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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094490
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240703BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240703BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240703BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240703BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240703BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20240703BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240703BHJP
【FI】
F21S2/00 330
G03F7/20 501
F21S2/00 340
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V5/04 400
G02B3/00 A
G02B19/00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211056
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 竹夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 雄介
【テーマコード(参考)】
2H052
2H197
【Fターム(参考)】
2H052BA02
2H052BA09
2H052BA11
2H197BA09
2H197BA10
2H197CA01
2H197CA15
2H197CB16
(57)【要約】
【課題】複数のLEDから出射された光の利用効率を高めながらも、フライアイインテグレータ内に取り込むことのできる光量を高めることのできる光源装置を提供する。
【解決手段】
光源装置は、複数のLEDと、前記複数のLEDに対応して配置されたコリメート光学系と、コリメート光学系からの出射光を集光する集光光学系と、集光光学系からの出射光が入射されるフライアイインテグレータとを備える。集光光学系のバックフォーカス位置に配置された仮想一次光源からフライアイインテグレータの最大取込角を発散角として集光光学系に向かって進行した後に集光光学系を通過して得られる平行光を仮想二次光源としたとき、コリメート光学系の光出射面の形状に応じて決定される二次光源の幅と仮想二次光源の幅とが実質的に一致している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDと、
前記複数のLEDに対応して配置され、前記複数のLEDからの出射光が入射されるコリメート光学系と、
前記コリメート光学系からの出射光を集光する集光光学系と、
前記集光光学系からの出射光が入射されるフライアイインテグレータとを備え、
前記集光光学系のバックフォーカス位置に仮想一次光源を配置し、前記仮想一次光源から前記フライアイインテグレータの有効取込角を発散角として前記集光光学系に向かって進行した後に前記集光光学系を通過して得られる平行光を仮想二次光源としたとき、前記コリメート光学系の光出射面の形状に応じて決定される二次光源の幅と前記仮想二次光源の幅とが、実質的に一致していることを特徴とする、光源装置。
【請求項2】
前記コリメート光学系の光出射面の外縁を直線又は包絡線で仮想的に連絡して形成された凸多角形又は閉曲面の内側を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の外縁上の第一点から、前記仮想二次光源の中心を通過して、前記仮想二次光源の前記外縁上の前記第一点とは異なる第二点に達する線分の長さをDとしたとき、
前記二次光源の外縁は、前記仮想二次光源の外縁を前記中心に近づく側に0.1Dだけオフセットされてなる第一基準境界と、前記仮想二次光源の外縁を前記中心から離れる側に0.1Dだけオフセットされてなる第二基準境界との間に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記コリメート光学系の前記光出射面を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の占有領域である取込可能領域の面積S1と、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の内側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である未利用領域の面積S2bと、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の外側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である取込不能領域の面積S3bとが、
0<S3b/S1<0.4 且つ 0<S2b/S1<0.4
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記コリメート光学系の光出射面の外接円の内側を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の占有領域である取込可能領域の面積S1と、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の内側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である未利用領域の面積S2aと、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の外側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である取込不能領域の面積S3aとが、
|S3a-S2a| / S1 ≦ 0.17
