(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009450
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】自動車用注意喚起ツール
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20240116BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B60J5/00 E
B60J5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110978
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】521289191
【氏名又は名称】有限会社芳美商事
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】熊木 裕高
(57)【要約】
【課題】 バックドアの開放時に潜む危険性の除去・低減化を図り、安全で安心して荷室への荷物の出し入れを実現可能とする自動車用注意喚起ツールを提供すること。
【解決手段】
自動車10の荷室12を開閉可能に閉塞するよう取り付けられたバックドア14にその一端部が着脱自在に設けられ平面視板状を呈する自動車用注意喚起ツール100であって、荷室12が開放状態になるようバックドア14を開けると、自動車用注意喚起ツール100はバックドア14から垂れ下がるよう構成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の荷室を開閉可能に閉塞するよう取り付けられたバックドアにその一端部が着脱自在に設けられ、平面視板状を呈する自動車用注意喚起ツールであって、
上記荷室が開放状態になるよう上記バックドアを開くと、
上記自動車用注意喚起ツールは、当該バックドアから垂れ下がるよう構成したことを特徴とする自動車用注意喚起ツール。
【請求項2】
請求項1記載の自動車用注意喚起ツールであって、平面視表面部及び裏面部は反射機能、蛍光機能または発光機能を有することを特徴とする自動車用注意喚起ツール。
【請求項3】
上記バックドアに発光体を併設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の自動車用注意喚起ツール。
【請求項4】
上記発光体は、常時点灯または点滅点灯させるよう制御可能とするとともに、点滅点灯に際しては当該点滅間隔を調整制御可能としたことを特徴とする請求項3記載の自動車用注意喚起ツール。
【請求項5】
ソーラー充電器機能を設けたことを特徴とする請求項3記載の自動車用注意喚起ツール。
【請求項6】
ソーラー充電器機能を設けたことを特徴とする請求項4記載の自動車用注意喚起ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷室に開閉可能に取り付けられたバックドアに設けられる自動車用注意喚起ツール、特にバックドアの開放時の安全性を高める自動車用注意喚起ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば3ドアまたは5ドアの普通自動車や軽自動車の荷室にあっては、ロック機構付きのバックドア(別称:リアゲート、ハッチ)が開閉可能に取り付けられている。荷室に荷物等を出し入れする場合、先ずバックドアを開けて荷室を開放状態にする。次に、荷物を収納または取り出す。この後、バックドアを閉めて荷室を閉鎖状態にして、所望の場所へ運搬することになる。
【0003】
特許文献1には、自動車のリアウィンドゥの内側に設置して、後続車に安全運転を求めるために使用する自動車用表示板が開示されている。このものにあっては、表示板に適宜の図柄と安全運転標語を表示し、図柄に顔写真表示部を設けた構成とし、後続車が前の車に親近感を感じ安全運転要請のアピールが強化され、また写真を見ることにより、後続車の運転手にゆとりが生まれて安全運転に資する作用を期待することを意図としている。
【0004】
特許文献2には、表示装置をドア端部の隅角部の複雑な曲面に沿って容易に取り付け可能とし、後方からの外部接近者に対しドア開放端部を明確に表示するとともに、耐水性を確保した自動車用開放ドア端部表示装置が開示されている。このものにあっては、自動車の駐停車中にドアを開放した際、ドアの開放端部を表示してドア開放端部の位置を前方或いは後方より接近する自動車や自転車の運転者或いは歩行者に対して、さらには自動車のドアを開放して昇降する搭乗者等に対して注意を喚起することを意図としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3100100号公報
【特許文献2】特開2005-329923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように3ドアまたは5ドアの普通自動車や軽自動車の荷室への荷物等の出し入れに際しては、バックドアの開閉操作がともなう。ここで、バックドアの開放時、バックドアは自動車のルーフと略同じ高さで略水平状態を保つことが一般的である。
【0007】
バックドアが開けられて略水平状態にあると、この状態に気付かない者がバックドアにぶつかり負傷する虞がある。また、荷物等の出し入れをしている人でさえも、注意力が途切れて、同様にバックドアにぶつかり負傷する虞がある。しかも、略水平状態にあるバックドアは、人の目や顔の高さにあるので、大きな負傷をする虞があることは否めない。特に、夜間や暗がりのところでは、その虞が増すものである。
