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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009437
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】外観検査装置及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110959
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小林 峻輔
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA37
2G051AB02
2G051AB20
2G051AC15
2G051CA04
2G051DA07
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】構成を簡素化しつつ、光学条件を変えた複数の画像を容易に取得可能とした外観検査装置を提供する。
【解決手段】メタルマスクMが載置されるステージ30と、ステージ30を一次元方向に移動させる搬送台20と、搬送台20上を移動するメタルマスクMに対して照明光Lを照射するライン照明42と、メタルマスクMのうち照明光Lが照射された部分を含むように撮像するラインカメラ52と、搬送台20、ライン照明42、及びラインカメラ52を各別に支持するベース部10と、を備え、ベース部10は、ライン照明42を移動させることでメタルマスクMに対する照明光Lの照射角度を変え、ラインカメラ52を移動させることでメタルマスクMに対するラインカメラ52の撮像角度を変え、回転軸L1を軸として、ライン照明42及びラインカメラ52に対して搬送台20を回転させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を載置する載置面を備えるステージと、
前記ステージを支持する搬送台であって、前記搬送台の第1位置と第2位置との間を、前記第1位置と前記第2位置との間の撮像位置を通じて、一次元の搬送方向に沿って前記ステージを移動させる搬送部を備える前記搬送台と、
前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、前記搬送方向と交差する方向に延びるライン状の照明光を照射するライン照明と、
前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板のうち前記照明光が照射された部分を含むように撮像するラインカメラと、
前記搬送台、前記ライン照明、及び前記ラインカメラを各別に支持するベース部と、を備え、
前記ベース部は、
前記ライン照明を移動させることで、前記金属板に対する前記照明光の照射角度を変える照明駆動部と、
前記ラインカメラを移動させることで、前記金属板に対する前記ラインカメラの撮像角度を変えるカメラ駆動部と、
前記撮像位置上の点を通過し、かつ前記載置面に垂直な垂線を回転軸として、前記ライン照明及び前記ラインカメラに対して前記搬送台を回転させる搬送台駆動部と、を備える
外観検査装置。
【請求項2】
前記撮像位置において、前記ステージを下方から支持する支持部をさらに備える
請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記金属板は、強磁性の金属を含み、
前記ステージは、非磁性であり、
前記支持部は、前記撮像位置において、前記ステージの下方から前記金属板を磁力で下方に引き付ける磁石を備える
請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記搬送台駆動部は、前記ライン照明と前記ラインカメラとが並ぶ方向と前記搬送方向とがなす角度が、0度以上45度以下の範囲で前記搬送台を回転させる
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記ライン照明は、前記照明光の光量を変更可能に構成される
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
搬送台に支持されるステージが備える載置面に金属板を載置し、
前記搬送台の第1位置から第2位置に向けて、前記第1位置と前記第2位置との間の撮像位置を通じて一次元の搬送方向に沿って前記ステージを移動させ、
前記第1位置から前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、ライン照明によって前記搬送方向と交差する方向に延びるライン状の照明光を照射するとともに、前記金属板における前記照明光が照射された部分を含むようにラインカメラによって撮像した後、
前記ライン照明を移動させることで、前記金属板に対する前記照明光の照射角度を変えること、
前記ラインカメラを移動させることで、前記金属板に対する前記ラインカメラの撮像角度を変えること、及び、
前記撮像位置上の点を通る前記載置面に垂直な垂線を回転軸として、前記ライン照明及び前記ラインカメラに対して前記搬送台を回転させること、のうちの少なくとも1つを行い、
前記第2位置から前記第1位置に向けて前記撮像位置を通じて前記ステージを移動させ、
前記第2位置から前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、前記ライン照明によって前記照明光を照射するとともに、前記金属板における前記照明光が照射された部分を含むように前記ラインカメラによって撮像する
外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイの製造には、有機EL材料を基板の表面上に所定の形状で蒸着するためのメタルマスクが用いられる。メタルマスクは、数十μmの厚さを有した矩形状の金属板である。メタルマスクは、数十μmの幅を有した貫通孔を備える。有機ELディスプレイの製造において、基板の表面上には、メタルマスクが備える貫通孔の形状に応じた有機EL材料が形成される。
