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特開2024-94323治療、イメージング、およびセラノスティック用途向けの小型超均一ナノ医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094323
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】治療、イメージング、およびセラノスティック用途向けの小型超均一ナノ医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/10 20060101AFI20240702BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240702BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20240702BHJP
【FI】
A61K49/10
A61B5/055 383
B82Y5/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048664
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2021514119の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】62/730,882
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512255103
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,スコット,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コペルマン,ラウル
(57)【要約】
【課題】革新的な薬剤、医療製品、イメージング剤を提供する。
【解決手段】対象をイメージングする方法である。(i)対象に複数のナノ構造体を有するイメ-ジング剤を投与すること、ナノ構造体の各々はマルチアームPEGと、マルチアームPEGと相互作用する一つ以上の添加剤を含み、ステップ(ii)でスキャンされるとき、複数のナノ構造体の各々のマルチアームPEGは核磁気共鳴イメージを提供するには十分であって、(ii)ステップ(i)に続いて、イメージングスキャンが核磁気共鳴スキャンである対象のイメージングスキャンを実行すること、(iii) 複数のナノ構造体のマルチアームPEGの核磁気共鳴イメージを提供することを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象をイメージングする方法であって、
(i)対象に複数のナノ構造体を有するイメ-ジング剤を投与するステップと、
(ii)ステップ(i)に続いて、イメージングスキャンが核磁気共鳴スキャンである、対象のイメージングスキャンを実行するステップと、
(iii)複数のナノ構造体のマルチアームPEGの核磁気共鳴イメージを提供するステップとを含み、
ナノ構造体の各々はマルチアームPEGと、マルチアームPEGと相互作用する一つまたは複数の添加剤とを含み、ステップ(ii)でスキャンされるとき、複数のナノ構造体の各々のマルチアームPEGは核磁気共鳴イメージを提供するには十分である、
方法。
【請求項2】
コンピューターアキシャルトモグラフィースキャン、プロトン放出断層撮影スキャン(PET)および/又は蛍光イメージングスキャンを実行するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
核磁気共鳴スキャンがスピンエコーイメージング又は拡散荷重スピンエコーイメージングを含み、核磁気共鳴スキャンはイメージングスキャンの間に組織の水のプロトン信号および/又は脂肪を抑制する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップ (iii)において、核磁気共鳴スキャンは、対象に水ベースのプロトンを含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
マルチアームPEGは、2、4、6、8、10又はそれ以上のアームを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の添加剤は、標的化剤、治療剤、光増感剤、イメージング剤、造影剤、診断剤、セラノスティック剤など及びこの組み合わせからなる群から選択される活物質を含み、活物質は骨格材料と共有結合により相互作用する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ (iii)は、対象の腫瘍の形状、構造および/又は位置を識別するデータを提供することをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ (iii)は、対象の腫瘍のイメージング剤の濃度を識別するデータを提供することをさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ナノ構造体は、光線力学治療法(PDT)ナノ構造体であり、1つまたは複数の活物質はPDT剤を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数の活物質は光増感剤(PS)を含み、PSを活性化するためにナノ構造体に光エネルギーを付与するステップ(iV) をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(iV)に続いて、対象の第二イメージングスキャンを取得するステップ(v)をさらに含み、第二イメージングスキャンは、核磁気共鳴スキャン、コンピューターアキシャルトモグラフィースキャンおよびプロトン放出断層撮影スキャン(PET)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
骨格材料は非常磁性である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ナノ構造体が約2000個から約5000個のプロトンを含み、ナノ構造体は25nm未満である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ナノ構造体が約5000個から約15000個のプロトンを含み、ナノ構造体は50nm未満である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の活物質はテトラピロール、シアニン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数の活物質はポルフィリン、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ナノ構造体は、35kDaから75kDaの分子量を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数の活物質は標的化剤を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
標的化剤は心臓標的化ペプチドである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
標的化剤は癌標的化剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
癌標的化剤はRGD、cRGD、iRGDおよびF3からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、35USC§119(e)(1)に基づき、優先権の利益を主張し、出願日2018年9月13日に提出された米国特許仮出願第62/730,882の利益を主張し、その開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
政府利益に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与されたCA186769の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明におけるある特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
【発明の分野】
【0004】
本発明は、一般に、ナノ構造体、ならびに動的治療法、イメージング、診断、セラノスティックス、および他の用途におけるこの構造体の使用に関する。
【0005】
「ナノ粒子」、「ナノ材料」、「ナノ粒子」、「ナノ製品」、「ナノプラットフォーム」、「ナノ構造体」、「ナノコンポジット」、「ナノ」の用語、およびこれらと同様の用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を有することとし、約1ナノメートル(nm)から約100nmにおける少なくとも1つの寸法を有する体積形状を有する粒子、材料、および組成物を含む。実施形態では、好ましくは、この体積形状は、約1nmから約100nmにおける最大断面を有する。
【0006】
「ナノ構造体」、「ナノプラットフォーム」、「ナノコンポジット」、および「ナノ構造体」の用語、およびこれらと同様の用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を有することとし、骨格材料を有する粒子、例えば、ケージ、支持体またはマトリックス材料、および骨格と相互作用する1つまたは複数の添加剤、例えば、薬剤、部位、組成物、生物学的製剤、および分子を含む。一般に、骨格材料はナノ粒子であり得る。一般に、添加剤は、標的化、治療法、イメージング、診断、セラノスティックまたは他の能力、ならびにこの組み合わせおよび変形を有する活物質である。実施形態では、骨格材料は、標的化、治療法、イメージング、診断、セラノスティックまたは他の能力、ならびにこの組み合わせおよび変形を有する活物質であり得る。実施形態では、添加剤および骨格材料の両方が活物質である。1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の異なるタイプの骨格材料、添加剤、ならびにこの組み合わせおよび変形が企図される。
【0007】
「セラノスティック」の用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を有することとし、イメージングおよび治療能力の両方、診断および治療能力の両方、ならびにこの組み合わせと変形および標的化などの他の機能を含む、複数の能力および機能を有する粒子、薬剤、構造体、または材料を含む。
【0008】
「イメージング」、「イメージング剤」、「イメージング装置」、およびこれらと同様の用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を有することとし、構造体、特に動物、哺乳類、およびヒトの構造体のサイズ、形状、位置、組成、およびこの組み合わせと変形、ならびにその他の特徴を検出、分析、視覚化する能力を強化、提供、または可能にする装置、薬剤、および材料を含む。イメージング剤には、造影剤、色素、および同様のタイプの材料が含まれる。イメージング装置および方式の例としては、磁気共鳴、コンピューターアキシャルトモグラフィースキャン(CATスキャン)、プロトン放出断層撮影スキャン(PETスキャン)、超音波、蛍光、および光音響が挙げられる。
【0009】
「診断」の用語は、特に明記しない限り、その可能な限り広い意味を有することとし、動物、哺乳類、およびヒトの状態や病気を含む状態や病気の特定、判定、定義、およびこの組み合わせと変形を含む。
【0010】
「治療的」および「治療法」の用語およびこれらと同様の用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を有することとし、動物、哺乳類、およびヒトの状態や病気を含む状態や病気への対処、治療、管理、鎮静、治癒、予防、およびこの組み合わせと変形を含む。
【0011】
「光線力学治療法」、「PDT」、「光増感剤」、「PS」、およびこれらと同様の用語は、特に明記しない限り、それらの可能な限り広い意味を有することとし、生体組織を光増感剤(PS)分子を利用した光酸化により殺すなど、切除する方法を含む。光増感剤が特定の波長の光に露出されると、近くの細胞を殺す酸素の形態、例えば、細胞に対して細胞毒性のある、あらゆる形態の酸素を含む活性酸素種(「ROS」)を生成する。すべての波長にわたる光、例えば、UVから可視光、IRにおける光は、一般に、PSの活性剤として使用される。
【0012】
「活性化動的治療法」、「動的治療法」、「動的治療法剤」、およびこれらと同様の用語は、可能な限り広い意味を有することとし、PDTおよびPS、ならびに、光以外の他のエネルギー源に露出された場合、活性剤として活性酸素種(「ROS」)または他の活性治療材料などの活性酸素を生成するように誘導する薬剤を使用することができる。これらには、電波、他の電磁石放射、磁気、および音波(例えば、音波力学治療法またはSDT)などのエネルギー源によって活性化される材料または薬剤が含まれる。
【0013】
本明細書において、特に明記しない限り、室温は25℃である。また、標準の周囲温度および圧力は25℃および1気圧である。特に明記されていない限り、すべてのテスト、テスト結果、物理的特性、および温度依存するする値、圧力依存する値、あるいはその両方の値は、標準の周囲温度と圧力における値であり、これには粘度が含まれる。
【0014】
一般に、本明細書で使用される「約」の用語および記号「~」は、特に明記しない限り、記載された値の取得に関連する実験または器具の誤差、±10%の分散または範囲を包含することを意味し、好ましくはこの大きい方を包含することを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、本明細書における値の範囲の列挙は、特に明記しない限り、範囲内にある個々の値を個別に示す簡略法として役立つことのみを意図している。特に記載がない限り、本明細書における範囲内の個々の値は、それぞれが個別に列挙されているかのように本明細書組み込まれる。
【0016】
本発明の背景技術のセクションは、本発明の実施形態に関連し得る当技術分野の様々な態様を紹介することを意図している。したがって、上記セクションにおける上述の議論は、本発明をよりよく理解するためのフレームワークを提供するものであり、先行技術の承認と見なされるものではない。
【発明の概要】
【0017】
動物、哺乳類、ヒトの状態に対処するための、新しく革新的な薬剤、医療製品、イメージング剤に対するニーズは長年満たされないままであった。特に、この長年の満たされていないニーズは、癌の診断と治療、哺乳類とヒトの他の状態、およびMRIイメージング剤における重金属の使用にある。
【0018】
本発明は、とりわけ、本明細書で教示、開示、および請求される組成物、材料、製造品、装置、方法、およびプロセスを提供することによって、このニーズを解決する。
【0019】
治療法、イメージング、診断またはセラノスティック用途を有する組成物が提供され、この組成物は複数のナノ粒子を有し、前記ナノ粒子は骨格材料と、骨格に付加した活性作用剤とを含み、前記複数のナノ粒子は、D10=n-5、D50=n、D90=x+5によって定義される所定の粒子サイズ分布を有する。
【0020】
