(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094487
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】陰茎固定装具
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A41B9/02 H
A41B9/02 P
A41B9/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211050
(22)【出願日】2022-12-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】512324878
【氏名又は名称】株式会社岡田快適生活研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】岡田 司郎
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128EB01
3B128EB13
3B128EB15
3B128EB23
3B128EC11
(57)【要約】
【課題】陰茎を人体に対して固定した状態をしっかりと維持することのできる陰茎固定装具を提供する。
【解決手段】陰茎固定装具1は、装着者の尿道に挿入される線状尿道挿入部材20と、線状尿道挿入部材20と連結されて陰茎を押さえ付けるための押さえ本体10と、押さえ本体10を陰茎に接触させて股間に装着するために、人体の腰回りに装着される紐状装着部材30と、を備え、押さえ本体10は、上部に設置された紐状装着部材30を接続するための上部接続部15と、下部に設置された紐状装着部材30を接続するための下部接続部16と、を備え、紐状装着部材30は、装着時に、人体の前側において上部接続部15に接続されるように構成されると共に、人体の後側から装着者の股間下方を通って下部接続部16に接続される股間下方紐35を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰茎を人体に押さえ付けて固定するための陰茎固定装具において、
装着者の尿道に挿入される線状尿道挿入部材と、
前記線状尿道挿入部材と連結されて前記陰茎を押さえ付けるための押さえ本体と、
前記押さえ本体を前記陰茎に接触させて股間に装着するために、人体の腰回りに装着される紐状装着部材と、を備え、
前記押さえ本体は、
上部に設置された前記紐状装着部材を接続するための上部接続部と、
下部に設置された前記紐状装着部材を接続するための下部接続部と、を備え、
前記紐状装着部材は、装着時に、人体の前側において前記上部接続部に接続されるように構成されると共に、人体の後側から装着者の股間下方を通って前記下部接続部に接続される股間下方紐を備えることを特徴とする陰茎固定装具。
【請求項2】
前記押さえ本体は、前記線状尿道挿入部材がスライド可能に挿入される連結穴が形成されており、前記連結穴において、前記線状尿道挿入部材と連結されていることを特徴とする請求項1記載の陰茎固定装具。
【請求項3】
前記線状尿道挿入部材は、前記尿道に挿入される先端側に所定の長さの硬殻部であって、所定の位置に関節が形成された硬殻部を備えていることを特徴とする請求項2記載の陰茎固定装具。
【請求項4】
前記上記接続部は、左右に所定の距離離れて設置された2つの上部フックを備え、
前記下部接続部は、左右に所定の距離離れて設置された2つの下部フックを備えることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の陰茎固定装具。
【請求項5】
前記装着紐部材は、前記上部接続部に接続される腰回り紐を備え、前記股間下方紐は、前記腰回り紐の背中側の部分に両端が接続されたU字状の紐であることを特徴とする請求項1記載の陰茎固定装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰茎を人体に対して固定するための陰茎固定装具に関する。
【背景技術】
【0002】
