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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094309
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/12 20060101AFI20240702BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E04H6/12 A
E04H6/42 Z
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219608
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022210059
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 泰大
(72)【発明者】
【氏名】大下 誠人
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】コンセントの防滴および防塵が可能な機械式駐車場を提供する。
【解決手段】機械式駐車場は、車両が積載されるパレット32と、パレット32の上面32aに開口42aを有する格納室42と、格納室42内に配置された、車両へ給電するための給電ケーブル48の端部のプラグ46が差し込まれるコンセント40と、開口42aを閉口可能な蓋部材44と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が積載されるパレットと、
前記パレットの上面に開口を有する格納室と、
前記格納室内に配置された、前記車両へ給電するための給電ケーブルの端部のプラグが差し込まれるコンセントと、
前記開口を閉口可能な蓋部材と、
を備える機械式駐車場。
【請求項2】
前記コンセントは、前記蓋部材の裏面に設けられており、
前記コンセントに対する前記プラグの差込方向は、前記蓋部材の裏面に対して傾斜している、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記コンセントに対する前記プラグの差込方向と前記蓋部材の裏面とのなす角は、0度よりも大きく且つ90度未満である、請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
前記蓋部材は、ヒンジによって開閉可能に構成される、請求項2または3に記載の機械式駐車場。
【請求項5】
前記ヒンジは、前記蓋部材が閉まる速度を減速させるダンパーヒンジである、請求項4に記載の機械式駐車場。
【請求項6】
前記コンセントの周囲を囲むように前記蓋部材の裏面から突出する囲み部を備える、請求項2または3に記載の機械式駐車場。
【請求項7】
前記給電ケーブルを挿通する給電ケーブル挿通部を前記蓋部材に備える、請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項8】
前記コンセントに接続するコンセントケーブルを挿通するコンセントケーブル挿通部を前記格納室の側面に備える、請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項9】
前記蓋部材は、スライド移動して前記開口を閉口可能に構成される、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項10】
前記蓋部材は、前記プラグが前記コンセントに差し込まれた状態で、少なくとも前記コンセントおよびプラグを覆うように構成される、請求項9に記載の機械式駐車場。
【請求項11】
前記蓋部材は、自動でスライド移動するように構成される、請求項9に記載の機械式駐車場。
【請求項12】
前記開口を閉じる方向に前記蓋部材を付勢する付勢部材をさらに備える、請求項11に記載の機械式駐車場。
【請求項13】
前記蓋部材のスライド移動の速度を可変可能に構成された移動機構をさらに備える、請求項11に記載の機械式駐車場。
【請求項14】
前記コンセントに前記プラグが差し込まれたことを検出するセンサと、
前記センサにより前記プラグの差し込みが検出されたときに、前記蓋部材をスライド移動させる移動機構と、
をさらに備える、請求項10に記載の機械式駐車場。
【請求項15】
前記コンセントに対する前記プラグの差込方向は、前記パレットの上面に対して傾斜している、請求項9に記載の機械式駐車場。
【請求項16】
前記格納室は、当該格納室内に侵入した水を排出するための排水孔を備える、請求項2または9に記載の機械式駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に車両を載置し、このパレットを縦横にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト(昇降機構)及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年、低騒音でクリーンな電気自動車やプラグインハイブリッド車(以下これらをEV車と総称する)が普及し始めている。EV車はそれに搭載されているリチウムイオン電池などの二次電池からの電力を動力源としている。この二次電池を充電するためには、現状数十分から数時間の充電時間が必要である。そこで、パレットにコンセント等の給電手段を設け、駐車場にEV車を駐車している時間を利用してEV車の二次電池を充電する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-197417号公報