さらに、以下の特徴のうちの1つ以上を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:nは、約5nmから約25nmの範囲の数である;nは7nmから22nmの範囲の数である;nは、約10nmから約20nmの範囲の数である;nは、約11nmから約15nmの範囲の数である;活性作用剤は光増感剤である;活性作用剤は光音響剤である;活性作用剤は超音波増感剤である;活性作用剤は光増感剤であり、第二の活性作用剤を有し、ただし、第2の活性作用剤は活性作用剤とは異なる;活性作用剤は、メチレンブルー、クロリンe6(Ce6)、クマシーブルー、および金からなる群より選択される;活性作用剤はテラピロールである;活性作用剤は、ポルフィリン、クロリン、フタロシアニン、およびバクテリオクロリンからなる群より選択される;活性作用剤は、HPPH、TOOKAD、LUZ11、およびBC19ポルフィリンからなる群より選択される;活性作用剤は、フェノチアジニウム塩、ベンゾフェノチアジニウム塩、ハロゲン化キサンテン、およびスクアラインからなる群より選択される;活性作用剤は、メチレンブルー、トルイジンブルーO、PP9004、EtNBS、ローズベンガル、ASQI、亜鉛(II)ジピコリルアミンジヨード-BODIPY、およびBIMPy-BODIPYからなる色素の群より選択される;活性作用剤は遷移金属配位化合物である;活性作用剤は、ルテニウム、ロジウム、白金、金およびイリジウム、亜鉛、銅、およびパラジウムからなる群より選択される金属を有する遷移金属配位化合物である;ナノ粒子は8PEGAである;ナノ粒子はBiPEGである;ナノ粒子は標的化剤を含む;ナノ粒子は標的化剤を含み、標的剤はF3-cysである;ナノ粒子は8PEGAであり、活性作用剤はCe6であり、ナノ粒子は標的剤を含み、標的剤はF3-cysである。
【0021】
さらに、治療法、イメージング、診断、およびセラノスティック用途を有する組成物が提供され、この組成物は、複数のナノ粒子を有し、ナノ粒子は、PEGからなる骨格材料と、骨格に付加した活性作用剤とを含むことにより、複数のナノ構造体を定義し、前記複数のナノ構造体は、D10=n-5、D50=n、D90=x+5によって定義される狭い粒子サイズ分布を有し、前記複数のナノ構造体は、治療法、イメージング、診断および治療用途を実行することができる。
【0022】
さらに、腫瘍細胞を破壊するのに使用するための組成物が提供され、この組成物は、複数のナノ粒子を有する賦形剤と、賦形剤と相互作用する光増感剤とを含み、前記賦形剤は、本質的にPEGからなる骨格を有し、前記賦形剤は、D10=n-5、D50=n、D90=x+5によって定義される粒子サイズ分布を有する。
【0023】
さらに、以下の特徴のうちの1つ以上を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:nは、約5nmから約25nmの範囲の数である;ナノ粒子は8PEGAである;活性作用剤はCe6であり、標的化剤を有し、標的化剤はF3-cysである。
【0024】
さらに、治療用途をガイドするのに使用するためのデータ取得方法が提供され、この方法は、重金属を含まない複数のナノ粒子を有するイメージング剤を対象に投与するステップと、イメージング剤の投与後に対象の核磁気共鳴スキャンを実行するステップとを有し、ナノ粒子が直接イメージングされることにより、ナノ粒子のMRIと、ナノ粒子および対象に関連するデータが提供される。
【0025】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:ナノ粒子はPEGを含む;ナノ粒子は8PEGAを含む;ナノ粒子はセラノスティックなナノ構造体を定義する;ナノ粒子はPDTナノ構造体を定義する;データは腫瘍の形状と位置を識別する;さらに、少なくとも部分的にデータを使用してPDTを提供する;さらに、少なくとも部分的にデータを使用してPDTを提供し、PDTが提供された後にナノ粒子のMRIを取得する;さらに、データをPDTシステムに提供する;および、さらに、データを医療記録に提供する。
【0026】
さらに、PDTを提供する方法が提供され、この方法は、対象におけるナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用してPDTを提供することを有し、ナノ粒子は本質的に重金属を含まない。
【0027】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:ナノ粒子は0.1ppm未満の重金属を有する;ナノ粒子は0.01ppm未満の重金属を有する;ナノ粒子は0.001ppm未満の重金属を有する。
【0028】
さらに、PDTを提供する方法が提供され、この方法は、対象におけるナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用してPDTを提供することとを有し、ナノ粒子はガドリニウム本質的に含まない。
【0029】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:ナノ粒子は1ppm未満のガドリニウムを有する;ナノ粒子は、0.1ppm未満のガドリニウムを有する;ナノ粒子は0.01ppm未満のガドリニウムを有する;ナノ粒子は0.001ppm未満のガドリニウムを有する。
【0030】
さらに、治療用途をガイドするのに使用するためのデータ取得方法が提供され、この方法は、本質的にガドリニウムを含まない複数のナノ粒子を有するイメージング剤を対象に投与することと、イメージング剤の投与後に対象の核磁気共鳴スキャンを実行することとを有し、ナノ粒子が直接イメージングされることにより、ナノ粒子のMRI、ならびにナノ粒子および対象に関連するデータが提供される。
【0031】
さらに、PDTを提供する方法が提供され、この方法は、対象におけるナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用してPDTを開発することとを有し、ナノ粒子は本質的に重金属を含まない。
【0032】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:PDTの開発は光増感剤の評価を含む;PDTの開発は標的化剤の評価を含む;PDTの開発はナノ構造体の評価を含む;データはナノ粒子の直接NMRイメージを有する;対象は、動物、哺乳動物、およびヒトからなる群より選択される。
【0033】
さらに、治療法を開発する方法が提供され、この方法は、ナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用して治療法を開発することとを有し、ナノ粒子は1ppm未満のガドリニウムを有する。
【0034】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:治療法の開発は、医薬品開発、癌治療開発、心臓状態開発、遺伝物質分析、反応経路分析、および薬理学からなる群より選択される評価を含む;ナノ粒子が生体内でイメージングされる;ナノ粒子が生体外でイメージングされる。
【0035】
さらに、材料を開発する方法が提供され、この方法は、ナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用して材料を開発することを含み、ナノ粒子は1ppm未満のガドリニウムを有する。
【0036】
さらに、評価を開発する方法が提供され、この方法は、ナノ粒子のMRIからデータを取得することと、少なくとも部分的にデータを使用して対象を評価することを含み、ナノ粒子は1ppm未満のガドリニウムを有する。
【0037】
さらに、以下の特徴のうちの1つ以上を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:対象は、材料、医薬品、プロセス、反応経路、反応経路、及び製造方法からなる群より選択される。
【0038】
さらに、核磁気共鳴イメージング剤が提供され、イメージング剤は、本質的に重金属を含まない複数のナノ粒子と、PEGを有するナノ粒子とを有するものであって、ナノ粒子は、磁気共鳴イメージングシステムによって生成された磁場によって直接イメージングすることができる。
【0039】
さらに、核磁気共鳴イメージング剤が提供され、イメージング剤は、複数のナノ粒子を有するものであって、ナノ粒子はPEGを有し、ナノ粒子は、磁気共鳴イメージングシステムによって生成される静磁場、勾配磁場、およびラジオ周波数(RF)磁場によって直接イメージングすることができることにより、ナノ粒子のイメージを生成し、また、造影剤は本質的に重金属を含まない。
【0040】
さらに、核磁気共鳴イメージング剤が提供され、イメージング剤は、1ppm未満のガドリニウムを有する複数のナノ粒子を有し、ナノ粒子はPEGを有し、ナノ粒子は、磁気共鳴イメージングシステムによって生成された磁場によって直接イメージングすることができる。
【0041】
さらに、核磁気共鳴イメージング剤が提供され、イメージング剤は、複数のナノ粒子を有し、ナノ粒子はPEGを有し、ナノ粒子は磁気共鳴イメージングシステムによって生成された磁場によって直接イメージングすることができることにより、ナノ粒子のイメージを生成し、また、イメージング剤は1ppm未満のガドリニウムを有する。
【0042】
さらに、磁気共鳴イメージング装置内の磁場によって直接イメージングすることができるナノ粒子を有するイメージング剤が提供され、このナノ粒子は、骨格材料を有するナノ構造体を有し、骨格材料は非常磁性であり、ナノ構造体は磁場によって直接イメージングすることができる。
【0043】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される:ナノ構造体は約3600個のプロトンを有す。;ナノ構造体は25nm未満である;ナノ構造体は光増感剤を有する;ナノ構造体は標的化剤を有する;ナノ構造体は標的化剤およびイメージング剤を有する;および、ナノ構造体は腫瘍結合性である。
【0044】
さらに、このイメージング剤またはこのナノ粒子の少なくとも1つのイメージを直接取得しながら、MRIで治療法を実行する方法が提供される。
【0045】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこのナノ構造体、ナノ粒子、薬剤、組成物、方法、および装置が提供される;治療法は外科手術である;および、治療法はPDTを有する。
【0046】
一実施形態では、PEGによるナノ粒子のMRIイメージングは、ナノ粒子のMRI信号を選択的に視覚化し、水または脂肪から生じる他のプロトン信号を抑制するために、コンポーネントが追加された従来のMRパルスシーケンスを使用することによって達成される。このシーケンスには、スピンエコーイメージング法、グラジエントエコーイメージング法、刺激エコーイメージング法、エコープレーナーイメージング(EPI)法、スパイラルイメージング法、逆投影イメージング法、およびケミカルシフトイメージング(CSI)またはボクセルベースの分光法が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
一実施形態では、他のシングルからのフィルタリングが提供される。PEGナノ粒子信号を他のプロトン信号から分離するために、特定のフィルタリングコンポーネントが選択したパルスシーケンスに追加される。このMRI信号フィルタリング方法としては、組織の水MRI信号を優先的に低減する、1,000/mmより大きい磁場勾配B値を有するパルスシーケンスであって、ラジオ周波数(RF)脂肪抑制又はT脂肪抑制を用いた従来の脂肪抑制スキーム、PEGプロトンの長いT倍を利用し、組織の水と組織の脂肪信号の両方を低減するのに十分長いTE時間を有するパルスシーケンス、PEGプロトンの特定のケミカルシフトに基づく、またはそれを使用するパルスシーケンス、上述ように脂肪抑制と水抑制で展開され、次にDixonタイプのイメージングシーケンスを使用して水とPEGプロトンイメージを別々に生成するパルスシーケンス、磁化伝達(MT)を使用して組織内の水をさらに抑制するが、PEGプロトンを抑制しないパルスシーケンス、特定のケミカルシフトの水、脂肪、およびPEGプロトンにおける、1D、2Dまたは3Dのプロトンの低解像度イメージを生成するCSIパルスシーケンス、およびボクセルNMRスペクトルを生成するために水と脂肪の抑制方法を採用する、シングルボクセルまたはマルチボクセル局所分光パルスシーケンスが含まれるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1は、Ce6送達およびROS生成効能(原寸に比例して描かれていない)の実施形態の構造表現を示す図であり、左の図は、Ce6によって単独でROSがどのように生成されるかを示し、右の図は、本発明による、カプセル化されたCe6の実施形態に対する8PEGAに固定された実施形態である。ROSの移動におけるこの違いは、明らかな効能の増加を示す。
【0049】
図2は、ADPA蛍光消光によって経時的に追跡された、PAAmNPにカプセル化されたCe6のk値プロットの実施形態を示す図である。PBS中で660nmOD=0.12であり、プロットの傾きがk値である。
【0050】
図3Aは、本発明による、F3-cysペプチドによる8PEGA-Ce6の修飾の実施形態を示すグラフである。
【0051】
図3Bは、本発明による、0.1mg/mのPBS中の8PEGA-Ce6およびF3-8PEGA-Ce6のUV/VISスペクトルの実施形態の示すグラフである。
【0052】
図4は、血球計算盤細胞集団結果の実施形態のグラフである。対照群およびテスト群に対して、N=3x3(各3プレート、各3回テスト)で、200000個の細胞を播種したウェルに200ug/mLのF3-8PEGA-Ce6を24時間処理のインキュベーション条件を採用し、対照群の細胞は、同じ条件下でF3-8PEGA-Ce6ナノ構造体を含まない。本発明によれば、結果は、ほぼ同一の細胞集団を示している。
【0053】
図5Aから図5Eは、HeLa229細胞のPDTテストのイメージ写真である。図5A。PDTコントロール細胞のカルセインAM蛍光(F3-8PEGA-Ce6なし)。図5B。照射の2時間後のPDT対照細胞のカルセインAM蛍光。図5C。PDT前のテスト細胞(F3-8PEGA-Ce6を使用)のカルセインAM蛍光。図5D。PDTの2時間後のテスト細胞のカルセインAM蛍光。図5E。PDTの2時間後の蛍光。PDTの2時間前、200UG/mLのF3-8PEGA-CE6でPDTテストプレートをインキュベートした後、692+/-20nmのフィルターとアークランプを使用して、合計50ミリワット/cmのフルエンスで10分間、全ての細胞を照射した。この操作は本発明により実行した。
【0054】
図6は、b=10s/m(A)、およびb=1010s/m(B)で得られた、8PEGAの実施形態の拡散加重スピンエコーMRイメージのイメージである。110M水のプロトン信号は、(A)に見られるように、従来のMRイメージを支配するが、b=1010s/mにおけるイメージングでは10-10倍抑制されている。エコーパルス磁場勾配NMRにより測定した25°Cにおける8PEGAの拡散定数は、3.57210-11/sであり、b=1010s/mで残存初期磁化の70%が許容された。(B)のカラーバーは、本発明により検出された8PEGAの濃度を示す。
【0055】
図7は、8PEGAの実施形態の濃度依存性MRI信号のグラフである。5つのバイアルのそれぞれに対して関心領域(ROI)を選択し、信号の平均(円)と標準偏差(エラーバー)を計算した。本発明により、線形方程式を5つの測定されたバイアルに適合させ、その結果を破線として示す。
【0056】
図8は、本発明によるナノコンポジットの実施形態のサイズ分布を示すグラフである。
【0057】
図9は、本発明によるPDTの実施形態を示す概略図である。
【0058】
図10は、本発明による8ーアーム-PEG-アミン(8PEGA)の例示的な実施形態を示すチャートである。
【0059】
図11~18は、本発明による実施形態の性能および性質を示すチャートである。
【0060】
図19は、本発明による、8PEGA-Ce6実験で使用されたものに等しいODにおけるPAAm-Ce6NPのK値プロットの実施形態を示すグラフである。
【0061】
図20は、本発明による8PEGA上のCe6の実施形態のスペクトルであり、標的化の有無にかかわらず、Ce6の8PEGAへの添加は、凝集を引き起こさず、蛍光が維持され、それでもROSを生成することを示す。
【0062】
図21は、適用された勾配(b値)の関数としての8PEGAからの信号の変化を示すグラフの実施形態である。本発明によれば、勾配は拡散定数Dを与える。
【0063】
図22は、筋細胞におけるCTP標的化8PEGA-Ce6の選択的取り込みを示すイメージである。Ce6の蛍光は筋細胞でのみ見られる。
【0064】
図23は、本発明による8PEGAの実施形態のTEMである。8PEGAはヒドロゲルであり、TEMは測定に真空を使用するため、グリッドはまだ湿っている間に挿入され、プレートの表面張力のために一部の8PEGAが水化された形態で残っている可能性がある。平均範囲は約10~12nmである。
【0065】
図24は、本発明による、標的化8PEGANPを有するPDTの実施形態が血管系に損傷を引き起こさないことを示すイメージである。PI蛍光は筋細胞からのみである。
