(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094462
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】作業車両、自走式タンクおよび収穫システム
(51)【国際特許分類】
A01D 43/00 20060101AFI20240703BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20240703BHJP
A01D 45/04 20060101ALI20240703BHJP
A01D 41/02 20060101ALI20240703BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A01D43/00
A01B69/00 303Z
A01D45/04
A01D41/02 K
A01D41/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211005
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝文
【テーマコード(参考)】
2B043
2B074
2B075
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AA10
2B043AB15
2B043BA05
2B043BA09
2B043BA10
2B043BB14
2B043ED12
2B043ED16
2B043EE02
2B043EE05
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA13
2B074CH01
2B074GJ07
2B075AA01
2B075AB10
2B075AC07
(57)【要約】
【課題】圃場の作物の収穫を効率良く行う。
【解決手段】ある実施形態による作業車両は、圃場から作物を収穫する収穫装置と、自走可能で且つ収穫装置から収穫物を受け取って貯留可能な複数の自走式タンクと、複数の自走式タンクを搭載可能な車体とを備える。複数の自走式タンクのうちの1つである第1自走式タンクは、車体に定められた位置であって収穫物を受け入れる受け入れ位置で停止して、収穫装置が排出する収穫物を受け入れ、収穫物を受け入れた後は、車体から離脱して、収穫物の搬送先に向けて移動する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から作物を収穫する収穫装置と、
自走可能で且つ前記収穫装置から収穫物を受け取って貯留可能な複数の自走式タンクと、
前記複数の自走式タンクを搭載可能な車体と、
を備え、
前記複数の自走式タンクのうちの1つである第1自走式タンクは、前記車体に定められた位置であって前記収穫物を受け入れる受け入れ位置で停止して、前記収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、作業車両。
【請求項2】
前記第1自走式タンク以外であって且つ前記複数の自走式タンクのうちの少なくとも1つである第2自走式タンクは、前記第1自走式タンクの前記受け入れ位置からの移動に伴い、前記受け入れ位置に移動し、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れる、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第2自走式タンクは、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第1自走式タンクは、前記第1自走式タンクを走行させる走行装置および前記第1自走式タンクの前記走行装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記第1自走式タンクの前記制御装置は、
前記収穫物を受け入れるときは、前記第1自走式タンクが前記受け入れ位置で停止するよう、前記第1自走式タンクの前記走行装置を制御し、
前記収穫物の搬送先に向けて移動させるときは、前記第1自走式タンクが前記車体から離脱して前記搬送先に向けて移動するよう前記第1自走式タンクの前記走行装置を制御する、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第2自走式タンクは、前記第2自走式タンクを走行させる走行装置および前記第2自走式タンクの前記走行装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記第2自走式タンクの前記制御装置は、前記収穫物を受け入れるときは、前記第2自走式タンクが前記受け入れ位置に向けて移動し、前記受け入れ位置で停止するよう、前記第2自走式タンクの前記走行装置を制御する、請求項2に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第2自走式タンクの前記制御装置は、前記収穫物の搬送先に向けて移動させるときは、前記第2自走式タンクが前記車体から離脱して前記搬送先に向けて移動するよう、前記第2自走式タンクの前記走行装置を制御する、請求項3に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第1自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、請求項1に記載の作業車両。
【請求項8】
前記第2自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、請求項3に記載の作業車両。
【請求項9】
前記第1自走式タンクは、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れた後、前記車体上の前記受け入れ位置とは別の位置に移動し、
前記第1自走式タンクの前記別の位置への移動に伴い、前記第2自走式タンクは、前記受け入れ位置に移動する、請求項2に記載の作業車両。
【請求項10】
前記車体は、前記複数の自走式タンクが乗る台を備える、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項11】
前記作業車両は、前記複数の自走式タンクが前記台に対して乗り降りするためのスロープを備える、請求項10に記載の作業車両。
【請求項12】
前記第1および第2自走式タンク以外であって且つ前記複数の自走式タンクのうちの1つである第3自走式タンクは、前記第2自走式タンクの前記受け入れ位置からの移動に伴い、前記受け入れ位置に移動し、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れる、請求項3に記載の作業車両。
【請求項13】
前記第3自走式タンクは、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、請求項12に記載の作業車両。
【請求項14】
前記第3自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、請求項13に記載の作業車両。
【請求項15】
前記複数の自走式タンクのそれぞれは、上方に開口した開口部を有し、前記収穫装置から排出されて落下する前記収穫物を受け取る、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項16】
前記作業車両は、前記作業車両を走行させる走行装置および前記走行装置の動作を制御して前記作業車両を自動運転で走行させる制御装置を備える、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項17】
圃場を走行しながら作物を収穫する作業車両から収穫物を受け取って貯留する自走式タンクであって、
前記自走式タンクを走行させる走行装置と、
前記走行装置の動作を制御して前記自走式タンクを走行させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記自走式タンクを前記作業車両の車体上に移動させ、
前記車体上の前記自走式タンクは、前記作業車両の収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、
前記収穫物を受け入れた後、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記車体から離脱させて前記収穫物の搬送先に向けて移動させる、自走式タンク。
【請求項18】
前記収穫物の搬送先で前記自走式タンクから前記収穫物を排出した後、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記車体の位置に移動させ、
前記車体上で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、請求項17に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作物の収穫に用いられる作業車両、自走式タンクおよび収穫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代農業として、ICT(Information and Communication Technology)およびIoT(Internet of Things)を活用したスマート農業の研究開発が進められている。圃場で使用されるトラクタおよび収穫機などの農業機械の自動化および無人化に向けた研究開発も進められている。例えば、精密な測位が可能なGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位システムを利用して圃場内を自動運転で走行しながら農作業を行う農業機械が実用化されてきている。
【0003】
特許文献1は、圃場の作物を収穫しながら自動運転で走行する収穫機を開示している。収穫機は、圃場内の予め設定された走行経路を走行することで、作物を収穫することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圃場の作物の収穫をより効率良く行うことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある実施形態による作業車両は、圃場から作物を収穫する収穫装置と、自走可能で且つ前記収穫装置から収穫物を受け取って貯留可能な複数の自走式タンクと、前記複数の自走式タンクを搭載可能な車体とを備え、前記複数の自走式タンクのうちの1つである第1自走式タンクは、前記車体に定められた位置であって前記収穫物を受け入れる受け入れ位置で停止して、前記収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する。
【0007】
本開示のある実施形態による自走式タンクは、圃場を走行しながら作物を収穫する作業車両から収穫物を受け取って貯留する自走式タンクであって、前記自走式タンクを走行させる走行装置と、前記走行装置の動作を制御して前記自走式タンクを走行させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記作業車両の車体上に移動させ、前記車体上の前記自走式タンクは、前記作業車両の収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、前記収穫物を受け入れた後、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記車体から離脱させて前記収穫物の搬送先に向けて移動させる。
【0008】
本開示のある実施形態による収穫システムは、圃場を走行しながら作物を収穫する複数の農業機械と、前記複数の農業機械から収穫物を受け取って溜める複数の自走式タンクとを用いる収穫システムであって、前記複数の自走式タンクのうちの移動させる対象となる移動対象自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と、前記複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、前記移動対象自走式タンクの移動先とする農業機械を前記複数の農業機械の中から決定する処理装置を備える。
【0009】
本開示のある実施形態による自走式タンクは、圃場を走行しながら作物を収穫する複数の農業機械のうちの少なくとも一つから収穫物を受け取って溜める自走式タンクであって、前記自走式タンクを走行させる走行装置と、前記走行装置の動作を制御して前記自走式タンクを自動運転で走行させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と、前記複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、前記自走式タンクの移動先とする農業機械を前記複数の農業機械の中から決定し、決定した前記農業機械の位置に前記自走式タンクを移動させる。
【0010】
本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、もしくはコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体、またはこれらの任意の組み合わせによって実現され得る。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、揮発性の記憶媒体を含んでいてもよいし、不揮発性の記憶媒体を含んでいてもよい。装置は、複数の装置で構成されていてもよい。装置が二つ以上の装置で構成される場合、当該二つ以上の装置は、一つの機器内に配置されてもよいし、分離した二つ以上の機器内に分かれて配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクが作業車両の車体に乗った状態で収穫物を受け取って貯留する。これにより、作業車両は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンクに移すことができる。
【0012】
収穫物を貯留した自走式タンクは、作業車両から離脱して収穫物の搬送先に向けて移動する。作業車両本体を収穫物の搬送先(例えば圃場の外周縁部で待機する運搬車等)まで移動させる必要が無い。作業車両の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0013】
作業車両の車体に乗って停止した状態の自走式タンクに収穫物を排出することで、自走式タンクへ収穫物を排出するときに作業車両と自走式タンクとを圃場で並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0014】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、複数の農業機械の中から自走式タンクの移動先とする農業機械を決定する。これにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。例えば、自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械をその自走式タンクの移動先に決定することで、収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による収穫システムの概要を説明するための図である。
【
図5】台の上に三台の自走式タンクが乗った状態の収穫機の例を示す右側面図である。
【
図6】上方に跳ね上げた状態のスロープを示す図である。
【
図7】自走式タンクの例を模式的に示す左側面図である。
【
図10】自走式タンクの構成例を示すブロック図である。
【
図11】管理装置および端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】収穫機および自走式タンクを用いて圃場の作物を収穫する収穫作業を示す図である。
【
図13】収穫作業を行う収穫機および自走式タンクを示す図である。
【
図14】自走式タンクが収穫機の台に乗っている状態を示す図である。
【
図15】所定重量以上の収穫物を貯留した自走式タンクを示す図である。
【
図16】スロープを下る自走式タンクを示す図である。
【
図17】次の自走式タンクが収穫機の台に乗っている状態を示す図である。
【
図18】所定重量以上の収穫物を貯留した自走式タンクを示す図である。
【
図19】スロープを下る自走式タンクを示す図である。
【
図20】他のエリアから戻ってきた自走式タンクが収穫機の台に乗っている状態を示す図である。
【
図21】収穫物を貯蔵する貯蔵庫に移動する自走式タンクを示す図である。
【
図22】複数の収穫機および複数の自走式タンクを用いて複数の圃場の作物を収穫する収穫作業を示す図である。
【
図23】自走式タンクの移動先とする収穫機を複数の収穫機の中から決定する処理の例を示すフローチャートである。
【
図24】自走式タンクの移動先とする収穫機を複数の収穫機の中から決定する処理の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略することがある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明および実質的に同一の構成に関する重複する説明を省略することがある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の機能を有する構成要素については、同一の参照符号を付している。図面に付した符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0017】
