、LEDはいわゆるハイパワー発光ダイオード(ハイパワーLED)であり、それぞれが少なくとも3.0ルーメンスの光束を有している。特定の高光束を得るために、青色のスペクトル範囲のLEDが用いられてもよい。
【0016】
各独立レンズの光軸に関する本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの割り当てられた第一光源は、少なくとも2つの割り当てられた第二光源よりも光軸のより近くに配置される。結果として、第一照射光による対象への比較的急峻な照射及び第二照射光による幾らかより平坦な対象への照射は、(少なくとも1つの)第一光源とともに、有利かつ単純に影響を受け得る。
【0017】
もし1つ以上の第一光源、例えば4つの第一光源が用いられる場合、これらの第一光源は光軸に可能な限り近く、好ましくは各独立レンズの光軸に対して対称的に配置されるはずである。これにより対象への急峻な照射を生み出すことができる。
【0018】
本発明のさらなる例示的実施形態によれば、各独立レンズに正確に1つの第一光源が割り当てられる。これには光軸内又は光軸上に第一光源を正確に配置できるという利点がある。これにより、対象への非常に急峻(0度の角度においても)な照射をもたらすことができる。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの独立レンズが非球面レンズ、特に非回転対称レンズである。
【0020】
表面が球欠形状から逸脱している独立レンズを用いることにより、2つの照射機構によって特に均質な照射を得ることができる。適切な非球面形状はいわゆるフリーフォームレンズによって実現することができ、これにより、第一照射光及び第二照射光の屈折又はコリメーションが、(コンパクトに実現された)照射デバイス全体の幾何形状に最適に適合することができる。
【0021】
全ての独立レンズは好ましくは非球面レンズである。いくつかの実施形態では、全ての非球面レンズは同様である。これは、前記全ての非球面レンズが同一形状の3次元(屈折)表面を有していることを意味する。他の実施形態では、少なくとも2つの独立レンズが異なっている、すなわち、前記2つの独立レンズは異なる3次元(屈折)表面を有している。
【0022】
好適に設計された又は形作られたフリーフォーム独立レンズとともに、比較的幅広い角度スペクトルが、第一照射光とは対照的に、第二照射光のために生成され得る。例えば、これは、25度から35度の間の範囲、20度から40度の範囲又は10度から40度の間の範囲における照射角度を有している。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、第一照射光源及び第二照射光源は全ての独立レンズの共通焦点面に(少なくともおおよそ)配置される。結果として、照射デバイスひいてはカメラ全体を(照射デバイスの)カメラの光軸に平行な方向に沿って特にコンパクトな設計で実装することができる。
【0024】
本発明の更なる実施形態によれば、第一光源及び第二光源は共通回路基板に配置され電気的に接続されている。これは有利には説明されるカメラの製造プロセスを単純化する。
【0025】
本発明の更なる実施形態によれば、レンズアレイは共通回路基板に直接的又は間接的に取り付けられる。レンズアレイは、光源のように、自動設置機構を用いる自動設置プロセスを用いる共通回路基板上に設置してもよい。結果として、カメラの生産を単純化することができるだけでなく、自動設置機構の一般的には高い設置の正確性によって、レンズアレイ及び独立レンズ間に、特に非常に簡潔な空間配置が得られる。
【0026】
本発明の更なる実施形態によれば、第一光源は2次元構造格子の格子点に各々配置され第二光源は2次元構造格子の追加格子点に少なくともおおよそ配置される。第一光源及び第二光源は共通面に配置される。前記共通面は特に前述の共通焦点面であってもよい。
【0027】
この文脈では、構造格子は「単位格子セル」を有する格子として理解されることになる。隣同士に規則的に配置される複数の単位格子セルは構造格子を形成する。
【0028】
「単位格子セル」は、例えば、4つの格子点が正方形を形成し追加の中心の格子点が前記正方形の面心に位置する、5つの格子点で構成されてもよい。中心格子点に関して、述べられた4つの格子点はすぐ近くに隣接した格子点である。
【0029】
代わりに、単位格子セルはさらに単なる正方形単位セルであってもよい。この場合、単位格子セルは共通面の2次元空間を軸に平行な正方形領域に完全に分割する一様格子であり、それによって2つの隣接した格子点の間の同一距離が存在する。この場合、正方形の測縁に沿った、中心格子点は、最も近くに隣接した4つの格子点と、正方形の2本の対角線に沿って、正確に2つのルートによって、中心格子点から、さらにわずかに離れた、さらに隣接した4つの格子点と、を有している。
【0030】
2次元構造格子における第一光源及び第二光源の両方の配置は有利には照射デバイスのビーム経路の計算を容易にする。これによりカメラ全体の構造の実現がより容易になる。
【0031】
本発明の更なる実施形態によれば、第一光源の格子点は関連する第一光源に割り当てられる独立レンズの光軸上に位置する中心格子点である。さらに、第二光源の追加の格子点はそれぞれが隣接する格子点である。構造格子では、各中心格子点のための予め定められたいくつかの隣接する子支点があり、中心格子点の周りに互いに対称的に配置される。
【0032】
独立レンズの光軸上に第一光源を配置することにより、対象への均質な照射を第一照射光のために得ることができる。第一光源の周り又は前記光軸の周りに第二光源を互いに対称的に配置するために、対象への均質な照射が第二照射光のためにさらに得られる。特に、説明された対称的な配置は光軸回りの対称的な角度分布をもたらすことができる。
【0033】
所定数は具体的な格子構造に依存し得る。つまり、前記所定数は単位格子が(全ての格子点が正方形の一角に位置する)純粋な正方形又は面心中心格子点を有する隣接する格子点の正方形であるかどうかに依存し得る。
【0034】