【0066】
図25は、本発明による、Ce6を用いた非標的化PDTの実施形態を示すイメージである。PI蛍光はもはや筋細胞に限定されず、冠状血管細胞に現れ、血管系の損傷を示している。
【0067】
図26は、本発明によるMRIの実施形態およびMRIを使用するためのプロセスの概略斜視図である。
【発明を実行するための形態】
【0068】
一般に、本発明は、ナノ構造体、このナノ構造体を製造する方法、および治療法、イメージング、診断、セラノスティックおよび他の用途に関する。
【0069】
一般に、一実施形態では、ナノ構造体(NC)は、治療プラットフォームとして、ならびにイメージング剤として同時に機能することができる。このナノ構造体は、他の能力、例えば、特定の細胞型、特定の構造を選択するための標的化剤などを提供する活性成分などを有してもよいし、または細胞膜透過性などの特定の膜関連特性を有してもよい。
【0070】
一般に、好ましい実施形態は、多数の望ましい治療法、イメージング、診断、セラノスティック、およびこれらの特性の組み合わせおよび変形を有する多機能の、超小型ナノプラットフォームである。この好ましい実施形態は、光増感剤単独および他のPDTナノ構造体と比較して、優れた光線力学的効能を有する。利用において、この好ましいナノ構造体は、癌細胞へのその適用において優れた光線力学的効能を有する。その優れた効能に加えて、このNCは無毒性であり、MRIの分子イメージング剤である。
【0071】
8ーアームポリエチレングリコールアミン(8PEGA)は、様々な修飾を可能にする生体適合性ポリマーである。通常、アミン基は、光線力学治療法(PDT)における一連の光増感剤(PS)の共有結合による固定に使用できる。さらに、実施形態では、ポリマーの他のアームをマレイミド基に変換して、様々なシステイン末端ペプチドの付加を可能にする。たとえば、ペプチドには余分なアミノ酸(システイン)を付加して、遊離チオールを取得し、それを利用することができる。そのような実施形態では、ペプチド機能が保持されているペプチド+1アミノ酸が存在する。いくつか例を挙げると、癌、心不整脈、脈絡膜血管新生などの多くの生物学的環境でPDTを標的化し、適用するように柔軟に適合させるNCとしての8PEGAの実施形態がある。8PEGAはMRIのための長いT寿命も持ち、また、例えば、クリーンで直接的なイメージを生成する方法の組み合わせによって水信号が十分に抑制され得る、高いb値における従来の拡散加重イメージング(DWI)を介して、生体内でイメージング剤として使用される。
【0072】
本NC、システム、および方法は、以前の治療法、イメージングシステム、以前のナノ粒子(NP)、および治療に比べて多くの改善を提供する。この改善の例としては、最適化された活性酸素種(ROS)の生成、任意の望ましい生物学的領域の浸透を可能にする小さなサイズ、多様な生物学的システムの標的化とNC蓄積を可能にする変更の容易さ、8PEGAのサイズが小さく生分解性があることによる生体内除去率の向上、および従来の方法よりも改善されたDWIが含まれる。
【0073】
NMRイメージング剤又は造影剤として使用するための実施形態において、NCの実施形態では、典型的にはB値が10と10s/mとの間のDWIに使用されるが、8PEGAの長いT寿命と高いMW(IN40kDa)により、b=1010s/mまでにおいても使用が可能であり、水/脂肪信号の十分な抑制につながり、8PEGAのみが残ることになる。さらに、DWIで8PEGAを使用すると、安全性の懸念を一貫して引き起こす重金属原子を必要とせずにMRIが可能である。
【0074】
このナノ構造体は、血流への直接送達、例えば、包装済みのIV配合物または使い捨ての包装済み注射器;ピル、錠剤、液体などの摂取;定量吸入器またはネブライザーなどによる吸入;ガス吹送法の一部として、経皮送達または生体内用の軟膏または液体などの局所送達などの薬剤送達システムに処方することができる。この薬剤送達システムは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の異なるナノ構造体を有することができ、それぞれが特定して設計されているか、特定の目的を有する。この薬剤送達システムはまた、追加のイメージングおよび治療剤として機能する、例えば、ナノ構造体ではない他の添加剤および活性作用剤を含んでもよい。
【0075】
一般に、添加剤は、例えば、化学結合(例えば、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合など)、立体障害または骨格内または骨格による物理的捕獲などによる立体的または機械的相互作用、添加剤が骨格材料を構成する分子構造の一部になること、およびこの組み合わせと変形などを介して、ナノ構造体骨格、即ち、ナノ粒子と相互作用することができる。添加剤は、ナノ粒子の形成前、ナノ粒子の形成中、ナノ粒子の形成後、およびこの組み合わせおよび変形に添加することができる。
【0076】
多くのイメージング色素またはイメージング剤、および他の診断ツールは、特にヒトにおける使用には望ましくないと見なされる可能性のある材料を使用している。この色素および薬剤は、金属ベースであり得、金属、金属酸化物、または鉄、鉄白金、マグネシウム、およびマンガンなどの金属化合物または複合体を使用または含有し得る。MRIイメージング剤はガドリニウムベースの材料を使用する。
【0077】
重金属を含まない本ナノ構造体の実施形態、例えば、ナノ構造体、ナノ構造体の薬剤送達システム、およびその両方は、約10ppm未満の重金属、約1ppm未満の重金属、および約0.1ppm未満の重金属を含む金属、およびゼロの重金属を含む。重金属には、チタンとすべての重金属が含まれる。この重金属を含まないナノ構造体は、イメージング剤および診断剤として機能することができる。このイメージングナノ構造体の実施形態は、ガドリニウムを含まない、例えば、0.1ppm未満であり、好ましくはガドリニウムがゼロであるMRIイメージング剤を提供する。重金属を含まないNP、NC、薬剤送達システム、およびこの組み合わせと変形は、MRIによって直接イメージングできるため、直接MRIイメージング剤、診断剤、およびその両方として機能する。
【0078】
標的化可能なNCの実施形態は、光線力学治療法(PDT)の治療プラットフォームとして、またMR分子イメージング剤として同時に機能することができる。一実施形態では、このナノ構造体は、重金属原子、特にガドリニウムを含まない。
【0079】
一実施形態では、付加されたクロリンe6(CE6)PSおよび標的化部位CTP-Cys付き(心臓標的化ペプチド)の超小型8ーアームポリエチレングリコールアミン(8PEGA)NCは、心筋細胞の細胞特異的破壊のために標的ペプチドを使用する場合、生きているラットおよびヒツジのそれぞれの心臓における生体内および生体外において、心不整脈のPDTに対して治療結果をもたらす。このNCは、タコのような、超コンパクトで生体適合性の高いポリマー、8ーアームポリエチレングリコールアミン(8PEGA)であった。アミン末端アームは、藻類由来のPS、クロリンe6(Ce6)、および心筋細胞の標的化部位を固定した。このナノ構造体は、MRIイメージング剤として使用でき、心臓の状態やその他の状態のMRIセラノスティックとして使用できる。
【0080】
一実施形態では、このナノ構造体は、癌にPDTを提供するように構成することができる。この目的のためには、標的ペプチドはF3-cysであり得る。8PEGA-Ce6NCは、従来のCe6カプセル化ポリアクリルアミド(PAAm)NCと比較して、優れた活性酸素種(ROS)生成を示す。これは、とりわけ、一部の用途では、PAAmNCと比較した場合にPDTにおける8PEGA NCの利点をもたらす。
【0081】
8PEGA-Ce6NCによって証明された優れた活性酸素種は、Ce6はシングレット酸素を生成するため、シングレット酸素である。ROSが常にNCのマトリックスから逃れるとは限らないNPカプセル化と比較して、細胞内でより広く利用可能であることにより、生成されたもののより多くが酸化ストレスで効果的に使用できることで、この生成は優れていると定義される。さらに、8PEGAやPAAなどのNCは、PSの凝集を防ぐ効果的なツールとして機能し、これは遊離PSが行え得るため、励起状態の消光により生成が停止する。この比較を行う際には、Ce6-8PEGAとCe6-PAAのk値を同じ光学密度で比較することが好ましい。
【0082】
8PEGA-Ce6NCは細胞適合性もあり、選択した標的化ペプチドの付加に化学的柔軟性を提供する。最後に、このラベルフリー8PEGA NCは、水信号を抑制するために大きな拡散磁場勾配を持つ標準的なスピンエコーイメージングシーケンスを使用して、MRIによって直接かつ選択的にイメージングできる。特に、その超小型サイズにより、このNCは生体内における浸透と生体内除去を改善した。
【0083】
一般に、理論上では、任意のペプチドはPEGナノ粒子への付加が実行可能であり、システイン末端であるすべてのペプチドは8PEGAに付加できると考えられている。F3-cysペプチドは特定の癌を標的とするペプチドである。一実施形態では、それは、癌への8PEGA-Ce6の適用のために使用された。HeLa細胞は、その堅牢な性質と、F3-cysペプチドの特定の標的であるヌクレオリン過剰発現していることが知られているため、対象のモデルシステムとして選択された。8PEGAは、小さいサイズ、均一性、および生体適合性からの利点に加えて、与えられたPSで最適化されたROSの生成を含むさらなる利点が本発明によって開発されたことにより、MRIの分子イメージング剤として使用される。理論上、ポリアクリルアミドヒドロゲルナノ粒子(PAAmNP)などの標準モデルマトリックス内にカプセル化されている場合とは対照的に、たとえば、PSCe6が酸素化環境と直接接触するため、このNCでは最適化されたROS生成が期待されるとされている。このようにして、実施形態では、以前のNCと比較した場合に、ROS産生効能、生体適合性、および標的化における柔軟性が増加したナノ構造体が提供される。
【0084】
本発明の実施形態では、8PEGAベースのナノ粒子およびナノ構造体は、イメージング用途、診断用途、セラノスティック用途、およびこの組み合わせおよび変形のためのMRIイメージング剤として使用される。この8PEGAMRIイメージング剤は、他の治療法、イメージング剤または造影剤、および用途と組み合わせて使用できる。理論上、8PEGA群の実施形態の高分子量(例えば、40kDa)、柔軟な鎖ダイナミクス、およびその特定の構造は、部分的に、本発明の高度に選択的な分子イメージングMRI剤にとって好ましい条件を作り出すとされている。さらに、8PEGAの遅い拡散定数と横方向のスピン緩和速度が組み合わさって、周囲の水信号を抑制する拡散加重MRIシーケンスが可能になり、8PEGAのクリーンなイメージが提供される。本発明の8PEGAMRIイメージング剤および8PEGAMRIイメージング用途の実施形態では、8PEGAMR信号は選択的に検出され、その濃度に比例する。8PEGAMRIイメージング剤および用途は、本重金属原子MRIイメージング剤と比較して、とりわけ、その生体適合性のために、本MRIイメージング剤および用途よりも優れている。さらに、8PEGAMRIイメージング剤はまた、セラノスティック剤であるか、または本MRIイメージング剤および用途に比べて追加の機能および利点を提供するセラノスティック機能を有する。
【0085】
8PEGAに付加されたCE6のROS産生に対してポリアクリルアミド(PAAm)にカプセル化が、2つの競合するナノ構造の比較として図1に示されている。図1は、波長660nmの光にCE6102が露出される場合、分子状酸素()のトリプレット基底状態101から励起シングレット状態()100へのROS100の生成を示す。Ce6102がPAAmNC(Ce6/PAAmNP)105内にカプセル化されている場合のROS100の生成およびROSの経路が、Ce6102が8PEGA NC(8PEGA-Ce6)106の一部である場合のROS100の生成と比較されている。
【0086】
図2は、PAAmカプセル化Ce6の相対的ROS生成の「k値」プロットの実施形態のグラフである。kー値は、ADPA蛍光の一次減衰によって測定される、Ce6によってROSが生成される速度の尺度である。同等のk値を生成するために、PAAm-Ce6NPの光学密度(OD)をUV/VISにより660nmにおける8PEGA-Ce6のOD(0.12)に調整した。表1は、文献のODに対して正規化した場合の2つのNCの相対的な結果を示す。
【表1】
表1:660nmにおけるOD=0.12において、検討された2つのNCのk値
【0087】
NC8PEGAの直径も、ストークス-アインシュタイン近似およびTEMによって計算し、図23に示す。
【0088】
図3Aは、標的化NCであるF3-8PEGA-Ce6コンジュゲート301、および非標的化NCである8PEGA-Ce6コンジュゲート302の吸収スペクトルを示す。660nmにおける特徴的なピークは、両方のNCで保持されている。
【0089】
図3Bは、F3-cysによる8PEGA-Ce6の化学修飾を示す図を提供する。したがって、8PEGA311およびCe6312を有するNC310は、BiPEG、例えば313で修飾されてNC310aを提供し、次にF3-cys、例えば314で修飾されて標的化NC310bを提供する。
【0090】
このF3-cys-8PEGA-Ce6NCの生体適合性をテストする方法としてフローサイトメトリーを採用し、暗毒性をテストした。細胞は200ug/mLF3-8PEGA-Ce6の濃度でテストした。コントロール細胞は、F3-8PEGA-Ce6NCが追加されていないデータ群を表す。図4から分かるように。有意な毒性は観察されなかった。
【0091】
励起光による単純な細胞ストレスの可能性を排除するためのコントロールテストとして、F3-8PEGA-Ce6を含まないHeLa細胞をまき、NC処理細胞のPDTで使用したのと同じ時間と電力(50mW/cm、10分)で照射した。照射後(図5A、B参照)、細胞形態にわずかな変化が見られたが、細胞質染色カルセインAM蛍光カウントに変化はなく、膜ブレビングの兆候(アポトーシスの特徴)はなかった。
【0092】
F3-8PEGA-Ce6で細胞を光照射した後のカルセインAM蛍光に顕著な違いが見られる(図5C、D参照)。照射前には観察可能なヨウ化プロピジウム(PI)蛍光はなかったが(データは示していない)、照射後は細胞膜不透過性PIが細胞の核を染色していることがわかる(図5E参照)。
【0093】
8PEGAの並進拡散定数D、および緩和時間TおよびTを、25℃及び35℃で測定した(表2、図21参照)。8PEGA(非修飾)の溶液中のイメージを収集して、水/脂肪が抑制されたときのクリーンなイメージの生成(図6参照)とそれらの濃度依存性応答(図7参照)を示した。したがって、図6において、イメージ601はb=10s/mで得られた8PEGAを示し、イメージ602はb=1010S/mで得られた8PEGAを示す。イメージ601に見られるように、110Mの水のプロトン信号が従来のMRイメージを支配するが、b=1010S/mのイメージングにおいて10-10倍に抑制される。バー603は、イメージ602において8PEGAの検出された濃度と相関している。この応答は、濃度に対して線形であることがわかり(図7参照)、水抑制技術で収集されたイメージ(図6B参照)と一致している。テストした濃度は、HO中で0、2.38、4.77、9.54、および19.08mg/mLの8PEGAであった。さらに、ストークス-アインシュタインの式:
【数1】
を採用して8PEGAのサイズを計算してTEM結果を検証し、直径は35℃で10.96nmと計算され、13個の測定されたNCで分かった約10~12nmの範囲と一致する(図23を参照)。
【表2】
表2:25℃及び35℃における緩和時間及び8PEGAの並進拡散定数は、16.4Tで測定。サンプルは25/75(V/V)HO/DO中の5mg/mlL8PEGAである。
【0094】
Ce6-8PEGAは、ヒドロゲルNPと比較して、他のどの要因よりも8PEGAではCe6群が細胞の酸素化環境と直接接触していることに基づいて、より効率的なROS生成プラットフォームである。この構成は、図1に示されている。したがって、酸素は、PS102をカプセル化するPAAmNPマトリックス105に拡散する必要はなく、ROS101は、とりわけ、拡散する必要はなく、マトリックスとの反応による損失を被る必要もない。この特徴は、同一のODに調整した場合、k値テストによってCe6-8PEGAのk値がCe6カプセル化PAAmNPのk値よりも約50%大きいことを示すことにより確認される(表1)。