以下の実施形態は例示であり、本開示の技術は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態の内容はあくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。また、技術的に矛盾が生じない限りにおいて、一の態様と他の態様とを組み合わせることが可能である。
【0018】
本実施形態の農業機械は、圃場の作物を収穫する機械である。本実施形態の農業機械は、移動しながら収穫作業を行うことが可能な移動型の農業機械(Mobile Agricultural Machine)であり得る。農業機械は、例えば圃場の作物を収穫することが可能な作業車両および農業用移動ロボットである。トラクタのような作業車両と、その作業車両に装着または牽引される作業機(インプルメント)との全体が一つの「農業機械」として機能する場合がある。
【0019】
図1は、本開示の例示的な実施形態による収穫システム1の概要を説明するための図である。
図1に示す収穫システム1は、作業車両100と、自走式タンク200と、端末装置400と、管理装置600とを備える。
【0020】
端末装置400は、作業車両100および自走式タンク200を遠隔で監視するユーザが使用するコンピュータである。管理装置600は、収穫システム1を運営する事業者が管理するコンピュータである。作業車両100、自走式タンク200、端末装置400、および管理装置600は、ネットワーク80を介して互いに通信することができる。
図1には一台の作業車両100が例示されているが、収穫システム1は、複数の作業車両100を含んでいてもよい。
図1には三台の自走式タンク200が例示されているが、自走式タンク200は、二台であってもよいし、四台以上であってもよい。収穫システム1は、他の農業機械を含んでいてもよい。収穫システム1は、作業車両100および自走式タンク200によって実現されてもよい。
【0021】
作業車両100は、例えば収穫機(ハーベスタ)である。以下では、作業車両100が収穫機である場合の例を説明する。
【0022】
本実施形態の収穫機100は、例えばコンバインハーベスタである。収穫機100は、圃場の作物の刈取り、刈取った作物の脱穀、脱穀後の収穫物の排出等を行う。圃場の作物は、稲、麦、トウモロコシ、大豆等の穀物が収穫可能な植物であり得るが、それに限定されない。本実施形態の自走式タンク200は、収穫機100が排出した収穫物を受け取って溜めるタンクであり、走行装置を備え、自身が発生させた動力で走行可能である。本実施形態の自走式タンク200は、収穫機100上に搭載された状態で、収穫機100から収穫物を受け取る。自走式タンク200が、収穫機100上に搭載された状態で収穫機100から収穫物を受け取る動作の詳細は後述する。自走式タンク200は、収穫機100の構成要素であってもよいし、収穫機100とは独立した機械であってもよい。
【0023】
収穫機100および自走式タンク200は、自動運転機能を備える。収穫機100および自走式タンク200は、ユーザによる手動操作によらず、制御装置の働きによって農業機械の移動を制御することができる。制御装置は、移動に必要な操舵、移動速度の調整、移動の開始および停止の少なくとも一つを制御し得る。自動運転中に農作業の動作も自動で制御されてもよい。自動運転よる移動中に、部分的にユーザの指示に基づいて移動してもよい。収穫機100および自走式タンク200は、自動運転モードに加えて、ユーザの手動操作によって移動する手動運転モードで動作してもよい。収穫機100および自走式タンク200は、圃場内に限らず、圃場外(例えば道路)を走行してもよい。
【0024】
収穫機100および自走式タンク200は、GNSS受信機およびLiDARセンサなどの、測位あるいは自己位置推定のために利用される装置を備える。収穫機100および自走式タンク200の制御装置は、収穫機100および自走式タンク200の位置と、目標経路の情報とに基づいて、収穫機100および自走式タンク200を自動で走行させる。収穫機100および自走式タンク200は、圃場外の道(例えば、農道または一般道)を目標経路に沿って自動で走行してもよい。その場合、収穫機100および自走式タンク200は、カメラ、障害物センサおよびLiDARセンサなどのセンシング装置から出力されるデータを活用しながら、道に沿って自動走行を行う。
【0025】
管理装置600は、収穫機100および自走式タンク200による農作業を管理するコンピュータである。管理装置600は、例えば圃場に関する情報をクラウド上で一元管理し、クラウド上のデータを活用して農業を支援するサーバコンピュータであり得る。管理装置600は、例えば、収穫機100および自走式タンク200の作業計画を作成し、その作業計画に従って、収穫機100および自走式タンク200に農作業を実行させる。管理装置600は、例えば、ユーザが端末装置400または他のデバイスを用いて入力した情報に基づいて圃場内の目標経路を生成する。管理装置600は、さらに、収穫機100、自走式タンク200、他の移動体等がLiDARセンサなどのセンシング装置を用いて収集したデータに基づいて、環境地図の生成および編集を行ってもよい。環境地図は、収穫機100および自走式タンク200が移動する環境に存在する物の位置または領域を所定の座標系によって表現したデータである。環境地図を単に地図または地図データと称することがある。環境地図を規定する座標系は、例えば、地球に対して固定された地理座標系などのワールド座標系であり得る。
【0026】
管理装置600は、生成した作業計画、目標経路、および環境地図のデータを収穫機100および自走式タンク200に送信する。収穫機100および自走式タンク200は、それらのデータに基づいて、移動および各種作業を自動で行う。
【0027】
端末装置400は、収穫機100および自走式タンク200から離れた場所にいるユーザが使用するコンピュータである。
図1に示す端末装置400はラップトップコンピュータであるが、これに限定されない。端末装置400は、デスクトップPC(Personal Computer)などの据え置き型のコンピュータであってもよいし、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイル端末でもよい。端末装置400は、収穫機100および自走式タンク200を遠隔監視したり、収穫機100および自走式タンク200を遠隔操作したりするために用いられ得る。例えば、端末装置400は、収穫機100および自走式タンク200のそれぞれが備えるカメラ(撮像装置)が撮影した映像をディスプレイに表示させることができる。端末装置400は、さらに、収穫機100の作業計画(例えば各農作業のスケジュール)を作成するために必要な情報をユーザが入力するための設定画面をディスプレイに表示することもできる。ユーザが設定画面上で必要な情報を入力し送信の操作を行うと、端末装置400は、入力された情報を管理装置600に送信する。管理装置600は、その情報に基づいて作業計画を作成する。端末装置400は、さらに、目標経路を設定するために必要な情報をユーザが入力するための設定画面をディスプレイに表示する機能を備えていてもよい。
【0028】
以下、本実施形態におけるシステムの構成および動作をより詳細に説明する。
【0029】
[1.構成]
図2は、収穫機100の例を模式的に示す左側面図である。
図3は、収穫機100の例を模式的に示す右側面図である。
図4は、収穫機100の例を模式的に示す上面図である。
【0030】
収穫機100は、車体101および走行装置102を備える。例示する走行装置102は、クローラ式の走行装置であるが、タイヤ付き車輪を備える走行装置であってもよい。車体101の上方には、キャビン110が設けられている。
【0031】
収穫機100は、圃場から作物を収穫する収穫装置90を備える。収穫装置90は収穫する作物の種類に応じて様々な形態をとり得る。
図2に示す例では、収穫装置90は、刈取装置103、搬送装置104、脱穀装置105、排出装置107、排藁処理装置108、リール109を備える。
【0032】
走行装置102の前方には、作物を刈り取る刈取装置103が高さ調整可能に設けられている。刈取装置103の上方には、作物の茎部分を起こすリール109が高さ調節可能に設けられている。キャビン110の後方には、脱穀装置105が設けられている。刈取装置103と脱穀装置105との間には、刈り取った作物を搬送する搬送装置104が設けられている。刈取装置103、搬送装置104、リール109の構成および動作は公知であるため、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0033】
脱穀装置105は刈り取られた作物の脱穀を行う。脱穀装置105の後方には、排藁処理装置108が設けられている。排藁処理装置108は、穀粒等の収穫物が取り除かれた後の茎部分等を細かく切断して外部に放出する。
【0034】
車体101は、複数の自走式タンク200が乗ることができる台115を備える。台115は、収穫機100の脱穀装置105の右側方の位置に配置されている。
図5は、台115の上に三台の自走式タンク200が乗った状態の収穫機100の例を示す右側面図である。収穫機100が台115を備えることで、自走式タンク200を収穫機100に安定して乗せることができる。
【0035】
収穫機100は、台115の後部から後方斜め下方向に延びるスロープ171、および台115の右前部から右方斜め下方向に延びるスロープ172を備える。自走式タンク200は、スロープ171、172を走行することで収穫機100に設けられた台115に対して乗り降りすることができる。例えば、自走式タンク200は、収穫機100の後方から収穫機100に近づいてきて、スロープ171を上って台115の上に乗ることできる。例えば、台115に乗っている自走式タンク200は、スロープ172を下ることで台115から降りて収穫機100から離脱することができる。
【0036】
スロープ171、172は、例えば跳ね上げ式スロープであり、スロープ171、172の不使用時および収穫機100の旋回時等のときに上方に跳ね上げておくことができる。
図6は、上方に跳ね上げた状態のスロープ171、172を示す図である。例えば、収穫機100はスロープ171、172を昇降させるアクチュエータ173、174を備え、アクチュエータ173、174を駆動させることで、スロープ171、172を上方へ上げたり下方へ下ろしたりすることができる。
【0037】
自走式タンク200は、穀粒等の脱穀により得られた収穫物を貯留する。脱穀装置105には、脱穀装置105から収穫物を排出する排出装置107が設けられている。筒形状を有する排出装置107の先端部にある排出口117から収穫物は外部に排出される。排出装置107は起伏動作および回動動作が可能であり、排出口117の位置を変更することができる。排出装置107は、例えばスクリューコンベアなどの搬送装置を備え、脱穀装置105内の収穫物を上方へ移動させ、収穫物を排出口117から外部に排出することができる。自走式タンク200は、排出口117から排出される収穫物を受け取って貯留する。
【0038】
本実施形態における収穫機100は、手動運転モードと自動運転モードの両方で動作することができる。自動運転モードにおいて、収穫機100は無人で走行することができる。また、自動運転モードにおいて、収穫機100は圃場の作物を収穫する動作を行いながら無人で走行することができる。
【0039】
図2に示すように、収穫機100は、原動機(エンジン)111と、変速装置(トランスミッション)112とを備える。キャビン110の内部には運転席、操作レバー、操作端末、および操作のためのスイッチ群が設けられている。
【0040】
収穫機100は、収穫機100の周辺の環境をセンシングする少なくとも1つのセンシング装置と、少なくとも1つのセンシング装置から出力されるセンシングデータを処理する制御装置とを備え得る。収穫機100は複数のセンシング装置を備える。センシング装置は、LiDARセンサ125、カメラ126、障害物センサ127であり得る。
【0041】
カメラ126は、例えば収穫機100の前後左右に設けられ得る。カメラ126は、収穫機100の周辺の環境を撮影し、画像データを生成する。カメラ126が取得した画像は、収穫機100に搭載された制御装置に出力され、遠隔監視を行うための端末装置400に送信され得る。また、当該画像は、無人運転時に収穫機100およびその周囲を監視するために用いられ得る。
【0042】
図2に例示するLiDARセンサ125は、収穫機100の前方部および後方部に配置されている。LiDARセンサ125は、収穫機100の側方部にさらに設けられていてもよい。収穫機100は、異なる位置に異なる向きで配置された複数のLiDARセンサを備え得る。LiDARセンサ125は、3D-LiDARセンサであり得るが、2D-LiDARセンサであってもよい。LiDARセンサ125は、収穫機100の周辺の環境をセンシングして、センシングデータを出力する。LiDARセンサ125は、周辺の環境に存在する物体の各計測点までの距離および方向、または各計測点の3次元もしくは2次元の座標値を示すセンサデータを繰り返し出力する。LiDARセンサ125から出力されたセンサデータは、収穫機100の制御装置によって処理される。制御装置は、センサデータと環境地図とのマッチングにより、収穫機100の自己位置推定を行うことができる。制御装置は、さらに、センサデータに基づいて、収穫機100の周辺に存在する障害物などの物体を検出することができる。制御装置は、例えばSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などのアルゴリズムを利用して、環境地図を生成または編集することもできる。
【0043】
図2に例示する障害物センサ127は、収穫機100の側方部に設けられている。障害物センサ127は、他の部位にも配置され得る。例えば、障害物センサ127は、収穫機100の前方部および後方部に設けられてもよい。障害物センサ127は、例えばレーザスキャナまたは超音波ソナーを含み得る。障害物センサ127は、自動走行時に周辺の障害物を検出して収穫機100を停止したり迂回したりするために用いられる。LiDARセンサ125が障害物センサ127の一つとして利用されてもよい。
【0044】
収穫機100は、GNSSユニット120を備える。GNSSユニット120は、GNSS受信機を含む。GNSS受信機は、GNSS衛星からの信号を受信するアンテナと、アンテナが受信した信号に基づいて収穫機100の位置を計算するプロセッサとを備え得る。GNSSユニット120は、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号を受信し、衛星信号に基づいて測位を行う。GNSSは、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、例えばみちびき)、GLONASS、Galileo、およびBeiDouなどの衛星測位システムの総称である。本実施形態におけるGNSSユニット120は、キャビン110の上部に設けられているが、他の位置に設けられていてもよい。
【0045】
GNSSユニット120は、慣性計測装置(IMU)を含み得る。IMUからの信号を利用して位置データを補完することができる。IMUは、収穫機100の傾きおよび微小な動きを計測することができる。IMUによって取得されたデータを用いて、衛星信号に基づく位置データを補完することにより、測位の性能を向上させることができる。
【0046】
収穫機100の制御装置は、GNSSユニット120による測位結果に加えて、カメラ126および/またはLiDARセンサ125などのセンシング装置が取得したセンシングデータを測位に利用してもよい。収穫機100が走行する環境内に特徴点として機能する地物が存在する場合、カメラ126および/またはLiDARセンサ125によって取得されたデータと、予め記憶装置に格納された環境地図とに基づいて、収穫機100の位置および向きを高い精度で推定することができる。カメラ126および/またはLiDARセンサ125が取得したデータを用いて、衛星信号に基づく位置データを補正または補完することで、より高い精度で収穫機100の位置を特定できる。
【0047】
原動機111は、例えばディーゼルエンジンであり得る。ディーゼルエンジンに代えて電動モータが使用されてもよい。変速装置112は、変速によって収穫機100の推進力および移動速度を変化させることができる。変速装置112は、収穫機100の前進と後進とを切り換えることもできる。
【0048】
収穫機100がクローラ式の走行装置102を備える形態では、無限軌道(track)を装着した左車輪および右車輪の回転速度を互いに異ならせたり、それら左車輪および右車輪の回転方向を互いに異ならせたりすることで、収穫機100の走行方向を変化させることができる。収穫機100がタイヤ付き車輪を備える走行装置を備える形態では、収穫機100はパワーステアリング装置を備え、パワーステアリング装置を制御して操舵輪の切れ角(「操舵角」とも称する。)を変化させることにより、収穫機100の走行方向を変化させることができる。
【0049】
図2に示す収穫機100は、有人運転が可能であるが、無人運転のみに対応していてもよい。その場合には、キャビン110、操舵装置および運転席などの、有人運転にのみ必要な構成要素は、収穫機100に設けられていなくてもよい。無人の収穫機100は、自律走行、またはユーザによる遠隔操作によって走行することができる。
【0050】
図7は、自走式タンク200の例を模式的に示す左側面図である。
【0051】