【0003】
メタルマスクの製造工程では、目視や外観検査装置などによって、疵や変色などの種々の欠陥の有無を確認する外観検査が行われる。例えば、特許文献1には、様々な欠陥を検出するために、光学条件を変えた複数の照明装置及び撮像装置を備える検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-218451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外観検査装置に光学条件が異なる複数の照明装置及び撮像装置を設けることは、外観検査装置の大型化や複雑化を招く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための外観検査装置は、金属板を載置する載置面を備えるステージと、前記ステージを支持する搬送台であって、前記搬送台の第1位置と第2位置との間を、前記第1位置と前記第2位置との間の撮像位置を通じて、一次元の搬送方向に沿って前記ステージを移動させる搬送部を備える前記搬送台と、前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、前記搬送方向と交差する方向に延びるライン状の照明光を照射するライン照明と、前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板のうち前記照明光が照射された部分を含むように撮像するラインカメラと、前記搬送台、前記ライン照明、及び前記ラインカメラを各別に支持するベース部と、を備え、前記ベース部は、前記ライン照明を移動させることで、前記金属板に対する前記照明光の照射角度を変える照明駆動部と、前記ラインカメラを移動させることで、前記金属板に対する前記ラインカメラの撮像角度を変えるカメラ駆動部と、前記撮像位置上の点を通過し、かつ前記載置面に垂直な垂線を回転軸として、前記ライン照明及び前記ラインカメラに対して前記搬送台を回転させる搬送台駆動部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、照明駆動部、カメラ駆動部、及び搬送台駆動部の各部の駆動によって、ステージ上に載置された金属板に対する照明光の照射角度、及び、撮像角度といった光学条件を変えることができる。したがって、欠陥の種類に応じて光学条件を変えた複数の画像を容易に取得できる。
【0008】
上記外観検査装置において、前記撮像位置において、前記ステージを下方から支持する支持部をさらに備えてもよい。上記構成によれば、金属板が撮像位置を通過する際に、ステージが支持部によって支持されることで、平坦な状態のステージ上に載置された金属板を撮像することができる。また、高さ方向における金属板の位置を一定に保つことができるため、ラインカメラの焦点をより精度よく合わせることができる。
【0009】
上記外観検査装置において、前記金属板は、強磁性の金属を含み、前記ステージは、非磁性であり、前記支持部は、前記撮像位置において、前記ステージの下方から前記金属板を磁力で下方に引き付ける磁石を備えてもよい。上記構成によれば、撮像位置において、支持部が備える磁石によって、金属板が載置面に向かって引き付けられる。これにより、載置面に対する金属板の浮きを抑制することで、より平坦な状態の金属板を撮像できる。
【0010】
上記外観検査装置において、前記搬送台駆動部は、前記ライン照明と前記ラインカメラとが並ぶ方向と前記搬送方向とがなす角度が、0度以上45度以下の範囲で前記搬送台を回転させる構成であってもよい。上記構成によれば、搬送台の回転に要する空間を過剰に大きくせずに、ステージ上に載置された金属板に対する光学条件を変えることができる。
【0011】
上記外観検査装置において、前記ライン照明は、前記照明光の光量を変更可能に構成されてもよい。上記構成によれば、欠陥の種類に応じて照明光の光量を変えることができる。照明光の照射角度及び撮像角度と合わせて、照明光の光量を最適な条件に変えることで、欠陥の検出精度をより高めることができる。
【0012】
上記課題を解決するための外観検査方法は、搬送台に支持されるステージが備える載置面に金属板を載置し、前記搬送台の第1位置から第2位置に向けて、前記第1位置と前記第2位置との間の撮像位置を通じて一次元の搬送方向に沿って前記ステージを移動させ、前記第1位置から前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、ライン照明によって前記搬送方向と交差する方向に延びるライン状の照明光を照射するとともに、前記金属板における前記照明光が照射された部分を含むようにラインカメラによって撮像した後、前記ライン照明を移動させることで、前記金属板に対する前記照明光の照射角度を変えること、前記ラインカメラを移動させることで、前記金属板に対する前記ラインカメラの撮像角度を変えること、及び、前記撮像位置上の点を通る前記載置面に垂直な垂線を回転軸として、前記ライン照明及び前記ラインカメラに対して前記搬送台を回転させること、のうちの少なくとも1つを行い、前記第2位置から前記第1位置に向けて前記撮像位置を通じて前記ステージを移動させ、前記第2位置から前記撮像位置を通過する前記ステージ上の前記金属板に対して、前記ライン照明によって前記照明光を照射するとともに、前記金属板における前記照明光が照射された部分を含むように前記ラインカメラによって撮像する。
【0013】
上記外観検査方法によれば、ステージを第1位置から第2位置に向けて移動させた際の光学条件と、ステージを第2位置から第1位置に向けて移動させた際の光学条件とを容易に変えることができる。したがって、欠陥の種類に応じて光学条件を変えた複数の画像を容易に取得できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外観検査装置の構成を簡素化しつつ、光学条件を変えた複数の画像を容易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、外観検査装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、外観検査装置を模式的に示す上面図である。
