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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094472
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B66F9/24 P
B66F9/24 L
B66F9/24 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211022
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA08
3F333BA21
3F333DA06
3F333FA04
3F333FA15
3F333FA17
3F333FD13
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】走行時の安全性を向上させる。
【解決手段】フォークリフト1は、車体10と、車体10の前部に設けられ、荷Lを保持するフォーク12と、車体10の側部に設けられ、前方の物体を検出するレーザースキャナ24と、を備える。これにより、荷Lの位置が左右に偏っていたり、荷Lのサイズが過度に大きかったりした場合に、レーザースキャナ24により当該荷Lが検知される。したがって、車体10の走行時の安全性を向上させることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の前部に設けられ、荷を保持する荷役装置と、
前記車体の側部に設けられ、前方の物体を検出する検出部と、
を備える荷役車両。
【請求項2】
前記検出部は、前記荷、又は、前記荷が載置されるパレットを検出する、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記検出部は、車幅方向に垂直な平面状の計測領域を有し、高さの異なる複数の位置における前記物体を検出可能である、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記検出部は、前記荷又は前記パレットの位置又は大きさに基づいて、前記荷又は前記パレットを検出し、
前記検出部が前記荷又は前記パレットを検出した場合に警告出力を行う出力部を備える、
請求項2に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記荷役装置は、前記荷が載置されたパレットを保持し、
前記検出部は、前記パレットと前記車体とが車幅方向に中心合わせされた状態で、前記パレットよりも車幅方向に突出している前記荷を検出する、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項6】
前記荷役装置は、前記荷が載置されたパレットを保持し、
前記検出部は、前記荷よりも車幅方向に突出している前記パレットを検出する、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項7】
前記検出部は、前記荷が載置された前記パレットを前記荷役装置が保持しているときに、前記荷又は前記パレットを検出する、
請求項2に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の荷役車両による荷役作業では、荷崩れ等を防いで安全に荷役を行うことが求められる。
特許文献1に記載の技術では、空間認識センサから取得した情報に基づいて、パレット等の運搬対象と、運搬対象が積載されている搬出先(例えば、輸送車両の荷台、蔵置されたコンテナ)との位置ずれを検出することで、運搬対象を適切に積載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォークから荷(パレット含む)が車幅方向に突出していると、走行中に荷を棚柱や通路壁等と接触させるおそれがある。
本発明は、走行時の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る荷役車両は、
車体と、
前記車体の前部に設けられ、荷を保持する荷役装置と、
前記車体の側部に設けられ、前方の物体を検出する検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、走行時の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る荷取り処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る荷取り処理を説明するための図である。
図5】実施形態に係る荷取り処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の側面図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る荷役車両の一例であり、トラック40の荷台41(図4参照)からの荷Lの積み取り(積み下ろし)を行う荷取り作業を含む荷役作業を行う。また、フォークリフト1は、特に限定はされないが、無人(自動)で動作可能な無人搬送フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)であり、図示しない管理サーバからの動作指令等に基づいて所定の荷役作業を行う。
なお、以下の説明において、前後左右上下の各方向の記載は、特に断りのない限り、フォークリフト1から見た方向を意味するものとする。
【0010】
