(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094475
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】経糸糊付装置
(51)【国際特許分類】
D06B 3/04 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
D06B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211029
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】向出 充希
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB02
3B154AB03
3B154BA05
3B154BB32
3B154BB36
3B154BB39
3B154BB47
3B154BC01
3B154BC03
3B154BC06
3B154BC22
3B154BD04
(57)【要約】
【課題】
本発明は、糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、サイジングロールに外接するスクイズロールと、サイジングロールとスクイズロールとの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置と、ポンプから送り出される糊液を糊付け槽及び糊液供給装置へと供給する供給管とを備え、供給管が、一端でポンプに接続される主管路と、主管路から分岐される第1分岐管路及び第2分岐管路とから成り、第1分岐管路が糊付け槽に接続されると共に、第2分岐管路が糊液供給装置に接続される経糸糊付装置に関する。そして、本発明は、その経糸糊付装置において、装置コスト及びランニングコストを抑えつつも、糊液供給装置側へ適正な量の糊液を供給することが可能な構成を提供することを目的とする。
【解決手段】
経糸糊付装置が、第1分岐管路に流量制御弁を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊液が貯留される糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、前記経糸シートの経路を挟むように前記サイジングロールに外接するスクイズロールと、前記サイジングロールと前記スクイズロールとの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置と、ポンプから送り出される糊液を前記糊付け槽及び前記糊液供給装置へと供給する供給管とを備え、
前記供給管が、一端でポンプに接続される主管路と、前記主管路から分岐される第1分岐管路及び第2分岐管路とから成り、前記第1分岐管路が前記糊付け槽に接続されると共に、前記第2分岐管路が前記糊液供給装置に接続される経糸糊付装置において、
前記第1分岐管路に流量制御弁が設けられている
ことを特徴とする経糸糊付装置。
【請求項2】
前記ポンプは、糊液の送出量を調整可能なポンプである
ことを特徴とする請求項1に記載の経糸糊付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糊液が貯留される糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、経糸シートの経路を挟むようにサイジングロールに外接するスクイズロールと、サイジングロールとスクイズロールとの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置と、ポンプから送り出される糊液を糊付け槽及び糊液供給装置へと供給する供給管とを備え、供給管が、一端でポンプに接続される主管路と、主管路から分岐される第1分岐管路及び第2分岐管路とから成り、第1分岐管路が糊付け槽に接続されると共に、第2分岐管路が糊液供給装置に接続される経糸糊付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、糊液が貯留される糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールとを備えた経糸糊付装置が開示されている。また、その経糸糊付装置においては、そのサイジングロールの前側及び後側に、サイジングロールに外接するスクイズロールがそれぞれ設けられている。さらに、経糸糊付装置は、サイジングロール及び後側のスクイズロールの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置を備えている。そして、その経糸糊付装置では、糊液供給装置から糊液が供給されることで前記外接位置上に糊液溜まりが形成され、その糊液溜まりを経糸シートが通過することで、経糸シートから余分な糊液が搾り出されつつ経糸シートに対する糊付けが行われるようになっている。
【0003】
