(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094504
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】長繊維細断装置
(51)【国際特許分類】
D01B 1/24 20060101AFI20240703BHJP
D06H 7/02 20060101ALI20240703BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240703BHJP
B65H 9/16 20060101ALI20240703BHJP
D01B 1/10 20060101ALI20240703BHJP
D01B 1/22 20060101ALI20240703BHJP
D01B 1/30 20060101ALI20240703BHJP
D01G 1/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
D01B1/24
D06H7/02
B65H35/04
B65H9/16
D01B1/10
D01B1/22
D01B1/30
D01G1/04 102
D01G1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211084
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】517335318
【氏名又は名称】株式会社フードリボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】横山 喜代志
【テーマコード(参考)】
3B151
3B154
3F102
【Fターム(参考)】
3B151AA01
3B151AA02
3B151AC13
3B151CA01
3B154AB09
3B154BA17
3B154BA47
3B154BB35
3B154BB37
3B154BB54
3B154BB56
3B154BC08
3B154BC16
3B154BC23
3B154BC31
3B154DA24
3F102AB00
3F102BA06
3F102BB04
3F102DA14
3F102EA01
3F102EA08
(57)【要約】
【課題】果肉の取り除かれた繊維を一定の長さに細断する際に、工程を短くして繊維を一定の長さに細断できるようにするとともに、装置のコストを低減させることができるようにした繊維切断装置を提供する。
【解決手段】長繊維を有するパイナップルの葉10を複数本の循環桿21の上に載置し、当該パイナップルの葉10の長繊維の長手方向に沿ってパイナップルの葉10を搬送させる搬送部2と、当該搬送部2に載置されたパイナップルの葉10に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器3と、前記搬送部2における高圧ジェット水が当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部2によって繊維の長手方向に搬送された濡れた繊維を一定の長さに細断するカッター6とを備えて構成する。そして、循環桿21に対して取出桿51を回転させて長繊維を搬送部2から取り出し、カッター6で細断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維を有する植物を載置し、当該植物の長繊維の長手方向に沿って植物を搬送させる搬送部と、
当該搬送部に載置された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、
前記搬送部における高圧ジェット水が当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部によって繊維の長手方向に搬送された濡れた繊維を、一定の長さに細断するカッターと、
を備えるようにしたことを特徴とする繊維細断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の細断装置において、さらに、
前記搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部上で前記果肉の除去された長繊維を束ねる片寄手段を備え、
当該片寄手段によって束ねられた繊維を、前記カッターで細断するようにした請求項1に記載の繊維細断装置。
【請求項3】
前記搬送部が、平行に設けられた複数本の循環桿を周回させるように構成されるものであり、
前記搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記循環桿の長手方向の軸に沿ってスライド部材をスライドさせながら繊維を当接させて片寄せさせる片寄手段を備えて構成されるものである請求項1に記載の繊維細断装置。
【請求項4】
前記搬送部が、平行に設けられた複数本の循環桿を周回させるように構成されるものであり、
前記搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記循環桿の長手方向の軸に沿ってスライド部材をスライドさせながら繊維を当接させて片寄せさせる片寄手段を備えて構成し、
