(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094492
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/175 151
B41J2/175 503
B41J2/175 121
B41J2/175 171
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211059
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 真也
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐士
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KB37
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC13
2C056KC16
(57)【要約】
【課題】構成部品の汎用性を高めつつ、貯留室が大容量である画像形成装置を提供する。
【解決手段】複合機10は、第1貯留室80および供給口93を有するインクカートリッジ30と、インクニードル102と、4つの流出ポート116と、4本のインクチューブ32と、4本のインクチューブ32と接続されて、複数のノズル40からインクを吐出する記録ヘッド39と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する第1貯留室、および当該第1貯留室と外部とを連通する供給口を有する液体容器と、
上記液体容器の供給口と接続されるジョイントと、
上記ジョイントと接続されており、複数の流路に分岐する分岐部と、
上記分岐部の複数の上記流路それぞれと接続された複数のチューブと、
複数の上記チューブと接続されており、複数の上記チューブそれぞれに通ずる複数のノズル群を有しており、当該ノズル群それぞれから液体を吐出する記録ヘッドと、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
上記分岐部は、液体を貯留する第2貯留室を有しており、
複数の上記流路は、上記第2貯留室に連通している請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の上記流路は、上記第2貯留室とそれぞれ連通する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の上記流路は、1つの流路に合流して上記第2貯留室に連通する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記液体容器は、上記第1貯留室と外部とを連通する第1大気連通口を有しており、
上記分岐部は、上記第2貯留室と外部とを連通する第2大気連通口を有しており、
上記第2貯留室は、上記第1貯留室よりも下方に位置する空間を有する請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記液体容器は、1つの上記第1貯留室と、複数の上記供給口と、を有しており、
上記ジョイントは、複数の上記供給口とそれぞれ接続される請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記液体容器は、上記ジョイントに着脱可能なカートリッジである請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記分岐部は、上記第2貯留室に貯留された液体を検知する検知部を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
上記記録ヘッドは、走査方向へ移動しつつ複数の上記ノズル群から液体を吐出する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
液体を貯留する第1貯留室、および当該第1貯留室と外部とを連通する供給口を有する液体容器と、
上記液体容器の供給口と接続されるジョイントと、
上記ジョイントと接続されたチューブと、
上記チューブと接続されており、複数の流路に分岐する分岐部と、
複数の上記流路それぞれに通ずる複数のノズル群を有しており、当該ノズル群それぞれから液体を吐出する記録ヘッドと、を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズル群を有する記録ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクカートリッジから供給されたインクを、ノズルを介して吐出する記録ヘッドを備えるプリンタが知られている。インクカートリッジと記録ヘッドとは、例えばチューブなどにより形成される流路によりインクが供給可能に接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたプリンタは、Tシャツなどの布にカラー画像の印刷を行うものである。他方、例えばビジネス用途のように文字の印刷を主とするプリンタとして、黒色インクのみが使用されるモノクロプリンタがある。ビジネス用途のモノクロプリンタにおいては、黒色インクを貯留する貯留室が大容量であり、黒色インクを貯留室へ補充等することなく印刷できる枚数が多いことが望まれる。しかし、カラー画像の印刷を行うプリンタとは別にモノクロプリンタの構成部品を設計することは、開発コストが嵩むという問題がある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成部品の汎用性を高めつつ、貯留室が大容量である画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像形成装置は、液体を貯留する第1貯留室、および当該第1貯留室と外部とを連通する供給口を有する液体容器と、上記液体容器の供給口と接続されるジョイントと、上記ジョイントと接続されており、複数の流路に分岐する分岐部と、上記分岐部の複数の上記流路それぞれと接続された複数のチューブと、複数の上記チューブと接続されており、複数の上記チューブそれぞれに通ずる複数のノズル群を有しており、当該ノズル群それぞれから液体を吐出する記録ヘッドと、を備える。