性同一性障害等の股間の陰茎による膨らみを抑えたい者が相当数存在し、このような者が装着するための装具が従来から提供されている。例えば、下記特許文献1には、陰茎を股間の下方へ向けて下向きに収納することで、股間の膨らみを目立たないようにする男性用パンツが公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、陰茎は、変形自在であり、硬軟やサイズも大きく変わるため、陰茎を所望の場所に固定して収納した状態を維持することは非常に困難である。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、陰茎を人体に対して固定した状態をしっかりと維持することのできる陰茎固定装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る陰茎固定装具は、陰茎を人体に押さえ付けて固定するための陰茎固定装具において、装着者の尿道に挿入される線状尿道挿入部材と、前記線状尿道挿入部材と連結されて前記陰茎を押さえ付けるための押さえ本体と、前記押さえ本体を前記陰茎に接触させて股間に装着するために、人体の腰回りに装着される紐状装着部材と、を備え、前記押さえ本体は、上部に設置された前記紐状装着部材を接続するための上部接続部と、下部に設置された前記紐状装着部材を接続するための下部接続部と、を備え、前記紐状装着部材は、装着時に、人体の前側において前記上部接続部に接続されるように構成されると共に、人体の後側から装着者の股間下方を通って前記下部接続部に接続される股間下方紐を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る陰茎固定装具によれば、陰茎を人体に対して固定した状態をしっかりと維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る陰茎固定装具の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る押さえ本体の構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る線状尿道挿入部材の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る装着部材の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る陰茎固定装具の装着状態を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態の変形例に係る押さえ本体の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る陰茎固定装具1は、装着者の尿道に挿入される線状尿道挿入部材20を備えることで、ずれたりすることなく陰茎をしっかりと人体に押し付けて固定した状態を維持できることを特徴とする。
【0010】
図1に示すように、陰茎固定装具1は、陰茎に前側から接触して人体へ押さえ付けるための押さえ本体10と、尿道に挿入される線状尿道挿入部材20と、押さえ本体10を人体に装着するための装着部材30とを備える。
図2に関して、
図2(a)は、押さえ本体10の表面側から見た正面図、
図2(b)は、押さえ本体10の裏面側から見た背面図、
図2(c)は、押さえ本体10の斜視図である。
【0011】
押さえ本体10は、全体としてX型であり、真ん中に位置する中央部11と、上部フック15と、下部フック16と、サイドフック17とを備えている(
図2等参照)。陰茎固定装具1の装着時には、板状の中央部11の裏面が陰茎に接触して陰茎を人体に押し付けて固定する。中央部11の真ん中には、線状尿道挿入部材20と連結するための貫通穴である連結穴12が形成されている。
【0012】
連結穴12は、裏面側が直径6mmの円形状であり、表面側は縦方向の長軸10mm、横方向の短軸6mmの楕円形状となっている。よって、連結穴12に挿入されて連結された線状尿道挿入部材20の後述する外殻25は、連結穴12の所に位置するときに、連結穴12との連結部分を中心に、縦方向において押さえ本体10に対して揺動自在となる。
【0013】
押さえ本体10の連結穴12の周りには、円周状に配置された複数の貫通穴である小孔13が形成されている。装着者が、陰茎固定装具1を装着したまま尿をした場合、この小孔13を通って尿を押さえ本体10の外に排出することができる。
【0014】
中央部11の上方には、X型に左右に分かれながら先端が表面側に湾曲した上部フック15が形成されている。上部フック15は、左右に1つずつ所定の距離離れて設置されており、装着部材30と接続するための上部接続部として機能する。
【0015】
中央部11の下方には、X型に左右に分かれながら先端が表面側に湾曲した下部フック16が形成されている。下部フック16は、左右に1つずつ所定の距離離れて設置されており、装着部材30と接続するための下部接続部として機能する。
【0016】
中央部11の左右側方には、先端が表面側に湾曲したサイドフック17が形成されている。サイドフック17は、左右それぞれに1つずつ設置されており、装着部材30と接続するためのサイド接続部として機能したり、追加の部材を押さえ本体10に取り付ける際の接続部として機能したりする。
