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特開2024-94426核粒子を含む顆粒の製造方法、核粒子を含む顆粒、核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び医薬組成物を含む製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094426
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】核粒子を含む顆粒の製造方法、核粒子を含む顆粒、核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び医薬組成物を含む製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20240702BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20240702BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/36
A61K47/32
A61K31/343
A61P25/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073691
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2020025556の分割
【原出願日】2020-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】伊豆井 航
(72)【発明者】
【氏名】野沢 健児
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】木全 崚太
(72)【発明者】
【氏名】吉原 尚輝
(57)【要約】
【課題】造粒物を得るための一般的な造粒方法を用いて核粒子を含む顆粒を製造する方法を提供する。また、その製造方法により製造された核粒子を含む顆粒を提供する。また、その核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び製剤を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る造粒方法は、原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒する。前記造粒液が水であってもよい。また、前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きくてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒することを特徴とする核粒子を含む顆粒の製造方法。
【請求項2】
前記造粒液が水であることを特徴とする請求項1に記載の核粒子を含む顆粒の製造方法。
【請求項3】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の核粒子を含む顆粒の製造方法。
【請求項4】
前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の核粒子を含む顆粒の製造方法。
【請求項5】
攪拌造粒法又は転動流動層造粒法により造粒することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の核粒子を含む顆粒の製造方法。
【請求項6】
核粒子と、前記核粒子の表面に配置された原薬を含むことを特徴とする核粒子を含む顆粒。
【請求項7】
前記原薬を含む層に、添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項8】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項6又は7に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項9】
前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項10】
原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒したことを特徴とする核粒子を含む顆粒。
【請求項11】
前記造粒液が水であることを特徴とする請求項10に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項12】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項10又は11に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項13】
前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項14】
請求項5乃至13の何れか一に記載の核粒子を含む顆粒と、医薬的に許容される1種類以上の添加剤と、を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核粒子を含む顆粒の製造方法及び核粒子を含む顆粒、核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び医薬組成物を含む製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物含有顆粒を調製することは、製剤化における重要な工程の1つであり、原薬の流動性や製剤中の均一性を改善することができる。薬物含有顆粒を調製する方法として、例えば、原薬と賦形剤の混合物に造粒液を噴霧して造粒する方法が知られている。また、薬物含有顆粒を調製する方法として、核粒子を用いた原薬のレイヤリングが知られている。レイヤリングとは、原薬を溶媒に溶解又は分散させた溶液を、核粒子に噴霧することにより、核粒子表面に原薬層を有するレイヤリング顆粒を形成する方法である。
【0003】
例えば、特許文献1には、平均粒子径(D50)が5~50μmの部分アルファー化デンプン又はアルファー化デンプンを薬物層で被覆したレイヤリング顆粒が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1の従来の製造方法では、薬物を溶媒に溶解又は分散させた溶液を核となる粒子に噴霧するため、製造時間が長いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-218322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、従来の製造方法よりも簡便に製造可能な核粒子を含む顆粒の製造方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、その製造方法により製造された核粒子を含む顆粒を提供する。また、本発明の一実施形態は、その核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒する核粒子を含む顆粒の製造方法が提供される。
【0008】
前記造粒液が水であってもよい。