【0007】
複数のノズル群を有する記録ヘッドを用いて単色画像が形成される。
【0008】
(2) 上記分岐部は、液体を貯留する第2貯留室を有しており、複数の上記流路は、上記第2貯留室に連通していてもよい。
【0009】
第1貯留室に液体が貯留されていない状態において、第2貯留室に貯留された液体が記録ヘッドに供給される。
【0010】
(3) 複数の上記流路は、上記第2貯留室とそれぞれ連通してもよい。
【0011】
(4) 複数の上記流路は、1つの流路に合流して上記第2貯留室に連通してもよい。
【0012】
(5) 上記液体容器は、上記第1貯留室と外部とを連通する第1大気連通口を有しており、上記分岐部は、上記第2貯留室と外部とを連通する第2大気連通口を有しており、上記第2貯留室は、上記第1貯留室よりも下方に位置する空間を有してもよい。
【0013】
第1貯留室の液面と第2貯留室の液面との差によって、第1貯留室から第2貯留室へ液体が流れる。
【0014】
(6) 上記液体容器は、1つの上記第1貯留室と、複数の上記供給口と、を有しており、上記ジョイントは、複数の上記供給口とそれぞれ接続されてもよい。
【0015】
第1貯留室に貯留された液体が複数の供給口を通じて流出するので、供給口の流路抵抗による液体の供給不足などが生じ難い。
【0016】
(7) 上記液体容器は、上記ジョイントに着脱可能なカートリッジであってもよい。
【0017】
(8) 上記分岐部は、上記第2貯留室に貯留された液体を検知する検知部を有してもよい。
【0018】
液体容器に検知部を設ける必要がないので、液体容器の構造が簡易となる。
【0019】
(9) 上記記録ヘッドは、走査方向へ移動しつつ複数の上記ノズル群から液体を吐出してもよい。
【0020】
(10) 本発明に係る画像形成装置は、液体を貯留する第1貯留室、および当該第1貯留室と外部とを連通する供給口を有する液体容器と、上記液体容器の供給口と接続されるジョイントと、上記ジョイントと接続されたチューブと、上記チューブと接続されており、複数の流路に分岐する分岐部と、複数の上記流路それぞれに通ずる複数のノズル群を有しており、当該ノズル群それぞれから液体を吐出する記録ヘッドと、を備える。
【0021】
複数のノズル群を有する記録ヘッドを用いて単色画像が形成される。液体容器の第1貯留室が大容量となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、構成部品の汎用性を高めつつ、貯留室が大容量である画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、複合機10の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、プリンタ部11の内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、プリンタ部11の内部構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、記録ヘッド39のノズル面を示す部分拡大図である。
【
図5】
図5は、カートリッジ装着部110を示す前面図である。
【
図6】
図6は、インクカートリッジ30の外観を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るインクカートリッジ30の後面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るタンク103の模式図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るタンク103の模式図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るタンク130およびボトル131の断面を示す模式図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るプリンタ部11の内部構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。すなわち、向きは方向の一成分である。上向き及び下向きは、各々が上下方向7の一成分であって、互いに逆向きである。左向き及び右向きは、各々が左右方向9の一成分であって、互いに逆向きである。前向き及び後ろ向きは、各々が前後方向8の一成分であって、互いに逆向きである。また、本実施形態では、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0025】