また、自転車に乗っている者にとっては、走行スピードとともに視野が狭くなり、バックドアの開放状態を視認し難いものである。
【0008】
特許文献1に開示されたものは、後続車に安全運転を求めるために使用するものであり、バックドアの開放時に潜む危険性を考慮したものではない。また、そのような課題解決のための技術的思想は見出せない。
【0009】
特許文献2に開示されたものは、後方からの外部接近者に対しドア開放端部を明確に表示するものであり、バックドアの開放時に潜む危険性を考慮したものではない。また、そのような課題解決のための技術的思想は見出せない。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、バックドアの開放時に潜む危険性の除去・低減を図り、安全で安心して荷室への荷物の出し入れを実現可能することは勿論、荷物の出し入れとは無関係な他の者にとっても安全で安心な環境を供することを可能とする自動車用注意喚起ツールを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、シンプルでコンパクトな構造で取り扱い性に優れ、容易に入手可能な素材を利用して誰にでも実現でき、実用的で有用性の高い自動車用注意喚起ツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0013】
(1) 自動車の荷室を開閉可能に閉塞するよう取り付けられたバックドアにその一端部が着脱自在に設けられ平面視板状を呈する自動車用注意喚起ツールであって、
上記荷室が開放状態になるよう上記バックドアを開くと、上記自動車用注意喚起ツールは当該バックドアから垂れ下がるよう構成したことを特徴とする。
【0014】
(2) 上記(1)の構成にあって、自動車用注意喚起ツールの平面視表面部及び裏面部は反射機能、蛍光機能または発光機能を有することを特徴とする。
【0015】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記バックドアに発光体を併設したことを特徴とする。
【0016】
(4) 上記(3)の構成にあって、上記発光体は、常時点灯または点滅点灯させるよう制御可能とするとともに、点滅点灯に際しては当該点滅間隔を調整制御可能としたことを特徴とする。
【0017】
(5) 上記(2)、(3)または(4)の構成にあって、ソーラー充電器機能を設けたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、バックドアの開放時に潜む危険性の除去・低減を図り、安全で安心して荷室への荷物の出し入れを実現できるものである。
【0019】
また、上記構成によれば、荷物の出し入れとは無関係な他の者に対しても安全で安心な環境を供することを実現できるものである。
【0020】
さらに、上記構成によれば、シンプルでコンパクトな構造で取り扱い性に優れ、実用的に有用性の高い効果を奏するものである。
【0021】
さらに、上記構成によれば、容易に入手可能な素材を利用して誰にでも実現でき、生産性及び経済性の面に於いても優れた効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、バックドアの開放時に潜む危険性の除去・低減を図れ、安全で安心して荷室への荷物の出し入れを実現可能することは勿論、荷物の出し入れとは無関係な他の者にとっても安全で安心な環境を供することを実現可能とする実用的で有用な効果を奏するものである。
【0023】
また、本発明は、シンプルでコンパクトな構造で取り扱い性に優れ、容易に入手可能な素材を利用して誰にでも実現でき、実用的で有用性が高く、生産性及び経済性の面に於いても優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係わる自動車用注意喚起ツールをバックドアに設けてバックドアを開けた状態を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、自動車用注意喚起ツールをバックドアに設けてバックドアを閉めた状態を模式的に示す図である。
【
図3】同実施形態に係わり、自動車用注意喚起ツールの外観を模式的に示す図である。
【
図4】同実施形態の変形例に係わる自動車用注意喚起ツール、LED及びソーラー充電器部の取り付け状態につきバックドアを開けた状態で自動車後部側から模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態につき、図を参照して説明する。
本実施形態に係わる自動車用注意喚起ツール(以下「注意喚起ツール」)100は、自動車10の荷室12を開閉可能に閉塞するよう取り付けられたバックドア14の内側の両端部近傍に一つずつその上方部100bが着脱自在に設けられている。自動車用注意喚起ツールは、その上端部110aから下端部110bまでの長辺110の長さ(H)が35cmで、左端部120aから右端部120bまでの短辺120の長さ(W)が15cmの平面視長方形の板状を呈する厚み(T)が5mmの段ボールを基材としている(
図3参照)。なお、長辺110及び短辺120の長さ(H,W)並びに厚み(T)は、これに限らず適宜変更してもよく、好ましくは上記数値よりも大となる数値が推奨される。
【0026】
また、注意喚起ツール100の表面部位、即ち平面視長方形を呈する板状の表面部及び裏面部を含めた外周部位100aには、外部から視認し易いよう反射塗料が全面的に塗布されている。