【0009】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであってもよい。
【0010】
前記核粒子の粒子径は、前記原薬の粒子径よりも大きくてもよい。
【0011】
攪拌造粒法又は転動流動層造粒法により造粒してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によると、核粒子と、前記核粒子の表面に配置された原薬を含む顆粒が提供される。
【0013】
前記原薬を含む層に、添加剤をさらに含んでもよい。
【0014】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであってもよい。
【0015】
前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きくてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によると、原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒したことを特徴とする、核粒子を含む顆粒が提供される。
【0017】
前記造粒液が水であってもよい。
【0018】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであってもよい。
【0019】
前記核粒子の粒子径(D50)は、前記原薬の粒子径(D50)よりも大きくてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記何れかの核粒子を含む顆粒と、医薬的に許容される1種類以上の添加剤と、を含むことを特徴とする医薬組成物が提供される。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記医薬組成物を含むことを特徴とする製剤が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態は、造粒物を得るための一般的な造粒方法を用いて、従来の製造方法よりも簡便に製造可能な核粒子を含む顆粒の製造方法を提供することができる。また、本発明の一実施形態は、その製造方法により製造された核粒子を含む顆粒を提供することができる。また、本発明の一実施形態は、その核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物及び製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る核粒子を含む顆粒を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る核粒子を含む顆粒を示す模式図である。
図3】(a)は実施例1の核粒子を含む顆粒の倍率150倍の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示し、(b)は実施例1の核粒子を含む顆粒の倍率300倍のSEM画像を示し、(c)は実施例1の核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の倍率600倍のSEM画像を示す。
図4】(a)は実施例2の核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を示し、(b)は実施例2の核粒子を含む顆粒の倍率300倍のSEM画像を示す。
図5】(a)は実施例3の核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を示し、(b)は実施例3の核粒子を含む顆粒の倍率300倍のSEM画像を示す。
図6】(a)は比較例1の核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を示し、(b)は比較例2の核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を示す。
図7】(a)はシナカルセト塩酸塩のSEM画像を示し、(b)は実施例4の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示し、(c)は実施例5の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示し、(d)は実施例6の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示す。
図8】(a)は実施例4の核粒子を含む顆粒の倍率100倍のSEM画像を示し、(b)は実施例4の核粒子を含む顆粒の倍率1000倍のSEM画像を示し、(c)は実施例4の核粒子を含む顆粒の倍率1000倍のSEM画像を示す。
図9】(a)はメマンチン塩酸塩のSEM画像を示し、(b)は実施例7の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示し、(c)は実施例8の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示し、(d)は比較例4の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示す。
図10】(a)はラメルテオンのSEM画像を示し、(b)は実施例9の核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を示す。
図11】(a)は実施例10の核粒子を含む顆粒の倍率300倍のSEM画像を示し、(b)及び(c)は実施例10の核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の倍率800倍のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係る核粒子を含む顆粒の製造方法及び核粒子を含む顆粒について説明する。なお、本発明の核粒子を含む顆粒の製造方法及び核粒子を含む顆粒は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係る核粒子を含む顆粒を示す模式図であり、1つの核粒子11の表面に複数の原薬19が配置された核粒子を含む顆粒10の断面を示す模式図である。核粒子を含む顆粒10は、核粒子11の表面に、複数の原薬19が付着した構造を有する。なお、核粒子11としては、部分アルファー化デンプン、キサンタンガムやグアーガム等の増粘多糖類、又はカルボキシビニルポリマーを例示することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
また、核粒子11の粒子径(D50)は、原薬19の粒子径(D50)よりも大きいことが好ましい。一実施形態において、核粒子11は、D50が60μm以上250μm以下となる粒子径を有することが好ましい。なお、核粒子11の形状は、球形に特に限定されるものではないが、一実施形態において、核粒子11を口腔内崩壊錠に用いる場合には、核粒子を含む顆粒10に対する、苦みマスキング等のコーティング工程における被覆量を少なくできることから、より球形に近い方が好ましい。
【0027】
