(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094502
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】伸縮シートの製造方法、伸縮シートの製造装置、及び、伸縮シートを備えた着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240703BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61F13/15 311Z
A61F13/15 340
A61F13/15 351A
A61F13/15 355B
A61F13/15 370
A61F13/15 393
A61F13/51
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211078
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】島田 崇博
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB11
3B200CA02
3B200DA21
3B200EA08
3B200EA12
3B200EA21
3B200EA24
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】省資源化に寄与し、かつ、外観のよい伸縮シートを製造する。
【解決手段】伸縮シートの製造方法は、積層連続体を形成する工程と、弾性部材を切断する工程と、を備える。積層連続体を形成する工程では、搬送方向に間欠的に配置されるシート片と連続シートとの間に弾性部材を挟み込んだ状態で、連続シートと、シート片と、弾性部材と、を一体化することで、積層連続体が形成される。弾性部材を切断する工程では、積層連続体の、シート片の存在しない領域において、弾性部材が切断される。積層連続体を形成する工程には、連続シート及びシート片の少なくとも一方と弾性部材とを接合して固定部を形成する工程と、固定部と搬送方向におけるシート片の端部との間に制限部を形成する工程と、が含まれる。制御部では、連続シートとシート片とが少なくとも接合され、連続シート及びシート片と、弾性部材とは非接合である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に連続シートを搬送する工程と、
搬送される前記連続シートに対して、連続的に延びる弾性部材を前記搬送方向に沿って配置する工程と、
搬送される前記連続シートに対して、複数のシート片を、前記搬送方向に沿って、互いに間隔を空けて並べて配置し、前記シート片と前記連続シートの間に前記弾性部材を挟み込む工程と、
前記シート片と前記連続シートの間に前記弾性部材を挟み込んだ状態で、前記連続シートと、前記シート片と、前記弾性部材と、を一体化して積層連続体を形成する工程と、
前記積層連続体の、前記シート片の存在しない領域において、前記弾性部材を切断する工程と、
前記積層連続体を切断して伸縮シートを形成する工程と、
を備え、
前記積層連続体を形成する工程には、
前記搬送方向における前記シート片の中央部において、前記連続シート及び前記シート片の少なくとも一方と、前記弾性部材と、を接合して、固定部を形成する工程と、
前記搬送方向において、前記固定部と前記搬送方向における前記シート片の端部との間に、前記連続シートと前記シート片とを少なくとも接合して、制限部を形成する工程と、
を含み、
前記制限部では、前記連続シート及び前記シート片と、前記弾性部材とは非接合であり、又は、前記制限部における、前記連続シート又は前記シート片と、前記弾性部材との接合強度は、前記固定部における、前記連続シート又は前記シート片と、前記弾性部材との接合強度よりも小さく、
前記弾性部材を切断する工程において、前記制限部は、前記連続シート及び前記シート片によって、切断された前記弾性部材の収縮移動を制限する、
伸縮シートの製造方法。
【請求項2】
搬送される連続シートと、前記連続シートの搬送方向に沿って互いに間隔を空けて配置される複数のシート片と、前記連続シートと前記シート片との間に前記搬送方向に沿って配置される連続する弾性部材と、が一体化された積層連続体を形成する形成部と、
前記シート片の存在しない領域において、前記積層連続体の前記弾性部材を切断する第1切断部と、
前記積層連続体を切断して伸縮シートを形成する第2切断部と、
を備え、
前記形成部は、前記搬送方向に搬送される、前記連続シート、前記弾性部材、及び前記シート片を支持する第1接合部材と、前記第1接合部材との間に前記連続シート、前記弾性部材、及び前記シート片を挟み込む第2接合部材と、を有し、
前記第1接合部材は、前記第2接合部材と対向する対向面に、第1部と、前記搬送方向に沿う方向に前記第1部と隣接して配置される第2部と、を有し、
前記第2接合部材は、
前記第1接合部材の前記第1部との間で、前記連続シート、前記弾性部材、及び前記シート片を挟み込んで、少なくとも前記連続シートと前記シート片とを接合することで、前記積層連続体に制限部を形成し、
前記第1接合部材の前記第2部との間で、前記連続シート、前記弾性部材、及び前記シート片を挟み込んで、前記弾性部材と、前記連続シート及び前記シート片の少なくとも一方と、を接合することで、前記積層連続体に固定部を形成し、
前記制限部では、前記連続シート及び前記シート片と、前記弾性部材とは非接合であり、又は、前記制限部における、前記連続シート又は前記シート片と、前記弾性部材との接合強度は、前記固定部における、前記連続シート又は前記シート片と、前記弾性部材との接合強度よりも小さく、
前記第1切断部による前記弾性部材の切断の際に、前記制限部は、前記連続シート及び前記シート片によって、切断された前記弾性部材の収縮移動を制限する、
伸縮シートの製造装置。
【請求項3】
前記第1部は、前記搬送方向に搬送される前記弾性部材と、前記搬送方向に搬送される前記連続シート又は前記シート片と、が入り込む、前記搬送方向に沿って延びる第1溝が形成されている、第1溝形成部分を含み、
前記第2部は、前記搬送方向に搬送される前記弾性部材と、前記搬送方向に搬送される前記連続シート又は前記シート片と、が入り込む、前記搬送方向に沿って延びる第2溝が形成されている、第2溝形成部分を含み、
前記第1溝の深さは、前記形成部を前記搬送方向に搬送される前記弾性部材の直径と、前記形成部を前記搬送方向に搬送され、前記第1溝に入り込む、前記連続シート又は前記シート片の厚みと、の合計である第1合計値より大きく、
前記第2溝の深さは、前記第1合計値より小さい、
請求項2に記載の伸縮シートの製造装置。
【請求項4】
前記第1溝の深さは、張力が作用していない状態の前記弾性部材の直径と、前記第1溝に入り込む前記連続シート又は前記シート片の、張力が作用していない状態の厚みと、の合計である第2合計値より小さい、
請求項3に記載の伸縮シートの製造装置。
【請求項5】
前記第1接合部材の幅方向における前記第1溝の幅は、
前記形成部を前記搬送方向に搬送されている前記弾性部材の直径と、前記形成部を前記搬送方向に搬送されている、前記第1溝に入り込む前記連続シート又は前記シート片の厚みの2倍と、の合計である第3合計値より大きく、
張力が作用していない状態の前記弾性部材の直径と、前記第1溝に入り込む前記連続シート又は前記シート片の張力が作用していない状態の厚みの2倍と、の合計である第4合計値より小さい、
請求項3又は4に記載の伸縮シートの製造装置。
【請求項6】
伸縮シートを備えた着用物品であって、
前記伸縮シートは、第1シートと、第1方向に間隔を空けて配置される一対の第2シートと、前記第1方向に延び、前記第1シートと前記一対の第2シートとのそれぞれの間に挟まれて配置される弾性部材と、を少なくとも含み、
前記第2シートは、前記第1方向において、前記一対の前記第2シートの間の隙間とは遠隔の第1端と、前記一対の前記第2シートの間の隙間と近接の第2端と、を有し
前記伸縮シートの、前記第1シートと前記第2シートとが重ねて配置される領域には、
前記第1方向において、前記第2シートの前記第1端の近傍に配置される、前記弾性部材が前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方と接合されている第1部分と、
前記第1方向において、前記第1部分と前記第2シートの前記第2端との間に配置される第2部分と、
を含み、
前記第2部分では、前記弾性部材が前記第1シート及び前記第2シートと接合されておらず、又は、前記第2部分における前記弾性部材と前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方との接合強度は、前記第1部分における前記弾性部材と前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方との接合強度よりも小さく
前記第2部分において、前記弾性部材が前記第1シート及び前記第2シートと接合されていない場合には、前記第2部分には、前記第1方向と直交する方向に切断した断面視において、前記第1部分の前記弾性部材が配置される空間と連通する前記第1シート及び前記第2シートの間の空間の最大隙間が、張力が作用していない状態における前記弾性部材の直径よりも小さい部分が存在する、
着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮シートの製造装置、伸縮シートの製造方法、及び、これらの製造装置及び製造方法を用いて製造される伸縮シートを備えた着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2021/140831号)に示すように、シート上に弾性部材が配置され、さらに、シートとシート片との間に弾性部材が挟み込まれるように、複数のシート片をシート上に間欠的に配置した、着用物品用の伸縮シートの製造方法が知られている。このようにして製造される伸縮シートでは、同一サイズのシートを、その間に弾性部材を挟み込むように配置して一体化している伸縮シートに比べ、使用される原材料を削減でき、伸縮シートの製造に伴う環境負荷を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1(国際公開第2021/140831号)に開示されている伸縮シートの製造方法では、シート片が積層されていない領域において弾性部材を切断し、この領域で伸縮シートが不要な伸縮性を有さないようにしている。このようにして製造される伸縮シートでは、弾性部材が切断されるシート片が積層されていない領域に、切断された弾性部材が収縮した状態で不揃いのまま残ることになる。このようなシート片が積層されていない領域に残される弾性部材は、その後の工程で製造を妨げたり、伸縮シートを用いた着用物品の外観に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態の伸縮シートの製造方法は、連続シートを搬送方向に搬送する工程と、搬送される連続シートに対して弾性部材を配置する工程と、搬送される連続シートに対して複数のシート片を配置する工程と、積層連続体を形成する工程と、弾性部材を切断する工程と、伸縮シートを形成する工程と、を備える。搬送される連続シートに対して弾性部材を配置する工程では、搬送される連続シートに対して、連続的に延びる弾性部材が、連続シートの搬送方向に沿って配置される。搬送される連続シートに対して複数のシート片を配置する工程では、搬送される連続シートに対して、複数のシート片が、搬送方向に沿って、互いに間隔を空けて並べて配置され、シート片と連続シートの間に弾性部材が挟み込まれる。積層連続体を形成する工程では、シート片と連続シートの間に弾性部材を挟み込んだ状態で、連続シートと、シート片と、弾性部材と、を一体化することで、積層連続体が形成される。弾性部材を切断する工程では、積層連続体の、シート片の存在しない領域において、弾性部材が切断される。伸縮シートを形成する工程では、積層連続体を切断することで、伸縮シートが形成される。積層連続体を形成する工程には、固定部を形成する工程と、制限部を形成する工程と、を含む。固定部を形成する工程では、搬送方向におけるシート片の中央部において、連続シート及びシート片の少なくとも一方と、弾性部材と、を接合することで、固定部が形成される。制限部は、搬送方向において、固定部と搬送方向におけるシート片の端部との間に形成される。制限部を形成する工程では、連続シートとシート片とを少なくとも接合することで、制限部が形成される。制限部では、連続シート及びシート片と、弾性部材とは非接合である。または、制限部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度は、固定部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度よりも小さい。弾性部材を切断する工程において、制限部は、連続シート及びシート片によって、切断された弾性部材の収縮移動を制限する。