さらに、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態であって、「使用状態」と表記することがある。)若しくは姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0026】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10の外形は、概ね直方体である。複合機10は、プリンタ部11を有している。プリンタ部11は、インクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録する。
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、リフィルユニット100とを備えている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。リフィルユニット100は、複合機10の前面に開閉可能に設けられたカバー70の後方に位置する。カバー70が開かれることによりリフィルユニット100が外部に露出されてアクセス可能となる。複合機10は、画像形成装置の一例である。
【0027】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に開口13が位置する。給送トレイ20は、ユーザの操作により、開口13を通じて前後方向8に移動する。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に位置する。排出トレイ21は、給送トレイ20と共に前後方向へ移動する。排出トレイ21は、排出ローラ部55により排出される用紙12を支持する。
【0028】
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。
図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部分に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20側へ回動するよう付勢されている。
【0029】
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、例えば、プリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材及び内側ガイド部材(不図示)によって区画される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後方側に延びる。搬送経路65は、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る。
図2及び
図3に示されるように、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に位置しており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65における用紙12の搬送向き16は、
図2において矢印で示されている。
【0030】
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、記録部24より搬送向き16の上流に位置する。搬送ローラ部54は、搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60とピンチローラ61とは上下方向7に対向する。搬送ローラ60は、搬送モータの駆動が伝達されて回転する。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。搬送モータの正転によって搬送ローラ60が正回転すると、用紙12は、搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0031】
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、記録部24より搬送向き16の下流に位置する。排出ローラ部55は、排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62と拍車63とは、上下方向7に対向する。排出ローラ62は、搬送モータから駆動が伝達されて回転する。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。搬送モータの正転によって排出ローラ62が正回転すると、用紙12は、排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0032】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に位置する。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向する。記録部24は、搬送経路65より上下方向7の上方に位置する。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
【0033】
図3に示されるように、キャリッジ23は、ガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。ガイドレール43、44は、前後方向8に離間しており、各々が左右方向9に延びる。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)から駆動が伝達されて回動する。ベルト機構が回動すると、キャリッジ23は、左右方向9に移動する。キャリッジ23の移動範囲が、
図3において一点鎖線で示される。キャリッジ23は、搬送経路65より左右方向9の右方及び左方まで移動する。左右方向9は、走査方向の一例である。
【0034】