図3図3は、ベース部に対して搬送台が回転した状態を示す上面図である。
図4図4は、ステージを支持する支持部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、ステージが第1位置に位置する状態の上面図である。
図6図6は、ステージが第2位置に位置する状態の上面図である。
図7図7は、ステージが第1位置に位置し、かつ、ベース部に対して搬送台が45度回転した状態の上面図である。
図8図8は、ステージを支持する支持部の変更例を示す側面図である。
図9図9は、搬送台に支持ローラを設けた構成を示す側面図である。
図10図10は、メタルマスクに対する照明光の入射角と撮像角度とを示す模式図である。
図11図11は、比較例2の斜光照明を用いた構成を示す上面図である。
図12図12は、比較例3のリング照明とエリアカメラとを用いた構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図1図9を参照して説明する。
[メタルマスク]
図1に示すように、外観検査装置1は、画像検査によってメタルマスクMの外観検査を行うための装置である。メタルマスクMは、例えば、有機ELディスプレイの製造に用いられる。メタルマスクMは、例えば、平面視長方形状のシート状を有する。メタルマスクMは、金属板の一例であって、10μm以上50μm以下の厚さを有するとともに、矩形状の外形を有する。メタルマスクMの長辺は、例えば、530mm以上1300mm以下である。メタルマスクMの短辺は、例えば、50mm以上350mm以下である。メタルマスクMの中央部には、所定の形状を有した複数の貫通孔が並ぶ。貫通孔は、円形孔でもよいし、四角形孔でもよいし、楕円形孔でもよい。貫通孔の幅は、例えば20μm以上100μm以下である。
【0017】
メタルマスクMは、磁石に吸着する強磁性の金属を含む。強磁性の金属は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、及び、これらのうち何れかを含む合金からなる群から選択されるいずれか一種である。合金の一例は、鉄及びニッケルを含むインバー材である。
【0018】
[外観検査装置]
外観検査装置1は、ベース部10と、搬送台20と、ステージ30と、照明部40と、撮像部50とを備える。ベース部10は、搬送台20、照明部40、及び撮像部50を支持する。ベース部10は、X軸に沿う方向(以下、X軸方向)が長辺、Y軸に沿う方向(以下、Y軸方向)が短辺となる矩形状の外形を有する。なお、以下では、ベース部10の長辺が延びる方向をX軸、ベース部10の短辺が延びる方向をY軸、高さ方向をZ軸として説明する。
【0019】
ベース部10は、回転支持部11と、軸支部12とを備える。回転支持部11は、Z軸と平行な回転軸L1を軸として回転可能に搬送台20を支持する。軸支部12は、照明部40及び撮像部50のそれぞれを回動可能に支持する。
【0020】
搬送台20は、ステージ30を支持する。搬送台20は、X軸方向が長辺、Y軸方向が短辺となる矩形状の外形を有する。回転軸L1は、一例として、搬送台20の長辺に対して中央に位置する。搬送台20は、X軸方向における中央を境として、一方の側が第1部分20Aであり、そして、他方の側が第2部分20Bである。
【0021】
搬送台20は、レール部21を備える。レール部21は、第1部分20Aから第2部分20Bに亘って、搬送台20の長辺(図1ではX軸方向)に沿って延びる2つのレール部材21A,21Bを備える。レール部21は、ステージ30の移動経路を構成する。搬送台20は、例えば、モータを備えた電動アクチュエータ、あるいはシリンダを備えたエアアクチュエータなどの第1駆動機構によって、ステージ30をレール部21に沿って移動させる。レール部21及び第1駆動機構は、ステージ30を一次元の搬送方向に移動させるための搬送部の一例である。X軸方向は、搬送台20がステージ30を移動させる搬送方向の一例である。搬送方向は、搬送台20の長辺が延びる方向と一致する。
【0022】
搬送台20は、第1部分20Aにおける所定の第1位置と、第2部分20Bにおける所定の第2位置との間において、ステージ30を一次元の搬送方向に移動させる。なお、図1では、第1位置に位置するステージ30、及びメタルマスクMを実線で示すとともに、第2位置に位置するステージ30、及びメタルマスクMを二点鎖線で示す。また、ステージ30が第1位置から第2位置に向かって移動する場合の第1搬送方向D1を実線の矢印で示している。ステージ30が第2位置から第1位置に向かって移動する場合の第2搬送方向D2を二点鎖線の矢印で示している。
【0023】
ステージ30は、メタルマスクMが載置される載置面31Sを備える板状部31と、レール部21と係合する係合部32とを備える。ステージ30は、レール部21を構成する2つのレール部材21A,21Bに跨るように、レール部21と係合部32とが係合する。ステージ30を構成する材料は、磁石に吸着しない非磁性の金属あるいは無機化合物である。非磁性の金属の一例は、アルミニウム、あるいは銅である。非磁性の無機化合物は、酸化珪素、あるいは酸化アルミニウムである。ステージ30は、自重による中央部の撓みを抑制する観点から、重量当たりの変形抵抗が高いアルミニウムまたはアルミニウム合金が好適である。ステージ30の厚さは、一例として、2mm程度である。板状部31は、載置面31Sを備える。載置面31Sには、メタルマスクMが載置される。
【0024】
照明部40及び撮像部50は、X軸方向に並ぶ。照明部40は、第1フレーム部41と、ライン照明42とを備える。第1フレーム部41は、軸支部12に取り付けられる。第1フレーム部41は、例えば、モータなどの第2駆動機構によって、Y軸と平行な軸を回転軸として軸支部12に対して回転する。ライン照明42は、第1フレーム部41の先端に取り付けられる。ライン照明42は、レール部21に沿って移動するステージ30に載置されたメタルマスクMに対して、照明光Lをライン状に照射する。ライン照明42は、例えば、Y軸方向に沿って直線状に配置されたLED照明である。第1フレーム部41及び第2駆動機構は、ライン照明42を移動させることで、メタルマスクMに対する照明光Lの照射角度を変える照明駆動部の一例である。
