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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094311
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20240702BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20240702BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240702BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240702BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20240702BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K85/30
H10K85/60
C09K11/06 690
H10K101:10
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219842
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】202211673880.X
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202311497183.8
(32)【優先日】2023-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】桑 明
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 春▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】田 学超
(72)【発明者】
【氏名】蔡 劉歓
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】夏 伝軍
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
3K107FF13
3K107FF20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を開示する。
【解決手段】該有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極110、陰極190、および陽極110と陰極190との間に設けられた有機層を含む。前記有機層は、少なくとも発光層150を含む。前記発光層150には、式1で表される構造を有する第1の化合物、高い三重項状態エネルギーレベルを有する第1のホスト材料および第2のホスト材料が含まれる。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陰極、および前記陽極と陰極との間に設けられた有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機層は、発光層を含み、前記発光層には、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料が含まれ、
前記第1のホスト材料および第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、いずれも前記第1の化合物の三重項状態エネルギーレベルよりも高く、
前記第1の化合物は、式1で表される構造を有し、
【化1】

式1中、環A、環B、環Eは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環から選ばれ、
金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、yは、1、2、3、4または5であり、
~Kは、出現毎に同一または異なって単結合、OまたはSから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
式1におけるRは、式2で表される構造を有し、
【化2】

式2中、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって一置換または複数置換を表し、
R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2における環Nにおいて少なくとも1つのRは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、前記式2の結合箇所を表し、
隣り合う置換基R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよい、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記Mは、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrまたはPtから選ばれ、好ましくは、前記Mは、PtまたはPdから選ばれ、より好ましくは、前記Mは、Ptから選ばれる、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって5員不飽和炭素環、炭素原子数6~30のアリール環、炭素原子数3~30のヘテロアリール環、またはこれらの組合せから選ばれ、
好ましくは、前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって5員不飽和炭素環、炭素原子数6~18のアリール環、炭素原子数3~18のヘテロアリール環、またはこれらの組合せから選ばれ、
より好ましくは、前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なってベンゼン環、ピリジン環、インデン環、フルオレン環、インドール環、カルバゾール環、インドロカルバゾール環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾシロール環、ジベンゾシロール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾセレノフェン環、シクロペンタジエン環、フラン環、チオフェン環、シロール環、またはこれらの組合せから選ばれる、
請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~18の不飽和ヘテロ環から選ばれ、
好ましくは、前記環Dは、出現毎に同一または異なってイミダゾールカルベン環またはベンズイミダゾールカルベン環から選ばれる、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記Lは、単結合、O、S、(SiR’’R’’)、NR’’、またはこれらの組合せから選ばれ、前記yは、1または2であり、
好ましくは、前記L単結合、OまたはSから選ばれ、
より好ましくは、前記Lは、単結合から選ばれる、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記K~Kは、単結合から選ばれる、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記Zは、Nから選ばれ、ZおよびZは、Cから選ばれる、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記第1の化合物は、式1-1~式1-20のうちの1つで表される構造を有し、
【化3】

【化4】

【化5】

式1-1~式1-20中、
は、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
yは、出現毎に同一または異なって1、2、3、4または5から選ばれ、
~X20は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Rは、式2-1で表される構造を有し、
【化6】
式2-1中、F~Fは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、G~Gは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、N~Nは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、且つN~Nのうちの少なくとも1つは、CRであり、
R’、R’’、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
そのうち少なくとも1つの前記Rは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R’、R’’、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよく、
好ましくは、前記第1の化合物は、式1-1または式1-2で表される構造を有する、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記NまたはNは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、フッ素、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~6のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~6のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~12のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~6のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~6のアルキルゲルマニウム基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
より好ましくは、前記Rは、出現毎に同一または異なって非置換の炭素原子数1~6のアルキル基、一部または全部重水素化された炭素原子数1~6のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~6のシクロアルキル基、若しくは一部または全部重水素化された環炭素原子数3~6のシクロアルキル基から選ばれ、
最も好ましくは、前記Rは、出現毎に同一または異なってメチル基、重水素化メチル基、エチル基、一部または全部重水素化されたエチル基、n-プロピル基、一部または全部重水素化されたn-プロピル基、イソプロピル基、一部または全部重水素化されたイソプロピル基、シクロプロピル基、一部または全部重水素化されたシクロプロピル基、n-ブチル基、一部または全部重水素化されたn-ブチル基、イソブチル基、一部または全部重水素化されたイソブチル基、tert-ブチル、一部または全部重水素化されたtert-ブチル、シクロペンチル基、一部または全部重水素化されたシクロペンチル基、シクロヘキシル基、一部または全部重水素化されたシクロヘキシル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、
請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記X~X20は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる、
請求項8または9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記Lは、単結合、O、S、(SiR’’R’’)、NR’’、またはこれらの組合せから選ばれ、前記R’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記L単結合、OまたはSから選ばれ、
より好ましくは、前記Lは、Oから選ばれる、
請求項8または9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
前記R、R’、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記R、R’、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、重水素化メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリメチルシリル基、カルバゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、
請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
前記Rは、出現毎に同一または異なって構造An-1~構造An-82および構造An-92からなる群から選ばれ、
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

構造An-1~構造An-82および構造An-92における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
前記第1の化合物は、Pt(L)(L)またはPd(L)(L)で表される構造を有し、LおよびLは、それぞれ金属PtまたはPdと配位する第1の配位子および第2の配位子であり、前記Lは、L1-1~L1-76、L1-86~L1-93、L2-1~L2-42、L3-1~L3-40、L4-1~L4-17、およびL4-19~L4-53からなる群から選ばれ、
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】
前記L構造における「tBu」は、tert-ブチルを表し、
前記L構造における「#」は、前記構造とLとの結合箇所を表し、
配位子Lは、L1-1~L1-9、L1-12~L1-22、L2-1~L2-30、L3-1~L3-26、L4-1~L4-25、およびL5-1~L5-11からなる群から選ばれ、
【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】
前記L構造における「t-Bu」は、tert-ブチルを表し、「i-Pr」は、イソプロピル基を表し、「TMS」は、トリメチルシリル基を表し、
前記L構造における
【化39】

は、前記構造とLにおける「#」との結合箇所を表し、
好ましくは、前記第1の化合物は、化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt680および化合物Pd1~化合物Pd24からなる群から選ばれ、前記化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt680は、Pt(L)(L)で表される構造を有し、前記Lおよび前記Lは、それぞれ対応して以下の表に示す構造から選ばれ、
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

前記化合物Pd1~化合物Pd24は、Pd(L)(L)で表される構造を有し、前記Lおよび前記Lは、それぞれ対応して以下の表に示す構造から選ばれる、
【表10】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
前記第1のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、2.69eVよりも高く、
好ましくは、前記第1のホスト材料は、式3~式5のうちのいずれか1つで表される構造を有し、
【化40】

式3中、Z~Zは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、且つZ~Zのうちの少なくとも1つは、Nであり、
Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式4または式5中、Zは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、且つ少なくとも1つのZは、Nであり、
Zは、出現毎に同一または異なってOまたはSから選ばれ、
~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
式3中、前記Z~Zのうちの少なくとも2つは、Nであり、好ましくは、Z~Zは、Nである、
請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
式3中、前記Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリーレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記Lは、出現毎に同一または異なって単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、トリフェニレニレン、フリレン基、チエニレン基、ジベンゾフリレン基、ジベンゾチエニレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、
請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
より好ましくは、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、シアノ基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、トリアジン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、
請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
前記第1のホスト材料は、化合物N-1-1~化合物N-1-60、化合物N-2-1~化合物N-2-35からなる群から選ばれ、
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】
化合物N-1-1~化合物N-1-53、化合物N-1-58、化合物N-2-1~化合物N-2-32の構造における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい、請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、2.69eVよりも高く、
好ましくは、前記第2のホスト材料は、式6で表される構造を有し、
【化49】