具体的に、フォークリフト1の車体10は、車両本体11、フォーク12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車両本体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車両本体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷Lやパレット30などを保持する左右一対のフォーク12が取り付けられている。一対のフォーク12は、マスト14及び昇降体13の駆動により、車両本体11に対する傾斜及び昇降が可能となっている。本発明に係る荷役装置は、フォーク12、昇降体13及びマスト14を含む。なお、マスト14は傾斜せずに、昇降体13がマスト14に対して傾斜する構成であってもよい。
パレット30は、荷Lが載置された荷受台である。このパレット30は、短矩形板状に形成され、一対のフォーク12が挿入される2つの孔部(フォークポケット)32を有する。
【0011】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、通信部28、レーザースキャナ24、フォーク基端センサ29、位置計測装置25、記憶部26、制御部27を備える。
【0012】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降と、昇降体13又はマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
【0013】
操作部22は、例えば有人(手動)運転時に運転者が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示(出力)する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。また、表示部23は、音声出力可能な音声出力部を含んでもよい。
通信部28は、管理サーバ等との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
【0014】
レーザースキャナ24は、本発明に係る検出部の一例であり、車体前方の所定のスキャン領域N(計測領域;図4(a)参照)内の距離情報を取得することで、車体前方の物体を検出(検知)し、その結果を制御部27に出力する。本実施形態のレーザースキャナ24は、車体10の左右方向(車幅方向)に略直交する平面状のスキャン領域Nを有する二次元の距離センサ(例えば、二次元LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging))である。スキャン領域Nは、車体前方に向かって上下方向に所定の角度範囲を有する。
レーザースキャナ24は、一般的なトラックの荷台高さ(例えば1.4m)よりも高い位置に配置されている(図4参照)。また、レーザースキャナ24は、車両本体11の左右両側部それぞれに配置され、車両側方に突設されている(図5参照)。
なお、以下では、左右2つのレーザースキャナ24のうち、右側のレーザースキャナ24Rに係るものには「R」を、左側のレーザースキャナ24Lに係るものには「L」を、それぞれの符号の末尾に付して、これらを識別する場合がある(図5参照)。
【0015】
フォーク基端センサ29は、車体前方のスキャン領域内の距離情報を取得して、その結果を制御部27に出力する。フォーク基端センサ29は、上下方向と直交する平面状のスキャン領域を有する二次元の距離センサである。フォーク基端センサ29は、フォーク12の基端部でおいてフォーク12と略同じ高さに配置されるとともに、2つのフォーク12の左右略中央に配置されている。本実施形態のフォーク基端センサ29は、後述するように、荷取り時にパレット30の孔部32を検出するために用いられる。
【0016】
位置計測装置25は、フォークリフト1自身の位置を計測するものである。位置計測装置25が取得した自己位置の情報は、例えば管理サーバに送信されてフォークリフト1自身の位置制御に利用される。位置計測装置25の具体構成は特に限定されず、例えば、GNSS(衛星測位システム)を利用するものでもよい。あるいは、走行方向を計測するセンサ(慣性計測装置等)と走行距離センサとを用い、微少時間に走行した方向と距離とを逐次積算して位置を計測するものでもよいし、作業エリアの各所に配置されたリフレクタ(マーカ)を光学センサで検出して、予め設定されているリフレクタの配置情報と照合することでフォークリフト1の位置を計測するもの等でもよい。
【0017】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部26は、後述の荷取り処理(図3参照)を実行するための荷取りプログラム260を予め記憶している。
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、管理サーバからの動作指令等に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0018】
[荷取り処理]
続いて、荷役作業中のフォークリフト1が荷取り処理を実行するときの動作について説明する。
図3は、荷取り処理の手順を示すフローチャートである。図4及び図5は、荷取り処理を説明するための図であって、このうち図4は荷取り時のフォークリフト1の側面図であり、図5は荷取り時のフォークリフト1の平面図である。
【0019】
荷取り処理は、フォークリフト1が例えばトラック40の荷台41上などから、荷Lをパレット30ごと積み取る(積み下ろす)ときに実行される処理である。この荷取り処理は、フォークリフト1の制御部27が記憶部26から荷取りプログラム260を読み出して展開することで実行される。