当該スライド部材を、前記搬送部の載置面側において、果肉の除去された繊維を片寄せさせる方向に案内させる第一ガイド部材と、
前記スライド部材を、前記搬送部の載置面側と反対側の面において、前記片寄せさせる方向と逆方向に案内させる第二ガイド部材と、
を備えて構成した請求項1に記載の繊維細断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長繊維を有する植物の葉から果肉を除去し、抽出された長繊維を一定の長さに細断できるようにした長繊維細断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パイナップルの葉やバナナの葉などから繊維を抽出する場合、植物の葉から果肉などを除去し、そこから得られた繊維を洗浄や乾燥などを行った後、その乾燥させた繊維を直線状に揃えて、カッターで一定の長さに切断し、紡績などに使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】https://food-reborn.co.jp/news220602/ (2022/12/14日確認)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように果肉の取り除かれた繊維を乾燥させる工程において、その繊維にリグニンなどの成分が残留していると、その後、リグニンによって繊維同士が固着し、繊維同士を剥がすことが困難になる。このため、繊維を一定長さに切断する前に、ブラッシングなどを行って強制的に解繊させるようにしているが、このように強制的に解繊させると、繊維が千切れたり、本来使用される長繊維も引き連れられて抜けてしまったりするというった問題があった。
【0005】
また、乾燥させた繊維を一定の長さに切断する場合、長短混在した繊維を選別する工程や、乾燥によって蛇行状に縮れた繊維を直線状に引っ張って切断する工程が必要になるため、細断までに時間がかかるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、果肉の取り除かれた繊維を一定の長さに細断する際に、工程を短くして繊維を一定の長さに細断できるようにするとともに、低コストに装置を提供できるようにした繊維切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、長繊維を有する植物を載置し、当該植物の長繊維の長手方向に沿って植物を搬送させる搬送部と、当該搬送部に載置された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、前記搬送部における高圧ジェット水が当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部によって繊維の長手方向に搬送された濡れた繊維を一定の長さに細断するカッターと、を備えるようにしたものである。
【0008】
このように構成すれば、高圧ジェット水で果肉の除去された直後の向きの揃った繊維であって、かつ、直線状の繊維を細断するため、改めて繊維の向きを揃えて引っ張る必要なく、その状態から一定の長さに繊維を細断することができるようになる。
【0009】
また、このような発明において、前記搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部上で前記果肉の除去された長繊維を片寄せする片寄手段を備え、前記カッターによって、当該片寄手段によって片寄せされた繊維を細断する。
【0010】
このように構成すれば、水分の表面張力によって長繊維を束ねた状態にしておくことができ、その状態で、刃の小さなカッターを用いて細断することができるようになる。
【0011】
さらに、前記搬送部を、平行に設けられた複数本の循環桿を周回させるように構成し、当該搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記循環桿の長手方向の軸に沿ってスライド部材をスライドさせながら繊維を片寄せさせる片寄手段を設けるようにする。
【0012】
このように構成すれば、搬送部によって搬送させながら長繊維を片寄せすることができ、しかも、循環桿と繊維との接触面積が小さいため、長繊維が水分を含んでいても、簡単に循環桿上で長繊維を片寄せすることができるようになる。
【0013】
また、前記搬送部を、平行に設けられた複数本の循環桿を周回させるように構成し、当該搬送部における高圧ジェット水の当たる位置の下流側に設けられ、前記循環桿の長手方向の軸に沿ってスライド部材をスライドさせながら繊維を片寄せさせる片寄手段を備えて構成する場合に、当該スライド部材を、前記搬送部の載置面側において、果肉の除去された繊維を片寄せさせる方向に案内させる第一ガイド部材と、前記スライド部材を、前記搬送部の載置面側と反対側の面において、前記片寄せさせる方向と逆方向に案内させる第二ガイド部材を設けるようにする。
【0014】