面心中心格子点を有する四角形の場合、中心格子点に対して最も近くに隣接する正確に4つの格子点がある。この場合、4つの最も近くに隣接する第二光源を各独立レンズのための中心の第一光源に割り当てることができる。この場合の所定数は4である。(面心中心格子点を有していない)純粋な正方形の場合、第一光源に対して最も近い4つの第二光源が存在する。さらに、上記したように、正確にルート2だけ中心格子点からは少しさらに離れた、4つのさらに隣接した格子点が存在する。この場合、所定数は4又は8であってもよい。
【0035】
本発明の更なる実施形態によれば、第二光源の少なくともいくつかの実際の位置は各々の追加の格子点に対して相対的に空間的にずれている。対応する空間的なずれは、すぐ近くに隣接する2つの格子点間の距離の1/5、好ましくは1/10よりも小さい。
【0036】
純粋に幾何光学的な理由のために不利である虞がある、説明した空間のずれは、もし光源が、純粋なSMDの部品ではなく電気接触のために接合しなければならない、特に明るい(赤色)LEDである場合、第一光源及び第二光源も互いに近くに配置することができる(ひいてはカメラの小型化に貢献する)という利点を有している。説明される空間的なずれは(バンドの接着のための)ボンディングに要求される空間をLEDの間に生み出すことを可能にする。第一光源及び/又は第二光源は従って必ずしもSMDLEDで実装されていなくてもよく、しばしば「ボンドLED」と比較して低光度を有している。
【0037】
本発明の更なる実施形態によれば、照射デバイスは、レンズアレイ及び/又は(i)第一光源及び第二光源と、(ii)レンズアレイと、の間の中間空間を、少なくとも部分的に横方向に囲む、(内部)鏡面境界をさらに有している。説明される(内部)鏡面境界は、有利には、可能な限りの最大の明るさのために、可能な限り失われる照射光を少なくする、特に可能な限り失われる第二照射光を少なくすることを確実にするのに貢献することができる。
【0038】
本発明の更なる実施形態によれば、第一照射角度は0度の角度を含み、及び/又は第二照射角度は20度から40度の範囲にあり、好ましくは25度から35度の範囲にある。第二照射角度が30度に少なくとも近い場合、さらに好ましい。既に上述のように、特に第二照射光は大きな角度範囲を備えていてもよく、例えば25度から35度、20度から40度(又は非対称的に30度まで)、10度から40度であってもよい。
【0039】
本発明の更なる実施形態によれば、カメラはさらに、レンズアレイと対象面との間の第一照射光(と第二照射光)の光学照射光路(i)、及び対象上の第一照射光及び/又は第二照射光の(後方)散乱によって測定光が生成される、対象面とカメラとの間の測定光の光学測定光路(ii)に配置されるビームスプリッタをさらに備えている。
【0040】
従って説明されるビームスプリッタは2つの光路の部分領域内に第一照射光及び/又は第二照射光からの測定光の空間的な分離を確保する。これは第一照射角度が正確に0度のとき、対象の画像もまたカメラセンサによって取り込むことができることを意味する。これは、高いレベルの検知の正確性が、本対象の構造がより小さい場合でも得ることができることを意味する。
【0041】
本発明の更なる実施形態によれば、ビームスプリッタはレンズアレイと対象面の間の直線接続線に沿って空間的に配置され、その結果第一照射光及び第二照射光は移動中にビームスプリッタを貫通し、対象によって放出される測定光は、反射後にカメラセンサに当たる。これは、本明細書で説明される(少なくとも)2つのカメラを有している、以下で説明されるカメラシステムにおいて、2つのカメラの両方の第一光源及び第二光源を(平坦な)共通回路基板に取り付けることができるという利点を有している。同様のことを2つのカメラの2つのレンズアレイに適用する。
【0042】
しかしながら、ビームスプリッタが対象面とカメラセンサとの間の接続直線に沿って空間的に配置されている、本明細書で説明されるカメラの実施形態もまた存在することに注目すべきである。この場合、隣同士に配置される(少なくとも)2つのカメラを備えたカメラシステムにおいて、2つのカメラセンサを(平坦な)共通回路基板に取り付けることができる。
【0043】
本発明の更なる実施形態によれば、ビームスプリッタは、全反射する内側側壁がカメラセンサに対向するビームスプリッタキューブの内側側壁で、第二照射光の一部が全反射するように、2つの照射構造とレンズアレイに関して構成され配置されるビームスプリッタキューブである。
【0044】
説明される全反射は有利には(i)第二照射光の角度範囲又は角度スペクトルを拡大し、(ii)特に第二照射光により、照射光を部分的に同質にし、さらに(iii)全反射内側側壁でフラットに当たる第二照射光の光線は、対象の明るい照射のために失われることはない。同時に、全反射によって第二照射光の任意の特定の斜光がカメラセンサによって検知されることを確実に妨げることができる。
【0045】
明確に言えば、ビームスプリッタキューブは、特に第二照射光の低損失を確保する全反射の内側側壁に関して、光をガイドする機能を有している。
【0046】
本発明のさらなる実施形態によれば、第二照射光の追加の一部は、追加全反射内側側壁がカメラセンサとは反対側を向いている、ビームスプリッタキューブの追加内側側壁で全反射する。追加全反射内側側壁はまた、対象に当たる第二照射光が、広角度範囲と、局所光強度に関する高い強度と、高い同質性と、を有することに貢献することができる。
【0047】
カメラセンサとは反対側を向く追加全反射内側側壁は、ビームスプリッタによって照射光路から離れて結合し、非常に急峻な角度で追加全反射内側側壁に当たる(第一及び第二)照射光の一部が、ビームスプリッタから出て、誤ってカメラセンサに当たらないことも確保することができる。この分離された(第一及び第二)照射光の望まれない再入射を、光吸収体を追加全反射内側側壁の「後ろ」ひいてはビームスプリッタキューブの外側に設置することにより、効率的に妨げることができる。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビームスプリッタキューブは、前記ビームスプリッタキューブの外側で反射する、少なくとも1つの反射側壁を有している。
【0049】
説明される反射側壁は、第二照射光が特に、広い角度範囲と、対象の領域内の局所光の強度に関して高強度と、高い同質性と、を有することに貢献する。
【0050】
ビームスプリッタキューブは好ましくは反射側壁と向かい合う追加反射側壁を有している。これは前記反射側壁と同様の技術的利点を有していてもよい。
【0051】