核粒子11を含む顆粒10が含有する原薬19は、特には限定されないが、球形の造粒物を得るのが従来困難であった針状結晶や板状結晶の原薬を用いることができる。また、核粒子11の表面に原薬19を配置させるため、一実施形態において、原薬19は、D50<50μmとなる粒子径を有することが好ましく、D50<30μmとなる粒子径を有することがより好ましい。なお、本発明に係る核粒子を含む顆粒10においては、造粒液に対する原薬の溶解性は特には限定されず、造粒液に対して易溶性、可溶性及び難溶性の何れであってもよい。一実施形態において、原薬19には、エスシタロプラムシュウ酸塩、シナカルセト塩酸塩、メマンチン塩酸塩、及びラメルテオンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
[核粒子を含む顆粒の製造方法]
一実施形態によると、核粒子を含む顆粒10は、原薬19及び核粒子11を含む混合物に、核粒子11の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、製造することができる。一実施形態において、造粒液のミスト径(D50)は、核粒子11の粒子径(D50)よりも小さいことが好ましく、核粒子11の粒子径(D50)に対して、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であることが好ましい。一例として、造粒液のミスト径(D50)は、100μm以下であってもよい。また、本明細書において「ミスト」とはスプレーミストのことであり、造粒液を噴射することにより生じる造粒液の微小液滴のことである。
【0029】
一実施形態において、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類、又はカルボキシビニルポリマーを核粒子11として用いる場合、造粒液には、水(精製水)を用いることができる。造粒液としては、核として用いる粒子と親和性のある液体であれば、水以外の造粒液を用いてもよい。
【0030】
一実施形態において、造粒工程は、攪拌造粒法、又は転動流動層造粒法を用いて実施することが可能である。
【0031】
本実施形態に係る造粒方法によると、従来の製造方法よりも簡便に球形又は略球形の核粒子を含む顆粒を提供することができる。
【0032】
[実施形態2]
図2は、本発明の一実施形態に係る核粒子を含む顆粒20を示す模式図である。顆粒20は、1つの核粒子11の表面に複数の原薬19及び複数の添加剤23が配置された核粒子を含む。
【0033】
なお、核粒子11及び原薬19の構成は、核粒子11を含む顆粒10と同様の構成であってもよく、詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施形態に係る核粒子を含む顆粒が含有する添加剤23としては、医薬的に許容される任意の1種類以上の添加剤から選択することができる。例えば、公知の賦形剤、結合剤、滑沢剤又は崩壊剤から選択することができる。核粒子11の表面に原薬19とともに添加剤23を配置させるため、一実施形態において、原薬19は、D50<50μmとなる粒子径を有することが好ましい。
【0035】
賦形剤としては、例えば乳糖水和物、マンニトール、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、エリスリトール、ソルビトール及びマルチトールからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。賦形剤は、核粒子を含む顆粒を100重量%としたときに、0重量%以上99重量%以下含まれてもよい。
【0036】
結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。結合剤は、核粒子を含む顆粒を100重量%としたときに、0重量%以上50重量%以下含まれてもよい。
【0037】
崩壊剤としては、例えばクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン及びバレイショデンプンからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。崩壊剤は、核粒子を含む顆粒を100重量%としたときに、0重量%以上50重量%以下含まれてもよい。
【0038】
滑沢剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。滑沢剤は、核粒子を含む顆粒を100重量%としたときに、0重量%以上25重量%以下含まれてもよい。
【0039】
[核粒子を含む顆粒の製造方法]
一実施形態によると、核粒子を含む顆粒20は、原薬19、添加剤23及び核粒子11を含む混合物に、核粒子11の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、製造することができる。一実施形態において、造粒液のミスト径(D50)は、核粒子11の粒子径(D50)よりも小さいことが好ましく、核粒子11の粒子径(D50)に対して、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であることが好ましい。一例として、造粒液のミスト径(D50)は、100μm以下であってもよい。
【0040】
一実施形態において、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類、又はカルボキシビニルポリマーを核粒子11として用いる場合、造粒液には、水(精製水)を用いることができる。造粒液としては、核として用いる粒子と親和性のある液体であれば、水以外の造粒液を用いてもよい。
【0041】
一実施形態において、造粒工程は、攪拌造粒法、又は転動流動層造粒法を用いて実施することが可能である。
【0042】
本実施形態に係る核粒子を含む顆粒の製造方法によると、従来の製造方法よりも簡便に原薬と1つ以上の添加剤が表面に配置された球形又は略球形の核粒子を含む顆粒を提供することができる。
【0043】
また、実施形態1及び2で説明した本発明の核粒子を含む顆粒の製造方法を用いることにより、薬物を溶媒に溶解又は分散させて核粒子に噴霧する従来のレイヤリング方法に比べて、核粒子を含む顆粒を短時間で得ることができる。従来のレイヤリング方法では、ラボスケールで数時間~1日ほどの製造時間を要していたが、本発明の核粒子を含む顆粒の製造方法では、一実施形態において、30分~1時間程度で核粒子を含む顆粒を得ることができる。一般に、原薬量が多くなるほどレイヤリングに要する時間が長くなる傾向にあり、本発明に係る核粒子を含む顆粒の製造方法は、原薬量が多い顆粒の製造に有利である。
【0044】
さらに、従来のレイヤリング方法では製造時間が長いため、原薬が空気に晒される時間が長くなり、原薬の酸化が進みやすい。しかし本発明の核粒子を含む顆粒の製造方法では、製造時間が短いため、従来のレイヤリング顆粒の製造方法と比べて、原薬の酸化を抑制することができる。特に攪拌造粒法を用いた場合は原薬が空気に晒されにくく、原薬の酸化を抑制することができる。
【0045】
[医薬組成物]
