(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094379
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】湾曲した圧迫要素を用いた撮像
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20240702BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240702BHJP
【FI】
A61B6/04 509B
A61B6/50 500E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067469
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2021212112の分割
【原出願日】2017-09-25
(31)【優先権主張番号】62/419,336
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/531,807
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501214292
【氏名又は名称】ホロジック, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Hologic, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Campus Drive, 01752 Marlborough, MA,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ビアオ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー アール. スタンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ エー. ステイン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ラス
(57)【要約】
【課題】乳房を撮像するためのシステムを提供すること
【解決手段】乳房圧迫パドル等の湾曲した圧迫要素、および湾曲した圧迫要素と併用するための撮像システムおよび方法。システムは、放射線源と、検出器と、湾曲した圧迫要素とを含み得る。検出器から画像データを受信するステップと、少なくとも1つの圧迫パドルのための補正マップにアクセスするステップと、補正マップに基づいて画像データを補正し、補正された画像データを生成するステップと、補正された画像データに基づいて乳房の画像を生成するステップと含む、動作が、実施される。乳房圧迫要素は、概して、鋭的縁を有しておらず、むしろ、平滑な縁と、表面の間の遷移部とを有する。乳房圧迫パドルはまた、乳房圧迫パドルの湾曲した底面の一部に及ぶ可撓性材料を含み、間隙を画定する。可撓性材料は、収縮包装等の薄膜材料であり得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、PCT国際出願として2017年9月25日に出願されたものであり、(1)2016年11月8日に出願され“Breast Compression Paddle”と題された米国仮出願第62/419,336号、および(2)2017年7月12日に出願され“Image Processing For Curved Paddles”と題された米国仮出願第62/531,807号に対する優先権を主張するものであり、これらの両方は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィおよび乳房トモシンセシスにおける患者の重大な懸念は、患者が、典型的には、乳房が、X線撮像のために乳房を不動化させ、乳房組織を伸長させるために十分な力を用いて、2つの堅性なプラスチック表面の間で圧迫されるときに感じ得る不快感である。別の重大な難題は、撮像野が所望される量の乳房組織を含むことを確実にすることである。圧迫を使用する理由は、以下を含む。すなわち、(1)乳房を、X線束方向により薄くし、それによって、患者の放射線暴露を、圧迫されない乳房のより厚い部分を撮像するために要求されるレベルから低減させるため、(2)乳房をX線束の方向の厚さにおいてより均一にし、それによって、乳房画像全体にわたる画像平面におけるより均一な暴露を促進するため、(3)X線暴露の間、乳房を不動化させ、それによって、画像ぶれを低減させるため、および(4)乳房組織を胸壁から撮像暴露野の中にもたらし、したがって、より多くの組織を撮像するためである。乳房が圧迫されている際、典型的には、技師は、乳房を適切に位置付け、圧迫が有する、乳房組織を胸壁に向かって撮像野から外に押動する性質に対抗するように乳房を操作する。
【0003】
マンモグラフィおよびトモシンセシスのための標準的な圧迫方法は、可動の堅性な透明のプラスチック圧迫パドルを使用する。乳房が、典型的には、平坦である乳房支持プラットフォーム上に設置され、パドルが、次いで、乳房の上に圧迫される一方で、通常、技師または他の医療専門家が、乳房を定位置に保持し、おそらく、画像レセプタの視野内の適切な組織の網羅を確実にし、乳房の伸長を促進するように乳房を操作する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある側面では、本技術は、乳房を撮像するためのシステムに関する。本システムは、放射線源と、非平面状の圧迫面を有する少なくとも1つの圧迫パドルであって、少なくとも1つの圧迫パドルは、乳房の撮像の間、乳房を圧迫するように構成される、圧迫パドルと、少なくとも1つの圧迫パドルおよび乳房を通過した後、放射線源から放出される放射線を検出するように構成される、検出器であって、複数のピクセルを含む、検出器と、検出器に動作可能に接続される、メモリおよびプロセッサであって、メモリは、プロセッサによって実行されると、一連の動作を実施する命令を記憶する、メモリおよびプロセッサとを含む。本動作は、検出器から画像データを受信するステップと、少なくとも1つの圧迫パドルのための補正マップにアクセスするステップと、補正マップに基づいて画像データを補正し、補正された画像データを生成するステップと、補正された画像データに基づいて、乳房の画像を生成するステップとを含む。ある実施例では、本動作はさらに、画像のための画像サイズに基づいて補正マップをアップスケーリングするステップと、圧搾係数を適用することによって補正マップを修正するステップと、投影角およびパドル偏移に関する補正マップを修正するステップと、倍率に基づいて補正マップを修正するステップとのうちの少なくとも2つを含む。別の実施例では、倍率に基づいて補正マップを修正するステップは、少なくとも部分的に、圧迫パドルの高さに基づく。さらに別の実施例では、補正マップは、行列として表され、行列の要素は、検出器の対応するピクセルのための補正値を表す。なおもさらに別の実施例では、行列の要素は、検出器の対応するピクセルの輝度値をスケーリングするための値を含む。
【0005】
別の実施例では、画像データを補正するステップは、ピクセル毎のレベルで画像データを補正するステップを含む。さらに別の実施例では、本動作はさらに、胸壁の約2センチメートル以内のエリアを表す画像の胸壁エリアをさらに補正するステップを含む。なおもさらに別の実施例では、画像の胸壁エリアを補正するステップは、少なくとも傾き値および閾値に基づいてデルタ値を決定するステップを含む。
【0006】
別の実施例では、補正マップは、圧迫パドルを液体で充填し、充填パドルを作成するステップと、充填パドルを実質的に放射線透過性の表面上に設置するステップであって、放射線透過性表面は、検出器の撮像エリアを被覆する、ステップと、放射線を充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通して通過させるステップと、充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通過した放射線を検出するステップと、検出された放射線に基づいて補正画像を生成するステップと、補正画像にわたる平均ピクセル値を識別するステップと、補正画像内の各ピクセルを平均ピクセル値によって除算することによって補正マップを生成するステップとを含む、プロセスによって生成される。さらに別の実施例では、補正マップを生成するステップはさらに、一連の多項式フィットを生成し、補正マップを表すステップを含む。
【0007】
別の側面では、本技術は、中空パドルを液体で充填し、充填パドルを作成するステップと、充填パドルを実質的に放射線透過性の表面上に設置するステップであって、放射線透過性表面は、検出器の撮像エリアを被覆する、ステップと、放射線を充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通して通過させるステップと、充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通過した放射線を検出するステップと、検出された放射線に基づいて補正画像を生成するステップと、補正画像にわたる平均ピクセル値を識別するステップと、補正画像内の各ピクセルを平均ピクセル値によって除算することによって補正マップを生成するステップとを含む、方法に関する。ある実施例では、本方法はさらに、一連の多項式フィットを生成し、補正マップを表すステップを含む。別の実施例では、一連の多項式フィットを生成するステップは、検出器の画像列(x)毎に、検出器の行(y)に沿った点を選択するステップと、選択された点を多項式関数にフィットさせ、一連のフィットされた点を生成するステップとを含み、補正マップを生成するステップはさらに、フィットされた点に基づいてフィットされた画像を生成するステップを含む。さらに別の実施例では、多項式関数は、4次多項式である。なおもさらに別の実施例では、補正マップを生成するステップはさらに、ボックスカー平均化法を使用して、フィットされた画像を平滑化するステップと、デシメーションを使用して、フィットされた画像をダウンスケーリングするステップとを含む。別の実施例では、液体は、水であり、実質的に放射線透過性の材料は、約4センチメートルの厚さを有する、ルーサイトブロックである。