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記コリメート光学系の光出射面は、前記集光光学系のフロントフォーカス位置の近傍範囲に配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記フライアイインテグレータは、四角形状又は六角形状を呈する複数のレンズ要素を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源装置に関し、特に、複数のLEDからの出射光を集光して利用する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アレイ状に配置された複数のLEDからの光をコリメートした後、集光光学系によってフライアイインテグレータの光入射面に集光させる光源装置が、本発明者によって開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-003086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フライアイインテグレータは、要素レンズの形状によって、有効取込角の範囲が決定される。つまり、フライアイインテグレータの光入射面に対して、有効取込角の最大値に対応する角度より大きな入射角で入射された光については、フライアイインテグレータ内に取り込むことができない。この場合、複数のLEDからの光を有効に利用することができず、光の利用効率が低下してしまう。
【0005】
複数のLEDからの光をすべてフライアイインテグレータ内に導くためには、単に、フライアイインテグレータの有効取込角の最大値よりも小さい角度で、フライアイインテグレータの光入射面に対して全ての光を入射させればよいようにも思える。しかし、このような状態を光源装置として実現しようとすると、フライアイインテグレータの光入射面における全ての光の入射角が、フライアイインテグレータの有効取込角の最大値から大幅に小さくなってしまい、フライアイインテグレータ内に取り込まれる光量が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、複数のLEDから出射された光の利用効率を高めながらも、フライアイインテグレータ内に取り込むことのできる光量を高めることのできる、光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光源装置は、
複数のLEDと、
前記複数のLEDに対応して配置され、前記複数のLEDからの出射光が入射されるコリメート光学系と、
前記コリメート光学系からの出射光を集光する集光光学系と、
前記集光光学系からの出射光が入射されるフライアイインテグレータとを備え、
前記集光光学系のバックフォーカス位置に仮想一次光源を配置し、前記仮想一次光源から前記フライアイインテグレータの最大取込角を発散角として前記集光光学系に向かって進行した後に前記集光光学系を通過して得られる平行光を仮想二次光源としたとき、前記コリメート光学系の光出射面の形状に応じて決定される二次光源の幅と前記仮想二次光源の幅とが、実質的に一致していることを特徴とする。
【0008】
仮想二次光源について、図1を参照して説明する。図1には、レンズ要素6,6,…を備えるコリメート光学系5と、コリメート光学系5からの出射光を集光する集光光学系7が図示されている。コリメート光学系5から出射された光は、集光光学系7によって、焦点(バックフォーカス)7fに集光される。図1において、集光光学系7の理想焦点距離がfaで表記されている。
【0009】
図1には、集光光学系7の焦点(バックフォーカス)7fに仮想一次光源VS1が配置されている状態が示されている。この仮想一次光源VS1は、フライアイインテグレータの有効取込角θLに対応する発散角を有して、集光光学系7に向けて光を発する。この光は、集光光学系7を通過すると、平行光に変換されて、コリメート光学系5の側に向けて進行する。図1では、この平行光を発する仮想的な光源を、仮想二次光源VS2と表記している。
【0010】
仮想二次光源VS2は、集光光学系7の側からコリメート光学系5の側に向けて平行光を発する仮想的な光源であるため、集光光学系7とコリメート光学系5の間の位置において、光軸11に平行な方向に任意に移動させることが可能である。図1では、仮想二次光源VS2を、コリメート光学系5の光出射面5aの位置に設定した場合についても、併せて図示されている。
【0011】
フライアイインテグレータの有効取込角θLは、フライアイインテグレータの要素形状によって決定される値である。つまり、光源装置が備えるフライアイインテグレータが特定されると、フライアイインテグレータの有効取込角θLも特定される。
【0012】
図1によれば、仮想二次光源VS2は、光軸11に直交する平面方向に係る幅をws2、光軸11から仮想二次光源VS2の外縁までの距離をrと規定すると、ws2=2×r=2×(fa×tan θL)として導出することができる。つまり、仮想二次光源VS2の寸法は、集光光学系7の焦点距離faと、フライアイインテグレータの有効取込角θLとによって導出できる。
【0013】
一方、複数のLEDから発せられた実際の光は、コリメート光学系5を介して平行光に変換された後、集光光学系7に向けて進行する。この平行光は、仮想光源からの仮想的な光ではなく、実際の光である。この実際の平行光の幅は、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される。
【0014】
集光光学系7の側から見て、コリメート光学系5の光出射面5aは、実際の二次光源を形成する。言い換えれば、二次光源の幅は、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される。
【0015】
上記構成のように、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される二次光源の幅が、仮想二次光源VS2の幅に実質的に一致しているとき、コリメート光学系5の光出射面5aから出射された実際の光は、図1に示す仮想一次光源VS1からの仮想的な光と逆方向に進行する。簡単のために、フライアイインテグレータの光入射面が、集光光学系7の焦点(バックフォーカス)7fに配置されている場合を想定すると、コリメート光学系5の光出射面5aから出射されて集光光学系7を通過した実際の光が、フライアイインテグレータの光入射面に対して入射するときの最大角度(最大入射角)は、有効取込角θLに実質的に一致する。
【0016】
つまり、上記光源装置の構成によれば、複数のLEDからコリメート光学系を介して出射された光の光線束がフライアイインテグレータの光入射面に対して入射される際の、入射角の範囲が、フライアイインテグレータ側で取込可能な角度範囲に実質的に一致する。このため、複数のLEDによって発せられた光量に対する、フライアイインテグレータ内に取り込まれる光量の比率を高めつつ、更に、フライアイインテグレータ内に多くの光を取り込むことが可能となる。詳細は、「発明の詳細な説明」の項内で後述される。
