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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009436
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240116BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240116BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20240116BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240116BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
B60K35/00 Z
B60K37/00 Z
B60R11/02 C
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09F9/40 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110958
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】笠井 和善
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5C094
5C182
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC03
3D344AA14
3D344AA19
3D344AA20
3D344AA26
3D344AA27
3D344AC13
3D344AD01
3D344AD05
3D344AD13
5C094AA14
5C094BA14
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA14
5C094CA19
5C094DA01
5C094DA02
5C094DA20
5C094EB02
5C094HA05
5C182AA02
5C182AA22
5C182AB15
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC35
5C182BA06
5C182BA23
5C182BA65
5C182BA75
5C182BB02
(57)【要約】
【課題】表示装置による圧迫感を抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の表示装置は、画像信号に基づいて画像を表示する第一表示部と、前記第一表示部の前面に設けられ、前記第一表示部の表示画像を透過する第一領域と、前記第一領域の外に設けられ、少なくとも一部に、前記第一表示部に対する画像信号とは異なる画像信号に基づいて表示を行う第二表示部が設けられ、前記第二表示部の背面側から正面側への光が透過可能な第二領域を有するパネルとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に基づいて画像を表示する第一表示部と、
前記第一表示部の前面に設けられ、前記第一表示部の表示画像を透過する第一領域と、前記第一領域の外に設けられ、少なくとも一部に、前記第一表示部に対する画像信号とは異なる画像信号に基づいて表示を行う第二表示部が設けられ、前記第二表示部の背面側から正面側への光が透過可能な第二領域を有するパネルと、
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第二表示部が設けられた前記第二領域のうち、前記第一表示部より上側に配置された上側表示領域を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記上側表示領域が、前記第一表示部の表示面に対し、背面側に離れた位置に配置されている請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置が車両に搭載され、
前記上側表示領域が、前記車両に係る車両情報を表示するヘッドアップディスプレイの表示領域の少なくとも一部の高さと、同一線上に配置されている請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第二表示部が、前記第二領域に対するユーザの操作を検出するタッチパネルを備える請求項1~4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第一表示部が、取付面に取り付けられた場合に、前記第二表示部が、前記取付面から離間して配置される請求項1~4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第二表示部の下側の離間した位置に収納部を備えた請求項1~4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第二表示部の下側の離間した位置に設けられた収納部に収納されている物体を検出する物体検出部と、