リフィルユニット100と記録ヘッド39とは、インクチューブ32により接続されている。制御部(不図示)が実装された制御基板(不図示)と記録ヘッド39が備えるヘッド制御基板(不図示)とはフレキシブルフラットケーブル33によりを電気的に接続されている。インクチューブ32及びフレキシブルフラットケーブル33は、キャリッジ23からそれぞれ延びている。インクチューブ32は、リフィルユニット100に貯留されたインクを記録ヘッド39に供給する。より詳細には、インクが流通する4本のインクチューブ32がタンク103から延出されて記録ヘッド39に接続されている。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0035】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載する。
図4に示されるように、記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が位置する。複数のノズル40は、前後方向8に沿った列をなしている。複数のノズル40の列は、左右方向9に離れて4列をなしている。複数のノズル40の4列は、4本のインクチューブ32とそれぞれ対応している。各インクチューブ32を通じて、各列の複数のノズル40へインクがそれぞれ供給される。
【0036】
図には現れていないが、記録ヘッド39は、複数のノズル40に対応した複数のピエゾ素子を有する。画像記録において、記録ヘッド39が備えるヘッド制御基板が、記録データに基づいて複数のピエゾ素子に選択的に駆動電圧を印加する。複数のピエゾ素子が選択的に変形することにより、複数のノズル40からインクが微小なインク滴として選択的に吐出される。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42が支持する用紙12へ向けて、記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。複数のノズル40は、ノズル群の一例である。
【0037】
[プラテン42]
図2及び
図3に示されるように、プラテン42は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に位置する。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向する。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0038】
[リフィルユニット100]
図2に示されるように、複合機10は、リフィルユニット100を備えている。リフィルユニット100は、記録ヘッド39にインクを供給する。リフィルユニット100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110およびタンク103を備えている。なお、
図2においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。つまり、
図2において、インクカートリッジ30は装着状態である。この状態にあるインクカートリッジ30の姿勢が、使用姿勢である。また、
図2における記録部24とリフィルユニット100との相対的な位置関係は、実際の位置関係とは異なる。すなわち、
図2においては、インクカートリッジ30の第1貯留室80は記録部24よりも上方に位置するが、実際には第1貯留室80は記録部24よりも下方に位置する。
【0039】
[カートリッジ装着部110]
図5に示されるように、カートリッジ装着部110は、カートリッジケース101と、インクニードル102と、を備えている。カートリッジ装着部110には、黒色のインクを貯留するインクカートリッジ30が収容可能である。
【0040】
図5に示されるように、カートリッジケース101は、後向きの開口112を有する箱形状である。開口112は、複合機10の正面に露出し得る。複合機10の正面は、ユーザが複合機10を使用するときに対面する面である。複合機10のカバー70が開かれると、カートリッジケース101の開口112が外部へ露出される。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジケース101へ挿入され、開口112を通じてカートリッジケース101から抜き出される。
【0041】
インクニードル102は、中空の管である。インクニードル102は、カートリッジケース101の終面111の下部に位置している。終面111は、カートリッジケース101の内部空間の後端を区画する面である。インクニードル102は、終面111から前向きへ突出している。インクニードル102の前端は、前方へ向けて開口している。終面111には、4本のインクニードル102が、左右方向9に間隔を空けて並んでいる。4本のインクニードル102のうち、左端に位置する1本のインクニードル102が、インクカートリッジ30のインク供給部92と接続する。インクニードル102は、ジョイントの一例である。
【0042】
カートリッジケース101の内部空間であって開口112付近かつ上端付近に、ロックシャフト113が位置する。ロックシャフト113は、左右方向9に沿って延びる棒材である。ロックシャフト113には、インクカートリッジ30のロック面90が前方から当接する。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジケース101内に保持される。
【0043】
図2に示されるように、カートリッジケース101の後方にはタンク103が位置する。
