(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094500
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ゴム組成物および空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20240703BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20240703BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K5/13
B60C1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211074
(22)【出願日】2022-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 明里
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA01
3D131BA07
3D131BA08
3D131BC07
3D131BC31
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AH002
4J002EF096
4J002EJ066
4J002FD010
4J002FD032
4J002FD036
4J002FD140
4J002GN01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】地球環境への影響を軽減しつつ耐熱老化性に優れた加硫ゴムの原料となるゴム組成物、および該ゴム組成物の加硫ゴムをゴム部に備える空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】ゴム成分の全量を100質量部としたとき、下記一般式(1);
(上記一般式(1)中、R
1~R
5の少なくとも1つは-OH基または-OCH
3基であり、それ以外は-H基または炭素数1~20の炭化水素基である。)に記載の化合物を0.5~6質量部、およびリグニン系老化防止剤を0.5~6質量部含有することを特徴とするゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分の全量を100質量部としたとき、下記一般式(1);
【化1】
(上記一般式(1)中、R
1~R
5の少なくとも1つは-OH基または-OCH
3基であり、それ以外は-H基または炭素数1~20の炭化水素基である。)に記載の化合物を0.5~6質量部、およびリグニン系老化防止剤を0.5~6質量部含有することを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記一般式(1)に記載の化合物が下記一般式(2);
【化2】
に記載の化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)に記載の化合物が下記一般式(3);
【化3】
に記載の化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のゴム組成物の加硫ゴムをゴム部に備える空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物および該ゴム組成物の加硫ゴムをゴム部に備える空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤや防振ゴムなどのゴム部を備えるゴム製品は、一般的に長期間使用されると大気中の酸素やオゾンにより劣化することで亀裂が発生し、その結果、耐久性が悪化する場合がある。このため、ゴム部の酸化劣化やオゾン劣化を防止すべく、原料となるゴム組成物には各種の老化防止剤が配合される。
【0003】
下記特許文献1には、ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、アミン系老化防止剤0.5重量部と、ポリフェノール系化合物0.5~8重量部を配合してなるゴム組成物が記載されている。
【0004】
ところで、下記特許文献2には、イソプレン系ゴムと共役ジエン系重合体とを含有するゴム成分、水溶性微粒子、および液体可塑剤を含み、ゴム成分100質量部に対する液体可塑剤の含有量が30質量部以下であるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-59327号公報
【特許文献2】特開2019-210488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただし、本発明者が鋭意検討したところ、上記特許文献1に記載のゴム組成物では最終的に得られる加硫ゴムの耐熱老化性の点で更なる改良の余地があることが判明した。
【0007】
なお、上記特許文献2に記載のゴム組成物中には、氷上性能向上を目的として配合される水溶性微粒子の一例としてリグニン誘導体が記載されているが、リグニン誘導体が加硫ゴムの耐熱老化性に与える影響については何ら記載も示唆もされていない。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、地球環境への影響を軽減しつつ耐熱老化性に優れた加硫ゴムの原料となるゴム組成物、および該ゴム組成物の加硫ゴムをゴム部に備える空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち本発明は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、下記一般式(1);
【化1】
(上記一般式(1)中、R
1~R
5の少なくとも1つは-OH基または-OCH
3基であり、それ以外は-H基または炭素数1~20の炭化水素基である。)に記載の化合物を0.5~6質量部、およびリグニン系老化防止剤を0.5~6質量部含有することを特徴とするゴム組成物(1)に関する。
【0010】
上記ゴム組成物(1)において、前記一般式(1)に記載の化合物が下記一般式(2);
【化2】
に記載の化合物であるゴム組成物(2)が好ましい。