【特許文献2】特開2012-107447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パレットに給電用のコンセントを設けた機械式駐車場においては、コンセントの故障やショートを防ぐため、コンセントの防滴および防塵の対策が必要である。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンセントの防滴および防塵が可能な機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機械式駐車場は、車両が積載されるパレットと、パレットの上面に開口を有する格納室と、格納室内に配置された、車両へ給電するためのプラグが差し込まれるコンセントと、開口を閉口可能な蓋部材と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンセントの防滴が可能な機械式駐車場を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る機械式駐車場の断面図である。
図2図1のB1F駐車室の平面図である。
図3】パレットを示す概略斜視図である。
図4】コンセントが設けられるパレットの右側前部の概略拡大斜視図である。
図5】蓋部材をスライド移動して、開口を閉じた状態を示す図である。
図6】コンセントにプラグが差し込まれた状態を示す概略斜視図である。
図7】コンセントにプラグが差し込まれた状態を示す概略側面図である。
図8】コンセントの配置の変形例を示す図である。
図9】蓋部材の開閉方法に関する変形例を示す図である。
図10図10(a)および図10(b)は、回転スライド式の蓋部材を説明するための図である。
図11図11(a)および図11(b)は、回転スライド式の蓋部材を説明するための図である。
図12】蓋部材の開閉方法に関するさらなる変形例を示す図である。
図13図13(a)および図13(b)は、蓋部材の開閉方法に関するさらなる変形例を示す図である。
図14】別の実施の形態に係る機械式駐車場における格納室内の構成を示す概略断面図である。
図15】別の実施の形態に係る機械式駐車場において、蓋部材の裏面を示す概略図である。
図16】別の実施の形態に係る機械式駐車場において、蓋部材を開いた状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の断面図である。図2は、図1のB1F駐車室14の平面図である。なお、B2F駐車室16およびB3F駐車室18は、B1F駐車室14と同様に構成される。
【0013】
機械式駐車場10は、地上に設けられた建物104の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。なお、機械式駐車場10は、地上の建物のなかに設けられた地上式の機械式駐車場であってもよい。
【0014】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F駐車室14と、地下2階の駐車室であるB2F駐車室16と、地下3階の駐車室であるB3F駐車室18と、複数のパレット32と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、を備える。なお、マスト90は、昇降路96の2隅に2本備えられてもよい。
【0015】
パレット32は平板状の部材であり、車両が搭載される上面すなわち車両搭載面32aは略矩形である。機械式駐車場10は、パレット32を用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて車両20が搭載された状態のパレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用して縦横方向に2次元的に移動させたりすることにより、駐車室に車両20を駐車させる構成とされている。
【0016】
B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18は、それぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に縦方向(図のx方向)に5行、縦方向と実質的に直交する横方向(図のy方向)に2列のマトリクス状に配列される。なお、当然ながら駐車スペースの配置はこれに限定されない。各駐車スペースは平面視で略矩形を有し、パレット32を収容可能に構成される。駐車スペースはパレット32と共に車両20が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0017】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物104内に設けられている。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には、乗降室12と昇降路96とを連通する平面視で略矩形状のパレット開口100が設けられている。
【0018】
昇降路96は、鉛直方向(z方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には、リフトフレーム88を昇降させる昇降装置94が設置される。昇降路96の四隅には、4本のマスト90が設けられる。