なお、以下では、フォークリフト1から見た前後方向のうち、フォークリフト1に近い側を「手前(側)」、遠い側を「奥(側)」と記載する場合がある。
【0020】
図3に示すように、荷取り処理が実行されると、まず制御部27は、図示しない管理サーバからの動作指令に基づいて、トラック40の荷台41上から荷Lを積み下ろして倉庫内等に順次積み込む荷役作業を開始する(ステップS1)。なお、荷取り処理は、荷役作業のうちの荷取り時のみに実行されることとしてもよい。
トラック40は、荷台41手前側のアオリ(側アオリ)42を開放させた状態で荷台41を露出させている(図4参照)。フォークリフト1は、管理サーバからの動作指令に基づいて、所定の移動経路上を走行して、アオリ42が開放された側からトラック40に接近し、荷台41上の所定位置に配置された荷L(パレット30)を積み取る。なお、フォークリフト1と荷台41は、いずれも略水平にあるものとする。
【0021】
荷役作業において、フォークリフト1は、トラック40付近まで走行してくると、荷台41から荷Lを積み取るために、アオリ42が開放された側の荷台41の側方に車体10を正対させる。「荷台41の側方に車体10を正対」させるとは、トラック40の側方において、車体10前方を(アオリ42が開放された側の)荷台41に向けることをいう。
本実施形態では、フォークリフト1がトラック40の前方又は後方からトラック40の車長方向に沿って移動してきた後、いわゆるスイッチバックによりトラック40の側方で車体10を旋回させ、荷台41の側方に車体10を正対させるものとする。
【0022】
このとき、制御部27は、荷台41の側方に正対するように車体10を旋回させるときに、レーザースキャナ24により荷台41上をスキャンする(ステップS2)。
具体的に、制御部27は、車体10の旋回中に、荷台41に近い側のレーザースキャナ24を、そのスキャン領域Nが荷台41上での荷Lの載置予定位置に亘るように、所定の時間(又は旋回角度)の間だけ動作させる。そして、制御部27は、荷台41上の載置予定位置における距離情報を取得し、この載置予定位置の物体を検知する。レーザースキャナ24を動作させるときのフォークリフト1の位置(移動範囲)は、移動経路に基づいて予め設定されている。
【0023】
次に、制御部27は、ステップS2のスキャン結果から、荷台41の載置予定位置に荷L(パレット30)が存在するか否かを判定する(ステップS3)。
ここでは、制御部27は、ステップS2のスキャン結果を、荷L及びパレット30の形状情報及びサイズ情報と照合し、荷台41上の荷Lの有無を検出する。荷L及びパレット30の形状情報及びサイズ情報は、予め記憶部26に記憶されている。
そして、荷台41の載置予定位置に荷Lが存在しないと判定した場合(ステップS3;No)、制御部27は、車体10を停止させ、計画と異なり荷台41上に荷Lが無いことを管理サーバ(又は運転者)に報知した後(ステップS4)、荷取り処理を終了させる。
この場合の報知態様は特に限定されず、管理サーバに報知信号を送信してもよいし、表示部23に警告表示を表示させたり警告音声を出力させたりしてもよい。
【0024】
一方、ステップS3において、荷台41の載置予定位置に荷Lが存在すると判定した場合(ステップS3;Yes)、制御部27は、荷台41の側方に車体10を正対させた状態で再び荷台41上をスキャンする(ステップS5;図4(a))。
ここでは、車体10を荷台41に正対させつつ荷台41から所定距離(例えば2m。レーザースキャナ24の検出精度が良好な距離範囲内)まで近づけて停止させた状態で、左右両側のレーザースキャナ24により個別にスキャンを行う。各スキャン領域Nには、荷台41の上面41aとアオリ42の先端(下端)42aとが含まれる。これにより、荷台41の上面41aとアオリ42全体を含むスキャン領域N内の距離情報が得られる。
【0025】
次に、制御部27は、ステップS5のスキャン結果から、荷台41の上面41aを検出する(ステップS6)。
このステップでは、制御部27は、スキャンにより得られた点群データに基づいて、荷台41の上面41aとアオリ42(の表面)を検出(フィッティング)する。
荷台41の上面41aの検出線は、例えば、点群データのうち実際の上面41aの高さに近い高さにあって略水平に分布するものを、当該上面41aから得られた点群データとして、この点群データに直線検出アルゴリズムを適用することで得られる。アオリ42の検出線は、例えば、点群データのうち荷台41の先端(手前側の端部)から下側に分布するものを、アオリ42から得られた点群データとして、この点群データに直線検出アルゴリズムを適用することで得られる。直線検出アルゴリズムは、点群データに最もよく当てはまる直線を取得するものであれば特に限定されず、例えば最小二乗法を用いてフィッティングする手法などでもよい。
【0026】
次に、制御部27は、荷台41の上面41a(の最も高い位置)よりも所定高さだけ高い位置までフォーク12を上昇させる(ステップS7)。
ここでは、荷台41の上面41aとパレット30底面とが所定高さ(例えば20mm)のマージンをもって離れるように、フォーク12が上昇される。この所定高さは、特に限定はされないが、例えば、想定される誤差及び先端垂れを考慮した場合でも荷台41とパレット30との接触が確実に回避できる最小の高さである。
【0027】
次に、制御部27は、ステップS5のスキャン結果から、アオリ42の先端42aの位置を算出する(ステップS8)。
このステップでは、制御部27は、点群データであってアオリ42の検出線の近傍に位置する点(距離が所定範囲内の点)のうち、最も手前側に位置する点を求める。そして、制御部27は、求めた点をアオリ42の先端42aとして、その位置(座標)を求める。なお、ステップS6でアオリ42の検出線を求めていなかった場合にはここで求めればよい。