【0006】
本発明の一実施形態の伸縮シートの製造装置は、形成部と、第1切断部と、第2切断部と、を備える。形成部は、搬送される連続シートと、連続シートの搬送方向に沿って互いに間隔を空けて配置される複数のシート片と、連続シートとシート片との間に搬送方向に沿って配置される連続する弾性部材と、が一体化された積層連続体を形成する。第1切断部は、シート片の存在しない領域において、積層連続体の弾性部材を切断する。第2切断部は、積層連続体を切断して伸縮シートを形成する。形成部は、第1接合部材と、第2接合部材と、を有する。第1接合部材は、搬送方向に搬送される、連続シート、弾性部材、及びシート片を支持する。第2接合部材は、第1接合部材との間に、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込む。第1接合部材は、第2接合部材と対向する対向面に、第1部と、第2部と、を有する。第2部は、連続シートの搬送方向に沿う方向において、第1部と隣接して配置される。第2接合部材は、第1接合部材の第1部との間で、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込んで、少なくとも連続シートとシート片とを接合することで、積層連続体に制限部を形成する。また、第2接合部材は、第1接合部材の第2部との間で、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込んで、弾性部材と、連続シート及びシート片の少なくとも一方と、を接合することで、積層連続体に固定部を形成する。制限部では、連続シート及びシート片と、弾性部材とは非接合である。または、制限部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度は、固定部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度よりも小さい。第1切断部における弾性部材の切断の際に、制限部は、連続シート及びシート片によって、切断された弾性部材の収縮移動を制限する。
【0007】
本発明の一実施形態の着用物品は、伸縮シートを備える。伸縮シートは、第1シートと、一対の第2シートと、弾性部材と、を少なくとも含む。一対の第2シートは、第1方向に間隔を空けて配置される。弾性部材は、第1方向に延び、第1シートと一対の第2シートとのそれぞれの間に挟まれて配置される。第2シートは、第1方向において、一対の第2シートの間の隙間とは遠隔の第1端と、一対の第2シートの間の隙間と近接の第2端と、を有する。伸縮シートの、第1シートと第2シートとが重ねて配置される領域には、第1部分と、第2部分と、が含まれる。第1部分は、第1方向において、第2シートの第1端の近傍に配置される。第1部分では、弾性部材が第1シート及び第2シートの少なくとも一方と接合されている。第2部分は、第1方向において、第1部分と第2シートの第2端との間に配置される。第2部分では、弾性部材が、第1シート及び第2シートと接合されていない。または、第2部分における、弾性部材と第1シート及び第2シートの少なくとも一方との接合強度が、第1部分における弾性部材と第1シート及び第2シートの少なくとも一方との接合強度よりも小さい。第2部分において、弾性部材が第1シート及び第2シートと接合されていない場合には、第2部分には、第1方向と直交する方向に切断した断面視において、第1部分の弾性部材が配置される空間と連通する第1シート及び第2シートの間の空間の最大隙間が、張力が作用していない状態における弾性部材の直径よりも小さい部分が存在する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の伸縮シートの製造方法及び製造装置では、シート片の存在しない領域において弾性部材を切断した際に、切断された弾性部材が収縮して制限部に収容される。そのため、本発明の伸縮シートの製造方法及び製造装置では、シート片が積層されていない領域に、切断された弾性部材が残った状態になりにくい。
【0009】
本発明の着用物品では、伸縮シートの製造時に第2シートの存在しない領域で切断されて収縮した弾性部材は、第1シートと第2シートとの間に収容されるため、着用物品の着用者等には見えない。そのため、本発明の着用物品は見栄えが良い。また、本発明の着用物品では、弾性部材は、第1シートと第2シートとで覆われるため、着用者の肌が直接弾性部材に触れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る着用物品の製造工程(着用物品に用いられる伸縮シートの製造工程を含む)の流れを示す概略図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る着用物品の製造工程(着用物品に用いられる伸縮シートの製造工程を含む)の流れを示す概略図であり、
図1Aの続きの製造工程を描画している。
【
図3】本発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置(着用物品に用いられる伸縮シートの製造装置を含む)の概略レイアウト図である。
【
図4】着用物品の製造装置の概略ブロック図である。
【
図5】
図3の製造装置の形成部の構造の詳細を概略的に示す図である。
【
図6】
図5の形成部のアンビルロールの外周面の一部を平面状に展開した模式図である。
【
図7】
図6中の円αで囲んだ第2溝形成部分をアンビルロールの径方向に沿って見た図と、この図のX1-X1矢視における第2溝形成部分の断面図と、を示す。
【
図8A】
図6中の円βで囲んだ第1溝形成部分を、アンビルロールの周方向に沿って見た図と、この図のX2-X2矢視における第1溝形成部分の断面図と、を示す。
【
図8B】
図6中の円βで囲んだ第1溝形成部分の他の例を、アンビルロールの周方向に沿って見た図と、この図のX2-X2矢視における第1溝形成部分の断面図と、を示す。
【
図9】本発明の一実施形態に係る伸縮シートを備えた着用物品の展開図である。
【
図10】
図9のVII-VII矢視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る伸縮シートの製造装置、伸縮シートの製造方法、及び伸縮シートを備えた着用物品の実施形態を説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施形態は、本発明の一実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、以下の実施形態に多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0013】
(1)着用物品
図9を参照しながら、本発明の一実施形態に係る、伸縮シートAを備えた着用物品Nについて説明する。本実施形態における着用物品Nは、使い捨てのオムツである。着用物品Nでは、着用者の胴周りに装着される胴周り部材20が、伸縮シートAを有する。
【0014】
ただし、伸縮シートを備えた着用物品は、使い捨てのオムツに限定されない。本発明の着用物品は、例えば、使い捨てのパンツや、使い捨ての医療用ガウン等であってもよい。また、着用物品では、胴周り部材以外の部材、例えば、袖口を形成する袖口部材や裾口を形成する裾口部材等に、本明細書で説明する製造方法や製造装置を用いて製造される伸縮シートが利用されてもよい。
【0015】
着用物品Nは、吸収体10と、前後の一対の胴周り部材20,20と、を主に有する(
図9参照)。以下では、一対の胴周り部材20,20のうち、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用者の前胴(胴の前部)を覆う胴周り部材を前胴周り部材20aと呼び、着用者の後胴(胴の後部)を覆う胴周り部材を後胴周り部材20bと呼ぶ。なお、前胴周り部材20a及び後胴周り部材20bは、着用者の胴の前部及び後部のどちらを覆うかが相違するが、他の点では概ね同一の部材である。そのため、以下で前胴周り部材20a及び後胴周り部材20bに共通の内容を説明する際には、前胴周り部材20a及び後胴周り部材20bを区別せずに、胴周り部材20として説明する。
【0016】
(1-1)吸収体
吸収体10は、尿等の体液を吸収するための部材である。吸収体10は、主に、不織布と、綿状パルプに包まれている高分子吸水材と、を含む。吸収体10の詳細な構造については、ここでは説明を省略する。
【0017】
吸収体10は、
図9に示すように、フロント部12、バック部14、及び、股部16を有する。吸収体10は、前胴周り部材20aと後胴周り部材20bとの間を延びる。具体的には、
図9のように着用物品Nを展開した状態において、吸収体10は、フロント部12から股部16を介してバック部14へと、胴周り方向Xと直交する長手方向Yに延びる。胴周り方向Xは、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用者の胴周りに沿う方向である。吸収体10のフロント部12は、前胴周り部材20aと接合されている。吸収体10のバック部14は、後胴周り部材20bと接合されている。接合方法を限定するものではないが、吸収体10と胴周り部材20とは、例えば、超音波接合、熱接合、接着等の方法で接合されている。
【0018】
フロント部12は、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用者の前胴を覆う。バック部14は、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用者の後胴を覆う。股部16は、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用者の股間を覆う。着用者が着用物品Nを着用する際には、着用物品Nは、吸収体10の股部16が胴周り方向Xに平行な仮想線において2つに折られた状態で着用される。
【0019】
(1-2)胴周り部材
胴周り部材20(前胴周り部材20a及び後胴周り部材20b)は、中央部22と、フラップ部24と、を主に有する(
図9参照)。胴周り方向Xにおいて、中央部22は中央部に配置され、フラップ部24は中央部22の両側に配置される。