【0019】
リフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持され、昇降装置94により昇降路96に沿って昇降する。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が設けられる。なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009-197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0020】
第1移載装置56の上部にはパレット32が搭載される。第1移載装置56は、面内の1方向(図のx方向)にパレット32を移動可能に構成される。第2移載装置58は各駐車スペースに設けられており、駐車スペースをまたいでパレット32をx方向およびy方向に移動させる。y方向はx方向およびz方向の両方に直交する方向である。第1移載装置56および第2移載装置58には、本出願人が先に出願した特公平7-29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。図2に示すように、駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいでパレット32が移動する際にそれを支持する転倒防止ローラ38が設置される。
【0021】
図3は、パレット32を示す概略斜視図である。上述したように、パレット32は平板状の部材であり、車両が搭載される上面32a(車両搭載面)は略矩形である。本実施の形態においては、パレット32の右側前部に、給電を行うためのコンセント40が設けられている。なお、コンセント40が設けられる位置はパレット32の右側前部に限定されず、例えば左側前部や中央前部に設けられてもよい。
【0022】
図4は、コンセント40が設けられるパレット32の右側前部の概略拡大斜視図である。図4に示すように、パレット32は、その上面32aに開口42aを有する格納室42を備える。コンセント40は、格納室42内に配置される。格納室42の上部には、スライド移動して開口42aを閉口可能な蓋部材44が設けられている。図5は、蓋部材44をスライド移動して、開口42aを閉じた状態を示す。
【0023】
このように、パレット32の上面32aよりも下方に設けられた格納室42内にコンセント40を配置することにより、コンセントが上面32aから飛び出して配置されている場合と比較して、車両20の駐車に与える影響を小さくすることができる。また、格納室42の開口42aを覆う蓋部材44を備えることにより、コンセントの防滴および防塵が可能である。
【0024】
図6は、コンセント40にプラグ46が差し込まれた状態を示す概略斜視図である。図7は、コンセント40にプラグ46が差し込まれた状態を示す概略側面図である。図7に示すように、格納室42にはコンセントブラケット43が設けられている。コンセント40は、コンセントブラケット43に支持されている。
【0025】
プラグ46には給電ケーブル48がつながれており、この給電ケーブル48を介して車両に電力が供給される。図6および図7に示すように、蓋部材44は、プラグ46がコンセント40に差し込まれた状態で、少なくともコンセント40およびプラグ46を覆うように構成される。このように蓋部材44でコンセント40およびプラグ46を覆うことにより、水滴がコンセント40の差込口に到達するのを防ぐことができるので、ショートを防ぐことができる。
【0026】
本実施の形態においては、蓋部材44は、格納室42の上部をパレット32の長手方向(長さ方向)にスライド移動して、格納室42の開口42aの少なくとも一部を閉じている。このように、蓋部材44をスライド式とすることにより、蓋部材44の開閉の際に、蓋部材44がパレット32の上面32aより上に上がることがない。蓋部材がパレット32の上面32aより上に上がる構成の場合、蓋部材が車両の一部と干渉して、蓋部材を開くことができない虞がある。本実施の形態では、蓋部材44をスライド式としたことにより、このような事態が生じることはなく、安定して蓋部材44の開閉を行うことができる。
【0027】
また本実施の形態においては、蓋部材44は、自動でスライド移動するように構成されている。「自動」とは、「人の操作によらず」という意味である。図7に示すように、格納室42には、開口42aを閉じる方向に蓋部材44を付勢する付勢部材としてのばね50が設けられている。ばね50で常に蓋部材44を付勢することにより、閉め忘れ等により開口42aが開いたままになることを防止できるので、防滴性および防塵性をさらに高めることができる。
【0028】
図7は充電中の状態を示しているが、充電が完了してプラグ46をコンセント40から抜いた後に、閉め忘れ等により開口42aが開いたままになることも防止できるので、コンセント40を使用していない間の防滴および防塵も確実に行うことができる。
【0029】
蓋部材44を自動でスライド移動させる構成は単純な付勢部材に限定されず、複数の部材を組み合わせた移動機構として構成されてもよい。移動機構は、蓋部材44のスライド移動の速度を可変可能に構成されてもよい。例えば、初めはゆっくりスライド移動し、その後スライド移動速度が速くなるようにしてもよい。このような移動機構は、複数のばねやダンパーなど機械的な部品の組み合わせで実現可能である。これにより、プラグ46を挿すときに利用者が慌てて怪我をするといった事態を防止できる。