式6中、
11は、単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Ar11は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数0~30のアミノ基、またはこれらの組合せから選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
より好ましくは、前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、シアノ基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記第2のホスト材料は、化合物P-1~化合物P-31からなる群から選ばれ、
【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】
前記化合物P-1~化合物P-23、化合物P-27~化合物P-31の構造における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい、
請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
前記第1の化合物は、りん光発光材料であり、第1のホスト材料は、n型ホスト材料であり、第2のホスト材料は、p型ホスト材料である、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
前記素子は、青色光を放射する、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む、
電子機器。
【請求項26】
第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料を含む化合物組成物であって、
前記第1のホスト材料および第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、いずれも前記第1の化合物の三重項状態エネルギーレベルよりも高く、
前記第1の化合物は、式1で表される構造を有し、
【化55】

式1中、環A、環B、環Eは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環から選ばれ、
金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
yは、1、2、3、4または5であり、
~Kは、出現毎に同一または異なって単結合、OまたはSから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
式1におけるRは、式2で表される構造を有し、
【化56】

式2中、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって一置換または複数置換を表し、
R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2における環Nにおいて少なくとも1つのRは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、前記式2の結合箇所を表し、
隣り合う置換基R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよい、
化合物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。特に、有機発光層において式1で表される構造を有する第1の化合物、および高い三重項状態エネルギーレベルを有する第1のホスト材料および第2のホスト材料からなる新規な材料組合せが含まれる有機エレクトロルミネッセンス素子、該有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子機器、式1で表される構造を有する第1の化合物、ならびに高い三重項状態エネルギーレベルを有する第1のホスト材料および第2のホスト材料の化合物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、寿命が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス寿命を有することが望まれている。
【0008】
US20210284672A1では、以下の一般式構造を含む金属錯体、およびその有機エレクトロルミネッセンス素子における使用が開示している。
【化1】

または
【化2】

ただし、RA1、RA2、RA4、RA5、RA6のうちの少なくとも1つは、
【化3】

【化4】

または
【化5】

で表される構造を含み、化合物が
【化6】

の構造から選ばれる場合、RA1およびRA2のうちの1つは、
【化7】
であり、且つR、RおよびRのうちの少なくとも1つは、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。該出願では、具体的な構造において一部のプラチナ金属化合物、たとえば
【化8】

および
【化9】

が開示されており、素子の実施例において、前記金属錯体が発光材料として、化合物が
【化10】
単一ホストとして有機エレクトロルミネッセンス素子に適用されることにより、良好な効果を取得することができることを開示している。しかしながら、該出願では、前記金属錯体と二重ホスト材料の組合せが開示または教示されていおらず、さらに、前記金属錯体と二重ホスト材料の組合せの有機エレクトロルミネッセンス素子における使用が開示または教示されていない。
【0009】
US20220112231A1では、発光素子が開示されている。その発光層には、客体である金属発光材料が含まれ、その一般式は、
【化11】

ただし、CY~CYは、それぞれ独立してC~C60の炭素環またはC~C60のヘテロ環から選ばれる。これから分かるように、該出願では、ベンズイミダゾールにおいて特定の縮合環構造がある金属錯体が開示されている。該出願では、具体的な構造において以下の構造が開示されている。
【化12】
【化13】
【0010】
素子の実施例において、前記金属錯体を発光材料として、CBPを単一ホストとして用いることにより、その発光素子の性能を検討することが開示されている。しかしながら、該出願では、前記金属錯体と二重ホスト材料の組合せが開示または教示されていおらず、さらに、前記金属錯体と二重ホスト材料の組合せの有機エレクトロルミネッセンス素子における使用が開示または教示されていない。
【0011】
上述した従来技術において、一部のイミダゾールカルベンのN位置に複数置換芳香族基がある金属錯体が開示されており、異なる種類のホスト材料と組み合わせて青色光素子に用いられることができる。しかしながら、これらの青色りん光素子に対する検討において、その電圧、素子の効率、耐用年数などには未だ一定の制限があるので、青色りん光素子について深く研究開発する必要がある。本発明者は、深く研究することにより、イミダゾールカルベン環に特定の複数置換芳香族基がある金属錯体を発光材料として高い三重項状態を有する二重ホスト材料と組み合わせた新規な材料組合せを発見した。この新規な材料組合せが青色りん光発光素子に用いられることにより、より優れた素子の性能を予想外に取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第20210284672号
【特許文献2】米国特許出願公開第20220112231号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、少なくとも一部の上述した問題を解決するために、新規な材料組合せを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。前記有機エレクトロルミネッセンス素子には、式1で表される構造を有する第1の化合物、ならびに高い三重項状態エネルギーレベルを有する第1のホスト材料および第2のホスト材料からなる新規な材料組合せが用いられる。この新規な材料組合せは、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いられることができる。この新規な材料組合せは、素子において優れた綜合的な素子の性能、例えば、電圧が低く、効率が高く、および/または耐用年数が長いなどを示す。これらの利点は、青色光素子のレベルの向上に対して極めて大きく寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機層は、発光層を含み、前記発光層には、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料が含まれ、
前記第1のホスト材料および第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルがいずれも前記第1の化合物の三重項状態エネルギーレベルよりも高く、
前記第1の化合物は、式1で表される構造を有し、
【化14】

式1中、環A、環B、環Eは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環から選ばれ、
金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
yは、1、2、3、4または5であり、
~Kは、出現毎に同一または異なって単結合、OまたはSから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
式1におけるRは、式2で表される構造を有し、
【化15】