【0020】
なお、本実施形態では、
図9のように、胴周り部材20を展開した状態において、後述する弾性部材Dの配置されていない中央部22が、長手方向Yにおいて各胴周り部材20の全域にわたって設けられている。ただし、
図9で示す中央部22の配置は一例に過ぎず、胴周り部材20を展開した状態において、長手方向Yにおける両端部に、胴周り方向X全体にわたって、弾性部材Dが配置されるウエスト部が設けられてもよい。ここでのウエスト部は、着用者が着用物品Nを着用した際に、着用物品Nの上端に配置され、前胴周り部材20aのウエスト部と後胴周り部材20bのウエスト部とは、着用者のウエストに装着される部分となる。ウエスト部が設けられる場合には、弾性部材Dの配置されない中央部22は、長手方向Yにおいて、胴周り部材20の一部(胴周り方向Xにおける中央部であって、長手方向Yにおける両端部を除く部分)にだけ配置されることになる。
【0021】
前胴周り部材20aの中央部22は、少なくともその一部に、吸収体10のフロント部12が接合される部分である。本実施形態では、前胴周り部材20aの中央部22の概ね全体に、吸収体10のフロント部12が接合される。後胴周り部材20bの中央部22は、少なくともその一部に、吸収体10のバック部14が接合される部分である。本実施形態では、後胴周り部材20bの中央部22の概ね全体に、吸収体10のバック部14が接合される。着用物品Nにおいて、フラップ部24は、胴周り方向Xにおいて、中央部22に接合される吸収体10の両側に突出する。胴周り部材20のフラップ部24は、着用物品Nの着用者の胴周りに巻き付けられる。着用者が着用物品Nを着用する際には、前胴周り部材20aの左右の端部が、対応する後胴周り部材20bの左右の端部と重ねられる。
【0022】
胴周り部材20の構造を説明する。
【0023】
胴周り部材20は、主に伸縮シートAを有する。伸縮シートAは、主に、第1シートS1と、複数の第2シートS2と、弾性部材Dと、を含む(
図9参照)。本実施形態では、各胴周り部材20は、一対の第2シートS2,S2を有する。
【0024】
第1シートS1は、例えば、通気性を有する不織布である。第1シートS1は、胴周り方向Xを長手方向として延びる単一の(連続する)シートである。各胴周り部材20において、第1シートS1は、着用物品Nを着用者が着用した際に、着用者の前胴または後胴から、着用者の両側部までを覆うように、胴周り方向Xに連続して延びる。
【0025】
第2シートS2は、例えば、通気性を有する不織布である。一対の第2シートS2,S2は、第1シートS1と重なるように、第1方向の一例としての胴周り方向Xに間隔を空けて配置される。具体的には、一対の第2シートS2,S2は、吸収体10と接合される中央部22を挟むように、フラップ部24に対応する位置に配置される。
【0026】
弾性部材Dは、各胴周り部材20を着用者の胴にフィットさせるための部材である。限定するものではないが、弾性部材Dは、例えば糸ゴムである。
【0027】
弾性部材Dは、第1方向の一例としての胴周り方向Xに延びるように配置される。弾性部材Dは、胴周り方向Xに伸縮性を有する。弾性部材Dは、
図10の断面図(
図9のVII-VII矢視の断面図)に示すように、第1シートS1及び第2シートS2の積層方向において、第1シートS1と第2シートS2との間に挟まれて配置される。
【0028】
なお、後述するように、弾性部材Dは、伸縮シートAの製造の初期段階では、胴周り方向Xにおいて第1シートS1の全体にわたって延びるように配置される。しかし、その後、弾性部材Dは、胴周り方向Xに互いに離隔して配置されている一対の第2シートS2,S2の間で切断される。その結果、一対の第2シートS2,S2の間の中央部22では、弾性部材Dの収縮力が作用しない状態となる。弾性部材Dの収縮力が作用しない状態では、皺が生じないため、吸収体10を配置することが容易である。
【0029】
なお、本実施形態の着用物品Nに用いられる伸縮シートAの製造では、一対の第2シートS2,S2の間で弾性部材Dが切断される際、弾性部材Dが収縮すると、一対の第2シートS2の間に配置されていた弾性部材Dは、第1シートS1と第2シートS2との間の隙間に移動する。その結果、弾性部材Dの全体又は大半は、第1シートS1と第2シートS2との間に覆われた状態になる。言い換えれば、着用物品Nに用いられる伸縮シートAにおいて、弾性部材Dは、目視できる位置(すなわち、第2シートS2の存在しない領域)には、配置されない、又は、ほとんど配置されない。
【0030】
このような状態になるのは、後述するように、伸縮シートAの製造過程で、胴周り方向Xにおいて、第1シートS1と第2シートS2とが重ねて配置される領域に、第1部分42と、第2部分44と、が設けられるためである(
図9参照)。
【0031】
第1部分42は、弾性部材Dが、第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方と接合されている部分である。
【0032】
第2部分44は、弾性部材Dが、第1シートS1及び第2シートS2と接合されていない部分(非接合部分)である。第2部分44が、弾性部材Dと第1シートS1及び第2シートS2とが接合されていない部分である場合には、第2部分44には、
図10のように、胴周り方向Xと直交する方向に切断した断面視において、第1部分42の弾性部材Dが配置される空間と連通する第1シートS1及び第2シートS2の間の空間Zの最大隙間Bが、張力が作用していない状態における弾性部材Dの直径(
図10において二点鎖線で示される力が作用していない状態における弾性部材Dの直径d1)よりも小さい部分が存在する。
【0033】
なお、上記の例とは違い、第2部分44では、弾性部材Dと、第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方とが接合されていてもよい。この場合には、弾性部材Dと第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方との接合強度は、第1部分42における弾性部材Dと第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方との接合強度より小さい。
【0034】
第1部分42と、第2部分44と、の配置について、
図9を参照しながら説明する。
【0035】
第1部分42は、胴周り方向Xにおいて、第2シートS2の第1端E1の近傍に配置される。第2部分44は、胴周り方向Xにおいて、第1部分42と、第2シートS2の第2端E2との間に配置される。ここで、第2シートS2の第1端E1とは、胴周り方向Xにおいて、一対の第2シートS2の間の隙間Gから遠隔の端部である。本実施形態では、展開した状態の伸縮シートAにおいて、第2シートS2の第1端E1は、
図9に示すように、胴周り方向Xにおける伸縮シートAの両端に配置されている。第2シートS2の第2端E2は、一対の第2シートS2の間の隙間Gに近接する端部である。
【0036】
第2部分44の胴周り方向Xにおける寸法について説明する。
【0037】
胴周り方向Xにおいて、第2部分44の長さL2は、例えば、以下のように設定される。
【0038】
後述するように、伸縮シートAの製造工程では、引張力の作用している状態の弾性部材Dが、一対の第2シートS2の間の隙間Gの、胴周り方向Xにおける中心で切断される。その結果、伸長していた弾性部材Dは収縮し、隙間Gの胴周り方向Xにおける中心部から両側に、言い換えれば第2シートS2側に向かって移動する。この際、一対の第2シートS2の間の隙間Gの胴周り方向Xにおける中央部(弾性部材Dの切断箇所)と、胴周り方向Xにおける第1部分42と第2部分44との境界との間に存在する弾性部材Dは、全て第2部分44内におさまることが好ましい。これを実現するため、伸縮シートAの製造工程において、自然長のα倍に伸長されている弾性部材Dが、一対の第2シートS2の間の隙間Gの胴周り方向Xにおける中心で切断される場合には、胴周り方向Xにおける第2部分44の長さL2は、L1/2(α―1)×βとされる(ここで、L1は胴周り方向Xにおける間の隙間Gの長さ、β(余裕率、1以上の値であり、通常は1より大きい値)。第2部分44の長さL2は、後述するように隣接するシート片S2aの間の隙間(着用物品Nにおける隙間Gに相当)の搬送方向MDにおける中心で弾性部材Dを切断した際に、収縮する弾性部材Dが全て制限部Cb(着用物品Nにおける第2部分44に相当)内におさまるように、理論的計算や、実験や、シミュレーション等に基づき決定される。
【0039】
なお、第2部分44の長さL2は、過剰に大きくしないことが好ましい。胴周り方向Xにおける第2部分44の長さL2を過剰に大きく取ると、胴周り方向Xにおける第1部分42の長さが短くなり、弾性部材Dを十分な力で固定することができなくなる可能性があるためである。
【0040】
(2)着用物品の製造方法
着用物品Nの製造方法について説明する。なお、ここでは、着用物品Nの製造方法の中でも、伸縮シートAの製造方法の説明を主な目的としているため、伸縮シートAの製造以外に関する内容については、図示や説明を省略する場合がある。
【0041】
着用物品Nの製造方法の一例について、
図1A、
図1B及び
図2を参照しながら説明する。
図1Aは、着用物品Nの製造工程(着用物品Nに用いられる伸縮シートAの製造工程を含む)の流れを示す概略図である。
図1Bは、着用物品Nの製造工程(着用物品Nに用いられる伸縮シートAの製造工程を含む)の流れを示す概略図であり、
図1Aの続きの製造工程を描画している。
図2は、着用物品Nの製造工程のフロー図である。
【0042】
伸縮シートAの製造方法では、
図1に示すように、着用物品Nとなった時に第1シートS1となる連続シート(連続シートS1aと呼ぶ)が搬送方向MDに搬送される(工程P1)。具体的には、工程P1では、ピンチローラ等の手段を用いて、連続シートS1aの巻き回された原反ロールから、連続シートS1aが繰り出され、搬送方向MDに搬送される。
【0043】
次に、連続的に延びる弾性部材Dが、搬送される連続シートS1aに対して、連続シートS1aの搬送方向MDに沿って配置される(工程P2)。工程P2では、搬送される連続シートS1aの一方の面F1と重なるように、複数の連続的に延びる弾性部材Dが、連続シートS1aの搬送方向MDに沿って配置され、連続シートS1aと連続的に延びる弾性部材Dとが搬送方向MDに沿って搬送されていく。
【0044】
次に、工程P3では、弾性部材Dの一部が、連続シートS1aの面F1との間に挟まれるように、搬送される連続シートS1aに対して、着用物品Nとなった時に第2シートS2となるシート片(シート片S2aと呼ぶ)が次々と配置される。シート片S2aは、搬送される連続シートS1aに対し、直前に供給されたシート片S2aと、連続シートS1aの搬送方向MDにおいて所定距離(上記の着用物品Nにおける隙間Gの胴周り方向Xにおける寸法だけ)離して配置される。要するに、工程P3では、搬送される前記連続シートS1aに対して、複数のシート片S2aが、搬送方向MDに沿って、互いに間隔を空けて並べて配置され、シート片S2aと連続シートS1aとの間に弾性部材Dが挟み込まれる。具体的には、工程P3では、ピンチローラ等の手段を用いて、原反ロールからシート片S2aとなる連続シートが繰り出され、連続シートは所定長さで切断されてシート片S2aとなり、このようにして形成されたシート片S2aがローラ等を用いて連続シートS1aに対して次々と供給される。
【0045】