【0017】
コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される二次光源の幅が、仮想二次光源VS2の幅に実質的に一致するとは、以下の3つの態様で表現される。言い換えれば、以下の3つの態様のうち、少なくとも1つの態様によって表現できる場合、二次光源の幅と仮想二次光源の幅とが実質的に一致していると評価される。
【0018】
なお、上記によれば、二次光源の幅と仮想二次光源の幅とが実質的に一致していることは、言い換えれば、前記集光光学系からの出射光の前記仮想面に対する入射角の範囲が、前記フライアイインテグレータの要素形状(レンズ要素の形状)によって決定される有効取込角の範囲に実質的に一致することを意味する。
【0019】
第一の態様は、
前記コリメート光学系の光出射面の外縁を直線又は包絡線で仮想的に連絡して形成された凸多角形又は閉曲面の内側を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の外縁上の第一点から、前記仮想二次光源の中心を通過して、前記仮想二次光源の前記外縁上の前記第一点とは異なる第二点に達する線分の長さをDとしたとき、
前記二次光源の外縁は、前記仮想二次光源の外縁を前記中心に近づく側に0.1Dだけオフセットされてなる第一基準境界と、前記仮想二次光源の外縁を前記中心から離れる側に0.1Dだけオフセットされてなる第二基準境界との間に位置している場合に対応する。
【0020】
第二の態様は、
前記コリメート光学系の前記光出射面を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の占有領域である取込可能領域の面積S1と、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の内側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である未利用領域の面積S2bと、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の外側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である取込不能領域の面積S3bとが、
0<S3b/S1<0.4 且つ 0<S2b/S1<0.4
を満たす場合に対応する。
【0021】
第三の態様は、
前記コリメート光学系の光出射面の外接円の内側を二次光源とし、前記コリメート光学系の前記光出射面の位置に前記仮想二次光源を設定した場合において、
前記仮想二次光源の占有領域である取込可能領域の面積S1と、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の内側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である未利用領域の面積S2aと、
前記二次光源上に前記仮想二次光源を投影したときに、前記仮想二次光源の外縁の外側において、前記二次光源の外縁と前記仮想二次光源の外縁とに挟まれた領域である取込不能領域の面積S3aとが、
|S3a-S2a| / S1 ≦ 0.17
を満たすに対応する。
【0022】
前記コリメート光学系の光出射面は、前記集光光学系の前記フロントフォーカスの近傍範囲に配置されていても構わない。この「フロントフォーカスの近傍範囲」については、「発明の詳細な説明」の項内で後述される。
【0023】
前記フライアイインテグレータを構成するレンズ要素の形状は任意であるが、典型的には、円形状、四角形状又は六角形状を呈する。上記構成によれば、特にレンズ要素が四角形状又は六角形状である場合においても、複数のLEDから出射された光の利用効率を高めながらも、フライアイインテグレータ内に取り込まれる光量を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光源装置によれば、複数のLEDから出射された光の利用効率を高めながらも、フライアイインテグレータ内に取り込むことのできる光量を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】仮想二次光源を説明するための図面である。
図2】本発明の光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す図面である。
図3】LED上の異なる発光位置から出射した光の進行の態様を説明するための図面である。
図4】二次光源とみなされるコリメート光学系の光出射面から光軸に平行に進行する光の進行態様を説明するための図面である。
図5】二次光源とみなされるコリメート光学系の光出射面から光軸に非平行に進行する光の進行態様を説明するための図面である。
図6図4よりも幅広の二次光源から光軸に平行に進行する光の進行の態様を説明するための図面である。
図7】コリメート光学系を、光出射面側から見たときの模式的な図面の一例である。
図8図7に対応させた状態で、二次光源を模式的に表示した図面である。
図9図8で模擬された二次光源の外縁のみを抜き出して描画した図面である。
図10】フライアイインテグレータに対して入射した光の進行の態様を模式的に示す図面である。
図11】フライアイインテグレータに対して、有効取込角よりも大きな入射角で入射した光の進行の態様を模式的に示す図面である。
図12】仮想二次光源の幅に対して、二次光源の幅を小さく設計した場合の、フライアイインテグレータの取込余裕を説明するための模式的な図面である。
図13】仮想二次光源の幅に対して、二次光源の幅を大きく設計した場合に、フライアイインテグレータに取り込まれない光が存在することを説明するための模式的な図面である。
図14】円形状の仮想二次光源を、コリメート光学系の光出射面の位置に設定した場合において、二次光源の外縁が取り得る領域を説明するための図面である。
図15】矩形状の仮想二次光源を、コリメート光学系の光出射面の位置に設定した場合において、二次光源の外縁が取り得る領域を説明するための図面である。
図16】複数のレンズ要素が近接配置された領域から離れた位置に、独立して配置された光源及びレンズが配置されている態様を模式的に示す図面である。
図17】仮想二次光源に二次光源の光出射面を重ね合わせた図面である。
図18図17に示す図面に、仮想二次光源の内部で二次光源領域が存在しない領域と、仮想二次光源の外部で二次光源領域が存在する領域とを付記した図面である。
図19】二次光源の外縁を円形と擬制した場合において、二次光源の光出射面と仮想二次光源の領域とを重ね合わせた図面である。
図20図19に表記された図形の、右上1/4部分に対応する要素を抽出した図面である。