式2中、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって一置換または複数置換を表し、
R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2における環Nにおいて少なくとも1つのRは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、前記式2の結合箇所を表し、
隣り合う置換基R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよい、有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【0016】
本発明の他の実施例によれば、上述した有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子機器がさらに開示される。
【0017】
本発明の他の実施例によれば、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料を少なくとも含む化合物組成物が開示される。
【0018】
本発明は、新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を開示する。前記有機エレクトロルミネッセンス素子には、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料からなる新規な材料組合せが用いられる。この新規な材料組合せは、エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いられることができる。この新規な材料組合せは、素子において優れた綜合的な素子の性能、例えば、低い電圧、高い効率、長い耐用年数などを示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る化合物組成物を含有してもよい有機発光装置の模式図である。
図2】本発明に係る化合物組成物を含有してもよい別の有機発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0021】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0022】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0023】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。当該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0024】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0025】
本発明の実施例により製造される素子は、当該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0026】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0027】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0028】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0029】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0030】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0031】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0032】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0033】
置換基の専門用語の定義について
【0034】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0035】
アルキル基とは、本明細書に用いられるように直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよく、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキサンであることが好ましい。また、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0036】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように環状のアルキル基を含む。シクロアルキル基は、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基であってもよく、炭素原子数4~10のシクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の実例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。そのうち、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシルであることが好ましい。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0037】
ヘテロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル鎖のうちの1つまたは複数の炭素が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子で置換されてなる。ヘテロアルキル基は、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基であってもよく、炭素原子数1~10のヘテロアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のヘテロアルキル基であることがより好ましい。ヘテロアルキル基の実例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、メトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、トリメチルゲルマニルメチル基、トリメチルゲルマニルエチル基、トリメチルゲルマニルイソプロピル基、ジメチルエチルゲルマニルメチル基、ジメチルイソプロピルゲルマニルメチル基、tert-ブチルジメチルゲルマニルメチル基、トリエチルゲルマニルメチル基、トリエチルゲルマニルエチル基、トリイソプロピルゲルマニルメチル基、トリイソプロピルゲルマニルエチル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリイソプロピルシリルメチル基、トリイソプロピルシリルエチル基を含む。また、ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0038】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖、分岐鎖および環状オレフィン基を含む。鎖状のアルケニル基は、炭素原子数2~20のアルケニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロピレン基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタテトラエニル基およびノルボルニルアルケニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0039】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖のアルキニル基を含む。アルキニル基は、炭素原子数2~20のアルキニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルキニル基であることが好ましい。アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、3-エチル-3-メチル-1-ペンチニル基、3,3-ジイソプロピル1-ペンチニル基、フェニルエチニル基、フェニルプロピニル基などを含む。そのうち、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、フェニルエチニル基であることが好ましい。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0040】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。アリール基は、炭素原子数6~30のアリール基であってもよく、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレンおよびナフタレンであることが好ましい。非縮合アリール基の例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。また、アリール基は、置換されていてもよい。
【0041】
ヘテロ環基とは、本明細書に用いられるように、非芳香族の環状基を考慮する。非芳香族ヘテロ環基は、環原子数3~20の飽和ヘテロ環基および環原子数3~20の不飽和非芳香族ヘテロ環基を含み、そのうちの少なくとも1つの環原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれ、非芳香族ヘテロ環基は、環原子数3~7のものであることが好ましく、窒素、酸素、ケイ素または硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。非芳香族ヘテロ環基の実例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソペンチル、ジオキサニル、アジリジニル、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサシクロヘプタトリエニル、チアシクロヘプタトリエニル、アザシクロヘプタトリエニルおよびテトラヒドロシロールを含む。また、ヘテロ環基は、置換されていてもよい。
【0042】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれる。イソアリール基とは、ヘテロアリール基も指す。ヘテロアリール基は、炭素原子数3~30のヘテロアリール基であってもよく、炭素原子数3~20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素原子数3~12のヘテロアリール基であることがより好ましい。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フランジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0043】
アルコキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アルキル基、-O-シクロアルキル基、-O-ヘテロアルキル基または-O-ヘテロ環基で表される。アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基およびヘテロ環基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アルコキシ基は、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってもよく、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシエチルオキシ、メトキシメチルオキシおよびエトキシメチルオキシを含む。また、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0044】
アリールオキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基およびヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アリールオキシ基は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよく、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例は、フェノキシおよびビフェノキシを含む。また、アリールオキシ基は、置換されていてもよい。
【0045】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール基で置換されたアルキル基を含む。アラルキル基は、炭素原子数7~30のアラルキル基であってもよく、炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7~13のアラルキル基であることがより好ましい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0046】
アルキルシリル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたシリル基を含む。アルキルシリル基は、炭素原子数3~20のアルキルシリル基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルシリル基であることが好ましい。アルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルジエチルシリル、エチルジメチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、トリ-tert-ブチルシリコン、トリイソブチルシリル、ジメチル-tert-ブチルシリル、およびメチルジ-tert-ブチルシリルを含む。また、アルキルシリル基は、置換されていてもよい。
【0047】
アリールシリル基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基で置換されたシリル基を含む。アリールシリル基は、炭素原子数6~30のアリールシリル基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールシリル基であることが好ましい。アリールシリル基の例は、トリフェニルシリル、フェニルジビフェニルシリル、ジフェニルビフェニルシリル、フェニルジエチルシリル、ジフェニルエチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソブチルシリル、ジフェニル-tert-ブチルシリルを含む。また、アリールシリル基は、置換されていてもよい。
【0048】
アルキルゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたゲルマニウム基を含む。アルキルゲルマニウム基は、炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルゲルマニウム基であることが好ましい。アルキルゲルマニウム基の例は、トリメチルゲルマニウム基、トリエチルゲルマニウム基、メチルジエチルゲルマニウム基、エチルジメチルゲルマニウム基、トリプロピルゲルマニウム基、トリブチルゲルマニウム基、トリイソプロピルゲルマニウム基、メチルジイソプロピルゲルマニウム基、ジメチルイソプロピルゲルマニウム基、トリ-tert-ブチルゲルマニウム基、トリイソブチルゲルマニウム基、ジメチル-tert-ブチルゲルマニウム基、メチルジ-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アルキルゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0049】
アリールゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基またはヘテロアリール基で置換されたゲルマニウム基を含む。アリールゲルマニウム基は、炭素原子数6~30のアリールゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールゲルマニウム基であることが好ましい。アリールゲルマニウム基の例は、トリフェニルゲルマニウム基、フェニルジビフェニルゲルマニウム基、ジフェニルビフェニルゲルマニウム基、フェニルジエチルゲルマニウム基、ジフェニルエチルゲルマニウム基、フェニルジメチルゲルマニウム基、ジフェニルメチルゲルマニウム基、フェニルジイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルブチルゲルマニウム基、ジフェニルイソブチルゲルマニウム基、ジフェニル-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アリールゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0050】
アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0051】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換のヘテロ環基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアルキニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアルキルゲルマニウム基、置換のアリールゲルマニウム基、置換のアミノ基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロ環基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルゲルマニウム基、アリールゲルマニウム基、アミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれか1つの基が、重水素、ハロゲン、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基およびこれらの組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0052】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0053】
本明細書で言及される化合物において、水素原子が重水素で一部または全部置換されてもよい。他の原子、例えば炭素および窒素も、それらの他の安定した同位体で置換されてもよい。素子の効率および安定性を向上させるために、化合物において他の安定した同位体の置換が好ましい可能性がある。
【0054】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する当該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0055】
本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣り合う置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣り合う置換基が結合して環を形成してもよい情況を含むだけでなく、隣り合う置換基が結合して環を形成しない情況を含む。隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣り合う置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣り合う置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0056】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化16】
【0057】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化17】
【0058】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、さらに離れる炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化18】
【0059】
また、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【化19】
【0060】
本発明の一実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた有機層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機層は、発光層を含み、前記発光層には、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料が含まれ、
前記第1のホスト材料および第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、いずれも前記第1の化合物の三重項状態エネルギーレベルよりも高く、
前記第1の化合物は、式1で表される構造を有し、
【化20】

式1中、環A、環B、環Eは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環から選ばれ、
金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
yは、1、2、3、4または5であり、
~Kは、出現毎に同一または異なって単結合、OまたはSから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
式1におけるRは、式2で表される構造を有し、
【化21】

式2中、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって炭素原子数5~30の不飽和炭素環、炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環、またはこれらの組合せから選ばれ、
~Zは、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって一置換または複数置換を表し、
R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2における環Nにおいて少なくとも1つのRは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、前記式2の結合箇所を表し、
隣り合う置換基R’’、R、R、R、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよい、有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【0061】
該実施例において、隣り合う2つの置換基R同士は、結合して環を形成していてもよい。前記環は、Te、O、S、Seを含まない環である。
【0062】
該実施例において、隣り合う2つの置換基R同士は、結合して、炭素環またはB、N、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。前記炭素環は、芳香族不飽和炭素環および非芳香族不飽和炭素環を含み、前記ヘテロ環は、芳香族不飽和ヘテロ環および非芳香族不飽和ヘテロ環を含む。
【0063】
本明細書において、「炭素原子数5~30の不飽和炭素環」は、炭素原子数5~30の芳香族不飽和炭素環および非芳香族不飽和炭素環を含む。「炭素原子数3~30の不飽和ヘテロ環」は、炭素原子数3~30の芳香族不飽和ヘテロ環および非芳香族不飽和ヘテロ環を含む。
【0064】
本明細書において、隣り合う置換基R’’、R、R、R、R、R、R、Rが結合して環を形成していてもよいとは、隣り合う置換基グループ、例えば、2つの置換基R’’同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの隣り合う置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0065】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、M(L)(L)の一般式で表される構造を有し、LおよびLは、それぞれ金属Mと配位する第1の配位子および第2の配位子であり、前記Lは、式Aで表される構造を有し、
【化22】

式Aにおける「#」は、Lとの結合箇所を表し、前記Lは、式Bで表される構造を有し、
【化23】

式Bにおける
【化24】

は、Lとの結合箇所を表す。
【0066】
本発明の一実施例によれば、前記Mは、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrまたはPtから選ばれる。
【0067】
本発明の一実施例によれば、前記Mは、PtまたはPdから選ばれる。
【0068】
本発明の一実施例によれば、前記Mは、Ptから選ばれる。
【0069】
本発明の一実施例によれば、前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって5員不飽和炭素環、炭素原子数6~30のアリール環、炭素原子数3~30のヘテロアリール環、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0070】
本発明の一実施例によれば、前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なって5員不飽和炭素環、炭素原子数6~18のアリール環、炭素原子数3~18のヘテロアリール環、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0071】
本発明の一実施例によれば、前記環A、環B、環E、環F、環Gおよび環Nは、出現毎に同一または異なってベンゼン環、ピリジン環、インデン環、フルオレン環、インドール環、カルバゾール環、インドロカルバゾール環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾシロール環、ジベンゾシロール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾセレノフェン環、シクロペンタジエン環、フラン環、チオフェン環、シロール環、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0072】
本発明の一実施例によれば、前記環Dは、出現毎に同一または異なって炭素原子数3~18の不飽和ヘテロ環から選ばれる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、前記環Dは、出現毎に同一または異なってイミダゾールカルベン環またはベンズイミダゾールカルベン環から選ばれる。
【0074】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合、O、S、(SiR’’R’’)、NR’’、またはこれらの組合せから選ばれ、前記yは、1または2である。
【0075】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合、OまたはSから選ばれる。
【0076】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合から選ばれる。
【0077】
本発明の一実施例によれば、前記K~Kは、単結合から選ばれる。
【0078】
本発明の一実施例によれば、前記Zは、Nから選ばれ、ZおよびZは、Cから選ばれる。
【0079】
本発明の一実施例によれば、前記Z~Zは、Cから選ばれる。
【0080】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、式1-1~式1-20のうちの1つで表される構造を有し、
【化25】