【0025】
ライン照明42は、ライン照明42が備える発光面42Sに対して照明光Lの光軸OAが直角になるように、メタルマスクMに対して照明光Lを集光照射する。ライン照明42は、照明光Lの光量を変更可能に構成される。ライン照明42は、例えば、印加される電圧の大きさに応じて照明光Lの光量を変える。なお、例えば、照明光Lの光量を変えるために、メッシュ状のシャッターを用いてもよい。照明光Lがメッシュ状のシャッターを通過することで、照明光Lの光量が少なくなる。したがって、照明光Lの光路上にメッシュ状のシャッターが配置された状態と、照明光Lの光路上にメッシュ状のシャッターが配置されていない状態とを切り換えることで、照明光Lの光量が変更されてもよい。あるいは、液晶シャッターを用いて照明光Lの透過率を切り換えることで、照明光Lの光量が変更されてもよい。
【0026】
撮像部50は、X軸方向において、軸支部12に対して照明部40と反対側に位置する。撮像部50は、第2フレーム部51と、ラインカメラ52とを備える。第2フレーム部51は、軸支部12に取り付けられる。第2フレーム部51は、例えば、モータなどの第3駆動機構によって、Y軸と平行な軸を回転軸として軸支部12に対して回転する。
【0027】
ラインカメラ52は、第2フレーム部51の先端に取り付けられる。ラインカメラ52は、レール部21に沿って移動するステージ30に載置されたメタルマスクMにおいて、照明光LがメタルマスクM上で反射した反射光の輝度を取得する。換言すると、ラインカメラ52は、レール部21に沿って移動するステージ30に載置されたメタルマスクMのうち照明光Lが照射された部分を含むように撮像する。X軸とZ軸とを含むXZ平面において、ラインカメラ52の撮像軸IAは、ライン照明42の光軸OAと交点Pで交差する。第2フレーム部51及び第3駆動機構は、ラインカメラ52を移動させることで、メタルマスクMに対するラインカメラ52の撮像角度を変えるカメラ駆動部の一例である。
【0028】
第1フレーム部41及び第2フレーム部51は、Y軸と平行、かつ交点Pを通過する軸を回転軸として、軸支部12に対して回転する。すなわち、第1フレーム部41の回転軸、及び第2フレーム部51の回転軸は、XZ平面において、交点Pと重なる。したがって、ライン照明42の光軸OAとラインカメラ52の撮像軸IAと交点Pの位置は、第1フレーム部41及び第2フレーム部51の回転角度によらず一定である。交点Pは、レール部21に沿って移動するステージ30に載置されたメタルマスクMの表面と同じ高さになるように構成される。交点Pは、例えば、XZ平面において、回転軸L1上に位置する。第1フレーム部41及び第2フレーム部51は、例えば、ベース部10となす角度が0度超180度未満の範囲になるように、軸支部12に対して各別に回転する。
【0029】
照明部40及び撮像部50のうち少なくとも一方をベース部10に対して回転させることで、メタルマスクMが撮像される際の光学条件を変えることができる。例えば、照明光Lの反射角度とラインカメラ52の撮像角度とが一致するとき、ラインカメラ52が取得する画像は、明視野像となる。また、照明光Lの反射角度とラインカメラ52の撮像角度とが異なるとき、ラインカメラ52が取得する画像は、暗視野像となる。また、照明光Lの光量を変えることによっても、メタルマスクMが撮像される際の光学条件を変えることができる。
【0030】
外観検査装置1は、制御装置100を備える。制御装置100は、例えば、制御部と、記憶部とを備える。制御部は、制御装置100の各部の動作を制御する。制御部は、一例として、CPUである。制御部は、例えば、搬送台20を駆動してステージ30を移動させる。制御部は、第1フレーム部41を駆動して照明部40を軸支部12に対して回転させる。制御部は、ライン照明42が照明光Lを照射する状態と、ライン照明42が照明光Lを照射しない状態とを切り換える。制御部は、ライン照明42が照射する照明光Lの光量を変える。制御部は、第2フレーム部51を駆動して撮像部50を軸支部12に対して回転させる。制御部は、レール部21に沿って移動するステージ30に載置されたメタルマスクMを、ラインカメラ52に撮像させる。制御部は、ラインカメラ52が撮像した画像データを加工する。制御部は、ラインカメラ52が撮像した画像データから、メタルマスクMの欠陥の有無を判定する。
【0031】
記憶部は、一例として、HDDである。記憶部は、一例として、制御装置100の各部の動作を制御するプログラムや、ラインカメラ52が撮像した画像データ、当該画像データを加工するプログラム、及び、当該画像データからメタルマスクMの欠陥の有無を判定するプログラムを記憶する。
【0032】
図2に示すように、メタルマスクMは、長辺が搬送方向と平行になるように、載置面31Sに載置される。搬送台20は、レール部21の中心を通る搬送軸L2に沿って、第1位置から第2位置に向けて、もしくは第2位置から第1位置に向けてステージ30を移動させる。このとき、ステージ30は、第1位置と第2位置との間の撮像位置を通過する。なお、搬送軸L2は、搬送台20がステージ30を移動させる搬送方向と平行である。また、図2では、搬送軸L2がベース部10におけるY軸方向の中心を通る中心線L4と重なる場合を図示している。
【0033】
ライン照明42は、搬送台20の撮像位置を通過するステージ30に載置されたメタルマスクMに照明光Lを照射する。搬送台20における撮像位置は、搬送台20における第1位置と第2位置との間において、ライン照明42の照明光Lが照射されるとともに、ラインカメラ52によって撮像される位置である。例えば、撮像位置の中心は、搬送軸L2と照明光Lが照射される領域の中心線L3との交点である。なお、図2では、ステージ30が撮像位置を通過する状態において、外観検査装置1のなかで照明光Lが照射される領域を二点鎖線で示している。