図21図2からコリメート光学系5と集光光学系7とを抜粋し、光線の進行態様を模式的に付記した図面である。
図22図21の状態からコリメート光学系5をZ方向に移動させたときの光線の進行態様を、図21の光線の進行態様に重ね合わせた図面である。
図23図22の一部拡大図である。
図24図2からコリメート光学系5と集光光学系7とを抜粋し、光線の進行態様を模式的に付記した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る光源装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図2は、本実施形態の光源装置1を模式的に示す図面である。光源装置1は、複数のLED3,3,…と、コリメート光学系5と、集光光学系7と、フライアイインテグレータ10とを備える。なお、以下の説明に際しては、光軸11に平行な方向をZ方向とし、Z方向に直交する平面をX-Y平面とする、X-Y-Z座標系が参照される場合がある。
【0028】
コリメート光学系5は、複数のLED3,3,…に対応して配置されたレンズ要素6,6,…を備え、複数のLED3,3,…から出射された光をコリメートして出射する。コリメート光学系5から出射された光は、集光光学系7において集光され、フライアイインテグレータ10の光入射面10aに導かれる。フライアイインテグレータ10は、複数のレンズ要素を有しており、各レンズ要素は、円形状、四角形状又は六角形状を呈する。
【0029】
本実施形態において、コリメート光学系5の光出射面(より詳細には、各レンズ要素6,6,…の光出射面)が、集光光学系7のフロントフォーカス位置に配置されている。また、フライアイインテグレータ10の光入射面10aは、集光光学系7のバックフォーカス位置に配置されている。
【0030】
この光学系により、複数のLED3,3,からの出射光が集光されてフライアイインテグレータ10に導かれ、フライアイインテグレータ10から照度が均一化された光が照射される。
【0031】
ところで、LED3から出射され、このLED3に対応して配置されたコリメート光学系5のレンズ要素6を通過する光の進行方向は、LED3の発光位置に応じて異なる。図3は、この点を説明するための模式的な図面である。
【0032】
LED3から出射された光の多くを取り込んでコリメート光を生成する観点から、レンズ要素6は、その中心位置が、光軸12の方向に関して、LED3の発光面の中心位置に対応するように配置される。このとき、光軸12上に位置する発光点3aから出射した光L6aは、レンズ要素6を通過して、光軸12に平行な方向に進行する。他方、発光点3aから光軸12に直交する方向に関してd1だけずれた位置にある発光点3bから出射した光L6bは、光軸12に対して、距離d1に対応した角度θ1を有して進行する。
【0033】
LED3,3,…から出射した光は、全てコリメート光学系5を通じて出射されることから、コリメート光学系5の光出射面5aを二次光源(図4参照)とみなすことができる。よって、以下では、二次光源についても、符号5aが適宜参照される。
【0034】
二次光源5aから出射され、光軸11に平行に進行した光は、図4に示すように、集光光学系7のバックフォーカス7fで集光される。また、二次光源5aから出射され、光軸11に非平行に進行した光は、図5に示すように、集光光学系7のバックフォーカス7fからずれた位置に集光される。いずれの場合においても、バックフォーカス7fを含み、光軸11に直交する平面30(X-Y平面)に対して、同一の入射角θ2で入射される。
【0035】
二次光源5aから出射した光が、平面30に入射するときの入射角は、二次光源5aの幅に依存する。図6は、図4と比較して、二次光源5aの幅W5を広げた場合に対応する。ここでいう幅W5とは、X-Y平面上における長さに対応する。このとき、二次光源5aから出射した光が、平面30に対して入射されるときの入射角θ3は、図4図5における入射角θ2よりも大きくなる。
【0036】
このことは、平面30を、フライアイインテグレータ10の光入射面10aに置き換えた場合、フライアイインテグレータ10の光入射面10aに入射される光の入射角は、二次光源5aの幅、すなわち、コリメート光学系5を構成する複数のレンズ要素6,6,…の配置態様によって決定されることを意味する。
【0037】
図7は、コリメート光学系5を、光出射面側から見たときの、すなわち図2における-Z方向に見たときの模式的な図面の一例である。なお、図7には、コリメート光学系5よりも紙面奥行き方向に配置されたLED3についても併記されている。
【0038】
図7に表示されたコリメート光学系5から、光が+Z方向(紙面手前方向)に向かって出射される。つまり、上述したように、コリメート光学系5の光出射面を二次光源5aとみなすことができる。図8は、図7に対応して二次光源5aを模式的に表示した図面である。
【0039】
なお、図8では便宜上、コリメート光学系5を構成する各レンズ要素6の光出射面の外縁を、直線又は包絡線で仮想的に連絡することで描画された閉じた図形(凸多角形又は閉曲面)の内側が、二次光源5aとして表記されている。この閉じた図形の外縁41によって囲まれた領域を、二次光源5aとみなすことができる。
【0040】
図9は、図8で模擬された二次光源5aの外縁41のみを抜き出して描画した図面である。図9に示すように、二次光源5aの光出射面には、最小幅Wnを有する領域と、最大幅Wxを有する領域が存在する。上述したように、光源のX-Y平面上の幅の寸法は、集光光学系7のバックフォーカス7fを含む平面30に入射される際の光の入射角に影響を与える。言い換えれば、二次光源5aのうち、最大幅Wxに対応する領域から出射して集光光学系7を経て進行した光が平面30に入射されたときの入射角は、最小幅Wnに対応する領域から出射した光の入射角と比べて、大きくなる。
【0041】
二次光源5aから出射した光は、フライアイインテグレータ10の光入射面10aに入射する。上述したように、光源の同一領域から出射された光は、同一の入射角で入射する。つまり、図10に模式的に示すように、二次光源5a内のある幅を有する部分から出射した光は、フライアイインテグレータ10を構成するレンズ要素21に対して、同一の入射角θaで入射する。
【0042】
上述したように、光源の幅が広い領域から出射した光は、相対的に大きな入射角で入射面に入射する。しかし、フライアイインテグレータ10は、その特性上、レンズ要素21の形状によって、内側に取り込むことのできる入射角の範囲に制限が生じる。本明細書では、フライアイインテグレータ10の光入射面10a側から入射された光のうち、フライアイインテグレータ10の光出射面側まで導光することのできる入射角を、「有効取込角」と記載する。
【0043】