また、糊付け槽及び糊液供給装置には、糊液を送り出すためのポンプが供給管を介して接続されている。そして、その供給管は、一端でポンプに接続される主管路と、主管路から分岐される第1分岐管路及び第2分岐管路とから成っており、第1分岐管路が糊付け槽に接続されると共に、第2分岐管路が糊液供給装置に接続されている。そして、ポンプから送り出された糊液は、主管路から第1分岐管路及び第2分岐管路へ分岐して流れ、糊付け槽及び糊液供給装置へと供給される。
【0004】
その上で、特許文献1の経糸糊付装置では、糊付け槽側に供給される糊液と糊液供給装置側に供給される糊液との流量の割合を調整することを目的として、糊液供給装置に接続される第2分岐管路に流量制御弁としての流量調整弁が設けられている。なお、その構成においては、その流量調整弁が流量を絞る(減らす)方向に調整するものであることから、第2分岐管路を流れる糊液の流量は、その流量調整弁が設けられていない場合と比べて少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記のような経糸糊付装置においては、前記外接位置上の糊液溜まりにおいて経糸シートが最先で糊液に浸される、すなわち、糊液が浸透していない状態の経糸シートが最初に通過する(浸される)のが前記外接位置上の糊液溜まりであることから、糊液の消費量は、その糊液溜まりの方が、その下流側において糊液が浸される糊付け槽よりも多くなっている。そのため、その糊液溜まりに対し十分な量の糊液が溜められている状態を維持するために、糊液供給装置への糊液の供給量を、前記消費量に応じた十分な(より多い)量とする必要がある。
【0007】
なお、その経糸糊付装置においては、糊液供給装置は、糊付け槽よりも高い位置に設けられている。したがって、その糊液供給装置への糊液の供給は、糊付け槽への糊液の供給と比べ、より高い位置まで糊液を押し上げるかたちで行われることとなる。そのため、ポンプから供給管における主管路へ送り出される糊液が管路の分岐する部分において糊付け槽側の第1分岐管路と糊液供給装置側の第2分岐管路とに分かれて流れることとなるが、その流れは、第1分岐管路側と比べて第2分岐管路側へ流れにくいものとなっている。その上で、特許文献1の経糸糊付装置では、前記のように第2分岐管路に流量調整弁が設けられているため、第2分岐管路側は、糊液がより流れにくいものとなる。
【0008】
したがって、そのような引用文献1の経糸糊付装置において、前記のように糊液供給装置に対し十分な量の糊液を供給する(第2分岐管路に流す糊液を十分な量とする)ためには、供給管(主管路)に送り出す糊液の量(送出量)を非常に多くしなければならなくなる。そのため、そのような経糸糊付装置においては、容量の大きいポンプを採用しなければならず、装置コストが高くなると共に、ランニングコストが高いという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、装置コスト及びランニングコストを抑えつつも、糊液供給装置側へ適正な量の糊液を供給することが可能な経糸糊付装置の構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明は、糊液が貯留される糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、経糸シートの経路を挟むようにサイジングロールに外接するスクイズロールと、サイジングロールとスクイズロールとの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置と、ポンプから送り出される糊液を糊付け槽及び糊液供給装置へと供給する供給管とを備え、供給管が、一端でポンプに接続される主管路と、主管路から分岐される第1分岐管路及び第2分岐管路とから成り、第1分岐管路が糊付け槽に接続されると共に、第2分岐管路が糊液供給装置に接続される経糸糊付装置を前提とする。その上で、その経糸糊付装置が、第1分岐管路に流量制御弁を備えることを特徴とする。また、本発明において、ポンプは、糊液の送出量を調整可能なポンプであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明による経糸糊付装置によれば、糊付け槽に接続される第1分岐管路に流量制御弁が備えられることで、その経糸糊付装置は、糊付け槽側への糊液の流量が絞る(減らす)方向へ調整されるようになる。そして、前記のように分岐される供給管においては、糊付け槽側の第1分岐管路が絞られることで、糊液供給装置側への糊液の流量が、(第1分岐管路が絞られていない場合と比べ)増えることとなる。したがって、そのような本発明による経糸糊付装置によれば、容量の大きなポンプを採用すること無く、糊液供給装置に対し十分な量の糊液を供給する(第2分岐管路に流す糊液を十分な量とする)ことが可能となり、装置コスト及びランニングコストが抑えられる。
【0012】