【0034】
ラインカメラ52は、搬送台20における撮像位置を通過するステージ30に載置されたメタルマスクMのうち照明光Lが照射された部分を含むように、ライン状の撮像領域を撮像する。すなわち、ラインカメラ52の撮像領域は、ライン照明42の照明光Lが照射される領域と重なる。例えば、X軸方向において、ラインカメラ52の撮像領域の中心は、照明光Lが照射される領域の中心線L3と一致する。なお、中心線L3は、Y軸に平行な直線である。
【0035】
ラインカメラ52は、メタルマスクMの全体を一度に撮像するようなエリアカメラと比較して、撮像領域が小さい分だけ、ラインカメラ52とメタルマスクMとの距離を小さくすることができる。したがって、ラインカメラ52を用いることで、エリアカメラを用いる場合と比較して、外観検査装置1の外形を小さくすることができる。
【0036】
照明部40及び撮像部50は、中心線L3を回転軸として、軸支部12に対して回転する。そのため、メタルマスクMに対する照明光Lの照射角度が何れの場合であっても、外観検査装置1のなかで照明光Lが照射される領域の位置は一定となる。同様に、メタルマスクMに対する撮像角度が何れの場合であっても、外観検査装置1のなかで撮像領域の位置は一定となる。なお、中心線L3は、XZ平面において、図1中の交点Pを通過する。
【0037】
図3に示すように、回転支持部11は、例えば、モータなどの第4駆動機構によって、Z軸と平行な回転軸L1を中心に搬送台20をベース部10に対して回転させる。回転軸L1は、搬送台20における撮像位置上の点を通過するZ軸と平行な軸であって、XY平面に対する垂線である。回転軸L1は、載置面31Sに対して垂直である。回転軸L1は、例えば、撮像位置の中心である搬送軸L2と中心線L3との交点を通過する。回転支持部11及び第4駆動機構は、ベース部10に取り付けられたライン照明42及びラインカメラ52に対して搬送台20を回転させる搬送台駆動部の一例である。
【0038】
回転支持部11は、例えば、搬送軸L2と、ベース部10におけるY軸方向の中心を通る中心線L4とがなす角度θ1が0度以上45度以下の範囲になるように、搬送台20をベース部10に対して回転させる。中心線L4は、X軸と平行な直線である。また、中心線L4は、ベース部10において、照明部40及び撮像部50が並ぶ方向と一致する。換言すると、回転支持部11は、搬送方向と平行な搬送軸L2と照明光Lが延びるY軸方向と平行な中心線L3とがなす角度θ2が、45度以上135度以下の範囲になるように、搬送台20をベース部10に対して回転させる。
【0039】
搬送台20をベース部10に対して回転させることで、搬送台20がステージ30を移動させる搬送方向に対して、メタルマスクMに対して照明光Lが照射される方向、及びメタルマスクMが撮像される方向を変えることができる。すなわち、搬送台20をベース部10に対して回転させることで、メタルマスクMが撮像される際の光学条件を変えることができる。
【0040】
搬送台20の長辺は、ベース部10のY軸方向に沿う短辺よりも大きい。そのため、搬送台20の搬送軸L2とベース部10の中心線L4とがなす角度θ1が直角に近づくように大きくなる程、外観検査装置1におけるY軸方向の幅が大きくなる。したがって、搬送軸L2と中心線L4とがなす角度θ1が0度以上45度以下であれば、仮に角度θ1が90度近くになるまで回転する構造と比較して、外観検査装置1におけるY軸方向の幅を小さくすることができる。
【0041】
搬送台20は、支持部22を備える。支持部22は、搬送台20における撮像位置を通過するステージ30を下方から支持する。支持部22の中心は、一例として、撮像位置の中心である搬送軸L2と中心線L3との交点と一致する。ステージ30が撮像位置を通過する際に支持部22によって支持されることで、ステージ30を平坦な状態に保つことができる。これにより、平坦な状態のステージ30上に載置されたメタルマスクMを撮像できる。
【0042】
図4に示すように、支持部22は、磁石22Aと、2つの非磁性部22Bとを備える。なお、図4では、磁石22Aにドットを付す。磁石22A及び非磁性部22Bは、搬送方向と交差する方向に延在する。磁石22Aは、搬送方向において、2つの非磁性部22Bの間に位置する。なお、図4では、搬送方向がX軸方向と一致する状態を図示している。磁石22A及び非磁性部22Bは、撮像位置において、ステージ30の板状部31が自重及びメタルマスクMの重量によって撓まないように、板状部31を下方から支持する。
【0043】
磁石22Aは、アルニコ磁石、フェライト磁石、あるいはネオジム磁石等の永久磁石によって構成される。非磁性部22Bは、非磁性の金属、無機材料、あるいはPOM(ポリアセタール樹脂)などの樹脂材料である。支持部22は、非磁性部22Bによって撮像位置を通過するステージ30を支持しつつ、磁石22Aの磁力によってメタルマスクMを載置面31Sに向かって下方から引き付けることができる。これにより、載置面31Sに対するメタルマスクMの浮きを抑制することで、より平坦な状態のメタルマスクMを撮像できる。なお、ステージ30の厚さは、磁石22Aの磁力をメタルマスクMに十分に作用させつつ、機械的強度を維持する観点から、1mm以上2mm以下が好ましい。
【0044】
[外観検査方法]
外観検査装置1は、メタルマスクMの製造過程において、メタルマスクMの表面に生じた欠陥の有無を検査する。メタルマスクMに生じる欠陥は、例えば、疵欠陥、シミ欠陥、及び孔部欠陥である。疵欠陥は、製造装置、他の金属板、または異物のエッジとの接触などによって生じるスクラッチや打痕などである。例えば、メタルマスクMのような長尺なシート状の金属板は、ロール状に捲回された状態から巻き出して加工した後、再びロール状に捲回するロールツーロール方式によって製造される場合がある。ロールツーロール方式では、メタルマスクMの表面上に、疵欠陥の一例である巻き方向(送り方向)と平行、すなわちメタルマスクMの長辺と平行なスクラッチが形成されやすい。メタルマスクMの長辺と平行なスクラッチを検出する場合では、ステージ30の搬送方向が、ライン照明42とラインカメラ52とが並ぶX軸に対して平行でない状態、すなわち、角度θ1が0度超45度以下の状態が好ましい。