【0008】
さらに別の側面では、本技術は、乳房の画像を生成するためのコンピュータ実装方法に関する。本方法は、放射線検出器から画像データを受信するステップと、非平面状の圧迫面を有する少なくとも1つの圧迫パドルのための補正マップにアクセスするステップと、補正マップに基づいて画像データを補正し、補正された画像データを生成するステップと、補正された画像データに基づいて乳房の画像を生成するステップとを含む。ある実施例では、本方法はさらに、画像のための画像サイズに基づいて補正マップをアップスケーリングするステップと、圧搾係数を適用することによって補正マップを修正するステップと、投影角およびパドル偏移に関する補正マップを修正するステップと、倍率に基づいて補正マップを修正するステップとのうちの少なくとも2つをさらに含む。別の実施例では、補正マップは、行列であり、行列の要素は、検出器の対応するピクセルのための補正値を表す。さらに別の実施例では、画像データを補正するステップは、ピクセル毎のレベルで画像データを補正するステップを含む。
【0009】
ある側面では、本技術は、撮像システムにおける使用のための乳房圧迫パドルに関し、乳房圧迫パドルは、湾曲した右面と、湾曲した左面と、湾曲した底面と、湾曲した前面と、上面と、湾曲した右面、湾曲した左面、湾曲した前面、および上面と接触している可撓性材料であって、湾曲した底面の少なくとも一部から離間されている、可撓性材料とを有する。
【0010】
ある側面では、本技術は、撮像システムにおける使用のための乳房圧迫パドルに関し、乳房圧迫パドルは、湾曲した右面と、湾曲した左面と、湾曲した底面と、湾曲した前面と、上面と、湾曲した右面、湾曲した左面、湾曲した底面、湾曲した前面、および上面の隣接するものの間の遷移部であって、全ての遷移部は、鋭的縁を含まない、遷移部とを有する。
【0011】
ある側面では、本技術は、撮像源と、撮像レセプタと、複数の湾曲した側面と、平滑な遷移部を間に伴って複数の湾曲した側面のそれぞれに接続される前面と、複数の湾曲した側面を接続する圧迫面と、圧迫面の反対側に配置され、複数の湾曲した側面を接続する非圧迫面とを有する、乳房圧迫要素とを有する、撮像システムに関する。
【0012】
本概要は、発明を実施するための形態にさらに後述される、簡略化された形態において、一連の概念を導入するために提供される。本概要は、請求される主題の重要な特徴または不可欠な特徴を識別することを意図しておらず、また、請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
撮像システムにおける使用のための乳房圧迫パドルであって、前記乳房圧迫パドルは、
湾曲した右面と、
湾曲した左面と、
湾曲した底面と、
湾曲した前面と、
上面と、
前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した前面、および前記上面と接触している可撓性材料であって、前記可撓性材料は、前記湾曲した底面の少なくとも一部から離間されている、可撓性材料と
を備える、乳房圧迫パドル。
(項目2)
前記可撓性材料は、前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した底面、および前記上面を囲繞する、項目1に記載の乳房圧迫パドル。
(項目3)
前記可撓性材料はさらに、前記湾曲した前面を囲繞する、項目1または2に記載の乳房圧迫パドル。
(項目4)
前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した前面、および前記上面のそれぞれに接続される背面をさらに備える、項目1-3のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目5)
前記湾曲した右面および前記湾曲した左面は、前記背面および前記湾曲した前面によって画定される高さを有する半円筒形状を有する、項目4に記載の乳房圧迫パドル。
(項目6)
ガスの受容のために前記背面内に配置されるガス入口ポートをさらに備え、前記乳房圧迫パドルの1つの表面の少なくとも一部は、前記ガス入口ポートと流体連通する開口部を画定する、項目4または5に記載の乳房圧迫パドル。
(項目7)
前記上面は、略平坦である、項目1-6のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目8)
背面と、前記背面に取り付けられるブラケットとをさらに備え、前記ブラケットは、前記乳房圧迫パドルを前記撮像システムに搭載するように構成される、項目1-3または7のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目9)
前記可撓性材料は、間隙が、少なくとも前記湾曲した底面の一部と前記湾曲した底面から離間される前記可撓性材料の一部との間に画定されるように、前記湾曲した右面から前記湾曲した左面まで及ぶ、項目1-8のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目10)
前記可撓性材料は、乳房に対して圧迫されると、前記湾曲した底面と接触するように構成される、項目1-9のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目11)
前記可撓性材料は、収縮包装材料である、項目1-10のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目12)
撮像システムにおける使用のための乳房圧迫パドルであって、前記乳房圧迫パドルは、
湾曲した右面と、
湾曲した左面と、
湾曲した底面と、
湾曲した前面と、
上面と、
前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した底面、前記湾曲した前面、および前記上面の隣接するものの間の遷移部であって、全ての遷移部は、鋭的縁を含まない、遷移部と
を備える、乳房圧迫パドル。
(項目13)
前記湾曲した底面の凹面形部分を横断して前記湾曲した右面から前記湾曲した左面まで及ぶ可撓性材料をさらに備える、項目12に記載の乳房圧迫パドル。
(項目14)
空隙が、前記湾曲した底面の凹面形部分と前記可撓性材料との間に画定される、項目13に記載の乳房圧迫パドル。
(項目15)
前記可撓性材料は、前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した底面、および前記上面を囲繞する、項目13-14のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目16)
前記可撓性材料はさらに、前記湾曲した前面を囲繞する、項目15に記載の乳房圧迫パドル。
(項目17)
前記湾曲した右面、前記湾曲した左面、前記湾曲した前面、および前記上面のそれぞれに接続される背面をさらに備える、項目12-16のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。(項目18)
背面をさらに備え、前記湾曲した右面および前記湾曲した左面は、前記背面および前記湾曲した前面によって画定される高さを有する略半円筒形状を有する、項目12-16のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目19)
ガスの受容のために前記背面内に配置されるガス入口ポートをさらに備え、前記乳房圧迫パドルの1つの表面の少なくとも一部は、前記ガス入口ポートと流体連通する開口部を画定する、項目17または18に記載の乳房圧迫パドル。
(項目20)
前記上面は、略平坦であることと、前記湾曲した底面と同様に湾曲していることとのうちの少なくとも一方である、項目12-19のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目21)
背面と、前記背面に取り付けられるブラケットとをさらに備え、前記ブラケットは、前記乳房圧迫パドルを前記撮像システムに搭載するように構成される、項目12-20のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目22)
前記可撓性材料は、間隙が、前記湾曲した底面の少なくとも一部と前記可撓性材料との間に画定されるように、前記湾曲した右面から前記湾曲した左面まで及ぶ、項目13-16のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目23)
前記可撓性材料は、乳房に対して圧迫されると、前記湾曲した底面と接触するように構成される、項目13-16または22のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目24)
前記可撓性材料は、収縮包装材料である、項目13-16または22-23のいずれかに記載の乳房圧迫パドル。
(項目25)
撮像システムであって、
撮像源と、
撮像レセプタと、
乳房圧迫要素であって、前記乳房圧迫要素は、
複数の湾曲した側面と、
平滑な遷移部を間に伴って前記複数の湾曲した側面のそれぞれに接続される前面と、
前記複数の湾曲した側面を接続する圧迫面と、
前記圧迫面の反対側に配置され、前記複数の湾曲した側面を接続する非圧迫面と
を備える、乳房圧迫要素と、
を備える、撮像システム。
(項目26)
前記乳房圧迫要素は、前記撮像システムから除去可能なパドルを備える、項目25に記載の撮像システム。
(項目27)