次に、工程P4では、シート片S2aと連続シートS1aの間に弾性部材Dを挟み込んだ状態で、連続シートS1aと、シート片S2aと、弾性部材Dと、が一体化される。例えば、工程P4では、連続シートS1aとシート片S2aとが、更に連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と弾性部材Dとが、超音波接合されて一体化する。なお、接合方法は、超音波接合に限定されるものではなく、熱接合等、他の手法であってもよい。ここでは、連続シートS1aと、シート片S2aと、弾性部材Dと、を一体化したものを、積層連続体Cと呼ぶ。
【0046】
なお、積層連続体Cを形成する工程には、固定部Caを形成する工程P4aと、制限部Cbを形成する工程P4bと、を含む。なお、ここでは、説明の都合上、固定部Caを形成する工程P4aと制限部Cbを形成する工程P4bとを分けて記載する。実際には、連続シートS1aと1のシート片S2aとが後述する形成部150のアンビルロール152とホーン154との間を搬送される際に、制限部Cbを形成する工程P4b、固定部Caを形成する工程P4a、及び制限部Cbを形成する工程P4bが、この順番に、連続的に繰り返し実行される。
【0047】
固定部Caを形成する工程P4aでは、連続シートS1aの搬送方向MDにおけるシート片S2aの中央部において、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、弾性部材Dと、が接合されて、固定部Caが形成される。なお、固定部Caでは、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、弾性部材Dと、が接合されるだけではなく、連続シートS1aとシート片S2aとも少なくとも部分的に接合されることが好ましい。固定部Caは、製造される着用物品Nにおいて、第1部分42となる。
【0048】
制限部Cbを形成する工程P4bでは、連続シートS1aの搬送方向MDにおいて、
固定部Ca(ここでの固定部Caには、その後の工程において固定部Caとなる部分を含む)と搬送方向MDにおけるシート片S2aの端部M(
図1A参照)との間に、制限部Cbが形成される。制限部Cbでは、連続シートS1aとシート片S2aとが少なくとも接合されている。制限部Cbは、製造される着用物品Nにおいて、第2部分44となる。
【0049】
本実施形態では、制限部Cbにおいて、連続シートS1aとシート片S2aと、弾性部材Dとは非接合である。なお、制限部Cbでは、弾性部材Dの配置される連続シートS1aとシート片S2aとの間の空間に、最大隙間が、張力が作用していない状態における弾性部材Dの直径よりも小さい部分が存在する。その結果、弾性部材Dを切断する工程(後述する工程P5)において、制限部Cbは、連続シートS1aとシート片S2aによって、切断された弾性部材Dの収縮移動を制限する。
【0050】
ただし、これに限定されるものではなく、制限部Cbでも、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、弾性部材Dと、が接合されてもよい。この場合には、制限部Cbにおける、連続シートS1aとシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度は、固定部Caにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度よりも小さく設定される。
【0051】
このような関係に接合強度が設定されるのは、接合の目的の違いによる。固定部Caにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合は、弾性部材Dが連続シートS1a及びシート片S2aに対して動かないように固定することを主目的としている。一方で、制限部Cbにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合は、連続シートS1a又はシート片S2aへの弾性部材Dの固定を目的としたものではなく、連続シートS1a及びシート片S2aにより、切断された弾性部材Dの収縮移動を減速することを目的としている。制限部Cbにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと弾性部材Dとの接合強度を適切に設定することで、収縮移動してくるシート片S2aの存在しない領域に配置されていた弾性部材Dを、制限部Cbにおいて、連続シートS1aとシート片S2aとの間に収容することができる。
【0052】
次に、工程P5では、積層連続体Cの、シート片S2aの存在しない領域において、弾性部材Dが切断される。例えば、積層連続体Cの弾性部材Dは、シート片S2aの存在しない領域の搬送方向MDにおける中心で切断される。なお、着用物品Nの製造(伸縮シートAの製造)では、弾性部材Dは搬送方向MDに伸長された状態で搬送されている。そのため、弾性部材Dがカットされると、弾性部材Dは収縮して、前述の制限部Cbにおいて、連続シートS1aとシート片S2aとの間に収容される。
【0053】
なお、図示は省略しているが、シート片S2aの存在しない領域で弾性部材Dが切断されている積層連続体C(弾性部材Dの切断後の積層連続体Cを、ここでは第1積層連続体C1と呼ぶ)は、工程P1~工程P5を経て、2つの製造ラインで並列に製造される。
【0054】
次に、工程P6では、搬送方向MDと直交する直交方向CDに所定距離だけ離した状態で搬送方向MDに搬送される一対の第1積層連続体C1に対し、吸収体10が間欠的に次々と配置される。具体的には、吸収体10は、直交方向CDを長手方向とする姿勢で、搬送方向MDに搬送される一方の第1積層連続体C1のシート片S2aの存在していない位置と、搬送方向MDに搬送される他方の第1積層連続体C1のシート片S2aの存在していない位置と、の間に跨って配置される。さらに、工程P6では、一対の第1積層連続体C1と吸収体10とが、所定の接合方法で(例えば、超音波接合、熱接合、接着等の方法で)接合される。なお、吸収体10の製造方法については、ここでは説明を省略する。
【0055】
次に、工程P7では、個々の着用物品Nを製造するために、隣り合う吸収体10,10の間の搬送方向MDにおける中心において、直交方向CDに延びる仮想の切断ラインに沿って第1積層連続体C1が次々に切断される。工程P7は、積層連続体Cを切断して伸縮シートAを形成する工程の一例である。具体的には、工程P7では、搬送方向MDに直交する直交方向CDに延びる仮想の切断ラインに沿って連続シートS1a、弾性部材Dおよびシート片S2aが切断される。図示等は省略するが、工程P7を経て製造された個々の着用物品Nは、例えば、吸収性本体2において2つに折り畳まれて着用物品Nとなる。
【0056】
なお、ここで説明した着用物品Nの製造工程は、一例に過ぎず、適宜変更可能である。例えば、上記の着用物品Nの製造工程では、一対の第1積層連続体C1と吸収体10とが工程P6において接合された後に、工程P7において第1積層連続体C1が切断されるが、この順番は逆であってもよい。
【0057】
(3)着用物品の製造装置
次に、
図3~
図5を参照しながら、着用物品Nの製造装置(伸縮シートAの製造装置を含む)の一例の概要について説明する。なお、ここでは、着用物品Nの製造方法の中でも、伸縮シートAの製造方法の説明を主な目的としているため、伸縮シートAの製造以外に関する内容については、図示や説明を省略する場合がある。
【0058】
ここで、
図3は、着用物品Nの製造装置100(着用物品Nに用いられる伸縮シートAの製造装置を含む)の概略レイアウト図である。
図4は、着用物品Nの製造装置100の概略ブロック図である。なお、着用物品Nの製造装置では、並列に配置された2つの製造ラインのそれぞれで、前述の第1積層連続体C1が形成されるが、
図3及び
図4では積層連続体Cの製造ラインのうちの一方だけを描画している。
図5は、製造装置100の形成部150の構造の詳細を概略的に示す図である。
【0059】
製造装置100は、連続シート搬送部110と、連続シート搬送部120と、シート片形成部125と、シート片搬送部130と、弾性部材搬送部140と、形成部150と、吸収体搬送部160と、吸収体接合部170と、第1切断部180と、第2切断部190と、制御部200と、を主に備える(
図3及び
図4参照)。
【0060】
連続シート搬送部110は、図示を省略するピンチローラ等を用いて、張力を作用させながら、連続シートS1aを搬送する装置である。連続シート搬送部120は、図示を省略するピンチローラ等を用いて、シート片S2aに形成される連続シートを搬送する装置である。シート片形成部125は、連続シート搬送部120の搬送する連続シートを、カッタロール126を用いて所定の長さに切断し、シート片S2aを形成する装置である。シート片搬送部130は、シート片形成部125の形成したシート片S2aを、
図3のようなローラ132,134(シート片S2aを吸引しながら搬送するローラ)により搬送し、所定のタイミングで、形成部150のアンビルロール152に受け渡す装置である。弾性部材搬送部140は、図示を省略するピンチローラ等を用いて、張力を作用させながら、連続的に延びる弾性部材Dを搬送する装置である。形成部150は、搬送される連続シートS1aと、搬送される連続シートS1aに対して供給された、連続シートS1aの搬送方向MDに沿って互いに間隔を空けて配置される複数のシート片S2aと、搬送される連続シートS1aに対して供給された、連続シートS1aとシート片S2aとの間に搬送方向MDに沿って配置される連続する弾性部材Dと、が一体化された積層連続体Cを形成する装置である。吸収体搬送部160は、図示を省略する装置を用いて製造された吸収体10を搬送する装置である。吸収体接合部170は、図示を省略する装置を用いて、一対の第1積層連続体C1と吸収体10とを接合する装置である。第1切断部180は、シート片S2aの存在しない領域において、積層連続体Cの弾性部材Dを切断する装置である。第2切断部190は、積層連続体C(吸収体10の接合された第1積層連続体C1を切断して着用物品N(着用物品Nに用いられる伸縮シートA)を形成する。
【0061】
制御部200は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリや、入出力装置、各種の電気部品・電子部品等を有する。制御部200は、
図4に示すように、連続シート搬送部110と、連続シート搬送部120と、シート片形成部125と、シート片搬送部130と、弾性部材搬送部140と、形成部150と、吸収体搬送部160と、吸収体接合部170と、第1切断部180と、第2切断部190と、に電気的に接続されている。制御部200は、CPUが、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、連続シート搬送部110と、連続シート搬送部120と、シート片形成部125と、シート片搬送部130と、弾性部材搬送部140と、形成部150と、吸収体搬送部160と、吸収体接合部170と、第1切断部180と、第2切断部190と、が連携しながら動作するように制御する。なお、制御部200は、ここで説明するような機能を発揮可能であれば、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェア(各種の電気回路・電子回路)により実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0062】
以下では、特に、形成部150と、第1切断部180と、第2切断部190と、について説明する。
【0063】
(3-1)形成部
形成部150について、
図5~
図8を更に参照しながら、詳細を説明する。