一実施形態において、上述した実施形態1又は2に記載した核粒子を含む顆粒を含む医薬組成物が提供される。例えば、上述した実施形態1又は2に記載した核粒子を含む顆粒と、医薬的に許容される任意の1種類以上の添加剤を混合して、医薬組成物を製造することができる。医薬組成物においては、1種類以上の添加剤は、核粒子を含む顆粒の外部に配置した構成を有する。核粒子を含む顆粒の外部に配置した1種類以上の添加剤としては、例えば、公知の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤から選択することができる。賦形剤としては、例えば乳糖水和物、マンニトール、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、エリスリトール、ソルビトール及びマルチトールからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。
【0046】
崩壊剤としては、例えばクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン及びバレイショデンプンからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。
【0047】
滑沢剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグ
ネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1つ以上を用いることができる。
【0048】
着色剤としては、例えば酸化鉄類(三二酸化鉄等)、酸化チタン、タール色素類及びレーキ色素類からなる群から選択される1つ以上を用いることができる。
【0049】
矯味剤としては、例えばアスパルテーム、スクラロース、サッカリン及びサッカリンナトリウム水和物からなる群から選択される1つ以上を用いることができる。
【0050】
[製剤]
一実施形態において、上述した医薬組成物を含む製剤が提供される。製剤としては、普通錠、口腔内崩壊錠、散剤、カプセル錠等の公知の剤形から選択することができる。
【実施例0051】
[実施例1]
実施例1として、エスシタロプラムシュウ酸塩を原薬として含有する、核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、エスシタロプラムシュウ酸塩(粒子径(D50)が3.0μm)53.2重量%、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)42.6重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L)4.2重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が34%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、33μm未満であった。なお、本明細書において、造粒液のミスト径は、エアロトラック(マイクロトラック・ベル株式会社)に噴霧(測定距離約30cm)したミストの粒子径(D50)とし評価した。得られた核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を図3(a)に示し、倍率300倍のSEM画像を図3(b)に示し、核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の倍率600倍のSEM画像を図3(c)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表1に示す。なお、本明細書において、核粒子を含む顆粒の粒度分布は、レーザー回折・散乱法測定装置(ベックマン・コールター株式会社、LS 13 320)により評価した。また、本明細書において、原薬や核粒子の粒度分布も同様に評価した。
【0052】
[実施例2]
実施例2として、粒子径(D50)が21.0μmのエスシタロプラムシュウ酸塩に変更し、核粒子を含む顆粒を製造した。レイヤリング顆粒を100重量%として、エスシタロプラムシュウ酸塩63.9重量%、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)31.2重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L)5.0重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が23%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、33μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を図4(a)に示し、倍率300倍のSEM画像を図4(b)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表1に示す。
【0053】
[実施例3]
実施例3として、HPCを添加せずに、エスシタロプラムシュウ酸塩の核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、エスシタロプラムシュウ酸塩(粒子径(D50)が3.0μm)60.8重量%及び部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)39.2重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が51%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、33
μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の倍率150倍のSEM画像を図5(a)に示し、倍率300倍のSEM画像を図5(b)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表1に示す。
【0054】
[比較例1]
比較例1として、実施例1と同じ組成で、原薬及び各添加剤を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が35%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、104μmであった。得られた顆粒の倍率150倍のSEM画像を図6(a)に示す。また、得られた顆粒の粒度分布を表1に示す。
【0055】
[比較例2]
比較例2として、実施例1と同じ組成で、原薬及び各添加剤を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が35%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、153μmであった。得られた顆粒の倍率150倍のSEM画像を図6(b)に示す。また、得られた顆粒の粒度分布を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1及び図3(a)~図5(b)の結果より、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とし、核粒子として部分アルファー化デンプンを含有する実施例1~3の製造方法により、エスシタロプラムシュウ酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。また、図3(c)に示した核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の観察結果より、部分アルファー化デンプンの核粒子の表面にエスシタロプラムシュウ酸塩が配置された構造を有することが明らかとなった。一方、表1及び図6(a)及び図6(b)の結果より、造粒液のミスト径が核粒子の粒子径を超えた比較例1及び2においては、通常の造粒物のように、複数の部分アルファー化デンプン粒子やエスシタロプラムシュウ酸塩、その他添加剤を含んだ顆粒となってしまい、エスシタロプラムシュウ酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造することはできなかった。