【0028】
次に、制御部27は、ステップS8で求めたアオリ42の先端42aの位置よりも所定距離だけ手前側の位置まで車体10を前進させる(ステップS9;図4(b))。
ステップS8で求めたアオリ42の先端42aの位置は、レーザースキャナ24からの相対位置(座標)であるため、ここでは、まず車両本体11の前端からの相対位置を求める(車体10におけるレーザースキャナ24の相対位置は既知)。そして、車両本体11の前端とアオリ42の先端42aとが所定距離だけマージンをもって離れるように、フォークリフト1(車体10)を前進させる。この所定距離は、特に限定はされないが、例えば、想定される誤差要因を考慮した場合でも車体10とアオリ42との接触が確実に回避できる最小の距離である。
【0029】
次に、制御部27は、フォーク基端センサ29によりパレット30をスキャンする(ステップS10)。
ここでは、制御部27は、フォーク基端センサ29により、2つの孔部(フォークポケット)32を含むパレット30の位置及び形状を検出する。
【0030】
次に、制御部27は、ステップS10のスキャン結果に基づいて、パレット30とフォークリフト1(一対のフォーク12)との左右方向の中心合わせを行う(ステップS11)。
本実施形態では、制御部27は、例えばサイドシフト機能により一対のフォーク12を左右に移動させて、パレット30に対して一対のフォーク12を左右方向の中央に位置させる。なお、左右の中心合わせの手法はこれに限定されず、フォークリフト1を一度後退させて左右の位置を調整してもよい。あるいは、ステップS9でフォークリフト1を前進させる前にステップS10のスキャンを実行し、この前進と同時に左右の中心合わせを行ってもよい。
【0031】
次に、制御部27は、フォーク12を動作(リーチやリフトアップ等)させ、荷L(パレット30)を荷台41から積み取る(ステップS12)。
【0032】
次に、制御部27は、アオリ42の先端42aから所定距離後方の位置まで車体10を後退させた後(ステップS12a)、一対のフォーク12と車体10との左右方向の中心合わせを行う(ステップS12b)。これにより、車体10(すなわち2つのレーザースキャナ24)と一対のフォーク12との左右方向の中央位置が一致した状態となる。
次に、制御部27は、左右のレーザースキャナ24により、前方をスキャンする(ステップS13)。
そして、制御部27は、ステップS13のスキャン結果に基づいて、荷L又はパレット30が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0033】
ステップS14では、レーザースキャナ24が、荷L又はパレット30の位置又は大きさに基づいて、当該荷L又はパレット30を検出する。
例えば図5(a)に示すように、荷L及びパレット30の少なくとも一方が過度に大きいサイズの場合に、レーザースキャナ24によりこれを検出できる。
【0034】
あるいは、荷L及びパレット30の少なくとも一方の位置が左右に偏っている(中心から外れている)場合に、レーザースキャナ24によりこれを検出できる。
例えば図5(b)に示すように、荷Lがパレット30よりも車体10の左右方向に突出している場合に、当該荷Lが検出される。パレット30とフォークリフト1が左右に中心合わせされた状態では、レーザースキャナ24(スキャン領域N)の左右方向位置は、パレット30の左右の端部よりも所定の距離Dだけ左右側方に位置している。そのため、ステップS13のスキャン結果から、フォーク12上に保持した荷Lの前後方向位置の辺りに物体が検出された場合、制御部27は、当該物体がパレット30から突出した荷Lであると判定する。図5(b)の例では、車体左側のレーザースキャナ24Lのスキャン光が遮られており、荷Lがパレット30よりも距離D以上に左方に突出している。ただし、全体として不定形の荷Lの場合等には、パレット30の左右両側から荷Lが突出する状況もあり得る。
また、パレット30が荷Lよりも車体10の左右方向に突出している場合には、当該パレット30が検出される。
【0035】
ステップS14において、荷L又はパレット30が検出されたと判定した場合(ステップS14;Yes)、制御部27は、荷L又はパレット30の状態が適正でないことを警告する警告出力を行う(ステップS15)。
ここでは、制御部27は、車体10を停止させたうえで、表示部23に警告表示を表示させたり警告音声を出力させたりして、荷L又はパレット30が適正に載置されていない(あるいは、これらのサイズが適正でない)ことを周辺の作業員や管理サーバに報知する。この場合の出力(報知)態様は特に限定されず、管理サーバに報知信号を送信したりしてもよい。
このときには、制御部27は、車体10を停止させたうえで警告出力を行って、作業員(人間)による対応を待機する状態となり、荷取り処理を終了させる。
【0036】
一方、ステップS14において、荷L及びパレット30のいずれも検出されていないと判定した場合(ステップS14;No)、制御部27は、荷取り作業を続行する(ステップS16)。
【0037】
次に、制御部27は、荷取り処理を終了させるか否かを判定し(ステップS17)、終了させないと判定した場合には(ステップS17;No)、上述のステップS2へ処理を移行し、荷役作業を続ける。
そして、例えば荷役作業の終了等により、荷取り処理を終了させると判定した場合には(ステップS17;Yes)、制御部27は、荷取り処理を終了させる。
【0038】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、車体10の前部に設けられたフォーク12により荷Lが保持され、車体10の側部に搭載されたレーザースキャナ24により、当該レーザースキャナ24の前方(車体前方)の物体が検出される。