また、その経糸糊付装置において、ポンプを糊液の送出量が調整可能なポンプとすれば、前記のように糊液供給装置側へ十分な量の糊液を供給する状態を維持しつつも、糊付け槽側への糊液の流量を増やすことができる。詳しくは、経糸糊付装置において、運転条件や環境条件等によっては、糊付け槽側への糊液の流量を増やすことが要求される場合がある。その場合において、ポンプが一定量の糊液を供給するものである場合には、第1分岐管路における流量制御弁の絞り量を減らすことでそれに対応することとなる。しかし、そのようにして糊付け槽側への糊液の流量を増やすと、それに伴って糊液供給装置への糊液の流量が減ってしまうこととなる。それに対し、ポンプを糊液の送出量が調整可能なものとすれば、前記要求に伴ってポンプからの糊液の送出量を増やすことで、糊液供給装置側への糊液の流量を可及的に減らすことなく、糊付け槽側への糊液の流量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る一実施形態における経糸糊付装置の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、
図1に基づき、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(実施例)について説明する。
【0015】
経糸糊付装置1は、糊液Sを貯留する糊付け槽3と、経糸シートTが巻き掛けられると共に糊液Sに浸されるサイジングロール11と、サイジングロール11に外接する第1のスクイズロール13及び第2のスクイズロール15とを備えている。但し、そのサイジングロール11、第1のスクイズロール13及び第2のスクイズロール15は、その軸線方向における寸法が略同じロールである。また、経糸糊付装置1は、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との外接位置に上方から糊液Sを供給する糊液供給装置20も備えている。
【0016】
サイジングロール11は、経糸シートTが巻き掛けられるロールである。そして、サイジングロール11は、その両端の支軸により、経糸糊付装置1におけるフレーム(図示略)に対し回転可能に支持されている。また、サイジングロール11は、その下部が糊付け槽3内に貯留された糊液Sに浸された状態となるように設けられている。
【0017】
なお、経糸糊付装置1は、サイジングロール11を回転駆動する駆動機構(図示略)を備えている。それにより、サイジングロール11は、経糸シートTの進行に合わせて積極的に回転駆動される。そして、経糸シートTは、サイジングロール11に巻き掛けられるかたちで案内されており、そのように案内される過程で糊液Sに浸されて糊液Sが含浸された状態となる。
【0018】
第2のスクイズロール15は、その経糸シートTに含浸された糊液Sを搾るためのものであって、サイジングロール11に対する前側に位置する配置で設けられている。また、、第2のスクイズロール15は、その軸線方向をサイジングロール11の軸線方向(経糸糊付装置1の幅方向)と一致させた向きで、その両端の支軸によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。なお、第2のスクイズロール15は、押圧機構(図示略)を介して前記フレームに対し支持されており、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接するように設けられている。したがって、第2のスクイズロール15は、前記のようにサイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0019】
そして、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられた経糸シートTは、前記のように外接するサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過した後、外部へ向けて引き出される。また、そのようにサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過する際に、前記のように糊液Sが含浸された経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0020】
第1のスクイズロール13は、サイジングロール11に対する後側に位置する配置で設けられている。そして、第1のスクイズロール13も、その軸線方向を前記幅方向と一致させた向きで、その両端の支軸によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。また、第1のスクイズロール13も、第2のスクイズロール15と同様に、前記押圧機構を介して前記フレームに対し回転可能に支持され、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接している。したがって、第1のスクイズロール13も、サイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0021】
