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特開2024-94483樹木管理計画システムおよび樹木管理計画プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094483
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】樹木管理計画システムおよび樹木管理計画プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240703BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240703BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211042
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC11
5L050CC06
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】電力設備の周辺の樹木以外の樹木も含めた管理計画を策定できるようにする。
【解決手段】 電力設備Pの周辺の樹木である周辺樹木TEの位置情報を含む、周辺樹木情報を記憶する周辺樹木データベースと、ユーザ宅Hから管理を依頼された樹木である依頼樹木TCの位置情報を含む、依頼樹木情報を記憶する依頼樹木データベースと、周辺樹木情報と依頼樹木情報とに基づいて、周辺樹木TEと依頼樹木TCとを効率的に管理するための計画を策定する管理コンピュータ3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力設備の周辺の樹木である周辺樹木の位置情報を含む、周辺樹木情報を記憶する周辺樹木情報記憶手段と、
外部から管理を依頼された樹木である依頼樹木の位置情報を含む、依頼樹木情報を記憶する依頼樹木情報記憶手段と、
前記周辺樹木情報と前記依頼樹木情報とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に管理するための計画を策定する計画策定手段と、
を備えることを特徴とする樹木管理計画システム。
【請求項2】
前記周辺樹木が撮影された周辺樹木画像と、前記依頼樹木が撮影された依頼樹木画像とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木の生育状況を解析する状況解析手段を備え、
前記計画策定手段は、前記生育状況に基づいて前記計画を策定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理計画システム。
【請求項3】
前記計画策定手段は、前記樹木の管理が前記樹木の点検の場合に、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に点検するための日程と点検ルートとを策定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理計画システム。
【請求項4】
前記計画策定手段は、前記樹木の管理が前記樹木の伐採の場合に、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に伐採するための日程と伐採ルートとを策定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理計画システム。
【請求項5】
コンピュータを、
電力設備の周辺の樹木である周辺樹木の位置情報を含む、周辺樹木情報を記憶する周辺樹木情報記憶手段と、
外部から管理を依頼された樹木である依頼樹木の位置情報を含む、依頼樹木情報を記憶する依頼樹木情報記憶手段と、
前記周辺樹木情報と前記依頼樹木情報とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に管理するための計画を策定する計画策定手段、
として機能させることを特徴とする樹木管理計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木管理の計画を策定する樹木管理計画システムおよび樹木管理計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電力事業者においては、配電設備周辺の樹木が配電設備に接近していないかどうかを定期的に点検し、接近が確認された場合には、樹木伐採を実施して樹木接触による障害を予防していた。この際、樹木を伐採するには、地主と交渉して伐採の許可をとり、伐採の日程を計画する必要があった。
【0003】