【化26】

【化27】

式1-1~式1-20中、
は、出現毎に同一または異なって単結合、O、S、Se、(SiR’’R’’)、PR’’、NR’’、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
yは、出現毎に同一または異なって1、2、3、4または5から選ばれ、
~X20は、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
Rは、式2-1で表される構造を有し、
【化28】

式2-1中、F~Fは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、G~Gは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、N~Nは、それぞれ独立してCRまたはNから選ばれ、且つN~Nのうちの少なくとも1つは、CRであり、
R’、R’’、R、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
そのうち少なくとも1つの前記Rは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R’、R’’、R、R、R、Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0081】
該実施例において、隣り合う2つの置換基R同士は、結合して環を形成していてもよい。前記環は、Te、O、S、Seを含まない環である。
【0082】
該実施例において、隣り合う2つの置換基R同士は、結合して炭素環またはB、N、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロ環を形成していてもよい。前記炭素環は、芳香族不飽和炭素環および非芳香族不飽和炭素環を含む。前記ヘテロ環は、芳香族不飽和ヘテロ環および非芳香族不飽和ヘテロ環を含む。
【0083】
本明細書において、隣り合う置換基R’、R’’、R、R、R、Rが結合して環を形成していてもよいとは、隣り合う置換基グループ、例えば、2つの置換基R’’同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの隣り合う置換基グループがいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0084】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、式1-1または式1-2で表される構造を有する。
【0085】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、
【化29】

で表される構造を含まない。
【0086】
本発明の一実施例によれば、前記R、R’、R、R、Rは、いずれも
【化30】

で表される構造を含まない。
【0087】
本発明の一実施例によれば、前記R、R’、R、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換のO、S、Se、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換のO、S、Se、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0088】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0089】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数4~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0092】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、
【化31】

(「*」は、結合位置を表す)から選ばれ、ただし、R’は、出現毎に同一または異なってハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0093】
本発明の一実施例によれば、前記NおよびNは、それぞれ独立してCHまたはCDから選ばれる。
【0094】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって重水素、フッ素、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~6のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~6のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~12のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~6のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~6のアルキルゲルマニウム基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって非置換の炭素原子数1~6のアルキル基、一部または全部重水素化された炭素原子数1~6のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~6のシクロアルキル基、若しくは一部または全部重水素化された環炭素原子数3~6のシクロアルキル基から選ばれる。
【0096】
本発明の一実施例によれば、前記Nは、CRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なってメチル基、重水素化メチル基、エチル基、一部または全部重水素化されたエチル基、n-プロピル基、一部または全部重水素化されたn-プロピル基、イソプロピル基、一部または全部重水素化されたイソプロピル基、シクロプロピル基、一部または全部重水素化されたシクロプロピル基、n-ブチル基、一部または全部重水素化されたn-ブチル基、イソブチル基、一部または全部重水素化されたイソブチル基、tert-ブチル、一部または全部重水素化されたtert-ブチル、シクロペンチル基、一部または全部重水素化されたシクロペンチル基、シクロヘキシル基、一部または全部重水素化されたシクロヘキシル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0097】
本発明の一実施例によれば、前記X~X20は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる。
【0098】
本発明の一実施例によれば、前記XおよびX10は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つ前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換のO、S、Se、B、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換のO、S、Se、B、Si、PおよびGe原子から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0099】
本発明の一実施例によれば、前記F~Fは、それぞれ独立してCRから選ばれる。
【0100】
本発明の一実施例によれば、前記G~Gは、それぞれ独立してCRから選ばれる。
【0101】
本発明の一実施例によれば、前記N~Nは、それぞれ独立してCRから選ばれる。
【0102】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合、O、S、(SiR’’R’’)、NR’’、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0103】
本発明の一実施例によれば、前記R’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0104】
本発明の一実施例によれば、前記R’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、重水素化メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリメチルシリル基、カルバゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0105】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合、OまたはSから選ばれる。
【0106】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、Oから選ばれる。
【0107】
本発明の一実施例によれば、前記R、R’、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0108】
本発明の一実施例によれば、前記R、R’、R、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、重水素化メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリメチルシリル基、カルバゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0109】
本発明の一実施例によれば、そのうち少なくとも1つの前記Rは、重水素、ハロゲン、または置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基から選ばれる。
【0110】
本発明の一実施例によれば、そのうち少なくとも1つの前記Rは、重水素、ハロゲン、または置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基から選ばれる。
【0111】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、いずれも重水素から選ばれる。
【0112】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、いずれも重水素から選ばれる。
【0113】
本発明の一実施例によれば、前記式2-1は、出現毎に同一または異なってAn-1~An-82、An-92からなる群から選ばれ、前記An-1~An-82、An-92の具体的な構造は、請求項13に示される。
【0114】
本発明の一実施例によれば、前記An-1~An-82、An-92構造における水素は、一部または全部重水素化されてもよい。
【0115】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、Pt(L)(L)またはPd(L)(L)で表される構造を有し、LおよびLは、それぞれ金属PtまたはPdと配位する第1の配位子および第2の配位子であり、前記Lは、L1-1~L1-76、L1-86~L1-93、L2-1~L2-42、L3-1~L3-40、L4-1~L4-17、およびL4-19~L4-53からなる群から選ばれ、前記Lは、L1-1~L1-9、L1-12~L1-22、L2-1~L2-30、L3-1~L3-26、L4-1~L4-25、およびL5-1~L5-11からなる群から選ばれる。前記L1-1~L1-76、L1-86~L1-93、L2-1~L2-42、L3-1~L3-40、L4-1~L4-17、L4-19~L4-53、L1-1~L1-9、L1-12~L1-22、L2-1~L2-30、L3-1~L3-26、L4-1~L4-25、およびL5-1~L5-11の具体的な構造は、請求項14に示される。
【0116】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt680および化合物Pd1~化合物Pd24からなる群から選ばれ、前記化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt680および化合物Pd1~化合物Pd24の具体的な構造は、請求項14に示される。
【0117】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt681および化合物Pd1~化合物Pd24からなる群から選ばれ、前記化合物Pt1~化合物Pt76、化合物Pt86~化合物Pt180、化合物Pt182~化合物Pt260、化合物Pt305~化合物Pt680および化合物Pd1~化合物Pd24の具体的な構造は、請求項14に示される。化合物Pt681の具体的な構造は、
【化32】
【0118】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、2.69eVよりも高い。
【0119】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、式3~式5のうちのいずれか1つで表される構造を有し、
【化33】

式3中、Z~Zは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、且つZ~Zのうちの少なくとも1つは、Nであり、
Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式4または式5中、Zは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、且つ少なくとも1つのZは、Nであり、
Zは、出現毎に同一または異なってOまたはSから選ばれ、
~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0120】
該実施例において、隣り合う置換基Rが結合して環を形成していてもよいとは、いずれか2つの置換基R同士が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、いずれか2つの置換基R同士は、いずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0121】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、重水素化化合物である。
【0122】
本明細書において、「重水素化化合物」とは、化合物における少なくとも1つのHが重水素(D)で置換されることを指す。例えば、前記化合物は、少なくとも10%の重水素化(「%重水素化」とは、重水素の、水素と重水素との和に対する比率を指す)、または少なくとも20%の重水素化、または少なくとも30%の重水素化、または少なくとも40%の重水素化、または少なくとも50%重水素化、または少なくとも60%の重水素化、または少なくとも70%の重水素化、または少なくとも80%の重水素化、または少なくとも90%の重水素化、または100%の重水素化されたものであってもよい。
【0123】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、式4で表される構造を有する。
【0124】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、式4-1で表される構造を有し、
【化34】