自走式タンク200は、収穫物を貯留するタンク201と、タンク201下部の筐体202に設けられた走行装置203を備える。自走式タンク200は、原動機204、減速機205をさらに備える。例示する走行装置203は、クローラ式の走行装置であるが、タイヤ付き車輪を備える走行装置であってもよい。原動機204、減速機205は、走行装置203に含まれていてもよい。
【0052】
図8は、タンク201の例を模式的に示す斜視図である。タンク201は上方に開口しており、収穫機100の排出装置107から排出されて落下する収穫物を、タンク201の開口部201aから内部に取り込むことができる。
【0053】
自走式タンク200は、自走式タンク200の周辺の環境をセンシングするセンシング装置と、センシング装置から出力されるセンシングデータを処理する制御装置とを備え得る。自走式タンク200は複数のセンシング装置を備える。センシング装置は、LiDARセンサ225、カメラ226、障害物センサ227であり得る。
【0054】
カメラ226は、例えば自走式タンク200の前後左右に設けられ得る。カメラ226は、自走式タンク200の周辺の環境を撮影し、画像データを生成する。カメラ226が取得した画像は、自走式タンク200に搭載された制御装置に出力され、遠隔監視を行うための端末装置400に送信され得る。また、当該画像は、自動運転時に自走式タンク200およびその周囲を監視するために用いられ得る。
【0055】
自走式タンク200は、異なる位置に異なる向きで配置された複数のLiDARセンサを備え得る。
図7に例示するLiDARセンサ225は、自走式タンク200の前後左右に設けられている。LiDARセンサ225は、3D-LiDARセンサであり得るが、2D-LiDARセンサであってもよい。LiDARセンサ225は、自走式タンク200の周辺の環境をセンシングして、センシングデータを出力する。LiDARセンサ225は、周辺の環境に存在する物体の各計測点までの距離および方向、または各計測点の3次元もしくは2次元の座標値を示すセンサデータを繰り返し出力する。LiDARセンサ225から出力されたセンサデータは、自走式タンク200の制御装置によって処理される。制御装置は、センサデータと、環境地図とのマッチングにより、自走式タンク200の自己位置推定を行うことができる。制御装置は、さらに、センサデータに基づいて、自走式タンク200の周辺に存在する障害物などの物体を検出することができる。制御装置は、例えばSLAMなどのアルゴリズムを利用して、環境地図を生成または編集することもできる。
【0056】
図7に例示する障害物センサ227は、自走式タンク200の側方部に設けられている。障害物センサ227は、他の部位にも配置され得る。例えば、障害物センサ227は、自走式タンク200の前方部および後方部に設けられてもよい。障害物センサ227は、例えばレーザスキャナまたは超音波ソナーを含み得る。障害物センサ227は、自動走行時に周辺の障害物を検出して自走式タンク200を停止したり迂回したりするために用いられる。LiDARセンサ225が障害物センサ227の一つとして利用されてもよい。
【0057】
自走式タンク200は、さらに、GNSSユニット220を備える。GNSSユニット220は、GNSS受信機を含む。GNSS受信機は、GNSS衛星からの信号を受信するアンテナと、アンテナが受信した信号に基づいて自走式タンク200の位置を計算するプロセッサとを備え得る。GNSSユニット220は、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号を受信し、衛星信号に基づいて測位を行う。本実施形態におけるGNSSユニット220は、自走式タンク200の前方の上部に設けられているが、他の位置に設けられていてもよい。
【0058】
GNSSユニット220はIMUを含み得、IMUからの信号を利用して位置データを補完することができる。IMUは、自走式タンク200の傾きおよび微小な動きを計測することができる。IMUによって取得されたデータを用いて、衛星信号に基づく位置データを補完することにより、測位の性能を向上させることができる。
【0059】
自走式タンク200の制御装置は、GNSSユニット220による測位結果に加えて、カメラ226および/またはLiDARセンサ225などのセンシング装置が取得したセンシングデータを測位に利用してもよい。自走式タンク200が走行する環境内に特徴点として機能する地物が存在する場合、カメラ226および/またはLiDARセンサ225によって取得されたデータと、予め記憶装置に格納された環境地図とに基づいて、自走式タンク200の位置および向きを高い精度で推定することができる。カメラ226および/またはLiDARセンサ225が取得したデータを用いて、衛星信号に基づく位置データを補正または補完することで、より高い精度で自走式タンク200の位置を特定できる。
【0060】
原動機204は、例えば電動モータであり得る。電動モータに代えて内燃機関が使用されてもよい。減速機205は、原動機204が発生させた回転を減速させて走行装置203に伝達する。減速機205は、自走式タンク200の前進と後進とを切り換えることができてもよい。
【0061】
自走式タンク200がクローラ式の走行装置203を備える形態では、無限軌道を装着した左車輪および右車輪の回転速度を互いに異ならせたり、それら左車輪および右車輪の回転方向を互いに異ならせたりすることで、自走式タンク200の走行方向を変化させることができる。自走式タンク200がタイヤ付き車輪を備える走行装置を備える形態では、自走式タンク200はパワーステアリング装置を備え、パワーステアリング装置を制御して操舵輪の切れ角を変化させることにより、自走式タンク200の走行方向を変化させることができる。自走式タンク200は自動運転で走行するが、ユーザによる遠隔操作によって走行してもよい。
【0062】
図9は、収穫機100の構成例を示すブロック図である。収穫機100は、ネットワーク80を介して、端末装置400および管理装置600と通信することができる。収穫機100と自走式タンク200とは、ネットワーク80を介して通信を行ってもよいし、ネットワーク80を介さずに直接通信を行ってもよい。
【0063】
図9に例示する収穫機100は、GNSSユニット120、LiDARセンサ125、カメラ126、障害物センサ127、操作端末131、操作スイッチ群132、ブザー133、駆動装置140、動力伝達機構141、センサ群150、制御装置160、通信装置190を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。
【0064】
GNSSユニット120は、GNSS受信機121、RTK受信機122、慣性計測装置(IMU)123、処理回路124を備える。センサ群150は、収穫機100の各種状態を検出する。センサ群150は、操作レバーセンサ151、回転センサ152を含む。制御装置160は、プロセッサ161、RAM(Random Access Memory)162、ROM(Read Only Memory)163、記憶装置164、複数の電子制御ユニット(ECU)165から167を備える。自走式タンク200は、駆動装置240と、制御装置260と、通信装置290とを備える。
図9には、収穫機100による自動運転の動作との関連性が相対的に高い構成要素が示されており、それ以外の構成要素の図示は省略されている。
【0065】
GNSSユニット120が備えるGNSS受信機121は、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号を受信し、衛星信号に基づいてGNSSデータを生成する。GNSSデータは、例えばNMEA-0183フォーマットなどの所定のフォーマットで生成される。GNSSデータは、例えば、衛星信号が受信されたそれぞれの衛星の識別番号、仰角、方位角、および受信強度を示す値を含み得る。
【0066】
図9に例示するGNSSユニット120は、RTK(Real Time Kinematic)-GNSSを利用して収穫機100の測位を行う。RTK-GNSSによる測位では、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号に加えて、基準局から送信される補正信号が利用される。基準局は、収穫機100が作業走行を行う圃場の付近(例えば、収穫機100から10km以内の位置)に設置され得る。基準局は、複数のGNSS衛星から受信した衛星信号に基づいて、例えばRTCMフォーマットの補正信号を生成し、GNSSユニット120に送信する。RTK受信機122は、アンテナおよびモデムを含み、基準局から送信される補正信号を受信する。GNSSユニット120の処理回路124は、補正信号に基づき、GNSS受信機121による測位結果を補正する。RTK-GNSSを用いることにより、例えば誤差数cmの精度で測位を行うことが可能である。緯度、経度、および高度の情報を含む位置データが、RTK-GNSSによる高精度の測位によって取得される。GNSSユニット120は、例えば1秒間に1回から10回程度の頻度で、収穫機100の位置を計算する。
【0067】
なお、測位方法はRTK-GNSSに限らず、必要な精度の位置データが得られる任意の測位方法(干渉測位法または相対測位法など)を用いることができる。例えば、VRS(Virtual Reference Station)またはDGPS(Differential Global Positioning System)を利用した測位を行ってもよい。基準局から送信される補正信号を用いなくても必要な精度の位置データが得られる場合は、補正信号を用いずに位置データを生成してもよい。その場合、GNSSユニット120は、RTK受信機122を備えていなくてもよい。
【0068】
RTK-GNSSを利用する場合であっても、基準局からの補正信号が得られない場所(例えば圃場から遠く離れた道路上)では、RTK受信機122からの信号によらず、他の方法で収穫機100の位置が推定される。例えば、LiDARセンサ125および/またはカメラ126から出力されたデータと、高精度の環境地図とのマッチングによって、収穫機100の位置が推定され得る。
【0069】
IMU123は、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロスコープを備え得る。IMU123は、3軸地磁気センサなどの方位センサを備えていてもよい。IMU123は、モーションセンサとして機能し、収穫機100の加速度、速度、変位、および姿勢などの諸量を示す信号を出力することができる。処理回路124は、衛星信号および補正信号に加えて、IMU123から出力された信号に基づいて、収穫機100の位置および向きをより高い精度で推定することができる。IMU123から出力された信号は、衛星信号および補正信号に基づいて計算される位置の補正または補完に用いられ得る。IMU123は、GNSS受信機121よりも高い頻度で信号を出力する。その高頻度の信号を利用して、処理回路124は、収穫機100の位置および向きをより高い頻度(例えば、10Hz以上)で計測することができる。IMU123に代えて、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロスコープを別々に設けてもよい。IMU123は、GNSSユニット120とは別の装置として設けられていてもよい。
【0070】
カメラ126は、収穫機100の周辺の環境を撮影する撮像装置である。カメラ126は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを備える。カメラ126は、他にも、一つ以上のレンズを含む光学系、および信号処理回路を備え得る。カメラ126は、収穫機100の走行中、収穫機100の周辺の環境を撮影し、画像(例えば動画)のデータを生成する。カメラ126は、例えば、3フレーム/秒(fps: frames per second)以上のフレームレートで動画を撮影することができる。カメラ126によって生成された画像は、例えば遠隔の監視者が端末装置400を用いて収穫機100の周辺の環境を確認するときに利用され得る。カメラ126によって生成された画像は、測位または障害物の検出に利用されてもよい。複数のカメラ126が収穫機100の異なる位置に設けられていてもよいし、単数のカメラが設けられていてもよい。可視光画像を生成する可視カメラと、赤外線画像を生成する赤外カメラとが別々に設けられていてもよい。可視カメラと赤外カメラの両方が監視用の画像を生成するカメラとして設けられていてもよい。赤外カメラは、夜間において障害物の検出にも用いられ得る。
【0071】
障害物センサ127は、収穫機100の周辺に存在する物体を検出する。障害物センサ127は、例えばレーザスキャナまたは超音波ソナーを含み得る。障害物センサ127は、障害物センサ127から所定の距離よりも近くに物体が存在する場合に、障害物が存在することを示す信号を出力する。複数の障害物センサ127が収穫機100の異なる位置に設けられていてもよい。例えば、複数のレーザスキャナと、複数の超音波ソナーとが、収穫機100の異なる位置に配置されていてもよい。障害物センサ127を複数個備えることにより、収穫機100の周辺の障害物の監視における死角を減らすことができる。
【0072】
操作レバーセンサ151は、キャビン110内のユーザによる操作レバーの操作を検出する。操作レバーセンサ151の出力信号は、制御装置160による運転制御に利用される。回転センサ152は、走行装置102の車軸の回転速度、すなわち単位時間あたりの回転数を計測する。回転センサ152は、例えば磁気抵抗素子(MR)、ホール素子、または電磁ピックアップを利用したセンサであり得る。回転センサ152は、例えば、車軸の1分あたりの回転数(単位:rpm)を示す数値を出力する。回転センサ152は、例えば収穫機100の速度を計測するために使用される。
【0073】
ブザー133は、異常を報知するための警告音を発する音声出力装置である。ブザー133は、例えば、自動運転時に、障害物が検出された場合に警告音を発する。ブザー133は、制御装置160によって制御される。
【0074】
駆動装置140は、原動機111、変速装置112等の収穫機100の走行のための駆動に必要な各種の装置を含む。原動機111は、例えばディーゼル機関などの内燃機関を備え得る。駆動装置140は、内燃機関に代えて、あるいは内燃機関とともに、トラクション用の電動モータを備えていてもよい。
【0075】
動力伝達機構141は、原動機111が発生させた動力を、収穫動作を行う各種装置に伝達する。収穫動作を行う装置は、刈取装置103、搬送装置104、脱穀装置105、排出装置107、排藁処理装置108、リール109等である。収穫機100は、これら収穫動作を行う装置の少なくとも一つに動力を供給する動力源(電動モータ等)を原動機111とは別に備えていてもよい。
【0076】
プロセッサ161は、例えば中央演算処理装置(CPU)を含む半導体集積回路であり得る。プロセッサ161は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラによって実現され得る。あるいは、プロセッサ161は、CPUを搭載したFPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Product)、または、これら回路の中から選択される二つ以上の回路の組み合わせによっても実現され得る。プロセッサ161は、ROM163に格納された、少なくとも一つの処理を実行するための命令群を記述したコンピュータプログラムを逐次実行し、所望の処理を実現する。
【0077】
ROM163は、例えば、書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)、または読み出し専用のメモリである。ROM163は、プロセッサ161の動作を制御するプログラムを記憶する。ROM163は、単一の記憶媒体である必要はなく、複数の記憶媒体の集合体であってもよい。複数の記憶媒体の集合体の一部は、取り外し可能なメモリであってもよい。
【0078】
RAM162は、ROM163に格納された制御プログラムをブート時に一旦展開するための作業領域を提供する。RAM162は、単一の記憶媒体である必要はなく、複数の記憶媒体の集合体であってもよい。
【0079】
記憶装置164は、フラッシュメモリまたは磁気ディスクなどの一つ以上の記憶媒体を含む。記憶装置164は、GNSSユニット120、LiDARセンサ125、カメラ126、障害物センサ127、センサ群150、および制御装置160が生成する各種のデータを記憶する。記憶装置164が記憶するデータには、収穫機100が走行する環境内の地図データ(環境地図)、および自動運転のための目標経路のデータが含まれ得る。環境地図は、収穫機100が農作業を行う複数の圃場およびその周辺の道の情報を含む。環境地図および目標経路は、管理装置600のプロセッサによって生成され得る。なお、制御装置160が、環境地図および目標経路を生成または編集する機能を備えていてもよい。制御装置160は、管理装置600から取得した環境地図および目標経路を、収穫機100の走行環境に応じて編集することができる。記憶装置164は、通信装置190が管理装置600から受信した作業計画のデータも記憶する。
【0080】
記憶装置164は、プロセッサ161、ECU165-167に、後述する各種の動作を実行させるコンピュータプログラムも記憶する。そのようなコンピュータプログラムは、記憶媒体(例えば半導体メモリまたは光ディスク等)または電気通信回線(例えばインターネット)を介して収穫機100に提供され得る。そのようなコンピュータプログラムが、商用ソフトウェアとして販売されてもよい。
【0081】
制御装置160は、複数のECU165-167を含む。ECU165は、駆動装置140に含まれる原動機111、変速装置112、および走行装置102等を制御することによって収穫機100の走行速度および旋回動作を制御する。