このような背景の下、地主との交渉を含めて精度の高い樹木伐採調査開始時期を予測する、という近接樹木の伐採計画管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、送電線路が架設された土地、土地の送電線路に近接する樹木、土地の所有者である地主などの登録データに基づいて、伐採必要樹木の調査に必要な予想期間、地主との交渉に必要な予想期間および伐採作業に必要な予想期間から樹木の伐採のための調査開始時期を予測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-318835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配電設備に接近した樹木の伐採を電力事業者の作業員などが行う際に、周囲の需要家・住民から配電設備に接近した樹木以外の樹木の伐採を依頼されることがあった。特に、山間部や田園地帯などにおいては、高齢化や過疎化などによって自分の土地の樹木を伐採・管理できない住民が多く、配電設備に接近した樹木の伐採の交渉時などに、「あの木も切ってくれたら…」などという要望を聞くことがある。
【0006】
このように、配電設備に接近した樹木以外の樹木も電力事業者の作業員などに伐採してもらいたい、という要望が従来からあった。しかしながら、特許文献1のシステムでは、このような要望に関わる樹木について、樹木伐採調査開始時期を予測などすることができない。
【0007】
そこで本発明は、電力設備の周辺の樹木以外の樹木も含めた管理計画を策定可能な、樹木管理計画システムおよび樹木管理計画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、電力設備の周辺の樹木である周辺樹木の位置情報を含む、周辺樹木情報を記憶する周辺樹木情報記憶手段と、外部から管理を依頼された樹木である依頼樹木の位置情報を含む、依頼樹木情報を記憶する依頼樹木情報記憶手段と、前記周辺樹木情報と前記依頼樹木情報とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に管理するための計画を策定する計画策定手段と、を備えることを特徴とする樹木管理計画システムである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の樹木管理計画システムにおいて、前記周辺樹木が撮影された周辺樹木画像と、前記依頼樹木が撮影された依頼樹木画像とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木の生育状況を解析する状況解析手段を備え、前記計画策定手段は、前記生育状況に基づいて前記計画を策定する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の樹木管理計画システムにおいて、前記計画策定手段は、前記樹木の管理が前記樹木の点検の場合に、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に点検するための日程と点検ルートとを策定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1に記載の樹木管理計画システムにおいて、前記計画策定手段は、前記樹木の管理が前記樹木の伐採の場合に、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に伐採するための日程と伐採ルートとを策定する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、コンピュータを、電力設備の周辺の樹木である周辺樹木の位置情報を含む、周辺樹木情報を記憶する周辺樹木情報記憶手段と、外部から管理を依頼された樹木である依頼樹木の位置情報を含む、依頼樹木情報を記憶する依頼樹木情報記憶手段と、前記周辺樹木情報と前記依頼樹木情報とに基づいて、前記周辺樹木と前記依頼樹木とを効率的に管理するための計画を策定する計画策定手段、として機能させることを特徴とする樹木管理計画プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1および請求項5に記載の発明によれば、電力設備の周辺の樹木(周辺樹木)だけではなく、外部から管理を依頼された樹木(依頼樹木)も含めて、それらを管理するための計画が自動的に策定される。しかも、周辺樹木と依頼樹木の位置情報などに基づいて、それらを効率的に管理するように計画が策定される。このように、電力設備の周辺の樹木以外の樹木も含めて、効率的な管理計画を策定することが可能となり、需要家・住民などの要望に効率的に対応することが可能となる。この結果、需要家・住民などと電力事業者との永く安定した需給関係を築くことが期待できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、周辺樹木と依頼樹木の生育状況に基づいて管理計画が策定されるため、樹木の生育状況に応じた適正な管理計画を策定すること、さらには、適正な管理を行うことが可能となる。