式4-1中、
Zは、OまたはSから選ばれ、
41~Z48は、出現毎に同一または異なってCR、CR’またはNから選ばれ、且つZ41~Z48のうち少なくとも1つは、Nから選ばれ、少なくとも1つは、CR’から選ばれ、
前記R’は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0125】
本発明の一実施例によれば、式4-1中、前記Z41~Z48のうち少なくとも1つは、Nから選ばれ、少なくとも2つは、CR’から選ばれる。
【0126】
本発明の一実施例によれば、式4-1中、前記Z41~Z48のうち1つだけは、Nから選ばれ、2つだけは、CR’から選ばれる。
【0127】
本発明の一実施例によれば、式4-1中、前記Z42は、Nから選ばれ、前記Z41およびZ46は、CR’から選ばれる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、式3中、前記Z~Zのうち少なくとも2つは、Nである。
【0129】
本発明の一実施例によれば、式3中、Z~Zは、Nである。
【0130】
本発明の一実施例によれば、式3中、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリーレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0131】
本発明の一実施例によれば、式3中、Lは、出現毎に同一または異なって単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、トリフェニレニレン、フリレン基、チエニレン基、ジベンゾフリレン基、ジベンゾチエニレン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0132】
本発明の一実施例によれば、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0133】
本発明の一実施例によれば、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0134】
本発明の一実施例によれば、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0135】
本発明の一実施例によれば、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、シアノ基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、トリアジン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0136】
本発明の一実施例によれば、前記R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、シアノ基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、トリアジン基、トリフェニルシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0137】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、式3-1で表される構造を有し、
【化35】

式3-1中、
およびRは、それぞれ独立して置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれ、
Lは、単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0138】
本発明の一実施例によれば、前記RおよびRは、それぞれ独立してカルバゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0139】
本発明の一実施例によれば、前記Lは、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、テルビフェニレン基、またはピリジレン基から選ばれる。
【0140】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0141】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基から選ばれる。
【0142】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、出現毎に同一または異なってフェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0143】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、化合物N-1-1~化合物N-1-60、化合物N-2-1~化合物N-2-35からなる群から選ばれる。前記化合物N-1-1~化合物N-1-60、化合物N-2-1~化合物N-2-35の具体的な構造は、請求項19に示される。
【0144】
本発明の一実施例によれば、前記第1のホスト材料は、化合物N-1-1~化合物N-1-60、化合物N-2-1~化合物N-2-45からなる群から選ばれる。前記化合物N-1-1~化合物N-1-60、化合物N-2-1~化合物N-2-35の具体的な構造は、請求項19に示される。前記化合物N-2-36~化合物N-2-45の具体的な構造は、
【化36】

【化37】
【0145】
本発明の一実施例によれば、前記化合物N-1-1~化合物N-1-53、化合物N-1-58、化合物N-2-1~化合物N-2-32の構造における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0146】
本発明の一実施例によれば、前記化合物N-1-1~化合物N-1-53、化合物N-1-58、化合物N-2-1~化合物N-2-32、化合物N-2-36~化合物N-2-43の構造における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0147】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルは、2.69eVよりも高い。
【0148】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料は、式6で表される構造を有し、
【化38】

式6中、
11は、単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Ar11は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数0~30のアミノ基、またはこれらの組合せから選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0149】
本明細書において、隣り合う置換基Rが結合して環を形成していてもよいとは、2つの置換基R同士が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、2つの置換基R同士は、結合して環を形成しなくてもよい。
【0150】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料は、重水素化化合物である。
【0151】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料は、式6-1または式6-2で表される構造を有し、
【化39】

11、L12は、単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Ar11は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数0~30のアミノ基、またはこれらの組合せから選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0152】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料は、式6-3または式6-4で表される構造を有し、
【化40】

Ar11は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数0~30のアミノ基、またはこれらの組合せから選ばれ、
11は、単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0153】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0154】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換または非置換の炭素原子数6~18のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0155】
本発明の一実施例によれば、前記Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、シアノ基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニレン基、インデン基、フルオレン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾセレノフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0156】
本発明の一実施例によれば、式6-1~式6-4中、複数のR置換基があり、前記複数のR置換基のうち、少なくとも1つは、カルバゾール基であり、例えば、1つまたは2つは、カルバゾール基である。
【0157】
本発明の一実施例によれば、式6-1~式6-4中、複数のR置換基があり、前記複数のR置換基およびAr11のうち、少なくとも1つは、カルバゾール基であり、例えば、1つまたは2つは、カルバゾール基である。
【0158】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料は、化合物P-1~化合物P-31からなる群から選ばれ、前記化合物P-1~化合物P-31の具体的な構造は、請求項22に示される。
【0159】
本発明の一実施例によれば、前記化合物P-1~化合物P-23、化合物P-27~化合物P-31の構造における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0160】
本発明の一実施例によれば、前記第2のホスト材料のHOMOエネルギーレベルは、-5.69eV超え、-5.39eV未満である。
【0161】
本発明の一実施例によれば、前記発光層には、第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料のみが含まれる。
【0162】
本明細書に記載される化合物のHOMOエネルギーレベルまたはLUMOエネルギーレベルは、サイクリックボルタンメトリーによって無水DMFを溶剤として測定された化合物の電気化学的性質である。測定には、武漢科思特計器有限公司製の型番CorrTest CS120の電気化学的ステーションが用いられると共に、プラチナディスク電極を作業電極、Ag/AgNO電極を参照電極、プラチナワイヤ電極を補助電極とする3電極作業体系が用いられた。無水DMFを溶剤、0.1mol/Lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを支持電解質として、測定待ち化合物を10-3mol/Lの溶液に調製し、測定前に、溶液に窒素ガスを10min導入して酸素を除去した。計器のパラメータ設定は、以下の通りである。走査速度100mV/s、電位間隔0.5mV、テストウィンドウ-1V~-2.9V。
【0163】
本発明の一実施例によれば、前記第1の化合物は、りん光発光材料であり、第1のホスト材料は、n型ホスト材料であり、第2のホスト材料は、p型ホスト材料である。
【0164】
本明細書において、p型ホスト材料は、カルバゾール基を含む有機化合物またはトリアリールアミン有機化合物であり、そのHOMOエネルギーレベルが通常-5.8eV超えであり、n型ホスト材料は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェン、アザカルバゾールなどの化学基を含む有機化合物であり、そのLUMOエネルギーレベルが通常-2.3eV未満である。
【0165】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、青色光を放射する。
【0166】
本発明の他の実施例によれば、上述したいずれか1つの実施例に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子機器がさらに開示される。
【0167】
本発明の他の実施例によれば、少なくとも第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料を含む化合物組成物であって、前記第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料は、上述したいずれか1つの実施例に記載される化合物組成物がさらに開示される。
【0168】
他の材料との組合せ
【0169】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0170】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書に開示される発光ドーパントは、多種のホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0171】
材料合成の実施例において、説明しない限り、すべての反応が窒素の保護で行われる。すべての反応溶剤は、無水であり、且つ市販品由来のまま使用される。合成される生成物に対して、本分野通常の1種または多種の機器(Bruker製の核磁気共鳴装置、Shimadzu製の液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析計、気体クロマトグラフィー/質量分析計、示差熱走査熱量装置、上海▲リョウ▼光技術製の蛍光分光光度計、武漢科思特製の電気化学作業ステーション、安徽貝意克製の昇華装置などを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法で構造確認と特性テストを行った。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例0172】
材料の合成例:
【0173】
本発明に選択された第1の化合物の調製方法は、限定されない。典型的であるが非限定的に下記化合物を例として、その合成経路および調製方法は、以下の通りである。
【0174】
合成例1:化合物Pt16の合成
【0175】
ステップ1:中間体1の合成
【化41】

窒素ガスの条件下で、2,6-ジブロモ-4-tert-ブチルアニリン(61.4g、200mmol)をDMF(300mL)に溶解させた。0℃で、NaH(12g、300mmol)を添加し、0.5h反応させた後、o-フルオロニトロベンゼン(42.3g、300mmol)を徐々に添加し、反応を室温まで昇温させ、1晩反応させた。反応が完了した後、DCMおよび塩化ナトリウム水溶液で抽出し、有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧し、溶剤がなくなるように蒸かした。カラムクロマトグラフィーで精製して中間体1(49.2g、115mmol)を得た。
【0176】
ステップ2:中間体2の合成
【化42】

