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特開2024-94468荷役システム、荷役システムの制御方法及び荷役システムの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094468
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】荷役システム、荷役システムの制御方法及び荷役システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 A
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211012
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333BA02
3F333DA02
3F333FA04
3F333FA12
3F333FA36
3F333FD14
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】荷役作業の作業効率を向上させる。
【解決手段】荷役システム1は、無人で荷を搬送する荷役車両20と、荷役車両20の作業エリア50に配置され、荷役車両20が荷Lを配置する予定の格納棚52の収納スペース53に物体が存在するか否かを検出する撮影カメラ10と、撮影カメラ10が取得した情報に基づいて、荷役車両20の動作を制御する制御部37と、を備えている。これにより、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人で荷を搬送する無人車両と、
前記無人車両の作業エリアに配置され、前記無人車両が荷を配置する予定の荷置き領域に物体が存在するか否かを検出する検出部と、
前記検出部が取得した情報に基づいて、前記無人車両の動作を制御する制御部と、
を備える荷役システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が取得した情報に基づいて、前記荷置き領域における荷の有無に関する荷配置情報を生成し、記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷配置情報を定期的に更新する、
請求項2に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記無人車両が前記荷置き領域から所定距離内に到達した場合に、前記荷配置情報を参照して、前記無人車両が荷を配置する予定の前記荷置き領域に物体が存在するか否かを判定する、
請求項2に記載の荷役システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記無人車両が荷を配置する予定の前記荷置き領域に物体が存在すると判定した場合に、前記無人車両の走行を停止させる、
請求項4に記載の荷役システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記無人車両が停止してから所定時間が経過しても、前記無人車両が荷を配置する予定の前記荷置き領域に物体が存在すると判定した場合に、前記荷置き領域に物体が存在することを前記無人車両の報知部により報知させる、
請求項4に記載の荷役システム。
【請求項7】
無人で荷を搬送する無人車両を備える荷役システムの制御方法であって、
前記無人車両の作業エリアには、前記無人車両が荷を配置する予定の荷置き領域に物体が存在するか否かを検出する検出部が配置され、
制御部が、前記検出部が取得した情報に基づいて、前記無人車両の動作を制御する、
荷役システムの制御方法。
【請求項8】
無人で荷を搬送する無人車両を備える荷役システムの制御プログラムであって、
前記無人車両の作業エリアには、前記無人車両が荷を配置する予定の荷置き領域に物体が存在するか否かを検出する検出部が配置され、
コンピュータに、前記検出部が取得した情報に基づいて、前記無人車両の動作を制御させる、
荷役システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システム、荷役システムの制御方法及び荷役システムの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送フォークリフト等の無人車両を運用する荷役システムにおいて、荷が配置される場所に別の荷等が置かれていたりすると、荷が干渉して転倒したり損壊したりする。特に作業員(人間)と無人車両が共同で作業するエリアでは、作業員が荷を一時的に仮置きするなど、予定外の荷の配置が起こり得る。
この点、特許文献1に記載の技術では、入庫時にフォークリフトに設けられた撮影装置(車載カメラ)で撮影を行って、その撮影画像から棚と物品(荷)とを特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-2331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、車載カメラにより荷を認識できるため、予定外の荷の配置が起きた場合でもその荷との干渉は避けられる。しかし、車載カメラを用いた処理では、フォークリフトの入庫時に、情報取得のためだけの動作(走行停止、撮影、画像処理等)を都度実行する必要があり、効率的でない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷役作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る荷役システムは、