前記物体検出部の検出結果に基づいて、前記第一表示部又は前記第二表示部を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部が、
前記表示装置が搭載された車両の電源がOFFされ、前記物体検出部が前記物体を検出した場合に、
前記第一表示部又は前記第二表示部に警告表示を行わせることと、
を実行する請求項1~4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第二表示部の下側の離間した位置に設けられた収納部に収納されている物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部の検出結果に基づいて、前記第一表示部又は前記第二表示部を制御する制御部と、を更に備えた請求項1~4の何れか1項に記載の表示装置における前記制御部が、
前記車両が搭載された車両の電源がOFFされたことを検出するステップと、
前記車両の電源がOFFされた場合に、前記物体検出部の検出結果に基づいて前記収納部に収納されている前記物体の有無を判定するステップと、
前記収納部に収納されている前記物体があると判定した場合、前記第一表示部又は前記第二表示部に警告表示を行わせるステップと、
を実行する表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載され、車両や運転に関する情報を表示する機器が広く普及している。
【0003】
特許文献1では、黒状態、白状態および透明状態で画像フレームを表示し、且つ透明度を調整することのできる透明表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-36663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両に搭載される機器の多機能化等に伴い、多くの情報を表示できるように、当該機器の表示装置が大型化する傾向にある。しかしながら、車両内のように限られた空間に大型の表示装置が配置されると圧迫感があり、運転等の邪魔になるという問題があった。
【0006】
本発明は、表示装置による圧迫感を抑制可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の表示装置は、
画像信号に基づいて画像を表示する第一表示部と、
前記第一表示部の前面に設けられ、前記第一表示部の表示画像を透過する第一領域と、前記第一領域の外に設けられ、少なくとも一部に、前記第一表示部に対する画像信号とは異なる画像信号に基づいて表示を行う第二表示部が設けられ、前記第二表示部の背面側から正面側への光が透過可能な第二領域を有するパネルと、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示装置による圧迫感を抑制可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る情報表示システムを搭載した車両の車室を示す図である。
図2図2は、CID装置の概略構成を示す図である。
図3図3は、CID装置の正面図である。
図4図4は、CID装置の側面図である。
図5A図5Aは、メイン表示部と透明表示部の構成を示す模式断面図である。
図5B図5Bは、メイン表示部と透明表示パネルとを一体に形成した表示部を示す図である。
図6図6は、二つの表示層を備えた例を示す図である。
図7図7は、第二実施形態に係る情報表示システムの構成を示す図である。
図8図8は、第二実施形態に係るCID装置の構成を示す図である。
図9図9は、CID装置の制御部が実行する表示方法のフローを示す図である。
図10図10は、変形例に係るCID装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る情報表示システム100を搭載した車両1の車室を示す図である。情報表示システム100は、車両1に搭載され、CID(Center Information Display)装置10や、検出部20、車両装備30、ECU(electronic control unit)
40、HUD(Head-Up Display)50を有している。
【0012】
CID装置10は、車両1に備えられた検出部20やECU40から車両情報を取得し、ユーザに対して車両情報を表示する表示装置の一形態である。CID装置10は、ソフトウェアにより表示部に操作スイッチ(以下、ソフトSWとも称す)を表示させ、当該ソフトSWに対する操作に応じて車両装備30等を動作させる機能を有してもよい。また、CID装置10は、オーディオ機能を有したオーディオ装置、又はナビゲーション機能を有したナビゲーション装置として設けられてもよい。
【0013】
検出部20は、例えば、車両1の車速や、操舵角、シフトポジション、ブレーキの動作状態、前照灯の点灯状態、ドアの開閉状態、車内灯の点灯状態、シートベルトのロック/アンロック情報、自車位置、加速度、温度、湿度など、車両1の状態を示す車両情報を検出するセンサである。また、検出部20は、ミリ波レーダーやLiDAR(Light Detection and Ranging)、温度センサ、照度センサなど、車両1の周囲の状況を示す車両情報