【0082】
ECU165は、GNSSユニット120、LiDARセンサ125、カメラ126、障害物センサ127、センサ群150、およびプロセッサ161から出力されたデータに基づいて、自動運転を実現するための演算および制御を行う。例えば、ECU165は、GNSSユニット120、カメラ126、およびLiDARセンサ125の少なくとも1つから出力されたデータに基づいて、収穫機100の位置を特定する。圃場内においては、ECU165は、GNSSユニット120から出力されたデータのみに基づいて収穫機100の位置を決定してもよい。ECU165は、LiDARセンサ125および/またはカメラ126が取得したデータに基づいて収穫機100の位置を推定または補正してもよい。LiDARセンサ125および/またはカメラ126が取得したデータを利用することにより、測位の精度をさらに高めることができる。例えば、ECU165は、LiDARセンサ125および/またはカメラ126から出力されるデータと、環境地図とのマッチングにより、収穫機100の位置を推定してもよい。自動運転中、ECU165は、推定された収穫機100の位置に基づいて、目標経路に沿って収穫機100が走行するために必要な演算を行う。
【0083】
ECU166は、記憶装置164に格納された作業計画に基づいて収穫機100の移動先を決定し、収穫機100の移動の開始地点から目的地点までの目標経路を決定し得る。ECU166は、LiDARセンサ125、カメラ126および障害物センサ127から出力されたデータに基づいて、収穫機100の周辺に位置する物体を検出する処理を行ってもよい。
【0084】
ECU167は、上述の収穫動作を行う各種装置に所望の動作を実行させるために、動力伝達機構141等の動作を制御する。
【0085】
これらのECUの働きにより、制御装置160は、自動運転および作物の収穫動作を実現する。自動運転時において、制御装置160は、計測または推定された収穫機100の位置と、目標経路とに基づいて、駆動装置140を制御する。これにより、制御装置160は、収穫機100を目標経路に沿って走行させることができる。
【0086】
制御装置160に含まれる複数のECUは、例えばCAN(Controller Area Network)などのビークルバス規格に従って、相互に通信することができる。CANに代えて、車載イーサネット(登録商標)などの、より高速の通信方式が用いられてもよい。
図9において、ECU165から167のそれぞれは、個別のブロックとして示されているが、これらのそれぞれの機能が、複数のECUによって実現されていてもよい。ECU165から167の少なくとも一部の機能を統合した車載コンピュータが設けられていてもよい。制御装置160は、ECU165から167以外のECUを備えていてもよく、機能に応じて任意の個数のECUが設けられ得る。各ECUは、一つ以上のプロセッサを含む処理回路を備える。プロセッサ161は、制御装置160が含むECUのいずれかと統合されていてもよい。
【0087】
通信装置190は、自走式タンク200、端末装置400、および管理装置600と通信を行う回路を含む装置である。通信装置190は、自走式タンク200の通信装置290との間で無線通信を行う回路を含む。これにより、自走式タンク200に所望の動作を実行させたり、自走式タンク200から情報を取得したりすることができる。通信装置190は、さらに、ネットワーク80を介した信号の送受信を、端末装置400および管理装置600のそれぞれの通信装置との間で実行するためのアンテナおよび通信回路を含み得る。ネットワーク80は、例えば、3G、4Gもしくは5Gなどのセルラー移動体通信網およびインターネットを含み得る。通信装置190は、収穫機100の近くにいる監視者が使用する携帯端末と通信する機能を備えていてもよい。そのような携帯端末との間では、Wi-Fi(登録商標)、3G、4Gもしくは5Gなどのセルラー移動体通信、またはBluetooth(登録商標)などの、任意の無線通信規格に準拠した通信が行われ得る。
【0088】
操作端末131は、収穫機100の走行および自走式タンク200の動作に関する操作をユーザが実行するための端末であり、バーチャルターミナル(VT)とも称される。操作端末131は、タッチスクリーンなどの表示装置、および/または一つ以上のボタンを備え得る。表示装置は、例えば液晶または有機発光ダイオード(OLED)などのディスプレイであり得る。ユーザは、操作端末131を操作することにより、例えば自動運転モードのオン/オフの切り替え、環境地図の記録または編集、目標経路の設定などの種々の操作を実行することができる。これらの操作の少なくとも一部は、操作スイッチ群132を操作することによっても実現され得る。操作端末131は、収穫機100から取り外せるように構成されていてもよい。収穫機100から離れた場所にいるユーザが、取り外された操作端末131を操作して収穫機100の動作を制御してもよい。ユーザは、操作端末131の代わりに、端末装置400などの、必要なアプリケーションソフトウェアがインストールされたコンピュータを操作して収穫機100の動作を制御してもよい。
【0089】
図10は、自走式タンク200の構成例を示すブロック図である。自走式タンク200は、ネットワーク80を介して、端末装置400および管理装置600と通信することができる。
【0090】
図10に例示する自走式タンク200は、GNSSユニット220、LiDARセンサ225、カメラ226、障害物センサ227、ブザー233、駆動装置240、センサ群250、制御装置260、通信装置290を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。
【0091】
GNSSユニット220は、GNSS受信機221、RTK受信機222、IMU223、処理回路224を備える。センサ群250は、自走式タンク200の各種状態を検出する。センサ群250は、回転センサ252、荷重センサ256を含む。制御装置260は、プロセッサ261、RAM262、ROM263、記憶装置264、電子制御ユニット(ECU)265および266を備える。
図10には、自走式タンク200による自動運転の動作との関連性が相対的に高い構成要素が示されており、それ以外の構成要素の図示は省略されている。
【0092】
GNSSユニット220が備えるGNSS受信機221は、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号を受信し、衛星信号に基づいてGNSSデータを生成する。
【0093】
図10に例示するGNSSユニット220は、RTK-GNSSを利用して自走式タンク200の測位を行う。RTK-GNSSを用いることにより、例えば誤差数cmの精度で測位を行うことが可能である。緯度、経度、および高度の情報を含む位置データが、RTK-GNSSによる高精度の測位によって取得される。GNSSユニット220は、例えば1秒間に1回から10回程度の頻度で、自走式タンク200の位置を計算する。
【0094】
なお、測位方法はRTK-GNSSに限らず、必要な精度の位置データが得られる任意の測位方法(干渉測位法または相対測位法など)を用いることができる。例えば、VRSまたはDGPSを利用した測位を行ってもよい。基準局から送信される補正信号を用いなくても必要な精度の位置データが得られる場合は、補正信号を用いずに位置データを生成してもよい。その場合、GNSSユニット220は、RTK受信機222を備えていなくてもよい。
【0095】
RTK-GNSSを利用する場合であっても、基準局からの補正信号が得られない場所(例えば圃場から遠く離れた道路上)では、RTK受信機222からの信号によらず、他の方法で自走式タンク200の位置が推定される。例えば、LiDARセンサ225および/またはカメラ226から出力されたデータと、高精度の環境地図とのマッチングによって、自走式タンク200の位置が推定され得る。
【0096】
IMU223は、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロスコープを備え得る。IMU223は、3軸地磁気センサなどの方位センサを備えていてもよい。IMU223は、モーションセンサとして機能し、自走式タンク200の加速度、速度、変位、および姿勢などの諸量を示す信号を出力することができる。処理回路224は、衛星信号および補正信号に加えて、IMU223から出力された信号に基づいて、自走式タンク200の位置および向きをより高い精度で推定することができる。IMU223から出力された信号は、衛星信号および補正信号に基づいて計算される位置の補正または補完に用いられ得る。IMU223は、GNSS受信機221よりも高い頻度で信号を出力する。その高頻度の信号を利用して、処理回路224は、自走式タンク200の位置および向きをより高い頻度(例えば、10Hz以上)で計測することができる。IMU223に代えて、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロスコープを別々に設けてもよい。IMU223は、GNSSユニット220とは別の装置として設けられていてもよい。
【0097】
カメラ226は、自走式タンク200の周辺の環境を撮影する撮像装置である。カメラ226は、例えば、CCDまたはCMOSなどのイメージセンサを備える。カメラ226は、他にも、一つ以上のレンズを含む光学系、および信号処理回路を備え得る。カメラ226は、自走式タンク200の走行中、自走式タンク200の周辺の環境を撮影し、画像(例えば動画)のデータを生成する。カメラ226は、例えば、3(fps)以上のフレームレートで動画を撮影することができる。カメラ226によって生成された画像は、例えば遠隔の監視者が端末装置400を用いて自走式タンク200の周辺の環境を確認するときに利用され得る。カメラ226によって生成された画像は、測位または障害物の検出に利用されてもよい。複数のカメラ226が自走式タンク200の異なる位置に設けられていてもよいし、単数のカメラが設けられていてもよい。可視光画像を生成する可視カメラと、赤外線画像を生成する赤外カメラとが別々に設けられていてもよい。可視カメラと赤外カメラの両方が監視用の画像を生成するカメラとして設けられていてもよい。赤外カメラは、夜間において障害物の検出にも用いられ得る。
【0098】
障害物センサ227は、自走式タンク200の周辺に存在する物体を検出する。障害物センサ227は、例えばレーザスキャナまたは超音波ソナーを含み得る。複数の障害物センサ227が自走式タンク200の異なる位置に設けられていてもよい。例えば、複数のレーザスキャナと、複数の超音波ソナーとが、自走式タンク200の異なる位置に配置されていてもよい。障害物センサ227を複数個備えることにより、自走式タンク200の周辺の障害物の監視における死角を減らすことができる。
【0099】
回転センサ252は、走行装置203の車軸の回転速度、すなわち単位時間あたりの回転数を計測する。回転センサ252は、例えば磁気抵抗素子(MR)、ホール素子、または電磁ピックアップを利用したセンサであり得る。回転センサ252は、例えば、車軸の1分あたりの回転数(単位:rpm)を示す数値を出力する。回転センサ252は、例えば自走式タンク200の速度を計測するために使用される。
【0100】
荷重センサ256は、収穫物を溜めるタンク201の下部に設けられ、タンク201内の収穫物の重量を検出する。タンク201内の収穫物の重量を検出することで、制御装置260は、タンク201内の収穫物の貯留状態を認識することができる。
【0101】
ブザー233は、異常を報知するための警告音を発する音声出力装置である。ブザー233は、例えば、自動運転時に、障害物が検出された場合に警告音を発する。ブザー233は、制御装置260によって制御される。
【0102】
駆動装置240は、原動機204、減速機205等の収穫機100の走行のための駆動に必要な各種の装置を含む。駆動装置240は、複数の原動機204を備えていてもよい。
【0103】
プロセッサ261は、例えば中央演算処理装置(CPU)を含む半導体集積回路であり得る。ROM263は、例えば、書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)、または読み出し専用のメモリである。RAM262は、ROM263に格納された制御プログラムをブート時に一旦展開するための作業領域を提供する。プロセッサ261、RAM262、ROM263の構成の詳細は、プロセッサ161、RAM162、ROM163と同様であるため、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0104】
記憶装置264は、フラッシュメモリまたは磁気ディスクなどの一つ以上の記憶媒体を含む。記憶装置264は、GNSSユニット220、LiDARセンサ225、カメラ226、障害物センサ227、センサ群250、および制御装置260が生成する各種のデータを記憶する。記憶装置264が記憶するデータには、自走式タンク200が走行する環境内の地図データ(環境地図)、および自動運転のための目標経路のデータが含まれ得る。環境地図は、自走式タンク200が作業を行う複数の圃場およびその周辺の道の情報を含む。環境地図および目標経路は、管理装置600のプロセッサによって生成され得る。なお、制御装置260が、環境地図および目標経路を生成または編集する機能を備えていてもよい。制御装置260は、管理装置600から取得した環境地図および目標経路を、自走式タンク200の走行環境に応じて編集することができる。記憶装置264は、通信装置290が管理装置600から受信した作業計画のデータも記憶する。
【0105】
記憶装置264は、プロセッサ261、ECU265、266に、後述する各種の動作を実行させるコンピュータプログラムも記憶する。そのようなコンピュータプログラムは、記憶媒体(例えば半導体メモリまたは光ディスク等)または電気通信回線(例えばインターネット)を介して自走式タンク200に提供され得る。そのようなコンピュータプログラムが、商用ソフトウェアとして販売されてもよい。
【0106】
制御装置260は、ECU265、266を含む。ECU265は、駆動装置240に含まれる原動機204、減速機205等を制御することによって自走式タンク200の走行速度および旋回動作を制御する。
【0107】
ECU265は、GNSSユニット220、カメラ226、障害物センサ227、LiDARセンサ225、センサ群250、およびプロセッサ261から出力されたデータに基づいて、自動運転を実現するための演算および制御を行う。例えば、ECU265は、GNSSユニット220、カメラ226、およびLiDARセンサ225の少なくとも1つから出力されたデータに基づいて、自走式タンク200の位置を特定する。圃場内においては、ECU265は、GNSSユニット220から出力されたデータのみに基づいて自走式タンク200の位置を決定してもよい。ECU265は、カメラ226および/またはLiDARセンサ225が取得したデータに基づいて自走式タンク200の位置を推定または補正してもよい。カメラ226および/またはLiDARセンサ225が取得したデータを利用することにより、測位の精度をさらに高めることができる。例えば、ECU265は、LiDARセンサ225および/またはカメラ226から出力されるデータと、環境地図とのマッチングにより、自走式タンク200の位置を推定してもよい。自動運転中、ECU265は、推定された自走式タンク200の位置に基づいて、目標経路に沿って自走式タンク200が走行するために必要な演算を行う。
【0108】
ECU266は、記憶装置264に格納された作業計画に基づいて自走式タンク200の移動先を決定し、自走式タンク200の移動の開始地点から目的地点までの目標経路を決定し得る。ECU266は、LiDARセンサ225、カメラ226、障害物センサ227から出力されたデータに基づいて、自走式タンク200の周辺に位置する物体を検出する処理を行ってもよい。
【0109】
これらECU265、266の働きにより、制御装置260は、自動運転を実現する。自動運転時において、制御装置260は、計測または推定された自走式タンク200の位置と、目標経路とに基づいて、駆動装置240を制御する。これにより、制御装置260は、自走式タンク200を目標経路に沿って走行させることができる。
【0110】
制御装置260に含まれる複数のECUは、例えばCANなどのビークルバス規格に従って、相互に通信することができる。CANに代えて、車載イーサネット(登録商標)などの、より高速の通信方式が用いられてもよい。
図10において、ECU265、266のそれぞれは、個別のブロックとして示されているが、これらのそれぞれの機能が、複数のECUによって実現されていてもよい。ECU265、266の少なくとも一部の機能を統合したコンピュータが設けられていてもよい。制御装置260は、ECU265、266以外のECUを備えていてもよく、機能に応じて任意の個数のECUが設けられ得る。各ECUは、一つ以上のプロセッサを含む処理回路を備える。プロセッサ261は、制御装置260が含むECUのいずれかと統合されていてもよい。
【0111】
通信装置290は、収穫機100、端末装置400、および管理装置600と通信を行う回路を含む装置である。通信装置290は、収穫機100の通信装置190との間で無線通信を行う回路を含む。これにより、収穫機100に所望の動作を実行させたり、収穫機100から情報を取得したりすることができる。通信装置290は、さらに、ネットワーク80を介した信号の送受信を、端末装置400および管理装置600のそれぞれの通信装置との間で実行するためのアンテナおよび通信回路を含み得る。通信装置290は、自走式タンク200の近くにいる監視者が使用する携帯端末と通信する機能を備えていてもよい。そのような携帯端末との間では、Wi-Fi(登録商標)、3G、4Gもしくは5Gなどのセルラー移動体通信、またはBluetooth(登録商標)などの、任意の無線通信規格に準拠した通信が行われ得る。