ビームスプリッタがレンズアレイ及び対象面の間の接続直線に沿って配置される、上記した実施形態によれば、言及した4つの側壁は照射光路に関して側面側の壁である。これは、レンズアレイ又は対象面に向かい合う、2つの正面側壁が、全反射可能ではなく(これは第一及び第二照射光の入射角度が急であることにより不可能である)、反射もしないことを意味する。照射光は、光の入射又は出射による損失なく、可能な限りこれらの2つの側壁を通るものである。
【0052】
4つの側面壁のうち、2つの側壁は好ましくは完全に反射し、もう2つの側壁は外部ミラーコーティングにより(完全に)反射する。
【0053】
外側で反射される側壁は、有利にはカメラのシャシーに、及び/又は第一光源及び第二光源のための上記した回路基板に、間接的にビームスプリッタを機械的に取り付けるのに用いてもよい。上記機械的な固定は、ビームスプリッタキューブの光学的機能を損なうことなく、適切なボンディングによって実現することができる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態によれば、照射デバイスはさらに第一照射角度及び第二照射角度の両方と比較してよりフラットである第三照射角度で第三照射光を対象に照射するための複数の第三光源を有している第三照射機構を含む。さらに、照射デバイスは第三照射光をコリメートするための光学コリメーション配置を有している。
【0055】
光学コリメーション配置と併せて説明される第三照射機構は、対象にさらなる特にフラットな照射光を照射することができるという利点を有している。これにより、よりさらに信頼でき、正確な本対象の光学的な検知を実現することができる。さらに、対象の複数の光学特性はカメラセンサの下方に接続されたデータ処理デバイスを用いる画像評価の一部として確かに認知することができる。
【0056】
本発明の別の実施形態によれば、光学コリメーション配置は少なくとも1つの屈折光学部品及び/又は少なくとも1つの反射光学部品を有している。説明された前記部品の適切な光学設計を介して、フラットな第三照射のために、局所照射のレベルに関して高い同質性が有利には得られる。
【0057】
光学コリメーション配置は好ましくは少なくとも1つの屈折光学部品と少なくとも1つの反射光学部品の両方を有している。結果として、低光損失の良好なコリメーションが照射デバイスの様々な設計によって得られる。
【0058】
屈折光学部品は、例えば、シリンダーレンズであってもよい。シリンダーレンズは、直線方向に沿って一列に隣同士に好ましくは配置される、複数の第三光源に割り当てられる引き伸ばしシリンダーレンズであってもよい。反射光学部品は、例えば、長手方向に沿って一定の曲率を有し、直線方向に沿って配置される複数の第三光源から第三照射光をまたコリメートできる、凹面ミラーであってもよい。
【0059】
もちろん、異なる屈折光学部品及び/又は異なる反射光学部品が各第三光源のために用いられてもよい。結果として、光学コリメーション配置を照射デバイスまたはカメラ全体の明確な設計に対してさらにより正確に適応させ、光強度、角度範囲及び同質性に関して最適化することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの屈折光学部品はフリーフォームレンズである。その代わりに、又は組み合わせて、少なくとも1つの反射光学部品はフリーフォームミラーである。(それぞれの場合で)フリーフォームを適切に形成することにより、第三照射光による照射をさらに改善することができる。
【0061】
本発明の別の実施形態によれば、対象面はビームスプリッタの照射光の経路の部分に沿って空間的にビームスプリッタから離れている。さらに、対象面とビームスプリッタとの間の距離を離すために、光学コリメーション配置は設置空間の周りに配置される。これにより有利にはフラットな角度で対象に向かう第三照射光の単一の「カップリング」を可能にする。
【0062】
本発明の別の実施形態によれば、照射デバイスは、設置空間を少なくとも部分的に横方向に包囲する、追加(内部)鏡面境界もまた有している。これはビームスプリッタ―から出射する第一照射光、及び特にビームスプリッタから出射する第二照射光が、横方向に出られない又は非常に小さい範囲でのみ出ることができるという利点を有している。これは単純かつ有効に、可能な限り最も明るい照射を得るために第二照射光が失われることを特に可能な限り妨げる。さらに、照射光の同質性がより向上する。
【0063】
この文脈では、「横方向」という用語は、特に、対象面及びビームスプリッタの間の照射光の経路の部分と垂直な照射光の経路の光軸から離れている空間領域を意味すると理解される。この距離は非常に大きく、第一照射光及び/又は第二照射光からの光線は追加(内部)鏡面境界の外側又は隣に差し込まず、ひいては対象へ照射して消える。
【0064】
この文脈において「少なくとも部分的に包囲されている」という表現は、照射経路の光軸に平行な方向に沿った追加境界のため、反射が完璧ではないことを意味すると理解され得る。その代わりに、又は組み合わせで、前記反射は照射経路の光軸に沿って完了していないと理解され得る。照射経路の光軸に沿った反射がない領域は、外側からの第三照射光がフラットな角度で対象面に当たることを可能にするのに用いてもよい。
【0065】
本発明の別の態様によれば、上記した態様の2つのカメラを有する説明されたカメラシステムにおいて、2つのカメラが共通キャリア機構上に空間的に固定されるように互いに取り付けられている。
【0066】
説明したカメラシステムは、2つの対象が2つの対象検知領域のうち1つに位置できるほど十分に2つの対象間の距離が正確に大きい限り、2つの対象を光学的に同時に検知することができるという見識に基づいている。これは、例えば、(a)第一環状リングキャリアに配置された第一の複数の第一組み立て部品保持デバイスと、(b)第二環状リングキャリアに配置された第二の複数の第二組み立て部品保持デバイスと、を有しているいわゆるタレット設置ヘッドとともに、組み立て部品保持デバイスが、対象と対応する電子組み立て部品を一時的に保持するために構成され、2つの環状リングキャリアは共通回転軸について回転可能である場合である。そのようなタレット設置ヘッドは、例えば、独国特許発明第102020116385号に、詳細に記載されている。
【0067】