【0030】
コンセント40にプラグ46が差し込まれたことを検出するセンサを備え、移動機構は、センサによりプラグ46の差し込みが検出されたときに、蓋部材44をスライド移動させてもよい。
【0031】
格納室42の底面または側面には、当該格納室内に侵入した水を排出するための排水孔47が設けられてもよい。この場合、進入した水によるショートを防止できるので、安全性を向上できる。
【0032】
図8は、コンセント40の配置の変形例を示す。図7等においては、コンセント40に対するプラグ46の差込方向は、水平方向(パレット32の上面32aと平行な方向)であったが、図8に示すように、プラグ46の差込方向は、斜め上方を向くよう、パレット32の上面32aに対して傾斜していてもよい。差込方向の傾斜は、例えば30度、45度、90度などであってよい。この場合、コンセント40へのプラグ46の差し込みが容易となる。
【0033】
図9は、蓋部材44の開閉方法に関する変形例を示す。図4に示す実施形態では、蓋部材44は、パレット32の長手方向にスライド移動するように構成されていた。図9に示す変形例では、蓋部材44は、パレット32の短手方向(幅方向)にスライド移動するように構成されている。この場合も、図4に示す実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
【0034】
蓋部材44の開閉方法に関するさらなる変形例を示す。図10(a)および図10(b)は、回転スライド式の蓋部材44を説明するための図である。図10(a)は格納室42の概略斜視図であり、図10(b)は格納室42の概略正面図である。図10(a)および図10(b)は、プラグが差し込まれていない状態を示す。図11(a)および図11(b)も、回転スライド式の蓋部材44を説明するための図である。図11(a)は格納室42の概略斜視図であり、図11(b)は格納室42の概略正面図である。図10(a)および図10(b)は、プラグ46がコンセント40に差し込まれた状態を示す。
【0035】
本変形例においては、蓋部材44は円弧状であり、コンセント40の中心を軸として回転するように構成されている。蓋部材44は、付勢部材(図示せず)により、自動で開口42aを閉じる方向に回転スライドするよう構成されている。図4に示す実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。なお、蓋部材44の形状は円弧状に限られず、平板状など他の形状であってもよい。
【0036】
図12は、蓋部材44の開閉方法に関するさらなる変形例を示す。本変形例では、蓋部材44はスライド移動ではなく、スプリングヒンジ41によって自動に開口42aを閉口可能に構成されている。本変形例においては、蓋部材44がパレット32の上面32aより上に上がるという点を除いては、図4に示す実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。
【0037】
図13(a)および図13(b)は、蓋部材44の開閉方法に関するさらなる変形例を示す。図13(a)は蓋部材44を開いた状態を示し、図13(b)は蓋部材44を閉じた状態を示す。本変形例では、蓋部材44が開くのに応じて、プラグを差し込み可能な位置にコンセント40が移動するよう構成されている。蓋部材44は、コンセント40を支持するコンセントブラケット43と一体的に設けられている。蓋部材44が閉まると、コンセントブラケット43とともにコンセント40も水平方向に移動する。蓋部材44とコンセントブラケット43を一体的にすることにより、蓋部材44の強度を増すことができる。蓋部材44が開くとともに、コンセント40の角度が変化するよう構成されてもよい。例えば、蓋部材が開くとともに、プラグをコンセント40に差し込みやすくなるようコンセント40が傾斜してもよい。
【0038】
図14は、別の実施の形態に係る機械式駐車場における格納室内の構成を示す概略断面図である。本実施の形態に係る機械式駐車場も、図3に示す実施の形態と同様に、平板状のパレット132を備えている。パレット132の上面132aは水平である。
【0039】
パレット132の一部には、その上面132aに開口142aを有する格納室142が設けられている。格納室142は、箱状体であってよい。格納室142の上部には、開口142aを閉口可能な蓋部材144が設けられている。蓋部材144は、ヒンジ141により格納室142の側壁に支持されている。蓋部材144は、ヒンジ141により、上下方向に開閉可能に構成されている。図14は、蓋部材144により格納室142の開口142aが閉じられた状態を示す。蓋部材144は平板状の部材であってよい。蓋部材144が閉状態のとき、蓋部材144の表面144aは、パレット132の上面132aと平行であってよい。また、蓋部材144が閉状態のとき、蓋部材144の表面144aは、パレット132の上面132aに対して段差を有してもよいし、パレット132の上面132aと面一であってもよい。
【0040】
格納室142内には、給電ケーブル48の端部に設けられたプラグ46が差し込まれるコンセント140が配置される。コンセント140は、差込口を有する差込面140aを備える。コンセント140の差込面140aに垂直な方向を、プラグ46の差込方向Dとする。コンセント140の差込面140aの手前に配置したプラグ46を差込方向Dに移動させることにより、コンセント140にプラグを差し込むことができる。