【0112】
次に、
図11を参照しながら、管理装置600および端末装置400の構成を説明する。
図11は、管理装置600および端末装置400のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0113】
管理装置600は、記憶装置650と、プロセッサ660と、ROM670と、RAM680と、通信装置690とを備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。管理装置600は、収穫機100および自走式タンク200が実行する圃場における農作業のスケジュール管理を行い、管理するデータを活用して農業を支援するクラウドサーバとして機能し得る。ユーザは、端末装置400を用いて作業計画の作成に必要な情報を入力し、その情報を、ネットワーク80を介して管理装置600にアップロードすることが可能である。管理装置600は、その情報に基づき、農作業のスケジュール、すなわち作業計画を作成することができる。管理装置600は、さらに、環境地図の生成または編集を実行することができる。環境地図は、管理装置600の外部のコンピュータから配信されてもよい。
【0114】
通信装置690は、ネットワーク80を介して収穫機100、自走式タンク200、端末装置400と通信するための通信モジュールである。通信装置690は、例えば、IEEE1394(登録商標)またはイーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した有線通信を行うことができる。通信装置690は、Bluetooth(登録商標)規格もしくはWi-Fi規格に準拠した無線通信、または、3G、4Gもしくは5Gなどのセルラー移動体通信を行ってもよい。
【0115】
プロセッサ660は、例えば中央演算処理装置(CPU)を含む半導体集積回路であり得る。ROM670は、例えば、書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)、または読み出し専用のメモリである。RAM680は、ROM670に格納された制御プログラムをブート時に一旦展開するための作業領域を提供する。プロセッサ660、ROM670、RAM680の構成の詳細は、プロセッサ161、ROM163、RAM162と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0116】
記憶装置650は、主としてデータベースのストレージとして機能する。記憶装置650は、例えば、磁気記憶装置または半導体記憶装置であり得る。記憶装置650は、管理装置600とは独立した装置であってもよい。例えば、記憶装置650は、管理装置600にネットワーク80を介して接続される記憶装置、例えばクラウドストレージであってもよい。
【0117】
端末装置400は、入力装置420と、表示装置430と、記憶装置450と、プロセッサ460と、ROM470と、RAM480と、通信装置490とを備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続される。入力装置420は、ユーザからの指示をデータに変換してコンピュータに入力するための装置である。入力装置420は、例えば、キーボード、マウス、またはタッチパネルであり得る。表示装置430は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであり得る。プロセッサ460、ROM470、RAM480、記憶装置450、および通信装置490のそれぞれに関する説明は、収穫機100、自走式タンク200、管理装置600のハードウェア構成例において記載したとおりであり、それらの説明を省略する。
【0118】
[2.動作]
次に、収穫機100および自走式タンク200を用いて圃場の作物を収穫する動作を説明する。
【0119】
図12は、収穫機100および自走式タンク200を用いて圃場70の作物を収穫する収穫作業を示す図である。
図13は、収穫作業を行う収穫機100および自走式タンク200を拡大して示す図である。本実施形態の収穫機100は、圃場70を自動運転で走行しながら作物を収穫する。圃場70内において、収穫機100は、予め設定された目標経路73に沿って走行しながら、作物を収穫する動作を実行する。圃場70内において、収穫機100の測位は、主にGNSSユニット120から出力されるデータに基づいて行われる。GNSSユニット120から出力される測位データに加え、LiDARセンサ125および/またはカメラ126から出力されるデータに基づいて収穫機100の位置を推定してもよい。
【0120】
図12に示す例では、圃場70は、収穫機100が作物の収穫を行う作業領域71と、圃場70の外周縁付近に位置する枕地72とを含む。地図上で圃場70のどの領域が作業領域71および枕地72に該当するかは、ユーザによって事前に設定され得る。収穫機100は、
図12に示すような目標経路73に沿って、作業の開始地点から作業の終了地点まで、自動で走行する。なお、
図12に示す目標経路73は一例に過ぎず、目標経路73の定め方は任意である。目標経路73は、ユーザの操作に基づいて作成されてもよいし、自動で作成されてもよい。目標経路73は、例えば圃場70内の作業領域71の全体をカバーするように作成され得る。
【0121】
収穫機100は、目標経路73に沿って自動運転で走行しながら作物を収穫する。収穫機100のプロセッサ161(
図9)は、ECU165に収穫機100を目標経路73に沿って自動運転で走行させる制御を実行させるとともに、ECU167に作物の収穫動作の制御を実行させる。ECU165は、駆動装置140の動作を制御し、収穫機100を自動運転で走行させる。ECU167は、動力伝達機構141の動作を制御し、作物の収穫動作を行う各種装置に所望の動作を実行させる。刈取装置103は圃場70内の作物を刈り取る。脱穀装置105は刈り取られた作物の脱穀を行う。排藁処理装置108は、穀粒等の収穫物が取り除かれた後の茎部分等を細かく切断して外部に放出する。排出装置107は、脱穀装置105から収穫物を排出する。
【0122】
本実施形態の自走式タンク200は、収穫機100の台115に乗った状態で、排出装置107から排出された収穫物を受け取ってタンク201に溜める。
【0123】
自走式タンク200が収穫機100の台115に乗る動作を説明する。収穫機100と自走式タンク200とは、通信装置190および290を介して互いにデータ通信を行う。収穫機100のプロセッサ161は、GNSSユニット120から取得した収穫機100の位置の地理座標の情報および収穫機100が向いている方向の情報を、通信装置190を介して自走式タンク200に送信する。
【0124】
自走式タンク200のプロセッサ261は、収穫機100の地理座標および向きの情報に基づいて、収穫機100の後方に隣接する位置の地理座標を演算し、その演算した地理座標の位置を目標位置に設定する。走行する収穫機100の位置は変化するため、目標位置は随時更新される。
【0125】
プロセッサ261は、最新の目標位置に到達するように自走式タンク200を走行させる。これにより、収穫機100の後方に隣接する位置に自走式タンク200を到達させることができる。プロセッサ261が自走式タンク200を走行させる制御は、ECU265を介して行われ得る。プロセッサ261は、ECU265を介して走行装置203の動作を制御して自走式タンク200を走行させる。
【0126】
自走式タンク200のLiDARセンサ225が出力する3次元点群データは、複数の点の位置に関する情報および光検出器の受信強度などの情報(属性情報)を含んでいる。複数の点の位置に関する情報は、例えば、点に対応するレーザパルスの出射方向と、LiDARセンサと点との間の距離の情報である。また例えば、複数の点の位置に関する情報は、ローカル座標系における点の座標の情報である。ローカル座標系は、自走式タンク200とともに移動する座標系であり、センサ座標系とも称される。点に対応するレーザパルスの出射方向と、LiDARセンサと点との間の距離とから、各点の座標を算出することができる。
【0127】
プロセッサ261は、センシング装置を用いて収穫機100のスロープ171をセンシングする制御を行う。例えば、LiDARセンサ225を用いてスロープ171をセンシングする。LiDARセンサ225が出力する3次元点群データは、例えば、複数の点それぞれのローカル座標系における座標の情報を含んでいる。
【0128】
プロセッサ261は、例えば、機械学習により生成した推定モデルを用いて、LiDARセンサ225が出力する3次元点群データからスロープ171を表す点群データを特定する。プロセッサ261は、スロープ171を表す点群データに含まれる複数の点のそれぞれの座標の情報を取得する。推定モデルは、記憶装置264に予め記憶されている。
【0129】
プロセッサ261は、自走式タンク200にスロープ171を上るように走行させる。これにより、自走式タンク200は台115の上に乗ることできる。
【0130】
なお、LiDARセンサ225のセンシングデータ以外のセンシングデータを用いて、スロープ171の位置を検出してもよい。例えば、カメラ226が出力したセンシングデータを用いて、スロープ171の位置を検出してもよい。
【0131】
プロセッサ261は、台115上の定められた位置であって、排出口117から排出される収穫物を受け入れる受け入れ位置に自走式タンク200を移動させる。台115上の受け入れ位置は、排出口117から排出される収穫物を受け取り可能な位置であり、例えば排出口117の直下の位置である。その受け入れ位置に別の自走式タンク200が位置しているときは、その別の自走式タンク200の後方の位置で待機する。
【0132】
プロセッサ261は、センシング装置を用いて排出口117をセンシングする制御を行う。例えば、LiDARセンサ225を用いて排出口117をセンシングする。
【0133】
プロセッサ261は、例えば、機械学習により生成した推定モデルを用いて、LiDARセンサ225が出力する3次元点群データから排出口117を表す点群データを特定する。プロセッサ261は、排出口117を表す点群データに含まれる複数の点のそれぞれの座標の情報を取得する。推定モデルは、記憶装置264に予め記憶されている。
【0134】
ローカル座標系におけるタンク201の開口部201aの各部の座標値は、記憶装置264に予め記憶されている。プロセッサ261は、排出口117の座標値と開口部201aの座標値とを比較することで、排出口117の位置が開口部201aの範囲内にあるか否か判断することができる。
【0135】
なお、LiDARセンサ225のセンシングデータ以外のセンシングデータを用いて、排出口117と開口部201aとの位置関係を判断してもよい。例えば、カメラ226が排出口117およびタンク201を撮影して出力したセンシングデータを用いて、排出口117の位置が開口部201aの範囲内にあるか否か判断してもよい。
【0136】
台115上の上記受け入れ位置に自走式タンク200が位置している状態で、排出装置107から収穫物が排出されることで、収穫物をタンク201内に受け入れることができる。
【0137】
収穫機100が収穫物を複数の自走式タンク200に順に連続して移す動作を説明する。
図14は、自走式タンク200の一例である自走式タンク200a、200bが台115に乗っている状態を示す図である。
図14に示す例では、自走式タンク200aは、台115上の収穫物を受け取り可能な受け入れ位置に位置している。自走式タンク200bは、その受け入れ位置の後方に位置している。
【0138】
自走式タンク200aのプロセッサ261は、排出口117の位置が開口部201aの範囲内にある場合、排出装置107からの収穫物の排出を許可することを示す許可情報を、通信装置290を介して収穫機100に送信する。
【0139】
プロセッサ161は、許可情報を受け取ると、ECU167に排出装置107から収穫物を排出させる動作の制御を実行させる。ECU167は、動力伝達機構141の動作を制御し、脱穀装置105内の収穫物を排出装置107に排出させる。排出口117から排出された収穫物はタンク201内に入り、タンク201内に貯留される。
【0140】
排出装置107が排出する収穫物をタンク201が受け取っている間、自走式タンク200aのプロセッサ261は、タンク201内に溜まった収穫物が所定量以上であるか否か判断する。例えば、プロセッサ261は、荷重センサ256が検出したタンク201内の収穫物の重量の値が、所定重量以上であるか否か判断する。所定重量は、例えば、タンク201内に貯留可能な収穫物の最大重量に対する80-100%の大きさであるが、その値に限定されない。
【0141】
タンク201に溜まった収穫物が所定重量未満の間は、収穫物の受け取りを継続する。プロセッサ261は、タンク201内に溜まった収穫物が所定重量以上になったと判断した場合、排出装置107からの収穫物の排出を停止させる停止指令を、通信装置190を介して収穫機100に送信する。プロセッサ161は、停止指令を受け取ると、ECU167に排出装置107からの収穫物の排出を停止させる制御を実行させる。
図15は、所定重量以上の収穫物270を貯留した自走式タンク200aを示す図である。
【0142】
所定重量以上の収穫物270を貯留した自走式タンク200aは、スロープ172を下ることで台115から降りて収穫機100から離脱する。
図16は、スロープ172を下る自走式タンク200aを示す図である。
【0143】
自走式タンク200aのプロセッサ261は、タンク201内に溜まった収穫物270が所定重量以上になると、収穫物270を受け取る受け入れ位置とは別の位置に、自走式タンク200aを移動させる。本実施形態では、台115における受け入れ位置よりも前方の位置に自走式タンク200aを移動させる。台115の前部からは右側方にスロープ172が延びている。
【0144】
プロセッサ261は、自走式タンク200aがスロープ172の方向に走行できるように、自走式タンク200aを方向転換させる。例示する自走式タンク200は、クローラ式の走行装置203を備える。プロセッサ261は、無限軌道を装着した左車輪および右車輪の回転速度を互いに異ならせたり、それら左車輪および右車輪の回転方向を互いに異ならせたりすることで、自走式タンク200を方向転換させることができる。例えば、無限軌道を装着した左車輪および右車輪を同じ回転速度で互いに反対方向に回転させることにより、自走式タンク200を方向転換させる。自走式タンク200がタイヤ付き車輪を備える走行装置203を備える形態では、操舵輪の切れ角を調整して、自走式タンク200を方向転換させることができる。また、台115がターンテーブルを備え、ターンテーブル上に自走式タンク200が乗った状態でターンテーブルを回転させることにより、自走式タンク200を方向転換させてもよい。
【0145】
自走式タンク200aのプロセッサ261は、LiDARセンサ225および/またはカメラ226が出力したセンシングデータを用いてスロープ172の位置を検出し、自走式タンク200aにスロープ172を下るように走行させる。スロープ172を下ることで台115から降りて車体101から離脱することができる。
【0146】
収穫機100から離脱した自走式タンク200aは、自走式タンク200aから収穫物を排出する位置、すなわち収穫物の搬送先まで走行する。例えば、
図12に示すように、圃場70の所定エリア(例えば枕地72)に、自走式タンク200aから収穫物を受け取って貯留する運搬車300が待機している。プロセッサ261は、自走式タンク200aを、運搬車300が待機する位置に到達するように圃場70内を走行させる。
【0147】
自走式タンク200aは、運搬車300または管理装置600から、運搬車300の位置の地理座標の情報を受け取る。プロセッサ261は、運搬車300の地理座標の位置を目標位置に設定する。プロセッサ261は、その目標位置に到達するように自走式タンク200aを走行させる。これにより、自走式タンク200aは運搬車300の位置に到達することができる。
【0148】
自走式タンク200aから運搬車300へ収穫物を移送する方法については、例えば吸引装置を用いて自走式タンク200aのタンク201内の収穫物を吸引し、吸引した収穫物を運搬車300の荷台に排出することで収穫物の移送を行うことができる。また、タンク201が開閉可能な排出口を備え、その排出口からタンク201の外部へ収穫物を排出してもよい。
【0149】
タンク201内の収穫物の排出を完了すると、プロセッサ261は、自走式タンク200aを収穫機100の位置に再び移動させる。プロセッサ261は、収穫機100の地理座標および向きの情報に基づいて、収穫機100の後方に隣接する位置を目標位置に設定し、目標位置に到達するように自走式タンク200aを走行させる。これにより、収穫機100のスロープ171を上がることが可能な位置に自走式タンク200aを到達させることができる。
【0150】
再び
図16を参照して、自走式タンク200bの動作を説明する。台115の上記受け入れ位置で収穫物を貯留した自走式タンク200aが、台115におけるその受け入れ位置よりも前方の位置に移動するのに伴い、
図16に示すように、自走式タンク200aの後方で待機していた自走式タンク200bが、収穫物を受け取る受け入れ位置に移動する。さらに別の自走式タンク200cが、スロープ171を上がってその受け入れ位置の後方に移動する。自走式タンク200cは、自走式タンク200の一例である。