しかも、周辺樹木と依頼樹木の画像に基づいて生育状況が自動解析されるため、適正かつ迅速に生育状況を解析・取得することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、周辺樹木と依頼樹木を効率的に点検するための日程と点検ルートが策定されるため、電力設備の周辺の樹木と需要家・住民などから要望があった樹木とを、効率的に点検することが可能となる。この結果、時間や労力、費用を抑えつつ、需要家・住民などの要望に対応することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、周辺樹木と依頼樹木を効率的に伐採するための日程と伐採ルートが策定されるため、電力設備の周辺の樹木と需要家・住民などから要望があった樹木とを、効率的に伐採することが可能となる。この結果、時間や労力、費用を抑えつつ、需要家・住民などの要望に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る樹木管理計画システムを示す概略構成図である。
図2図1の樹木管理計画システムの管理コンピュータを示す概略構成ブロック図である。
図3図2の管理コンピュータの周辺樹木データベースのデータ構成を示す図である。
図4図2の管理コンピュータの依頼樹木データベースのデータ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態に係る樹木管理計画システム1を示す概略構成図である。この樹木管理計画システム1は、電力設備の周辺の樹木である周辺樹木TEと、外部から管理を依頼された(電力設備とは無関係な)樹木である依頼樹木TCの管理の計画を策定するシステムである。換言すると、電力事業者(その関連事業者を含む)が周辺樹木TEを管理するだけではなく、周辺樹木TEではない樹木をも管理する樹木管理サービスを外部に提供するためのシステムである。
【0020】
ここで、外部とは、樹木管理サービスの提供を受けるユーザであり、電力事業者の需要家や、電力事業者の管理地区に居住・所在する住民、企業などが含まれる。また、樹木の管理とは、電力設備の運営、保守などに必要な行為や、ユーザが生活をする上で必要な行為などで、主として、樹木の点検や伐採を含む。また、計画とは、管理を実施するために必要な方法や手順などであり、主として、管理を実施する日程や順序・ルートを含む。さらに、この実施の形態では、電力設備が電柱Pで、ユーザのユーザ宅Hの近辺に依頼樹木TCが植生しているものとする。
【0021】
樹木管理計画システム1は、主として、ドローン(無人飛行体)2と管理コンピュータ3とを備え、ドローン2は、電力事業者の管理センターCを発着陸し、管理コンピュータ3は、管理センターCに配設されている。
【0022】
ドローン2は、周辺樹木TEと依頼樹木TCを点検するための飛行体であり、搭載したカメラ21で上空から周辺樹木TEや依頼樹木TCを撮影する。このドローン2は、この実施の形態では、GPS機能などを備え、後述するようにして登録・記憶された点検ルート・航路を自動飛行するが、人が遠隔操縦するようにしてもよい。
【0023】
また、点検ルートには、周辺樹木TEや依頼樹木TCの位置である撮影ポイントが記憶され、飛行して撮影ポイントに到達すると、ホバリングして周辺樹木TEや依頼樹木TCをカメラ21で撮影する。そして、撮影した周辺樹木TEや依頼樹木TCの画像(動画、静止画を問わない)を、リアルタイムに、あるいは任意時に撮影ポイント(撮影の位置情報)および撮影日時とともに案内コンピュータ3に送信・登録可能となっている。
【0024】
管理コンピュータ3は、図2に示すように、主として、入力部31と、表示部32と、通信部33と、周辺樹木データベース(周辺樹木情報記憶手段)34と、依頼樹木データベース(依頼樹木情報記憶手段)35と、状況解析タスク(状況解析手段)36と、計画策定タスク(計画策定手段)37と、これらを制御などする中央処理部38と、を備える。
【0025】
入力部31は、各種情報や指令などを入力するためのインターフェイスであり、具体的には、データベース34、35にデータ・情報を入力したり、状況解析タスク36や計画策定タスク37の起動指令を入力したりする。表示部32は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、具体的には、状況解析タスク36の解析結果や計画策定タスク37の策定結果などを表示する。通信部33は、インターネット網や電話通信網などを介して外部と通信するためのインターフェイスであり、具体的には、ドローン2やサービス管理者の通信端末などと通信する。
【0026】