前記乳房圧迫要素は、乳房支持プラットフォームを備える、項目25に記載の撮像システム。
(項目28)
前記乳房圧迫要素は、少なくとも部分的に中空である、項目25、26、または27に記載の撮像システム。
(項目29)
前記撮像レセプタは、前記乳房圧迫要素内に配置される、項目25-28のいずれかに記載の撮像システム。
(項目30)
前記撮像レセプタは、前記乳房圧迫要素内に移動可能に配置される、項目25-29のいずれかに記載の撮像システム。
(項目31)
前記乳房圧迫要素は、複数の乳房圧迫要素を備える、項目25-30のいずれかに記載の撮像システム。
(項目32)
前記撮像源は、中心点を有する撮像弧に沿って移動するように構成され、前記圧迫面の弧形状は、前記撮像弧の中心点と実質的に同一の場所に中心点を有する、項目25-31のいずれかに記載の撮像システム。
(項目33)
乳房を撮像するためのシステムであって、前記システムは、
放射線源と、
非平面状の圧迫面を有する少なくとも1つの圧迫パドルであって、前記少なくとも1つの圧迫パドルは、前記乳房の撮像の間、前記乳房を圧迫するように構成される、圧迫パドルと、
前記少なくとも1つの圧迫パドルおよび前記乳房を通過した後、前記放射線源から放出される放射線を検出するように構成される検出器であって、前記検出器は、複数のピクセルを含む、検出器と、
前記検出器に動作可能に接続されるメモリおよびプロセッサであって、前記メモリは、命令を記憶しており、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、一連の動作を実施し、前記動作は、
前記検出器から画像データを受信することと、
前記少なくとも1つの圧迫パドルのための補正マップにアクセスすることと、
前記補正マップに基づいて前記画像データを補正し、補正された画像データを生成することと、
前記補正された画像データに基づいて、前記乳房の画像を生成することと
を含む、メモリおよびプロセッサと
を備える、システム。
(項目34)
前記動作はさらに、
前記画像のための画像サイズに基づいて前記補正マップをアップスケーリングすることと、
圧搾係数を適用することによって前記補正マップを修正することと、
投影角およびパドル偏移に関する前記補正マップを修正することと、
倍率に基づいて前記補正マップを修正することと
のうちの少なくとも2つを含む、項目33に記載のシステム。
(項目35)
倍率に基づいて前記補正マップを修正することは、少なくとも部分的に、前記圧迫パドルの高さに基づく、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記補正マップは、行列として表され、前記行列の要素は、前記検出器の対応するピクセルのための補正値を表す、項目33-35のいずれかに記載のシステム。
(項目37)
前記行列の要素は、前記検出器の対応するピクセルの輝度値をスケーリングするための値を含む、項目36に記載のシステム。
(項目38)
前記画像データを補正することは、ピクセル毎のレベルで前記画像データを補正することを含む、項目33-37いずれかに記載のシステム。
(項目39)
前記動作はさらに、胸壁の約2センチメートル以内のエリアを表す前記画像の胸壁エリアをさらに補正することを含む、項目33-38のいずれかに記載のシステム。
(項目40)
前記画像の胸壁エリアを補正することは、少なくとも傾き値および閾値に基づいてデルタ値を決定することを含む、項目39に記載のシステム。
(項目41)
前記補正マップは、
前記圧迫パドルを液体で充填し、充填パドルを作成することと、
前記充填パドルを実質的に放射線透過性の表面上に設置することであって、前記放射線透過性の表面は、検出器の撮像エリアを被覆する、ことと、
放射線を前記充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通して通過させることと、
前記充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通過した前記放射線を検出することと、
前記検出された放射線に基づいて補正画像を生成することと、
前記補正画像にわたる平均ピクセル値を識別することと、
前記補正画像内の各ピクセルを前記平均ピクセル値によって除算することによって前記補正マップを生成することと
を含む、プロセスによって生成される、項目33-40のいずれかに記載のシステム。(項目42)
前記補正マップを生成することはさらに、一連の多項式フィットを生成し、前記補正マップを表すことを含む、項目41に記載のシステム。
(項目43)
方法であって、
中空パドルを液体で充填し、充填パドルを作成することと、
前記充填パドルを実質的に放射線透過性の表面上に設置することであって、前記放射線透過性の表面は、検出器の撮像エリアを被覆する、ことと、
放射線を前記充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通して通過させることと、
前記充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通過した前記放射線を検出することと、
前記検出された放射線に基づいて補正画像を生成することと、
前記補正画像にわたる平均ピクセル値を識別することと、
前記補正画像内の各ピクセルを前記平均ピクセル値によって除算することによって補正マップを生成することと
を含む、方法。
(項目44)
前記方法はさらに、一連の多項式フィットを生成し、前記補正マップを表すことを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記一連の多項式フィットを生成することは、
前記検出器の画像列(x)毎に、前記検出器の行(y)に沿った点を選択することと、
前記選択された点を多項式関数にフィットさせ、一連のフィットされた点を生成することと、
を含み、前記補正マップを生成することはさらに、前記フィットされた点に基づいてフィットされた画像を生成することを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記多項式関数は、4次多項式である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記補正マップを生成することはさらに、
ボックスカー平均化法を使用して、前記フィットされた画像を平滑化することと、
デシメーションを使用して、前記フィットされた画像をダウンスケーリングすることと
を含む、項目45-46のいずれかに記載の方法。
(項目48)
前記液体は、水であり、前記実質的に放射線透過性の材料は、約4センチメートルの厚さを有する、ルーサイトブロックである、項目43-47のいずれかに記載の方法。
(項目49)
乳房の画像を生成するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
放射線検出器から画像データを受信することと、
非平面状の圧迫面を有する少なくとも1つの圧迫パドルのための補正マップにアクセスすることと、
前記補正マップに基づいて画像データを補正し、補正された画像データを生成することと、
前記補正された画像データに基づいて前記乳房の画像を生成することと
を含む、方法。
(項目50)
前記画像のための画像サイズに基づいて前記補正マップをアップスケーリングすることと、
圧搾係数を適用することによって前記補正マップを修正することと、
投影角およびパドル偏移に関する前記補正マップを修正することと、
倍率に基づいて前記補正マップを修正することと
のうちの少なくとも2つをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記補正マップは、行列であり、前記行列の要素は、前記検出器の対応するピクセルのための補正値を表す、項目49-50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
前記画像データを補正することは、ピクセル毎のレベルで前記画像データを補正することを含む、項目49-51のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、直立状態の乳房X線撮像システムの一部の斜視図を描写する。
【
図1C】
図1Cは、傾斜撮像システムのある実施例の側面立面図を描写する。
【
図2】
図2は、放射線源の回転移動を示す撮像システムの正面立面図を描写する。
【
図5A】
図5Aは、本明細書に議論される画像処理技法を用いていない、例示的画像を描写する。
【
図5B】
図5Bは、本明細書に議論される画像処理技法を用いた、例示的画像を描写する。
【
図6A】
図6Aは、湾曲したパドルのための画像処理のための、補正マップを生成するための方法を描写する。
【
図6B】
図6Bは、サンプル補正マップのために使用される、例示的未補正画像を描写する。
【
図6C】
図6Cは、サンプル補正マップに基づく、例示的補正画像を描写する。
【
図7】
図7は、湾曲したパドルのための画像処理のための方法を描写する。
【
図8】
図8は、不統一な圧迫を提供するパドルのための、画像処理のための方法を描写する。
【
図9】
図9は、本実施例のうちの1つ以上のものが実装され得る、好適な動作環境の一実施例を図示する。
【
図10】
図10は、本明細書に開示される種々のシステムおよび方法が動作し得る、ネットワークのある実施例を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、乳房撮像システムにおける使用のための、乳房圧迫パドル、すなわち、圧迫支持表面等の乳房圧迫要素に関する。乳房の撮像の間、多くの場合、圧迫を通して乳房を不動化させることが、望ましい。例えば、乳房を圧迫することによって、乳房は、より薄くなり、より低量の放射線のみを要求し得る。さらに、乳房を不動化させることによって、撮像の間の乳房の移動からの画像ぶれが、低減される。乳房を圧迫することによって、他の利点もまた、実現される。しかしながら、乳房を圧迫するために一般的に使用されるパドルは、X線がパドルを通過しなければならないため、撮像プロセス内に湾曲をもたらし得る。例えば、圧迫パドルが、概して、少なくとも部分的に放射線透過性の材料から作製されるが、圧迫パドルの形状および構成は、それがパドルを通過するにつれて、偏向、屈折、散乱、反射、または他のX線ビームとの望ましくない干渉をもたらし得る。したがって、望ましくないアーチファクトが、結果として生じる画像内に出現し得る、または画像処理の間、考慮される必要があり得る。