図3に示されるように、タンク103は1つであり、左右方向9においてカートリッジケース101と同程度の大きさである。
図2に示されるように、タンク103は、内部に第2貯留室115を有する箱形状である。第2貯留室115は、インクを貯留する。タンク103の上部には、大気連通ポート114が位置する。大気連通ポート114を通じて、第2貯留室115がタンク103の外部と連通している。これにより、第2貯留室115は、大気開放されている。第2貯留室115は、前側において4本のインクニードル102の内部空間とそれぞれ連通している。本実施形態では、4本のインクニードル102のうち左端に位置する1本のインクニードル102を通じて第2貯留室115へインクが流入する。大気連通ポート114は、第2大気連通口の一例である。
【0044】
第2貯留室115の下側には、4つの流出ポート116が位置する。
図1においては、1つの流出ポート116が現れているが、4つの流出ポート116は、左右方向9に間隔を空けて並んでいる。4つの流出ポート116には、4本のインクチューブ32がそれぞれ接続されている。第2貯留室115に貯留されたインクは、4つの流出ポート116から4本のインクチューブ32を通じて記録ヘッド39へ供給される。4つの流出ポート116は、分岐部および複数の流路の一例である。なお、本実施形態では、インクニードル102は、タンク103の第2貯留室115を介して流出ポート116と接続されているが、インクニードル102(ジョイントの一例)と流出ポート116(分岐部)とが接続されるとの意味は、本実施形態のようにインクニードル102と流出ポート116との間に第2貯留室115が介在することを含む。
【0045】
タンク103は、インクセンサ104を有する。インクセンサ104は、タンク103の外部であって上下方向7においてインクニードル102と同じ位置にある。インクセンサ104は、タンク103へ向けて光を照射する発光素子と、タンク103からの光を受光する受光素子と、を有する。インクセンサ104と対向する位置のタンク103の外壁は、透光性のプリズムである。プリズムは、第2貯留室115のインクが接触している状態において発光素子からの光を反射し、インクが接触していない状態において発光素子からの光を透過する。インクセンサ104は、受光素子が受光する光の強度に応じた信号を出力する。インクセンサ104から出力される信号に基づいて、コントローラが、第2貯留室115において、インクセンサ104が位置する高さにインクが有るか否かを判定する。
【0046】
[インクカートリッジ30]
インクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。本実施形態では、黒色のインクがインクカートリッジ30に貯留される。インクカートリッジ30の上下方向7,前後方向8、及び左右方向9の各寸法は、カートリッジケース101の内寸よりも若干小さい。
図6には、使用姿勢のインクカートリッジ30が示されている。インクカートリッジ30は、前壁81と、後壁82と、上壁83と、下壁84と、側壁85,86とを備える。
図2に示されるように、これら各壁に囲まれた内部空間が、第1貯留室(
図2参照)80である。第1貯留室80は、インクを貯留する。
【0047】
上壁83には、上方へ突出した凸部87が位置する。凸部87の内部は空間であり、第1貯留室80の大気連通口89に通じている。凸部87は、上向きの開口88を有する。開口88および凸部87の内部空間を通じて、大気連通口89がインクカートリッジ30の外部と通じている。これにより、第1貯留室80が大気連通される。
【0048】
凸部87において前方を向く面がロック面90である。ロック面90は、上壁83よりも上方に位置している。ロック面90は、上下方向7に沿って延びている。ロック面90は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロックシャフト113と前方へ向かって当接する。
【0049】
凸部87において、ロック面90より後方の上端は、上方且つ後方を向いて傾斜している。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、ロックシャフト113が凸部87の上端に当接しながらロック面90より前方まで円滑に案内される。
【0050】
上壁83において、ロック面90より前方には、操作部91が位置する。操作部91は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態からインクカートリッジ30を抜き出すために、ユーザが操作するための部分である
【0051】
図6に示されるように、インク供給部92は、後壁82の下側かつ左側に位置する。インク供給部92は、後向きに開口する供給口93を有する。供給口93は、第1貯留室80と連通している。供給口93は、バルブなどによって開閉される。供給口93には、4本のインクニードル102のうち左端に位置する1本のインクニードル102が挿入される。供給口93に挿入されたインクニードル102の内部空間は、第1貯留室80と通ずる。第1貯留室80のインクは、供給口93に挿入されたインクニードル102の内部空間を通じて、タンク103の第2貯留室115へ流出する。第1貯留室80および第2貯留室115は、それぞれ大気連通されているので、第1貯留室80のインクの液面の高さと第2貯留室115のインクの液面の高さとの差(水頭差)によって、第1貯留室80から第2貯留室115へインクが流れる。
【0052】
[実施形態の作用効果]