【0095】
8PEGAは星型のポリマーであるため、球形の材料形状を想定したストークス-アインシュタインの式によるサイズの測定が望ましい。並進拡散係数D(表2、図21)を測定した結果、35℃におけるポリマーのサイズは約11nmであることがわかる。二次分析方法として、8PEGAを酢酸ウラニルで染色し、TEMを使用して視覚化した(図23参照)。以下の円内の選択した13点のサイズ、円2301(13.1nm)、2302(11.3nm)、2303(10.4nm)、2304(12.5nm)、2305(10.8nm)、2306(12.2nm)、2307(10.1nm)、2308(11.5nm)、2309(11.9nm)、2310(10.8nm)、2311(10.9nm)、2312(11.6nm)、2313(12.5nm)は約10~12nmであることが分かり、ストークス-アインシュタイン式の測定とよく一致している。
【0096】
ナノ粒子の表面をPEG化することとは異なり、本発明の実施形態では、ナノ粒子骨格自体は、主にPEG、例えば、少なくとも約85%のPEG、少なくとも90%のPEG、少なくとも95%のPEG、少なくとも99%、または少なくとも99.9%のPEGで形成され、好ましくは100%のPEGで形成される。したがって、標的化ベクターは、生体内における用途だけでなく、生体外おける細胞取り込みを加速するのにも役立つ。たとえば、癌を標的とする場合、8PEGA-Ce6にグラフトするために、ヌクレオリンを標的とするペプチドF3-cysが選択された。なお、F3-cysの付加後、Ce6分光学的特徴は、図3Bに示されるように、ほとんど影響を受けず、図3Bに示すように、ペプチドを切り替える際(心臓筋細胞を標的とするためのCTPから、癌細胞を標的とするためのF3へ)の光物理的特性の保存を示す。修飾の前後と比較した場合、0.1mg/mLでCe6吸収のわずかな減少が見られるが、BiPEGおよびF3-cysがNCのMWを増加させるので、このことは予想される。BiPEGは、2アームの二機能性PEG(2kDaなど)である。BiPEGの実施形態は、一端にNHSエステルを有し、他端にマレイミドを有することができる。実施形態では、これは、ペプチドが付加されるように、アミンをマレイミドに変換するように機能する。
【0097】
本NCの実施形態の重要な態様は、それらの生体適合性である。一実施形態では、全体の構造は、PEG、Ce6、およびホーミングペプチドF3-cysで構成される。PEGは、生体適合性の高い物質であり、F3-Cysは生体外または生体内で毒性効果を持たない良好な標的化剤である。藻類由来のCe6はPDT剤の一例である。この3つの部位を有するNCの実施形態は、重大な生体適合性の問題を示さない、即ち、NCは生体適合性である。これは、図4に示すような血球計算盤の結果によって生体外で確認される。
【0098】
F3-8PEGA-Ce6でPDTテストを開始する前に、選択したレーザー条件(50mW/cmで10分間)をテストして、照射が重大な細胞ストレスの原因ではないことを確認した。照射前(図5A参照)および照射後(図5B参照)の細胞のカルセインAMイメージは、形態にほとんど変化を及ぼさず、アポトーシスの兆候を示さなかった。したがって、光照射源は細胞に大きなストレスを与えない。その後、200Ug/mlの濃度のF3-8PEGA-CE6の存在下でPDTを開始した(図5C/D/E参照)。PDT後、細胞質の内容物の喪失をしめす、カルセインAM蛍光の有意な減少がみられ、これは、細胞膜が破裂した条件下においてのみ発生するイベントである。膜の破裂は、細胞不透過性色素PIによる核の染色によって示された(図5E参照)。図4の細胞適合性と併せてPDTテスト結果を考察すると、細胞の死がPDTを介していることは明らかである。
【0099】
より効率的なPDT(50%大きいk値)に加えて、8PEGA NC、治療法、セラノスティックスの使用には、例えば、次のような多くの追加の利点があると考えられる:(1)NCのサイズが小さいため、より大きなNPでは提供されない機能として、体からの迅速な腎クリアランスの可能性;および(2)腫瘍に浸透できるようにするには多孔性/漏出性血管系を必要とする従来のより大きなNPとは対照的に、まだ血管新生が成されてない腫瘍領域に浸透する能力など。
【0100】
本発明以前は、異種核MR法を使用して生体内で選択的にイメージングできる前に、PEGに13Cタグを付ける必要があると考えられていた。本発明のPEG NPおよびNCの実施形態は、NMR、MRI、イメージング剤、造影剤、およびこの組み合わせおよび変形になるという驚くべき能力を示す。PEGの実施形態では、とりわけ、ポリエチレンオキシド鎖の固有の柔軟性と8PEGAの遅い並進拡散はHNMRを用いた、8PEGAプロトンの選択的なMRイメージングのための物理的および動的条件の利用可能なセットを作り出す。具体的には、相関時間が約0.1nsの8PEGAの高速鎖運動は、プロトン双極子-双極子相互作用の十分な平均化を提供し、25℃と35℃でそれぞれ586msと769msと測定される長い核スピン横方向緩和時間Tを生成する。高速の内部鎖ダイナミクスとは対照的に、分子の高分子量は、水分子よりも2桁遅い並進拡散定数を生成する。したがって、水信号は大きな拡散勾配によって効果的に抑制でき、8PEGAの場合、その長いT時間と遅い拡散の組み合わせにより、エチレンオキシド信号のみが残る。なお、MR信号強度は次のように減衰する。
【数2】
【0101】
ここで、b値は、磁場勾配の大きさ及び持続時間によって決定され、Dは水又は8PEGAいずれかの並進拡散定数であり、TEはエコー時間であり、Tは、横方向スピン緩和時間である。また、エチレンオキシドモノマーの対称性により、4つのプロトンすべてに対して単一のケミカルシフトが生じ、それぞれの40kDaポリマー分子は約3,600のプロトンを運ぶことで、NMRまたはMRI信号の大きなモル増幅を生み出す。高いb値と長いTE時間による拡散加重スピンエコーMRイメージング実験を実行することにより、速い拡散による水信号と短いT時間による脂肪信号が効果的に抑制され、8PEGA信号が選択的にイメージングされる。生体内では、細胞内の水分子の拡散が制限されているため、高いb値における水信号強度のごく一部が残るが、従来のHNMRにおけるプロトン水とエチレングリコールのプロトンの差が約1ppmであるため、この信号は8PEGA信号から削除または区別できる。なお、プロトンの数は、ナノ粒子に応じて、3,600より多くても少なくてもよく、約2,000から約30,000、約4,000より多くてもよく、約5,000より多くてもよく、約2,000から約10,000、約3,000から約7,000であってもよい。また、この範囲内のすべての値およびこの範囲より多いまたは少ない数量であってもよい。
【0102】
したがって、例えば図6に見られるように、8PEGAは、上記の抑制技術と組み合わせると、MRイメージング剤として非常によく機能する。これにより、健康上の懸念、安全上の懸念、および特定の患者群に対して本健康上のリスクの対象となる、ガドリニウム塩やキレートなどのような、利点がより少なく、問題を抱えるまたは危険な材料などの他のMRI造影剤を置き換えるまたは排除するための大幅な進展と能力が提供される。抑制技術が適用されていないイメージ601と適用されたイメージ602との間には明らかな違いがある。8PEGAイメージング信号はまた、その濃度に対して線形である(図7参照)。上記のイメージング剤およびイメージング技術の実施形態が適用される場合、8PEGAのクリーンで明確なイメージが回収されることで、生体内におけるイメージング剤としてのその実行可能性を明確に示される。適切な較正下で、これにより、生体組織(例えば、腫瘍領域対濾過器官)における8PEGAの定量化を可能にすることを含む、精密なイメージングおよび診断が提供される。
【0103】
したがって、8PEGA-Ce6NCは、優れた活性酸素種、MRIイメージング能力、重金属非含有、および癌標的化剤を有する能力の1つ以上、好ましくはすべての特徴をNCに提供する。
【0104】
イメージング剤とPDT剤の両方である標的化ナノ構造体を有する能力は、これまで前例のない状態の治療に効能を生み出す。この標的化セラノスティックナノ構造体は、標的化剤を使用して、特定の構造、例えば、細胞型、腫瘍などを標的とする。このようにして、標的化セラノスティックナノ構造体は、標的化剤の作用によって標的構造と選択的に相互作用する。標的化剤のみで、標的構造体と相互作用するナノ構造体の約80%、約90%、または約95%に対して優れた特異性を提供することができる。ただし、標的化剤は、標的構造体に絶対的な特異性を提供することはできない。したがって、活性化エネルギーが送達される際、標的構造をイメージングすることができ、それによって、好ましくは、活性化エネルギー、例えば、光の送達のための精密なパターンを決定できることが望ましい。
【0105】
このようにして、セラノスティック法の一実施形態では、標的化セラノスティックナノ構造体が身体に送達され、血液によって運ばれ、標的構造、例えば腫瘍と相互作用する。腫瘍のMRIイメージングが行われ、このイメージはナノ構造体の存在によって強調される。体内の標的構造の位置と形状が取得され、保存される。後続のイメージ技術、例えば、光音響イメージング、コンピュータによる強調および初期MRIイメージのレンダリングなどのモデリング技術、ならびにその両方を使用して、体内の標的構造体に関する非常に精密なイメージおよび、位置データおよび情報を提供することができる。次に、このイメージと位置データに基づいて照射パターンを作成できる。この照射パターンは、事前に決定し、カスタマイズして、標的構造体に特定化することができる。
【0106】
一実施形態では、この所定の照射パターンは、小径のレーザースポットであり得る。このパターンで照射されるレーザービームのエネルギーは、PSを活性化してROSを生成するのに十分である。ただし、レーザービームによって送達されるエネルギーは、レーザーが組織の光学的破壊を引き起こす閾値(LIOB)より低く、好ましくは、組織が加熱される閾値より低い。実施形態では、レーザービームの特性、例えば、波長、焦点距離、スキャン時間または持続時間、パワー、パルス化、パルス長または連続性、およびスポットサイズは、レーザーとの直接相互作用による標的構造の組織への損傷がほとんどまたはまったくない状態で、細胞レベルおよび細胞内レベルまでPSが非常に精密な位置(z、x、およびy座標)で活性化されるように決定することができる。このようにして、PSは細胞レベルの精度で活性化され、その構造に隣接する細胞に損傷を与えることなく、標的構造体にROSを提供することができる。(ROSは作り出された後の持続期間が非常に限られており、細胞内または細胞に隣接して作り出された場合、隣接していない細胞に移動したり、影響を与えたりしない可能性は低いと理解されている。)
【0107】
ナノ構造体の実施形態では、空間的(レーザー焦点)および生物学的(細胞選択的)選択性の両方が、標的化抗体またはペプチドを有するナノ構造体(NC)を使用することによって達成され、これはまた、表面下腫瘍へのPDT治療を拡張する。一般に、NCの使用は、免疫系を迂回するため、生物学的な環境からPSの保護を可能にし、逆もまた同様である。
【0108】
比較的に小さいサイズ(<20nm)の8PEGA由来のNCは、筋肉などの非常に密度の高い組織を含む標的組織に浸透し、筋細胞などの特定の細胞タイプに選択的に蓄積されることで、穏やかな近赤外照射下で光線力学的破壊を可能にした。癌の治療において、このNCのサイズが小さい場合、単独で、または標的部位と組み合わせて、NCに腫瘍結合性が提供され、腫瘍に対して細胞選択性を有する。
【0109】
任意のタイプの活性的、動的治療法部位に、ナノ粒子を、好ましくは標的化剤とともに使用して、セラノスティックナノ構造体、たとえば、ナノ構造体を形成することができる。一実施形態では、現在知られている、または後に開発される動的治療法剤は、少なくとも部分的にPEG、PEGベースの材料、およびこの組み合わせおよび変形から形成されるナノ粒子と組み合わされる。一実施形態では、現在知られている、または後に開発される動的治療法剤は、断面が50nm未満であるナノ粒子、および40nm未満の実施形態と組み合わされる。一実施形態では、現在知られている、または後に開発される動的治療法剤は、約5nmから約20nm、約5nmから約15nm、約10nmから約15nm、および約9nmから約12nmまでの断面を有するナノ粒子と組み合わされる。一実施形態では、現在知られている、または後に開発される動的治療法剤は、断面が50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、15nm未満、および10nm未満であるナノ粒子と組み合わされる。一実施形態では、現在知られている、または後に開発される動的治療法剤は、8PEGAであるナノ粒子と組み合わされる。ナノ構造体のこれらの実施形態のすべては、例えば、腫瘍結合性などの標的化能力または特徴を有する標的化剤等およびその組み合わせおよび変形も含んでもよい。
【0110】
ナノ構造体に関する上記の実施形態の組み合わせおよび変形、ならびに本明細書で教示される他のものは、医薬品としてまたはその一部として使用される。この医薬品の一実施形態では、ナノ構造体は、均一なサイズおよびより均一なサイズを有する。したがって、実施形態では、医薬品中のナノ構造体、特に対象または患者(動物、哺乳動物、またはヒト)で使用するための医薬品の投与量は、約1%以下、約5%以下、および約10%以下のサイズ差を有する粒子を有する。実施形態では、医薬品中のナノ構造体は、以下の粒子サイズ分布を有することができる:D10=n-5、D50=n、D90=x+5(ここで、n=5~25nm);D10=n-10、D50=n、D90=x+10(ここで、n=5~25nm);約10のD50、約15nmのD50、約20nmのD50、約50nmのD50、約8nmから約15nmのD50、およびそれより大きな値およびより小さな値。(図8は、D10、D50、およびD90値の計算および分布を示している。D50は、医薬品の累積量の50%を占めるナノ構造体のサイズを表す値である。D-90は、医薬品の累積量の90%を占めるナノ構造体のサイズを表する。D-10は、医薬品の累積量の10%を占めるナノ構造体のサイズを表す値である。)実施形態では、医薬品は、約10nm以下、約5nm以下、および約1nm以下の粒子サイズ分布を有するナノ構造体を有する。
【0111】
一般に、PDTの場合、光源の波長は、光増感剤を励起して活性酸素種を生成するのに適切である必要がある。PDTを介して生成されるこの活性酸素種は、フリーラジカルまたはシングレット酸素として知られる反応性の高い酸素状態である。典型的には、実施形態では、光増感剤は、分子状酸素(2)のトリプレット基底状態を励起シングレット状態(2)へ励起するために必要とされる最小のエネルギーである適切なエネルギー(約0.95eV)のトリプレット状態を生成することができる。生成され得る他の細胞毒性種としては、例えば、他のROS、1型ROS、ヒドロキシルラジカル、過酸化物、およびスーパーオキシドアニオンが含まれる。
【0112】
典型的には、腫瘍細胞に対する直接的な細胞毒性効果、腫瘍血管系への損傷、および全身性免疫の発達につながる可能性のある炎症性免疫の誘導の3つのメカニズムが存在し、これらは、実施形態では、PDTが標的組織の破壊、例えば、腫瘍破壊を媒介することにより相互に関連し得る。
【0113】
より小さなナノ構造体、例えば8PEGAに光増感剤を組み込むことにより、より低いエネルギー状態の光増感剤を得ることができる。他の理由の中でも、理論上、光増感剤は、ROSを形成するために利用できる組織酸素が多いNCの表面またはその近くにあるため、より小さいNCのサイズにより、ROSの影響を受ける組織または構造に近接してRO種を生成する能力をNCと光増感剤に与えるとされている。
【0114】