【0015】
パドルはまた、乳房が圧迫されてる患者に不快感をもたらし得る。患者が感じ得る不快感の1つの理由は、圧迫力が乳房全体を通して不均一に分散されることである。それは、通常、胸壁の近傍にある乳房の最も厚い部分に、または圧迫パドルの下側前縁および乳房プラットフォームの上側正面角に、またはそれらの近傍に集中される。乳首近傍等の乳房の前方部分は、より少ない圧迫力を受容する、または全く圧迫力を受容しない場合がある。パドルは、乳房のこの部分に接触さえしない場合がある。(用語「正面」、「下側」、および「上側」は、患者を撮像システムの正面に直面させた頭尾方向(CC)撮像配向の使用に関するが、内外斜位方向(MLO)画像配向または視野を含む他の撮像配向もまた、同一の機器と併用され、これらの用語は、それに応じて調節される必要があることを理解されたい。)
【0016】
圧迫要素に関連するこれらの課題を改良するために、部分的に、本明細書に議論される乳房圧迫要素が、鋭的縁を低減または最小限にさせ(例えば、鋭的縁をなくす)、したがって、縁の影響に起因する画像ぶれを低減させる。さらに、乳房圧迫要素は、撮像の間、全ての角度により一貫した厚さを有するように成形される。加えて、または代替として、薄い材料が、乳房圧迫要素の湾曲した底面に及び、底面の少なくとも一部と薄い材料との間に間隙を作成する。例えば、薄い材料は、非常に限定される伸展能力および強力な引張強度を示す、可撓性薄膜材料であり得る。乳房圧迫要素が乳房に対して圧迫されるにつれて、可撓性材料が、乳房の圧迫を開始するように、最初に乳房に接触する。圧迫圧力が増加するにつれて、可撓性材料は、湾曲した底面に向かって偏向され、患者のためのより快適な圧迫プロセスを提供する。乳房圧迫構造の設計はまた、患者がシステムに対して傾斜することを可能にする撮像システムにおける、さらなる快適性および支持を可能にする。
【0017】
図1A-1Cは、コンピュータ断層撮影(CT)モードにおいて動作可能であるだけではなく、広角トモシンセシスモードおよび狭角トモシンセシスモードを含む、トモシンセシスモードおよびマンモグラフィモードにおいても選択的に動作するように構成される、マルチモード乳房X線撮像システムの非限定的な実施例を図示する。例証の明確化のため、CTモード内での使用のための患者遮蔽体が、
図1A-1Bから省略されているが、ある実施例が、
図1Cに図示される。支持柱状物100が、床に固着され、柱状物100内の開口部100aを通して突出する水平延在軸102を上昇かつ降下させるため、および軸102をその中心軸を中心として回転させるための電動式機構を収容する。軸102が、ひいては、軸102と連転またはそれと独立して回転することができる、同軸の軸102aを支持する。軸102が、各圧迫要素が軸102および102aとともに支持部100の長い寸法に沿って上下に移動することができるように、上側圧迫要素104aと、下側圧迫要素104bとを備える、乳房不動化ユニットを支持する。圧迫要素のうちの少なくとも一方が、他方に向かって移動することができ、ユニット104が、軸102および102aの共通中心軸を中心として回転することができる。上側圧迫要素104aおよび下側圧迫要素104bのいずれか一方または両方は、本明細書に議論され、
図3A-3Iに示される、乳房圧迫要素を組み込んでもよい。本明細書に議論される乳房圧迫要素は、上側位置におけるように
図1Aに描写される。加えて、軸102が、2つのタイプの電動式移動、すなわち、軸102の中心軸を中心とした回転、およびガントリ106の長さに沿った軸102に対する運動のためのガントリ106を支持する。ガントリ106は、一方の端部に、概して、108に示される、覆われたX線管等のX線源と、他方の端部に、撮像X線レセプタを封入するレセプタ筐体110とを担持する。
【0018】
CTモードにおいて動作するとき、
図1A-1Cのシステムが、患者の乳房を圧迫要素104aと104bとの間で不動化させる。ユニット104は、患者が直立状態である、例えば、起立または着座している間、軸102とともに乳房の高さまで上昇または降下される。患者は、
図1Bに示されるように、システムの左側面からユニット104に向かって傾斜し、医療専門家、典型的には、X線技師が、実践的な限り多くの乳房組織を圧迫要素104aと104bとの間にもたらし、圧迫要素104aと104bとの間で乳房を調節しながら、
図1Bの右側まで組織を引動し、圧迫要素104aおよび104bのうちの少なくとも一方を他方に向かって移動させ、乳房を不動化させ、それを定位置に保つ。それから個別の乳房スライスの画像CTrを再構成するために、CT投影X線画像CTpを表すX線測定を行う過程では、ガントリ106が、乳房がユニット104内で不動化された状態である間、軸102の中心軸を中心として回転する。筐体110の内側の撮像X線レセプタ112は、ガントリ106の回転の間、X線管108に対して固定されたままであってもよい。別の実施例では、X線レセプタ112は、筐体110内で回転または枢動してもよい。管108からのX線の角錐形状ビームが、ユニット104内の不動化された乳房を横断し、撮像レセプタ112に突き当たり、これは、それに応答して、レセプタの撮像平面内の個別のピクセル位置における回転の増加毎に受信されるX線エネルギーの量に関連する、ピクセル値の個別の2次元アレイを生成する。画像CTpに関するピクセル値のこれらのアレイは、コンピュータシステムに送達され、それによって処理され、乳房のスライス画像CTrを再構成する。ガントリ106は、乳房をユニット104内に位置付けるためにX線技師の患者の乳房へのアクセスを促進するために、柱状物100に向かった、およびX線管108および筐体110の内側の撮像レセプタ112が適切な乳房組織を撮像することができることを確実にするために、柱状物100から離れる電動式移動のために構成されてもよい。代替として、ガントリ106は、撮像X線ビームがユニット104内で不動化された実践的な限り多くの乳房組織を通過することができるように、柱状物100から
図1Aに見られる位置の左側までの固定された位置を維持することができ、その場合、その距離を変動させるための機構の必要性は、ないであろう。
【0019】
図1Cは、
図1Aおよび1Bに描写される実施例と同一の要素、構成要素、および機能性のうちの多くのものを含む。加えて、
図1Cは、垂直位置から枢軸支持部1002の枢軸軸1001を中心として、例えば、図示されるような角度αにわたって枢動する、柱状物1000を含む。角度αは、最高約5°、最高約10°、最高約15°、またはより高くてもよい。この枢動は、患者が遮蔽体1004に対して前方に寄り掛かることを可能にし、これは、患者の快適性および患者の回転構成要素からの保護を増加させ得る。回転C-アーム1006は、X線ビーム109を放射するX線源108と、X線撮像レセプタ筐体110とを担持することができ、柱状物1000を上下に移動させ、異なる高さの患者に適応させることができる。遮蔽体1004は、それが乳房圧迫ユニット104を中心として回転するにつれて、患者をX線源108から遮蔽し、また、患者を撮像レセプタ112を含有するX線撮像レセプタ筐体110のいかなる回転からも遮蔽する。遮蔽体1004はさらに、それに寄り掛かる患者を安定化させるように作用し、患者の快適性および安定性をさらに促進するために患者が保持し得るハンドルを含んでもよい。遮蔽体1004は、源108および筐体110の回転軌道を囲繞することができ、患者の乳房のための開口部を有する正面部分1004bを含んでもよく、その開口部は、乳房が圧縮されるにつれて、医療専門家が乳房を調節するためにその中に到達することを可能にするように実質的に大きくあってもよい。遮蔽体1004aは、上記に議論されるように、2つの圧迫要素104a、104bを含み得る、圧迫ユニット104を囲繞する。遮蔽体1004aはまた、患者をガントリ1006の運動からも保護する部分1004bを含んでもよい。部分1004bの一部または全てが、特に、マンモグラムを行うために除去可能であってもよい。さらに、患者が撮像システムに寄り掛かるにつれて、患者はまた、乳房圧迫ユニット104に対してその体重を直接印加する。
【0020】
図2は、放射線源の回転移動を示す、撮像システムの正面立面図を描写する。CT走査は、典型的には、約180°の角度+撮像X線ビームによって対面される角度を通した源110およびレセプタ108の回転、およびある実施例では、
図2に示されるように、より大きい角度、例えば、約360°を通した回転を伴う。トモシンセシス走査は、同様に、源110の回転を伴うが、概して、約15°等のより小さい角度を横断する。源110およびレセプタ108が、軸102の中心軸を中心として乳房の周囲を回転する。源110およびレセプタ108がそれに沿って回転する経路は、撮像弧116と呼ばれ得る。撮像弧116は、軸102の中心軸に位置する中心点C
IからX線管108等の源まで延在する、半径R
Iを有する。したがって、撮像弧116の曲率(k
I)の簡略表現は、1/R
Iである。実践では、回転は、撮像弧116の一部にわたってのみ実施され得るが、弧116の半径R
I、中心点C
I、および曲率(k
I)は、同一のままである。源110’およびレセプタ108’の別の位置が、例証の目的のために
図2に描写される。
【0021】