【0045】
シミ欠陥は、製造装置、他の金属板、または異物に対する面同士での接触や、化学的反応によって生じる。シミ欠陥は、錆や化学反応による変色、表面上のざらつき等を含む。シミ欠陥は、疵欠陥に比べると照明光Lの反射の度合いが小さい場合が多い。シミ欠陥を検出する場合では、例えば、暗視野の状態で撮像することが好ましい。
【0046】
孔部欠陥は、メタルマスクMの中央部に位置する貫通孔の形状不良である。貫通孔は、例えば、化学的なエッチングによって形成される。孔部欠陥は、例えば、貫通孔が一部もしくは全部が形成されていない、または、貫通孔が大きすぎる、もしくは小さすぎる、あるいは、貫通孔の縁部の欠け等である。貫通孔は、メタルマスクMが厚さ方向に貫通した部分であるから、照明光Lを照射した際の反射の態様が他の部分と異なる。そのため、孔部欠陥を検出する場合には、貫通孔の縁部の形状を識別できるように、最適な光量であることが好ましい。また、貫通孔の縁部の形状を鮮明に撮像するために、照明光LがメタルマスクMで正反射した反射光をラインカメラ52によって撮像することが好ましい。すなわち、図1に示すXZ平面において、照明光Lの光軸OAと回転軸L1とがなす入射角と、ラインカメラ52の撮像軸IAと回転軸L1とがなす撮像角度とが等しいことが好ましい。
【0047】
以上のように、メタルマスクMには、照明光Lを照射した際の反射の態様が異なる複数種類の欠陥が生じる場合がある。また、欠陥の形状や大きさによっては、特定の照射角度や撮影角度では、画像上で識別しにくい場合がある。すなわち、メタルマスクMに生じる欠陥を検出するための最適な光学条件は、欠陥の種類、大きさ、形状などによって異なる場合がある。
【0048】
そのため、外観検査装置1で外観検査を行う際には、予め検出したい欠陥の種類及び程度に応じて最適な光学条件を実現するための第1から第5の撮像条件を決定する。撮像条件は、外観検査装置1における各部の設定であって、メタルマスクMを撮像する際の光学条件を決定する要素である。
【0049】
第1の撮像条件は、メタルマスクMに対する照明光Lの照射角度の大きさ、すなわち、XZ平面におけるベース部10に対する第1フレーム部41の角度の大きさである。第2の撮像条件は、メタルマスクMに対するラインカメラ52の撮像角度の大きさ、すなわち、XZ平面におけるベース部10に対する第2フレーム部51の角度の大きさである。第3の撮像条件は、ライン照明42とラインカメラ52とが並ぶX軸に対するステージ30の搬送方向の角度θ1の大きさ、すなわち、X軸とY軸とを含むXY平面におけるベース部10に対する搬送台20の角度θ1の大きさである。第4の撮像条件は、撮像位置を通過するメタルマスクMに対する露光時間である。露光時間は、搬送台20がステージ30を搬送する搬送速度に依存する。第5の撮像条件は、撮像位置を通過するメタルマスクMに対する照明光Lの光量である。
【0050】
制御装置100は、第1から第5の撮像条件の組み合わせである撮像条件パターンを、少なくとも1つ以上記憶する。例えば、制御装置100は、疵欠陥を検出するために最適な撮像条件の組み合わせを第1の撮像条件パターンとして記憶する。制御装置100は、シミ欠陥を検出するために最適な撮像条件の組み合わせを第2の撮像条件パターンとして記憶する。制御装置100は、孔部欠陥を検出するために最適な撮像条件の組み合わせを第3の撮像条件パターンとして記憶する。なお、1つの撮像条件パターンによって、複数種類の欠陥を同時に検知できるのであれば、必ずしも欠陥の種類ごとの撮像条件パターンを記憶させる必要は無い。また、1つの欠陥の種類に対して、検出の精度を上げるために複数の撮像条件パターンを記憶させてもよい。各撮像条件パターンは、第1から第5の撮像条件のうち少なくとも1つの撮像条件が異なればよい。
【0051】
以下、外観検査方法の一例について、図5図7を参照して説明する。
図5に示すように、まず、搬送台20における第1位置に位置するステージ30の載置面31SにメタルマスクMを載置する。そして、制御装置100は、外観検査装置1の各部を駆動して、所望の欠陥を検出するための撮像条件パターンを適用する。この状態で、搬送台20を駆動してステージ30を第1位置から第2位置に向かう第1搬送方向D1に沿って移動させる。そして、ステージ30が第1位置から第2位置に移動する際に、撮像位置を通過するステージ30に載置されたメタルマスクMに対してラインカメラ52によって第1の撮像を行う。
【0052】
図6に示すように、ステージ30は、第1の撮像が完了した状態で搬送台20の第2位置に位置する。次いで、制御装置100は、外観検査装置1の各部を駆動して、第1の撮像で適用した撮像条件パターンとは異なる撮像条件パターンを適用する。例えば、第3から第5の撮像条件を変えずに、第1の撮像条件である照明光Lの照射角度、または、第2の撮像条件であるラインカメラ52の撮像角度の少なくとも一方を変える。この状態で、搬送台20を駆動してステージ30を第2位置から第1位置に向かう第2搬送方向D2に沿って移動させる。そして、ステージ30が第2位置から第1位置に移動する際に、撮像位置を通過するステージ30に載置されたメタルマスクMに対してラインカメラ52によって第2の撮像を行う。
【0053】
図7に示すように、ステージ30は、第2の撮像が完了した状態で、再び搬送台20の第1位置に位置する。そして、制御装置100は、外観検査装置1の各部を駆動して、第1の撮像及び第2の撮像で適用した撮像条件パターンとは異なる撮像条件パターンを適用する。例えば、第2の撮像で適用した撮像条件パターンから、第3の撮像条件であるベース部10に対する搬送台20の角度θ1を45度に変更しつつ、他の撮像条件を変更しない。この状態で、搬送台20を駆動してステージ30を第1位置から第2位置に向かう第1搬送方向D1に沿って移動させる。そして、ステージ30が第1位置から第2位置に移動する際に、撮像位置を通過するステージ30に載置されたメタルマスクMに対してラインカメラ52によって第3の撮像を行う。