一実施形態では、典型的な光増感剤は、例えば、シングレット酸素または他の活性酸素種の量子収率が十分に高い(>0.4)場合、効率的なPDT剤であり得る。つまり、励起された光増感剤分子の少なくとも40%は、蛍光、燐光、またはその他の手段によってエネルギーを放つ代わりに、シングレット酸素または活性酸素種を生成する。さらに、励起された光増感剤のトリプレット状態の寿命が長いほど(>1ms)、周囲の分子との相互作用が良くなり、より多くの細胞毒性種が生成される。より小さなサイズのナノ構造体、およびナノ構造体が非常に均一なサイズ分布を有する医薬品を利用する本発明の実施形態は、より効率の低い光増感剤に効果的なPDTとして機能する能力を提供し、また、PDTで使用される既存の光増感剤の治療効能を大幅に高める。より小さなナノ構造体、例えば8PEGAに光増感剤を組み込むことにより、より低いエネルギー状態の光増感剤を得ることができる。他の理由の中でも、理論上、光増感剤は、ROSを形成するために利用できる組織酸素が多いNCの表面またはその近くにあるため、より小さいNCのサイズにより、ROSの影響を受ける組織または構造に近接してROS種を生成する能力をNCと光増感剤に与えるとされている。
【0115】
なお、PDTのメカニズムは、レーザー創傷治癒および回復、または強力なパルス光毛除去などの他の光ベースおよびレーザー治療法とは区別され、これらは光増感剤、蛍光、燐光、または生体内で生成される、つまり、作り出される、または活性部位の生成を必要とする他の手段を必要としない。
【0116】
実施形態では、典型的には、PDTによって標的化される構造の例は、ミトコンドリア、リソソーム、または小胞体であり得る。細胞への影響は、例えば、cyttid効果は、理論上、例えば、アポトーシス細胞死メカニズム、壊死経路、およびその両方を介して起こるとされている。理論上、アポトーシスに必要な酵素が破壊され、十分な細胞損傷があることで、壊死の結果(原形質膜が損傷)を引き起こすとされている。腫瘍破壊のもう1つの主な原因としては、理論上、腫瘍への酸素と栄養素の供給を制限する血管の閉鎖によるものであり、組織の低酸素症と細胞死につながるとされている。さらに理論上のメカニズムとしては、PDTが免疫応答を活性化し、リンパ球、白血球、マクロファージなどの免疫細胞が標的組織に浸潤するとされている。腫瘍破壊のもう1つの原因としては、腫瘍への酸素と栄養素の供給を制限する血管の閉鎖を介するものであり、組織の低酸素症と腫瘍細胞死につながる。これは、腫瘍破壊における8PEGA NCの実施形態において、腫瘍細胞死の主要な手段である。
【0117】
より小さなサイズのナノ構造体、ナノ構造体の非常に均一なサイズ分布を有する医薬品、およびこの組み合わせを利用する本発明の実施形態は、新しい光増感剤、古くて好まれない光増感剤、および以前はPDTでは無視されていた光増感剤を使用する能力を提供する。これらの実施形態は、腫瘍細胞死に対するこれらの本理論化されたメカニズム、ならびに本発明のイメージング能力およびセラノスティックスを含む、本発明の結果として生じる、または後で発見され得る他の方法または経路を使用することができる。
【0118】
本発明は、特定の光増感剤に限定されない。いくつかの実施形態では、薬剤は、メチレンブルー(MB)、クロリンe6(Ce6)、クマシーブルー(実施形態では、PTT(光熱治療法)剤として機能する)、金、または他の適切な光増感剤である。いくつかの実施形態では、光増感剤はまた、イメージング(例えば、MB)にも適している。
【0119】
本発明の実施形態は、光線力学治療法に限定されない。本発明の実施形態では、本発明のナノ構造体およびナノ構造体医薬品の一部を形成し得る追加の治療剤を利用することができる。その例としては、アポトーシスを誘導する薬剤超音波増感剤、例えば、超音波増感剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNAなど);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、オリゴマー化または複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗癌剤、毒素、ディフェンシンとコンジュゲートした抗体)、毒素;放射性核種;生物学的反応修飾因子(例、インターフェロン(IFN-αなど)およびインターロイキン(例、IL-2)、養子免疫治療法剤、造血増殖因子、細胞分化を誘導する薬剤(例、オールトランスレチノイン酸)、遺伝子治療法試薬(例、アンチセンス治療法試薬およびヌクレオチド);血管新生阻害剤;プロテオソーム阻害剤:NF-KBモジュレーター;抗CDK化合物;HDAC阻害剤;重金属(例、バリウム、金、またはプラチナ);化学治療法剤(例、ドキソルビシンまたはシスプラチン)などが含まれるが、それらに限定されない。他の多くの毒性化合物の例が当業者に知られており、より小さなサイズのNC、医薬品中における非常に均一なNCサイズ分布、およびこの組み合わせによって、これらの化合物の使用が可能である。
【0120】
いくつかの実施形態では、毒性剤は超音波増感剤である。超音波増感剤の例としては、ポルフィリン(例えば、ヘマトポルフィリン、ジアセチルヘマトポルフィン-マイトマイシン-Cコンジュゲート、フォトフリンII、メソポルフィリン、プロトポルフィリンIX、銅プロトポルフィリン、テトラフェニルポルフィンテトラスルホネート、ATX-70、ATX-S10、フェオホルビド-a、CIA1-フタロシアニンテトラスルホネート、および塩素PAD-S31)、テノキシカム、ピロキシカム、ローズベンガル、エリスロシンB、メロシアニン540、ジメチルホルムアミド、シトシンアラビノシド、ピリドキサルバゾール、2,2’-アゾビス(2-アムジノプロパン)、5,5’-ジメチル-1-ピロリン-X-オキシド、e-ピリジル-1-オキシド-Nt-ブチルニトロン、および抗癌剤(例えば、窒素マスタード、シクロホスマドミド、ブレオマイシン、アドリアマイシン、FAD104、アンホテリシンB、マイトマイシンC、ダウノマイシン、シスプラチン、エトポシド、ジアジクオン、ジヒドロキシ(オクスビ-グオアニド)ボロン、および5-フルオロウラシル)(例えば、Rosenthal et al、Ultrasonics Sonochemistry 11(2004)349参照;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)などが含まれるが、それらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態において、毒性剤は、アポトーシスを誘導または刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤としては、放射線(例えば、X線、ガンマ線、UV);腫瘍由来成長因子のリガンド、受容体、および類似体;キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(GLEEVECなど));アンチセンス分子;抗体(例、ハーセプチン、リツキサン、ゼバリン、ベキサール、およびアバスチン);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド性抗炎症剤);抗炎症剤(例、ブタゾリジン、デカドロン、デルタソン、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、デキサメタゾン、ヘキサドロール、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン、オラデキソン、オラソン、オキシフェンブタゾン、ペディアプレド、フェニルブタゾン、プラケニル、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレローン、およびタンデアリル);および癌化学治療法剤(例、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテール、またはタキソール);細胞シグナル伝達分子;セラミドとサイトカイン;スタウロスポリンなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0122】
本組成物および方法における使用に適したアルキル化剤としては、1)窒素マスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン);4)ニトロソウレア(例、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));5)トリアゼン(例えば、ダカルバジン(ジメチルトリアゼノイミド-アゾールカルボキサミド))などが含まれるが、それらに限定されない。
【0123】
いくつかの実施形態では、本組成物および方法における使用に適した代謝拮抗剤としては、1)葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));3)プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン)、チオグアニン(6-チオグアニン)、およびペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン))などが含まれるが、それらに限定されない。
【0124】
さらに別の実施形態では、本発明の組成物および方法における使用に適した化学治療法剤としては、1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)。2)エピポドフィロトキシン(例、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物学的応答修飾因子(例えば、インターフェロン-アルファ);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例、ミトキサントロン);8)置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン));10)副腎皮質抑制剤(例、ミトタン(o、p’-DDD)およびアミノグルテチミド);11)アドレナリンコルチコステロイド(例、プレドニゾン);12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール);13)エストロゲン(例、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例、タモキシフェン);15)アンドロゲン(例、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例、フルタミド):および17)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例、リュープロリド)などが含まれるが、それらに限定されない。
【0125】
いくつかの代替の実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方は、イメージングの目的で追加の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、イメージング剤は、例えば、磁性材料(例えば、MRI用の鉄)、発光反応を触媒するタンパク質(例えば、生物発光イメージング用のルシフェラーゼなどのルシフェリン);蛍光色素(例えば、蛍光イメージング用のローダミンまたはフルオレセインイソチオシアネート);蛍光タンパク質(例、緑色蛍光タンパク質);および放射性元素(例えば、オートラジオグラフィー用)などから選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方が、X線/CTの造影剤として使用されるナノ材料を含むか、またはMRIが、光活性特性、X線の吸収、またはT1磁気共鳴イメージングの常磁性特性を利用する。例示的な造影剤としては、ガドリニウム造影剤、蛍光剤(例えば、アリザリンレッドS)、および米国特許第7412279号または6540981に記載されている造影剤が含まれ、このそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、それらに限定されない。
【0127】
本発明の実施形態は、毒性剤を活性化する活性剤を提供し、細胞特異的な方法で標的の細胞に局所的な細胞および組織の損傷を与える。本発明は、特定の活性剤に限定されない。毒性剤を活性化する任意の活性剤は、本発明の実施形態における使用を見出す。一般に、活性剤は、細胞の死または破壊につながる毒性剤放出エネルギー(例えば、フリーラジカルの形態で)をもたらすエネルギー源を提供する。例示的な活性剤には、光、熱、放射、音などが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明は、光線力学治療法を使用して説明されている。ただし、本発明は、光線力学治療法の使用に限定されない。本発明の実施形態において、様々な毒性剤および活性化システムの使用が見出される。
【0129】
図9を参照すると、光線力学治療法(PDT)の一般的な実施形態では、光増感剤が光エネルギーによって活性化し、活性酸素種を放出す化学反応の使用が含まれる。PDTは2つの段階を含む。最初に、光増感剤が投与され、受動的または能動的標的化によって組織上または組織内に蓄積する。次に、光増感化された組織は、光増感剤の吸収スペクトルと一致する波長の光に露出され、これにより、光増感剤は照射されると励起される。光力学的に有効な光増感剤を使用することにより、分子状酸素(細胞内で利用可能)へのエネルギー移動と、主にシングレット酸素(O)である活性酸素種(ROS)の生成につながる。細胞の脂質、アミノ酸、およびタンパク質のその後の酸化は、組織の壊死および/またはアポトーシスなどの細胞損傷を誘導する。ROSは、寿命と拡散長が非常に限られていることにより、非常に局所的な毒性があるため、それらの放出は不可逆的でありながら、非常に制限された細胞の損傷と組織の壊死を引き起こす。したがって、PDTによって誘導される損傷は、光増感された細胞に限定されるが、隣接する非光増感細胞は影響を受けない。
【0130】
本ナノプラットフォームの実施形態は、コンジュゲート光増感剤であり、また、標的化された細胞特異的PDTが効能および制御性を大幅に向上させて様々な用途に利用可能であるようにヒドロゲルを持つ標的化部位である。たとえば、生分解性ナノ粒子とコンジュゲートした2つの薬剤の相乗的実行を含む、細胞および空間に特異的な細胞死の方式:筋細胞を標的とするペプチド(たとえば、CTP)、および光増感剤(たとえば、クロリンe6)を可能にする光線力学治療法である。
【0131】
いくつかの実施形態では、活性剤は音である(例えば、音波力学治療法)。音波力学治療法は、特定の化合物(超音波増感剤)の細胞毒性活性の超音波依存性増強によるものである。超音波は、20kHz以上の周波数で連続的な弾性媒体内の粒子の周期的な振動を伴う力学的波である。液体では、約1000~1600m/sのその速度は、マイクロメートルからセンチメートルの波長範囲に変換される。その結果、音場は、分子レベルの生物学的環境を含む、分子のエネルギーレベルと直接結びつけることはできない。したがって、この放射は安全であると認識されるだけでなく、そのエネルギーを大幅に減衰させることなく、非常に優れた組織透過能力を備えている。いくつかの実施形態では、音は体外で生成され、組織を介して所望の治療領域を標的とする。
【0132】
音波力学治療法は、超音波と「超音波増感剤」と呼ばれる化合物の相乗効果に基づいている。効果は、定義された領域(たとえば、標的組織の領域)に超音波を集中させることによって局所化することができる。いくつかの実施形態では、超音波は、標的組織の特定の領域に経皮的に送達される。
【0133】
いくつかの実施形態において、活性剤は、治療剤(例えば、化学治療法剤)を活性化する医薬製剤である。例えば、いくつかの実施形態において、ベラパミルは、化学治療法剤(例えば、ドキソルビシン)の効能を活性化または改善するために使用される。
【0134】
本発明の実施形態は、本明細書に記載のナノ構造体およびナノ構造体医薬品を含む組成物、キット、およびシステムを提供する。いくつかの実施形態では、システムは、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方、ならびに活性剤を送達するための器具または装置(例えば、レーザー、超音波装置、放射線送達装置など)を含む。いくつかの実施形態では、システムは、標的組織においてナノ粒子、ナノ構造体、およびのその両方をイメージングする器具と、活性剤の送達、イメージング、データ分析、およびデータ表示を制御するためのコンピュータシステムをさらに含む。