無人で荷を搬送する無人車両と、
前記無人車両の作業エリアに配置され、前記無人車両が荷を配置する予定の荷置き領域に物体が存在するか否かを検出する検出部と、
前記検出部が取得した情報に基づいて、前記無人車両の動作を制御する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る荷役システムを示す図である。
図2】実施形態に係る荷役システムの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る棚置き処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る荷役システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[荷役システムの構成]
図1は、本実施形態に係る荷役システム1を示す図である。
この図に示すように、荷役システム1は、少なくとも1台の荷役車両20により、作業エリア50の格納棚52に荷Lを入出庫するシステムである。
【0010】
作業エリア50は、例えば倉庫などであり、格納棚52を備える。また、作業エリア50は、特に限定はされないが、無人機である荷役車両20専用のエリアではなく、作業員(人間)も作業を行うエリアとなっている。
格納棚52は、複数の荷Lが収納・保管される重量棚である。格納棚52は、複数列かつ複数段に配列された複数の収納スペース53を有している。収納スペース53は、本発明に係る荷置き領域の一例であり、荷Lが配置可能なスペースである。
本実施形態の荷Lは、特に限定はされないが、パレット(荷役台)70上に少なくとも1つの積み荷が載置されたものである。ただし、本発明に係る荷は、積み荷が載置されていない空パレット(単独又は段積みされたもの)を含む。
【0011】
図2は、荷役システム1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、荷役システム1は、撮影カメラ10と、複数の荷役車両20と、管理サーバ30とを備える。
【0012】
撮影カメラ10は、作業エリア50のうち、格納棚52周辺の天井に設置されている。撮影カメラ10は、格納棚52を前方斜め上方から撮影し、取得した画像(映像)を管理サーバ30に出力する。より詳しくは、撮影カメラ10が取得した画像データは、専用の画像処理コントローラ11で処理され、管理サーバ30に出力される。画像処理コントローラ11は、AI(人工知能)等による画像処理を専用に実行し、例えば少なくとも1秒以下の周期でデータを更新する。なお、画像処理コントローラ11は、管理サーバ30に備えられて制御部37に制御されてもよい。
本実施形態の撮影カメラ10は、RGB画像(二次元画像)を取得可能なRGBカメラである。ただし、撮影カメラ10は、距離情報を含む画像を取得可能なToF(Time Of Flight)センサ等であるのが好ましい。ToFセンサ等であれば、例えば荷Lと床色が同色の場合など、RGBカメラでは荷Lを判別しにくい場合等に、距離情報に基づいて荷Lを識別することができる。
なお、撮影カメラ10は、作業エリア50(設備側)に設けられて格納棚52(収納スペース53)内の物体を認識できるものであれば、特に限定されない。したがって、撮影カメラ10は、天井でなく壁や扉等に設置されてもよいし、カメラではない各種センサであってもよいし、収納スペース53の床に配置されるスイッチ等であってもよい。
【0013】
荷役車両20は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡し等が可能な車両であり、例えば軌条等を用いずに路上を走行できるフォークリフト等である。また、本実施形態の荷役車両20は、無人(自動)で動作可能な無人搬送フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)であり、管理サーバ30からの動作指令等に基づいて所定の荷役作業を行う。荷役車両20は、本発明に係る無人車両の一例である。
具体的に、各荷役車両20は、駆動部21、操作部22、表示部23、通信部24、位置計測装置25、記憶部26、制御部27を備える。
【0014】
駆動部21は、荷役車両20の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、荷Lを保持する保持部(例えばフォーク)に昇降や傾倒等の各動作を行わせる駆動源である。
操作部22は、例えば有人(手動)運転時に運転者が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
【0015】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。また、表示部23は、音声出力可能な音声出力部を含んでもよいし、ランプ等の表示灯を含んでもよい。
通信部24は、管理サーバ30や他の荷役車両20等との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
【0016】
位置計測装置25は、荷役車両20自身の位置を計測するものである。位置計測装置25が取得した自己位置の情報は、例えば管理サーバ30に送信されて荷役車両20自身の位置確認(モニタリング)に利用される。位置計測装置25の具体構成は特に限定されず、例えば、GNSS(衛星測位システム)を利用するものでもよい。あるいは、走行方向を計測するセンサ(慣性計測装置等)と走行距離センサとを用い、微少時間に走行した方向と距離とを逐次積算して位置を計測するものでもよいし、作業エリアの各所に配置されたリフレクタ(マーカ)を光学センサで検出して、予め設定されているリフレクタの配置情報と照合することで荷役車両20の位置を計測するもの等でもよい。