上記に議論されるように、直立状態の乳房CTおよび/またはトモシンセシスにおける難題は、乳房を不動化させる方法である。ある場合には、種々の理由のために、乳房の圧迫が殆どまたは全くないことが、望ましくあり得る。他の場合では、例えば、乳房組織が、患者の胸壁から引動されて離され、撮像のためにユニット104内に確実に保定され得るように、乳房を圧迫または乳房に別様に作用することが、望ましくあり得る。故に、概して、患者の快適性を増加させるために、圧迫要素104aおよび104bのうちの一方または両方が、CTおよび/またはトモシンセシス撮像のために乳房を保持するように設計される様式で成形されながら、乳房を少なくとも個々のスライス内のX線の等しい経路長に近接させることを可能にするように成形された状態に保つ。例えば、圧迫要素104aおよび104bは、要素104a、104bの圧迫面上に、撮像弧116と同一の中心点C
Iを共有する弧の形状の湾曲を有し得る。本湾曲は、
図3Cにより明確に描写される。そのような実施例では、圧迫面の弧および撮像弧116は、同心である。別の実施例では、圧迫要素104aおよび104bの圧迫面の曲率は、撮像弧116の曲率に実質的に合致する。いくつかの実施例では、圧迫面の曲率は、撮像弧116の曲率を上回るまたはそれを下回ってもよい。圧迫要素104aおよび104bは、異なるセットの圧迫要素が異なるサイズおよび形状の乳房に適応するために使用され得るように、ブラケットを介して除去可能に固着されてもよい。異なる程度の乳房圧迫が、本明細書に説明されるシステムを動作させる医療専門家によって選択されるように使用されることができる。
【0022】
乳房圧迫要素300のある実施例が、
図3A-3Iに示される複数の図に示される。
図3A-3Iもまた、同時に説明される。乳房圧迫要素300は、乳房圧迫パドルまたは表面、すなわち、乳房支持プラットフォームとして利用され得る。一般的に、乳房圧迫要素300の表面は、図に描写されるように(例えば、「上面」、「底面」、「左面」等)説明されている。これらの一般的な用語は、種々の表面を相互から区別するためにのみ、明確化のために利用される。例えば、
図3A-3Iでは、圧迫面は、底面318と称され得、非圧迫面は、上面308と称され得る。乳房圧迫要素300は、湾曲した前面302と、湾曲した左面304と、湾曲した右面306と、上面308と、背面310と、湾曲した底面318とを含む。乳房圧迫要素300は、放射線透過性材料等の、乳房圧迫要素300を通過する放射線ビームとの最小限の干渉をもたらすように設計される材料から製造され得る。例えば、乳房圧迫要素300は、ポリカーボネート材料、炭素繊維材料、または他の類似材料から作製され得る。乳房圧迫要素300は、中空、中実、または部分的に充填されていてもよい。乳房圧迫要素300の背面310は、ブラケット312に取り付けられる。ブラケット312は、次いで、上記に議論されるように、撮像システムに除去可能に取り付けられてもよい。ブラケット312および/または圧迫要素300の表面は、圧迫要素300の内部と流体連通する、ガス入口ポート313を有してもよい。暖かい空気またはガス等の加熱された流体が、ガス入口ポートを介して圧迫要素300の中に注入され、乳房との接触の前および/またはその間に圧迫要素300を温めてもよい。ある圧迫要素300が、複数のポートを画定し、流体が、可撓性材料314と乳房圧迫要素300のより堅性な構造との間の間隙316の中に逃散することを可能にし得る。
【0023】
いくつかの実装では、乳房圧迫要素300が、可撓性材料314によって囲繞される。可撓性材料314は、概して、薄膜材料であり、種々の材料、例えば、収縮包装材料から作製され得る。いくつかの実施例では、可撓性材料314は、乳房圧迫要素300を囲繞するとき、高引張強度および限定される伸展特性を有する。ある実施例では、可撓性材料314は、右面306、左面304、および上面308と接触し、それらを囲繞する。そのような実施例では、可撓性材料314は、右面306から左面304まで及び、可撓性材料314と底面318との間に間隙316を画定する。例えば、可撓性材料314は、凹面形の底面318から離間され、間隙316を画定する。可撓性材料314が右面306から左面306まで及ぶとき、可撓性材料314は、凹面形の底面318から離間される可撓性材料314の一部が、引張されていない状態であるときよりも可撓性ではないが、堅性ではないように引張される。いくつかの実施例では、可撓性材料314はまた、湾曲した前面302も囲繞する。可撓性材料314はまた、背面310の少なくとも一部を囲繞してもよい。
【0024】
動作時、乳房圧迫要素300は、可撓性材料314が最初に乳房に接触するように、乳房に対して圧接される。一実施形態では、乳房圧迫要素300が乳房を圧迫し続けるにつれて、乳房は、可撓性材料が、最終的には底面318に接触し、したがって、間隙316を排除するまで、可撓性材料314を底面318により近接するように押進させる。可撓性材料314を最初に乳房に接触させることによって、可撓性材料314が圧迫の間に乳房の形状の輪郭を形成するにつれて、患者の快適性が、増加し得、より均一な圧迫が、達成され得る。
【0025】
乳房圧迫要素300の形状はまた、撮像システムに付加的な利点を提供する。
図3A-3Iから理解され得るように、乳房圧迫要素300は、
図3Gに示される平面Sを中心として略対称的である。左面304および右面306は、略半円筒形である。左面304および右面306の半円筒形状部の高さH
Sは、
図3Gに示されるように、背面310および前面の発端によって画定される。左面304および右面306の半円筒形状部は、
図3Cに示されるように、半径R
Sを有する。いくつかの実施例では、半径R
Sは、約1~2インチである。他の実施例では、半径R
Sは、約1.2~約1.8インチである。さらにさらなる実施例では、半径R
Sは、約1.4~約1.6インチである。
【0026】
前面302は、部分的な半円筒によって接続される、実質的に2つの半分の半球のとして成形される。半分の半球の一方が、左面304の正面に取り付けられ、他方の半分の半球が、右面306に取り付けられる。いくつかの実施例では、半分の半球の半径R
Hは、
図3Cに示されるように、左面304および右面306の半円筒形状部の半径R
Sと同一である。2つの半分の半球形状部が、
図3Cに示されるように、前面302の2つの半分の半球形状部の最前点の間の距離によって画定される高さH
Fを有する、部分的な半円筒によって接続される。部分的な半円筒は、底面318の前縁を形成する、湾曲した表面を有する。部分的な半円筒の湾曲した表面のために、
図3Cに示されるように、部分的な半円筒は、可変の半径R
Fを有し、その最大の半径R
Fmaxは、2つの半分の半球形状部の内縁で生じ、その最小の半径R
Fminは、前面302の幾何学的中心で生じる。
【0027】
底面318は、弧の形状の、湾曲した実質的に平滑な表面である。上記に議論されるように、底面318弧の中心点CBは、撮像弧の中心点CIと同一であってもよい。そのような実施例では、底部表面318の弧は、撮像弧と同心である。別の実施例では、底面318の曲率(kB)は、撮像弧の曲率(kI)に等しくてもよい。その実施例では、底面318の曲率(kB)は、底面318の弧半径RBの逆数に等しい。いくつかの実施例では、底面の曲率(kB)は、撮像弧の曲率(kI)を上回るまたはそれを下回ってもよい。例えば、底面の曲率(kB)と撮像弧の曲率(kI)の比率は、約5:1またはそれより大きくてもよい。底面318は、左面304と、右面306と、背面310と、前面302とに接続される。
【0028】
上面308は、左面304と、右面306と、背面310と、前面302とに接続される、略平面状の表面である。他の実施例では、上面308は、湾曲した底面318に類似する形状を有する、湾曲した表面であってもよい。例えば、上面308は、撮像システムの中心点CIおよび底面318の中心点CBと同一である、上面308弧の中心点を伴う弧形状であってもよい。そのような実施例では、撮像弧、上面308の弧、および底面318の弧は全て、同心である。したがって、圧迫要素300の厚さは、それが撮像弧を横断して掃引するにつれて、撮像源に対して、乳房圧迫要素300のより大きな部分に関して、一貫したままである。他の実施例では、上面308は、底面318の曲率(kB)および/または撮像弧の曲率(KI)に等しい曲率(kT)を有してもよい。
【0029】
圧迫要素300は、実質的に、鋭的縁がない。例えば、圧迫要素300の表面の間の遷移部は全て、平滑であり、したがって、鋭的縁がない状態であり得る。左面304と上面308との間の遷移部は、左面304の半円筒形状部に対する接平面が上面308の平面と交差し、それに平行である場所で生じる。同様に、右面306と上面308との間の遷移部は、右面306の半円筒形状部に対する接平面が上面308の平面と交差し、それに平行である場所で生じる。前面302と上面308との間の遷移部は、半分の半球形状部および前面302の部分的な半円筒形状部の接平面が上面308の平面と交差し、それに平行である場所で生じる。前面302と左面304と右面306の間の遷移部もまた、それぞれ、左面304および右面306の半円筒形状部の接平面が前面302の半分の半球形状部の接平面と交差し、それに平行な場所で生じる。さらに、前面302と底面318との間の遷移部は、前面302の底縁の曲率が底面318の曲率に合致するような場所で生じる。前面302と底面318との間の遷移部もまた、前面の部分的な半円筒形状部の接平面が湾曲した底面318の接平面に平行である場所に存在する。底面318と左面304と右面306との間の遷移部もまた、それぞれ、左面304および右面306の半円筒形状部の接平面が湾曲した底面318の接平面と交差し、それと平行である場所で生じる。故に、それらの遷移部はそれぞれ、平滑であり、いかなる鋭的縁も含まない。
【0030】