を検出するセンサであってもよい。また、検出部20は、車両1の周囲又は車両内を撮影して撮影画像を得る撮影装置であってもよい。更に、検出部20は、車両1の周囲又は車両内の音に応じて音情報(電気信号)を生成するマイクであってもよい。
【0014】
車両装備30は、エアコン、クリアランスソナー、トラクションコントロール、後方カメラ、前照灯、デフロスター、ドライブレコーダ、非常点滅表示灯等、ユーザによる操作が可能な装備である。
【0015】
ECU40は、CAN等の通信回線を介してCID装置10と接続され、検出部20で検出した車両1の操作状態をCID装置10へ送信する。また、ECU40が、窓ガラスの開閉スイッチや前照灯のスイッチ等、車両装備30の状態を検出し、検出部として機能してもよい。
【0016】
HUD50は、ダッシュボード11の上方、例えばフロントガラスに透明なスクリーンを設け、当該スクリーンに車両情報等を投影して表示する。なお、HUD50は、投影式に限定されるものではなく、他の形式であってもよい。
【0017】
[CID装置]
図2は、CID装置10の概略構成を示す図、図3は、CID装置10が車両1に取り付けられた状態を示す正面図、図4は、CID装置10の側面図である。CID装置10は、制御部12、メモリ13、入出力IF(インターフェース)14、通信IF15、表示部16、及び筐体19を有する。本実施形態のCID装置10は、検出部20又はECU40から取得した情報に基づいて表示部16に表示させる処理を行う情報処理装置(コンピュータ)である。筐体19は、表示部16の背面側に配置され、制御部12、メモリ13、入出力IF(インターフェース)14、及び通信IF15を収納する。
【0018】
CID装置10は、所定の取付面、本実施形態では車両1のダッシュボード11に取り
付けられる。具体的には、ダッシュボード11に設けられたスロット111に筐体19が挿入され、筐体19の大部分がダッシュボード11内に配置されると共に、表示部16がダッシュボード11の外側(車室側)に配置された状態で取り付けられる。
【0019】
制御部12は、入力された情報を処理し、処理結果を出力することにより、装置全体の制御等を行う。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)や、MPU(Micro-processing unit)とも呼ばれる。制御部12は、単一のプロセッサに限られず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有したマルチコア構成であってもよい。
【0020】
メモリ13は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、制御部12の作業領域、制御部12で処理される情報を一時的に記憶する記憶領域、通信データのバッファ領域として使用される。主記憶装置は、制御部12がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりするための記憶媒体である。主記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリを含む。補助記憶装置は、制御部12により実行されるプログラムや、情報処理に用いられるデータ、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、メモリカード等である。
【0021】
入出力IF14は、ECU40など、他の装置との間でデータの入出力を行うインターフェースである。入出力IF14は、例えば、CDやDVD等の記憶媒体からデータを読み取るディスクドライブや、検出部20、車両装備30、ECU40等の機器との間でデータの入出力を行う。入出力IF14は、検出部20で検出した情報や車両装備30の情報を検出部20又は車両装備30から直接受信しても、ECU40を介して受信してもよい。操作部70は、ユーザによる操作を検出して操作情報を生成し、入出力IF14を介して制御部12へ入力する入力手段である。なお、操作部70は、例えば、表示部16に備えられたタッチパネルであってもよい。表示部16は、車両情報などを表示してユーザに提示する出力手段である。また、スピーカ18は、車両情報や警報などを音として出力しユーザに提示する出力手段である。
【0022】
通信IF15は、有線又は無線の通信回線(ネットワーク)を介して他の装置との通信を行うインターフェース(通信モジュール)であり、CCU(Communication Control Unit)とも称す。
【0023】
本実施形態のCID装置10では、制御部12が、アプリケーションプログラムを実行することにより、制御部12が、車両情報取得部121、表示制御部122、操作情報取得部123、操作制御部124といった各処理部として機能する。即ち、制御部12は、実行するソフトウェアに応じて各処理部として兼用され得る。但し、上記各処理部の一部又は全部が、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用LSI(large scale integration)、論理回路、その他のデジタル回路といったハードウェアで形
