(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009447
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】伸縮連結部材
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20240116BHJP
F02M 37/10 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F02M37/00 301L
F02M37/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110974
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 崇
(57)【要約】
【課題】アッパ支柱とロア支柱とを同一樹脂材料により形成しつつスティックスリップによる異音の発生を抑制する。
【解決手段】燃料供給装置20は、燃料タンク10の上面開口部13を閉鎖する蓋部材22と、燃料タンク10の底部に配置されるポンプユニット24と、を備える。蓋部材22とポンプユニット24とを上下方向に移動可能に連結する伸縮連結部材53は、蓋部材22に垂下状に設けられたアッパ支柱35と、ポンプユニット24に垂立状に設けられたロア支柱87と、を備える。アッパ支柱35とロア支柱87とは相互に摺動可能に嵌合される。アッパ支柱35とロア支柱87とは同一樹脂材料により形成される。ロア支柱87には、アッパ支柱35の表面粗さよりも大きい表面粗さの梨地面87bが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの上面開口部を閉鎖する蓋部材と、前記燃料タンクの底部に配置される燃料タンク内部材と、を備える燃料供給装置において、前記蓋部材と前記燃料タンク内部材とを上下方向に移動可能に連結する伸縮連結部材であって、
前記蓋部材に垂下状に設けられたアッパ支柱と、
前記燃料タンク内部材に垂立状に設けられたロア支柱と、
を備えており、
前記アッパ支柱と前記ロア支柱とは相互に摺動可能に嵌合されており、
前記アッパ支柱と前記ロア支柱とは同一樹脂材料により形成されており、
前記アッパ支柱と前記ロア支柱とのうちいずれか一方の支柱には、他方の支柱の表面粗さよりも大きい表面粗さの粗面が設けられている、伸縮連結部材。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮連結部材であって、
前記粗面は、微細な凹凸を有する梨地面である、伸縮連結部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の伸縮連結部材であって、
前記アッパ支柱及び前記ロア支柱は、四側面を有する四角形筒状に形成されており、
前記粗面は、前記一方の支柱の四側面における少なくとも互いに平行な一対の両側面に配置されている、伸縮連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は伸縮連結部材に関する。詳しくは、燃料タンクの上面開口部を閉鎖する蓋部材と、燃料タンクの底部に配置される燃料タンク内部材と、を備える燃料供給装置において、蓋部材と燃料タンク内部材とを上下方向に移動可能に連結する伸縮連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された燃料供給装置がある。この燃料供給装置の伸縮連結部材は、燃料タンクの上面開口部を閉鎖する蓋部材に垂下状に設けられたアッパ支柱と、燃料タンクの底部に配置される燃料タンク内部材に垂立状に設けられたロア支柱と、を備える。アッパ支柱とロア支柱とは相互に摺動可能に嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アッパ支柱とロア支柱とが同一樹脂材料により形成されている場合、両支柱の融点が同じであるため、両支柱間にスティックスリップによる鳴き音と呼ばれる異音が発生しやすい。また、異音の発生を抑制するために、アッパ支柱とロア支柱との間に摺動性を向上する金属材料により形成された金属部材を介装することも考えられるが、部品点数及び重量の増加を招くという問題がある。
【0005】
特許文献1のものでは、アッパ支柱とロア支柱とを融点が異なる樹脂材料により形成することで、金属部材を用いることなく、異音の発生を抑制するものである。しかし、異なる樹脂材料を用いると、コスト面で不利であるため、アッパ支柱とロア支柱とを同一樹脂材料により形成することが望まれる。