共通キャリア機構もまた、2つのカメラの共通シャシーであってもよい。
【0068】
本発明の例示的実施形態によれば、カメラシステムは2つのカメラの間に配置されている光吸収体もまた有している。光吸収体はカメラの両方の間の「クロストーク」を確実に妨げるのを効果的に補助することができる。これは様々な「照射光」からの光線だけでなく測定光に対しても適用することができる。これは、説明されたカメラシステムとともに、2つの組み立て部品の光学検知を、2つのカメラ間の干渉がない場所で実現することができる。
【0069】
2つのカメラの各々がビームスプリッタを有し、ビームスプリッタの両方が隣同士に配置される実施形態において、各々のカメラセンサにおける各々の対象又は組み立て部品に、散乱することなく到達する各第一照射光及び/又は第二照射光の光線の吸収に、特に光吸収体が貢献することができる。
【0070】
本発明のさらなる実施形態によれば、第一カメラの第一光源及び第二光源と、第二カメラの第一光源及び第二光源が、共通(焦点)面と、特に共通回路基板に配置されている。これは有利には説明されたカメラシステムのための製造プロセスを単純化する。
【0071】
本発明のさらなる実施形態によれば、設置ヘッドは組み立て部品キャリアを設置するためのものとして説明される。説明される設置ヘッドは、(a)シャシーと、(b)電子組み立て部品を一時的に保持するためにシャシーに取り付けられた少なくとも1つの部品保持デバイスと、(c)上述したタイプのシャシーに取り付けされたカメラ及び/又は上述したタイプのシャシーに取り付けされたカメラシステムと、を有している。
【0072】
上述のカメラ及び/又は上述のカメラシステムを、非常に短い露光時間で、特に第一光源及び第二光源の高い強度及び/又は高い同質性などの有利な光学特性によって、電子組み立て部品を検知するために用いることができる、という見識に、説明される設置ヘッドは基づいている。上述のカメラ/カメラシステムを特にコンパクトに設置することができる可能性があるため、設置ヘッド全体をコンパクトに設置することもできる。しかしながら、特に、カメラ又はカメラシステムのために空けておかなければならない設置ヘッドの設置スペースはかなり小さく、その結果設置ヘッドの実際の機械的課題、すなわち、電子組み立て部品をピックアップすることや、各組み立て部品キャリアにピックアップされた組み立て部品を置くこと、のために、より多くの設置スペースが「残っている」または利用可能である。これは組み立て性能、すなわち、一定の時間内にピックアップし、置くことができる電子組み立て部品の数に良い影響を与えることができる。
【0073】
本発明の別の態様によれば、自動設置機構は組み立て部品キャリアに電子組み立て部品を自動的に置くものとして説明される。説明される自動設置機構は、(a)フレーム機構と、(b)設置領域に搭載する組み立て部品キャリアを供給するため、又は少なくとも部分的に装着された組み立て部品キャリアを設置領域から取り除くための、フレーム機構に取り付けられた搬送デバイスと、(c)フレーム機構と、備え付けの部品に対して相対的に位置することができる可動部品と、に対して静止した状態で取り付けられる少なくとも1つの固定部品を有している測位システムと、(d)上記したタイプの設置ヘッドであって、前記設置ヘッドは、可動部品に取り付けられ、組み立て部品をピックアップし、可動部品の適当なポジショニングの後、組み立て部品を組み立て部品キャリアに備え付けるために構成され、各組み立て部品が、予め定められた設置位置に組み立て部品キャリアに取り付けられる、設置ヘッドと、を有している。
【0074】
本明細書で説明された自動設置機構は、上記した設置ヘッドによって高い設置性能が得られるという見識に基づく。これは、設置ヘッドの複数のカメラを非常にコンパクトにすることができるという事実によるだけではない。特に複数のカメラの重さが軽いことは設置性能の向上にも寄与することができる。カメラの重量の減少ひいては設置ヘッドの重量の減少とともに、かなり小さな(鈍い)質量のみが設置動作の間にガントリーシステムによって前後することとなる。
【0075】
本発明のさらなる利点及び特性は、現在好ましい実施形態の以下の例示の説明に起因する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明の例示的実施形態に従った自動設置機構を示している。
図2】互いに一定の距離で共通キャリア機構に取り付けられた各々の場合で、1つの組み立て部品を光学的に検知するための2つのカメラを備えたカメラシステムの斜視図を示している。
図3】2つのカメラの照射デバイスの断面図を示している。
図4】カメラのための照射デバイスの拡大斜視図を示している。
図5】共通回路基板に取り付けられた発光ダイオードを示し、第一光源及び第二光源を表し、ボンドワイヤを介して各々接触され、発光ダイオードのいくつかはボンドワイヤのための十分な空間を生成するための2次元構造格子の各格子点からずれている。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下の詳細な説明では、別の実施形態の対応する特徴又は構成要素と同一又は少なくとも機能的に同一である様々な実施形態の特徴又は構成要素には、同一の参照番号、又は対応する同一又は少なくとも機能的に同一の特徴又は構成要素の参照記号の下二桁が同一である参照符号が備わっている。不必要な繰り返しを避けるために、前述の実施形態に基づいて既に説明された特徴又は構成要素は、それ以降は詳細にはもはや説明しない。
【0078】
さらに、以下で説明される実施形態は、本発明の実施形態の可能な変形例の限られた抜粋を表すのみであることに着目されたい。特に、多数の様々な実施形態が、本明細書で明確に説明される実施形態とともに当業者のために明確に開示されているとみなすことができるように、適切に独立した実施形態の特性を組み合わせることができる。
【0079】
「前方」及び「後方」、「頂部」及び「底部」、「左」及び「右」等の空間的な用語は、ある要素と別の要素の関係を説明するため、又は図に示されるように他の要素を説明するために用いられる。従って、空間的な用語は図に示される方向とは異なる方向に適用されてもよい。しかしながら、各々の場合に示されるデバイスや部品等は、使用中、図に示される方向とは異なり得る方向を仮定するため、そのような全ての空間的な用語は説明の利便性のために図に示される方向に言及し、必ずしも限定されないことを理解されたい。