なお、糊付け槽3は、上面が開放された筐体であって、底板4、前後の端壁5、6及び左右の側壁(図示略)とで形成されている。また、その糊付け槽3は、経糸糊付装置1の前後方向に関し、前側の端壁5がサイジングロール11と第2のスクイズロール15との外接位置よりも僅かに前方に位置するように設けられている。その上で、糊付け槽3は、後側の端壁6がサイジングロール11と第1のスクイズロール13との外接位置よりも後方に位置するような前記前後方向における大きさとなっている。そして、その糊付け槽3内には、糊付け槽3内へ糊液Sを供給するための供給部40が設けられている。
【0022】
また、その経糸糊付装置1においては、前記のようにサイジングロール11に対し第1のスクイズロール13が外接することで、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との間(外接位置の上側)に楔状の間隙である楔状領域が形成されている。その上で、その楔状領域の上方には、楔状領域に向けて糊液Sを供給するための糊液供給装置20が設けられている。また、その糊液供給装置20は、サイジングロール11の軸線方向に沿って延在する糊液パイプ22と、糊液パイプ22に対し取り付けられるノズル24とを備えている。
【0023】
また、経糸糊付装置1は、糊液Sの供給源である供給槽30及びその供給槽30に接続されて供給槽30の糊液Sを送り出すためのポンプPが設けられている。その上で、糊付け槽3内の供給部40及び糊液供給装置20における糊液パイプ22は、そのポンプPに対し供給管32を介して接続されている。それにより、ポンプPから送り出される糊液Sが、糊付け槽3に供給されて糊付け槽3内に糊液Sが貯留されると共に、前記した楔状領域に供給されてその楔状領域内に糊液溜まり18が形成される。
【0024】
なお、その供給管32は、一端でポンプPに接続される主管路33と、主管路33から分岐される第1分岐管路34及び第2分岐管路35とから成っている。そして、第1分岐管路34と第2分岐管路35とは、その管路径が略同じとなっている。その上で、供給管32は、その第1分岐管路34において糊付け槽3内の供給部40に接続されると共に、第2分岐管路35において糊液供給装置20における糊液パイプ22に接続されている。
【0025】
そして、その経糸糊付装置1においては、経糸シートTは、第1のスクイズロール13に巻き掛けられるかたちで案内され、前記のように外接するサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過した後、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられる。また、経糸シートTは、そのように両ロール間を通過する際に糊液溜まり18を通過することで、糊液Sが含浸された状態となる。その上で、そのように糊液Sが含浸された経糸シートTがサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過する際に、経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0026】
なお、経糸糊付装置1は、前記のように糊液Sが供給されるのに伴って糊付け槽3から溢流する糊液Sを受ける回収箱50を備えている。また、前記した楔状領域における糊液溜まり18に糊液Sが供給されるのに伴ってサイジングロール11及び第1のスクイズロール13の両側へ溢流する糊液Sも、その回収箱50によって受けられるようになっている。そして、経糸糊付装置は、その回収箱50で受けられた糊液Sが供給槽30へと流されて回収されるようになっている。
【0027】
以上のような経糸糊付装置1において、本発明では、経糸糊付装置1が、第1分岐管路34に流量制御弁を備えるように構成される。また、本実施例は、供給槽30に接続されたポンプPとして、主管路33へ送り出す糊液Sの送出量を調整できるように構成されたポンプを採用した例である。
【0028】
具体的には、経糸糊付装置1は、流量制御弁としての流量調整弁36を、第1分岐管路34に備えている。なお、その流量調整弁36は、流量を電気的に調整する(絞る)ことが可能な流量制御弁である。そして、その流量調整弁36は、経糸糊付装置1における制御装置(図示略)に接続され、その制御装置によって流量(弁の開度)が調整されるようになっている。但し、本発明の経糸糊付装置における流量制御弁は、手動で流量を調整するように構成された絞り弁等、流量が調整可能な他の弁であっても良い。
【0029】
また、ポンプPは、駆動源としての専用モータであって、インバータ制御によって回転数を変更することが可能なモータMを備えている。それにより、ポンプPは、そのモータMの回転数が変更(調整)されることで、送り出す糊液Sの送出量を変更(調整)できるものとなっている。さらに、経糸糊付装置1は、そのモータMの回転数を制御するためのインバータINVを備えている。そして、経糸糊付装置1においては、そのインバータINVも前記制御装置に接続され、インバータINVの出力周波数等がその前記制御装置によって制御されるようになっている。