【0006】
本明細書が開示する技術の課題は、アッパ支柱とロア支柱とを同一樹脂材料により形成しつつスティックスリップによる異音の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する技術は次の手段をとる。
【0008】
第1の手段は、燃料タンクの上面開口部を閉鎖する蓋部材と、前記燃料タンクの底部に配置される燃料タンク内部材と、を備える燃料供給装置において、前記蓋部材と前記燃料タンク内部材とを上下方向に移動可能に連結する伸縮連結部材であって、前記蓋部材に垂下状に設けられたアッパ支柱と、前記燃料タンク内部材に垂立状に設けられたロア支柱と、を備えており、前記アッパ支柱と前記ロア支柱とは相互に摺動可能に嵌合されており、前記アッパ支柱と前記ロア支柱とは同一樹脂材料により形成されており、前記アッパ支柱と前記ロア支柱とのうちいずれか一方の支柱には、他方の支柱の表面粗さよりも大きい表面粗さの粗面が設けられている、伸縮連結部材である。
【0009】
第1の手段によれば、アッパ支柱とロア支柱とが同一樹脂材料により形成されている。また、アッパ支柱とロア支柱とのうちいずれか一方の支柱には、他方の支柱の表面粗さよりも大きい表面粗さの粗面が設けられている。これにより、アッパ支柱とロア支柱との間の接触面積を低減し、両支柱間の摺動性を向上することができる。よって、アッパ支柱とロア支柱とを同一樹脂材料により形成しつつスティックスリップによる異音の発生を抑制することができる。
【0010】
第2の手段は、第1の手段の伸縮連結部材であって、前記粗面は、微細な凹凸を有する梨地面である、伸縮連結部材である。
【0011】
第2の手段によれば、粗面である微細な凹凸を有する梨地面により、アッパ支柱とロア支柱との間の摺動性を向上することができる。
【0012】
第3の手段は、第1又は2の手段の伸縮連結部材であって、前記アッパ支柱及び前記ロア支柱は、四側面を有する四角形筒状に形成されており、前記粗面は、前記一方の支柱の四側面における少なくとも互いに平行な一対の両側面に配置されている、伸縮連結部材である。
【0013】
第3の手段によれば、一方の支柱の四側面における少なくとも互いに平行な一対の両側面に粗面を配置する。例えば、一方の支柱の互いに平行な一対の両側面と、残りの一対の両側面と、において、他方の支柱と摺動接触しやすい側に位置する一対の両側面に粗面を配置することにより、両支柱間の摺動性を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示によると、アッパ支柱とロア支柱とを同一樹脂材料により形成しつつスティックスリップによる異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態にかかる燃料供給装置を示す背面図である。
【
図3】蓋部材とポンプユニットとを分解して示す斜視図である。
【
図4】伸縮連結部材を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書に開示の技術を実施するための一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、伸縮連結部材を備える燃料供給装置を例示する。
【0017】
図1は燃料供給装置を示す背面図、
図2は
図1のII-II線矢視断面図、
図3は蓋部材とポンプユニットとを分解して示す斜視図である。燃料供給装置に係る方位を各図に矢印で示すとおりに定める。上下方向は、内燃機関であるエンジンを搭載する自動車等の車両の燃料タンクに設置された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。また、燃料供給装置の前後左右方向は特定するものではない。
図1に示すように、燃料供給装置20は、燃料タンク10内の液体燃料をエンジンに送給するものである。
【0018】
(燃料タンク10)
燃料タンク10は、上壁部11及び底壁部12を有する中空容器状に形成されている。燃料タンク10は、樹脂製であり、タンク内圧の変化によって変形、主に上下方向に膨張及び収縮する。上壁部11には、円形孔状の上面開口部13が形成されている。燃料タンク10内には、例えば液体燃料としてのガソリンが貯留されている。
【0019】
(燃料供給装置20の概要)