図5は、着用物品Nの製造装置100の形成部150の構造の詳細を概略的に示す図である。
図6は、形成部150のアンビルロール152の外周面の一部を平面状に展開した模式図である。
図7は、
図6中の円αで囲んだ第2溝形成部分をアンビルロール152の径方向に沿って見た図と、この図のX1-X1矢視における第2溝形成部分の断面図と、を示す。
図8Aは、
図6中の円βで囲んだ第1溝形成部分を、アンビルロール152の周方向に沿って見た図と、この図のX2-X2矢視における第1溝形成部分の断面図と、を示す。
図8Bは、
図6中の円βで囲んだ第1溝形成部分の他の例を、アンビルロール152の周方向に沿って見た図と、この図のX2-X2矢視における第1溝形成部分の断面図と、を示す。
【0064】
形成部150は、供給される積層された状態の連続シートS1a、弾性部材D及びシート片S2aを受け取り、連続シートS1aとシート片S2aとを所定の箇所で接合するとともに、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と弾性部材Dとを所定の箇所で接合して、積層連続体Cを形成する装置である。
【0065】
形成部150は、第1接合部材の一例としてのアンビルロール152と、第2接合部材の一例としてのホーン154と、を有する。
【0066】
アンビルロール152は、連続シート搬送部110が供給する連続シートS1a、弾性部材搬送部140が供給する弾性部材D、及びシート片搬送部130が供給するシート片S2aを受け取り、搬送方向MD(
図5参照)に搬送される、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを支持する。
【0067】
ホーン154は、アンビルロール152との間に連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込む。ホーン154は、図示を省略する発振器が発生した超音波により振動する。ホーン154は、アンビルロール152との間に連続シートS1a、弾性部材D及びシート片S2aを挟み込む。ホーン154は、アンビルロール152と協働して、連続シートS1aとシート片S2aとを、部分的に、互いに接合(超音波溶着)する。また、ホーン154は、アンビルロール152と協働して、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方を、弾性部材Dに部分的に接合して、連続シートS1a及びシート片S2aに弾性部材Dを保持させる。
【0068】
なお、本発明に係る第2接合部材は、ホーンに限定されるものではなく、連続シートS1a及びシート片S2aや、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と弾性部材Dとを熱溶着するためのヒータが内蔵されたロール等であってもよい。
【0069】
アンビルロール152についてより具体的に説明する。
【0070】
アンビルロール152は、軸周りに回転する円柱状の部材であり、
図5に示すように、外周面152a(ホーン154と対向する対向面)に、アンビルロール152の径方向外側に突出する多数の突条部300を有する。各突条部300は、アンビルロール152の幅方向S(アンビルロール152の軸方向)に沿って延びる。アンビルロール152の外周面152aは、第2接合部材としてのホーン154と対向する対向面の一例である。そして、突条部300は、超音波振動しているホーン154と対向する第1面302を有する(
図5参照)。第1面302は、例えば、
図7~
図8に示すように、アンビルロール152の外周面152aから所定高さhだけ、アンビルロール152の径方向外側に突出している。突条部300の第1面302と、超音波振動しているホーン154とは、その間にシート片S2aと連続シートS1aとを挟み込んで加圧することで、シート片S2aと連続シートS1aを超音波溶着する。なお、アンビルロール152とホーン154との間を搬送されるシート片S2a及び連続シートS1aであっても、ホーン154と突条部300の第1面302との間で加圧された状態にならない部分は、シート片S2aと連続シートS1aとは超音波溶着されない。
【0071】
突条部300は、
図6に示すように、アンビルロール152の周方向Rに互いに離間して設けられている。各突条部300の第1面302には、アンビルロール152の周方向Rに延びる複数の溝Jが形成されている。溝Jは、言い換えれば、アンビルロール152に支持されて搬送される連続シートS1a、弾性部材D及びシート片S2aの搬送方向MDに沿って延びる。溝Jは、アンビルロール152に支持されて搬送される連続シートS1a、弾性部材D及びシート片S2aのうち、搬送方向MDに搬送される弾性部材Dと、搬送方向MDに搬送されるシート片S2aとが入り込む溝である。各突条部300の第1面302に設けられた溝Jは、
図6に示すように、アンビルロール152の周方向Rに沿って隣接する突条部300に設けられた溝Jと、一直線状に並べて配置されている。そのため、アンビルロール152に導入される各弾性部材Dは、一直線状に並んだ溝Jに案内されて、アンビルロール152の周方向Rに沿って搬送される。
【0072】
アンビルロール152の外周面152aに設けられる突条部300は、特許請求の範囲における第1部の一例としての第1突条部300aと、特許請求の範囲における第2部の一例としての第2突条部300bとを含む。言い換えれば、アンビルロール152は、ホーン154に対向する外周面152aに、第1突条部300aと、第2突条部300bと、を有している。第2突条部300bは、連続シートS1aの搬送方向MD(言い換えれば、アンビルロール152の周方向Rに)、第1突条部300aと隣接して配置される。具体的には、アンビルロール152の周方向Rにおいて、一対の第1突条部300aが、第2突条部300bの設けられている領域の両側に、隣接配置されている(
図6参照)。言い換えると、アンビルロール152に支持されて搬送される連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aの搬送方向MDにおいて、第1突条部300aは、第2突条部300bの上流側及び下流側に隣接して配置される(
図6参照)。
【0073】
なお、
図6に示されている第1突条部300a及び第2突条部300bの数、形状や寸法は、アンビルロール152に設けられる第1突条部300a及び第2突条部300bの数を限定するものではない。例えば、アンビルロール152には、周方向Rの幅の大きな第2突条部が1つだけ設けられ、周方向Rにおける第2突条部の両側のそれぞれに、周方向Rの幅の大きな第1突条部が1つだけ設けられてもよい。
【0074】
形成部150による積層連続体Cの形成について説明する。
【0075】
形成部150において、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aが搬送方向MDに搬送される際、シート片S2a及び弾性部材Dは、アンビルロール152の周方向Rに沿って配置される複数の突条部300の、アンビルロール152の周方向Rに並べて配置されている(幅方向Sにおいて同一の位置に配置される)溝Jに入り込む。言い換えれば、形成部150は、シート片S2a及び弾性部材Dが溝Jに入り込んだ状態で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを搬送方向MDに搬送する。なお、ここでは、シート片S2a及び弾性部材Dが溝Jに入り込む態様を想定しているが、これに限定されるものではなく、連続シートS1a及び弾性部材Dが溝Jに入り込む態様であってもよい。
【0076】
アンビルロール152の外周面152aに沿って、弾性部材Dを間に挟んだ状態の連続シートS1a及びシート片S2aが搬送され、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aがホーン154と突条部300との間を通過する際、ホーン154とアンビルロール152の突条部300とは、その間に連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込む。また、この際、ホーン154は、超音波振動する。
【0077】
その結果、ホーン154とアンビルロール152の突条部300の第1面302との間に挟まれ、ホーン154とアンビルロール152の突条部300の第1面302との間で加圧される連続シートS1aとシート片S2aとは接合(超音波溶着)される。
【0078】
また、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aがホーン154と突条部300との間を通過する際に、ホーン154が超音波振動させられ、ホーン154とアンビルロール152の突条部300の溝Jの底面との間で、弾性部材Dが、連続シートS1a及びシート片S2aを介して、ホーン154とアンビルロール152の
突条部300の溝Jの溝面と、により押圧された状態になる場合には、連続シートS1a及びシート片S2aと、弾性部材Dとが接合(超音波溶着)される。
【0079】
なお、アンビルロール152の突条部300には、上述のように第1突条部300aと、第2突条部300bと、を含む。そして、ホーン154と第1突条部300aとの間では、連続シートS1a及びシート片S2aと、弾性部材Dとは接合されず、ホーン154と第2突条部300bとの間では、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、弾性部材Dとが接合される。詳細を説明する。
【0080】
第1突条部300aは、形成部150で形成した積層連続体Cから着用物品Nを製造した際に第2部分44となる部位に接触する。ホーン154は、アンビルロール152の第1部としての第1突条部300aとの間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込んで、連続シートS1aとシート片S2aとを接合することで、積層連続体Cに制限部Cb(
図8A参照)を形成する。より具体的には、第1突条部300aは、その第1面302とホーン154との間で、連続シートS1aとシート片S2aとを挟み込んで加圧して、連続シートS1aとシート片S2aとを接合することで、積層連続体Cに制限部Cbを形成する。
【0081】
制限部Cbでは、連続シートS1a及びシート片S2aと、弾性部材Dと、は非接合である。制限部Cbは、第1切断部180により弾性部材Dが切断される際に、第1切断部180により切断された弾性部材Dの収縮移動を連続シートS1a及びシート片S2aにより制限する。なお、連続シートS1a及びシート片S2aが弾性部材Dの収縮移動を制限するとは、連続シートS1a及びシート片S2aが弾性部材Dの収縮移動を許容しない(弾性部材Dを収縮させない)という意味ではなく、連続シートS1a及びシート片S2aが、弾性部材Dの収縮移動の勢いを制限する(抑制する)ことを意味する。言い換えれば、制限部Cbが存在することで、制限部Cbが存在しない場合に比べ、第1切断部180により切断された弾性部材Dはゆっくりと収縮することになる。
【0082】
制限部Cbにより弾性部材Dの収縮移動を制限するため、具体的には、制限部Cbでは、弾性部材Dが、連続シートS1aとシート片S2aとにより圧縮された状態になり得る。言い換えれば、積層連続体Cの制限部Cbには、連続シートS1aとシート片S2aとに囲まれた弾性部材Dの配置される空間があるが、その空間には、形成する連続シートS1aとシート片S2aとの間の最大隙間が、張力が作用していない状態における弾性部材Dの直径より小さい部分が存在する。
【0083】