【0135】
次に、細胞特異的な死は、活性剤(例えば、レーザー光または音)送達の局所送達(例えば、埋め込まれたナノ粒子または表面上の毒性剤を介して)と、それに続くROSの局所放出により誘導される。実施形態において、特異的に標的化された細胞型は、活性剤が送達される領域においてのみ殺され、一方、非標的化細胞の数は、活性剤の送達後、一定のままである。
【0136】
本発明は、活性剤の特定の送達方法に限定されない。いくつかの実施形態において、活性剤は、例えば、内視鏡手術または開腹術である外科手術による治療法を必要とする標的組織の領域に直接送達される。いくつかの実施形態において、活性剤は、自動化されたシステム(例えば、コンピューター制御)を使用して標的化および制御される。
【0137】
いくつかの実施形態において、活性剤は、カテーテルまたは他の静脈内または動脈内送達を使用して、または経皮的に(例えば、超音波を介して)治療を必要とする標的の領域に局所的に送達される。そのような方法は、開腹外科手術の必要性を回避する。
【0138】
いくつかの実施形態では、治療法は音波力学治療法である。音波力学治療法には、経皮送達の利点があるため、侵襲手段なしで手順全体を実行できる。毒性剤(例、超音波増感剤)が送達され(例、静脈内)、次に組織の標的領域が超音波で治療される。
【0139】
いくつかの実施形態では、治療法は光線力学治療法である。光線力学治療法は、照射された領域のみが治療を受け、他の領域は未治療のままであるため、空間的特異性をもたらす能力がある。
【0140】
いくつかの実施形態では、治療法は、筋細胞を標的とし、切除するか、または殺す。ただし、本発明は、筋細胞の標的化に限定されない。治療用ナノプラットフォームを実装することの利点は、異なる標的組織の用途のために、様々なオプションの標的化剤にコンジュゲートするこの担体の高い汎用性である。実際、他の標的化部位(例えば、抗体、ペプチドなど)、機能性色素、または生物活性作用剤は、このナノプラットフォームで容易に実装できる。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療用途は、既存の治療法と組み合わせて、または既存の治療法の代替として使用される。いくつかの実施形態では、ナノ粒子ベースの治療法は、失敗したまたは不完全な治療法(例えば、非ナノ粒子治療法)のフォローアップとして使用される。
【0142】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方が、イメージング(例えば、生体内イメージング)用途で利用される。いくつかの実施形態では、蛍光性ある、または他の方法でもイメージング可能である感光剤(例えば、クロリンe6)または粒子が利用される。本明細書に記載されるように、本発明の重要な実施形態は、ナノ粒子、ナノ構造体、およびそれらの両方であり、他の薬剤または材料の添加により、MRIイメージング剤として機能する。他の実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方は、別個のイメージング剤をさらに含む。例えば、本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方は、イメージング(例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、PETイメージング、超音波、光音響イメージング、またはMRIイメージング)のための造影剤を含む。例えば、いくつかの実施形態では、157Gd、金、ヨウ素、鉄酸化物、またはイメージング被覆ナノ粒子、ナノ構造体およびその両方における使用に適した他の薬剤である。
【0143】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方は、生体内または生体外で、生物発光イメージングによって生物学的標的を検出すために使用される。いくつかの実施形態において、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方は、生物発光反応を触媒する酵素を含む。生物発光反応を触媒する酵素としては、細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,548,994号)、Photinus pyralisルシフェラーゼ(米国特許第5,670,356号および第5,674,713号)、Renilla reniformusルシフェラーゼ、Pyrophorus plagiophthalamusルシフェラーゼ、Luciola cruciataルシフェラーゼ(Masuda et al.,Gene77:265-70[1989])、Luciola lateralisルシフェラーゼ(Tatsumi et al.,Biochim.Biophys Acta1131:161-65[1992])、およびLatia neritoidesルシフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。上述の文献および特許は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、イメージングはインサイチュで実行される。生物発光酵素を含むナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方が動物の静脈内に提供され、分子認識要素がその生物学的標的に結合するように時間が与えられる。次に、いくつかの実施形態において、生物発光酵素の基質(例えば、細菌または昆虫のルシフェリン)が、動物に(例えば、静脈内、腹腔内、膀胱内、または脳血管内送達を介して)提供される。いくつかの実施形態では、次に、生物発光検出システムによって、基質に対する酵素の作用による生物発光の生成が検出される。いくつかの実施形態では、生物発光検出システムは、浜松強化CCD(ICCD、モデルC2400-32)を含む。他の実施形態では、生物発光検出システムは、弱い信号を増強するための他の装置(例えば、マイクロチャネルプレートインテンシファイアおよび検出器および/またはインテンシファイアのペルチェまたは液体窒素冷却用の装置)をさらに含む。いくつかの実施形態では、動物が配置されている暗いチャンバーのドアを開くことによって、動物のグレースケールイメージは得られる。次にドアを閉め、インテンシファイアのゲインを最大に調整して生物発光シグナルを検出する。次に、信号は疑似カラーのグレースケールイメージでオーバーレイされる。
【0145】
他の実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方を使用して、磁気共鳴イメージング(MRI)によって生物学的標的を検出する。いくつかの実施形態では、イメージングされた生物学的標的はインサイチュである。磁性材料を含むナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方が動物に提供され(例えば、静脈内に)、分子認識要素がその生物学的標的に結合するように時間が与えられる。次に、いくつかの実施形態では、生物学的標的は、磁気共鳴システム(例えば、7ーテスラ磁気共鳴システム)でイメージングされる。いくつかの実施形態では、T加重またはT加重イメージが得られる。
【0146】
いくつかの実施形態では、診断およびイメージング用途は、治療用途と組み合わせて実行される。例えば、いくつかの実施形態では、イメージング剤を利用して、光線力学治療法の前後の標的組織を視覚化して、細胞死を監視する。例えば、いくつかの実施形態では、イメージングにより、臨床医は、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方がどこに結合しているかを見ることができる(例えば、活性化の前、最中、または後)。いくつかの実施形態では、イメージングを使用して、治療後の標的組織を視覚化して、細胞死滅の程度または局在化を決定する。したがって、イメージングにより、動的治療法の進行状況をリアルタイムで監視できる。
【0147】
いくつかの実施形態では、イメージング法を利用して、活性化の治療過程を決定する。例えば、いくつかの実施形態では、治療後に、例えば、同一または異なる領域における追加の活性剤、または追加のナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方の送達の形態で追加の治療が必要かどうかを決定するためにイメージングが使用される。
【0148】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子、ナノ構造体、およびその両方が、研究(例えば、動物モデルにおけるイメージング、構造研究、DNA-タンパク質結合相互作用、タンパク質捕捉など)、外科手術中、または薬剤スクリーニング用途で使用される。
【0149】
本NC、本NCの作製方法、およびこのNCの使用方法を評価するために、様々な分析および監視の手法と機器を使用できる。たとえば、島津UV-1601UV/可視分光光度計は、NPの光学密度(OD)の記録と調整に使用できる。蛍光スペクトルは、Fluoromax-3を使用して取得できる。
【0150】
本NCを作製するために使用される出発材料、試薬、およびコンポーネントは、入手可能な商業的供給源から入手でき、好ましくは、医療製品で使用するためのFDA承認材料である。例えば、以下は、実施例の実施形態に使用することができる材料の供給源である。クロリンe6(Ce6)および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)は、Frontier Scientificから供給される。8PEGA(40kDa)およびBi-PEG(Maleimide-PEG-SuccinimydalEster、2kDA)は、Creative PEG Worksから供給される。F3-Cysペプチド(KDEPQRRSARLSAKPAPPKPEPKPKKAPAKKC)はSynBioSciから供給される。Decon Labsからの190プルーフの天然エタノール。Amiconセル用の10kDaおよび300kDaフィルターと10kDa遠心フィルターはAmiconから供給される。DMEM[(+)グルタミン、砂糖、ピルビン酸ナトリウム)、ペニシリンストレプトマイシン、およびウシ胎児血清は、LifeTechnologiesから供給される。他のすべての化学物質はSigma Aldrichから供給された。アクリルアミド、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(AHM)、アミノプロピルメチルアクリルアミド塩化水素塩(APMA)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、BrijL4、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(AOT)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、過硫酸アンモニウム(APS)、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、リン酸緩衝食塩水(0.01M、PBS)、ヘキサン、システイン、アントラセンジプロピオン酸(ADPA)、カルセインAM、ヨウ化プロピジウム(PI)。
【0151】
一実施形態では、NMRは、クリーンなPEGイメージを提供するのに十分な水および脂肪の抑制を提供するように操作および分析される。たとえば、組織の水の95%が除去される拡散ベースの方法を採用できる。残留水は、当業者に知られている他の水抑制方法によって除去することができる。たとえば、追加の水抑制を行うには、各ボクセルが水、PEG、および脂肪のNMRスペクトルからなる分光イメージングを使用できる。この抑制方法は、組織分布研究にも適用できる。
【0152】
一実施形態では、8PEGAのMRIは、エトキシプロトンの信号を直接拾い上げ、それを測定する。これは、ガドリニウムなどの金属とは異なって、ガドリニウムは、相互作用する水のプロトンの緩和時間を変化させ、スキャン中に見ることができるにコントラストを作り出す。したがって、本発明の実施形態は、NP中のプロトンの直接測定に基づくイメージを提供し、水のプロトンの緩和時間の変化に依存せず、またそれを使用しない。
【0153】
NC、特にPEGベースのNCの実施形態は、様々な異なるサイズおよび重量であり得、例えば、モノマー(例えば、複数のPEGから構成されていない単一の大きな高分子)、マルチアームPEG(例えば、2、4、6、8、10、または以上のアーム)、およびこの組み合わせと変形を含む。NCは、約10kDAから約1,000kDa、約20kDaから約500kDa、約30kDaから約200kDa、約40kDaから約750kDa、約35から約75kDa、約50kDaから約800kDaの1MDa未満の総分子量を有することができる。また、この範囲内のすべての値およびこの範囲より多いまたは少ない数量を含む。
【0154】
図10を参照すると、普遍的に適用可能な超小型ナノプラットフォームである8ーアーム-PEGアミン(8PEGA)1010の実施形態を示すチャートが提供され、そのナノプラットフォームは光線力学治療法(PDT、「セラ」)および分子MR剤(「ノスティック」)としてのセラノスティックス用である。イメージ1011の左側は、光増感剤(PS)を様々な官能基を介して付加でき、次に胞特異的標的化方式のための、マレイミドーチオール反応などの二官能性PEGとの単純な「クリック」化学反応によって標的化剤(ペプチドなど)が付加できる柔軟性を示す。右は、8PEGA1010に、MRIイメージングに理想的な様々な物理的特性がどのように含まれているかを示す。この特性には、T寿命が長く、MWが40kDaと高いため拡散定数が遅いことが含まれ、これは拡散加重MRIに理想的な特性である。
【0155】
図11を参照すると、Ce6(PS)およびCTP(TA)を用いて8PEGAを組み立てる一般的なフローチャートが示されている。これは、任意の適切なTAおよびPSの使用に一般的に適用できる。上のチャート1101は、PDTがどのように機能するかについての一般的なルートの説明である。ナノプラットフォームは光を受け取り、それを吸収して局所の酸素に伝達し、ROSを作り出す。次に、このROSは細胞に損傷を与える。下のチャート1102は、標的化NCを作製するための概略的な反応経路である。
【0156】
図12を参照すると、ラットおよびヒトの細胞培養の生体外におけるCTP-8PEGA-Ce6NPの性能のスライドが示され、この培養には、線維芽細胞と心筋細胞の両方が含まれる。ラットの場合、線維芽細胞と直接接触している場合でも、筋細胞のみが死滅することがわかる。死んだ細胞では、カルセインAM蛍光が減少し、ヨウ化プロピジウムは増加する。ヒト細胞テストは、プラットフォームを変更することなく、これと同じ選択性をヒトで達成できることを示す(標的化テストと非標的化テストを実行し、標的化が優先的かつ効果的であることを示した)。
【0157】
図13を参照すると、NP注射後(注射後1時間)に単離されたラット心臓からの組織が示されている。DAPIはすべての細胞の核を染色する。CE6の蛍光は、生体外選択性の結果が生体内で直接変換することを示し、筋細胞への極端な選択性によって局在していることがわかる。
【0158】
図14を参照すると、外科的設定対象1401、心臓1402、およびPDTから得られた電位図(標的化、非標的化、またはシャムのいずれか)のデモンストレーションが示されている。電位図の振幅の減少は、信号の遮断を示す。残留信号は遠方界活性に起因している。標的化と非標的化の両方に効果があったが、レーザーだけでは効果がなかった。これは、PDTは一般的に変化を引き起こす可能性があることを示す。
【0159】
図15を参照すると、PI(死んだ細胞の核染色)は筋細胞(3つの異なる拡大領域)にのみ存在することが示されている。DおよびEは、検査領域が治療領域から離れるにつれてPI蛍光が減少することを示すことにより、PDTが照射領域でのみ起こったことを示す。
【0160】
図16を参照すると、図15と同様の組織サンプリングテストが示されているが、非標的化PDTを使用している。筋細胞のみを殺す標的化されたものと比較して、標的化されていないCe6PDTはすべてを殺すことが写真のバーで(そしてグラフで定量化されて)示されている。