燃料供給装置20の基本的構造は、周知のもの(例えば特許文献1参照)と同様であるからその概要を述べるにとどめる。燃料供給装置20は、燃料タンク10の上面開口部13を閉鎖する蓋部材22と、燃料タンク10の底部に配置されるポンプユニット24と、を備えている(
図3参照)。
【0020】
(蓋部材22)
蓋部材22は、円形板状の蓋板部26を主体として形成されている。
図2に示すように、蓋板部26の下面には、短円筒状の嵌合筒部27が同心状に形成されている。蓋板部26の外周部は、嵌合筒部27よりも径方向外方へフランジ状に張り出している。
【0021】
図3に示すように、蓋板部26には、燃料タンク10内外の燃料配管の接続に用いられる燃料吐出ポート30、及び、燃料タンク10内外の電気配線の接続に用いられる電気コネクタ部32が設けられている。
【0022】
蓋板部26の後部の下面にはスタンドオフ部34が形成されている。スタンドオフ部34は、アッパ支柱35と左右の両湾曲壁部36とを有する。アッパ支柱35は、蓋板部26から下方へ垂下状に延びている。両湾曲壁部36は、アッパ支柱35の後側部から左右両側方へ向けて突出されている。両湾曲壁部36は、後面視(
図1参照)において、嵌合筒部27からアッパ支柱35の下端に向かって収束する略三角形状に形成されている。蓋部材22は、例えばポリアセタール樹脂(POM)により形成された樹脂製である。
【0023】
(ポンプユニット24)
図3に示すように、ポンプユニット24は、その主体であるポンプユニット本体38と、ポンプユニット本体38を蓋部材22に連結するための連結部材52と、を備えている。ポンプユニット本体38は、略円筒形状のサブタンク46内に、燃料フィルタ50(
図2参照)、燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ等を内蔵している。サブタンク46の上端部には燃料吐出口46aが設けられている。ポンプユニット24は本明細書でいう「燃料タンク内部材」に相当する。
【0024】
図1に示すように、サブタンク46の燃料吐出口46aと蓋部材22の燃料吐出ポート30とは、配管部材62を介して接続されている。また、燃料ポンプと蓋部材22の電気コネクタ部32とは、電気配線を介して電気的に接続されている。
【0025】
図3に示すように、サブタンク46の後側部には支柱取付部59が設けられている。支柱取付部59には、連結部材52が垂立状に取り付けられている。連結部材52は、サブタンク46の支柱取付部59に取り付けられる台座部83と、台座部83上に柱状に形成されたロア支柱87と、を有する。連結部材52は、蓋部材22と同一樹脂材料(ポリアセタール樹脂)により形成された樹脂製である。
【0026】
図2に示すように、ロア支柱87は、蓋部材22のアッパ支柱35内に軸方向すなわち上下方向に摺動可能にかつ懸吊可能に連結されている。アッパ支柱35とロア支柱87とにより形成される内部空間にはコイルスプリング85が配置されている。コイルスプリング85は、蓋部材22とポンプユニット24とを相反方向すなわち離間方向へ付勢する。アッパ支柱35とロア支柱87とを備える伸縮連結部材53については後で説明する。
【0027】
(燃料供給装置20の設置)
燃料供給装置20は、燃料タンク10への設置に際し、伸長状態すなわち蓋部材22に対してポンプユニット24が懸吊された状態とされる。この状態で、ポンプユニット24が燃料タンク10の上面開口部13から挿入され、燃料タンク10の底壁部12上に載置される。続いて、蓋部材22がコイルスプリング85の付勢力に抗して押し下げられ、嵌合筒部27が上面開口部13に嵌合される。この状態で、蓋部材22が燃料タンク10の上壁部11に固定されることにより、燃料供給装置20の設置が完了する(
図1及び
図2参照)。
【0028】
燃料供給装置20の設置状態において、蓋部材22の燃料吐出ポート30には、エンジンにつながる燃料供給配管が接続される。また、電気コネクタ部32には、電源、ECU等につながる外部コネクタが接続される。
【0029】
(燃料供給装置20の作動)
外部からの駆動電力によりポンプユニット24が有する燃料ポンプが駆動される。すると、燃料タンク10内の燃料及び/又はサブタンク46内の燃料が燃料フィルタ50を介して吸入されて加圧された後、配管部材62を経て蓋部材22の燃料吐出ポート30からエンジンへ供給される。
【0030】