図11は、ある光Lbが、フライアイインテグレータ10を構成するレンズ要素21に対して、有効取込角θLよりも大きい入射角θbで入射した場合の状況を示す図面である。光Lbの一部は、フライアイインテグレータ10内に取り込むことができないか、又は、フライアイインテグレータ10内に取り込むものの、光出射面に達することなく、側面から出射される。この場合、フライアイインテグレータ10に入射した光のうちの一部が、フライアイインテグレータ10の後段の光学系に入射させることができない。つまり、光源として配置された複数のLED3,3,…から出射された光のうちの一部が、利用できていないこととなり、光の利用効率が高められているとはいえない。
【0044】
二次光源5aから出射された光を、全てフライアイインテグレータ10内に有効に取り込むには、単に、図9を参照して説明した二次光源5aの幅(Wx,Wn)を、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLに対応する光源幅よりも小さくなるように設計すればよいようにも思える。しかし、この場合には、フライアイインテグレータ10において取り込むことのできる余裕(角度余裕)が存在しているにも関わらず、実際には利用されていない領域が存在することになる。
【0045】
なお、図1を参照して上述したように、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLに対応する光源幅とは、仮想二次光源VS2の幅に対応する。前記の記載を言い換えれば、図9を参照して説明した二次光源5aの幅(Wx,Wn)を仮想二次光源VS2の幅よりも小さく設計した場合、フライアイインテグレータ10側ではまだ光を取り込む余裕があるにも関わらず、その余裕領域に光が入射されていないことを意味する。
【0046】
図12は、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLに対応する光源幅、言い換えれば仮想二次光源VS2の幅に対して、二次光源5aの幅(Wx,Wn)を大幅に小さく設計した場合の、フライアイインテグレータ10の取込余裕を説明するための模式的な図面である。図12において、領域50の内側は、フライアイインテグレータ10の有効取込角θL以下の全範囲の入射角で光を入射させることのできる仮想的な二次光源に対応する。つまり、領域50は、仮想二次光源の占有領域であって、フライアイインテグレータ10内に取り込むことのできる領域に対応する。以下では、領域50を「取込可能領域50」と表現する。
【0047】
取込可能領域50の内側であって、二次光源5aの占有領域よりも外側の領域55(図12内の右下がりハッチング領域)は、仮にその領域内に光源が配置されていればフライアイインテグレータ10に取り込むことのできる領域である。言い換えれば、追加的にこの領域55内に二次光源を配置すれば、フライアイインテグレータ10に取り込むことのできる光量が増大されるため、光源装置1の出力を向上できる。
【0048】
逆に、二次光源5aの占有領域が、取込可能領域50よりも大きくなるように二次光源5aの幅が設計された場合には、図13に示すように、取込可能領域50の外側であって、二次光源5aの占有領域よりも内側の領域56(図13内の細かい右上がりのハッチング領域)からの光を、フライアイインテグレータ10の内部に取り込むことができない。この場合には、図11を参照して上述したように、複数のLED3,3,…から出射された光のうちの一部が利用できておらず、光の利用効率が高められない。
【0049】
本実施形態の光源装置1は、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLによって規定される取込可能領域50と、二次光源5aの占有領域(外縁41で囲まれた領域)とを実質的に一致させている。このことを、図1を参照して上述した内容に基づいて言い換えれば、本実施形態の光源装置1は、仮想二次光源VS2の幅によって規定される領域(取込可能領域50)と、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される二次光源5aの占有領域とを、実質的に一致させている。これにより、フライアイインテグレータ10に取り込むことができる角度範囲内において、可能な限り二次光源5aの大きさを広げることができる。言い換えれば、複数のLED3,3,…の配置数、又は発光面積を広げることができる。これにより、光の利用効率を低下させることなく、高出力の光源装置1が実現できる。
【0050】
二次光源5aから出射されてフライアイインテグレータ10の光入射面10aに入射さされる入射角の範囲を、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLの全範囲にための設計手法としては、いくつかの方法が採用され得る。この設計手法は、言い換えれば、仮想二次光源VS2の幅によって規定される領域(取込可能領域50)と、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される二次光源5aの占有領域とを実質的に一致させる手法ともいえる。以下、それぞれについて説明する。
【0051】
(第一の態様)
図12図13を参照して上述したように、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLによって規定される取込可能領域50、つまり仮想二次光源VS2の幅によって規定される取込可能領域50は、フライアイインテグレータ10を構成するレンズ要素21,21,…の形状や配置態様によって決定される。
【0052】
図14は、第一の態様における二次光源5aの形状を説明するための図面である。図14は、説明の簡単のために、仮想二次光源VS2が円形である場合が想定されている。端的には、フライアイインテグレータ10の光入射面10aが円形であって、この円形状の仮想一次光源VS1(図1参照)から出射された仮想的な光が、集光光学系7を通過してコリメート光学系5に向けて進行することで、光軸11方向に見て円形の仮想二次光源VS2を形成する場合が想定されている。
【0053】
図14は、このような円形の仮想二次光源VS2をコリメート光学系5の光出射面5aの位置に設定した場合において、コリメート光学系5の光出射面5aの外縁、言い換えれば二次光源5aの外縁が取り得る領域を説明するための図面である。
【0054】
図14において、仮想二次光源VS2が右上がりのハッチング領域で示されている。言い換えれば、右上がりのハッチング領域が取込可能領域50に対応する。そして、図14において、右下がりのハッチング領域で示された領域が、二次光源5aの外縁が取り得る領域である。
【0055】