【0011】
上記ゴム組成物(1)において、前記一般式(1)に記載の化合物が下記一般式(3);
【化3】
に記載の化合物であるゴム組成物(3)が好ましい。
【0012】
また、本発明は前記ゴム組成物(1)~(3)いずれかの加硫ゴムをゴム部に備える空気入りタイヤ(4)に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るゴム組成物は、天然由来物である前記一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤を所定量含有する。このため、地球環境への影響を軽減しつつ、耐熱老化性に優れた加硫ゴムの原料となり得る。なお、本発明に係るゴム組成物の加硫ゴムが耐熱老化性に優れる理由は明らかではないが、以下のように推定可能である。一般式(1)に記載の化合物は、従来のフェノール系老化防止剤の有する-OH基によるゴム分子へのHラジカルの付与により、ゴム分子を安定化させる機能に加え、カルボン酸(-COOH基)の-OH基が老化防止機能を発揮していると考えられる。つまり、カルボン酸(-COOH基)の-OH基がゴム分子内に発生したラジカルに水素ラジカルを付与して安定化しつつ、自身は水素ラジカル付与後も-COOラジカルとして安定的に存在し得る。ここで、本発明に係るゴム組成物は、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤を併用するが、リグニン系老化防止剤は化合物中に非常に多くの-OH基を有する。したがって、一般式(1)に記載の化合物がゴム分子内に発生したラジカルに水素ラジカルを付与し、-COOラジカルとなった後、リグニン系老化防止剤の-OH基が一般式(1)に記載の化合物の-COOラジカルに水素ラジカルを供給することで、一般式(1)に記載の化合物のカルボン酸(-COOH基)が再生する。その結果、一般式(1)に記載の化合物による、ゴム分子への耐熱老化防止性の向上効果が、リグニン系老化防止剤の存在により、さらに高められる。つまり、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤が共存することで、ゴム分子内でのラジカル発生を抑制し、最終的に得られる加硫ゴムの耐熱老化性を著しく向上できると考えられる。
【0014】
特に一般式(1)に記載の化合物が、一般式(2)に記載の化合物である3,4-ジヒドロキシけい皮酸または一般式(3)に記載の化合物である3,4-ジメトキシけい皮酸である場合、得られる加硫ゴムの耐熱老化性が向上する理由については明らかではないが、例えば下記(1)~(3)の理由が考えられる。
(1)原料となるゴム組成物中に酸化亜鉛などの亜鉛化合物と共に配合された場合に、ゴム組成物中で2分子以上の3,4-ジヒドロキシけい皮酸または3,4-ジメトキシけい皮酸がR2位およびR3位の水酸基またはメトキシ基を介して亜鉛に配位し、錯体を形成することで高分子量化する、
(2)2分子以上の3,4-ジヒドロキシけい皮酸または3,4-ジメトキシけい皮酸が錯体を形成することで、3,4-ジヒドロキシけい皮酸または3,4-ジメトキシけい皮酸がブルームすることなくゴム組成物および加硫ゴム中に留まる、
(3)ゴム組成物および加硫ゴムからの3,4-ジヒドロキシけい皮酸または3,4-ジメトキシけい皮酸のブルームが抑制されることで、3,4-ジヒドロキシけい皮酸または3,4-ジメトキシけい皮酸の抗酸化作用が効果的に発揮され、その結果、加硫ゴムの耐熱老化性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るゴム組成物は、下記一般式(1);
【化4】
(上記一般式(1)中、R
1~R
5の少なくとも1つは-OH基または-OCH
3基であり、それ以外は-H基または炭素数1~20の炭化水素基である。)に記載の化合物を含有する。得られる加硫ゴムの耐熱老化性向上の観点から、ゴム組成物中の一般式(1)に記載の化合物の含有量は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、0.5~6質量部であり、2~5質量部であることがより好ましい。
【0016】
一般式(1)に記載の化合物は天然由来物であり、特に一般式(1)に記載の化合物が下記一般式(2);
【化5】
に記載の化合物である3,4-ジヒドロキシけい皮酸、あるいは下記一般式(3);
【化6】
に記載の化合物である3,4-ジメトキシけい皮酸である場合、天然由来物であるだけでなく、得られる加硫ゴムの耐熱老化性が向上するため特に好ましい。
【0017】
リグニン系老化防止剤は、ベンゼン環に炭素3個がついたフェニルプロパン型の炭素骨格からなり、これが多数互いに側鎖と側鎖、ベンゼン環と側鎖の間で結合した樹枝状構造をもち、分子量5万以上の重合体と言われており、非常に多くの-OH基を有する。本発明において使用可能なリグニン系老化防止剤としては、例えばEP3978681A1などに記載のパルプおよび製紙産業より得られる広葉樹由来の化合物を使用することができる。得られる加硫ゴムの耐熱老化性向上の観点から、ゴム組成物中のリグニン系老化防止剤の含有量は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、0.5~6質量部であり、2~5質量部であることがより好ましい。
【0018】
本発明に係るゴム組成物の加硫ゴムの耐熱老化性が向上する理由として、一般式(1)に記載の化合物とリグニン系老化防止剤との相互作用が考えられるが、この相互作用をより効果的に高めて、加硫ゴムの耐熱老化性をさらに向上させるためには、一般式(1)に記載の化合物とリグニン系老化防止剤との配合割合を1:1~10:1もしくは1:1~1:10とすることが好ましく、1:1~2.5:1とすることがより好ましい。
【0019】
本発明に係るゴム組成物が含有するゴム成分としては、例えばジエン系ゴムを好適に使用可能である。ジエン系ゴムとしては、特に限定されるものでなく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。ジエン系ゴムとして、好ましくは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、またはこれらの2種以上のブレンドである。