【0054】
このように、搬送台20の第1位置と第2位置との間を、メタルマスクMを載置したステージ30を移動させて複数回の撮像を行う。そして、撮像を行うごとに撮像条件パターンを変えることで、光学条件を変えた複数の画像を取得できる。なお、撮像の回数は、3回に限定されず、欠陥を検出するために必要な回数の撮像を行えばよい。また、撮像した画像は、例えば、画像処理によってメタルマスクMの全体を納めた1つの画像データとして変換される。さらに、変換された画像データに対して、二値化などの処理手法を用いて欠陥の有無を判別してもよい。
【0055】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)メタルマスクMに対する照明光Lの照射角度、メタルマスクMに対するラインカメラ52の撮像角度、及びライン照明42とラインカメラ52とが並ぶX軸とステージ30の搬送方向とがなす角度θ1のそれぞれが変更可能に構成されている。これにより、外観検査装置1の各部を駆動することで、撮像位置を通過するメタルマスクMを撮像する際の光学条件を容易に変えることができる。したがって、欠陥の種類に応じて光学条件を変えた複数の画像を容易に取得できる。
【0056】
また、欠陥を検出するための最適な光学条件となる撮像条件パターンを決定する際にも、各撮像条件を容易に変えることができることから、最適な光学条件となる撮像条件パターンを簡便に決定できる。
【0057】
(2)ステージ30が撮像位置を通過する際に、支持部22によってステージ30を支持することで、平坦な状態のステージ30上に支持されたメタルマスクMを撮像できる。また、高さ方向であるZ軸方向におけるメタルマスクMの位置を一定に保つことができるため、ラインカメラ52の焦点をより精度よく合わせることができる。
【0058】
(3)支持部22が磁石22Aを備えることで、載置面31Sに対するメタルマスクMの浮きを抑制できる。そのため、より平坦な状態のメタルマスクMを撮像できる。
(4)角度θ1が0度以上45度以下の範囲であることで、搬送台20の回転に要する空間を過剰に大きくせずに、ステージ30上に載置されたメタルマスクMに対する光学条件を変えることができる。特に、検査対象がメタルマスクMのように長尺である程、角度θ1が直角に近づくにつれて、外観検査装置1におけるY軸方向の幅が大きくなる。したがって、検査対象がメタルマスクMのように長尺である程、上記の効果が大きくなる。
【0059】
(5)ライン照明42が照明光Lの光量を変更可能に構成されることで、欠陥の種類に応じて照明光Lの光量を変えることができる。これにより、照明光Lの照射角度及びラインカメラ52の撮像角度と合わせて、照明光Lの光量を最適な条件に変えることで、欠陥の検出精度をより高めることができる。
【0060】
(6)搬送台20がステージ30を搬送する搬送速度を変えることで、ラインカメラ52がメタルマスクMを撮像する際の露光時間を変えることができる。これにより、照明光Lの照射角度及びラインカメラ52の撮像角度と合わせて、露光時間を最適な条件に変えることで、欠陥の検出精度をより高めることができる。
【0061】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・搬送台20がステージ30を搬送する搬送速度が一定であってもよい。この場合では、ラインカメラ52がメタルマスクMを撮像する際の露光時間が一定になるものの、上記(1)~(5)に準じた効果を得ることができる。
【0062】
・ライン照明42が照射する照明光Lの光量が一定であってもよい。この場合であっても、上記(1)~(4),(6)に準じた効果を得ることができる。
・外観検査装置1の設置に際して空間的な制約が無いのであれば、ライン照明42とラインカメラ52とが並ぶX軸とステージ30の搬送方向とがなす角度θ1が45度超であってもよい。例えば、ベース部10を円形にしつつ、搬送台20が回転軸L1を軸に360度回転する構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)~(3),(5),(6)に準じた効果を得ることができる。
【0063】
・例えば、メタルマスクMの厚さが大きい場合など、載置面31Sに載置した状態でシワや波打ちが生じにくく、載置面31Sに対して浮きが生じにくいのであれば、支持部22が磁石22Aを備えなくてもよい。例えば、磁石22Aに代えて、支持部22の全体が非磁性部22Bで構成されてもよい。このような構成であっても、上記(1),(2),(4)~(6)に準じた効果を得ることができる。また、支持部22が磁石22Aを備えない場合には、ステージ30が強磁性の材料で構成されてもよいし、メタルマスクMが非磁性の材料で構成されてもよい。また、支持部22に磁石22Aを設けるのではなく、ステージ30における載置面31Sと反対側の面に磁石を設けてもよい。
【0064】
また、図8に示すように、支持部22がローラであってもよい。このような構成であれば、撮像位置を通過するステージ30を支持しつつ、ステージ30を円滑に移動させることができる。また、磁石22Aを備えた支持部22と、ローラ状の支持部22とを並設してもよい。
【0065】
・ステージ30の板状部31が、自重及びメタルマスクMの重量で撓まない程度の十分な剛性を有しているのであれば、支持部22は割愛されてもよい。また、支持部22は搬送台20に取り付けられるのではなく、ベース部10に取り付けられてもよい。ステージ30の板状部31が撓まないように、アルミニウム等の非磁性の材料で補強してもよい。
【0066】