【0030】
そして、そのように構成された本実施例の経糸糊付装置1においては、予め設定された量(単位時間当たりの量、設定量)の糊液Sを送り出すようにポンプPのモータMが駆動され、それにより、前記設定量の糊液SがポンプPから供給管32における主管路33に送り出される。なお、その前記設定量は、糊付けされる経糸の種類等に応じた運転条件や環境条件等を踏まえ、前記制御装置において適宜に設定されている。
【0031】
そして、主管路33に送り出された糊液Sは、第1分岐管路34(糊付け槽3側)と第2分岐管路35(糊液供給装置20側)とに分かれて流れることとなる。但し、第1分岐管路34には流量調整弁36が設けられており、その流量調整弁36によって糊液Sの流量が絞られた状態となっていることから、第2分岐管路35側へ流れる糊液Sの流量の方が第1分岐管路34側の流量と比べ、割合的に多くなる。
【0032】
したがって、その経糸糊付装置1によれば、高い位置に設けられている糊液供給装置20に対し糊液Sを供給するための第2分岐管路35に対し十分な量の糊液Sが流れる状態となるため、糊液供給装置20側へ適正な量の糊液Sを供給するために容量の大きなポンプを採用する必要が無く、装置コスト及びランニングコストが抑えられる。
【0033】
なお、経糸糊付装置においては、前記運転条件等の変更に伴って糊液Sの消費量が増加する等の理由により、糊付け槽3に貯留される糊液Sの量の不足が懸念される場合には、その対応として、糊付け槽3側へ供給する糊液Sの量を増やすことが必要となる。その場合において、単に流量調整弁36の開度を大きくする(絞り量を小さくする)のでは、糊液供給装置20側へ供給される糊液Sの量が減ってしまう。
【0034】
それに対し、本実施例の経糸糊付装置1によれば、ポンプPが糊液Sの送出量を調整できるように構成されているため、前記運転条件等の変更に伴ってポンプPによる糊液Sの送出量を変更することで、糊液供給装置20側への糊液Sの流量を可及的に減らすことなく、糊付け槽3側への糊液Sの流量を増やすことができる。なお、その送出量の変更は、前記制御装置に設定されている前記設定量を変更することで為される。そして、その前記設定量の変更は、例えば、「現在の設定量+n%」とするような設定を行うことで為されるようにすれば良い。
【0035】
以上では、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例において説明した構成に限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0036】
(1)ポンプについて、前記実施例のポンプPは、駆動源として専用のモータMを備えるように構成されたものとなっている。しかし、本発明において、ポンプは、そのようにモータで駆動される構成のものには限られず、例えば、圧縮エアにより駆動されるエア駆動式のポンプ等、他の駆動手段を有するポンプであっても良い。
【0037】
また、前記実施例のポンプPは、糊液Sの送出量を調整できるように構成されたものとなっている。しかし、本発明におけるポンプは、糊液Sの送出量の調整ができないように構成されたものであっても良い。すなわち、例えば、前記運転条件等の変更を必要としない状況において使用される経糸糊付装置については、ポンプによる糊液Sの送出量の調整が不要である場合があるため、その場合には、ポンプは、糊液Sの送出量の調整ができないものであっても良い。
【0038】
(2)前提となる経糸糊付装置について、前記実施例の経糸糊付装置1は、サイジングロール11が糊付け槽3内の糊液Sに浸され、第1、第2の2つのスクイズロール13、15が経糸シートTの経路を挟むようにサイジングロール11に外接するかたちで設けられるように構成されたものとなっている。しかし、本発明が適用される経糸糊付装置は、そのように構成されたものに限られない。
【0039】
例えば、経糸糊付装置は、サイジングロールに加え、第2のスクイズロールも糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。但し、その場合の糊付け槽は、前記前後方向においてサイジングロール及び第2のスクイズロールを包含するような大きさのものとされる。また、経糸糊付装置は、第2のスクイズロールのみが糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。
【0040】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 経糸糊付装置
3 糊付け槽
4 底板
5 前側の端壁
6 後側の端壁
11 サイジングロール
13 第1のスクイズロール
15 第2のスクイズロール
18 糊液溜まり
20 糊液供給装置
22 糊液パイプ
24 ノズル
30 供給槽
32 供給管
33 主管路
34 第1分岐管路
35 第2分岐管路
36 流量調整弁
40 供給部
50 回収箱
M モータ
P ポンプ
INV インバータ
S 糊液
T 経糸シート