前述された実施形態によれば、複数のノズル40を有する記録ヘッド39、記録ヘッド39と繋がる4本のインクチューブ32、4本のインクニードル102を有するカートリッジ装着部110を用いて、モノクロ画像を記録する複合機10が実現される。他方、4列のノズル40を有する記録ヘッド39は、例えば、4色のインクによるカラー画像を記録するプリンタにおいても使用可能である。また、記録ヘッド39に繋がる4本のインクチューブ32により、4色のインクが記録ヘッド39へ供給可能である。また、4本のインクニードル102を有するカートリッジ装着部110も、4色のインクをそれぞれ貯留する4個のインクカートリッジに対応可能である。したがって、モノクロ画像を記録する複合機10と、カラー画像を記録するプリンタとにおいて、部品を共用できる。
【0053】
また、4本のインクチューブ32を通じて1つのインクカートリッジ30から記録ヘッド39へインクが供給されるので、1本のインクチューブ32により同じ流量のインクを供給する場合と比べて、1本のインクチューブ32の断面積が大きくなることが抑制される。また、モノクロ画像を記録する場合には4個のインクカートリッジが装着可能なカートリッジ装着部110に対して1個のインクカートリッジ30が装着されるので、インクカートリッジ30が大容量となる。インクカートリッジ30が大容量となることにより、記録ヘッド39から単位時間当たりに吐出されるインクの量、すなわちデューティが高い複合機10が実現される。
【0054】
また、リフィルユニット100がタンク103を有するので、インクカートリッジ30の第1貯留室80にインクが貯留されていない状態において、タンク103の第2貯留室115に貯留されたインクが記録ヘッド39に供給されて画像記録が実行される。また、カラー画像が記録されるプリンタにおいて複数色分のインクがそれぞれ貯留される4個の第2貯留室と同じ空間に対して、1つの第2貯留室115を有するタンク103が配置されるので、タンク103が大容量化される。
【0055】
また、第1貯留室80および第2貯留室115は、それぞれ大気連通されているので、第1貯留室80のインクの液面の高さと第2貯留室115のインクの液面の高さとの差(水頭差)によって、第1貯留室80から第2貯留室へインクが流れる。
【0056】
また、タンク103がインクセンサ104を有しているので、インクカートリッジ30にインクを検知する検知部を設ける必要がない。これにより、インクカートリッジ30の構造が簡易となる。
【0057】
[変形例]
なお、前述されたインクカートリッジ30は、一つのインク供給部92を有するが、
図7に示されるように、インクカートリッジ30は、4つのインク供給部92を有していてもよい。4つのインク供給部92それぞれは、タンク103の第1貯留室80と連通している。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、4つのインク供給部92の各供給口93に4本のインクニードル102がそれぞれ挿入される。これにより、第1貯留室80から4つの供給口93を通じてタンク103の第2貯留室115へインクが流出するので、インクニードル102やインク供給部92における流路抵抗によって、インクの供給不足などが生じ難い。この変形例において、4本のインクニードル102は、ジョイントの一例である。
【0058】
さらに、前述された変形例のように、インクカートリッジ30の4つのインク供給部92の各供給口93に4本のインクニードル102がそれぞれ挿入される態様において、
図8に示されるように、タンク103の第2貯留室115は、4本のインクニードル102に対応して4つが設けられてもよい。この場合、4つの第2貯留室115に対して4つの流出ポート116がそれぞれ対応する。この場合、4本のインクニードル102が、ジョイントおよび分岐部の一例である。
【0059】
また、前述されたタンク103は、4つの流出ポート116を有するが、
図9に示されるように、タンク103は、1つの流出ポート116を有していてもよい。この場合、1つの流出ポート116に繋がる流路117は、4つの分岐路118~121に分岐して、4本のインクチューブ32とそれぞれ接続されてもよい。分岐路118~121は、複数の流路および分岐部の一例である。この場合にも、
図7に示されるインクカートリッジ30が用いられてもよい。
【0060】
また、
図9に示される態様において、タンク103が省略されてもよい。この場合、流路117は、実施形態における4本のインクニードル102のうちの左端の1本のインクニードル102と接続される。
【0061】
また、前述されたリフィルユニット100は、インクカートリッジ30の第1貯留室80からタンク103の第2貯留室115へ水頭差によりインクが供給されるが、インクの供給方法はこれに限定されない。例えば、チキンフィードと称される気液置換により、第1貯留室80から第2貯留室115へインクが供給されてもよいし、ポンプなどにより第1貯留室80から第2貯留室115へインクが供給されてもよい。
【0062】
また、前述されたリフィルユニット100は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着される態様であるが、リフィルユニット100の構成はこれに限らない。例えば、
図10に示されるように、複合機10に固定されたタンク130に、ボトル131からインクが供給される態様であってもよい。タンク130は、箱形状である。タンク130の内部空間は、貯留室132である。貯留室132は、インクを貯留する。タンク130は、外向きへ突出するインクニードル133を有する。インクニードル133は、気体流路および液体流路の2つの流路を有する管体である。インクニードル133の気体流路および液体流路は、タンク130の外部と貯留室132とをそれぞれ連通する。貯留室132は、第2貯留室の一例である。インクニードル133は、ジョイントの一例である。