平滑な表面および表面間の遷移部が、患者の付加的な快適性および改良される画質を提供する。例えば、平滑な湾曲した底面318は、患者のためのより快適な圧迫手技を可能にする。表面間の平滑な遷移部はまた、特に、
図1Cに描写されるもの等の撮像システムの傾斜を伴うシステムにおいて、患者の快適性を増加させる。そのようなシステムでは、患者の胸壁が、圧迫要素300の前面302に対して圧接され、有意な不快性をもたらし得る。圧迫要素300の構造はまた、傾斜されるシステム内での走査の間、圧迫要素300に印加される患者の体重を支持するために好適である。
【0031】
隣接する表面間の遷移部が、平滑であり、実質的に鋭的縁のないものとして本明細書に説明される。鋭的縁は、乳房圧迫要素300の有意な部分を被覆する、収縮包装上に高応力の面積をもたらし、したがって、引裂の可能性を増加させ得る。さらに、鋭的縁はまた、X線放射に干渉し、患者にとっての不快感をもたらし得る。平滑な遷移部は、これらの好ましくない影響を低減させる。ある実施例では、「鋭的縁」は、2つの本質的に平面状の表面の画定される線または線区画における交差として定義され得る。別の実施例では、鋭的縁は、第1の表面の接平面と第2の表面の接平面との間の角度が、第1の表面と第2の表面との間の交差の場所において約120度未満である、2つの表面の間の縁として定義され得る。例えば、上記に議論される種々の表面の表面の大部分は全て、実質的に鋭的縁がない場所で交差するが、背面310と背面との間の交差が、平滑な遷移部である必要はない。例えば、
図3A-3Iに描写される実施例では、背面310と、左面304と、右面306と、上面308と、底面318との間の遷移部はそれぞれ、鋭的縁を含む。ある実施例として、描写されるように、背面310の平面は、上面308の平面に対して垂直である。
【0032】
図3Iは、明確化のため、乳房圧迫要素300の残部から除去された可撓性材料314を描写する。しかしながら、いくつかの実施例では、可撓性材料314は、圧迫要素300の残部から除去可能ではない。例えば、可撓性材料314が収縮包装材料である場合、圧縮プロセスは、可撓性材料314が圧迫要素300の残部を被覆しているときに実施される。したがって、そのような実施例では、可撓性材料314は、容易には除去されない。
【0033】
可撓性材料314が収縮包装材料または他の類似する緊密に嵌合する材料である実施例では、可撓性材料314が、乳房撮像手技に先立って圧迫要素300に適用されてもよい。熱が、次いで、圧迫要素300および可撓性材料314に印加され、可撓性材料を収縮させ、間隙316に及ぶ可撓性材料314の一部の張力を増加させる。いくつかの実施例では、加熱プロセスは、乳房が圧迫されるにつれて、乳房圧迫要素300を温め、患者の快適性を増加させるために、乳房撮像手技の直前の時間に生じてもよい。加えて、可撓性材料314は、有利には、使い捨て可能である。したがって、第1の患者に対する使用の後、可撓性材料314は、除去されてもよく、新しい可撓性材料314が、後続の患者のために適用されてもよい。これは、患者の間で乳房圧迫要素300の表面を清掃または別様に処置する必要性を排除し得る。
【0034】
図4Aは、
図3A-3Iの乳房圧迫要素を使用する、撮像システムの概略図を描写する。
図4Bは、
図4Aの乳房撮像システムの斜視図を描写し、
図4Aと同時に説明される。描写されるシステムでは、患者の乳房410が、2つの乳房圧迫要素、すなわち、乳房支持プラットフォーム412と圧縮パドル416との間におけるX線撮像のために不動化される。プラットフォーム412は、筐体414の上側表面であり得る。プラットフォーム412および圧迫パドル16のいずれか一方または両方が、
図3A-3Iに描写される乳房圧迫要素の形状に作製され得る。プラットフォーム412およびパドル416は、X線源424から発出する撮像ビーム422の経路内にある、乳房不動化ユニット20を形成する。例えば、プラットフォーム412が
図3A-3Iに描写される乳房圧迫要素を組み込む場合、放射線検出器、すなわち、画像レセプタ426が、乳房圧迫要素の中空部分の中に組み込まれ得る。ビーム422は、いくつかの実施例では、乳房圧迫要素の少なくとも一部であり得る、筐体414内にある画像レセプタ426に突き当たる。不動化器420および筐体414は、アーム428上に支持される。X線源424は、アーム430上に支持される。マンモグラフィに関して、支持アーム428および430は、本システムが、各配向でマンモグラム投影画像を撮影することができるように、ユニットとして、CCおよびMLO等の異なる撮像配向の間の430a等における軸を中心として回転することができる。画像レセプタ426は、画像が撮影される間、筐体414に対して定位置に留まる。不動化器420は、アーム428および430の異なる撮像配向への移動のために乳房410を解放する。トモシンセシスに関して、支持アーム428は、定位置に留まり、乳房410を不動化させ、定位置に留まらせる一方で、少なくとも源支持アーム430は、源424を、30a等の軸を中心として不動化器420および乳房410に対して回転させる。本システムは、乳房410に対してビーム422の個別の角度で、乳房410の複数のトモシンセシス投影画像を撮影する。同時に、画像レセプタ426は、源支持アーム430の回転に同期して、乳房プラットフォーム412に対して傾斜されてもよい。傾斜は、源424の回転と同一の角度を通して行われることができるが、ビーム422が複数の画像のそれぞれに関して画像レセプタ426上の実質的に同一の位置に留まるように選択される、異なる角度を通して行われてもよい。傾斜は、軸432aを中心として行われ得るが、これは、画像レセプタ426の画像平面内にある必要はない。筐体414内にもある、または別様にレセプタ426と結合される、傾斜機構434は、傾斜運動において、画像レセプタ426を駆動させることができる。軸430aおよび432aは、
図4Aに示されるように、左右に延在する。トモシンセシス撮像および/またはCT撮像に関して、乳房プラットフォーム412は、水平であり得る、または水平に対してある角度、例えば、マンモグラフィにおける従来のMLO撮像のためのものに類似する配向にあることができる。
図4A-4Bのシステムは、単独で、マンモグラフィシステム、CTシステム、または単独で、トモシンセシスシステム、または複数の形態の撮像を実施することができる「組み合わせ」システムであり得る。そのような組み合わせシステムの実施例が、商標名Selenia Dimensionsとして本明細書の譲受人によって提案されている。
【0035】
本システムが動作されると、画像レセプタ426が、撮像ビーム422による照明に応答して撮像情報を作成し、乳房X線画像を生成するための処理のために、それを画像プロセッサ434に提供する。流体制御ユニット436が、圧迫パドルに接続し、圧迫パドル416の中に暖かい空気を提供し、患者の快適性を増加させる、および/または説明される熱として、パドルを囲繞する可撓性材料を加熱または加圧する。ある実施例では、流体制御ユニット436は、簡易脱着スナップ嵌合接続448を介して接続する。システム制御およびワークステーションユニット438が、本システムの動作を制御し、ユーザと相互作用し、コマンドを受信し、処理された線画像を含む情報を送達する。
【0036】
しかしながら、非平面状の圧迫面を有する圧迫パドルを用いた画像処理は、パドルの形状に起因する付加的な難題を提起する。例えば、非平面状であり、圧迫面上に不均一性を有するパドルの形状に起因して、乳房が、均一な厚さに圧迫されない。故に、湾曲したパドルおよび圧迫された乳房を通過する放射線が、異なるように減衰される。結果として、結果として生じる画像の輝点および不均一性が、生じる。本技術は、湾曲したパドルを使用して減衰の差異を補正するとき、画像の処理のための解決策を提供する。実施例として、
図5Aは、本明細書に説明されるもの、または公開第WO2014/176445号(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)に引用されるもの等の湾曲したパドルを用いて圧迫された乳房の未補正画像を示す。画像から理解され得るように、乳房の上側部分が、通常より暗く見え、特に、胸壁に向かった乳房の中心が、通常より明るく見える。本明細書に議論される画像処理技法を使用することによって、画像が、
図5Bに示される補正画像に補正されることができる。
図5Bの画像から理解され得るように、明るさが、より均一に見え、下層の組織組成が、より容易に判別されることができる。
【0037】
いくつかの実施例では、本技術の画像処理技法は、非平面状の圧迫面を有する特定の湾曲したパドルのための補正マップを生成するステップを伴う。補正マップの生成は、特定の湾曲したパドル形状および撮像システムに関して一度のみ実施される必要があり得る。例えば、同一の補正マップが、特定の湾曲したパドルを使用する所与のタイプの全てのシステムに関して利用されてもよい。いったん補正マップが特定の湾曲したパドルのために生成されると、補正マップは、特定の湾曲したパドルを用いて圧迫された乳房から撮影された未加工画像データまたは画像データセットに適用され、補正画像を生成することができる。補正マップはまた、トモシンセシス撮像、2次元撮像、CT撮像、内外斜位方向撮像、頭尾方向(CC)撮像等の特定の走査構成、またはその組み合わせを含む他の撮像構成および配向のために調節されてもよい。
【0038】