これにより、荷Lの位置が左右に偏っていたり、荷Lのサイズが過度に大きかったりした場合に、レーザースキャナ24によりこれが検知される。したがって、荷Lが左右方向に突出等した状態で走行することを未然に防ぐことができる。ひいては、走行時に荷Lと棚柱や通路壁等との干渉を回避することができ、車体10の走行時の安全性を向上させることができる。本発明は、自動倉庫システム(例えば特許第6621430号参照)において、区画された収納棚部を走行する台車などにも好適に適用できる。
【0039】
また、本実施形態によれば、レーザースキャナ24が荷L又はパレット30を検出するので、荷Lだけでなくパレット30の位置ずれ又はサイズオーバーも検出できる。
【0040】
また、本実施形態によれば、レーザースキャナ24は、左右方向(車幅方向)に垂直な平面状のスキャン領域Nを有しており、高さの異なる複数の位置における物体を検出可能となっている。
そのため、スキャン領域Nの範囲内であれば、フォーク12の高さに依らず好適に荷Lやパレット30を検出することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、荷L又はパレット30の位置又は大きさに基づいて、レーザースキャナ24により荷L又はパレット30が検出された場合に、警告出力が行われる。
これにより、周囲の作業員やオペレータは、速やかに状況を認識してこれに対処することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、パレット30と車体10とが左右方向に中心合わせされた状態で、荷Lがパレット30よりも左右方向に突出しているか否かが検出される。
これにより、フォークリフト1とパレット30との左右方向の位置ずれを抑制し、荷Lの位置が左右方向に偏った状態で走行することを未然に防ぐことができる。したがって、搬送時にフォークリフト1の重心がずれて走行時の安定性が低下する、荷崩れが起きる等のおそれを抑制できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、荷Lが載置されたパレット30をフォーク12が保持しているときに、レーザースキャナ24により、荷L又はパレット30が検出される。
これにより、レーザースキャナ24に対する荷L及びパレット30の位置(距離)が常に略一定であるので、パレット30に対する荷Lの位置ずれをより確実に検出できる。
【0044】
また、本実施形態によれば、レーザースキャナ24として、平面状のスキャン領域Nを有する二次元の距離センサが用いられる。
そのため、例えば三次元計測が可能な3D-LiDAR等を用いる場合に比べて、計測器コストを抑えられる。
【0045】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、車体10の左右両側部にレーザースキャナ24が設けられることとしたが、レーザースキャナ24の位置や数量は特に限定されない。例えばいずれか左右一方だけでもよいし、左右方向位置をパレット30のサイズ等に応じて調整可能に構成してもよい。また、本発明に係る検出部は、その前方の物体を検出できればよく、レーザースキャナに限定されない。
【0046】
また、上記実施形態では、パレット30を積み取りしてフォーク12で保持しているときに、レーザースキャナ24による検出を行うこととした。しかし、パレット30を積み取りする前、例えばパレット30の手前側に位置した時点で、レーザースキャナ24による荷L又はパレット30の検出を行ってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、トラック40の荷台41上から荷Lを積み取る場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、荷が載置されたパレットを保持する荷役車両に広く適用でき、例えば床等に平置きされた荷をパレットごと荷取りする場合にも好適に適用できる。
【0048】
また、上記実施形態では、フォークリフト1に搭載された制御部27が各種演算等を行うこととした。しかし、フォークリフト1外に設けられた制御手段(例えば管理サーバ)が、フォークリフト1から送信された情報に基づいて演算を行い、その結果をフォークリフト1に送信することとしてもよい。
また、フォークリフト1の前後方向(進行方向)は、フォーク12の爪先方向を先頭とする方向でもよいが、フォーク12の爪先方向を後方に向けることにより、フォーク12で保持した荷Lによってレーザースキャナ24の視界が遮られること等を防げる。
【0049】
また、上記実施形態では、フォークリフト1が無人搬送フォークリフトであることとした。しかし、本発明に係る荷役車両は、有人運転(遠隔操作含む)が可能なものや、有人運転と無人運転を切り替え可能なものを含む。また、本発明は有人運転のアシスト機能としても利用可能である。
また、本発明に係る荷役車両は、フォーク(又はそれに類するもの)で荷を保持して走行できるものであればフォークリフトに限定されず、例えば無人で走行する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等を含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 フォークリフト(荷役車両)
10 車体
12 フォーク
23 表示部(出力部)
24 レーザースキャナ(検出部)
27 制御部
29 フォーク基端センサ
30 パレット
32 孔部
260 荷取りプログラム
D 距離
L 荷
N スキャン領域
図1
図2
図3
図4
図5