仮想二次光源VS2の外縁VS2a上の第一点P1から、仮想二次光源VS2の中心Oを通過して、仮想二次光源VS2の外縁VS2aの第二点P2に達する線分の長さをDとする。二次光源5a、言い換えればコリメート光学系5の光出射面5aは、その外縁が、仮想二次光源VS2の外縁VS2aを中心Oに近づく側(内側)に0.1×Dだけオフセットされてなる第一基準境界51と、仮想二次光源VS2の外縁VS2aを中心Oから離れる側(外側)に0.1×Dだけオフセットされてなる第二基準境界52とによって挟まれた領域(右下がりハッチング領域)内に位置するように、設定されている。
【0056】
図15は、仮想二次光源VS2が矩形状を示す場合について、図14と同様に図示したものである。すなわち、図15は、矩形状の仮想二次光源VS2を、コリメート光学系5の光出射面5aの位置に設定した場合において、二次光源5aの外縁が取り得る領域を説明するための図面である。
【0057】
図15においても、図14と同様に、仮想二次光源VS2が右上がりのハッチング領域で示されており、この領域が取込可能領域50に対応する。そして、図15において、右下がりのハッチング領域で示された領域が、二次光源5aの外縁が取り得る領域である。
【0058】
図15に示す形状の場合においても、二次光源5a、言い換えればコリメート光学系5の光出射面5aは、その外縁が、仮想二次光源VS2の外縁VS2aを中心Oに近づく側に0.1×Dだけオフセットされてなる第一基準境界51と、仮想二次光源VS2の外縁VS2aを中心Oから離れる側に0.1×Dだけオフセットされてなる第二基準境界52とによって挟まれた領域(右下がりハッチング領域)内に位置するように、設定されている。
【0059】
図14又は図15に示す右下がりハッチング領域内に、コリメート光学系5の光出射面5aの外縁が位置することは、コリメート光学系5の光出射面5aの形状に応じて決定される二次光源5aの幅と仮想二次光源VS2の幅とが実質的に一致していることを意味する。言い換えれば、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLの全範囲に対応する取込可能領域と、二次光源5aの占有領域とが、ほぼ近い形状を示していることを意味する。
【0060】
なお、二次光源5aの占有領域の外縁41は、図8を参照して上述したように、コリメート光学系5を構成する各レンズ要素6の光出射面の外縁を、直線又は包絡線で仮想的に連絡することで設定できる。ただし図16に示すように、複数のレンズ要素6,6,…が近接して配置された領域から離れた位置に、独立して配置された光源及びレンズ(以下、「独立二次光源80」と称する。)が配置されている場合も想定される。かかる場合、離間しているレンズ要素6に対する離間距離dg6がレンズ要素6の半径以上の距離であって、且つ、独立二次光源80に含まれる光源数が、各レンズ要素6の光出射面の外縁を取り囲むことで特定される光源数の10%以下であれば、独立二次光源80は無視して構わない。
【0061】
(第二の態様)
図17及び図18は、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLによって規定される取込可能領域50、つまり仮想二次光源VS2の幅によって規定される取込可能領域50を、二次光源5aの光出射面に重ね合わせた図面である。図18に示すように、取込可能領域50の内側であって、二次光源5aの光出射面の外縁よりも外側に位置する領域62は、この位置に二次光源が追加的に配置されていたとしても、フライアイインテグレータ10の内部に取り込むことのできる領域(未利用領域)である。図18では、図17に対して未利用領域62に右下がりのハッチングが施されている。
【0062】
また、図18に示すように、二次光源5aの光出射面の一部であって、取込可能領域50の外側に位置している領域63は、この領域63から出射した光をフライアイインテグレータ10の内部に有効に取り込むことができない領域(取込不能領域)である。図18では、図17に対して取込不能領域63に右上がりのハッチングが施されている。
【0063】
ここで、取込可能領域50の面積をS1とし、未利用領域62の面積をS2bとし、取込不能領域63の面積をS3bとしたときに、
0<S3b/S1<0.4 且つ 0<S2b/S1<0.4 …(1)
を満たすように、二次光源5aの形状が寸法が設定されることで、二次光源5aの幅と仮想二次光源VS2の幅とが実質的に一致する。言い換えれば、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLの全範囲に対応する取込可能領域と、二次光源5aの占有領域とを、ほぼ近い形状にすることができる。
【0064】
(第三の態様)
図19は、二次光源5aの外縁を円形と擬制した場合において、二次光源5aの光出射面と、仮想二次光源VS2の幅によって規定される取込可能領域50を重ね合わせた図面である。コリメート光学系5を構成するレンズ要素6,6,…が、円に近い形で配列されている場合には、二次光源5aの外縁を円形とみなすことができる。また、コリメート光学系5を構成するレンズ要素6,6,…が、正六角形状や正方形状等に配置されている場合には、レンズ要素6,6,…の外周に接する外接円によって、二次光源5aの外縁とみなすことができる場合がある。
【0065】
取込可能領域50、つまり仮想二次光源VS2の幅によって規定される領域を正方形で擬制し、二次光源5aの外縁を円形で擬制すると、取込可能領域50の面積S1に対する、未利用領域62の面積S2aと取込不能領域63の面積S2bの差の比率を小さくする条件が、平面幾何学に基づく数値演算で算出できる。
【0066】
図20は、図19に表記された図形の、右上1/4部分に対応する要素を抽出した図面である。図19内の未利用領域62の面積をS2aとすると、図20内において、取込可能領域50の内側で、且つ二次光源5aの外縁の外側に位置する領域の面積は、S2a/4と表記される。同様に、取込不能領域63の面積をS3aとすると、図20に2箇所表示されている、取込可能領域50の外側で、且つ二次光源5aの外縁の内側に位置する領域の面積は、それぞれ、S2b/8と表記される。
【0067】
図20では、円形で擬制された二次光源5aの一部である1/4円の円弧上の一端をP1、他端をP2と表記し、二次光源5aの外縁と取込可能領域50の外縁との交点をPsと表記している。二次光源5aの半径をRs、取込可能領域50の一辺の1/2の大きさをRc、二次光源5aの中心Oと点Psとを結ぶ線分と、二次光源5aの中心Oと点P2とを結ぶ線分とのなす角度をθとする。このとき、平面幾何学に基づく演算により、取込可能領域50の面積S1に対する未利用領域62の面積S2aの比率、及び、取込可能領域50の面積S1に対する取込不能領域63の面積S3aの比率は、それぞれ以下の(2)式及び(3)式によって算定される。