図6Aは、湾曲したパドルのための画像処理に関する補正マップを生成するための方法600を描写する。動作602において、パドルが、水等の液体で充填される。例えば、パドルは、パドルが充填され得るように、中空であり、他の位置の中でもとりわけ、パドルの上部上に開口部を有し得る。例えば、パドルは、パドルの少なくとも上部上に液体を受容するための陥凹部を含んでもよい。陥凹部は、概して開放していてもよい、または陥凹部にアクセスするための部分上に開口部を含んでもよい。陥凹部は、概して、液体が圧迫面に対応する部分を充填し得るように、パドルの上部上にあってもよい。パドルに応じて、パドル内のある接続スロットまたは他の開口が、液体がパドルから外に流動しないように栓がされる必要があり得る。中空ではない湾曲したパドルに関して、パドルが、実質的に放射線透過性の容器内の水に浸漬されてもよい。動作604において、パドルが、検出器に近接する実質的に放射線透過性の表面上に設置される。例えば、パドルは、概して、約4センチメートルの厚さを有するルーサイトブロック上に設置されてもよい。いくつかの実施例では、実質的に放射線透過性の表面が、検出器の撮像エリア全体を被覆する。
【0039】
動作606において、放射X線等の放射線が、充填パドルおよび実質的に放射線透過性の表面を通過する。動作608において、放射線は、次いで、検出器によって検出される。放射線の放出および検出が、標準的な2次元撮像モードの間に生じてもよい。いくつかの実施例では、自動kVモードが、使用されてもよいが、他のモードもまた、好適であり得る。補正マップの較正または生成のために使用される放射線は、スカウト照射、フルマンモグラフィ照射のうちの任意の1つ以上のもの、または1つ以上のトモシンセシス照射であり得る。動作610において、画像または画像データが、検出された放射線から生成される。生成された画像は、湾曲したパドルの形状を示す。動作610において作成された例示的画像が、
図6Bに描写される。
【0040】
動作612において、動作610において作成された画像データから、平均ピクセル値が、決定される。平均ピクセル値は、画像全体を横断して決定されてもよい。動作614において、少なくとも1つの平均ピクセル値に基づいて、補正マップが、生成される。補正マップが、動作612において決定された平均ピクセル値によって、動作610において生成された画像データのピクセル値を除算することによって生成され、正規化された補正マップを生成してもよい。いくつかの実施例では、補正マップが、補正マップを表すための一連の多項式フィットを生成することによってさらに修正される。例えば、補正マップは、行列の要素が検出器の対応するピクセルのための補正値を表す、行列であると見なされてもよい。行列の各要素は、検出器の対応するピクセルの輝度値をスケーリングするための値を含む。同様に、補正マップはまた、ピクセルまたは点の列(x)およびピクセルまたは点の行(y)のセットであると見なされてもよい。そのような実施例では、列(x)毎に、行(y)に沿ったピクセルが、選択される。ピクセルを選択するステップでは、いくつかのピクセルが、選択毎の10個のピクセルによるスキッピング等のスキッピング処理を実施されてもよい。選択されたピクセルに関する値が、次いで、4次多項式等の多項式関数にフィットされる。y値毎に、多項式フィットが、使用され、フィットされた画像またはフィットされた補正マップを生成してもよい。フィットされた補正マップはまた、ボックスカー平均化法等の平均化技法を使用して平滑化されてもよい。加えて、平滑化され、フィットされた補正マップが、ダウンスケーリングされてもよい。いくつかの実施例では、スケーリングは、4の倍数によって行われてもよく、デシメーション(例えば、点をスキッピングする)を使用して行われてもよい。他のスケーリング係数もまた、考えられる。スケーリングされ、平滑化され、かつフィットされた補正マップが、次いで、最終補正マップとして記憶され、画像処理において使用されてもよい。補正マップを多項式にフィットさせることによって、画像の雑音または他の局所的な不規則性が、最終補正マップから、事実上、除去される。いったん補正マップが、生成されると、補正マップが生成された湾曲したパドルを使用して撮像された画像データを補正するために使用されることができる。例えば、
図6Cに示される画像は、
図6Bの画像から生成される補正マップを使用した、
図6Bに示される画像の補正版である。
【0041】
図7は、
図6Aに描写される方法600によって生成されるもの等の補正マップを利用する、湾曲したパドルに関する画像処理のための方法700を描写する。動作702において、画像データが、受信される。画像データは、撮像システムの検出器から受信され得る。動作704において、圧迫パドルと関連付けられる補正マップが、使用され、撮像の間、乳房を圧迫する。いくつかの実施例では、補正マップが、局所的にまたは撮像システムから遠隔に記憶されてもよい。補正マップは、動作702において受信された画像データを補正するステップにおけるその使用に先立って、さらに改変または補正されてもよい。例えば、補正マップは、動作702において受信された画像データに関する画像サイズに基づいて、スケーリングされてもよい。スケーリングは、線形補間技法を使用して、補正マップを現在の画像サイズにアップスケーリングするためであってもよい。補正マップはまた、ボックスカー平均化技法等の平均化技法を使用して平滑化されてもよい。補正マップはまた、圧搾係数を適用することによって修正されてもよい。圧搾係数は、パドル依存性である補正マップに対する調節値である。圧搾係数は、補正マップによって提供される補正の大きさの調節を可能にする。補正マップはまた、投影角およびパドル偏移を補正するために修正されてもよい。そのような補正は、投影角および実際のパドル偏移に応じて補正マップを偏移させる。加えて、補正マップはまた、倍率を補正するために修正されてもよい。例えば、補正マップは、較正の間に使用されるパドル高と比較して、撮像のために使用されるパドル高に基づいて修正されてもよい。例えば、較正方法400の動作604において、4センチメートルのルーサイトブロックブロックが実質的に放射線透過性の表面として使用される実施例では、較正高は、4センチメートルである。高さは、高さを比較するとき、測定が一貫したものである限り、パドル上の任意の点まで測定されてもよい。
【0042】
動作706において、動作702において受信された画像データが、動作704においてアクセスされる補正マップに基づいて補正される。いくつかの実施例では、画像データが、上記に議論される技法に従って修正されるような補正マップに基づいて、補正される。画像データは、ピクセル毎に補正されてもよい。画像は、補正マップによって画像データを乗算または除算することによって補正されてもよい。例えば、画像データの各ピクセルが、補正マップ内の対応するピクセル値によって乗算または除算されてもよい。画像データに対する補正はまた、撮像されている乳房の実際の画像を生成するステップに先立つ、未加工画像データへの補正であってもよい。動作708において、補正画像が、補正された画像データから生成される。乳房CTおよび/またはトモシンセシス技法等を伴ういくつかの実施例では、補正画像は、一連の画像を含む画像データセットの一部であってもよい。補正画像を生成するステップはまた、医師または技師による視認または分析のために、補正画像をディスプレイスクリーンまたは他の媒体上に表示するステップを含んでもよい。
【0043】
いくつかの事例では、胸壁から約2センチメートル等の胸壁近傍の画像エリアに関して、画像データに対するさらなる補正が、所望され得る。例えば、上記の補正が、パドルと接触している乳房の撮像部分に関して良好に機能する間、補正が、パドルに接触していない乳房の部分に対してもさらに改良され得る。乳房がパドルと接触していないとき、乳房とパドルとの間に空隙が、形成される。X線減衰は、したがって、パドルと接触している乳房の部分とパドルに接触していない乳房の部分に関して異なる。パドルと接触していない乳房の部分は、概して、胸壁の近傍に生じる。パドルに接触していない乳房部分を撮像するための付加的な補正は、空域補正(AAC)と称され得る。
【0044】
AACは、乳房の可視化をさらに補助するための、すでに利用されている補正または他の画像処理技法に加えた、さらなる補正であり得る。実施例として、AACは、画像処理において利用される多重スケール画像分解技法および皮膚線検出または補正技法のうちの少なくとも1つに対するさらなる補正であってもよい。例えば、皮膚線補正は、皮膚線近傍の乳房の可視化を改良するために、皮膚の縁近傍のピクセル値を均等化させるために利用されてもよい。AACは、パドルと乳房の間の空隙に起因する輝度の変化を補正するための胸壁近傍の付加的補正であってもよい。実施例として、AACは、ピクセル値と閾値との間の差異に基づいて、補正を利用してもよい。例えば、調整値は、1つ以上の画像分解スケールにおける傾き値によって乗算される、ピクセル値と閾値との間の差異を表す値に基づいてもよい。加えて、傾きは、ピクセルの場所に基づいて、加重係数関数によって表されてもよい。上記の技法によるAAC補正の後、胸壁近傍の小さい局所的垂直エリア内の減衰が、補正され、最終処理画像は、胸壁近傍にわずかに暗いエリア等の不均一性を有するように見えない。
【0045】
図8は、非一貫した圧迫を提供するパドルに関する画像処理のための方法を描写する。例えば、上記に議論される乳房圧迫要素300等の可撓性要素を有するパドルを用いて、各乳房は、同一の様式では圧迫されないであろう。故に、上記に議論される1回限りの較正マップ解決策に加え、付加的な改良が成され得る。例えば、非一貫した圧迫を提供するパドルを用いて撮像された画像に対する補正が、乳房の撮像された画像毎にオンザフライで決定され得る。
【0046】
動作802において、乳房の画像のための画像データが、受信される。画像データは、検出器から受信されてもよい。動作804において、画像データ内のピクセル値が、識別される。いくつかの実施例では、平均ピクセル値もまた、決定され得る。動作806において、画像データ内のピクセル値に基づいて、低周波数補正が、決定される。低周波数補正は、補正マップまたは低周波数関数の形態で生成されてもよい。低周波数補正は、輝度におけるバックグラウンド変動を補正するためのものでありながら、乳房の血管要素または他の組織組成等の画像のより高い詳細要素のいかなるものも不明瞭にしない。動作808において、低周波数補正に基づいて、補正画像が、次いで、生成され得る。