【0020】
本発明に係るゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックは、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。
【0021】
また、充填剤としてシリカを含有することも好ましい。シリカとしては、通常のゴム補強に用いられる湿式シリカ、乾式シリカ、ゾル-ゲルシリカ、表面処理シリカなどが用いられる。なかでも、湿式シリカが好ましい。
【0022】
充填剤としてシリカを含有する場合、併せてシランカップリング剤を含有することも好ましい。シランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。
【0023】
本発明に係るゴム組成物においては、ゴム成分、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤、さらにはカーボンブラックまたはシリカなどのフィラーに加えて、加硫系配合剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などを配合することができる。
【0024】
加硫剤としては、好適には硫黄が使用可能である。硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。
【0025】
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。ただし、本発明においては加硫ゴムの補強性に優れ、かつ被覆用ゴムとスチールコードとの耐剥離性に優れることから、スルフェンアミド系加硫促進剤を使用することが好ましい。
【0026】
本発明に係るゴム組成物は、老化防止剤として、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤を含有する点が特徴であるが、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤以外の老化防止剤を併用してもよい。式(1)に記載の化合物以外の老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
【0027】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分、一般式(1)に記載の化合物およびリグニン系老化防止剤、フィラー、加硫剤、および加硫促進剤に加えて、老化防止剤、ステアリン酸、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などを、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
【0028】
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、加硫剤および加硫促進剤などの加硫系配合剤以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
【実施例0029】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。
【0030】
(ゴム組成物の調製)
表1の配合処方に従い、実施例1~7および比較例1~2のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表1に記載の各配合剤を以下に示す(表1において、各配合剤の配合量を、ゴム成分100質量部に対する質量部数で示す)。
a)天然ゴム(RSS#3)
b)ブタジエンゴム;商品名「BR150B」、(宇部興産)社製
c)カーボンブラック;商品名「シースト3」、東海カーボン社製
d)ステアリン酸;商品名「ルナックS-20」、花王社製
e)酸化亜鉛;商品名「亜鉛華3号」、三井金属社製
f)ワックス;商品名「OZOACE0355」、(日本精鑞)社製
g)オイル;;商品名「プロセスNC140」、(JOMO)社製
h)老化防止剤A(アミン-ケトン系である2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体);商品名「ノクラック224」、大内振興化学工業社製
i)老化防止剤B(芳香族第二級アミン系であるN-フェニル-N’-(1,3-ジメチ
ルブチル)-p-フェニレンジアミン);商品名「ノクラック6C」、大内振興化学工業社製
j) 一般式(3)に記載の化合物である3,4-ジメトキシけい皮酸;商品名「3,4-Dimethoxycinnamic Acid」、東京化成工業社製
k)リグニン系老化防止剤
l)硫黄;商品名「粉末硫黄」、鶴見化学社製
g)加硫促進剤;商品名「ソクシノ-ルCZ」、住友化学
【0031】
実施例1~7および比較例1~2のゴム組成物を所定の金型を使用して、160℃で20分間加熱、加硫して得られたサンプルゴムの耐熱老化性を以下の方法により評価した。
【0032】
(加硫ゴムの耐熱老化性)
JIS K6253に準拠し、ギヤーオーブン中に所定時間、放置することにより老化させたサンプルゴムの破断伸びの保持率(初期の破断伸びに対する老化後の破断伸びを測定した。表1中には、比較例1の保持率を100として指数評価により示した。数値が大きいほど、耐熱老化性に優れることを意味する。結果を表1に示す。
【0033】
(加硫ゴムの補強性)
JIS K6251に準じて、引張試験(ダンベル状3号形)を実施して破断強度を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示した。数値が大きいほど、補強性が優れることを示す。
【0034】
【0035】
表1の結果から、実施例1~7に係るゴム組成物の加硫ゴムは、比較例1に係るゴム組成物の加硫ゴムに比して耐熱老化性に優れることが分かる。なお、比較例2に係るゴム組成物は、アミン系老化防止剤とリグニン系老化防止剤とを併用したにもかかわらず、耐熱老化性は悪化した。このことからも、本発明に係るゴム組成物では、一般式(1)に記載の化合物とリグニン系老化防止剤との相互作用により、加硫ゴムの耐熱老化性が向上することが理解できる。