また、燃料タンク10は、気温の変化や燃料量の変化等による内圧の変化によって変形すなわち膨張及び収縮する。これにより、燃料タンク10の上壁部11と底壁部12との間の間隔が変化(増減)する。これにともない、蓋部材22とポンプユニット24とが相対的に上下方向に移動することにより、燃料タンク10の高さ方向の変化に追従する。また、燃料タンク10が過剰に収縮しようとするときは、蓋部材22のスタンドオフ部34と連結部材52の台座部83とが当接することで突っ張り棒として作用する。
【0031】
(伸縮連結部材53)
蓋部材22とポンプユニット24とを上下方向に移動可能に連結する伸縮連結部材53を説明する。
図4は伸縮連結部材を一部破断して示す斜視図、
図5は同じく平断面図、
図6は
図5のVI-VI線矢視断面図である。
図4に示すように、伸縮連結部材53は、蓋部材22に垂下状に設けられたアッパ支柱35と、ポンプユニット24に垂立状に設けられたロア支柱87とを備える。アッパ支柱35は、蓋部材22に一体成形されているため、ポリアセタール樹脂により形成されている。ロア支柱87は、連結部材52に一体成形されているため、連結部材52と同一樹脂材料により形成されている。連結部材52は蓋部材22と同一樹脂材料により形成されているため、ロア支柱87はアッパ支柱35と同一樹脂材料(ポリアセタール樹脂)により形成されている。
【0032】
アッパ支柱35は、丸味を帯びた略四角形筒状に形成されている。
図5に示すように、アッパ支柱35の内周面には、四角形筒状をなす前後左右の四側面すなわち前側面35a、後側面35b、左側面35c及び右側面35dが形成されている。アッパ支柱35の内周面には、各側面35a,35b,35c,35dの短手方向の中央部及び各入隅部に位置する計8個の凹部35eが形成されている。
【0033】
凹部35eは、アッパ支柱35の軸方向(
図5において紙面表裏方向)に直線状に延在している。これにより、各側面35a,35b,35c,35dは、相互に平行する2本ずつの帯状面に分断されている。四側面35a,35b,35c,35dは、アッパ支柱35の左右方向に直交する平面を中心として左右対称状に形成されている。
【0034】
図4に示すように、アッパ支柱35の後側面には、軸方向(上下方向)に延在する長孔状の係合孔112が形成が形成されている。係合孔112は、後側面35bの短手方向の中央部に配置されている。係合孔112の下端部には、前後方向へ弾性変形可能な弾性係合片114が形成されている(
図2参照)。
【0035】
ロア支柱87は、略四角形筒状に形成されている。
図5に示すように、ロア支柱87の外周面には、四角形筒状をなす前後左右の四側面すなわち前側面87a、後側面87b、左側面87c及び右側面87aが形成されている。
【0036】
図4に示すように、ロア支柱87の後側面87bの上端部には、後方へ突出する係合突起120が形成されている。
図2に示すように、アッパ支柱35内にその下方からロア支柱87が挿入された際、係合突起120が弾性係合片114の弾性変形(撓み変形)を利用して弾性係合片114を乗り越える。これにより、係合突起120が係合孔112に上下方向に移動可能に係合される。この状態で、アッパ支柱35に対してロア支柱87が懸吊されたときには、弾性係合片114に係合突起120が当接することにより、ロア支柱87が抜け止めされる。アッパ支柱35の各側面35a,35b,35c,35dとロア支柱87の各側面87a,87b,87c,87dとは、互いに摺動接触可能に僅かな隙間を隔てて面している(
図5参照)。
【0037】
(実施形態の特徴的構成)
アッパ支柱35の四側面35a,35b、35c,35dは平滑面に形成されている。四側面35a,35b、35c,35dすなわち平滑面(四側面と同一符号を付す)35a,35b、35c,35dは、当該側面に対して全面的に形成されている。平滑面35a,35b、35c,35dは、蓋部材22の樹脂成形と同時に形成されている。
【0038】
ロア支柱87の四側面87a,87b、87c,87dは、微細な凹凸を有する梨地面(以下、単に「梨地面」という)に形成されている。四側面87a,87b、87c,87dすなわち梨地面(四側面と同一符号を付す)87a,87b、87c,87dは、当該側面に対して全面的に形成されている。梨地面87a,87b、87c,87dは、連結部材52の樹脂成形と同時に形成されている。梨地面87a,87b、87c,87dは、アッパ支柱35の平滑面35a,35b、35c,35dの表面粗さよりも大きい表面粗さを有する。梨地面87a,87b、87c,87dは本明細書でいう「粗面」に相当する。ロア支柱87は本明細書でいう「一方の支柱」に相当する。アッパ支柱35は本明細書でいう「他方の支柱」に相当する。
【0039】