本実施形態では、反射塗料を塗布することにより注意喚起ツール100に反射機能を持たせたが、蛍光塗料または発光塗料(蓄光塗料)を塗布することにより蛍光機能または発光機能を持たせるようにしてもよいことは勿論である。
【0027】
注意喚起ツール100の上方部100b側、即ち上部側の短辺120の近傍には、S字状のフック140が挿通自在となる取り付け用孔部130が二つ穿設されている。
【0028】
フック140は、樹脂素材で形成されており、その外周部位には磁性体が塗布され磁性層が形成されている。而してフック140は、自動車10の荷室12を開閉可能に閉塞するよう取り付けられたバックドア14に着脱自在に設けられることになる。即ち、バックドア14に設けられた突起若しくはフックに係止することにより設ける、またはバックドア14の金属部分にフック140の磁石機能を利用してくっつけることにより設けることになる。
【0029】
上記構成につき、その作用を説明する。
【0030】
自動車10の荷室12に対して荷物等を出し入れするには、バックドア14を上方に向けて回動させて(
図1中、矢印A方向)、荷室12が開放状態となるよう開ける。
【0031】
バックドア14が開く動作にともなって、注意喚起ツール100の下方部100cは重力によりその自重で垂直下方(矢印Y方向)へ指向するよう垂れ下がり始める。
【0032】
バックドア14が略水平状態となるよう全開になると、注意喚起ツール100は垂直下方(矢印Y方向)へ指向するよう垂れ下がる。この状態にて、荷室12に対して荷物等を出し入れすればよい。
【0033】
このとき、注意喚起ツール100が全開状態のバックドア14から垂直下方へ垂れ下がっているので、バックドア14が全開状態であることが周囲から容易に視認できるものである。しかも、全面塗布された反射塗料により、比較的離れたところや暗がりのところでも視認し易いものである。
【0034】
全開状態にあるバックドア14を閉める場合は、バックドア14を下方に向けて回動させて(
図2中、反矢印A方向)、荷室12が閉鎖状態となるようにすればよい。
【0035】
バックドア14が閉まる動作にともなって、注意喚起ツール100の下端部110b、即ち下側の短辺120はバックドア14の内側部分へ指向するよう移動し始める。
【0036】
バックドア14が荷室12を閉鎖状態にすると、注意喚起ツール100はバックドア14の内側部分近傍に位置することになる。
【0037】
上記実施形態によれば、注意喚起ツール100によりバックドア14の開放時に潜む危険性の除去・低減下を図れ、安全で安心して荷室12への荷物等の出し入れを実現できるものである。
【0038】
また、上記実施形態によれば、荷物の出し入れとは無関係な他の周囲の者に対しても安全で安心な環境を供すること実現できるものである。
【0039】
さらに、上記実施形態によれば、極めてシンプル且つコンパクトな構造で取り扱い性に優れ、実用的に有用性の高い効果を期待できるものである。
【0040】
さらに、上記実施形態によれば、容易に入手可能な素材を利用して誰でも実現できるので、生産面及び経済面に於いても優位性を期待できるものである。
【0041】
なお、本実施形態では、フック140の形状をS字状に形成したが、これに限らず他の形状であってもよい。また、注意喚起ツール100がバックドア14に取付けられるものであればよく、フックの代わりに凧紐等を使用することもできる。
【0042】
また、注意喚起ツール100の基材は段ボールに限らず、他の素材を用いてもよいこと勿論である。
【0043】
さらに、注意喚起ツール100の形状は、三角柱状等、他の形状であってもよく、周囲から視認し易く目立つものであればよい。
【0044】
さて、
図4に上記実施形態の変形例を示す。同一部分、同一機能には同一番号・符号を付与して説明は省略する。
【0045】
本変形例では、バックドア14にLED(発光体)150を併設するとともに、ソーラー充電器部160を付加したものである。
【0046】
LED150は、常時点灯または点滅式点灯を選択制御可能とし、点滅点灯を選択した場合は点滅間隔を調整制御可能としたディンプル型のものをバックドア14の内側に設けたものである。これにより、暗がりや夜間等に於いて足元の視界確保ができ、また、周囲の他の者に対し、バックドア14が開放状態にあることへのさらなる注意喚起を期待できるものである。
【0047】
また、LED150は、視認性の向上を意図して注意喚起ツール100の任意の箇所に設けてもよい。
【0048】
なお、LED150は、ディンプル型に限らず他に例えばシール状のものであってもよく、適宜変更可能である。
【0049】
ソーラー充電器部160は、例えばバックドア14の内側部分、即ちリアウンドゥ14aの内側部分の端部近傍に設けられ、LED150に電力供給するものである。これにより、自動車10のバッテリー電力に依存することなく、独立してLED150が機能することになり、SDGs(Sustainnable Development Goals)にも貢献できるものである。
【0050】
また、ソーラー充電器部160は、注意喚起ツール100の基材に設けてもよい。さらには、ソーラー充電器部160は、注意喚起ツール100の基材として用いることも可能である。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 …自動車
12 …荷室
14 …バックドア
100 …自動車用注意喚起ツール
100a …外周部位
110 …長辺
110a …上端部
110b …下端部
120 …短辺
120a …左端部
120b …右端部
130 …取り付け用孔部
140 …フック
150 …LED(発光体)
160 …ソーラー充電器部