中間体1(49.2g、115mmol)をEtOH(200mL)および水(200mL)に溶解された。Fe(19.4g、345mmol)およびNHCl(0.61g、11.5mmol)を添加し、反応を還流までに昇温させ、1晩反応させた。反応が完了した後、珪藻土で濾過し、減圧し、溶剤がなくなるように蒸かした後、EAおよび水で抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧し、溶剤がなくなるように蒸かした。カラムクロマトグラフィーで精製して中間体2(40.6g、102mmol)を得た。
【0177】
ステップ3:中間体3の合成
【化43】

窒素ガスの条件下で、中間体2(19.8g、50mmol)、フェニル基-D5-ホウ酸(14.1g、120mmol)、Pd(PPh(2.9g、2.5mmol)および炭酸カリウム(10.4g、75mmol)をトルエン(150mL)および水(50mL)に溶解させた。反応を還流までに昇温させ、1晩反応させた。反応が完了した後、EAおよび水で抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧し、溶剤がなくなるように蒸かした。カラムクロマトグラフィーで精製して中間体3(17.3g、43mmol)を得た。
【0178】
ステップ4:中間体4の合成
【化44】

窒素ガスの条件下で、2-ブロモ-9-(4-(tert-ブチル)ピリジン-2-イル)-9H-カルバゾール(7.0g、18.0mmol)、m-クロロフェノール(3.0g、23.3mmol)、ヨウ化第一銅(0.34g、1.8mmol)、2-ピコリン酸(0.44g、3.6mmol)およびリン酸カリウム(7.6g、36.0mmol)を500mLのフラスコに添加し、ジメチルスルホキシド(72mL)を添加した。反応を150℃まで加熱し、1晩撹拌した。反応が完了した後、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体4(4.1g、9.6mmol)を得た。
【0179】
ステップ5:中間体5の合成
【化45】

窒素ガスの条件下で、中間体3(3.2g、8mmol)、中間体4(3.4g、8mmol)、Pd(OAc)(45mg、0.2mmol)、S-Phos(320mg、0.4mmol)、NaOt-Bu(1.6g、16mmol)、o-キシレン(60mL)をフラスコに添加し、反応を140℃まで昇温させた後、1晩撹拌した。室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体5(3.0g、3.5mmol)を得た。
【0180】
ステップ6:中間体6の合成
【化46】

窒素ガスの条件下で、中間体5(3.0g、3.5mmol)、オルトギ酸トリエチル(22.2g、150mmol)、濃塩酸(0.5mL)をフラスコに添加し、反応を100℃まで昇温させ、1晩撹拌した。反応が完了したまでTLCで検出した後、室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体6(2.53g、2.98mmol)を得た。
【0181】
ステップ7:化合物Pt16の合成
【化47】

窒素ガスの条件下で、中間体6(2.53g、2.98mmol)、AgO(0.26g、1.64mmol)、DCE(20mL)をフラスコに添加し、室温で12h反応させた。反応が完了した後、減圧し、溶剤を完全除去するように蒸かした。(1,5-シクロオクタジエン)二塩化白金(1.0g、2.68mmol)を添加して、o-ジクロロベンゼン(30mL)を添加し、反応を190℃まで昇温させた後、72h撹拌した。反応を室温まで冷却させた後、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物Pt16(1.84g、1.85mmol)を得た。生成物は、分子量が995.4の目標生成物として確定された。
【0182】
合成例2:化合物Pt39の合成
【0183】
ステップ1:中間体7の合成
【化48】

窒素ガスの条件下で、中間体2(12.2g、30.6mmol)、4-tert-ブチルベンゼンボロン酸(13.6g、76.6mmol)、Pd(PPh(1.4g、1.2mmol)および炭酸カリウム(6.4g、46mmol)をトルエン(150mL)および水(50mL)に溶解させ、反応を還流までに昇温させ、1晩反応させた。反応が完了した後、EAおよび水で抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧し、溶剤がなくなるように蒸かした。カラムクロマトグラフィーで精製して中間体7(9g、17.8mmol)を得た。
【0184】
ステップ2:中間体8の合成
【化49】

窒素ガスの条件下で、中間体4(3.5g、7.4mmol)、中間体7(3.5g、7.0mmol)、Pd(OAc)(68mg、0.3mmol)、S-Phos(250mg、0.6mmol)、NaOt-Bu(1.5g、15mmol)、o-キシレン(60mL)をフラスコに添加し、反応を140℃まで昇温させた後、1晩撹拌した。室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体8(1.8g、2.0mmol)を得た。
【0185】
ステップ3:中間体9の合成
【化50】

窒素ガスの条件下で、中間体8(1.8g、2.0mmol)、オルトギ酸トリエチル(14.8g、100mmol)、濃塩酸(0.5mL)をフラスコに添加し、反応を100℃まで昇温させ、1晩撹拌した。反応が完了したまでTLCで検出した後、室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体9(1.7g、1.87mmol)を得た。
【0186】
ステップ4:Pt39の合成
【化51】

窒素ガスの条件下で、中間体9(1.7g、1.87mmol)、AgO(0.24g、1.0mmol)、DCE(20mL)をフラスコに添加し、室温で12h反応させた。反応が完了した後、減圧し、溶剤を完全除去するように蒸かした。(1,5-シクロオクタジエン)二塩化白金(0.64g、1.7mmol)を添加して、o-ジクロロベンゼン(30mL)を添加し、反応を190℃まで昇温させた後、72h撹拌した。反応を室温まで冷却させた後、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物Pt39(0.74g、0.67mmol)を得た。生成物は、分子量が1097.5の目標生成物として確定された。
【0187】
合成の比較例1:化合物Pt-Aの合成
【0188】
ステップ1:中間体10の合成
【化52】

窒素ガスの条件下で、中間体4(4.1g、9.6mmol)、N1-([1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-2’-イル-2,2’’,3,3’’,4,4’’,5,5’’,6,6’’-d10)ベンゼン-1,2-ジアミン(2g、6mmol)、Pd(OAc)(108mg、0.48mmol)、S-Phos(394mg、0.96mmol)、NaOt-Bu(1.84g、19.2mmol)、o-キシレン(100mL)をフラスコに添加し、反応を140℃まで昇温させた後、1晩撹拌した。室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体10(2.3g、3.1mmol)を得た。
【0189】
ステップ2:中間体11の合成
【化53】

窒素ガスの条件下で、中間体10(2.3g、3.1mmol)、オルトギ酸トリエチル(23.0g、155mmol)、濃塩酸(0.4mL)をフラスコに添加し、反応を100℃まで昇温させ、1晩撹拌した。反応が完了したまでTLCで検出した後、室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体11(3.0g、2.5mmol)を得た。
【0190】
ステップ3:化合物Pt-Aの合成
【化54】

窒素ガスの条件下で、中間体11(2.0g、2.5mmol)、AgO(0.29g、1.3mmol)、DCE(25mL)をフラスコに添加し、室温で12h反応させた。反応が完了した後、減圧し、溶剤を完全除去するように蒸かした。(1,5-シクロオクタジエン)二塩化白金(0.94g、2.5mmol)をフラスコに添加し、o-ジクロロベンゼン(25mL)を添加し、反応を200℃まで昇温させ、24h撹拌した。反応を室温まで冷却させた後、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物Pt-A(0.95g、1.0mmol)を得た。生成物は、分子量が939.3の目標生成物として確定された。
【0191】
合成の比較例2:化合物Pt-Bの合成
【0192】
ステップ1:中間体12の合成
【化55】

窒素ガスの条件下で、中間体4(2.2g、5.2mmol)、N1-(5-tert-ブチル-[1、1’-ジフェニル]-2-イル-2’’,3’’,4’’,5’’,6’’-d5)ベンゼン-1,2-ジアミン(1.6g、5mmol)、Pd(OAc)(45mg、0.2mmol)、S-Phos(164mg、0.4mmol)、NaOt-Bu(0.96g、10mmol)、o-キシレン(50mL)をフラスコに添加し、反応を140℃まで昇温させた後、1晩撹拌した。室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体12(2.7g、3.5mmol)を得た。
【0193】
ステップ3:中間体13の合成
【化56】