【0161】
図17を参照すると、標的化PDTまたはレーザーのみのいずれかを受けたマウスの心電図が示されている。目標化PDTを使用した場合にのみ、心拍数が正常に戻ることに違いがある。
【0162】
図18を参照すると、PDTが組織にどれだけ深く浸透したかが示されている(組織を浸透するPI蛍光によって追跡される)。また、レーザーだけでは効果がなかったことが示されている。
【0163】
一実施形態では、光線力学治療法(PDT)の治療プラットフォームとして、また重金属原子を含まないMR分子イメージング剤として同時に機能することができる、新しい標的化可能なナノ構造体(NC)が提供される。一実施形態では、癌のためのNCベースのPDTが提供される。一実施形態では、F3-cys標的化剤NCが提供される。一実施形態では、8PEGA-Ce6NCは、従来のCe6カプセル化ポリアクリルアミド(PAAm)NCと比較して、優れた活性酸素種(ROS)生成を有する。NCのこの実施形態はまた、細胞適合性であり、選択された標的となるペプチドの付加のための化学的柔軟性を提供する。水信号を抑制するために大きな拡散磁場勾配を備えた標準的なスピンエコーイメージングシーケンスを使用して、MRIによって直接かつ選択的にイメージングできるラベルフリー8PEGA NCも提供されている。特に、その超小型サイズにより、このNCは生体内において浸透と生体内除去が改善することができた。
【0164】
図26を参照すると、MRIシステム2501の実施形態の概略図が示されている。システム2501は、磁石2502、勾配コイル2503、ラジオ周波数コイル2504、ボア2505、およびテーブル2506を有する。この図は概略図であり、他のコンポーネントおよび他の構成およびタイプのMRIシステムが使用可能であることが理解される。一実施形態では、システム2501は、3つの磁場を生成するように構成される。第一の磁場は強い静磁場であり、スピン角運動量で原子核にエネルギー準位の差を生じさせ、バルク核磁化を生じさせる。第2の磁場はラジオ周波数場であり、これを使用して生成された核磁化を傾け、RFコイル2504で検出できるようにする。第三の磁場は、核磁化のマップを作成するために信号を空間的に符号化するために使用される磁場勾配のセットである。したがって、実施形態では、磁場は、イメージングされる対象に配置された添加剤中に存在する非水のプロトンのイメージを生成するように構成される。ここで、磁場勾配は、流れまたは拡散による運動に対して核を増感させるために特定の方法でパルス化することができる。
【0165】
一実施形態では、本ナノ構造体、例えば、PEGベースのナノ粒子から形成されるイメージング剤が、患者に投与される。次に、イメージング剤が投与された患者をテーブル2506に置き、テーブルをボア2505に移動し、システム2501がスキャンを実行し、例えば本明細書に開示されたタイプのMRイメージを取得する。ナノ粒子は直接イメージングされ、患者におけるそれらの位置に関する詳細なイメージとデータを提供する。この情報から、治療法を設計、改良、および実行することができる。たとえば、ナノ構造体が標的化されたPDTナノ構造体の場合、外科的、外科的PDT、またはPDTのみの治療法を開発し、それらを実行して標的組織を除去することができる。
【0166】
MRIシステム2501は、制御システム2507を有し、これは、オペレータ入力および他の制御特徴、ならびにコンピュータコードなどの操作命令を含む。制御システム2597は、破線2508によって示されるように、装置2510と制御通信している。制御通信とは、データ、情報、および制御コマンド、ならびに他の命令が、制御システム2507と装置2510との間で通信されることを意味する。制御システム2507は、装置2510から分離されてもよく、またはそれは、例えば、装置2510の構造内で、装置2510の一部であってもよい。一実施形態では、PEGベースのナノ粒子をイメージングするための操作パラメータを提供するためにMRIを動作させるための命令が、システム2501に提供される。これは、たとえば、ソフトウェアのアップグレードの方法であり得る。このようにして、既存のMRIシステムを容易にアップグレードして、本PEGベースのナノ粒子イメージング剤の利点を最大限に活用することができる。
【0167】
実施例
以下の実施例は、本発明のシステム、治療法、プロセス、組成物、用途、および材料の様々な実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、説明を目的としたものであり、予言的である可能性があり、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではなく、また、その他の点で本発明の範囲を制限するものではない。実施例で使用されるパーセンテージは、特に明記しない限り、例えば、配合物、組成物、混合物、生成物、または構造など、全体の重量パーセントである。
【0168】
実施例1
Ce6-8PEGA NCの実施形態は、カプセル化PAAm-Ce6NPと比較して、超小型であり、優れたROS産生を有する。CTPからF3-cysへの標的化ペプチドの成功的な交換は、ターゲットの交換におけるこのNCの化学的柔軟性を示す。F3-8PEGA-CE6NCは、生体外および生体内における良好な生体適合性を有する。
【0169】
実施例2
8PEGANPおよびNCの実施形態は、MRIにおける分子イメージング剤である。このイメージング剤は、水と脂肪の信号を抑制する技術とさらに組み合わせることができ、さらに強化されたイメージング能力を提供する。
【0170】
実施例3
F3-8PEGA-Ce6は、心不整脈から癌、そしておそらく他の病状まで、セラノスティックス(イメージングおよびPDT)に魅力的な普遍的なNCを提供する。利点には、とりわけ、MRIの結果と相まって、血管新生の前であっても、初期腫瘍における迅速な腎クリアランスおよび蓄積が含まれる。
【0171】
実施例4
8PEGA-Ce6コンジュゲート:Ce6は、DMFのDCC/NHSカップリングを介して8PEGAにコンジュゲートされる。簡単に説明すると、448uLのCe6溶液(20mg/mL、DMF)を、154.8uLのDCCと172.8uLのNHSで、30分間攪拌(20mg/mL、DMF)しながら活性化する。500mgの8PEGAは、超音波処理を使用して50mg/mLの濃度でDMFに溶媒和される。溶媒和したら、Ce6溶液を8PEGA溶液に加え、一晩撹拌する。翌日、10kDaメンブレンを使用したAmiconCellろ過システムで50%エタノール/PBS混合物を使用して、非コンジュゲートCe6を除去する。精製後、溶媒をミリポア超純水と交換し、材料を0.45umシリンジフィルターでろ過し、凍結乾燥して保存する。
【0172】
実施例5
F3-8PEGA-Ce6コンジュゲート:8PEGA-CE6は、長年にわたって、私たちの研究室から報告された同じ方法を介してF3で修飾された。F3-cysで修飾した後、UV/VISを使用して、Ce6がプロセスにおいて凝集していないことを確認した。簡単に説明すると、20mgのBi-PEGを1mLの8PEGA-Ce6(20mg/mL、PBS)に加え、30分間撹拌する。次に、溶液を10kDa遠心フィルターを使用してPBSで4x15分間洗浄する。得られた溶液を20mg/mL(元の質量による)に濃縮し、22mgのF3-cysを加え(220uL、11mg/110uLDMSO)、一晩撹拌する。翌日、過剰のシステインを加えて2時間撹拌し、未反応のマレイミド基をキャップする。次に、10kDaの遠心フィルターとミリポアの超純水を使用して溶液を再度ろ過し、凍結乾燥して保存する。
【0173】
実施例6
Ce6カプセル化ポリアクリルアミドナノ粒子(PAAmNP):Ce6は、以前に報告された方法をわずかに変更して、PAANPにカプセル化されている。簡単に説明すると、5mgのCe6を930uLのPBSおよび100uLのDMSOに28mgのAPMA、19mgのNHS、および16mgのEDCとともに添加する。溶液を37°Cで2時間撹拌する。次に、アクリルアミドとAHM(それぞれ368mgと52.6uL)を溶液に加え、超音波処理して均一な溶液を作製する。この溶液を、31mLのヘキサン、2.2mLのBrijL4、および1.07gのAOTを含む100mLの丸底フラスコに攪拌しながら加える。攪拌は、生成された渦が攪拌バーにかろうじて接触する場所に調整される(約500RPM)。次にフラスコの内容物を窒素で15分間パージする。窒素の流れはフラスコの内容物との接触から取り除かれ、フラスコ内に維持される。100uLの水中の15mgのAPSを滴下して重合を開始し、100uLのTEMEDを滴下してプロセスを触媒する。重合を2時間進行させる。次に、ヘキサンをロータリーエバポレーターで除去する。得られた内容物をエタノールに再分散し、300kDaフィルターを使用してAmiconセル内で10x150mLのエタノールと5x150mLのミリポア超純水を使用して洗浄する。精製された材料は、0.45umフィルターを使用してシリンジろ過し、保存のために凍結乾燥される。
【0174】
実施例7
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約10nm~15nmの平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約5%未満である。
【0175】
実施例8
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCの粒子サイズ分布は、D10=10nm、D50=12nm、D90=15nmである。
【0176】
実施例9
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約10nm~15nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0177】
実施例9A
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約8nm~18nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0178】
実施例9B
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約8nm~10nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0179】
実施例9C
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約10nm~12nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0180】
実施例9D
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約11nm~14nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0181】
実施例9E
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、約15nm~18nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0182】
実施例10
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、D10=約8nm、D50=約10nm、D90=約12nmの粒子サイズ分布を有する。
【0183】
実施例11
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、D10=約5から12nm、D50=約8から15nm、D90=約12から22nmの粒子サイズ分布を有する。
【0184】
実施例11A
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、D10=約6から10nm、D50=約8から15nm、D90=約12から20nmの粒子サイズ分布を有する。
【0185】
実施例11B
医薬品にはF3-8PEGA-Ce6NCが含まれている。NCは、D10=約10から12nm、D50=約11から13nm、D90=約10から15nmの粒子サイズ分布を有する。
【0186】
実施例12
実施例7から12の医薬品は、NMRまたはMRIのイメージング剤、造影剤、またはその両方として使用される。
【0187】
実施例13
他のNC、イメージング剤、または治療剤は、実施例7から12の医薬品に含まれる。
【0188】
実施例14
実施例7から12の医薬品は、他のNC、イメージング剤、または治療剤などの他の医薬品と共に使用することができる。
【0189】
実施例15
医薬品には、TA(標的化剤)-8PEGA-AA(活性作用剤)NCが含まれている。NCは、約10nmの平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約5%未満である。
【0190】
実施例16
医薬品にはTA-8PEGA-AANCが含まれている。NCの粒子サイズ分布は、D10=10nm、D50=12nm、D90=15nmである。
【0191】
実施例17
医薬品にはTA-8PEGA-AANCが含まれている。NCは、約10nm~15nmの範囲内の平均粒子サイズを有し、均一であり、非常に狭い粒子サイズ分布を有し、平均距離は約10%未満である。
【0192】
実施例18
医薬品にはTA-8PEGA-AANCが含まれている。NCは、D10=約8nm、D50=約10nm、D90=約12nmの粒子サイズ分布を有する。
【0193】
実施例19
医薬品にはTA-8PEGA-AANCが含まれている。NCは、D10=約6から10nm、D50=約8から15nm、D90=約12から20nmの粒子サイズ分布を有する。
【0194】
実施例20
実施例15から19の医薬品は、NMRまたはMRIのためにイメージング剤、造影剤、またはその両方に使用される。
【0195】
実施例21
他のNC、イメージング剤、または治療剤は、実施例15から19の医薬品に含まれる。
【0196】
実施例22
実施例15から19の医薬品は、他のNC、イメージング剤、または治療剤などの他の医薬品と共に使用することができる。
【0197】
実施例23
実施例15~22の医薬品において、TAは、例えば、システイン末端であり、追加の遊離チオール基を含まない任意のペプチドを8PEGに付加させて使用することができる、RGD、cRGD、iRGD、F3、およびCTPなどの1つまたは複数である。さらなる例としては、公に利用可能なファージライブラリーが含まれる。一般に、選択的に蓄積する小さい分子またはペプチドを有する細胞は、それをNCに付加するか、NCの一部となり、8PEGAのTAとしてを含めて、TAとして機能する。
【0198】
実施例24
実施例15から22の医薬品において、AAは、光増感剤、超音波増感剤、光音響剤、および本明細書に開示される、当業者に知られている、または後に開発される他のものなどの1つまたは複数である。
【0199】
実施例25
約8~15nmの粒子サイズを有し、実施例24の群からのAAを有するNC。
【0200】
実施例26
約8~15nmの粒子サイズを有し、実施例23の群からのTAを有するNC。
【0201】
実施例27
約10~20nmの粒子サイズを有し、実施例24の群からのAAを有するNC。
【0202】
実施例28
約10~20nmの粒子サイズを有し、実施例23の群からのTAを有するNC。
【0203】
実施例29
実施例25、26、27、および28からのNCを有し、粒子サイズ分布を有する医薬品は、D50値の5nm以内にD10およびD90値を有する。
【0204】
実施例30
実施例25、26、27、および28からのNCを有し、粒子サイズ分布を有する医薬品は、D50値の10nm以内のD10およびD90値を有する。
【0205】
実施例31
実施例25、26、27、および28からのNCを有し、粒子サイズ分布を有する医薬品は、D50値の2nm以内のD10およびD90値を有する。
【0206】
実施例32