成されたものであってもよい。また、上記各処理部の少なくとも一部にアナログ回路を含む構成としてもよい。制御部12は、一つのプロセッサが複数の処理部として機能する構成であっても、一つの処理部として機能するプロセッサを複数備える構成であってもよい。
【0024】
車両情報取得部121は、入出力IF14を介して、検出部20、車両装備30、又はECU40から車両情報を取得する。車両情報取得部121は、例えば、車速、エンジンの回転数、前照灯がハイビームか否か、シフトポジション、外気温、室温等を示す車両情
報を取得する。
【0025】
表示制御部122は、車両情報取得部121が取得した車両情報等を表示部16に表示させる。また、表示制御部122は、補助記憶装置から取得した地図情報に基づいて表示部16に地図を表示させる。更に、ユーザによって、目的値が入力された場合、現在地から目的地までの経路を地図上に表示させてもよい。なお、自車位置や車両の走行情報(車両情報)に基づいて経路を求める技術は、公知のものを利用できるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
操作情報取得部123は、表示部16に備えられたタッチパネル等の操作部70からユーザによる操作情報を取得する。
【0027】
操作制御部124は、操作情報取得部123が取得した操作情報を車両装備30や制御部12へ送り、操作情報に基づく機能を実行させる。例えば、タッチパネルに対するタッチ操作に応じて、エアコンや、オーディオ機能、ナビゲーション機能などの操作を行う。
【0028】
[表示部]
表示部16は、画像信号に基づいて画像を表示するメイン表示部(第一表示部)61と、このメイン表示部61の周囲においてメイン表示部61に対する画像信号とは異なる画像信号に基づいて表示を行う第二表示部を含む透明表示パネル62とを備える。透明表示パネル62は、少なくとも表示部分が、背面側から正面側にかけて光が透過可能な透明なパネルで構成されている。即ち、透明表示パネル62は、背景が透けて見える所謂シースルータイプの表示部である。本実施形態の透明表示パネル62は、メイン表示部61の前面に設けられ、メイン表示部61の表示画像を透過する第一領域601と、第二表示部の背面側から正面側への光が透過可能な第二領域602を有する。一方、メイン表示部61は、背景が透けて見えないように背面側が遮光された表示部である。
【0029】
図5Aは、メイン表示部61と透明表示パネル62の構成を示す模式断面図である。透明表示パネル62は、正面側保護板161、タッチパネル162、表示層163、及び背面側保護板164を備えている。正面側保護板161及び背面側保護板164は、剛性が高く、透明表示パネル160の形状を保つと共に、タッチパネル162及び表示層163を保護する部材である。透明表示パネル62は、正面側保護板161、タッチパネル162、表示層163、及び背面側保護板164の透明度が高い程好ましいが、必ずしも最大の透明度であることに限定されない。例えば、素材の透明度を100%とした場合に、表面処理や着色などにより、100%未満の透明度で正面側保護板161、タッチパネル162、表示層163、及び背面側保護板164が形成されてもよい。
【0030】
タッチパネル162は、例えば、ユーザがタッチ操作を行った際の静電容量の変化を操作情報として検出する静電容量式のセンサである。これに限らず、操作情報を検出するセンサは、抵抗式や赤外線式など、他の方式のセンサであってもよい。
【0031】
表示層163は、OLED(Organic Light Emitting Diode)等の自発光式の表示素子であり、画素がマトリクス状に配置され、各画素によって画像を表示する。これに限らず、表示層163は、液晶表示素子など、自発光式でない表示素子であってもよい。この場合、メイン表示部61の背面には、バックライトを備えてもよい。図5Aの表示層163は、第二表示部の一例である。
【0032】
メイン表示部61は、タッチパネル166、表示層167、及び遮光層168を備えている。タッチパネル166及び表示層167は、前述のタッチパネル162及び表示層163と同様であるため、再度の説明を省略する。遮光層168は、ユーザが表示層167
の表示画像を見た場合に背景が透けて見えないように背面側を遮光する非透光性の部材である。
【0033】
図5Aの例では、メイン表示部61と透明表示パネル62とを別体に形成したが、これに限らず、メイン表示部61と透明表示パネル62とを一体に形成してもよい。図5Bは、メイン表示部61Aと透明表示パネル62Aとを一体に形成した表示部16を示す図である。図5Bに示すように、透明表示パネル62Aは、正面側保護板161、タッチパネル162、表示層163、背面側保護板164、及び遮光層168を備えている。これらタッチパネル162、表示層163、及び背面側保護板164のうち、背面側に遮光層168が設けられた部分がメイン表示部61Aである。また、正面側保護板161のうち、メイン表示部61Aの前に位置する部分が第一領域601であり、第一領域601の外側に位置する部分が第二領域602である。メイン表示部61Aを構成する背面側保護板164の背面には遮光層168が設けられると共に、筐体19が取り付けられ、メイン表示部61の背面が筐体19で覆われると共に、透明表示パネル62Aが筐体19に保持される。