【0068】
【数1】
【0069】
(2)式及び(3)式を変形することで(4)式が導かれる。また、(4)式の右辺に微分等の演算を施すことで、(5)式が導かれる。
【0070】
【数2】
【0071】
上記の演算結果から、取込可能領域の面積S1と、未利用領域の面積S2aと、取込不能領域の面積S3aとが、
|S3a-S2a| / S1 ≦ 0.17
の関係を満たす場合には、取込可能領域の面積S1と未利用領域の面積S2aの差分値が、二次光源5aの占有領域に対して極めて小さいこととなり、二次光源5aの占有領域と取込可能領域50とが実質的に一致しているとみなすことができる。つまり、上記関係を満たす場合には、二次光源5aの幅と仮想二次光源VS2の幅とが実質的に一致することになり、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLの全範囲に対応する取込可能領域と、二次光源5aの占有領域とを、ほぼ近い形状にすることができる。
【0072】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0073】
〈1〉上記実施形態では、コリメート光学系5の光出射面が、集光光学系7のフロントフォーカス位置に配置されているものとした。しかし、上記の議論は、コリメート光学系5の光出射面が、集光光学系7のフロントフォーカス位置の「近傍範囲」に配置されている場合にも適用が可能である。以下、図21図23を参照して、「近傍範囲」について説明を行う。
【0074】
図21は、図2からコリメート光学系5と集光光学系7とを抜粋したものに、光線の進行の態様を模式的に付記した図面である。図21は、コリメート光学系5の光出射面5aが集光光学系7のフロントフォーカスに配置されている場合が図示されている。
【0075】
図21では、コリメート光学系5が有する各レンズ要素6から出射する光線群のうち、光軸11に平行に進行する光線と、光軸11に対して角度θ1だけ傾斜して進行する光線とが図示されている。図21では、前者の光線が二点鎖線、後者の光線が一点鎖線でそれぞれ図示されている。
【0076】
コリメート光学系5が有する各レンズ要素6から出射した、光軸11に平行に進行する光線群は、光軸11上の点A1において集光される。この点A1は、集光光学系7のバックフォーカスの位置である。一方、コリメート光学系5が有する各レンズ要素6から出射した、光軸11に対して角度θ1だけ傾斜して進行する光線群は、光軸11から離れた点A2において集光される。なお、以下では、説明の都合上、点A2において集光される光線群のうち、最も+Y側に位置する光線を「光線L71」、最も-Y側に位置する光線を「光線L72」と称する。
【0077】
図22は、図21の状態からコリメート光学系5を光軸11の方向(Z方向)に距離Zeだけ移動させたときの光線の進行態様を、図21の光線に重ね合わせた図面である。なお、図22では、集光光学系7のバックフォーカスの位置から距離Zeだけずれた位置に配置されているコリメート光学系5を、図21の状態と区別するために、「コリメート光学系5e」と称する。
【0078】
図22に示すように、コリメート光学系5eが有する各レンズ要素6から出射した光軸11に平行に進行する光線群は、図21に示すコリメート光学系5が有する各レンズ要素6から出射した光軸11に平行に進行する光線群と同様に、光軸11上の点A1において集光される。また、図22に示すように、コリメート光学系5eが有する各レンズ要素6から出射し、光軸11に対して角度θ1だけ傾斜して進行する光線群は、図21に示すコリメート光学系5が有する各レンズ要素6から出射し、光軸11に対して角度θ1だけ傾斜して進行する光線群と同様に、光軸11から離れた点A2において集光される。
【0079】
集光光学系7のフロントフォーカスに配置されたコリメート光学系5から出射し、光軸11に対して角度θ1だけ傾斜して進行する光線群は、光線L71と光線L72との間に含まれる光線の束で構成される。ここで、点A2の位置に、フライアイインテグレータ10のレンズ要素が配置されていると仮定する。フライアイインテグレータ10のレンズ要素の形状によって決定される有効取込角の範囲が、光線L71がレンズ要素に入射するときの入射角と、光線L72がレンズ要素に入射するときの入射角とで決定される入射角範囲に完全に一致しているとき、コリメート光学系5から出射した光が点A2の位置に配置されたレンズ要素に過不足なく入射される。
【0080】
ところが、このような状況の下で、図22に示すように、コリメート光学系5の位置が集光光学系7のフロントフォーカスからずれた位置に配置されると(コリメート光学系5e)、点A2の位置に配置されているフライアイインテグレータ10のレンズ要素に対して入射される光線群の入射角の範囲は、図23に示すように、光線L71eがレンズ要素に入射するときの入射角と、光線L72eがレンズ要素に入射するときの入射角とで決定される。
【0081】
このとき、光線L71と光線L71eとで挟まれた領域63については、同領域を進行する光線が、フライアイインテグレータ10のレンズ要素に取り込むことができない。つまり、領域63は、「取込不能領域63」に対応する。また、光線L72と光線L72eとで挟まれた領域62については、仮にこの領域を通じて光線が進行していればフライアイインテグレータ10のレンズ要素に取り込むことができる領域である。つまり、領域62は、「未利用領域62」に対応する。
【0082】
コリメート光学系5の光出射面の位置を、集光光学系7のフロントフォーカスからあまりにずらし過ぎると、未利用領域62及び取込不能領域63のうちの一方又は双方が増え、光の利用効率やフライアイインテグレータ10に取り込まれる光量の低下を招くこととなる。よって、コリメート光学系5は、集光光学系7のフロントフォーカスの近傍に配置されるのが好適である。ただし、本発明は、コリメート光学系5の光出射面が、集光光学系7のフロントフォーカスの近傍から外れた位置に配置されている場合についても、射程範囲内である。
【0083】
図21において、フライアイインテグレータ10の最大取込角をθ2とし、許容される入射角のずれ量の範囲は、θ2の±50%であり、好ましくはθ2の±30%であり、より好ましくはθ2の±10%である。
【0084】
例えば、許容される入射角のずれ量の範囲をθ2の±50%とした場合、コリメート光学系5の集光光学系7のフロントフォーカスからの許容ずれ幅±Zeは、コリメート光学系5からの出射角をθ1、コリメート光学系5のサイズを2×y2(図21参照)とすると、
±Ze=±(2×y2×0.5)/tan θ1
として表すことができる。なお、許容される入射角のずれ量の範囲をθ2の±10%とした場合には、