図17は、収穫物270を受け取る受け入れ位置に位置する自走式タンク200b、および自走式タンク200bの後方に位置する自走式タンク200cを示す図である。
【0151】
自走式タンク200bのプロセッサ261は、排出口117の位置が開口部201bの範囲内にある場合、排出装置107からの収穫物270の排出を許可することを示す許可情報を、通信装置290を介して収穫機100に送信する。
【0152】
プロセッサ161は、許可情報を受け取ると、排出装置107から収穫物270を排出させる。排出口117から排出された収穫物270は自走式タンク200bのタンク201内に入り、タンク201内に貯留される。
【0153】
自走式タンク200bのプロセッサ261は、タンク201内に溜まった収穫物270が所定重量以上になったと判断した場合、排出装置107からの収穫物270の排出を停止させる停止指令を、通信装置190を介して収穫機100に送信する。プロセッサ161は、停止指令を受け取ると、排出装置107からの収穫物270の排出を停止させる。
図18は、所定重量以上の収穫物270を貯留した自走式タンク200bを示す図である。
【0154】
所定重量以上の収穫物270を貯留した自走式タンク200bは、収穫物270を受け取る受け入れ位置よりも前方の位置に移動するとともに方向転換を行い、スロープ172を下ることで台115から降りて車体101から離脱する。
図19は、スロープ172を下る自走式タンク200bを示す図である。
【0155】
収穫機100から離脱した自走式タンク200bは、自走式タンク200aと同様に、自走式タンク200bから収穫物の搬送先まで走行する。例えば、自走式タンク200bのプロセッサ261は、自走式タンク200bを、運搬車300が待機する位置に到達するように圃場70内を走行させる。
【0156】
自走式タンク200aと同様に、運搬車300の位置に到達した自走式タンク200bから運搬車300へ収穫物の移送を行う。プロセッサ261は、収穫物の排出を完了した自走式タンク200bを収穫機100の位置に再び移動させる。
【0157】
再び
図19を参照して、台115の上記受け入れ位置で収穫物を貯留した自走式タンク200bが、台115におけるその受け入れ位置よりも前方の位置に移動するのに伴い、
図19に示すように、自走式タンク200bの後方で待機していた自走式タンク200cが、収穫物を受け取る受け入れ位置に移動する。さらに収穫機100の位置まで戻ってきた自走式タンク200aが、スロープ171を上がってその受け入れ位置の後方に移動する。
図20は、収穫物270を受け取る受け入れ位置に位置する自走式タンク200c、および自走式タンク200cの後方に位置する自走式タンク200aを示す図である。
【0158】
自走式タンク200a、200bと同様に、自走式タンク200cは、排出装置107の排出口117から排出される収穫物270を受け取る。所定重量以上の収穫物270を貯留した自走式タンク200cは、収穫物270を受け取る受け入れ位置よりも前方の位置に移動するとともに方向転換を行い、スロープ172を下ることで台115から降りて車体101から離脱する。
【0159】
収穫機100から離脱した自走式タンク200cは、自走式タンク200a、200bと同様に、自走式タンク200cから収穫物の搬送先まで走行する。例えば、自走式タンク200cのプロセッサ261は、自走式タンク200cを、運搬車300が待機する位置に到達するように圃場70内を走行させる。
【0160】
自走式タンク200a、200bと同様に、運搬車300の位置に到達した自走式タンク200cから運搬車300へ収穫物の移送を行う。自走式タンク200cのプロセッサ261は、収穫物の排出を完了した自走式タンク200cを収穫機100の位置に再び移動させる。
【0161】
台115の上記受け入れ位置で収穫物を貯留した自走式タンク200cが、台115におけるその受け入れ位置よりも前方の位置に移動するのに伴い、自走式タンク200cの後方で待機していた自走式タンク200aが、収穫物を受け取る受け入れ位置に移動する。さらに収穫機100の位置まで戻ってきた自走式タンク200bが、スロープ171を上がってその受け入れ位置の後方に移動する。自走式タンク200aは、排出装置107の排出口117から排出される収穫物を再び受け取る。
【0162】
自走式タンク200aの収穫物の受け取りに続いて、自走式タンク200bは、排出装置107の排出口117から排出される収穫物を再び受け取る。収穫機100の位置まで戻ってきた自走式タンク200cも、スロープ171を上がって自走式タンク200bの後方で待機する。自走式タンク200bの収穫物の受け取りに続いて、自走式タンク200cは、排出装置107の排出口117から排出される収穫物を再び受け取ることができる。
【0163】
本実施形態によれば、自走式タンク200が収穫機100に乗った状態で収穫物を受け取って貯留する。これにより、収穫機100は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンク200に移すことができる。
【0164】
収穫物を貯留した自走式タンク200は、収穫機100から離脱して圃場70を自動運転で走行する。収穫機100内に溜まった収穫物を圃場70の外周縁部で待機する運搬車300等に移すために、収穫機100をその運搬車300等の待機位置まで走行させる必要が無い。収穫機100の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0165】
収穫機100が収穫物を複数の自走式タンク200に順に連続して移すことで、収穫機100からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0166】
収穫機100に乗った状態の自走式タンク200に収穫物を排出することで、自走式タンク200へ収穫物を排出するときに収穫機100と自走式タンク200とを並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0167】
上記の説明では、収穫機100から三台の自走式タンク200a、200b、200cに収穫物を移していたが、収穫機100から収穫物を受け取る自走式タンク200の台数は二台であってもよいし、四台以上であってもよい。収穫機100が収穫物を複数の自走式タンク200に順に連続して移すことで、収穫機100からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0168】
収穫機100から離脱した自走式タンク200が収穫物を排出する位置は、運搬車300の位置以外であってもよい。例えば、自走式タンク200が収穫物を排出する位置は、収穫物を貯蔵する建造物の位置であってもよい。
【0169】
図21は、収穫物を貯蔵する貯蔵庫78に移動する自走式タンク200を示す図である。圃場70から貯蔵庫78に移動するための目標経路77は予め設定されている。目標経路77は、例えば自走式タンク200の記憶装置264に予め記憶されている。プロセッサ261は、目標経路77に沿って自走式タンク200を自動で走行させる。
【0170】
自走式タンク200が貯蔵庫78に到着すると、タンク201内の収穫物は貯蔵庫78に移される。タンク201が空になった自走式タンク200は、目標経路77と同じ経路に沿って、圃場70内の収穫機100の位置まで走行してもよい。これにより、自走式タンク200は、収穫機100から収穫物を再び受け取ることができる。
【0171】
上述した例では、収穫機100は、スロープ171、172を備えていたが、スロープ172のみを備えていてもよい。この場合、スロープ172は、台115の右前部から右後部に亘る右側部全体から、右方斜め下方向に延びる。スロープ172は、前後方向に長い形状を有するため、
図5に示すような前後方向に並ぶ複数の自走式タンク200のそれぞれがスロープ172を通って台115に対して乗り降りすることができる。排出装置107は起伏動作および回動動作が可能であり、排出口117の位置を変更することができる。台115の上で前後方向に並ぶ複数の自走式タンク200のうちの収穫物を移そうとする自走式タンク200の開口部201aの位置に、排出口117を移動させることで、その自走式タンク200に収穫物を移すことができる。排出口117の位置を変更することで、台115の上で前後方向に並ぶ複数の自走式タンク200に順に収穫物を移すことができる。収穫物を受け取った自走式タンク200は、スロープ172を下ることで台115から降りて収穫機100から離脱することができる。タンク201が空の別の自走式タンク200がスロープ172を上がって台115上の空いたスペースに収まることができる。
【0172】
次に、複数の収穫機100および複数の自走式タンク200を用いて圃場70の作物を収穫する動作を説明する。この例では、複数の自走式タンク200のそれぞれは、複数の収穫機100から収穫物を受け取ることが可能である。
【0173】
図22は、複数の収穫機100および複数の自走式タンク200を用いて複数の圃場70の作物を収穫する収穫作業を示す図である。この例では、自走式タンク200の移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する。
図23は、自走式タンク200の移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する処理の一例を示すフローチャートである。
図22に示す収穫機100a-100fは、収穫機100の一例である。
図22に示す自走式タンク200a-200hは、自走式タンク200の一例である。
図23に示す処理は主に管理装置600のプロセッサ660が行うが、端末装置400のプロセッサ460または自走式タンク200のプロセッサ261が行ってもよい。これらのプロセッサが協働してこれらの処理を行ってもよい。
【0174】
複数の収穫機100のそれぞれのプロセッサ161は、GNSSユニット120から取得した収穫機100の位置の地理座標の情報および収穫機100が向いている方向の情報を、通信装置190を介して管理装置600に送信する。複数の自走式タンク200のそれぞれのプロセッサ261は、GNSSユニット220から取得した自走式タンク200の位置の地理座標の情報を、通信装置290を介して管理装置600に送信する。管理装置600のプロセッサ660は、これらの地理座標の情報を受け取ることで、複数の収穫機100および複数の自走式タンク200それぞれの位置を示す位置情報を取得することができる。
【0175】
複数の自走式タンク200のそれぞれのプロセッサ261は、荷重センサ256が検出したタンク201内の収穫物の重量を示す重量情報を、通信装置290を介して管理装置600に送信する。管理装置600のプロセッサ660は、重量情報に基づいて複数の自走式タンク200それぞれのタンク201の空き状況を確認することができる。
【0176】
まず、プロセッサ660は、複数の自走式タンク200のうちの移動させる対象となる移動対象自走式タンク200を決定する(ステップS101)。移動対象自走式タンク200は、例えば収穫物を新たに収容可能な空き容量がある自走式タンク200である。
【0177】
例えば、プロセッサ660は、収穫物を新たに収容可能な空き容量が第1所定量以上である自走式タンク200を、複数の自走式タンク200の中から選択する。第1所定量は、例えば、タンク201内に貯留可能な収穫物の最大重量に対する50-100%の大きさであるが、その値に限定されない。プロセッサ660は、既に収容している収穫物の量が第2所定量未満である自走式タンク200を、複数の自走式タンク200の中から選択してもよい。第2所定量は、例えば、タンク201内に貯留可能な収穫物の最大重量に対する30-50%の大きさであるが、その値に限定されない。プロセッサ660は、このような条件を満たす一台以上の自走式タンク200を移動対象自走式タンク200として選択する。
【0178】
収穫物を新たに収容可能な空き容量がある自走式タンク200を選択し、その選択した自走式タンク200を収穫機100の位置に移動させることにより、収穫機100が収穫した収穫物の自走式タンク200への移送を効率良く行うことができる。
【0179】
一例として、プロセッサ660は、自走式タンク200aおよび200dを移動対象自走式タンク200として選択する。自走式タンク200aは、運搬車300へ収穫物を移した直後の自走式タンクである。自走式タンク200dは、貯蔵庫78へ収穫物を移した直後の自走式タンクである。
【0180】
まず、自走式タンク200aの移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する処理を説明する。プロセッサ660は、自走式タンク200aの位置の地理座標の情報を、自走式タンク200aの位置を示す自走式タンク位置情報として取得する(ステップS102)。また、複数の収穫機100の位置の地理座標の情報を、複数の収穫機100の位置を示す収穫機位置情報として取得する(ステップS103)。
【0181】
プロセッサ660は、自走式タンク位置情報および収穫機位置情報を用いて、自走式タンク200aと複数の収穫機100それぞれとの間の距離を演算する。
【0182】
圃場70および道路76における自走式タンク200が走行可能なエリアは予め決められている。また、圃場70内の作物の収穫済みのエリアは自走式タンク200が走行可能としてもよい。プロセッサ660は、圃場70および道路76における自走式タンク200が走行可能なエリアに、自走式タンク200aから複数の収穫機100それぞれに向かう複数の走行ルートを設定する。プロセッサ660は、その複数の走行ルートそれぞれの距離を演算する。なお、自走式タンク200aと複数の収穫機100それぞれとの間の直線距離を演算してもよい。
【0183】
プロセッサ660は、自走式タンク200aからの距離が大きい収穫機100よりも距離が小さい収穫機100を選択して、その選択した収穫機100を自走式タンク200aの移動先に決定する(ステップS104)。例えば、プロセッサ660は、自走式タンク200aからの距離が最も小さい収穫機100bを、自走式タンク200aの移動先に決定する。移動対象の自走式タンク200からの距離が最も小さい収穫機100をその自走式タンク200の移動先に決定することで、収穫機100が収穫した収穫物の自走式タンク200への移送を効率良く行うことができる。
【0184】
プロセッサ660は、自走式タンク200aを収穫機100bの位置に移動させる指令を、通信装置690を介して自走式タンク200aに送信する。また、プロセッサ660は、自走式タンク200aの移動先に決定したことを示す情報を、通信装置690を介して収穫機100bに送信する。
【0185】
自走式タンク200aのプロセッサ261は、管理装置600から受け取った指令に応じて、収穫機100bの位置に自走式タンク200aを移動させる(ステップS105)。収穫機100bと自走式タンク200aとは、通信装置190および290を介して互いにデータ通信を行う。収穫機100bのプロセッサ161は、GNSSユニット120から取得した収穫機100bの位置の地理座標の情報および収穫機100bが向いている方向の情報を、通信装置190を介して自走式タンク200aに送信する。
【0186】
自走式タンク200aのプロセッサ261は、収穫機100bの地理座標および向きの情報に基づいて、収穫機100bの後方に隣接する位置の地理座標を演算し、その演算した地理座標の位置を目標位置に設定する。走行する収穫機100bの位置は変化するため、目標位置は随時更新される。
【0187】
プロセッサ261は、最新の目標位置に到達するように自走式タンク200aを走行させる。これにより、収穫機100bの後方に隣接する位置に自走式タンク200aを到達させることができる。プロセッサ261は、収穫機100bのスロープ171を上るように自走式タンク200aを走行させる。これにより、自走式タンク200aは、収穫機100bの台115の上に乗ることでき、収穫機100bから収穫物を受け取ることができる。
【0188】
次に、自走式タンク200dの移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する処理を説明する。プロセッサ660は、自走式タンク200dの位置の地理座標の情報を、自走式タンク200dの位置を示す自走式タンク位置情報として取得する(ステップS102)。また、複数の収穫機100の位置の地理座標の情報を、複数の収穫機100の位置を示す収穫機位置情報として取得する(ステップS103)。
【0189】
プロセッサ660は、自走式タンク位置情報および収穫機位置情報を用いて、自走式タンク200dと複数の収穫機100それぞれとの間の距離を演算する。プロセッサ660は、圃場70および道路76における自走式タンク200が走行可能なエリアに、自走式タンク200dから複数の収穫機100それぞれに向かう複数の走行ルートを設定する。プロセッサ660は、その複数の走行ルートそれぞれの距離を演算する。
【0190】
プロセッサ660は、自走式タンク200dからの距離が大きい収穫機100よりも距離が小さい収穫機100を選択して、その選択した収穫機100を自走式タンク200dの移動先に決定する(ステップS104)。例えば、プロセッサ660は、自走式タンク200dからの距離が最も小さい収穫機100cを、自走式タンク200dの移動先に決定する。
【0191】
プロセッサ660は、自走式タンク200dを収穫機100cの位置に移動させる指令を、通信装置690を介して自走式タンク200dに送信する。また、プロセッサ660は、自走式タンク200dの移動先に決定したことを示す情報を、通信装置690を介して収穫機100cに送信する。
【0192】