窒素ガスの条件下で、中間体12(2.7g、3.5mmol)、オルトギ酸トリエチル(25.9g、175mmol)、濃塩酸(0.7mL)をフラスコに添加し、反応を100℃まで昇温させ、1晩撹拌した。反応が完了したまでTLCで検出した後、室温まで冷却させ、溶剤を完全除去するように回転した後、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体13(2.1g、2.7mmol)を得た。
【0194】
ステップ4:化合物Pt-Bの合成
【化57】

窒素ガスの条件下で、中間体13(2.1g、2.7mmol)、AgO(0.35g、1.5mmol)、DCE(25mL)をフラスコに添加し、室温で12h反応させた。反応が完了した後、減圧し、溶剤を完全除去するように蒸かした。(1,5-シクロオクタジエン)二塩化白金(0.91g、2.45mmol)をフラスコに添加し、o-ジクロロベンゼン(25mL)を添加し、反応を190℃まで昇温させ、48h撹拌した。室温まで冷却させた後、カラムクロマトグラフィーで精製して化合物Pt-B(0.92g、1.0mmol)を得た。生成物は、分子量が914.3の目標生成物として確定された。
【0195】
当業者であれば、上記調製方法は、例示的なものに過ぎず、それを改良することによって本発明の他の化合物の構造を取得することができることを知るべきである。
【0196】
三重項状態エネルギーレベルの測定:
【0197】
本明細書において、三重項状態エネルギーレベル(T)は、耐用年数が長い三重項状態励起子の特性を利用して超低温状態下で測定されたものである。具体的には、測定待ちの化合物を2-メチルテトラヒドロフラン溶剤に溶解させて10-5M濃度の溶液を調製し、上記溶液を石英チューブに注入した後、デュワー瓶に置き、77Kまで冷却させ、測定待ち化合物の溶液に350nm光源を照射し、りん光スペクトルを測定した。スペクトルの測定には、上海▲リョウ▼光技術有限公司製の型番F98の分光光度計が用いられた。
【0198】
りん光スペクトルは、縦軸がりん光強度であり、横軸が波長である。りん光スペクトルの短い波長側における波峰に対して最小値λ(nm)を取った後、該波長値を以下の換算式Fに導入して、測定待ちの化合物の三重項状態エネルギーを算出した。
【0199】
換算式F:T(eV)=1240/λ
【0200】
上記方法により、以下の化合物の三重項状態エネルギーレベルT(eV)が測定された。具体的な結果を表1に示す。
【0201】
【表1】
【0202】
表1における上記結果から分かるように、本発明における第1のホスト材料、第2のホスト材料の三重項状態エネルギーレベルがいずれも発光材料である第1の化合物の2.69eVの三重項状態エネルギーレベルよりも高いため、第1のホスト材料、第2のホスト材料および第1の化合物は、よく組み合わせて青色光りん光発光を実現することができる。以下、素子の実施例を提供して検証を行う。
【0203】
エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、限定されない。以下の実施例における製造方法は、例示的なものに過ぎず、限定するものであると理解すべきではない。当業者であれば、従来技術に基づき、以下の実施例における製造方法を合理的に改良することができる。例示的には、発光層における各種の材料の比率は、特に限定されておらず、当業者は、従来技術に基づき、一定の範囲内に合理的に選択することができる。たとえば、発光層材料の総重量を基準として、ホスト材料が80%~99%を占め、発光材料が1%~20%を占めてもよいし、ホスト材料が85%~99%を占め、発光材料が1%~15%を占めてもよい。また、ホスト材料は、2種の材料であってもよい。そのうち、2種のホスト材料のホスト材料に対する比率が99:1~1:99であってもよいし、80:20~20:80であってもよい。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。
【0204】
素子の実施例1
【0205】
まず、厚さが80nmのインジウムスズ酸化物(ITO)陽極を有するガラス基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンで処理した。処理した後、基板をグローブボックスで乾燥させて水を除去した。その後、基板を基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-8トルの場合、0.2~2オングストローム/秒の速度でホット真空蒸着によって順にITO陽極上に蒸着を行った。化合物HIおよび化合物HTを共蒸着して正孔注入層(HIL)として用い、厚さが100Åである。化合物HTを正孔輸送層(HTL)として用い、厚さが250Åである。化合物P-21を電子ブロッキング層(EBL)として用い、厚さが50Åである。そして第1のホストである化合物N-1-15、第2のホストである化合物P-21、およびドーパンドである第1の化合物Pt16を共蒸着して発光層(EML)として用い、厚さが350Åである。化合物N-1-15を正孔ブロッキング層(HBL)として用い、厚さが50Åである。正孔ブロッキング層上において、化合物ETおよび8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を共蒸着して電子輸送層(ETL)として用い、厚さが310Åである。最後、厚さ15ÅのLiFを蒸着して電子注入層として用いるとともに、1200Åのアルミニウムを蒸着して陰極として用いた。最後、該素子をグローブボックスに転移させ、ガラスカバーと吸湿剤を用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0206】
素子の実施例2
【0207】
素子の実施例2の調製方法は、発光層(EML)において化合物P-22で第2のホスト材料として化合物P-21を代替し、且つ化合物P-22、化合物N-1-15および化合物Pt16の重量比が52.8:35.2:12である以外、素子の実施例1と同様である。
【0208】
素子の実施例3
【0209】
素子の実施例3の調製方法は、発光層(EML)において化合物P-25を第2のホスト材料として化合物P-22を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0210】
素子の実施例5
【0211】
素子の実施例5の調製方法は、正孔注入層(HIL)において化合物HT-1で化合物HTを代替し、且つ化合物HT-1と化合物HIの重量比が97:3であり、正孔輸送層(HTL)において化合物HT-1で化合物HTを代替し、発光層(EML)において化合物P-22で第2のホスト材料として化合物P-21を代替し、化合物Pt681で第1の化合物として化合物Pt16を代替し、且つ化合物P-22、化合物N-1-15および化合物Pt681の重量比が61.6:26.4:12である以外、素子の実施例1と同様である。
【0212】
素子の実施例6
【0213】
素子の実施例6の調製方法は、正孔注入層(HIL)において化合物HT-1で化合物HTを代替し、且つ化合物HT-1と化合物HIの重量比が97:3であり、正孔輸送層(HTL)において化合物HT-1で化合物HTを代替し、発光層(EML)において化合物N-2-39で第1のホスト材料として化合物N-1-15を代替し、且つ化合物P-21、化合物N-2-39および化合物Pt16の重量比が35.2:52.8:12であり、および正孔ブロッキング層(HBL)において化合物N-2-39で化合物N-1-15を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0214】
素子の実施例7
【0215】
素子の実施例7の調製方法は、発光層(EML)において化合物P-22で第2のホスト材料として化合物P-21を代替し、且つ化合物P-22、化合物N-2-39および化合物Pt16の重量比が52.8:35.2:12である以外、素子の実施例6と同様である。
【0216】
素子の比較例1
【0217】
素子の比較例1の調製方法は、発光層(EML)において化合物Pt-Aで化合物Pt16を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0218】
素子の比較例2
【0219】
素子の比較例2の調製方法は、発光層(EML)において化合物Pt-Bで化合物Pt16を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0220】
素子の比較例3
【0221】
素子の比較例3の調製方法は、発光層(EML)において化合物P-21をホスト材料として用い、化合物Pt16をドーパンドとして用い、且つ化合物P-21と化合物Pt16の重量比が88:12である以外、素子の実施例1と同様である。
【0222】
素子の比較例4
【0223】
素子の比較例4の調製方法は、発光層(EML)において化合物N-1-15をホスト材料として用い、化合物Pt16をドーパンドとして用い、且つ化合物N-1-15と化合物Pt16の重量比が88:12である以外、素子の実施例1と同様である。
【0224】
素子の比較例5
【0225】
素子の比較例5の調製方法は、発光層(EML)において化合物H-1をホスト材料として用い、化合物Pt16をドーパンドとして用い、且つ化合物H-1と化合物Pt16の重量比が88:12である、素子の実施例1と同様である。
【0226】
詳細の素子の層構造および厚さを以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0227】
【表2】
【0228】
素子に用いられる材料の構造は、以下の通りである。
【化58】