±Ze=±(2×y2×0.1)/tan θ1
として表すことができる。
【0085】
つまり、集光光学系7のフロントフォーカスからの許容ずれ幅の絶対値|Ze|は、
|Ze| < y2/tan θ1 であるのが好ましく、|Ze| < 0.6・y2/tan θ1 であるのがより好ましく、|Ze| < 0.2・y2/tan θ1 であるのが特に好ましい。言い換えると、本明細書では、集光光学系7のフロントフォーカスから上記条件で規定される |Ze| の値だけずれた位置が、集光光学系7のフロントフォーカスの近傍と規定される。
【0086】
なお、フライアイインテグレータ10のサイズを2×y1とし、集光光学系7の理想焦点距離をfaとすると(図21参照)、
tan θ1 = y1 / fa
と表せる。
【0087】
一例として、フライアイインテグレータ10の最大取込角θ2=10°、フライアイインテグレータ10の1/2サイズy1= 50 mm 、コリメート光学系5からの出射角θ1=5°である場合を取り上げる。
【0088】
図21から、明らかに tan θ2 = y2 / fa であるため、
y2 = y1・(tan θ2/tan θ1)≒101 mm
±Ze = ±(2×y2×0.1)/tan θ1 ≒ ±232 mm
fa = y2 / tan θ2 =574 mm
と算定できる。
【0089】
この例では、コリメート光学系5の光出射面の位置を、集光光学系7のフロントフォーカス、又は、集光光学系7のフロントフォーカスから 232 mm 以内の距離だけ正方向又は負方向にずれた位置とすればよい。
【0090】
〈2〉上記実施形態では、フライアイインテグレータ10の光入射面10aは、集光光学系7のバックフォーカス位置に配置されているものとした。しかし、上記の議論は、フライアイインテグレータ10の光入射面10aが、集光光学系7のバックフォーカスからずれた位置であっても構わない。
【0091】
図24は、図2からコリメート光学系5及び集光光学系7を抜粋したものに、光線の進行の態様を模式的に付記した図面である。なお、図24には、集光光学系7のバックフォーカス7fを含むX-Y平面に平行な面(平面30)上に結像される、複数のLED3,3,…の像70が模式的に図示されている。
【0092】
図24には、コリメート光学系5のうち最も+Y側に位置する箇所から出射された光線束に含まれる光線として、光軸11に平行な光線L51a、光軸11に対して+Y側に最も発散して進行する光線L51b、及び光軸11に対して-Y側に最も発散して進行する光線L51cが図示されている。同様に、図24には、コリメート光学系5のうち最も-Y側に位置する箇所から出射された光線束に含まれる光線として、光軸11に平行な光線L52a、光軸11に対して+Y側に最も発散して進行する光線L52b、及び光軸11に対して-Y側に最も発散して進行する光線L52cが図示されている。
【0093】
図24内にハッチングで示された領域S10内は、複数のLED3,3,…の像70が結像可能な領域である。言い換えれば、この領域S10内に、フライアイインテグレータ10の光入射面10aが位置している場合、フライアイインテグレータ10の光入射面10aに、複数のLED3,3,…の像70が結像する。かかる観点から、フライアイインテグレータ10の光入射面10aが領域S10内に位置するように、フライアイインテグレータ10の設置位置が調整されるのが好ましい。
【0094】
図24に示すように、集光光学系7のバックフォーカス7fとフライアイインテグレータ10の光入射面10aとのZ方向に係る距離をZa、集光光学系7の理想焦点距離をfa、集光光学系7から出射されてフライアイインテグレータ10の光入射面10aに入射される光の入射角をθ3、コリメート光学系5のサイズを2×y2、平面30上に結像されるLED3,3,…の像70のy方向に係る長さを2×y70、とそれぞれ規定する。
【0095】
このとき、
tanθ3=(2×y2)/(2×fa) = y2 / faであり、
tanθ3=(2×y70)/(2×Za) = y70 / Zaである。
【0096】
よって、式変形によって、
Za = fa× {(2×y2) / (2×y70)}
を得る。
【0097】
以上により、Z方向(光軸11に平行な方向)に関して、フライアイインテグレータ10の光入射面10aとバックフォーカス7fとのずれ量は、±Za以内であるのが好ましく、±Za /2以内であるのがより好ましい。上記Zaの値は、集光光学系7の理想焦点距離fa、コリメート光学系5のサイズ(2×y2)、及び平面30上に結像されるLED3,3,…の像70の大きさ(2×y70)によって決定される。LED3,3,…の像70の大きさの値は、例えば、実際にバックフォーカス7fを含むX-Y平面に平行な面(平面30)上にスクリーンを設置し、スクリーン上に表示される像70の大きさを検出することで得られる。
【0098】
〈3〉二次光源5aから出射されてフライアイインテグレータ10の光入射面10aに入射される入射角の範囲が、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLの全範囲に実質的に一致できているかどうかは、撮像装置を用いて検証することが可能である。具体的には、図2において、ピンホール付の撮像装置をフライアイインテグレータ10の光入射面10aの位置に設置する。そして、フライアイインテグレータ10の光軸11の方向に係る長さ分だけ、撮像装置の入射面から進んだ位置に投影面を設置する。投影面には二次光源5a(図1図8等参照)の像、すなわちコリメート光学系5の像が投影される。
【0099】
投影面に投影される像の大きさをb1とし、フライアイインテグレータ10の光軸11の方向に係る長さをb2とすると、投影された像の外縁に対応する入射角θβは、
θβ=tan -1(b1/b2)
によって求められる。この角度θβと、フライアイインテグレータ10の有効取込角θLとを対比することで、検証が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 :光源装置
3 :LED
3a,3b :発光点
5 :コリメート光学系
5a :コリメート光学系の光出射面(二次光源)
6 :レンズ要素
7 :集光光学系
7f :集光光学系のバックフォーカス
10 :フライアイインテグレータ
10a :フライアイインテグレータの光入射面
11,12 :光軸
21 :フライアイインテグレータのレンズ要素
41 :二次光源の外縁
50 :取込可能領域
62 :未利用領域
63 :取込不能領域
VS1 :仮想一次光源
VS2 :仮想二次光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24