【0041】
プラグ46から延びる給電ケーブル48は、蓋部材144に設けられた給電ケーブル挿通部144cを介して格納室142の外部に引き出され、車両(図示せず)に接続される。給電ケーブル挿通部144cは、蓋部材144に設けられた貫通孔であってもよいし、切欠き部であってもよい。給電ケーブル挿通部144cは、蓋部材144の開閉を行う際に指を差し入れる指入れ孔と共通にされてもよいし、指入れ孔とは別に設けられてもよい。
【0042】
コンセント140にはコンセントケーブル145が接続されている。コンセントケーブル145は、格納室142の側面に設けられた挿通部146を介して格納室142の外部に引き出され、電源(図示せず)に接続される。格納室142の側面の挿通部146から侵入した水は、側面を伝って下方に流れ、格納室142の底面に形成された排水孔(図示せず)から排出される。
【0043】
本実施の形態において、コンセント140は、蓋部材144の裏面144bに設けられている。蓋部材144の裏面144bとは、蓋部材144が閉状態のときに、格納室142に面する面である。蓋部材144の裏面144bは、蓋部材144が閉状態のとき水平である。コンセント140は、コンセントブラケット143により蓋部材144の裏面144b上に支持されている。
【0044】
さらに本実施の形態では、コンセント140に対するプラグ46の差込方向Dは、蓋部材144の裏面144bに対して傾斜している。言い換えると、コンセント140に対するプラグ46の差込方向Dと蓋部材144の裏面144bとのなす角θは、0度よりも大きく且つ90度未満となっている。このなす角θは、例えば10度~30度の範囲内であってよく、例えば15度であってよい。
【0045】
図14に示すように、蓋部材144に設けられた挿通部146から給電ケーブル48が引き出されており、この給電ケーブル48を伝って水が格納室142内に侵入する可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、プラグ46の差込方向Dが水平な蓋部材144の裏面144bに対して傾斜していることにより、給電ケーブル48を伝って格納室142内に侵入した水がコンセント140の差込面140aまで到達し難くなっているため、ショートを防ぐことができ、安全性を向上できる。
【0046】
図15は、蓋部材144の裏面144bを示す概略図である。図14および図15に示すように、蓋部材144の裏面144bには、コンセント140の周囲を囲むように裏面144bから突出する囲み部147が設けられている。この囲み部147は、蓋部材144の裏面144bを伝って格納室142内に侵入した水がコンセント140の差込面140aまで到達するのを防止する。この囲み部147によりショートを防ぐことができ、安全性をさらに向上できる。
【0047】
図16は、蓋部材144を開いた状態を示す概略断面図である。上述したように、蓋部材144は、ヒンジ141により、上下方向に開閉可能である。蓋部材144は、ヒンジ141を支点にして、例えば0度~90度の範囲で開閉可能であってよい。
【0048】
コンセント140にプラグ46を差し込む際には、蓋部材144を開く。図16に示すように、蓋部材144を開くと、蓋部材144の裏面144bに設けられたコンセント140が格納室142の外部に引き出される。コンセント140が引き出されることにより、コンセント140の差込面140aが上向きとなるので、プラグ46をコンセント140に差し込みやすくなる。
【0049】
さらに本実施の形態においては、上述したように、コンセント140に対するプラグ46の差込方向Dが、なす角θ=0度~90度の範囲で蓋部材144の裏面144bに対して傾斜している。なす角θが0度の場合、すなわち、差込方向Dが蓋部材144の裏面144bと平行な場合、プラグ46を差し込む際に蓋部材144と緩衝し、プラグ46の差込がし難くなる可能性がある。一方、なす角θが90度の場合、すなわち、差込方向Dが蓋部材144の裏面144bに対して垂直な場合、コンセント140の差込面140aが横向きまたは下向きとなるため、プラグ46の差込がし難くなる可能性がある。本実施の形態のように、差込方向Dを蓋部材144の裏面144bに対して傾斜させることにより、コンセント140へのプラグ46の差し込み作業が容易となるので、利用者の利便性を向上できる。
【0050】
ヒンジ141は、通常のヒンジの場合と比較して蓋部材144が閉まる速度を減速させることのできるダンパーヒンジであってもよい。本実施の形態においては、蓋部材144の裏面144bにコンセント140を設けているので、その分、蓋部材144が重くなり、蓋部材144が閉まる速度が速くなりがちである。ヒンジ141としてダンパーヒンジを採用して蓋部材144が閉まる速度を遅くすることにより、コンセント140にプラグ46を差し込む際の安全性を向上できる。
【0051】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0052】
10 機械式駐車場、 12 乗降室、 32、132 パレット、 40、140 コンセント、 41 スプリングヒンジ、 42、142 格納室、 43、143 コンセントブラケット、 44、144 蓋部材、 46 プラグ、 48 給電ケーブル、 141 ヒンジ、 145 コンセントケーブル、 147 囲み部。
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図16