【0017】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部26は、後述の棚置き処理(図3参照)を実行するためのプログラムを予め記憶している。
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、荷役車両20各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0018】
管理サーバ30は、荷役システム1を中央制御するものであり、複数の荷役車両20の動作を制御可能に構成されている。管理サーバ30は、端末装置とクラウドサーバで構成されるもの等であってもよい。
具体的に、管理サーバ30は、操作部31、表示部32、通信部34、記憶部36、制御部37を備える。
【0019】
操作部31は、操作者が管理サーバ30を動作させるための各種操作を行う操作手段であり、例えばマウスやキーボード等のポインティングデバイスを含む。
表示部32は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイである。表示部32は、制御部37から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。
通信部34は、各荷役車両20との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
【0020】
記憶部36は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部37の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部36は、後述の棚置き処理(図3参照)を実行するためのプログラムを予め記憶している。
また、記憶部36には荷配置データ361が記憶される。荷配置データ361は、格納棚52(収納スペース53)における荷L(と認識された物体)の有無を表すデータである。例えば図1に示す2段5列の格納棚52(収納スペース53)の場合、その荷Lの配置状態を示す荷配置データ361は、荷Lが無い状態を「0」、荷Lがある状態を「1」として、以下のようなシンプルなバイナリデータで表される。
00111(上段)
11001(下段)
【0021】
制御部37は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、管理サーバ30各部の動作を制御する。具体的に、制御部37は、操作部31の操作内容等に基づいて、記憶部36に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0022】
[荷役システムの動作]
続いて、棚置き処理を実行する場合の荷役システム1の動作について説明する。
図3は、棚置き処理の手順を示すフローチャートである。
棚置き処理は、格納棚52の荷Lの配置(収納)状況を管理サーバ30に参照し、荷役車両20が荷Lを格納棚52に棚置きする処理である。この棚置き処理は、荷役車両20の制御部27又は管理サーバ30の制御部37)が該当するプログラムを実行することで実行される。棚置き処理では、専ら管理サーバ30の制御部37が主体的に機能しつつ、荷役車両20の制御部27と協働して各処理を実行する。管理サーバ30が荷役車両20を動作させる場合、管理サーバ30の制御部37が通信部34を通じて荷役車両20の制御部27に制御指令を送信して実行させる。
【0023】
図3に示すように、棚置き処理が実行されると、まず荷役車両20の制御部27は、管理サーバ30からの動作指令に基づいて、例えば倉庫内等で特定の場所にある荷Lを指定された格納棚52等に搬送させる荷役作業を開始する(ステップS1)。制御部27は、当該作業のなかで、フォーク上に荷Lを保持させ、作業計画に沿って荷役車両20を適宜走行移動させる(ステップS1a)。
本荷役作業では、管理サーバ30が、荷役車両20に対する作業全体の指令(荷の搬送先の指示と、棚の空き管理及び移動先指示等を含む)と、撮影カメラ10による画像情報の更新等とを行い、荷役車両20の位置制御は荷役車両20自身が行う。
【0024】
次に、管理サーバ30の制御部37は、荷役車両20が格納棚52の所定距離内まで到達したか否かを判定する(ステップS2)。
ここでは、制御部37は、荷役車両20の位置を荷役車両20の位置計測装置25により随時取得し、格納棚52の位置及びその所定距離内の範囲を地図データ等として予め記憶部36に保持している。そのため、好適に位置制御できる。
そして、荷役車両20が格納棚52の所定距離内まで到達していないと判定した場合(ステップS2;No)、制御部37は、上述のステップS1aへ処理を移行する。
【0025】
ステップS2において、荷役車両20が格納棚52の所定距離内まで近づいたと判定した場合(ステップS2;Yes)、制御部37は、撮影カメラ10により格納棚52の画像を取得する(ステップS3)。
そして、制御部37は、取得した画像に基づいて、格納棚52の各収納スペース53における荷L(物体)の有無を判定し、荷配置データ361を生成(更新)する(ステップS4)。