【0080】
図1は、電子組み立て部品192を備える組み立て部品キャリア又は回路基板190を装着するための自動設置機構100の概略図である。自動設置機構100はフレーム101を有している。2つの静止キャリアレール105aはフレーム機構101に取り付けられ各々がY方向に沿って延びる。2つのキャリアレール105aは測位システム105の一部であり本明細書では固定部品105aとして言及される。
【0081】
可動キャリアアーム105bは2つの固定部品105aに取り付けられ、X方向に沿って延びる。本明細書で説明される技術の文脈において、可動キャリアアームは可動部品105bと言及される。可動キャリアアーム105bはY方向に沿って動くことができ、リニアモータ方式で駆動モータ(不図示)によって駆動される。対応する移動方向は「Y」の二重矢印とともに示されている。
【0082】
装着部品105cは、可動部品105bに取り付けられ、例えば、可動部品105bのリニアガイド(不図示)に保持されているキャリッジであってもよく、追加のリニアモータ(不図示)によってX方向に沿って動いてもよい。対応する移動方向が「X」の二重矢印とともに示されている。設置ヘッド120は既知の方法で装着部品105cに取り付けられている。
【0083】
2つの固定部品105a、可動部品105b及び装着部品105cは、リニアモータ及びリニアガイド(図1に図示していない)とともに設置ヘッド120がXY平面内で移動または位置することができる測位システム105を表す。
【0084】
組み立て部品キャリア190の設置は自動設置機構100の設置領域102で実行される。装着される組み立て部品キャリア190は、その設置前に、搬送デバイス103、例えばベルトコンベアによって設置領域102に搬送される。組み立て部品192が少なくとも部分的に装着された後、組み立て部品キャリア190は搬送デバイス103によって搬送される。対応する搬送方向は図1に矢印Tでそれぞれ示されている。
【0085】
既に上述したように、設置ヘッド120は装着部品105cに取り付けられる。リニアモータ(不図示)を適切に制御することにより、設置ヘッド120を組み立て部品供給システム104の組み立て部品ピックアップ位置104aと設置領域102の間に移動させることができる。設置プロセスを制御する、データ処理デバイス106は、データライン(不図示)を介して様々なリニアモータ及び設置ヘッド120と通信可能に接続されている。設置プロセスの間、設置ヘッド120は、組み立て部品192がピックアップされる、組み立て部品ピックアップ位置104aに移動する。設置ヘッド120はその際ピックアップされた組み立て部品192とともに、供給される組み立て部品キャリア190に組み立て部品192が設置される、設置領域102へ移動する。その後、「空の」設置ヘッド120は、組み立て部品192が再度ピックアップされる、供給システム104に移動する。
【0086】
本明細書に示される例示的実施形態によれば、設置ヘッド120は、いわゆる二重タレットヘッドであって、シャシー120aと、2つの環状リングキャリアである第一環状リングキャリア121及び第二環状リングキャリア122と、を有している。2つのロータアセンブリは互いに同心円状に配置され回転軸(不図示)について回転可能である。複数の組み立て部品保持デバイス123は、電子組み立て部品192がピックアップ可能である又は保持可能である、環状リングキャリア121、122の両方に取り付けられている。組み立て部品保持デバイス123は、リニア駆動(不図示)によって、自身の縦軸に沿って、すなわち、紙面に垂直な方向に沿って稼働してもよい。結果として、既知の方法では、組み立て部品192をピックアップする場合でも、組み立て部品キャリア190に組み立て部品192を設置する場合でも、設置ヘッド120全体は垂直方向、すなわち、紙面に垂直な方向に動く必要はない。設置ヘッドの機構的構造についてのさらなる詳細は独国特許発明第102020116385号明細書を参照されたい。
【0087】
各組み立て部品保持デバイス123の下方端面に位置する、保持された組み立て部品192は、明瞭化のために図1に示していない。
【0088】
設置ヘッド120もまた、本明細書で示される例示的実施形態に従った2つのカメラ130を含む、カメラシステム125を有している。2つのカメラ130のうち一方は第一環状リングキャリア121に割り当てられ、第一環状リングキャリア121の組み立て部品保持デバイス123によって保持される、組み立て部品192を測定するのに用いられる。2つのカメラ130のうちもう一方は第二環状リングキャリア122に割り当てられ、第二環状リングキャリア122の組み立て部品保持デバイス123によって保持される組み立て部品192を測定するために用いられる。組み立て部品を測定する際、例えば、取り込まれた又は保持された組み立て部品192の正確な角度位置を測定することができる。さらに、(各組み立て部品保持デバイス123に関して)取り込まれた又は保持された組み立て部品192の正確な位置もまた決定され得る。適切な組み立て部品192が設置されたとき、(i)適切な組み立て部品保持デバイス123の適切な回転によって、及び(ii)設置ヘッド120全体の適切な位置決めによって、既知の方法で角度位置の誤差を埋め合わすことができ、組み立て部品192の位置的な誤差を既知の方法で埋め合わせすることにより、本組み立て部品192を、正確に意図された設置位置及び正確な角度位置で組み立て部品キャリア190に設置することができる。
【0089】
図2は、各カメラ130の対象面230aに位置している、組み立て部品192を光学的に検知するための2つのカメラ130を備えるカメラシステム125の斜視図である。2つのカメラ130は、共通キャリア機構226を有し、互いに一定の空間的距離を保って配置される。実施形態には示していないが、2つのカメラ130間の距離は可変である。
【0090】
2つのカメラ130は、少なくとも必須の光学特性に関しては、同一に構成されている。従って、我々が以下で一方の「カメラ」について述べる場合、別のカメラ130も意味する。
【0091】