ロア支柱87の樹脂成形に際し、固定型と可動型とスライド型とを備える成形型を用いる場合、固定型と可動型とによる梨地面(例えば、梨地面87a,87b)をスライド型による梨地面(例えば、梨地面87c,87d)の表面粗さに比べて大きい表面粗さににするとよい。
【0040】
(実施形態の特徴的構成による利点)
本実施形態によれば、アッパ支柱35とロア支柱87とが同一樹脂材料により形成されている。両支柱35,87の融点が同じであるため、両支柱35,87間にスティックスリップによる鳴き音と呼ばれる異音が発生しやすい。その異音の発生を抑制するために、ロア支柱87には、アッパ支柱35の平滑面35a,35b、35c,35dの表面粗さよりも大きい表面粗さの粗面である梨地面87a,87b、87c,87dが設けられている。これにより、アッパ支柱35とロア支柱87との間の接触面積を低減し、両支柱35,87間の摺動性を向上することができる。よって、アッパ支柱35とロア支柱87とを同一樹脂材料により形成しつつスティックスリップによる異音の発生を抑制することができる。
【0041】
また、一般的に、融点の低い樹脂材料(例えば、ポリアセタール樹脂)は、融点の高い樹脂材料(例えば、ポリアミド樹脂)と比べて安価である。このため、アッパ支柱35を含む蓋部材22、及び、ロア支柱87を含む連結部材52、をポリアセタール樹脂により形成したことにより、いずれか一方の部材(例えば、連結部材52)を高価なポリアミド樹脂により形成する場合と比べて、コストを低減することができる。
【0042】
また、アッパ支柱35とロア支柱87との間に発生する異音の発生を金属部材を用いることなく抑制することができるため、部品点数及び重量の増加を抑制することができる。
【0043】
また、粗面である梨地面87a,87b、87c,87dにより、アッパ支柱35とロア支柱87との間の摺動性を向上することができる。
【0044】
また、梨地面87a,87b、87c,87dを連結部材52の樹脂成形時に同時成形することにより、コストを低減することができる。
【0045】
また、例えば、ロア支柱87の互いに平行な一対の両側面(例えば、前側面87aと後側面87b)と、残りの一対の両側面(例えば、左側面87cと右側面87d)と、において、アッパ支柱35との摺動接触の程度に差がある場合がある。このような場合、アッパ支柱35と摺動接触しやすい側に位置する一対の両側面(例えば、前側面87aと後側面87b)に粗面(梨地面)を配置することにより、両支柱35,87間の摺動性を向上することができる。なお、残りの一対の両側面(例えば、左側面87cと右側面87d)は、例えば梨地面よりも表面粗さの小さい面(例えば平滑面)とする。
【0046】
[他の実施形態]
本明細書に開示の技術は、前記した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施可能である。例えば、本明細書に開示の技術は、車両の燃料供給装置20に限らず、車両以外の燃料供給装置に適用してもよい。また、両湾曲壁部36を有するアッパ支柱35とロア支柱87とを上下逆配置としてもよい。また、両湾曲壁部36は省略してもよい。この場合、ロア支柱87内にアッパ支柱35を挿入してもよい。また、ロア支柱87は、サブタンク46に一体形成してもよい。また、アッパ支柱35の凹部35eは、増減あるいは省略してもよい。
【0047】
また、アッパ支柱35に、ロア支柱87の表面粗さよりも大きい表面粗さの粗面を設けてもよい。また、粗面は、樹脂成形に限らず、表面処理により形成してもよい、また、粗面は、梨地面以外の微細な凹凸により形成してもよい、また、微細な凹凸は、不規則に配置してもよいし、規則的に配置してもよい。
【0048】
また、アッパ支柱35及びロア支柱87は、四角形以外の多側面を有する多角形筒状に形成してもよい。この場合、粗面は、一方の支柱の少なくとも一側面の少なくとも一部に形成してもよい。
【0049】
また、アッパ支柱35及びロア支柱87は、円筒状の周面を有する円筒状に形成してもよい。この場合、粗面は、一方の支柱の周面の少なくとも一部に形成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 燃料タンク
13 上面開口部
20 燃料供給装置
22 蓋部材
24 ポンプユニット(タンク内部材)
35 アッパ支柱(他方の支柱)
35a,35b、35c,35d 平滑面(四側面)
53 伸縮連結部材
87 ロア支柱(一方の支柱)
87a,87b、87c,87d 梨地面(粗面、四側面)