次に、第2突条部300bは、形成部150で形成した積層連続体Cから着用物品Nを製造した際に、第1部分42に接触する部位である。ホーン154は、アンビルロール152の第2部としての第2突条部300bとの間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込んで、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方を、弾性部材Dと接合して、積層連続体Cに固定部Caを形成する(
図7参照)。なお、本実施形態での固定部Caでは、連続シートS1a及びシート片S2aの両方が、弾性部材Dと接合されている。また、ホーン154は、アンビルロール152の第2部としての第2突条部300bとの間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込んで、連続シートS1aとシート片S2aとを少なくとも部分的に接合する。
【0084】
このような制限部Cb及び固定部Caを積層連続体Cに形成するために、第1突条部300a及び第2突条部300bは、それぞれ以下のような構成を有することが好ましい。
【0085】
第2突条部300bは、
図6中の円α内に描画されているような、第2突条部300bの他の部分よりもアンビルロール152の周方向Rに延びる第2溝形成部分304b(
図7参照)を、複数有する。複数の第2溝形成部分304bは、
図6のように、アンビルロール152の幅方向Sに、互いに間隔を空けて配置されている。
【0086】
第2溝形成部分304bの第1面302には、搬送方向MDに搬送される連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aのうち、シート片S2aと、弾性部材Dが入り込む第2溝306b(溝J)が形成されている(
図7参照)。形状を限定するものではないが、第2溝306bは、
図7のようにV字形状の溝である。なお、第2溝306bの深さは、形成部150において、張力が作用した状態で搬送される弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みとの合計(第1合計値)より小さい。その結果、第2溝形成部分304bの第2溝306bを搬送される弾性部材Dは、
図7の断面図ように、少なくとも部分的に第2溝306bからアンビルロール152の径方向外側に飛び出した状態にある。このため、第2突条部300bの第2溝形成部分304bと、ホーン154との間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aが挟み込まれる際には、弾性部材Dが連続シートS1a及びシート片S2aを介して、ホーン154と第2溝形成部分304bとの間で加圧され、連続シートS1a及びシート片S2aが、弾性部材Dと接合される。
【0087】
なお、ここでは、第2溝306bにシート片S2aと弾性部材Dが入り込むため、第1合計値は張力が作用した状態で搬送される弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みとの合計となるが、第2溝306bに連続シートS1aと弾性部材Dが入り込む場合には、第1合計値は張力が作用した状態で搬送される弾性部材Dの直径と連続シートS1aの厚みとの合計となる。
【0088】
第1突条部300aは、
図6中の円β内に描画されているような、第1突条部300aの他の部分よりもアンビルロール152の周方向Rに延びる第1溝形成部分304a(
図8A参照)を、複数有する。複数の第1溝形成部分304aは、
図6に示すように、アンビルロール152の幅方向Sに、互いに間隔を空けて配置されている。
【0089】
第1溝形成部分304aには、搬送方向MDに搬送される連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aのうち、シート片S2aと、弾性部材Dが入り込む第1溝306a(溝J)が形成されている。形状を限定するものではないが、第1溝306aは、
図8AのようにU字形状の溝である。
【0090】
なお、第1溝306aの深さは、形成部150において、張力が作用した状態で搬送される弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みとの合計(第1合計値)より大きい。その結果、第1溝形成部分304aの第1溝306aを搬送される弾性部材Dは、その全体が、第1溝306a内に収容された状態にある。このため、第1突条部300aの第1溝形成部分304aと、ホーン154との間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aが挟み込まれる際には、弾性部材Dはホーン154と第1溝形成部分304aの第1溝306aの底面との間で加圧されず、連続シートS1a及びシート片S2aは、弾性部材Dと接合しない。第1突条部300aの第1溝形成部分304aと、ホーン154との間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aが挟み込まれる際には、第1突条部300aの第1面302とホーン154との間で、連続シートS1aとシート片S2aとだけが接合される。
【0091】
さらに、第1溝306aの深さは、張力が作用していない状態の、弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みとの合計(第2合計値)より小さいことが好ましい。その結果、弾性部材Dが後述するように部分的に切断されて、弾性部材Dが復元力により元の状態(張力が作用しない自然長の状態)に戻ろうとすると、弾性部材Dには、連続シートS1a及びシート片S2aにより圧力が加えられた状態となり、弾性部材Dと、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方の摩擦力により弾性部材Dの収縮移動が制限されることになる。
【0092】
また、第1溝306aの幅(アンビルロール152の幅方向Sの寸法)は、形成部150を(張力が作用している状態で)搬送方向MDに搬送されている弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みの2倍との合計(第3合計値)より大きく、かつ、張力が作用していない状態の、弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みの2倍との合計(第4合計値)より小さいことが好ましい。
【0093】
弾性部材Dが後述するように部分的に切断されて、弾性部材Dが復元力により元の状態(張力が作用しない自然長の状態)に戻ろうとするとき、弾性部材Dの直径は、伸長時より大きくなる。そのため、第1溝306aの幅が上記の寸法とされることで、弾性部材Dが復元力により元の状態に戻ろうとするとき、弾性部材Dには、シート片S2aにより圧力が加えられた状態となり、弾性部材Dと、シート片S2aとの摩擦力により弾性部材Dの収縮移動が制限されることになる。
【0094】
なお、第1溝306aの幅や深さ等は、搬送方向MDにおいて隣接するシート片S2aの間の隙間中心で弾性部材Dを切断した際に、収縮する弾性部材Dが全て制限部Cbにおさまるように、理論的計算や、実験や、シミュレーション等に基づき決定されればよい。
【0095】
なお、ここでは詳細な説明は省略するが、第1溝306aに入り込むのが、弾性部材Dと、連続シートS1aである場合には、第1合計値~第4合計値の計算には、シート片S2aの厚みの値に代えて、連続シートS1aの厚みの値が用いられればよい。
【0096】
なお、積層連続体Cのシート片S2aの存在しない領域がアンビルロール152とホーン154との間を通過する際には、アンビルロール152とホーン154との間で連続シートS1aと弾性部材Dの溶着は行われない。これを実現するため、アンビルロール152の積層連続体Cのシート片S2aの存在しない領域と対向する部分の突条部300には、例えば、第1溝306aと同様の寸法の溝(弾性部材Dが入り込む溝)が形成される。
【0097】
<第1溝の変形例>
上記の例では、第1溝形成部分304aの第1溝306aを搬送される弾性部材Dは、その全体が、第1溝306a内に収容されるように、第1溝306aの深さが設定されている。ただし、第1溝形成部分304aの第1溝306aを搬送される弾性部材Dは、一部だけが、第1溝306a内に収容されるように、第1溝306aの深さが設定されてもよい。
図8Bを参照しながら、具体的に説明する。
【0098】
上記の例と同様に、第1溝形成部分304aには、シート片S2aと、弾性部材Dが入り込む第1溝306a(溝J)が形成されている。第1溝306aは、例えば、
図8BのようにU字形状の溝であってもよいし、
図7の第2溝306bのようにV字形状の溝であってもよい。
【0099】
この変形例では、第1溝306aの深さは、形成部150において、張力が作用した状態で搬送される弾性部材Dの直径とシート片S2aの厚みとの合計(第1合計値)より小さい。その結果、第1溝形成部分304aの第1溝306aを搬送される弾性部材Dは、
図8aの断面図ように、少なくとも部分的に第1溝306aからアンビルロール152の径方向外側に飛び出した状態にある。このため、第1突条部300aの第1溝形成部分304aと、ホーン154との間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aが挟み込まれる際には、弾性部材Dが連続シートS1a及びシート片S2aを介して、ホーン154と第1溝形成部分304aとの間で加圧され、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方が、弾性部材Dと接合されることになる。
【0100】
ただし、ホーン154と第1突条部300aとの間で、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と弾性部材Dとが接合されて形成される制限部Cbにおける連続シートS1a及び/又はシート片S2aと弾性部材Dとの接合強度は、固定部Caにおける連続シートS1a及び/又はシート片S2aと弾性部材Dとの接合強度よりも小さくなるように制限部Cbが形成される。
【0101】
これを実現するため、例えば、第1溝306aには、第2溝306bよりは深い溝が形成される。また、例えば、第1溝306aの深さと第2溝306bの深さとは同一として、第1溝306a及び第2溝306bの形状を異なるものとして、ホーン154と第1突条部300aとの間で超音波接合する際の、連続シートS1aを介したホーン154と弾性部材Dとの接触面積を、ホーン154と第2突条部300bとの間で超音波接合する際の、連続シートS1aを介したホーン154と弾性部材Dとの接触面積に比べて小さくしてもよい。
【0102】
なお、制限部Cbにおける連続シートS1a及び/又はシート片S2aと弾性部材Dとの接合強度が大き過ぎると、弾性部材Dの収縮移動が抑制されすぎ、第1切断部180が弾性部材Dを切断した際に、隣接するシート片S2aの間に弾性部材Dが移動できない可能性がある。そのため、接合強度に影響を与える第1溝306aの幅、深さ、形状等は、搬送方向MDにおいて隣接するシート片S2aの間の隙間中心で弾性部材Dを切断した際に、収縮する弾性部材Dが全て制限部Cbにおさまるように、理論的計算や、実験や、シミュレーション等に基づき決定されればよい。
【0103】
(3-2)第1切断部