周辺樹木データベース34は、周辺樹木TEに関する情報つまり周辺樹木情報を記憶するデータベースであり、図3に示すように、樹木ID341ごとに、設備342、位置343、種類344、履歴345、画像346およびその他347が記憶されている。
【0027】
樹木ID341には、周辺樹木TEを識別する識別情報が記憶され、設備342には、この周辺樹木TEが接近・接触するおそれがある電力設備つまり電柱Pに関する情報が記憶されている。ここで、設備342に電柱Pの識別情報・電柱番号のみを記憶し、電柱番号とともに電柱Pの詳細な情報が記憶された別のデータベースにアクセスすることで、電柱Pに関する情報を取得できるようにしてもよい。また、電力設備に関する情報としては、電力設備の種類や位置情報(緯度、経度等)などが含まれる。
【0028】
位置343には、この周辺樹木TEの位置情報(緯度、経度等)が記憶されている。ここで、周辺樹木TEの位置情報として、この周辺樹木TEが接近・接触するおそれがある電力設備の位置情報を利用してもよい。種類344には、この周辺樹木TEの種類、例えば、桜の木、杉、シダなどが記憶されている。
【0029】
履歴345には、この周辺樹木TEに対して過去に行われた点検や伐採などの管理の履歴や、状況解析タスク36による解析結果などが記憶されている。例えば、いつどのような管理が行われ、どのような状況・結果であったかが記憶されている。画像346には、この周辺樹木TEに対して撮影された過去の画像が撮影日時とともに記憶されている。
【0030】
依頼樹木データベース35は、依頼樹木TCに関する情報つまり依頼樹木情報を記憶するデータベースであり、図4に示すように、樹木ID351ごとに、ユーザ352、位置353、種類354、履歴355、画像356およびその他357が記憶されている。
【0031】
樹木ID351には、依頼樹木TCを識別する識別情報が記憶され、ユーザ352には、この依頼樹木TCの管理を依頼したユーザに関する情報が記憶されている。ここで、ユーザが電力事業者の需要家の場合、ユーザ352に需要家の識別情報・契約番号のみを記憶し、識別情報・契約番号とともに需要家の詳細な情報が記憶された別のデータベースにアクセスすることで、需要家に関する情報を取得できるようにしてもよい。また、ユーザに関する情報としては、電力事業者との契約種別やユーザ宅Hの位置情報(緯度、経度等)などが含まれる。
【0032】
位置353には、この依頼樹木TCの位置情報(緯度、経度等)が記憶されている。ここで、依頼樹木TCの位置情報として、この依頼樹木TCの管理を依頼したユーザ・ユーザ宅Hの位置情報を利用してもよい。種類354には、この依頼樹木TCの種類、例えば、桜の木、杉、シダなどが記憶されている。
【0033】
履歴355には、この依頼樹木TCに対して過去に行われた点検や伐採などの管理の履歴や、状況解析タスク36による解析結果などが記憶されている。例えば、いつどのような管理が行われ、どのような状況・結果であったかが記憶されている。画像356には、この依頼樹木TCに対して撮影された過去の画像が撮影日時とともに記憶されている。
【0034】
状況解析タスク36は、周辺樹木TEが撮影された周辺樹木画像と、依頼樹木TCが撮影された依頼樹木画像とに基づいて、周辺樹木TEと依頼樹木TCの生育状況を解析するタスク・プログラムである。すなわち、カメラ21で撮影された画像がドローン2から管理コンピュータ3に送信・登録されたり、任意時に入力部31から画像等を指定して起動指令が入力されたりすると起動され、まず、画像を周辺樹木データベース34や依頼樹木データベース35に記憶する。この際、この画像に関連する撮影ポイントと、データベース34、35の位置354、353に基づいて、画像がどの周辺樹木TEまたは依頼樹木TCに該当するかを判定し、該当する樹木ID341、351の画像346、356に周辺樹木画像、依頼樹木画像を撮影日時とともに記憶する。
【0035】
次に、記憶した周辺樹木画像や依頼樹木画像、さらには、過去の周辺樹木画像や依頼樹木画像に基づいて、周辺樹木TEや依頼樹木TCが現在どのような生育状況であるかを解析する。すなわち、周辺樹木画像や依頼樹木画像を画像解析して、周辺樹木TEや依頼樹木TCが伐採を要する程に電柱Pやユーザ宅Hに接近しているか、近い将来(例えば、次の点検時までに)電柱Pやユーザ宅Hに接近するおそれがあるか、などを解析する。そして、対象の樹木ID341、351に対して、「すぐに伐採要」、「近い将来伐採要」、「暫く伐採不要」などの解析結果を表示部32に表示したりして、該当する履歴345、355に記憶する。
【0036】
ここで、このような解析において、人口知能・AIを活用してもよい。すなわち、周辺樹木画像や依頼樹木画像が入力されると、周辺樹木TEや依頼樹木TCの生育状況が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習モデルを用いてもよい。