【0058】
[実施例4]
実施例4として、シナカルセト塩酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、シナカルセト塩酸塩(粒子径(D50)が10μm)50重量%と、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)50重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が56%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、44μmであった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図7(b)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表2に示す。
【0059】
[実施例5]
実施例5として、添加剤として、結晶セルロース、クロスポビドン及びヒドロキシプロピ
ルセルロース(以下、HPCとも称する。)をさらに添加し、シナカルセト塩酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、シナカルセト塩酸塩(粒子径(D50)が10μm)15.5重量%と、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)25.4重量%、結晶セルロース(旭化成、PH-102)56.2重量%、クロスポビドン(BASFジャパン、Kollidon(登録商標)CL-F)2.2重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L) 0.6重量%をハイスピードミキサ(株式会社アーステクニカ、FS25)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が71%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、56μmであった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図7(c)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表2に示す。
【0060】
[実施例6]
実施例6として、シナカルセト塩酸塩、部分アルファー化デンプン及び結晶セルロースの添加量を実施例5から変更し、シナカルセト塩酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、シナカルセト塩酸塩(粒子径(D50)が10μm)46.5重量%と、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)45.1重量%、結晶セルロース(旭化成、PH-102)5.6重量%、クロスポビドン(BASFジャパン、Kollidon(登録商標)CL-F)2.2重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L)0.6重量%をハイスピードミキサ(株式会社アーステクニカ、FS25)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が71%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、56μmであった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図7(d)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表2に示す。
【0061】
[比較例3]
比較例3として、実施例5と同じ組成で、原薬及び各添加剤を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が47%となるようにロートで滴下しながら、造粒した。このとき、造粒液の液滴の径は、約2mm~5mmであった。なお、液滴の径は、エアロトラックでは測定できないため、目測値とした。比較例3の製造方法においては、核粒子を含む顆粒を製造することはできず、粗大粒子と微粉の混合物となった。
【0062】
【表2】
【0063】
図7(a)は、シナカルセト塩酸塩のSEM画像を示す。図8は実施例4の核粒子を含む顆粒のSEM画像を示し、図8(a)は倍率100倍のSEM画像を示し、図8(b)は倍率1000倍のSEM画像を示し、図8(c)は倍率1000倍のSEM画像を示す。表2、図7(b)~図7(d)及び図8(a)~図8(c)の結果より、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とした実施例4~6の製造方法により、板状結晶であるシナカルセト塩酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。また、添加剤として、結晶セルロース、クロスポビドン及びHPCを含有する場合でも、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とした実施例4~6の製造方法により、板状結晶であるシナ
カルセト塩酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。
【0064】
[実施例7]
実施例7として、メマンチン塩酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、メマンチン塩酸塩(粒子径(D50)が8.4μm)39.2重量%、部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)39.2重量%、D-マンニトール(三菱商事フードテック株式会社、マンニットP)7.8重量%、結晶セルロース(旭化成、PH-102)10.2重量%、カルメロースカルシウム(五徳薬品株式会社、E.C.G(登録商標)-505)2.7重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L)0.8重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が43%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、16μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図9(b)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表3に示す。