自走式タンク200dのプロセッサ261は、管理装置600から受け取った指令に応じて、収穫機100cの位置に自走式タンク200dを移動させる(ステップS105)。収穫機100cのプロセッサ161は、GNSSユニット120から取得した収穫機100cの位置の地理座標の情報および収穫機100cが向いている方向の情報を、通信装置190を介して自走式タンク200dに送信する。
【0193】
自走式タンク200dのプロセッサ261は、収穫機100cの地理座標および向きの情報に基づいて、収穫機100cの後方に隣接する位置の地理座標を演算し、その演算した地理座標の位置を目標位置に設定する。走行する収穫機100cの位置は変化するため、目標位置は随時更新される。
【0194】
プロセッサ261は、最新の目標位置に到達するように自走式タンク200dを走行させる。これにより、収穫機100cの後方に隣接する位置に自走式タンク200dを到達させることができる。プロセッサ261は、収穫機100cのスロープ171を上るように自走式タンク200dを走行させる。これにより、自走式タンク200dは、収穫機100cの台115の上に乗ることでき、収穫機100cから収穫物を受け取ることができる。
【0195】
本実施形態によれば、自走式タンク200の位置を示す自走式タンク位置情報と複数の収穫機100の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、複数の収穫機100の中から自走式タンク200の移動先とする収穫機100を決定する。これにより、収穫機100が収穫した収穫物の自走式タンク200への移送を効率良く行うことができる。例えば、自走式タンク200からの距離が大きい収穫機100よりも距離が小さい収穫機100をその自走式タンク200の移動先に決定することで、収穫物の自走式タンク200への移送を効率良く行うことができる。
【0196】
プロセッサ660は、移動対象の自走式タンク200からの距離が所定距離以下の収穫機100を、その自走式タンク200の移動先に決定してもよい。所定距離は、圃場70の広さおよび自走式タンク200の走行可能距離等に応じて適宜設定され得る。これにより、自走式タンク200が遠方の収穫機100に向かうことを抑制し、自走式タンク200から比較的近い位置にある収穫機100に自走式タンク200を向かわせることで、収穫機100から自走式タンク200への収穫物の移送を効率良く行うことができる。
【0197】
二台以上の自走式タンク200を移動対象の自走式タンク200として選択した場合、上述した自走式タンク位置情報は、選択した二台以上の自走式タンク200それぞれの位置を示す情報を含む。プロセッサ660は、自走式タンク位置情報と収穫機位置情報とに基づいて、選択した二台以上の自走式タンク200それぞれの移動先とする一台以上の収穫機100を決定する。条件によっては、二台以上の自走式タンク200の移動先が同じ収穫機100となる場合がある。収穫物を新たに収容可能な容量に余裕がある自走式タンク200を二台以上選択し、その選択した二台以上の自走式タンク200を一台以上の収穫機100の位置に移動させることにより、収穫機100が収穫した収穫物の自走式タンク200への移送を効率良く行うことができる。
【0198】
図24は、自走式タンク200の移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する処理の別の例を示すフローチャートである。この例では、プロセッサ660は、自走式タンク200を新たに乗せることが可能な一台以上の収穫機100を複数の収穫機100の中から選択する。そして、プロセッサ660は、その選択した一台以上の収穫機100の中から、移動対象の自走式タンク200の移動先とする収穫機100を決定する。
【0199】
複数の収穫機100のそれぞれのプロセッサ161は、台115上の自走式タンク200が乗るスペースの空き状況を示す空き状況情報を、通信装置190を介して管理装置600に送信する。プロセッサ161は、例えば、カメラ126および/またはLiDARセンサ125から出力されるセンサデータを用いて、台115上の自走式タンク200が乗るスペースの空き状況を確認することができる。管理装置600のプロセッサ660は、空き状況情報に基づいて複数の自走式タンク200それぞれの台115上のスペースの空き状況を確認することができる。
【0200】
図24に示すステップS101およびS102の処理は、
図23に示すステップS101およびS102の処理と同じである。ここでは、自走式タンク200aの移動先とする収穫機100を決定するとする。プロセッサ660は、取得した空き状況情報に基づいて、自走式タンク200aを新たに乗せることが可能な一台以上の収穫機100を複数の収穫機100の中から選択する(ステップS110)。プロセッサ660は、ステップS110で選択した一台以上の収穫機100の位置の地理座標の情報を収穫機位置情報として取得する(ステップS111)。プロセッサ660は、自走式タンク位置情報および収穫機位置情報を用いて、自走式タンク200aと、選択した一台以上の収穫機100それぞれとの間の距離を演算する。ステップS112およびS113の処理は、
図23に示すステップS104およびS105の処理と同じである。
【0201】
自走式タンク200を新たに乗せることが可能な収穫機100を、自走式タンク200の移動先として決定する。これにより、自走式タンク200を新たに乗せることができない収穫機100に自走式タンク200を移動させることを抑制できる。
【0202】
上述の説明では、移動対象の自走式タンク200の移動先とする収穫機100を管理装置600が決定していたが、自走式タンク200自身が、移動先とする収穫機100を決定してもよい。
【0203】
複数の収穫機100のそれぞれのプロセッサ161は、GNSSユニット120から取得した収穫機100の位置の地理座標の情報および収穫機100が向いている方向の情報を、通信装置190を介して自走式タンク200に送信する。自走式タンク200のプロセッサ261は、複数の収穫機100の地理座標の情報を受け取ることで、複数の収穫機100それぞれの位置を示す位置情報を取得することができる。自走式タンク200のプロセッサ261は、GNSSユニット220から取得した自走式タンク200の位置の地理座標の情報を取得する。
【0204】
複数の収穫機100のそれぞれのプロセッサ161は、台115上の自走式タンク200が乗るスペースの空き状況を示す空き状況情報を、通信装置190を介して自走式タンク200に送信する。自走式タンク200のプロセッサ261は、空き状況情報に基づいて複数の自走式タンク200それぞれの台115上のスペースの空き状況を確認することができる。
【0205】
自走式タンク200は、自身の移動先とする収穫機100を複数の収穫機100の中から決定する。プロセッサ261は、自走式タンク200の位置の地理座標の情報を、自走式タンク200の位置を示す自走式タンク位置情報として取得する。また、複数の収穫機100の位置の地理座標の情報を、複数の収穫機100の位置を示す収穫機位置情報として取得する。
図22-
図24を用いて説明した管理装置600のプロセッサ660が行う処理を、自走式タンク200のプロセッサ261が行うことで、自走式タンク200の移動先の収穫機100を決定するとともに、その収穫機100の位置に自走式タンク200を移動させることができる。
【0206】
なお、圃場70で作業を行う複数の収穫機100のうちの一台が何らかの事情で作業を長時間停止する場合がある。その収穫機100には、タンク201の容量の途中まで収穫物を貯留した自走式タンク200が乗っている場合がある。そのような自走式タンク200を、その収穫機100から離脱させ、別の収穫機100の位置に向かわせてもよい。自走式タンク200は、その別の収穫機100から収穫物を新たに受け取ることで、収穫作業を効率良く行うことができる。
【0207】
本実施形態の収穫システム1は、それらの機能を有しない農業機械に後から取り付けることもできる。そのようなシステムは、農業機械とは独立して製造および販売され得る。そのようなシステムで使用されるコンピュータプログラムも、農業機械とは独立して製造および販売され得る。コンピュータプログラムは、例えばコンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納されて提供され得る。コンピュータプログラムは、電気通信回線(例えばインターネット)を介したダウンロードによっても提供され得る。
【0208】
上述した収穫システム1は、収穫機100および自走式タンク200によって実現されてもよい。
【0209】
収穫システム1においてプロセッサ161および261が実行する処理の一部または全部は、他の装置によって実行されてもよい。そのような他の装置は、管理装置600のプロセッサ660、端末装置400のプロセッサ460および操作端末131の少なくとも一つであってもよい。その場合、そのような他の装置のプロセッサが収穫システム1の制御装置および処理装置に含まれ得る。
【0210】
以上のように、本開示は、以下に記載の作業車両、自走式タンクおよび収穫システムを含む。
【0211】
[項目A1]
圃場から作物を収穫する収穫装置と、
自走可能で且つ前記収穫装置から収穫物を受け取って貯留可能な複数の自走式タンクと、
前記複数の自走式タンクを搭載可能な車体と、
を備え、
前記複数の自走式タンクのうちの1つである第1自走式タンクは、前記車体に定められた位置であって前記収穫物を受け入れる受け入れ位置で停止して、前記収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、作業車両。
【0212】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクが作業車両の車体に乗った状態で収穫物を受け取って貯留する。これにより、作業車両は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンクに移すことができる。
【0213】
収穫物を貯留した自走式タンクは、作業車両から離脱して収穫物の搬送先に向けて移動する。作業車両本体を収穫物の搬送先(例えば圃場の外周縁部で待機する運搬車等)まで移動させる必要が無い。作業車両の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0214】
作業車両の車体に乗って停止した状態の自走式タンクに収穫物を排出することで、自走式タンクへ収穫物を排出するときに作業車両と自走式タンクとを圃場で並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0215】
[項目A2]
前記第1自走式タンク以外であって且つ前記複数の自走式タンクのうちの少なくとも1つである第2自走式タンクは、前記第1自走式タンクの前記受け入れ位置からの移動に伴い、前記受け入れ位置に移動し、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れる、項目A1に記載の作業車両。
【0216】
収穫装置が第1自走式タンクへの収穫物の排出に続いて第2自走式タンクに収穫物を排出することにより、収穫物を複数の自走式タンクに順に連続して移すことができ、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0217】
[項目A3]
前記第2自走式タンクは、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、項目A2に記載の作業車両。
【0218】
作業車両本体を収穫物の搬送先まで移動させる必要が無い。作業車両の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0219】
[項目A4]
前記第1自走式タンクは、前記第1自走式タンクを走行させる走行装置および前記第1自走式タンクの前記走行装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記第1自走式タンクの前記制御装置は、
前記収穫物を受け入れるときは、前記第1自走式タンクが前記受け入れ位置で停止するよう、前記第1自走式タンクの前記走行装置を制御し、
前記収穫物の搬送先に向けて移動させるときは、前記第1自走式タンクが前記車体から離脱して前記搬送先に向けて移動するよう前記第1自走式タンクの前記走行装置を制御する、項目A1からA3のいずれかに記載の作業車両。
【0220】
これにより、収穫物の受け取りおよび収穫物の搬送先への移動を自動で行うことができる。
【0221】
[項目A5]
前記第2自走式タンクは、前記第2自走式タンクを走行させる走行装置および前記第2自走式タンクの前記走行装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記第2自走式タンクの前記制御装置は、前記収穫物を受け入れるときは、前記第2自走式タンクが前記受け入れ位置に向けて移動し、前記受け入れ位置で停止するよう、前記第2自走式タンクの前記走行装置を制御する、項目A2またはA3に記載の作業車両。
【0222】
これにより、収穫物の受け取りを自動で行うことができる。
【0223】
[項目A6]
前記第2自走式タンクの前記制御装置は、前記収穫物の搬送先に向けて移動させるときは、前記第2自走式タンクが前記車体から離脱して前記搬送先に向けて移動するよう、前記第2自走式タンクの前記走行装置を制御する、項目A3に記載の作業車両。
【0224】
これにより、収穫物の搬送先への移動を自動で行うことができる。
【0225】
[項目A7]
前記第1自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、項目A1からA6いずれかに記載の作業車両。
【0226】
第1自走式タンクが、収穫物を受け入れる受け付け位置に戻って収穫物を再び受け取ることで、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0227】
[項目A8]
前記第2自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、項目A3に記載の作業車両。
【0228】
第2自走式タンクが、収穫物を受け入れる受け付け位置に戻って収穫物を再び受け取ることで、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0229】
[項目A9]
前記第1自走式タンクは、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れた後、前記車体上の前記受け入れ位置とは別の位置に移動し、
前記第1自走式タンクの前記別の位置への移動に伴い、前記第2自走式タンクは、前記受け入れ位置に移動する、項目A2またはA3に記載の作業車両。
【0230】
収穫物を複数の自走式タンクに順に連続して移すことができ、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0231】
[項目A10]
前記車体は、前記複数の自走式タンクが乗る台を備える、項目A1からA9のいずれかに記載の作業車両。
【0232】
これにより、自走式タンクを車体に安定して乗せることができる。
【0233】
[項目A11]
前記作業車両は、前記複数の自走式タンクが前記台に対して乗り降りするためのスロープを備える、項目A10に記載の作業車両。
【0234】
自走式タンクは、スロープを走行することで作業車両に設けられた台に対して乗り降りすることができる。
【0235】
[項目A12]
前記第1および第2自走式タンク以外であって且つ前記複数の自走式タンクのうちの1つである第3自走式タンクは、前記第2自走式タンクの前記受け入れ位置からの移動に伴い、前記受け入れ位置に移動し、前記受け入れ位置で前記収穫物を受け入れる、項目A3に記載の作業車両。
【0236】
収穫装置が第2自走式タンクへの収穫物の排出に続いて第3自走式タンクに収穫物を排出することにより、収穫物を複数の自走式タンクに順に連続して移すことができ、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0237】
[項目A13]
前記第3自走式タンクは、前記収穫物を受け入れた後は、前記車体から離脱して、前記収穫物の搬送先に向けて移動する、項目A12に記載の作業車両。
【0238】
作業車両本体を収穫物の搬送先まで移動させる必要が無い。作業車両の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0239】
[項目A14]
前記第3自走式タンクは、前記収穫物の搬送先で前記収穫物を排出した後、前記車体の位置に移動し、
前記受け入れ位置で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、項目A13に記載の作業車両。
【0240】
第3自走式タンクが、収穫物を受け入れる受け付け位置に戻って収穫物を再び受け取ることで、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0241】
[項目A15]
前記複数の自走式タンクのそれぞれは、上方に開口した開口部を有し、前記収穫装置から排出されて落下する前記収穫物を受け取る、項目A1からA14のいずれかに記載の作業車両。
【0242】
これにより、シンプルな構造で収穫装置から自走式タンクへ収穫物を移すことができる。
【0243】
[項目A16]
前記作業車両は、前記作業車両を走行させる走行装置および前記走行装置の動作を制御して前記作業車両を自動運転で走行させる制御装置を備える、項目A1からA15のいずれかに記載の作業車両。
【0244】