【0037】
計画策定タスク37は、周辺樹木情報と依頼樹木情報とに基づいて、周辺樹木TEと依頼樹木TCとを効率的に管理するための計画を策定するタスク・プログラムである。すなわち、この実施の形態では、入力部31から起動指令が入力されると起動され、樹木TE、TCの点検の計画と伐採の計画とを自動策定する。これに対して、樹木TE、TCの点検の計画か伐採の計画かを入力部31で入力・選択できるようにして、選択された管理のみを計画するようにしてもよい。
【0038】
そして、樹木TE、TCの管理が樹木TE、TCの点検の場合に、周辺樹木TEと依頼樹木TCとを効率的に点検するための日程と点検ルートとを策定する。すなわち、周辺樹木TEと依頼樹木TCの位置情報(位置343、353)、過去の管理履歴(履歴345、355)、生育状況(履歴345、355)などに基づいて、効率的な点検を行うためには、いつどの周辺樹木TEと依頼樹木TCをどのような順序で点検すべきかを策定する。ここで、効率的な点検とは、できるだけ少ない時間・労力で、できるだけ多くの周辺樹木TEや依頼樹木TCを点検できることである。
【0039】
具体的に、この実施の形態では、周辺樹木TEに対して定期的に点検すべき周期・期間が設定され、まず、過去の管理履歴から次回の定期点検日が最も近い(早く到来する)周辺樹木TEを周辺樹木データベース34から抽出する。ここで、複数の周辺樹木TEを抽出することは、当然にあり得る。次に、この定期点検日において、周辺樹木TEと同日・同時期に点検すべき依頼樹木TCを依頼樹木データベース35から抽出する。この際、できるだけ定期点検対象の周辺樹木TEの周辺(同地域)で、効率的に点検可能な依頼樹木TCを抽出する。さらに、前回の点検から所定期間経過している依頼樹木TCを抽出したり、依頼樹木TCの種類(成長の速さ等)や季節(春夏は芽吹くため秋冬に伐採が好ましい等)などに応じて、この定期点検日に点検することが適正な依頼樹木TCを抽出したりする。
【0040】
次に、このようにして抽出した樹木TE、TCを1日(1台のドローン2等)では点検できない場合には、近い樹木TE、TC同士で複数の点検グループにグループ分けする。そして、複数の点検グループに対して、複数の点検日に分けたり、複数のドローン2で点検したりするようにする。
【0041】
続いて、各点検グループ(1グループの場合も含む)に対して点検ルート(点検・撮影ポイントとその順路)を策定する。この際、効率的に(短時間で)点検できるように最短順路で点検ルートを策定する。そして、所定の定期点検日まで(例えば、2年後まで)、あるいは、入力部31からの入力に応じて、順次、次の定期点検日に対して同様な策定を繰り返す。このようにして策定した点検日と点検ルートを表示部32に表示したり、サービス管理者の通信端末に送信したりする。
【0042】
一方、樹木TE、TCの管理が樹木TE、TCの伐採の場合に、周辺樹木TEと依頼樹木TCとを効率的に伐採するための日程と伐採ルートとを策定する。すなわち、周辺樹木TEと依頼樹木TCの位置情報(位置343、353)、生育状況(履歴345、355)などに基づいて、効率的な伐採を行うためには、いつどの周辺樹木TEと依頼樹木TCをどのような順序で伐採すべきかを策定する。
【0043】
具体的に、この実施の形態では、周辺樹木TEと依頼樹木TCの最新の生育状況に基づいて、「すぐに伐採要」である周辺樹木TEと依頼樹木TCを抽出する。ここで、1本の樹木TE、TCの伐採に要する時間に基づいて、抽出した樹木TE、TCを1日(1台の高所作業車4等)では伐採できない場合には、近い樹木TE、TC同士で複数の伐採グループにグループ分けする。そして、複数の伐採グループに対して、複数の伐採日に分けたり、複数の高所作業車4で伐採したりするようにする。また、伐採日は、予め設定された年月日に割り当てたり、月単位で割り当てたりしてもよく、あるいは、具体的な年月日を割り当てないで第1の伐採日、第2の伐採日などとしてもよい。
【0044】
続いて、各伐採グループ(1グループの場合も含む)に対して伐採ルート(伐採ポイントとその順路)を策定する。この際、効率的に(短時間で)伐採できるように最短順路で伐採ルートを策定する。同様にして、この実施の形態では、「近い将来伐採要」である周辺樹木TEと依頼樹木TCに対しても、伐採計画を策定する。このようにして策定した伐採日と伐採ルートを表示部32に表示したり、サービス管理者の通信端末に送信したりする。
【0045】
次に、このような構成の樹木管理計画システム1の作用・動作、樹木管理計画システム1による樹木管理計画方法について説明する。
【0046】