カメラ130は下側から本組み立て部品192を照らす照射デバイス240を有している。より詳細には以下で説明するが、この照射光は、各々の様々な照射角度で、様々な照射機構とともに照射される。すなわち、(i)第一照射光は組み立て部品192へ垂直に入射し、(ii)第二入射照射光は急斜角で組み立て部品192へ入射し、(iii)第三入射照射光は浅い斜角で組み立て部品192へ入射する。垂直入射する第一照射光及び急斜角で入射する第二照射光はビームスプリッタを介して伝搬することにより組み立て部品に到達する。
【0092】
カメラ130もまた照射デバイス240により照射される組み立て部品192の画像を取り込むためのカメラセンサ285を有している。組み立て部品192によって本質的に後方散乱された照射光である、対応する測定光は、ビームスプリッタ内又はビームスプリッタ上で反射することによりカメラセンサ285に到達する。カメラセンサ285の上流に光学的に接続されている、カメラ光学系286は、カメラセンサ285上の組み立て部品192の適切な光学画像を確保する。本明細書で示される例示的実施形態による、複数のレンズを備える複数のレンズシステムである、カメラ光学系286は、ビームスプリッタとカメラセンサ285間の距離が可能な限り小さくなるように構成されている。カメラ130ひいてはカメラシステム125全体を空間的にコンパクトな設計でカメラセンサ285の光軸に沿って実装することができる。
【0093】
透過カバープレート227は2つのカメラ130の光学システム全体を上から塞ぐ。これにより、ほこりやごみが組み立て部品192の照射にも、カメラセンサ285の組み立て部品192の画像にも悪い影響を及ぼさないことを確実にする。
【0094】
図3は、2つのカメラ130の2つの照射デバイス240の断面図を示している。2つの照射デバイス240のうちの一方は2つのカメラ130のうちの一方に割り当てられ、2つの照射デバイスのうちもう一方は2つのカメラ130のうちもう一方に割り当てられる。
【0095】
2つのカメラ130と同じように、2つの照射デバイス240もまた、少なくとも必須の光学特性に関しては、同一に構成されている。従って、我々が以下で「照射デバイス」について言及する時、他の照射デバイス240も意味する。
【0096】
照射デバイス240は、本明細書で示される例示的実施形態によれば垂直な照射角度である、第一照射角度で第一照射光352を関連する組み立て部品192に照射するための複数の第一光源351を備える第一照射機構350を備えている。これは図3において第一照射光352が下方から垂直に組み立て部品192に当たることを意味する。照射デバイス240はさらに、第二照射角度で第二照射光362を組み立て部品192に照射するために複数の第二光源361を備える第二照射機構360をさらに備える。第二照射角度は、組み立て部品192の平らな下側に関して急斜角、例えば組み立て部品192の下側の表面の法線に関して30度である。第二照射角度は好ましくは、例えば中心の第二照射角度周りで10度、20度又は30度もの比較的幅広い角度スペクトル又は比較的広い角度分布を備えている。
【0097】
本明細書で示される例示的実施形態によれば、全ての第一光源351及び全ての第二光源361は発光ダイオードである。これらは共通回路基板364に取り付けられ、電気的に接触し、共通回路基板364は第一照射機構350の第一発光ダイオード351だけでなく第二照射機構360の第二発光ダイオード361を移動させる。
【0098】
照射デバイス240は第一照射光352と第二照射光362の両方をコリメートするための複数の独立レンズ355を有する光学レンズアレイ354を含んでいる。各独立レンズ355は正確に1つの第一光源351に割り当てられ、各独立レンズ355は少なくとも2つの第二光源361に割り当てられる。共通回路基板364に取り付けられた第一光源351及び第二光源361は光学レンズアレイ354の共通焦点面364aに全て位置している。
【0099】
本明細書で示される例示的実施形態によれば、図4及び特に図5に関して以下で説明されるように、単一の第一光源351に加えて、正確に8つの第二光源361が独立レンズ355に各々割り当てられる。8つの第二光源361は1つの第一光源351の周辺に配置される。さらに、本明細書で示される例示的実施形態によれば、(各照射デバイス240のための)レンズアレイ354は、正方形の配置で、正確に4つの独立レンズ355を有し、明瞭化のため、最大限の2つの独立レンズ355のみが図に示されている。
【0100】
各独立レンズ355の光軸355aに関して、第一光源351はこの光軸355a上に少なくともおおよそ位置している。第二光源361は、既に上述のように、第一光源351の周辺に配置される。独立レンズ355は、第一照射光352及び第二照射光362に割り当てられる光源351、361に関連して、第一照射光352及び第二照射光362の両方がコリメートされるように構成され、配置される。
【0101】
光軸355a上に第一光源351を配置することにより、第一照射光352の光線全体が光軸355aについて対称である。第一照射光352の選択された照射ビームが、図3中の左に示された照射デバイス240に示されている。移動の間、第一照射光352は、図2の説明で既に上述のようにビームスプリッタキューブ365を貫通し、正確に下から、対象面230に位置している、組み立て部品192の下側に命中する。
【0102】
組み立て部品192で散乱された第一照射光352は、示されていないが明らかに、ビームスプリッタキューブ365に入り、ビームスプリッタキューブ365を介して90度反射した後、図3に模式的に示されているカメラセンサ285に当たる。
【0103】
第二光源361が光軸に関してずれて配置されることにより、各第二光源361のための第二照射光362の光線は斜光線である。2つの異なる第二光源361からの第二照射光362の選択された照射ビームは図3の右に示される照射デバイス240に示されている。この文脈では、特にいくつかの斜光がビームスプリッタキューブ365の内側の側壁に当たることが見て取れる。本明細書で示される例示的実施形態によれば、第二照射光源362の損失を最小限にし、ひいては組み立て部品192の最も明るく最も同質な照射を確保するために、光学システムは、第二光源361と、光学レンズアレイ354と、第二照射光362の斜光線のための、2つの向かい合う内側側壁である、(第一)内側側壁365a及び第二内側側壁365bで全反射がなされるように構成される、ビームスプリッタキューブ365と、で構成される。カメラセンサ285に向かい合う、内側側壁365aは、非常にフラットな入射角度のため、第二照射光362を反射する。同時に、ビームスプリッタキューブ365内での反射の後、測定光は非常に急な角度で内側側壁365aに当たり、ビームスプリッタキューブ365の関連する側壁を貫通し、カメラセンサ285に当たる。