【0047】
図9は、本明細書に議論される走査システムに結合され得る、好適なコンピューティングデバイス1400の一実施例を描写する。コンピューティングデバイス1400は、本実施例のうちの1つ以上のものが実装され得る好適な動作環境である。本動作環境は、走査システムの中に直接組み込まれてもよい、または本明細書に説明される走査システムから離散するが、それからのデータを制御または処理するために使用される、コンピュータシステムの中に組み込まれてもよい。これは、好適な動作環境の一実施例にすぎず、使用または機能性の範囲に関する任意の限定を示唆することを意図するものではない。使用に好適であり得る、他の周知のコンピューティングシステム、環境、および/または構成として、限定ではないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、スマートフォン、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、タブレット等のプログラマブル消費者電子機器、上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む、分散コンピューティング環境、および同等物が挙げられる。
【0048】
その最も基本的な構成では、動作環境1400は、典型的には、少なくとも1つの処理ユニット1402と、メモリ1404とを含む。コンピューティングデバイスの正確な構成およびタイプに応じて、メモリ1404(とりわけ、本明細書に開示される、測定、取得、処理、および視覚表現生成方法を行うための命令を記憶する)は、揮発性(RAM等)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリ等)、またはそれら2つのある組み合わせであることができる。本最も基本的な構成は、
図9に、破線1406によって図示される。さらに、環境1400はまた、限定ではないが、ソリッドステートデバイス、磁気または光ディスク、またはテープを含む、記憶デバイス(可撤性1408および/または非可撤性1410)を含むことができる。同様に、環境1400はまた、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ペン、音声入力等の入力デバイス1414、および/またはディスプレイ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス1416を有することができる。また、環境内に含まれるのは、LAN、WAN、2地点間、Bluetooth(登録商標)、RF等の1つ以上の通信接続1412であることができる。
【0049】
動作環境1400は、典型的には、少なくともある形態のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、処理ユニット1402または動作環境を構成する他のデバイスによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であることができる。限定ではないが、一実施例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備えることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報の記憶のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性の可撤性および非可撤性媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶または他の磁気記憶デバイス、ソリッドステート記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用され得る、任意の他の有形および非一過性媒体を含む。
【0050】
通信媒体は、搬送波または他のトランスポート機構等の変調されたデータ信号において、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを具現化し、任意の情報送達媒体を含む。用語「変調されたデータ信号」とは、その特性セットのうちの1つ以上のものを有する、または信号内の情報をエンコードするような様式で変更される、信号を意味する。限定ではないが、一実施例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続等の有線媒体と、音響、RF、赤外線、および他の無線媒体等の無線媒体とを含む。上記のいずれかの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0051】
動作環境1400は、1つ以上の遠隔コンピュータへの論理接続を使用してネットワーク化された環境内で動作する、単一コンピュータであることができる。遠隔コンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、または他の一般的なネットワークノードであることができ、典型的には、上記の要素およびそのように言及されていないその他のもののうちの多くまたは全部を含む。論理接続は、利用可能な通信媒体によってサポートされる任意の方法を含むことができる。そのようなネットワーク化環境は、病院、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットに一般的である。
【0052】
いくつかの実施例では、本明細書に説明される構成要素は、コンピュータ記憶媒体および他の有形媒体上に記憶され、通信媒体内で伝送されることができる、コンピュータシステム1400によって実行可能なそのようなモジュールまたは命令を備える。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報の記憶のために、任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性の可撤性および非可撤性媒体を含む。上記のいずれかの組み合わせもまた、可読媒体の範囲内に含まれるべきである。いくつかの実施例では、コンピュータシステム1400は、コンピュータシステム1400による使用のための遠隔記憶媒体内にデータを記憶する、ネットワークの一部である。
【0053】
図10は、本明細書に開示される種々のシステムおよび方法が動作し得る、ネットワーク1500のある実施例である。実施例では、クライアントデバイス1502等のクライアントデバイスが、ネットワーク1508を介して、サーバ1504および1506等の1つ以上のサーバと通信してもよい。実施例では、クライアントデバイスは、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、PDA、ネットブック、または
図9におけるコンピューティングデバイス等の任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。実施例では、サーバ1504および1506は、
図9に図示されるコンピューティングデバイス等の任意のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。ネットワーク1508は、クライアントデバイスと1つ以上のサーバ1504および1506との間の通信を促進可能な任意のタイプのネットワークであってもよい。そのようなネットワークの実施例として、限定ではないが、LAN、WAN、セルラーネットワーク、および/またはインターネットが挙げられる。
【0054】
実施例では、本明細書に説明されるデータの処理および方法の実施が、1つ以上のサーバデバイスの使用を用いて成し遂げられ得る。例えば、一実施例では、サーバ1504等の単一のサーバが、本明細書に開示されるデータの処理および方法の実施を補助するために採用されてもよい。クライアントデバイス1502は、ネットワーク1508を介してサーバ1504と相互作用してもよい。さらなる実施例では、クライアントデバイス1502はまた、走査およびデータの処理などの、次いで、サーバ1504および/または1506に提供され得る、本明細書に開示される機能性を実施し得る。
【0055】
代替の実施例では、本明細書に開示される方法は、分散コンピューティングネットワークまたはクラウドネットワークを使用して実施されてもよい。そのような実施例では、本明細書に開示される方法は、サーバ1504および1506等の2つ以上のサーバによって実施されてもよい。特定のネットワークの実施例が、本明細書に開示されるが、当業者は、本明細書に開示されるシステムおよび方法が他のタイプのネットワークおよび/またはネットワーク構成を使用して実施されてもよいことを理解するであろう。さらに、サーバに送信され、サーバから受信されるデータが、暗号化されてもよい。データはまた、局所的およびサーバ上の両方に暗号化された様式で記憶されてもよい。
【0056】
本開示は、本技術のいくつかの実施例を、可能性として考えられる実施例のいくつかのみが示された付随の図面を参照して説明した。しかしながら、他の側面もまた、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が徹底的かつ完全であって、当業者に可能性として考えられる実施例の範囲を完全に伝えるように提供された。
【0057】
具体的な実施例が本明細書に説明されたが、本技術の範囲は、それらの具体的な実施例に限定されない。当業者は、本技術の範囲内の他の実施例または改良を認識するであろう。したがって、具体的構造、作用、または媒体は、例証的実施例としてのみ開示される。本技術による実施例はまた、本明細書に別様に記載されない限り、概して開示されるが、組み合わせとして明示的に例示されないものの要素または構成要素を組み合わせてもよい。本技術の範囲は、以下の請求項およびその中の任意の均等物によって定義される。
【外国語明細書】