【0063】
タンク130は、大気連通口134を有する。貯留室132は、大気連通口134を通じて外部と連通している。タンク130は、4つの流出ポート135を有する。
図10には、1つの流出ポート135が現れているが、流出ポート135は、左右方向9(
図10の紙面に垂直な方向)に間隔を空けて4つが位置する。4つの流出ポート135は、4本のインクチューブ32とそれぞれ接続している。4つの流出ポート135は、複数の流路および分岐部の一例である。なお、
図10に示されるタンク130は、1つの流出ポート135を有しており、
図9に示されるように、1つの流出ポート135に繋がる流路が4つの分岐路に分岐して、4本のインクチューブ32とそれぞれ接続されてもよい。
【0064】
ボトル131の内部空間は、貯留室136である。ボトル131は、開口137を有する。開口137を通じて、貯留室136と外部とが連通する。開口137は、バネ139に付勢されたバルブ138により閉塞されている。インクニードル133が開口137に進入すると、バルブ138がバネ139の付勢力に抗して開口137から離れ、インクニードル133を通じて、気液置換により、貯留室136から貯留室132へインクが流出する。ボトル131は、液体容器の一例である。貯留室136は、第1貯留室の一例である。開口137は、供給口の一例である。なお、インクニードル133は、タンク130ではなく、ボトル131に設けられて開口137と連通していてもよい。この場合、タンク130は、インクニードル133が接続される開口を有する。ボトル131のインクニードル133は、タンク130の開口に挿入される。この場合、ボトル131に設けられたインクニードル133が、ジョイントの一例である。
【0065】
また、前述されたタンク103はインクセンサ104を有するが、タンク103はインクセンサ104を有していなくてもよい。
【0066】
また、前述された記録ヘッド39は、キャリッジ23に搭載されて左右方向9に移動しつつインクを吐出するが、記録ヘッド39はキャリッジ23に搭載されなくてもよい。この場合、記録ヘッド39のノズル面は、キャリッジ23の移動範囲にわたっている。なお、記録ヘッド39は単数であっても複数であってもよい。
【0067】
また、前述された実施形態では、リフィルユニット100において分岐部が実現されているが、これに代えて記録ヘッド39において分岐部が実現されてもよい。例えば、
図11に示されるように、リフィルユニット100においてタンク103は、1つの流出ポート116を有している。1つの流出ポート116には、1本のインクチューブ32が接続される。記録ヘッド39は、1本のインクチューブ32が接続される流路部材150(
図12参照)を有する。
【0068】
図12に示されるように、流路部材150は、インクチューブ32が接続される接続口151を有する。接続口151は、1本の流路152と連通する。流路152は、4本の分岐路153~156に分岐する。同図には現れていないが、4本の分岐路153~156は、記録ヘッド39において1列をなす複数のノズル40とそれぞれ接続される。分岐路153~156が、複数の流路および分岐部の一例である。この変形例によっても、複数のノズル40を有する記録ヘッド39を用いて単色画像が形成される。また、インクカートリッジ30の第1貯留室80が大容量となる。
【0069】
また、前述された実施形態では、インクニードル102やインクチューブ32の数、複数のノズル40がなす列の数は4が例示されているが、これらの数は4以外であってもよい。
【0070】
また、前述された実施形態によれば、4列のノズル40を有する記録ヘッド39に対して、例えば、4色のインクによるカラー画像を記録するプリンタにおいても使用可能であるが、その際には、リフィルユニット100に4個のインクカートリッジが装着されるとしたが、リフィルユニット100に3個以下のインクカートリッジが装着されるカラー画像を記録するプリンタとしても実現可能である。例えば、CMYKの4色の各インクカートリッジのうち、CMYの3色のインクカートリッジがリフィルユニット100に装着され、Kのインクカートリッジは、リフィルユニット100とは別のリフィルユニットに装着されてもよい。このようなプリンタにおいては、リフィルユニット100において、3本のインクチューブ32を通じてインクカートリッジ30から記録ヘッド39へインクが供給され、別のリフィルユニットに装着されたKのインクカートリッジから1本のインクチューブ32を通じて記録ヘッド39へインクが供給されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10・・・複合機(画像形成装置)
30・・・インクカートリッジ(液体容器)
32・・・インクチューブ(チューブ)
39・・・記録ヘッド
40・・・ノズル
80・・・第1貯留室
89・・・大気連通口(第1大気連通口)
93・・・供給口
102,133・・・インクニードル(ジョイント)
104・・・インクセンサ(検知部)
114・・・大気連通ポート(第2大気連通口)
115・・・第2貯留室
116,135・・・流出ポート(分岐部、流路)
117・・・流路
118~121,153~156・・・分岐路(分岐部、流路)
131・・・ボトル(液体容器)
132・・・貯留室(第2貯留室)
136・・・貯留室(第1貯留室)
137・・・開口(供給口)