【0017】
押さえ本体10は、エポキシ樹脂から一体に形成されており、本実施形態では、中央部11の厚みは6mm程度である。
【0018】
線状尿道挿入部材20は、細長い線状であり、柔軟な可撓性のある芯コード23と、芯コード23の先端側の部分を覆って設置された固いエポキシ樹脂製の外殻25とを備えている(
図3等参照)。線状尿道挿入部材20の先端に位置する外殻25が存在する4cm程度の硬殻部分が装着者の尿道に挿入される尿道挿入部21である。
【0019】
外殻25は、長軸方向の所定の箇所に関節26として機能する切れ目が設置されており、外殻25でカバーされた硬殻部分であってもこの関節26の部分で線状尿道挿入部材20が自在に曲がることができる。
【0020】
芯コード23は、外殻25よりも長く、線状尿道挿入部材20の手元側は、芯コード23がむき出しとなっている。本実施形態では、線状尿道挿入部材20の全長が19cmであり、芯コード23の全長も19cmとなる。
【0021】
先端側に位置する外殻25の長さの合計は8.5cmであり、先端から4cmの外殻25、1mmの切れ目、5mmの外殻25、1mmの切れ目、4cmの外殻25の順に設置されている。この最先端の外殻25の位置する硬殻部分が尿道挿入部21として機能し、1mmの切れ目、5mmの外殻25及び1mmの決め目の部分が関節26として機能する。また、芯コード23は、手元側の10cm程度が露出している。
【0022】
装着部材30は、押さえ本体10を人体の股間前面に押し付けた固定状態で装着するための部材であり、柔軟性のあるビニール製の中空のチューブ紐から構成される紐状部材である。装着部材30は、装着者の腰回りに装着される腰回り紐31と、装着者の股間下を前後に延在する股間下方紐35とを備えている(
図4等参照)。
【0023】
腰回り紐31は、輪状の一本のチューブ紐である。股間下方紐35は、略U字形の一本のチューブ紐であり、両端が腰回り紐31の後側部分に対して、所定の距離をおいて連結されており、折返し部分は股間下方を通って、人体の前側まで延在する長さである。
【0024】
腰回り紐31及び股間下方紐35のチューブ紐は、中空で軟らかいため変形自在であり、上部フック15及び下部フック16に引っ掛けられる際には、フック15,16の湾曲内側にチューブ紐が変形しながら嵌められることで、復元力や摩擦等によりチューブ紐がフック15,16にしっかりと固定される。
【0025】
続いて、陰茎固定装具1の装着状態について、
図5を参照しながら説明する。陰茎固定装具1を装着する際には、まず、装着部材30の腰回り紐31を装着者の腰回りに装着する。このとき、股間下方紐35の両端は装着者の後側(お尻側)において、所定の間隔を開けて腰回り紐31に連結固定されており、股間下方紐35はこの連結箇所からU字状に下方に垂れ下がっている。
【0026】
続いて、線状尿道挿入部材20の先端側の尿道挿入部21を装着者の尿道に挿入する。挿入後、線状尿道挿入部材20の手元側の芯コード23を押さえ本体10の連結穴12に裏面側から通し、外殻25の関節26が連結穴12の所に位置するまで、線状尿道挿入部材20と押さえ本体10とをスライドさせる。これにより、押さえ本体10の裏面が尿道口の位置する亀頭に接触する。
【0027】
この接触状態のまま、装着部材30により、押さえ本体10を人体に装着する。具体的には、押さえ本体10の上部フック15を腰回り紐31に引っ掛けて接続すると共に、股間下方紐35の垂れ下がっている折返し部分を股間の下方から前側に引っ張り、押さえ本体10の下部フック16に引っ掛けて接続する。
【0028】
このように、装着部材30と押さえ本体10とを接続すると、押さえ本体10の上部フック15が、腰回り紐31により、上方に引っ張られながら人体に押し付けられ、下部フック16が、股間下方紐35により、下方に引っ張られながら人体に押し付けられる。
【0029】
押さえ本体10は、尿道に挿入された線状尿道挿入部材20と連結されており、押さえ本体10は、裏面側の真ん中に尿道入口が位置する亀頭に接触して、陰茎を人体に押し付ける状態となる。この状態で、関節26よりも手元側の外殻25を上方に折り曲げ、芯コード23の先端を腰回り紐31に巻き付けておくことで、装着が完了する(
図5参照)。
【0030】
以上、本実施形態においては、装着時に、押さえ本体10が陰茎を装着者の体内に埋没させるように押し込んでおり、股間の陰茎による膨らみを最小限に抑えることができる。また、押さえ本体10は、尿道に挿入された線状尿道挿入部材20と連結されており、陰茎が変形したり動いたりすることで亀頭の位置が押さえ本体10からずれて外れてしまうことを防止できる。
【0031】