【0034】
表示層163は、各画素が、RGBなど、複数の原色で発光可能であり、且つこれら原色の輝度を複数段階(階調)に変化させて組み合わせることによって白を含む多色の表示を行う。また、表示層163は、複数層設けられてもよい。図6は、二つの表示層163,165を備えた例を示す図である。図6では、図5Bの構成に加え、第一の表示層163の背面に、第二の表示層165を備えている。第二の表示層165は、例えば、画素毎に透明な状態から黒い状態まで複数段階に変化する液晶表示素子であってもよい。即ち、第一の表示層163がRGBの表示を行い、第二の表示層165が黒色の表示を行う。なお、第二の表示層165は、例えば第一の表示層163で表示を行う画素と同じ箇所の画素を黒状態として、当該箇所を遮光してもよい。この場合、第一の表示層163において表示を行う箇所では背景が透けず、透明ではなくなる。即ち、透明表示パネル62の第二領域602は、表示を行っていない箇所や、表示を行っていないタイミングで透明であればよく、表示を行っている箇所は透明でなくてよい。
【0035】
なお、表示層163は、マトリクス状の表示素子に限らず、特定形状のセグメントの表示を行うセグメント型の表示素子であってもよい。例えば、ソフトSWの形状に発光するセグメントを有し、当該セグメントの点灯又は消灯を行う構成であってもよい。また、セグメントの組み合わせで文字やソフトSWの状態を表現する構成であってもよい。
【0036】
また、本実施形態では、メイン表示部61と透明表示パネル62とを一体に形成したが、これに限らず、メイン表示部61と透明表示パネル62とが別体に形成され、メイン表示部61が筐体19の正面側に配置されると共に、この周囲に透明表示パネル62が取り付けられた構成であってもよい。
【0037】
図3に示すように、表示部16は、正面から見た場合、メイン表示部61より上側に透明表示パネル62の上側表示領域621が配置されている。また、メイン表示部61より下側に透明表示パネル62の下側表示領域622が配置され、メイン表示部61の側方(左右)に透明表示パネル62の側方表示領域623が配置されている。このように本実施形態では、透明表示パネル62が、メイン表示部61の上下左右に張り出して設けられている。一般的な表示部の場合、表示領域を大きくとると、それに伴って圧迫感が増加することになるが、本実施形態の表示部16は、外側部分が透明なため、圧迫感を抑えながら表示領域を大きくとることができる。特に、一般的な表示部の場合、背景が見えなくなるため、ダッシュボード11の上方に配置することはできないが、透明表示パネル62は運転者の視界を遮らないため、ダッシュボード11の上方に配置され得る。
【0038】
また、表示部16は、図4に示すように、メイン表示部61の上縁から表示部16の背面側、即ち車両1の前方に向かって横行部64が延設され、横行部64の前縁に上側表示領域621が前方斜め上に向けて立設されている。即ち、表示部16は、側面視においてS字のように屈曲した形状となっている。このように透明表示パネル62の上側表示領域621は、メイン表示部61の上方であって、メイン表示部61の表示面611に対して、背面側に所定距離LAを空けて配置されている。また、透明表示パネル62の上側表示領域621は、図3に示すように、ダッシュボード11から上方に離間し、HUD50における表示領域51の少なくとも一部の高さと、同一線LA上に配置され、ユーザ(運転者)がHUD50の表示情報と上側表示領域621の表示情報とを一緒に確認できるようにしている。なお、上側表示領域621は、メイン表示部61から真っすぐ上へ延設されてもよいが、図4のように横行部64を介して背面側(車両前方側)にせり出して設けられることで、運転者の前方視界内に配置され、運転時に上側表示領域621の表示情報を容易に視認できるようにしている。
【0039】
透明表示パネル62の側方表示領域623は、図4に示すように、ダッシュボード11の車室側表面(取付面)112から所定距離LBだけ離間し、車室側表面112に沿って設けられている。また、透明表示パネル62の下側表示領域622は、ダッシュボード11より下側に設けられ、ユーザから見てダッシュボード11と重ならない位置に配置されている。このように透明表示パネル62の側方表示領域623及び下側表示領域622は、ダッシュボード11から離れて配置され、表示情報が浮いているように見え、斬新な印象を与えることができる。
【0040】