第1切断部180は、上述の工程P5において、積層連続体Cの、シート片S2aの存在しない領域において(具体的には、シート片S2aの存在しない領域の搬送方向MDにおける中心で)、弾性部材Dを切断して、上述の第1積層連続体C1を形成する装置である。なお、第1切断部180は、弾性部材Dだけの切断を目的としており、連続シートS1aは切断されない。
【0104】
第1切断部180は、例えば、刃を用いて弾性部材Dを切断するギャザーカッタである。あるいは、第1切断部180は、熱を加えて弾性部材Dを溶融させて切断するエンボスロール(ヒートエンボス)装置であってもよい。
【0105】
(3-3)
第2切断部190は、上述の工程P7で、個々の着用物品Nを製造するために、隣り合う吸収体10,10の間の搬送方向MDにおける中心において、直交方向CDに延びる仮想の切断ラインに沿って第1積層連続体C1を次々に切断する装置である。言い換えれば、積層連続体Cを切断して、着用物品N(着用物品Nに用いられる伸縮シートA)を形成する装置である。
【0106】
第2切断部190は、装置の種類を限定するものではないが、例えば、刃を用いて弾性部材Dを切断するカッタである。
【0107】
(4)特徴
上記実施形態に係る着用物品Nの製造方法(特には、伸縮シートAの製造方法)、着用物品Nの製造装置100(伸縮シートAの製造装置)、及び、伸縮シートAを有する着用物品Nの特徴について説明する。
【0108】
(4-1)
本実施形態の伸縮シートAの製造方法は、連続シートS1aを搬送方向MDに搬送する工程と、搬送される連続シートS1aに対して弾性部材Dを配置する工程と、搬送される連続シートS1aに対して複数のシート片S2aを配置する工程と、積層連続体Cを形成する工程と、弾性部材Dを切断する工程と、伸縮シートAを形成する工程と、を備える。搬送される連続シートS1aに対して弾性部材Dを配置する工程では、搬送される連続シートS1aに対して、連続的に延びる弾性部材Dが、連続シートS1aの搬送方向MDに沿って配置される。搬送される連続シートS1aに対して複数のシート片S2aを配置する工程では、搬送される連続シートS1aに対して、複数のシート片S2aが、搬送方向MDに沿って、互いに間隔を空けて並べて配置され、シート片S2aと連続シートS1aの間に弾性部材Dが挟み込まれる。積層連続体Cを形成する工程では、シート片S2aと連続シートS1aの間に弾性部材Dを挟み込んだ状態で、連続シートS1aと、シート片S2aと、弾性部材Dと、を一体化することで、積層連続体Cが形成される。弾性部材Dを切断する工程では、積層連続体Cの、シート片S2aの存在しない領域において、弾性部材Dが切断される。伸縮シートAを形成する工程では、積層連続体Cを切断することで、伸縮シートAが形成される。積層連続体Cを形成する工程には、固定部Caを形成する工程と、制限部Cbを形成する工程と、を含む。固定部Caを形成する工程では、搬送方向MDにおけるシート片S2aの中央部において、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、弾性部材Dと、を接合することで、固定部Caが形成される。制限部Cbは、搬送方向MDにおいて、固定部Caと搬送方向MDにおけるシート片S2aの端部Mとの間に形成される。制限部Cbを形成する工程では、連続シートS1aとシート片S2aとを少なくとも接合することで、制限部Cbが形成される。制限部Cbでは、連続シートS1a及びシート片S2aと、弾性部材Dとは非接合である。または、制限部Cbにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度は、固定部Caにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度よりも小さい。弾性部材Dを切断する工程において、制限部Cbは、連続シートS1a及びシート片S2aによって、切断された弾性部材Dの収縮移動を制限する。
【0109】
本実施形態の伸縮シートAの製造方法では、シート片S2aの存在しない領域において弾性部材Dを切断した際に、切断された弾性部材Dが収縮して制限部Cbに収容される。そのため、この伸縮シートAの製造方法では、シート片S2aが積層されていない領域に、切断された弾性部材Dが残った状態になりにくい。
【0110】
(4-2)
本実施形態の着用物品Nの製造装置100(伸縮シートAの製造装置100)は、形成部150と、第1切断部180と、第2切断部190と、を備える。形成部150は、搬送される連続シートS1aと、連続シートS1aの搬送方向MDに沿って互いに間隔を空けて配置される複数のシート片S2aと、連続シートS1aとシート片S2aとの間に搬送方向MDに沿って配置される連続する弾性部材Dと、が一体化されている積層連続体Cを形成する。第1切断部180は、シート片S2aの存在しない領域において、積層連続体Cの弾性部材Dを切断する。第2切断部190は、積層連続体Cを切断して伸縮シートAを形成する。形成部150は、第1接合部材の一例としてのアンビルロール152と、第2接合部材の一例としてのホーン154と、を有する。アンビルロール152は、搬送方向MDに搬送される、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを支持する。ホーン154は、アンビルロール152との間に、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込む。アンビルロール152は、ホーン154と対向する外周面152aに、第1部の一例としての第1突条部300aと、第2部の一例としての第2突条部300bと、を有する。第2突条部300bは、連続シートS1aの搬送方向MDに沿う方向において、第1突条部300aと隣接して配置される。ホーン154は、アンビルロール152の第1突条部300aとの間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込んで、少なくとも連続シートS1aとシート片S2aとを接合することで、積層連続体Cに制限部Cbを形成する。また、ホーン154は、アンビルロール152の第2突条部300bとの間で、連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込んで、弾性部材Dと、連続シートS1a及びシート片S2aの少なくとも一方と、を接合することで、積層連続体Cに固定部Caを形成する。制限部Cbでは、連続シートS1a及びシート片S2aと、弾性部材Dとは非接合である。または、制限部Cbにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度は、固定部Caにおける、連続シートS1a又はシート片S2aと、弾性部材Dとの接合強度よりも小さい。第1切断部180における弾性部材Dの切断の際に、制限部Cbは、連続シートS1a及びシート片S2aによって、切断された弾性部材Dの収縮移動を制限する。
【0111】
伸縮シートAの製造装置100では、シート片S2aの存在しない領域において弾性部材Dを切断した際に、切断された弾性部材Dが収縮して制限部Cbに収容される。そのため、伸縮シートAの製造装置100では、シート片S2aが積層されていない領域に、切断された弾性部材Dが残った状態になりにくい。
【0112】
なお、上記実施形態では、第1接合部材としてアンビルロール152が用いられているが、第1接合部材は、ロール状の部材に限定されるものではない。連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを支持し、ホーン154との間に連続シートS1a、弾性部材D、及びシート片S2aを挟み込む、板状の部材であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、単一のアンビルロール152と単一のホーン154とを用いて接合が行われるが、形成部150は、複数組のアンビルロール及びホーンを有し、段階的に接合を行ってもよい(例えば、1組のアンビルロール及びホーンが固定部Caを形成し、別の組のアンビルロール及びホーンが制限部Cbを形成する等)。
【0114】
(4-3)
伸縮シートAの製造装置100では、第1突条部300aは、搬送方向MDに搬送される弾性部材Dと、搬送方向MDに搬送される連続シートS1a又はシート片S2aと、が入り込む、搬送方向MDに沿って延びる第1溝306aが形成されている、第1溝形成部分304aを含む。第2突条部300bは、搬送方向MDに搬送される弾性部材Dと、搬送方向MDに搬送される連続シートS1a又はシート片S2aと、が入り込む、搬送方向MDに沿って延びる第2溝306bが形成されている、第2溝形成部分304bを含む。第1溝306aの深さは、第1合計値より大きい。第2溝306bの深さは、第1合計値より小さい。第1合計値は、形成部150を搬送方向MDに搬送される弾性部材Dの直径と、形成部150を搬送方向MDに搬送され、第1溝306aに入り込む、連続シートS1a又はシート片S2aの厚みと、の合計である。
【0115】
伸縮シートAの製造装置100では、制限部Cbにおいて、弾性部材Dと連続シートS1a又はシート片S2aとが接合されてしまい、第1切断部180による弾性部材Dの切断の際に、シート片S2aの間に配置される弾性部材Dが、制限部Cbへと移動できなくなる事態の発生を抑制することができる。
【0116】
(4-4)
伸縮シートAの製造装置100では、第1溝306aの深さは、第2合計値より小さい。第2合計値は、張力が作用していない状態の弾性部材Dの直径と、第1溝306aに入り込む連続シートS1a又はシート片S2aの、張力が作用していない状態の厚みと、の合計である。
【0117】
伸縮シートAの製造装置100では、弾性部材Dが切断された際に、弾性部材Dの急速な収縮移動を連続シートS1a及びシート片S2aにより制限し、固定部Caにおいて、連続シートS1a及び/又はシート片S2aと、弾性部材Dと、の接合が外れる不具合の発生を抑制できる。
【0118】
(4-5)
伸縮シートAの製造装置100では、アンビルロール152の幅方向における第1溝306aの幅は、第3合計値より大きく、第4合計値より小さい。第3合計値は、形成部150を搬送方向MDに搬送されている弾性部材Dの直径と、形成部150を搬送方向MDに搬送されている、第1溝306aに入り込む連続シートS1a又はシート片S2aの厚みの2倍と、の合計である。第4合計値は、張力が作用していない状態の弾性部材Dの直径と、第1溝306aに入り込む連続シートS1a又はシート片S2aの張力が作用していない状態の厚みの2倍と、の合計である。
伸縮シートAの製造装置100では、第1溝306aが弾性部材Dや第2シートS2の搬送を阻害する事態の発生を抑制できる。一方で、伸縮シートAの製造装置100では、第1切断部180により弾性部材Dが切断された際に、弾性部材Dの急速な収縮移動を連続シートS1a及びシート片S2aにより制限し、連続シートS1a及び/又はシート片S2aと、弾性部材Dと、の接合が外れる不具合の発生を抑制できる。
【0119】