【0065】
[実施例8]
実施例8として、部分アルファー化デンプンを7.8重量%、D-マンニトールを39.2重量%に変更して、実施例7と同様の製造方法によりメマンチン塩酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。精製水を造粒液として用い、固液比が46%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、14μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図9(c)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表3に示す。
【0066】
[比較例4]
比較例4として、部分アルファー化デンプンを添加せずに造粒した。顆粒を100重量%として、メマンチン塩酸塩(粒子径(D50)が8.4μm)35.1重量%、D-マンニトール(三菱商事フードテック株式会社、マンニットP)52.3重量%、結晶セルロース(旭化成、PH-102)9.5重量%、カルメロースカルシウム(五徳薬品株式会社、E.C.G(登録商標)-505)2.5重量%及びHPC(日本曹達株式会社、L)0.7重量%をハイスピードミキサ(株式会社アーステクニカ、FS25)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が33%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、18μmであった。得られた顆粒の光学顕微鏡像を図9(d)に示す。また、得られた顆粒の粒度分布を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
図9(a)は、メマンチン塩酸塩のSEM画像を示す。表3及び図9(b)~図9(c)の結果より、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とし、核粒子として部分アルファー化デンプンを含有する実施例7~8の製造方法により、針状結晶であるメマンチン塩酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。一方、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とした場合でも部分アルファー化デンプンを含まない比較例4の製造方法では、図9(d)からも明らかなように、未造粒の粒子が多く見られた。
【0069】
[実施例9]
実施例9として、ラメルテオンを原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。核粒子を含む顆粒を100重量%として、ラメルテオン(粒子径(D50)が8.5μm)30重量%と部分アルファー化デンプン(カラコン社、スターチ1500G、粒子径D50:93μm)70重量%を高速撹拌造粒機(深江工業株式会社、FS-GS-5J)に投入して混合し、精製水を造粒液として用い、固液比が58%となるように噴霧しながら、造粒した。このとき、造粒液のミスト径は、16μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の光学顕微鏡像を図10(b)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
図10(a)は、ラメルテオンのSEM画像を示す。表4及び図10(b)の結果より、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とし、核粒子として部分アルファー化デンプンを含有する実施例10の製造方法により、針状結晶又は板状結晶であるラメルテオンを含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。
【0072】
[実施例10]
上述した実施例においては核粒子として部分アルファー化デンプンを用いた例を示した。実施例10として、部分アルファー化デンプンの代わりにキサンタンガムを用いて核粒子を含む顆粒を製造した。部分アルファー化デンプンの代わりにキサンタンガム(CP Kelco社、XANTURAL180、粒子径D50:139μm)42.6重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様の製造方法により、エスシタロプラムシュウ酸塩を原薬として含有する核粒子を含む顆粒を製造した。このとき、造粒液のミスト径は、33μm未満であった。得られた核粒子を含む顆粒の倍率300倍のSEM画像を図11(a)に示し、核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の倍率800倍のSEM画像を図11(b)及び図11(c)に示す。また、得られた核粒子を含む顆粒の粒度分布を表5に示す。なお、表5には、実施例1の粒度分布を再掲する。
【0073】
【表5】
【0074】
表5及び図11(a)の結果より、核粒子をキサンタンガムに変更しても、造粒液のミスト径を核粒子の粒子径以下とした実施例10の製造方法により、エスシタロプラムシュウ酸塩を含む略球形状の核粒子を含む顆粒を製造可能なことが示された。また、図11(b)及び図11(c)に示した核粒子を含む顆粒をメスで切断した断面の観察結果より、キサンタンガムの核粒子の表面にエスシタロプラムシュウ酸塩が配置された構造を有するこ
とが明らかとなった。
【符号の説明】
【0075】
10 核粒子を含む顆粒、11 核粒子、19 原薬、20 核粒子を含む顆粒、
23 添加剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核粒子と、前記核粒子の表面に配置された原薬を含み、
前記原薬は、針状結晶又は板状結晶の原薬であることを特徴とする核粒子を含む顆粒。
【請求項2】
前記原薬を含む層に、添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項3】
前記核粒子は、部分アルファー化デンプン、増粘多糖類及びカルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項1に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項4】
前記核粒子の粒子径(D 50 )は、前記原薬の粒子径(D 50 )よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項5】
前記核粒子の前記粒子径(D 50 )は、60μm以上250μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項6】
前記原薬の前記粒子径(D 50 )は、50μm未満であることを特徴とする請求項5に記載の核粒子を含む顆粒。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一に記載の核粒子を含む顆粒と、医薬的に許容される1種類以上の添加剤と、を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする製剤。