押さえ本体10と線状尿道挿入部材20とは、線状尿道挿入部材20の関節26の部分において連結されており、連結穴12の部分よりも手元側の外殻25が縦方向に揺動自在である。また、連結穴12への挿入方向において線状尿道挿入部材20をスライド可能である。よって、陰茎の変形や移動等を押さえ本体10と線状尿道挿入部材20との揺動やスライドにより吸収することが可能であり、装着状態を安定させることができる。
【0032】
装着状態において、股間下方紐35は、U字を構成する2本の紐が後側の腰回り紐31と前側の下部フック16との間を延在することになるが、2本の紐はそれぞれ陰嚢の左側又は右側を別れて通っている。このため、装着時に、陰嚢が、装着部材30のビニールチューブ紐によって押さえ付けられたり締め付けられたりすることがないため、装着者への負担も少ない。
【0033】
また、押さえ本体10の中央部11に複数の小孔13が形成され、股間下方紐35が陰嚢の左右両側を通ることで肛門の位置も避けているため、装着者は、陰茎固定装具1を装着したまま、小便や大便を行うこともできる。
【0034】
なお、上記装着状態では、サイドフック17を使用していないが、装着状態をより安定させるために、装着時に装着部材30とサイドフック17とを接続するようにしても良いし、押さえ本体10に他の部材を追加で接続設置するためにサイドフック17を使用するようにしても良い。
【0035】
続いて、本実施形態の変形例について、
図6を参照しながら説明する。
図6に関して、
図6(a)は、押さえ本体10’の表面側から見た正面図、
図6(b)は、押さえ本体10’の裏面側から見た背面図、
図6(c)は、押さえ本体10’の斜視図である。本変形例に係る陰茎固定装具は、押さえ本体10’の構成が上記実施形態と異なるが、その他の構成は上記実施形態と同様であるため、異なる構成を中心に説明する。
【0036】
本変形例に係る押さえ本体10’は、全体として十字型であり、真ん中に位置する中央部11’と、上部フック15’と、下部フック16’と、サイドフック17’とを備えており、中央部11’の真ん中には、連結穴12’が形成され、その周囲には小孔13’が形成されている。
【0037】
押さえ本体10’は十字型であり、上部フック15’は上部に1箇所、下部フック16'は下部に1箇所だけ設置されている。装着時には、上記実施形態と同様に、上部フック15’に腰回り紐31を引っ掛け、下部フック16’に股間下方紐35を引っ掛けて、押さえ本体10’を陰茎に対して押さえ付けて固定する。
【0038】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、上記実施形態と比較して押さえ本体10'がシンプルな構成で手軽に装着できるという効果を奏する。
【0039】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、陰茎固定装具を構成する部材の形状やサイズ、素材等は適宜変更可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、押さえ本体の中央部が板状部材であるが、装着時の股間の膨らみが目立たないのであれば、直方体形状や楕円球形状等、また、これらの組合せ形状等、適宜、所望の形状を取り得るのは言うまでもない。
【0041】
また、線状尿道挿入部材は、ある程度の硬さを有する可撓性の線状部材、例えば、外径7mm、内径5mmのシリコンチューブを用いることができる。押さえ本体の直径6mmの連結穴にこのようなシリコンチューブを通せば、摩擦により簡単には滑らないようにシリコンチューブと押さえ本体とを連結することができる。
【0042】
シリコンチューブを採用する場合、連結穴から押さえ本体の表面側に線状尿道挿入部材が少し飛び出す程度の長さにするのが望ましい。例えば、シリコンチューブの全長を6cm程度としておけば、尿道内に4cm程度挿入されたシリコンチューブの手元側が連結穴から1cm程度表面側に飛び出すことになる。この場合、排尿の際には、シリコンチューブを通って尿を外へ排出することも可能となる。
【0043】
また、押さえ本体の上部フックや下部フックは、内部に金属製のワイヤー等を埋め込んで強度補強を行っても良いし、上部フックや下部フックを樹脂製ではなく、金属製ワイヤー等で構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 陰茎固定装具
10 押さえ本体
11 中央部
12 連結穴
13 小孔
15 上部フック
16 下部フック
17 サイドフック
20 線状尿道挿入部材
21 尿道挿入部
23 芯コード
25 外殻
26 関節
30 装着部材
31 腰回り紐
35 股間下方紐