本イメージング剤の実施形態の定量的イメージングを強化するためのMRI較正。選択的8PEGANMRイメージングおよび分光法のシーケンスとプロトコルによって生成されたイメージとスペクトルは、PEGナノ構造の局所濃度に比例する信号強度を有する。mg/mlまたはモル濃度としてPEGナノ構造体の絶対濃度を定量的に測定する必要がある場合、MRIシステムは、既知のPEG濃度のファントムを使用して特定のMRIスキャナーで選択的PEGパルスシーケンスを実行するか、または既知のPEG濃度の患者とファントムの同時イメージングにより較正することができる。さらに、濃度較正曲線は、図6および7のように構築することができ、これらの図は、PEG選択的MRIによって生成される信号強度が8PEGAの濃度に比例することを示めしている。
【0207】
実施例32A
MRIは、PEGベースのイメージング剤でプロトンをイメージングするように構成されている。MRIは通常、医師に診断医療情報を提供する目的で適用されて、患者のケア管理を支援するイメージングツールである。MRIは3つの磁場を使用する。第一に、強い静磁場がスピン角運動量で原子核にエネルギー準位差を生じさせ、バルク核磁化を生じさせる。第二に、ラジオ周波数(RF)フィールドを使用して、生成された核磁化を傾け、RFコイルで検出できるようにする。そして最後に、磁場勾配のセットを使用して信号を空間的に符号化し、核磁化のマップを作成する。さらに、磁場勾配を特定の方法でパルス化して、流れまたは拡散による運動に対して核を増感させることができる。MRIパルスシーケンスは、T、T、拡散、およびその他のパラメータに敏感なMRイメージを生成するための一連のRFパルスと勾配パルスからなる。
【0208】
実施例32B
8PEGA特異的イメージを生成するためのMRIパルスシーケンスの一実施形態を図6および7に示す。この特定のケースでは、繰り返し時間TR=500ms、エコー時間TE=200ms、および振幅126mT/m、持続時間7.1ミリ秒、分離=180ミリ秒の拡散符号化勾配のペアを有する拡散加重スピンエコーイメージングシーケンスを使用して、1010s/mの拡散b値を生成した。磁場勾配は、MR信号強度を次のように減衰させる。
【数3】
【0209】
水の拡散定数Dは、25℃で2.210-9-1であり、8PEGAは水より2桁遅い3.510-11-1である。この特定のパラメータを使用することにより、純水信号はexp(-bD)=2.710-10だけ減少し、水信号は効果的にノイズフロアに配置される。逆に、b=1010S/mにおいて、PEG8A信号の60%が残存する。勾配強度が12.5mT/mに減少し、10s/mのab値が生成されたことを除いて、同じパラメータでPEG8Aと水の両方の背景イメージが取得された。このパラメータを使用すると、初期値に対して、水は80%に減衰し、PEG8Aは99%に減衰するが、水のプロトン濃度は大幅に高いので、MRI信号を支配する。
【0210】
生体内では、水分子の拡散が細胞壁によって制限され、b=1010S/mにおいて、水信号の約5%が残存すると推定される。水のプロトンのT時間は、典型的には<80msであるのに対して、8PEGAのT時間は、>500msである。したがって、一度で、長いTE時間でイメージングすることにより、追加的な水分抑制を達成できる。信号の減衰は持続する。
【数4】
したがって、長いTE時間でイメージングすることにより、追加的な水の減衰を実現できる。さらに、ケミカルシフトまたは水のプロトン緩和時間に基づく従来の水抑制方法を、勾配抑制方法と同時に使用して、さらなる多くの水信号減衰を提供することができる。
【0211】
臨床MRIシステムでは、磁場勾配の振幅は約40mT/mの値に制限される。1010s/mのb値を生成するには、を調整する必要がある。たとえば、勾配振幅が40mT/mの場合、は8PEGAの選択的なイメージングに十分である7×1010s/mのAB値の結果をもたらす。
【0212】
一般に、高いb値と100ミリ秒を超えるTE時間を提供するMRIパルスシーケンスは、水と脂肪の信号を十分に減衰させる。
【0213】
実施例33
光音響イメージング-光音響イメージング(PAI)は、他の光学イメージングシステムよりも深度制限が大きく、解像度も向上する。PAIは、パルスレーザー光の吸収に応答して生成された音波を使用し、たとえば約100μm以上の解像度で数センチメートルの深さで吸収された光エネルギー密度の非侵襲的なイメージを提供する。
【0214】
8PEGA光音響イメージングNC(PAI-NC)は、活性作用剤を有する。PAI-NCは、約10nmから20nmの粒子サイズを有する。PAI-NCはまた、実施例23からの標的化剤の1つを含む標的剤を有することができる。
【0215】
PAI-NCのための活性作用剤、例えば、イメージング剤、造影剤は、例えば、小型分子色素、金、炭素、リポソームカプセル、ヘプタメチンシアニン色素(例えば、インドシアニングリーン)、アゾ色素(例えば、メチレンブルー)、およびナフタロチアニン色素であってもよい。
【0216】
一般に、活性作用剤を選択する際に、化合物構造に親水性のR基がある場合、PEGにタグを付けることができるはずである(最も一般的な基はスルホン酸とカルボン酸塩である)。シアニン色素には通常、スルホン酸基(SO3-)が含まれており、これを誘導体化して、PEG上のアミンとの反応性が高い塩素化中間体にすることができる。ICG(インドシニングリーン、商品名CARDIOGREENで入手可能)は、FDA承認の例であり、スペクトル吸収(780nm)、8PEGAPAI-NCで使用する薬剤である。PAI-NCで使用できるその他のものとしては、たとえば、クマシーブリリアントブルー(absmax=595~610nm)、alexafluor750、IR780、IRDye800、Ce6、メチレンブルー、SiNcなどがある。
【0217】
実施例34
高解像度で精密なセラノスティックスのためのシステムと方法。システムは、標的化された8PEGA NCを有する医薬品を使用して、標的組織、例えば腫瘍に位置するNCのMRIを取得し、このようにして、標的組織のイメージ、ならびに標的組織におけるNCの場所、濃度、量、およびこの組み合わせと変形を取得する。このイメージは、対象となる組織とNCの形状、位置、場所、この組み合わせと変形に関するデータと情報、およびその他の情報を提供する。次に、イメージは保存され、MRIの解像度が向上する、光音響イメージング装置に転送される。NCおよび標的組織の増強されたPAIイメージに少なくとも部分的に基づいて、または使用して、NC上の活性作用剤を活性化するためのエネルギーを送達するためのカスタムレーザー送達パターンが開発される。次に、カスタムレーザー送達パターンが標的組織に送達される。このようにして、状態の非常に精密な治療を行うことができる。強化されたイメージング、標的NC、および所定のレーザー送達パターンの組み合わせにより、細胞レベルを含む組織を非常に精密に除去する機能が提供される。このシステムおよび方法は、本質的に細胞メスを提供する。
【0218】
このシステムは、統合されたユニットとすることができる。それぞれのデータが他のユニットに転送されるいくつかの異なるユニットとすることができる。このようにして、ユニットをネットワーク内に構成できる。
【0219】
さらに、システムは、レーザー送達パターンの効果を監視し、履歴データに基づいて、特定の状態、状態、または組織タイプについて、所定のレーザー送達パターンを改良および強化することができる。
【0220】
さらに、システムは様々な操作を様々な時間に実行する機能を提供する。8PEGNCは、標的組織に残留し、約12時間から約1週間、約1日から約4日、約12時間から約3日、およびこの範囲内のすべての値の間、およびこの範囲より多いまたは少ない時間の間、セラノスティック材料として活性化状態で、または実行可能な状態で残留できる。
【0221】
実施例35
音波エネルギーへの露出時に活性化される動的治療法剤、例えば、活性作用剤を有する8PEGA治療法NC。
【0222】
実施例35A
音波エネルギーへの露出時に活性化される音波力学治療法剤、例えば活性作用剤を有する8PEGA治療法NC。
【0223】
実施例36
エネルギー源への露出時に活性化される動的治療法剤を有する8PEGAセラノスティックNC。薬剤は、音波エネルギー、光エネルギー、または任意の電磁エネルギー源によって活性化されるように選択することができる。
【0224】
実施例37
実施例32、32A、32B、33、および34のシステムおよび方法は、モデルおよびアルゴリズムをさらに使用して、イメージの解像度、標的組織およびNCの場所、形状、および位置、ならびにレーザー送達パターンをさらに高めることができる。
【0225】
実施例38
実施例32、32A、32B、33、および34のシステムは、階層化が増加したイメージおよびデータのモデリングを提供するために使用される。この階層化およびモデル化されたイメージは、診断、治療、およびセラノスティックな目的において価値がある。このデータ、階層化されたイメージ、およびその両方を機械学習でさらに使用して、この実施例の拡張システムを提供できる。
【0226】
実施例39
実施例32、32A、32B、33、および34のシステムは、生物学的組織(例えば、腫瘍領域対濾過器官)における8PEGA NCの定量化を提供する。
【0227】
実施例40
適用のための8PEGAの実施形態は、以下を伴うものとする:DCC/NHSカップリング反応を介してPSをDMFに添加することによる、8PEGAあたり約1.5PSが得られる;NHS-PEG-MAL(2kDa)を使用したアミンアームのマレイミドへの変換;よく分かっているチオール-マレイミド反応を介して8PEGAに固定するシステイン末端ペプチドの追加;また、8PEGAを使用したDWIにさらなる変更は不要。
【0228】
見出しと実施形態
本明細書における見出しの使用は、明確にすることを目的としており、決して限定するものではないことを理解されたい。したがって、見出しの下に記載されているプロセスおよび開示は、様々な例を含め、本明細書全体に関連して読まれる必要がある。本明細書における見出しの使用は、本発明に与えられる保護の範囲を制限するものではない。
【0229】
本明細書に示されるシステム、治療法、プロセス、組成物、用途、および材料の様々な実施形態は、他の様々な分野、および他の様々な活動、使用、および実施形態に使用することができる。さらに、これらの実施形態は、例えば、既存のシステム、治療法、プロセス、組成物、用途、および材料とともに使用してもよく;将来開発され得るシステム、治療法、プロセス、組成物、用途、および材料とともに使用してもよく;および、この明細書の教えに基づいて部分的に変更され得るシステム、治療法、プロセス、組成物、用途、および材料ともに使用してもよい。さらに、本明細書に示される様々な実施形態および実施例どうしは、全体的または部分的に、そして異なる様々な組み合わせで、互いに使用することができる。したがって、例えば、本明細書の様々な実施形態および実施例で提供される構成どうしは、互いに使用することができる。例えば、A、A’、およびBを有する実施形態のコンポーネント、ならびにA’’、C、およびDを有する実施形態のコンポーネントは、この明細書の教示により、例えば、A、C、D、およびA、またはA’’、C、およびDなどの様々な組み合わせで互いに使用することができる。したがって、本発明に与えられる保護の範囲は、特定の実施形態、実施例、または特定の図の実施形態に示される特定の実施形態、実施例、構成、または配合に限定されるものではない。
【0230】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されたもの以外の形態で具体化することができる。記載された実施形態は、すべての点で例示としてのみ考慮されるべきであり、限定するものと見なされるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象をイメージングする方法であって、
(i)対象に複数のナノ構造体を有するイメ-ジング剤を投与するステップと、
(ii)ステップ(i)に続いて、イメージングスキャンが核磁気共鳴スキャンである、対象のイメージングスキャンを実行するステップと、
(iii)複数のナノ構造体のマルチアームPEGの核磁気共鳴イメージを提供するステップとを含み、
ナノ構造体の各々はマルチアームPEGと、マルチアームPEGと相互作用する一つまたは複数の添加剤とを含み、ステップ(ii)でスキャンされるとき、複数のナノ構造体の各々のマルチアームPEGは核磁気共鳴イメージを提供するには十分である、
方法。
【請求項2】
コンピューターアキシャルトモグラフィースキャン、プロトン放出断層撮影スキャン(PET)および/又は蛍光イメージングスキャンを実行するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
核磁気共鳴スキャンがスピンエコーイメージング又は拡散荷重スピンエコーイメージングを含み、核磁気共鳴スキャンはイメージングスキャンの間に組織の水のプロトン信号および/又は脂肪を抑制する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップ (iii)において、核磁気共鳴イメージは、対象に水ベースのプロトンを含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
マルチアームPEGは、2、4、6、8、10又はそれ以上のアームを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の添加剤は、標的化剤、治療剤、光増感剤、イメージング剤、造影剤、診断剤、セラノスティック剤など及びこの組み合わせからなる群から選択される活物質を含み、活物質は骨格材料と共有結合により相互作用する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ (iii)は、対象の腫瘍の形状、構造および/又は位置を識別するデータを提供することをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ (iii)は、対象の腫瘍のイメージング剤の濃度を識別するデータを提供することをさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ナノ構造体は、光線力学治療法(PDT)ナノ構造体であり、1つまたは複数の活物質はPDT剤を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数の活物質は光増感剤(PS)を含み、PSを活性化するためにナノ構造体に光エネルギーを付与するステップ(iV) をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
骨格材料は非常磁性である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ナノ構造体が2000個から5000個のプロトンを含み、ナノ構造体は25nm未満である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ナノ構造体が5000個から15000個のプロトンを含み、ナノ構造体は50nm未満である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1つまたは複数の活物質はテトラピロール、フタロシアニン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の活物質はポルフィリン、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ナノ構造体は、35kDaから75kDaの分子量を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の活物質は標的化剤を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
標的化剤は心臓標的化ペプチドである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
標的化剤は癌標的化剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
癌標的化剤はRGD、cRGD、iRGDおよびF3からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。