【0104】
それに対応するように、追加内側側壁365bに当たる第二照射光362もまた、全反射される。同時に、第二光源361によって放出され、ビームスプリッタキューブ365で反射される光の一部は、追加内側側壁365bを貫通し、2つの照射デバイス240の間に配置される光吸収体342に当たる。光吸収体342はその際前記第二光源がもはやカメラセンサ285に当たることができないことを確実にする。
【0105】
照射デバイス240もまた第三照射機構370を有している。第三照射機構370は第一照射角度及び第二照射角度の両方と比較してより著しくフラットである第三照射角度で、第三照射光372で組立て部品192を照らすための複数の第三光源371を有している。第三照射光372の光線は図3の左側の照射デバイス240に示されている。本明細書で示される例示的実施形態によれば、(複数の照射デバイス240の両方から)全ての第三光源371が追加共通回路基板376に位置している。この追加共通回路基板376は、第一光源351及び第二光源361のための共通回路基板364と同様に、説明されるカメラシステム125の組立もまた容易にし、高い光学イメージングの品質にもまた貢献し、高い光学イメージングの品質は発光ダイオードとして設計されている様々な光源351、361、371の高い空間設置の正確性を兼ね備えることができる。
【0106】
第三照射機構370は第三照射光372をコリメートするための光学コリメーション配置をさらに含む。第三照射機構370の詳細は図4に関して以下で説明される。
【0107】
図4は2つのカメラ130のうちの1つのための照射デバイス240の拡大斜視図を示している。明瞭化のため、図4は部分的な表現であり、選択された部分は、2つの独立レンズ355の間で正確に選択され、全ての独立レンズ355の光軸(不図示)に平行である。
【0108】
第一光源351及び第二光源361は以下に示される共通回路基板364に配置される。第一光源351のうち2つのみが図4に示されている。第一光源351を取り囲む第二光源361でさえも、全ての第二光源361が図4の斜視図で見ることができるわけではない。
【0109】
レンズアレイ354の周辺には鏡面配置456が存在し、本明細書ではミラーシャフトとしてもまた言及される。ミラーシャフト456もまた、一方の側の第一光源351及び第二光源361と、もう一方の側のビームスプリッタキューブ365の下面の間の独立レンズ355の光軸に沿って延在する隙間を取り囲む。ミラーシャフト456は、可能な限り少ない照射光、特に第二光源361からの第二照射光362が、横側に失われることを確保する。
【0110】
レンズアレイ354の上方に、上で詳細に説明されてきたビームスプリッタキューブ365がある。明瞭化のため、ビームスプリッタキューブ365の右側に位置している、カメラセンサ285は、図4に示されていない。図4に示されているビームスプリッタキューブ365の後方部分は、その背後に反射側壁365cを有し、特に第二照射光362についての損失の削減にもまた貢献する。図4の断面図には示されていない、ビームスプリッタキューブ365の前方部分もまた、前側に反射側壁を有し、(第二)照射光362の損失の削減に役立つ。反射側壁はビームスプリッタキューブ365を例えば共通キャリア機構226に直接的又は間接的に取り付けるのにもまた用いることができる。この目的のため、例えば、2つの反射側壁のうち少なくとも1つの外側壁に取り付け、適切な保持構造(詳細には示されていない)にビームスプリッタキューブ365と機械的に接続する接着剤を用いてもよい。
【0111】
図4から理解できるように、ビームスプリッタキューブ365の頂点とカバープレート227の下面の間には(独立レンズ355の光軸に沿った)、追加ミラーシャフトとして本明細書で言及される、追加鏡面境界475によって囲まれる追加の隙間がある。追加ミラーシャフト475もまた第一照射光652及び特に第二照射光362の望んでいない横方向の損失を回避するまたは少なくとも削減するのにも役立つ。
【0112】
しかしながら、図4から分かるように、鏡面境界475はカバープレート227の下に直接延在していない。むしろ、光学コリメーション配置474は鏡面境界475の上に設けられ、カバープレート227の下面からわずかに間隔をあけて配置されている。光学コリメーション配置474は、第三照射機構370によって、又はより正確には第三照明機構370の第三光源371によって生成される(図3に示されている)第三照射光372が、非常にフラットな角度又はこのフラットな角度で、追加の隙間にさし込むことができ、適当な角度分布で、下から横側に(図5には示されていない)組み立て部品192に当たる。第三光源371もまた好ましくは発光ダイオードである。
【0113】
本明細書で示される例示的実施形態によれば、第三光源371は、(i)鏡面境界475を取り囲むように、追加共通回路基板376の上に取り付けられ(て接触す)る。図4から分かるように、鏡面境界475は追加共通回路基板376において適当な窪みに位置している。
【0114】
第三光源371の数は具体的な実施形態によって変化し得る。第三照射機構370は、鏡面境界475の2つの向かい合う面に配置されている、少なくとも2つの第三光源371を有しているはずである。しかしながら、好ましくは図4に示された鏡面境界475の4つの側面のそれぞれに少なくとも1つの第三光源371がある。より好ましくは、複数の第三光源371が連続し互いに短い距離で鏡面境界475の各側に配置されている。
【0115】