なお、ステップS3の画像取得自体は常に行っておき、荷Lがあるか否かの判定をこのタイミングで行ってもよい。
【0026】
次に、制御部37は、最新の荷配置データ361を照会する(ステップS5)。
そして、制御部37は、最新の荷配置データ361に基づいて、荷役車両20が現在保持している荷Lを棚置きする予定の収納スペース53に、すでに別の荷L(又は荷Lと認識された物体)が配置されているか否かを判定する(ステップS6)。荷Lを棚置きする予定の収納スペース53は、管理サーバ30が予め記憶部36に保持している荷役車両20の作業計画により特定される。ここでは、制御部37は、荷Lを棚置きする予定の収納スペース53が、荷配置データ361上で「1」なら荷L(物体)が存在すると判定し、「0」なら空いていると判定する。
なお、収納スペース53に配置され得る物体とは、荷Lの配置の妨げになり得るものを広く含み、例えば段ボールや道具箱等、作業員(人)がついつい置いてしまうようなものも含む。
【0027】
ステップS6において、棚置きする予定の収納スペース53に荷L(物体)は存在しないと判定した場合(ステップS6;No)、制御部37は、荷役車両20に棚置き作業を続行させて当該収納スペース53に荷Lを棚置きし(ステップS10)、後述のステップS11へ処理を移行する。
【0028】
一方、ステップS6において、棚置きする予定の収納スペース53にすでに荷L(物体)が配置されていると判定した場合(ステップS6;Yes)、制御部37は、荷役車両20の走行を停止させる(ステップS7)。これにより、棚置きする直前に最新の情報を参照できるので、仮に物体が存在した場合でも接触を防止できる。
この場合、制御部37は、荷役車両20が(一時)停止中であることを周囲の作業員等に報知する表示(例えば「停止中」のランプを点灯する等)を荷役車両20の表示部23に出力させてもよい。これにより、周囲から見て、作業動作を継続しているか一時停止しているだけなのか、何ら作業を行わずに停止しているだけなのかを確認することができ、不用意に近づくことや、必要に応じた応急処置などの適切な対応を周囲の作業者が取ることができる。
【0029】
次に、制御部37は、ステップS7の走行停止(又はその直前のステップS6の判定)から所定時間が経過したかを判定する(ステップS8)。
ここで、「所定時間」とは、該当の収納スペース53の状況が変化すると推定される時間であり、例えば作業員が仮置きした物体を移動させるであろう時間(例えば1分)である。つまり、荷置き作業を実行させる場合に、棚に障害物が置かれているケースにおいては、本願発明で、接触を防止しつつ、一時停止している間に、周囲の作業者が、対象となる棚に置かれている各種物体を移動させることで、作業を継続させること意味している。この間の時間を所定時間として設定することができる。
なお、所定時間の始点の一例である「ステップS7の走行停止」とは、荷役車両20が走行状態から停止状態に移行したときを指し、停止状態を維持したときを含まない。
【0030】
ステップS8において、ステップS7(又はその直前のステップS6)から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS8;No)、制御部37は、上述のステップS3へ処理を移行する。
そのため、ステップS3、S4の画像取得及び荷配置データ生成とステップS6の物体の有無判定等とが、収納スペース53に物体が存在しなくなるか所定時間が経過するまで、継続的に繰り返される。これにより、荷配置データ361は随時最新のものに更新され、当該最新の荷配置データ361に基づいてステップS6の物体の有無判定が行われる。
なお、所定時間経過前に収納スペース53から荷L(物体)が無くなったことを確認できた場合(ステップS8;Noの後のステップS6;No)、又は、作業員による手動の再開操作があった場合、管理サーバ30は所定時間の経過前でも荷役車両20に作業を再開させてもよい。
【0031】
一方、ステップS8において、ステップS7(又はその直前のステップS6)から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS8;Yes)、制御部37は、収納スペース53に物体が存在することを警告(報知)する警告出力を行い(ステップS9)、棚置き処理を終了させる。
ここでは、制御部37は、荷役車両20の表示部23に警告表示を表示させたり警告音声を出力させたりして、収納スペース53に予定外の荷L(物体)が存在することを周辺の作業員等に報知し、荷役車両20に作業員(人間)による対応を待機させる。この場合の出力(報知)態様は特に限定されない。アラームやライトの点灯等でもよい。
なお、作業継続中だが一時停止している状態を周囲に知らしめる報知態様(つまり解消されると作業を継続する)と、置き先の荷L(物体)が所定時間たっても解消されないため、作業自体が停止する報知態様(解消されても作業が継続しない)とで、違いが分かるように報知するのが好ましい。これにより、周囲の作業者がこの荷役車両20の状態を把握しやすくなり便利である。
【0032】
次に、制御部37は、棚置き処理を終了させるか否かを判定し(ステップS11)、終了させないと判定した場合には(ステップS11;No)、上述のステップS1aへ処理を移行し、荷役作業を続ける。
そして、例えば荷役作業の終了等により、棚置き処理を終了させると判定した場合には(ステップS11;Yes)、制御部37は、棚置き処理を終了させる。