これにより、人間が作業車両を運転して走行させる必要がなく、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0245】
[項目A17]
圃場を走行しながら作物を収穫する作業車両から収穫物を受け取って貯留する自走式タンクであって、
前記自走式タンクを走行させる走行装置と、
前記走行装置の動作を制御して前記自走式タンクを走行させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記自走式タンクを前記作業車両の車体上に移動させ、
前記車体上の前記自走式タンクは、前記作業車両の収穫装置が排出する前記収穫物を受け入れ、
前記収穫物を受け入れた後、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記車体から離脱させて前記収穫物の搬送先に向けて移動させる、自走式タンク。
【0246】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクが作業車両の車体に乗った状態で収穫物を受け取って貯留する。これにより、作業車両は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンクに移すことができる。
【0247】
収穫物を貯留した自走式タンクは、作業車両から離脱して収穫物の搬送先に向けて移動する。作業車両本体を収穫物の搬送先(例えば圃場の外周縁部で待機する運搬車等)まで移動させる必要が無い。作業車両の収穫作業を中断する必要が無く、作物の収穫を効率良く行うことができる。
【0248】
作業車両の車体に乗った状態の自走式タンクに収穫物を排出することで、自走式タンクへ収穫物を排出するときに作業車両と自走式タンクとを圃場で並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0249】
[項目A18]
前記収穫物の搬送先で前記自走式タンクから前記収穫物を排出した後、前記制御装置は、前記自走式タンクを前記車体の位置に移動させ、
前記車体上で前記収穫装置が排出する前記収穫物を再び受け入れる、項目A17に記載の作業車両。
【0250】
自走式タンクが作業車両の車体上に戻って収穫物を再び受け取ることで、収穫装置からの収穫物の排出を効率良く行うことができる。
【0251】
[項目B1]
圃場を走行しながら作物を収穫する複数の農業機械と、前記複数の農業機械から収穫物を受け取って溜める複数の自走式タンクとを用いる収穫システムであって、
前記複数の自走式タンクのうちの移動させる対象となる移動対象自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と、前記複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、前記移動対象自走式タンクの移動先とする農業機械を前記複数の農業機械の中から決定する処理装置を備える、収穫システム。
【0252】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、複数の農業機械の中から自走式タンクの移動先とする農業機械を決定する。これにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。例えば、自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械をその自走式タンクの移動先に決定することで、収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0253】
[項目B2]
前記移動対象自走式タンクは、前記処理装置が決定した移動先である前記農業機械の位置情報を取得し、前記移動先である農業機械の位置に向けて移動する、項目B1に記載の収穫システム。
【0254】
移動先として決定した農業機械に自走式タンクを移動させることにより、収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0255】
[項目B3]
前記処理装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記移動対象自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記移動対象自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械を前記移動対象自走式タンクの移動先に決定する、項目B1またはB2に記載の収穫システム。
【0256】
自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械をその自走式タンクの移動先に決定することで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0257】
[項目B4]
前記処理装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記移動対象自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記移動対象自走式タンクからの距離が所定距離以下の農業機械を、前記移動対象自走式タンクの移動先に決定する、項目B1またはB2に記載の収穫システム。
【0258】
自走式タンクが遠方の農業機械に向かうことを抑制し、自走式タンクから比較的近い位置にある農業機械に自走式タンクを向かわせることで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0259】
[項目B5]
前記処理装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記移動対象自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記移動対象自走式タンクからの距離が最も小さい農業機械を、前記移動対象自走式タンクの移動先に決定する、項目B1またはB2に記載の収穫システム。
【0260】
自走式タンクからの距離が最も小さい農業機械をその自走式タンクの移動先に決定することで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0261】
[項目B6]
前記処理装置は、
前記収穫物を新たに収容可能な空き容量がある自走式タンクを、前記複数の自走式タンクの中から選択し、
選択した前記自走式タンクを前記移動対象自走式タンクに設定する、項目B1からB5のいずれかに記載の収穫システム。
【0262】
収穫物を新たに収容可能な空き容量がある自走式タンクを選択し、その選択した自走式タンクを農業機械の位置に移動させることにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0263】
[項目B7]
前記処理装置は、
前記収穫物を新たに収容可能な空き容量が第1所定量以上、または既に収容している前記収穫物の量が第2所定量未満である自走式タンクを、前記複数の自走式タンクの中から選択し、
選択した前記自走式タンクを前記移動対象自走式タンクに設定する、項目B1からB6のいずれかに記載の収穫システム。
【0264】
収穫物を新たに収容可能な容量に余裕がある自走式タンクを選択し、その選択した自走式タンクを農業機械の位置に移動させることにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0265】
[項目B8]
前記処理装置は、前記収穫物を新たに収容可能な空き容量が第1所定量以上、または既に収容している前記収穫物の量が第2所定量未満である自走式タンクを、前記複数の自走式タンクの中から二台以上選択し、
選択した前記二台以上の自走式タンクのそれぞれを前記移動対象自走式タンクに設定し、
前記自走式タンク位置情報は、選択した前記二台以上の自走式タンクそれぞれの位置を示す情報を含み、
前記処理装置は、前記自走式タンク位置情報と前記農業機械位置情報とに基づいて、選択した前記二台以上の自走式タンクそれぞれの移動先とする一台以上の農業機械を決定する、項目B1またはB2に記載の収穫システム。
【0266】
収穫物を新たに収容可能な容量に余裕がある自走式タンクを二台以上選択し、その選択した二台以上の自走式タンクを一台以上の農業機械の位置に移動させることにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0267】
[項目B9]
前記複数の自走式タンクのそれぞれは、前記農業機械に乗った状態で前記農業機械が排出する前記収穫物を受け取る、項目B1からB8のいずれかに記載の収穫システム。
【0268】
自走式タンクが農業機械に乗った状態で収穫物を受け取って貯留することにより、農業機械は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンクに移すことができる。
【0269】
農業機械に乗った状態の自走式タンクに収穫物を排出することで、自走式タンクへ収穫物を排出するときに農業機械と自走式タンクとを並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0270】
[項目B10]
前記処理装置は、
前記自走式タンクを新たに乗せることが可能な一台以上の農業機械を前記複数の農業機械の中から選択し、
選択した前記一台以上の農業機械の中から、前記移動対象自走式タンクの移動先とする農業機械を決定する、項目B9に記載の収穫システム。
【0271】
自走式タンクを新たに乗せることが可能な農業機械を、自走式タンクの移動先として決定する。これにより、自走式タンクを新たに乗せることができない農業機械に自走式タンクを移動させることを抑制できる。
【0272】
[項目B11]
前記処理装置は、
前記複数の農業機械のそれぞれの前記自走式タンクが乗るスペースの空き状況を示す空き状況情報を取得し、
前記空き状況情報に基づいて、前記自走式タンクを新たに乗せることが可能な一台以上の農業機械を前記複数の農業機械の中から選択する、項目B10に記載の収穫システム。
【0273】
自走式タンクを新たに乗せることが可能な農業機械を、自走式タンクの移動先として決定することができる。
【0274】
[項目B12]
前記処理装置は、前記移動対象自走式タンクに設けられている、項目B1からB11のいずれかに記載の収穫システム。
【0275】
移動させる対象となる自走式タンクが単独で移動先とする農業機械を決定することができる。
【0276】
[項目B13]
圃場を走行しながら作物を収穫する複数の農業機械のうちの少なくとも一つから収穫物を受け取って溜める自走式タンクであって、
前記自走式タンクを走行させる走行装置と、
前記走行装置の動作を制御して前記自走式タンクを自動運転で走行させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と、前記複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、前記自走式タンクの移動先とする農業機械を前記複数の農業機械の中から決定し、
決定した前記農業機械の位置に前記自走式タンクを移動させる、自走式タンク。
【0277】
本開示のある実施形態によれば、自走式タンクの位置を示す自走式タンク位置情報と複数の農業機械の位置を示す農業機械位置情報とに基づいて、複数の農業機械の中から自走式タンクの移動先とする農業機械を決定する。これにより、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。例えば、自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械を自走式タンクの移動先に決定することで、収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0278】
[項目B14]
前記制御装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械を前記自走式タンクの移動先に決定する、項目B13に記載の自走式タンク。
【0279】
自走式タンクからの距離が大きい農業機械よりも距離が小さい農業機械を自走式タンクの移動先に決定することで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0280】
[項目B15]
前記制御装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記自走式タンクからの距離が所定距離以下の農業機械を、前記自走式タンクの移動先に決定する、項目B13に記載の自走式タンク。
【0281】
自走式タンクが遠方の農業機械に向かうことを抑制し、自走式タンクから比較的近い位置にある農業機械に自走式タンクを向かわせることで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0282】
[項目B16]
前記制御装置は、
前記自走式タンク位置情報および前記農業機械位置情報に基づいて、前記自走式タンクと前記複数の農業機械のそれぞれとの間の距離を演算し、
前記自走式タンクからの距離が最も小さい農業機械を、前記自走式タンクの移動先に決定する、項目B13からB15のいずれかに記載の自走式タンク。
【0283】
自走式タンクからの距離が最も小さい農業機械を自走式タンクの移動先に決定することで、農業機械が収穫した収穫物の自走式タンクへの移送を効率良く行うことができる。
【0284】
[項目B17]
前記自走式タンクは、前記農業機械に乗った状態で前記農業機械が排出する前記収穫物を受け取る、項目B13からB16のいずれかに記載の自走式タンク。
【0285】
自走式タンクが農業機械に乗った状態で収穫物を受け取って貯留することにより、農業機械は、作物の収穫を行いながら収穫物を自走式タンクに移すことができる。
【0286】
農業機械に乗った状態の自走式タンクに収穫物を排出することで、自走式タンクへ収穫物を排出するときに農業機械と自走式タンクとを並走させる制御を行う必要が無くなり、収穫作業の制御をシンプルにすることができる。
【0287】
[項目B18]
前記制御装置は、
前記自走式タンクを新たに乗せることが可能な一台以上の農業機械を前記複数の農業機械の中から選択し、
前記選択した一台以上の農業機械の中から、前記自走式タンクの移動先とする農業機械を決定する、項目B17に記載の自走式タンク。
【0288】
自走式タンクを新たに乗せることが可能な農業機械を、自走式タンクの移動先として決定する。これにより、自走式タンクを新たに乗せることができない農業機械に自走式タンクを移動させることを抑制できる。
【0289】
[項目B19]
前記制御装置は、
前記複数の農業機械のそれぞれの前記自走式タンクが乗るスペースの空き状況を示す空き状況情報を取得し、
前記空き状況情報に基づいて、前記自走式タンクを新たに乗せることが可能な一台以上の農業機械を前記複数の農業機械の中から選択する、項目B18に記載の自走式タンク。
【0290】
自走式タンクを新たに乗せることが可能な農業機械を、自走式タンクの移動先として決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0291】
本開示の技術は、農業機械の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0292】
1:収穫システム、 70:圃場、 71:作業領域、 72:枕地、 73:目標経路、 76:道路、 77:目標経路、 78:貯蔵庫、 80:ネットワーク、 90:収穫装置、 100:農業機械(作業車両)、 101:車体、 102:走行装置、 103:刈取装置、 104:搬送装置、 105:脱穀装置、 107:排出装置、 108:排藁処理装置、 109:リール、 110:キャビン、 111:原動機(エンジン)、 112:変速装置(トランスミッション)、 115:台、 117:排出口、 120:測位装置(GNSSユニット)、 121:GNSS受信機、 122:RTK受信機、 123:慣性計測装置(IMU)、 124:処理回路、 125:LiDARセンサ、 126:カメラ、 127:障害物センサ、 131:操作端末、 132:操作スイッチ群、 133:ブザー、 140:駆動装置、 141:動力伝達機構、 150:センサ群、 151:操作レバーセンサ、 152:回転センサ、 160:制御装置、 161:プロセッサ、 162:RAM、 163:ROM、 164:記憶装置、 165-167:ECU、 171:スロープ、 172:スロープ、 173:アクチュエータ、 174:アクチュエータ、 190:通信装置、 200:自走式タンク、 201:タンク、 201a:開口部、 202:筐体、 203:走行装置、 204:原動機(電動モータ)、 205:減速機、 220:測位装置(GNSSユニット)、 221:GNSS受信機、 222:RTK受信機、 223:慣性計測装置(IMU)、 224:処理回路、 225:LiDARセンサ、 226:カメラ、 227:障害物センサ、 233:ブザー、 240:駆動装置、 250:センサ群、 252:回転センサ、 256:荷重センサ、 260:制御装置、 261:プロセッサ、 262:RAM、 263:ROM、 264:記憶装置、 265、266:ECU、 270:収穫物、 290:通信装置、 400:端末装置、 420:入力装置、 430:表示装置、 450:記憶装置、 460:プロセッサ、 470:ROM、 480:RAM、 490:通信装置、 600:管理装置、 660:プロセッサ、 650:記憶装置、 670:ROM、 680:RAM、 690:通信装置