図9に示すように、搬送台20は、支持ローラ23を備えてもよい。支持ローラ23は、例えば、搬送台20における搬送方向(長手方向)の各端において、搬送台20の下部に設けられる。支持ローラ23は、搬送台20がベース部10に対して回転する際に、ベース部10上を回転しながら、搬送台20を下方から支持する。搬送台20における搬送方向の端部が自由端の場合では、搬送方向の寸法が大きくなる程、自重やステージ30、及びメタルマスクMの重量によって撓みやすくなる。支持ローラ23を設けることで、搬送方向の端部を支持しつつ、ベース部10に対して搬送台20を円滑に回転させることができる。
【0067】
・外観検査装置1の検査対象は、メタルマスクMに限定されず、任意の偏平な金属板であればよい。検査対象の金属板は、一例として、強磁性の材料で構成されるが、支持部22に磁石22Aを設けない場合には、非磁性の材料で構成されてもよい。
【0068】
[実施例]
以下、図10図12を参照して、実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0069】
[実施例1]
検査対象として、厚さが30μm程度のメタルマスクMを用いた。ステージ30上にメタルマスクMを設置した。照明光Lを集光照射するライン照明42として使用した。ステージ30に対するメタルマスクMの浮きを抑制するために、磁石22Aを備える支持部22を用いた。ステージ30は、厚さが2mmのアルミニウム板とした。ステージ30は、十分な剛性を確保するため外周部をアルミフレームで補強しつつ、さらにステージ30の裏面から支持部22の一例であるローラで支えた。すなわち、実施例1では、磁石22Aを備える支持部22と、ローラ状の支持部22とを並設した。この状態で、ラインカメラ52を用いてメタルマスクMの外観を撮像した。
【0070】
図10に示すように、XZ平面において、照明光Lの光軸OAと回転軸L1とがなす入射角をθ3とするとともに、ラインカメラ52の撮像軸IAと回転軸L1とがなす撮像角度をθ4とする。実施例1では、搬送軸L2とベース部10の中心線L4とがなす角度θ1を45度とした。そして、入射角θ3及び撮像角度θ4の両方を30度とした状態で、第1の撮像を行った。その後、入射角θ3のみを30度から24度に変えた状態で、第2の撮像を行った。
【0071】
[比較例1]
ベース部10が回転支持部11を備えず、ベース部10に対して搬送台20が回転しない点を除き、実施例1と同様にラインカメラ52による撮像を行った。したがって、比較例1では、角度θ1が0度の状態で固定されている。そして、入射角θ3及び撮像角度θ4の両方を30度とした状態で、第1の撮像を行った。その後、入射角θ3のみを30度から24度に変えた状態で、第2の撮像を行った。
【0072】
[比較例2]
図11に示すように、ベース部10が回転支持部11を備えず、ベース部10に対して搬送台20が回転しない点と、ライン照明42に代えて、斜光照明43を用いた点を除き、実施例1と同様にラインカメラ52による撮像を行った。したがって、比較例2では、角度θ1が0度の状態で固定されている。斜光照明43は、XY平面と対向する視点から見て、X軸に対して一定の角度θ5をなすように、照明光Lを照射する。角度θ5は、30度とした。そして、入射角θ3及び撮像角度θ4を両方とも30度とした状態で、第1の撮像を行った。その後、入射角θ3のみを30度から24度に変えた状態で、第2の撮像を行った。
【0073】
[比較例3]
図12に示すように、ライン照明42に代えて、環状のリング照明44を用い、かつ、ラインカメラ52に代えて、エリアカメラ53を用いた点を除き、実施例1と同様に撮像を行った。なお、図12では、リング照明44をY軸方向の中心で切断した状態を模式的に示す。リング照明44及びエリアカメラ53は、撮像位置を通過するステージ30上のメタルマスクMの直上に配置される。リング照明44は、メタルマスクMの全体に向けて、直上から照明光Lを照射する。エリアカメラ53は、メタルマスクMの全体を直上から一度に撮像する。なお、比較例3の場合では、角度θ1を変えても撮像できる画像に大きな差異は無い。また、リング照明44の照射角度は一定であり、撮像角度θ4は0度で固定となる。そのため、比較例3では、第1の撮像のみを行った。
【0074】
[評価]
検査対象としたメタルマスクMに対して目視による外観検査を行うことで予め欠陥の位置を把握した上で、撮像した画像データ上の同じ位置で欠陥が確認できるかどうかを判断した。撮像画像において目視により欠陥が確認できないものを不良(×)とした。撮像画像において目視によりわずかに欠陥が確認できたものを並(△)とした。撮像画像において目視により欠陥がはっきり確認されたものを良(〇)とした。評価は、疵欠陥、シミ欠陥、及び孔部欠陥のそれぞれについて行った。また、実施例1、及び比較例1、2では、各欠陥について、第1の撮像及び第2の撮像で得られた画像データのそれぞれについて評価したうえで、より明確に欠陥が確認できた方の結果を採用した。実施例1、及び比較例1~3の評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、実施例1では、疵欠陥、シミ欠陥、及び孔部欠陥の全てにおいてコントラストが明瞭な画像を撮像できた。比較例1、比較例2、比較例3では、疵欠陥の一例である打痕やメタルマスクMの長辺と平行なスクラッチを、コントラストが明瞭な状態で撮影できなかった。また、比較例1、比較例2、比較例3では、シミ欠陥においても、実施例1と比較してコントラストが明瞭な状態で撮影できなかった。比較例1~3では、実施例1と比較して調整可能な撮像条件の要素(可動軸の数)が少ないことから、シミ欠陥を検出するために最適な撮像条件を構築できなかったものと考えられる。
【符号の説明】
【0077】
θ1,θ2…角度
θ3…入射角
θ4…撮像角度
L…照明光
L1…回転軸
L2…搬送軸
1…外観検査装置
10…ベース部
20…搬送台
21…レール部
22…支持部
22A…磁石
30…ステージ
31…板状部
31S…載置面
40…照明部
41…第1フレーム
42…ライン照明
50…撮像部
51…第2フレーム
52…ラインカメラ
100…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12