【化59】

【化60】
【0229】
1000cd/m下で、実施例1-3、実施例5および比較例1-5におけるCIE値、最大放射波長(λmax)、電流効率CE(cd/A)、電圧(V)、外部量子効率(EQE)および素子の耐用年数(LT95)を測定した。関連したデータは、表3に示される。
【0230】
【表3】
【0231】
表3におけるデータから分かるように、本発明の実施例は、いずれもより優れた綜合的な素子の性能を有した。本発明に係るイミダゾールカルベン環上において特定の式2の構造置換を有する式1の構造の第1の化合物Pt16、本発明に係る第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せを用いた実施例1は、本発明に係る特定の複数置換構造を有しない化合物Pt-A、第1のホスト材料および第2のホスト材料の組合せを用いた比較例1に対して、その電圧が比較例1と同じ、低い電圧レベルにあり、電流効率CEおよび耐用年数が向上し、さらに重要なことには、EQEが比較例1の非常に高い効率レベルに加えてさらに11.5%向上し、実施例1における効率が16.82%に達することができ、これは、青色光素子に対して非常に珍しかった。同様的には、実施例1は、他の特定の複数置換構造を有しない化合物Pt-B、本発明に係る第1のホスト材料および第2のホスト材料の組合せを用いた比較例2に対して、その電圧が低下し、CEが大幅に21.2%向上し、EQEが大幅に28.7%向上し、素子の耐用年数も大幅に29.5%向上した。これらのデータの比較に基づき、本発明に係るイミダゾールカルベン環上において特定の式2の構造置換を有する式1の構造の第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの優勢が示された。
【0232】
本発明に係る第1の化合物を発光材料、第1のホスト材料および第2のホスト材料を二重ホストとする特定の組合せを用いた実施例1は、本発明に係る第1の化合物を発光材料、別に本発明に係る第2のホスト材料を単一ホストとして用いた比較例3に対して、その電圧が0.71V低下し、CEが大幅に135.2%向上し、EQEが大幅に127.6%向上し、素子の耐用年数が大幅に282.4%向上した。実施例1は、本発明に係る第1の化合物を発光材料、別に本発明に係る第1のホスト材料を単一ホストとして用いた比較例4に対して、その電圧がやや比較例4よりも高いが、依然として低い電圧レベルにあり、CEが大幅に25.5%向上し、EQEが大幅に約35.4%向上し、素子の耐用年数が大幅に167.2%向上した。以上のデータから、本発明に係る第1の化合物、本発明に係る第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの、別に1種のホスト材料を用いたものに対する優勢が示された。実施例1は、本発明に係る第1の化合物を発光材料、別に従来技術における三重項状態エネルギーレベルが高いホスト材料H-1を単一ホストとして用いた比較例5に対して、その電圧が大幅に2.4V低下し、CEが大幅に86.8%向上し、EQEが大幅に80.3%向上し、素子の耐用年数が大幅に了241.4%向上した。即ち、本発明に係る第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの、従来技術において用いられた単一ホスト材料に対する優勢が証明されている。
【0233】
実施例2~3は、それぞれ、異なる構造を有する、本発明に選択された第2のホスト材料である、化合物P-22および化合物P-25を用いて、本発明に選択された第1の化合物Pt16および本発明に選択された第1のホスト材料N-1-15と組み合わせ、実施例1に対して、実施例2~3における電圧がやや向上したが、同様に低い電圧レベルにあり、CEおよびEQEが実施例1の非常に高いレベルに加えてさらに向上し、耐用年数も大幅に向上した。ちなみに、実施例3におけるEQEが最大18.29%に達しながら、耐用年数が28.23hに向上し、これは、青色光素子のレベルの向上に対して極めて大きく寄与する。これらのデータから、異なる構造を有する本発明に係る第2のホスト材料、本発明に係る第1の化合物および第1のホスト材料の特定の組合せにより、いずれも優れた綜合的な素子の性能を取得することができることが証明され、さらに、本発明に係る第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの優越性が証明されている。
【0234】
実施例5は、本発明に係るイミダゾールカルベン環上において特定の式2の構造置換を有する式1の構造の第1の化合物Pt681、本発明に係る第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せを用い、本発明に係る特定の複数置換構造を有しない化合物Pt-A、第1のホスト材料および第2のホスト材料の組合せを用いた比較例1に対して、その電圧が比較例1よりもやや高いが、依然として低い電圧レベルにあり、重要なことに、CEが大幅に65.2%向上し、EQEが大幅に55.7%向上し、素子の耐用年数が大幅に60.9%向上した。これらのデータから、さらに、本発明に係るイミダゾールカルベン環上に特定の式2の構造置換を有する式1の構造の第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの優勢が証明されている。
【0235】
1000cd/m下で、実施例6~7におけるCIE値、最大放射波長(λmax)、電流効率CE(cd/A)、電圧(V)、外部量子効率(EQE)および素子の耐用年数(LT95)を測定した。関連したデータは、表4に示される。
【0236】
【表4】
【0237】
比較例1は、本発明に係る第1のホスト材料である化合物N-1-15、本発明に係る第2のホスト材料である化合物P-21、および本発明に属しない第1の化合物Pt-Aを用いて組合せた。上記表3から分かるように、その素子のデータは、比較例において最も優れている。実施例6および実施例7は、異なる構造を有する本発明に係る第1のホスト材料である化合物N-2-39、本発明に係る第1の化合物Pt16および本発明に係る第2のホスト材料である化合物P-21または化合物P-22を用いて組合せた。比較例1に対して、実施例6と比較例1における電圧がほとんど相当し、実施例7における電圧が比較例1よりもやや高いが、依然として低い電圧レベルにあり、重要なことに、実施例6および実施例7におけるCEとEQEが比較例1に加えてさらに大幅に向上し、CEがそれぞれ39.7%および37.2%向上し、EQEがそれぞれ33.4%および43.1%向上しながら、素子の耐用年数が倍に向上し、それぞれ3.72倍および4.77倍向上した。ちなみに、実施例6および実施例7におけるCE、EQEおよび素子の耐用年数が同時に非常に高いレベルに達し、これは、青色りん光素子に対して珍しく、極めて大きく素子の性能を改善した。これらのデータから、異なる構造を有する本発明に係る第1のホスト材料、本発明に係る第1の化合物および第2のホスト材料の特定の組合せにより、いずれも優れた綜合的な素子の性能を取得することができることが証明され、さらに、本発明に係る第1の化合物、第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せの優越性が証明されている。
【0238】
素子の実施例4
【0239】
素子の実施例4の調製方法は、発光層(EML)において化合物Pt39で化合物Pt16を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0240】
詳細の素子の層構造および厚さを以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0241】
【表5】
【0242】
素子に用いられる新たな材料の構造は、以下の通りである。
【化61】
【0243】
1000cd/m下で、実施例4のCIE値、最大放射波長(λmax)、電流効率CE(cd/A)、電圧(V)および外部量子効率(EQE)を測定した。関連したデータは、表6に示される。
【0244】
【表6】
【0245】
表6におけるデータから分かるように、本発明に係るイミダゾールカルベン環上において特定の式2の構造置換を有する他の第1の化合物Pt39、本発明に係る第1のホスト材料および第2のホスト材料の特定の組合せを用いた実施例4は、同様に優れた素子の性能を示し、その電圧が低い電圧レベルにあり、CEが18.92に達し、EQEが最大16.85%に達し、特にCIEyが0.141に低くなり、これは、青色りん光素子に対して非常に有利であった。
【0246】
上記結果から分かるように、本発明に係る式1のイミダゾールカルベン環上において式2の特定の複数置換芳香族基を有する式1の構造の第1の化合物を発光材料として導入し、高い三重項状態エネルギーレベルを有する第1のホスト材料、第2のホスト材料と組み合わせて青色光りん光エレクトロルミネッセンス素子に用いることにより、低い電圧、高い効率(EQEおよびCE)、および長い耐用年数を取得することができ、優れた綜合的な素子の性能を有し、これらの利点は、青色光素子のレベルの向上に対して極めて大きく寄与する。
【0247】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。
図1
図2