(4-6) 本実施形態の着用物品Nは、伸縮シートAを備える。伸縮シートAは、第1シートS1と、一対の第2シートS2と、弾性部材Dと、を少なくとも含む。一対の第2シートS2は、第1方向の一例である胴周り方向Xに間隔を空けて配置される。弾性部材Dは、胴周り方向Xに延び、第1シートS1と一対の第2シートS2とのそれぞれの間に挟まれて配置される。第2シートS2は、胴周り方向Xにおいて、一対の第2シートS2の間の隙間Gとは遠隔の第1端E1と、一対の第2シートS2の間の隙間Gと近接の第2端E2と、を有する。伸縮シートAの、第1シートS1と第2シートS2とが重ねて配置される領域には、第1部分42と、第2部分44と、が含まれる。第1部分42は、胴周り方向Xにおいて、第2シートS2の第1端E1の近傍に配置される。第1部分42では、弾性部材Dが第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方と接合されている。第2部分44は、胴周り方向Xにおいて、第1部分42と第2シートS2の第2端E2との間に配置される。第2部分44では、弾性部材Dが、第1シートS1及び第2シートS2と接合されていない。または、第2部分44における、弾性部材Dと第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方との接合強度が、第1突条部300a分における弾性部材Dと第1シートS1及び第2シートS2の少なくとも一方との接合強度よりも小さい。第2部分44において、弾性部材Dが第1シートS1及び第2シートS2と接合されていない場合には、第2部分44には、胴周り方向Xと直交する方向に切断した断面視において、第1部分42の弾性部材Dが配置される空間と連通する第1シートS1及び第2シートS2の間の空間Zの最大隙間Bが、張力が作用していない状態における弾性部材Dの直径d1よりも小さい部分が存在する。
【0120】
この着用物品Nでは、伸縮シートAの製造時に第2シートS2の存在しない領域で切断されて収縮した弾性部材Dは、第1シートS1と第2シートS2との間に収容されるため、着用物品Nの着用者等には見えない。そのため、この着用物品Nは見栄えが良い。また、この着用物品Nでは、弾性部材Dは、第1シートS1と第2シートS2とで覆われるため、着用者の肌が直接弾性部材Dに触れにくい。
【0121】
<追記>
最後に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0122】
第1観点の製造方法は、連続シートを搬送方向に搬送する工程と、搬送される連続シートに対して弾性部材を配置する工程と、搬送される連続シートに対して複数のシート片を配置する工程と、積層連続体を形成する工程と、弾性部材を切断する工程と、伸縮シートを形成する工程と、を備える。搬送される連続シートに対して弾性部材を配置する工程では、搬送される連続シートに対して、連続的に延びる弾性部材が、連続シートの搬送方向に沿って配置される。搬送される連続シートに対して複数のシート片を配置する工程では、搬送される連続シートに対して、複数のシート片が、搬送方向に沿って、互いに間隔を空けて並べて配置され、シート片と連続シートの間に弾性部材が挟み込まれる。積層連続体を形成する工程では、シート片と連続シートの間に弾性部材を挟み込んだ状態で、連続シートと、シート片と、弾性部材と、を一体化することで、積層連続体が形成される。弾性部材を切断する工程では、積層連続体の、シート片の存在しない領域において、弾性部材が切断される。伸縮シートを形成する工程では、積層連続体を切断することで、伸縮シートが形成される。積層連続体を形成する工程には、固定部を形成する工程と、制限部を形成する工程と、を含む。固定部を形成する工程では、搬送方向におけるシート片の中央部において、連続シート及びシート片の少なくとも一方と、弾性部材と、を接合することで、固定部が形成される。制限部は、搬送方向において、固定部と搬送方向におけるシート片の端部との間に形成される。制限部を形成する工程では、連続シートとシート片とを少なくとも接合することで、制限部が形成される。制限部では、連続シート及びシート片と、弾性部材とは非接合である。または、制限部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度は、固定部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度よりも小さい。弾性部材を切断する工程において、制限部は、連続シート及びシート片によって、切断された弾性部材の収縮移動を制限する。
【0123】
第1観点の伸縮シートの製造方法では、シート片の存在しない領域において弾性部材を切断した際に、切断された弾性部材が収縮して制限部に収容される。そのため、第1観点の伸縮シートの製造方法では、シート片が積層されていない領域に、切断された弾性部材が残った状態になりにくい。
【0124】
第2観点の伸縮シートの製造装置は、形成部と、第1切断部と、第2切断部と、を備える。形成部は、搬送される連続シートと、連続シートの搬送方向に沿って互いに間隔を空けて配置される複数のシート片と、連続シートとシート片との間に搬送方向に沿って配置される連続する弾性部材と、が一体化された積層連続体を形成する。第1切断部は、シート片の存在しない領域において、積層連続体の弾性部材を切断する。第2切断部は、積層連続体を切断して伸縮シートを形成する。形成部は、第1接合部材と、第2接合部材と、を有する。第1接合部材は、搬送方向に搬送される、連続シート、弾性部材、及びシート片を支持する。第2接合部材は、第1接合部材との間に、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込む。第1接合部材は、第2接合部材と対向する対向面に、第1部と、第2部と、を有する。第2部は、連続シートの搬送方向に沿う方向において、第1部と隣接して配置される。第2接合部材は、第1接合部材の第1部との間で、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込んで、少なくとも連続シートとシート片とを接合することで、積層連続体に制限部を形成する。また、第2接合部材は、第1接合部材の第2部との間で、連続シート、弾性部材、及びシート片を挟み込んで、弾性部材と、連続シート及びシート片の少なくとも一方と、を接合することで、積層連続体に固定部を形成する。制限部では、連続シート及びシート片と、弾性部材とは非接合である。または、制限部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度は、固定部における、連続シート又はシート片と、弾性部材との接合強度よりも小さい。第1切断部における弾性部材の切断の際に、制限部は、連続シート及びシート片によって、切断された弾性部材の収縮移動を制限する。
【0125】
第2観点の伸縮シートの製造装置では、シート片の存在しない領域において弾性部材を切断した際に、切断された弾性部材が収縮して制限部に収容される。そのため、第2観点の伸縮シートの製造装置では、シート片が積層されていない領域に、切断された弾性部材が残った状態になりにくい。
【0126】
第3観点の伸縮シートの製造装置は、第2観点の伸縮シートの製造装置であって、第1部は、搬送方向に搬送される弾性部材と、搬送方向に搬送される連続シート又はシート片と、が入り込む、搬送方向に沿って延びる第1溝が形成されている、第1溝形成部分を含む。第2部は、搬送方向に搬送される弾性部材と、搬送方向に搬送される連続シート又はシート片と、が入り込む、搬送方向に沿って延びる第2溝が形成されている、第2溝形成部分を含む。第1溝の深さは、第1合計値より大きい。第2溝の深さは、第1合計値より小さい。第1合計値は、形成部を搬送方向に搬送される弾性部材の直径と、形成部を搬送方向に搬送され、第1溝に入り込む、連続シート又はシート片の厚みと、の合計である。
【0127】
第3観点の伸縮シートの製造装置では、制限部において、弾性部材と連続シート又はシート片とが接合されてしまい、第1切断部による弾性部材の切断の際に、シート片の間に配置される弾性部材が、制限部へと移動できなくなる事態の発生を抑制することができる。
【0128】
第4観点の伸縮シートの製造装置は、第3観点の伸縮シートの製造装置であって、第1溝の深さは、第2合計値より小さい。第2合計値は、張力が作用していない状態の弾性部材の直径と、第1溝に入り込む連続シート又はシート片の、張力が作用していない状態の厚みと、の合計である。
【0129】
第4観点の伸縮シートの製造装置では、弾性部材が切断された際に、弾性部材の急速な収縮移動を連続シート及びシート片により制限し、固定部において、連続シート及び/又はシート片と、弾性部材と、の接合が外れる不具合の発生を抑制できる。
【0130】
第5観点の伸縮シートの製造装置は、第3観点又は第4観点の伸縮シートの製造装置であって、第1接合部材の幅方向における第1溝の幅は、第3合計値より大きく、第4合計値より小さい。第3合計値は、形成部を搬送方向に搬送されている弾性部材の直径と、形成部を搬送方向に搬送されている、第1溝に入り込む連続シート又はシート片の厚みの2倍と、の合計である。第4合計値は、張力が作用していない状態の弾性部材の直径と、第1溝に入り込む連続シート又はシート片の張力が作用していない状態の厚みの2倍と、の合計である。
第5観点の伸縮シートの製造装置では、第1溝が弾性部材や第2シートの搬送を阻害する事態の発生を抑制できる。一方で、第5観点の伸縮シートの製造装置では、第1切断部により弾性部材が切断された際に、弾性部材の急速な収縮移動を連続シート及びシート片により制限し、連続シート及び/又はシート片と、弾性部材と、の接合が外れる不具合の発生を抑制できる。 第6観点の着用物品は、伸縮シートを備える。伸縮シートは、第1シートと、一対の第2シートと、弾性部材と、を少なくとも含む。一対の第2シートは、第1方向に間隔を空けて配置される。弾性部材は、第1方向に延び、第1シートと一対の第2シートとのそれぞれの間に挟まれて配置される。第2シートは、第1方向において、一対の第2シートの間の隙間とは遠隔の第1端と、一対の第2シートの間の隙間と近接の第2端と、を有する。伸縮シートの、第1シートと第2シートとが重ねて配置される領域には、第1部分と、第2部分と、が含まれる。第1部分は、第1方向において、第2シートの第1端の近傍に配置される。第1部分では、弾性部材が第1シート及び第2シートの少なくとも一方と接合されている。第2部分は、第1方向において、第1部分と第2シートの第2端との間に配置される。第2部分では、弾性部材が、第1シート及び第2シートと接合されていない。または、第2部分における、弾性部材と第1シート及び第2シートの少なくとも一方との接合強度が、第1部分における弾性部材と第1シート及び第2シートの少なくとも一方との接合強度よりも小さい。第2部分において、弾性部材が第1シート及び第2シートと接合されていない場合には、第2部分には、第1方向と直交する方向に切断した断面視において、第1部分の弾性部材が配置される空間と連通する第1シート及び第2シートの間の空間の最大隙間が、張力が作用していない状態における弾性部材の直径よりも小さい部分が存在する。
【0131】
第6観点の着用物品では、伸縮シートの製造時に第2シートの存在しない領域で切断されて収縮した弾性部材は、第1シートと第2シートとの間に収容されるため、着用物品の着用者等には見えない。そのため、第6観点の着用物品は見栄えが良い。また、第6観点の着用物品では、弾性部材は、第1シートと第2シートとで覆われるため、着用者の肌が直接弾性部材に触れにくい。
【符号の説明】
【0132】
42 第1部分
44 第2部分
100 製造装置
150 形成部
152 アンビルロール(第1接合部材)
152a 外周面(対向面)
154 ホーン(第2接合部材)
180 第1切断部
190 第2切断部
300a 第1突条部(第1部)
300b 第2突条部(第2部)
304a 第1溝形成部分
304b 第2溝形成部分
306a 第1溝
306b 第2溝
A 伸縮シート
C 積層連続体
Ca 固定部
Cb 制限部
D 弾性部材
E1 第1端
E2 第2端
MD 搬送方向
M 端部
N 着用物品
S1 第1シート
S2 第2シート
S1a 連続シート
S2a シート片