本明細書で示される例示的実施形態によれば、光学コリメーション配置474は、第三照射光372ができるだけ均一に、すなわち空間的に一定の強度を有して、対応する組み立て部品192にまた当たるように設計された複数の光学部品を有している。具体的には、光学コリメーション配置474は本明細書で示される例示的実施形態において屈折光学部品474a及び反射光学部品474bを含んでいる。本明細書で説明される実施形態では、第三光源371は、各々が少し距離を置いて、鏡面境界475の4つの側部に沿って配置される。本明細書で示される例示的実施形態によれば、屈折光学部品はシリンダーレンズ474aであり、反射光学部品は、「シリンダーミラー」としてもまた言及され得る、単純に湾曲した凹面ミラー474bである。反射光学部品474bは、第三光源371によって放出される可能な限り多くの第三照射光372が屈折光学部品474a上に確実に向くようにする。言い換えれば、照射光の損失もまた反射光学部品474bによって削減される。
【0116】
図4から分かるように、本明細書で示される例示的実施形態によれば、追加ミラーシャフト475、少なくとも屈折光学部品474a及び好ましくは反射光学部品474bもまた、いわゆるハイブリッド光学系として一体として形成されている。一体型の設計等により照射デバイス240ひいてはカメラ130全体を組み立てるのが容易になる。一方、光学コリメーション配置474の光学要素474a、474bは、高い空間精度ひいては高い光学精度で追加ミラーシャフト475とともに製造することができる。
【0117】
上述のように、第三照射光372は非常にフラットな角度で(図4には示されていない)組み合わせ部品192に当たるはずである。しかしながらこれは、第三照射光372が浅い角度で、カメラ130の内部にほこりが浸入する事を防ぐには通常必要とされるカバープレート227を通過しなければならないこともまた意味する。これらの状況下で臨まれない全反射を避けるために、カバープレート227の少なくとも下面には適切な反射防止コーティングが備わっている。さらに、カバープレート227の望まない静電気の帯電を避けるためにいわゆるESDコーティング(「静電気放電」コーティング)が備えられる。
【0118】
本明細書で示される例示的実施形態によれば、独立レンズ355及び光学コリメーション配置474の光学部品の両方がいわゆるフリーフォーム光学部品である。これは独立レンズ355の(屈折)表面が非球面であることを意味する。さらに、屈折光学部品474aの屈折表面及び反射光学部品474bの反射表面は純粋な円筒形状を逸脱している。全てのフリーフォーム光学部品の開口領域は、それらの各々が空間的に一定の光強度で組み立て部品192に対する均質な照射に貢献するように、3次元的に設計されている。しかしながら、他の実施形態においてフリーフォーム光学部品は使われていないか、1つまたは2つの照射機構350、360、370のためにのみ使われることに注目されたい。
【0119】
図5は、第一光源351及び第二光源361をそれぞれ表す、共通回路基板364に取り付けられた発光ダイオードを示している。発光ダイオード351、361はいわゆる高出力発光ダイオードであり、接触パッド(不図示)を介して共通回路基板364と直接的に下から電気接続されている。発光ダイオード351、361の頂点で、第一ボンドワイヤ551aを介して、又は第二ボンドワイヤ561aを介して、接触がなされている。ボンドワイヤ551a、561aの端部は、共通回路基板364の頂点状の接点(図5には示されていない)に既知の方法で電気接続されている。回路基板364上の一定量の空間が、ボンドワイヤ551a、561aと回路基板364の間のこれらの接続のために必要である。前記空間を作るために、本明細書で示される例示的実施形態によれば、独立発光ダイオード351、361が2次元構造格子の理想の格子点からわずかにずれている。第一光源又は発光ダイオード351は、好ましくは、各独立レンズの光軸によって定義される又は前記光軸上に正確に並んでいる、(光学的)格子位置で正確に位置している。その時独立発光ダイオード351、361間のボンディングに要求される空間は少なくともいくつかの第二光源又は発光ダイオード361を動かすことにより作られる。これは第二照射光352のため(のみ)の光学画像を悪化させるものの、当該悪化は、少なくとも現在は、ボンドワイヤを用いて電気接触する必要のある発光ダイオードとしてのみ利用可能である、第一光源351及び/又は第二光源361のための特に明るい又は高強度の発光ダイオードを用いることにより埋め合わせられるまたは過剰にさえ埋め合わせられる。
【0120】
「有する」という用語は他の要素を排除せず、「1つ又は」という単語は複数のものを排除しないことに注目されたい。様々な例示された実施形態と関連して説明された要素はまた、組み合わせてもよい。特許請求の範囲における符号は、特許請求の範囲内に制限されるものとして構成されるべきではないことにもまた注目すべきである。
【符号の説明】
【0121】
100 自動設置機構
101 フレーム機構
102 設置領域
103 搬送デバイス
104 組み立て部品供給システム
104a 組み立て部品ピックアップ位置
105 測位システム
105a 固定部品/固定キャリアレール
105b 可動部品/可動キャリアアーム
105c 装着部品
106 データ処理デバイス/操作デバイス
120 設置ヘッド
120a シャシー
121 第一環状リングキャリア
122 第二環状リングキャリア
123 組み立て部品保持デバイス
125カメラシステム
130 カメラ
190 組み立て部品キャリア
192 電子組み立て部品/対象
T 搬送方向
226 キャリア機構
227 カバープレート
230a 対象面
240 照射デバイス
285 カメラセンサ
86 カメラ光学系
342 光吸収体
350 第一照射機構
351 第一光源
352 第一照射光
354 レンズアレイ
355 独立レンズ
355a 光軸
360 第二照射機構
361 第二光源
362 第二照射光
364 共通回路基板
364a 共通焦点面
365 ビームスプリッタキューブ
365a (全反射のための)(第一)内側側壁
365b (全反射のための)追加内側側壁
370 第三照射機構
371 第三光源
372 第三照射光
376 追加共通基盤
456 鏡面境界/ミラーシャフト
465c 反射側壁
474 光学コリメーション配置
474a 屈折光学部品/(フリーフォーム)シリンダーレンズ
474b 反射光学部品/単一湾曲(フリーフォーム)凹面ミラー
475 追加鏡面境界/追加ミラーシャフト
551a 第一ボンドワイヤ
561a 第二ボンドワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】