まず、樹木TE、TCの点検に関して計画策定タスク37が起動されると、上記のようにして、該当する樹木TE、TCの点検日と点検ルートが策定される。次に、点検日になると、ドローン2に点検ルートが登録・記憶されてドローン2が管理センターCから飛行し、点検ルートを飛行しながら各撮影ポイントでホバリングして、周辺樹木TEや依頼樹木TCをカメラ21で撮影する。そして、例えば、ドローン2が管理センターCに帰着すると、撮影画像、撮影ポイントおよび撮影日時が案内コンピュータ3に送信・登録される。
【0047】
続いて、例えば、最新の周辺樹木画像や依頼樹木画像に対して状況解析タスク36が起動されると、上記のようにして、周辺樹木TEや依頼樹木TCの生育状況が解析される。次に、樹木TE、TCの伐採に関して計画策定タスク37が起動されると、上記のようにして、該当する樹木TE、TCの伐採日と伐採ルートが策定される。次に、伐採日になると、高所作業車4などを使用して樹木TE、TCが伐採されるものである。
【0048】
以上のように、この樹木管理計画システム1によれば、電力設備の周辺の樹木・周辺樹木TEだけではなく、外部から管理を依頼された樹木・依頼樹木TCも含めて、それらを管理するための計画が自動的に策定される。しかも、周辺樹木TEと依頼樹木TCの位置情報などに基づいて、それらを効率的に管理するように計画が策定される。このように、周辺樹木TE以外の依頼樹木TCも含めて、効率的な管理計画を策定することが可能となり、需要家・住民などの要望に効率的に対応することが可能となる。この結果、需要家・住民などと電力事業者との永く安定した需給関係を築くことが期待できる。
【0049】
しかも、樹木TE、TCの生育状況に基づいて管理計画が策定されるため、樹木TE、TCの生育状況に応じた適正な管理計画を策定すること、さらには、適正な管理を行うことが可能となる。しかも、樹木TE、TCの画像に基づいて生育状況が自動解析されるため、適正かつ迅速に生育状況を解析・取得することが可能となる。
【0050】
また、樹木TE、TCを効率的に点検するための日程と点検ルートが策定されるため、周辺樹木TEと需要家・住民などから要望があった依頼樹木TCとを、効率的に点検することが可能となる。この結果、時間や労力、費用を抑えつつ、需要家・住民などの要望に対応することが可能となる。
【0051】
同様に、樹木TE、TCを効率的に伐採するための日程と伐採ルートが策定されるため、周辺樹木TEと需要家・住民などから要望があった依頼樹木TCとを、効率的に伐採することが可能となる。この結果、時間や労力、費用を抑えつつ、需要家・住民などの要望に対応することが可能となる。
【0052】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ドローン2で樹木TE、TCを点検・撮影する場合について説明したが、人が点検するようにしてもよい。また、周辺樹木TEの点検時や、周辺樹木TEの伐採の交渉時などに、依頼樹木TCを点検するようにしてもよい。この場合、このような点検が可能な依頼樹木TCを計画策定タスク37の点検対象から除いてもよい。さらに、計画策定タスク37において、樹木TE、TCの種類などに基づいて伐採後に塗薬などの措置が必要か否かを判定し、必要な場合に、その措置時間も考慮して伐採の日程を計画してもよい。また、管理コンピュータ3に周辺樹木データベース34と依頼樹木データベース35を設けずに、別のコンピュータやサーバに設けてもよい。
【0053】
一方、次のような樹木管理計画プログラムを汎用のコンピュータにインストールすることで、上記のような樹木管理計画システム1や管理コンピュータ3を構成してもよい。すなわち、コンピュータを、周辺樹木TEの位置情報を含む周辺樹木情報を記憶する周辺樹木情報記憶手段(周辺樹木データベース34)と、依頼樹木TCの位置情報を含む依頼樹木情報を記憶する依頼樹木情報記憶手段(依頼樹木データベース35)と、周辺樹木画像と依頼樹木画像とに基づいて、樹木TE、TCの生育状況を解析する状況解析手段(状況解析タスク36)と、周辺樹木情報と依頼樹木情報とに基づいて、樹木TE、TCを効率的に管理するための計画を策定する計画策定手段(計画策定タスク37)、として機能させ、計画策定手段は、樹木TE、TCの生育状況に基づいて計画を策定し、樹木TE、TCの管理が樹木TE、TCの点検の場合に、樹木TE、TCを効率的に点検するための日程と点検ルートとを策定し、樹木TE、TCの管理が樹木TE、TCの伐採の場合に、樹木TE、TCを効率的に伐採するための日程と伐採ルートとを策定する。
【符号の説明】
【0054】
1 樹木管理計画システム
2 ドローン(無人飛行体)
21 カメラ
3 管理コンピュータ
34 周辺樹木データベース(周辺樹木情報記憶手段)
35 依頼樹木データベース(依頼樹木情報記憶手段)
36 状況解析タスク(状況解析手段)
37 計画策定タスク(計画策定手段)
4 高所作業車
C 管理センター
TE 周辺樹木
TC 依頼樹木
P 電柱(電力設備)
H ユーザ宅(外部)
図1
図2
図3
図4