側方表示領域623及び下側表示領域622が表示する情報は、特段限定されるものではないが、例えば、CID装置10の機能を操作するソフトSWや、車両装備30を操作するソフトSWであってもよい。また、表示部16は、タッチパネル(検出部)162を備え、表示部16に対するユーザのタッチ操作を検出できる。このため、例えば透明表示パネル62にソフトSWを表示し、このソフトSWに対して、ユーザによるタッチ操作が行われると、タッチパネル162によって、この操作を検出し、制御部12がCID装置10の機能や車両装備30の機能を制御する。これによりCID装置10や車両装備30に対する操作を透明表示パネル62に集約でき、透明表示パネル62にタッチするといった統一された動作で操作できるため、ユーザビリティを向上させることができる。また、透明表示パネル62にソフトSWを表示させることで、多くのソフトSWを設けた場合でも透明部分が多く、圧迫感を抑えることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態では、メイン表示部61の周囲に透明表示パネル62を延設したため、表示領域を大きくした場合でも、外縁付近に位置する透明表示パネル62が透明なため、実質的に小さく見え、圧迫感を抑えることができる。
【0042】
<第二実施形態>
図7は、第二実施形態に係る情報表示システム200の構成を示す図、図8は、第二実施形態に係るCID装置10Aの構成を示す図である。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、収納部に残された物体を検出した場合に警告表示を行う構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第一実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0043】
本実施形態の情報表示システム200は、前述の情報表示システム100の構成に加え、センタコンソール上部に収納トレイ80を備えている。収納トレイ80は、第二表示部の下側の離間した位置に設けられ、本開示における収納部の一形態である。収納トレイ80は、底板81の外縁部分に周壁82が立設され、上面から下側へ窪んだ収納スペース83が設けられている。収納スペース83は、例えばスマートフォンや財布といった物を収
納可能なスペースである。なお、本実施形態において収納トレイ80への収納とは、物を収納スペース83内に完全に収めることに限らず、底板上に物を置くなど、対象物の少なくとも一部を収納スペース83内に位置させることも収納と称する。
【0044】
CID装置10Aは、収納トレイ80に収納されている物体を検出する物体検出部21を備える。物体検出部21は、収納トレイ80に向けて赤外線信号を発し、物体で反射した信号を受信して、この反射信号に基づいて物体の有無を検出する。例えば、収納トレイ80上に物体があると、物体が無い状態と比べて、受信する反射信号の強度が高く(受光量が多く)なる。このため、物体検出部21は、反射信号の変化に基づいて物体の有無を検出できる。なお、物体検出部21は、赤外線式に限定されるものではなく、収納トレイ80の画像を撮影し、画像処理によって収納トレイ80上の物体を検出することや、ToF(Time of Flight)センサ又は三次元スキャナによって物体を検出することなど、他の方式の検出部であってもよい。
【0045】
制御部12は、図2の構成に加えて、ユーザの降車を判定する降車判定部125、忘れ物判定部126、及び忘れ物警告部127を備えている。
【0046】
降車判定部125は、ユーザが車両1から降り、CID装置10Aの使用が終了したことを判定する。例えば、降車判定部125は、車両1のアクセサリー電源がOFFとなった後、ドアがロックされた場合や、シートセンサが乗員を検出しなくなった(乗員が立ち上がった)場合など、検出部20によって検出した車両情報が所定条件を満たした場合に、ユーザの降車を判定する。なお、降車判定部125は、ユーザが車両1から完全に降りた状態を判定することに限らず、ユーザが降車する直前の状態を判定してもよい。例えば、降車判定部125は、アクセサリー電源がOFFとなってから所定時間経過した場合や、ドアが開いた場合に、ユーザが降車する直前と判定してもよい。
【0047】
忘れ物判定部126は、収納トレイ80における忘れ物の有無を判定する。例えば、忘れ物判定部126は、降車判定部125によってユーザが降車したと判定した時点で、収納トレイ80に物があれば、これを忘れ物と判定する。なお、忘れ物判定部126は、前回ユーザが降車したときの状態と比較して物が増えた場合に、これを忘れ物と判定してもよい。即ち、前回のユーザ降車時から残されていたものは、忘れ物として判定しなくてもよい。また、忘れ物判定部126は、通信IF15を介し、通信範囲を収納トレイ付近に限定したNFC(Near field communication)やブルートゥース(登録商標)で、ユーザのスマートフォンとの接続を試し、ユーザが降車した時点で接続可能であれば忘れ物(スマートフォン)があると判定する。この場合、通信IF15が物体検出部21として機能する。
【0048】
忘れ物警告部127は、忘れ物判定部126で忘れ物があると判定した場合に、表示部16、即ち第一表示部(メイン表示部61)や第二表示部(透明表示パネル62)に忘れ物があることを示す警告表示を行わせる。例えば、上側表示領域621を点滅させることや「忘れ物があります」のようなメッセージを表示させること、側方表示領域623及び下側表示領域622において上から下に移動する矢印を表示させることなど、特定の表示を行うことで、ユーザに忘れ物があることを警告する。なお、点滅表示、メッセージ表示、矢印の移動表示などの特定表示は、第二表示部の表示領域(上側・側方・下側)の全てで行われても良いし、一部で行われても良い。このように本例のCID装置10は、収納トレイ80に近い下側表示領域622に特定の表示を行うことで、そこに物を置いたといったユーザの記憶を想起させ、ユーザに忘れ物を気づかせ易くすることができる。