なお、一連の棚置き処理が完了した場合、次のタスクの指令があれば、再び別の荷に対して同様の作業を実行するために、所定の荷物の場所に移動しても良いし、タスクが無ければ、所定の待機位置に移動させても良い。
【0033】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、格納棚52(収納スペース53)に物体が存在するか否かを検出する撮影カメラ10が荷役車両20の作業エリア50に配置され、撮影カメラ10が取得した情報に基づいて、荷役車両20の動作が制御される。
これにより、設備側に設けた撮影カメラ10によって、格納棚52の荷Lの状況を把握しておくことができる。そのため、荷役車両に搭載した車載カメラを用いる場合と異なり、荷役車両の入庫時に、情報取得のためだけの動作(走行停止、撮影、画像処理等)を都度実行する必要がない。したがって、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
また、例えば作業員が予定外の物体の配置を行った場合等でも、当該物体との干渉を起こすことなく好適に荷Lを配置できる。ひいては、無人機と作業員(人間)が共同で作業を行う作業エリア50を好適に運用できる。
【0034】
また、本実施形態によれば、撮影カメラ10が取得した情報に基づいて、格納棚52(収納スペース53)における荷Lの有無に関する荷配置データ361が生成され、記憶部36に記憶されるので、格納棚52の荷Lの有無に関する情報が好適に保持される。
また、荷配置データ361が定期的に更新されるので、格納棚52の荷Lの有無に関する情報が常に最新に保たれる。
【0035】
また、本実施形態によれば、荷役車両20が格納棚52から所定距離内に到達した場合に、荷配置データ361が参照されて、荷役車両20が荷Lを配置する予定の格納棚52(収納スペース53)に物体が存在するか否かが判定される。
これにより、荷役車両20が格納棚52に荷Lを配置する直前に荷配置データ361を参照することができるので、最新の荷配置データ361に基づいて判定を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、荷役車両20が荷を配置する予定の格納棚52(収納スペース53)に物体が存在すると判定された場合に、荷役車両20の走行が停止(動作が停止)される。そして、荷役車両20が停止してから所定時間が経過しても、荷Lを配置予定の格納棚52(収納スペース53)に物体が存在する場合に、格納棚52に物体が存在することが荷役車両20の表示部23により報知される。
これにより、例えば作業員が一時的に仮置きしただけの物体に対しては、作業員(保守要員)の手を煩わすことなく、速やかに作業を再開できる。ひいては、無人機である荷役車両20を円滑に運用できる。
【0037】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、荷役車両20が荷Lを棚置きする場合について説明した。しかし、本発明は、荷役車両20が荷Lを床に平置きする場合にも好適に適用できる。この場合、図4に示すように、上記実施形態における格納棚52(収納スペース53)に代えて、荷Lの配置場所である荷置きスペース53Aを予め設定しておけばよい。
また、上記実施形態では、荷役車両20が荷Lを置く場合について説明したが、本発明は荷Lを取る場合についても同様に適用できる。この場合、ステップS6、S8における荷Lがあるか否かの判定を逆転させれば(荷Lが無い場合に「Yes」、荷Lがある場合に「No」とすれば)よい。
【0038】
また、上記実施形態の棚置き処理では、ステップS7の走行停止から所定時間経過した後に、ステップS9の警告出力を行うこととした。しかし、所定時間の経過を待つことなく、ステップS7の走行停止後にステップS9の警告出力を行ってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、管理サーバ30の制御部37と荷役車両20の制御部27が協働して各処理を実行することとした。しかし、管理サーバ30と荷役車両20との処理の分担度合いは特に限定されない。ただし、荷役車両20の制御処理は荷役車両20自身の制御部27が行い、それ以外の処理は管理サーバ30の制御部37が行うのが好ましい。
【0040】
また、荷役車両が行う荷役作業とは、フォーク(爪)をパレットに差し込み、リフトで持ち上げ、走行し、置き先の上にパレットを移動させ、リフトを下げて、パレットが置き先に支持され、爪を引き抜き、移動する、の各作業を含み、これら一連の作業の繰り返しで当該荷役作業が行われる。
【0041】
また、上記実施形態では、荷役車両20が無人搬送フォークリフトであることとした。しかし、本発明に係る無人車両は、有人運転と無人運転を切り替え可能なものを含む。また、本発明は有人運転のアシスト機能としても利用可能である。
また、本発明に係る無人車両は、フォーク(又はそれに類するもの)で荷を保持して走行できるものであればフォークリフトに限定されず、例えば無人で走行する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等を含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 荷役システム
10 撮影カメラ(検出部)
20 荷役車両
23 表示部(報知部)
27 制御部
30 管理サーバ
36 記憶部
37 制御部
50 作業エリア
52 格納棚
53 収納スペース(荷置き領域)
53A 荷置きスペース(荷置き領域)
361 荷配置データ(荷配置情報)
L 荷
図1
図2
図3
図4