【0049】
なお、CID装置10Aは、アクセサリー電源がOFFになった後に忘れ物を検出して警告表示を行う場合、これらの動作を行うための内臓バッテリを備えてもよい。また、C
ID装置10Aは、アクセサリー電源がOFFの場合でも電力供給が受けられるように車両1のバッテリと接続されていてもよい。
【0050】
図9は、CID装置10Aの制御部12が実行する表示方法のフローを示す図である。車両1のアクセサリー電源がONとなる等してCID装置10Aに電力が供給されると、制御部12が図9の処理を開始する。また、制御部12は、電力の供給が停止するまで、図9の処理を周期的に実行する。
【0051】
ステップS10にて、制御部12は、車両1の車両情報を検出部20又はECU40から取得する。
【0052】
ステップS20にて、制御部12は、ユーザが車両1から降りた状態又は降りる直前の状態(これらの状態を降車状態とも称す)になったか否か、即ちCID装置10Aの使用が終了したか否かを判定する。例えば、降車判定部125は、車両1のアクセサリー電源がOFFとなった後、車両1のドアがロックされた場合に、ユーザが降車したと判定(肯定判定)する。制御部12は、ステップS20で否定判定であれば図9の処理を終了し、ステップS20で肯定判定であればステップS30へ移行する。
【0053】
ステップS30にて、制御部12は、物体検出部21の検出結果に基づいて、忘れ物があるか否かを判定する。制御部12は、ステップS30で否定判定であれば図9の処理を終了し、ステップS30で肯定判定であればステップS40へ移行する。
【0054】
ステップS40にて、制御部12は、表示部16に忘れ物があることを示す警告表示を行わせる。また、警告表示と共に、スピーカから警告音や音声メッセージを出力させてもよい。このように、透明表示パネル62に警告表示を行わせる場合、透明表示パネル62が表示部16の外縁部分に位置しているため、降車したユーザや降車しようとしているユーザからも視認し易く、ユーザに忘れ物を気づかせることができる。
【0055】
このように本実施形態のCID装置10Aは、使用が終了した時点で収納トレイ80にスマートフォン等の物があれば、忘れ物と判定し、表示部16に警告表示を行う。これによりユーザに警告をし、スマートフォンや財布等の置き忘れを防止することができる。
【0056】
<変形例>
図10は、変形例に係るCID装置10Bを示す図である。前述の第二実施形態では、CID装置10Aと別体に構成された収納トレイ(収納部)80を情報表示システム200が備える構成であったが、本変形例では、CID装置10Bが収納部を備える構成である。なお、その他の構成は前述の第一実施形態と同じであるため、同一の要素に同符号を付すなどして再度の説明を割愛する。
【0057】
図10に示すように、CID装置10Bは、筐体19の正面側下部に、下方へ延設したステー182を介して収納トレイ(収納部)180が設けられている。即ち、収納トレイ180は、透明表示パネル62の下側に配置されている。
【0058】
このように表示部16の下側に収納トレイ180を配置した場合、従来の表示部であると収納された物が表示部に隠れて置き忘れが発生し易くなる。これに対し、本変形例では、透明表示パネル62が透明であり、収納トレイ180に収納された物が隠れないため、置き忘れを抑制できる。なお、本変形例では、収納トレイ180以外の構成を第一実施形態と同じとしたが、これに限らず、第二実施形態と同じとし、収納トレイ180上の忘れ物を検出して警告表示を行う構成としてもよい。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1: 車両
10,10A,10B: CID装置
100,200: 情報表示システム
11: ダッシュボード
111: スロット
112: 車室側表面
12: 制御部
121: 車両情報取得部
122: 表示制御部
123: 操作情報取得部
124: 操作制御部
125: 降車判定部
126: 忘れ物判定部
127: 忘れ物警告部
13: メモリ
16: 表示部
161: 正面側保護板
162: タッチパネル
163: 表示層
164: 背面側保護板
165: 表示層
18: スピーカ
180: 収納トレイ
182: ステー
19: 筐体
20: 検出部
21: 物体検出部
30: 車両装備
50: ヘッドアップディスプレイ
51: 表示領域
61: メイン表示部
611: 表示面
62: 透明表示パネル
621: 上側表示領域
622: 下側表示領域
623: 側方表示領域
63: 遮光層
64: 横行部
70: 操作部
80: 収納トレイ
81: 底板
82: 周壁
83: 収納スペース
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10