このように構成すれば、第一のガイド部材でスライド部材を片寄せして長繊維を片寄せすることができるとともに、第二のガイド部材でスライド部材を元の位置に戻して周回させることができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、長繊維を有する植物を載置し、当該植物の長繊維の長手方向に沿って植物を搬送させる搬送部と、当該搬送部に載置された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、前記搬送部における高圧ジェット水が当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部によって繊維の長手方向に搬送された濡れた繊維を一定の長さに細断するカッターと、を備えるようにしたので、予め向きが揃えられた長繊維であって、かつ、直線状になった長繊維を、そのまま細断して、一定の長さにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態による長繊維細断装置の搬送面側を示す概略図
【
図2】同形態における形態による長繊維細断装置の裏面側を示す概略図
【
図3】同形態における長繊維細断装置の側面を示す図
【
図4】同形態における長繊維を取り出す状態を示す図
【
図6】同形態におけるパイナップルの葉に形成された亀裂を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
この実施の形態における長繊維細断装置1は、長繊維を有する植物の葉から果肉を除去して得られた長繊維を一定の長さに細断できるようにしたものであって、
図1に示すように、植物の葉を載置して搬送する搬送部2と、この搬送部2によって搬送された植物に対して高圧ジェット水を当てて果肉を除去する高圧ジェット器3と、この高圧ジェット水によって果肉の除去された長繊維を、搬送部2上で片寄せして束ねる片寄手段4と、この片寄手段4によって束ねられた植物の葉の繊維を細断するカッター6などを備えるようにしたものであって、果肉の除去された直後の向きの揃った長繊維や直線状の長繊維を、そのままの状態で細断し、繊維の長さを一定にできるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
この実施の形態において、長繊維を有する植物としては、複数本の長繊維の間に、水分を多く含んだ柔らかい果肉で覆われる植物が用いられ、例えば、キジカクシ科のサイザルアサ、バナナ科のバナナ、アサ科の芭蕉マニラアサ、亜麻、苧麻などが挙げられる。なお、この実施の形態では、パイナップルの葉10を例として説明する。
【0020】
このようなパイナップルの葉10としては、食用に供される果実を採取した後、本来、廃棄されるパイナップルの葉10を葉元近傍から切除したものを用いる。一般的に、パイナップルの果実の収穫時期である5月から7月頃には、パイナップルの葉10の長さが50cmから100cm程度の長さになり、厚みも、2mm程度となる。そこで、このように育成した長いパイナップルの葉10を用いるようにする。このようなパイナップルの葉10としては、根元付近から切除されたものをそのまま用いてもよいが、ここでは、採取後、水分を50%以上含有している新鮮なものを用いる。このように水分の多く含有しているパイナップルの葉10を用いると、
図5に示すような亀裂生成装置7を用いてパイナップルの葉10を折り曲げた場合、
図6に示すように、果肉の表裏に亀裂11を生じさせやすくすることができ、その亀裂11に高圧ジェット水を当てることによって、果肉を除去させやすくすることができる。なお、採取した直後のパイナップルの葉10ではなく、長期間保管したパイナップルの葉10を使用する場合は、そのパイナップルの葉10を一定期間水中に浸漬させ、水分含有率が50%以上となるようにする。ただし、余り水分含有率が高くなった場合は、屈曲によって果肉に亀裂11を生じさせることができないため、水分含有率を50%から70%程度にしておく。
【0021】
このようなパイナップルの葉10から果肉を除去しやすくする場合、事前に、硬い表皮に亀裂11を生じさせておくか、あるいは、表皮を削り取っておくようにする。
【0022】
このとき、表皮に亀裂11を生じさせておくようにする場合、
図5に示すような亀裂生成装置7を用いる。この亀裂生成装置7は、一対の回転体71の外周に、複数の羽根72を放射状に設け、それぞれの回転体71を回転させるように構成されるものであって、それぞれの羽根72の間にパイナップルの葉10を挟み込ませ、その羽根72によってパイナップルの葉10を交互に強く屈曲させることによって、
図6に示すように、パイナップルの葉10の表裏に亀裂11を生じさせるように構成される。
【0023】
もしくは、表皮を予め削り取っておくようにする場合、
図7に示すような表皮切削装置8を用いる。この表皮切削装置8は、一対の回転体81の表面に、先端を進行方向に向けて屈曲させた羽根82を放射状に設けておき、片側の回転体81を、他方の回転体81よりも相対的に高速で回転させることで、羽根82の屈曲部分で表皮を削り落としていくように構成される。
【0024】
このような亀裂生成装置7によって亀裂11の生成されたパイナップルの葉10や、表皮切削装置8によって表皮の切削されたパイナップルの葉10は、搬送部2に載置され、高圧ジェット水によって果肉が除去される。
【0025】
この搬送部2は、パイナップルの葉10を載置させて搬送させるようにしたものであって、ここでは、複数本の平行な循環桿21(
図1や
図2参照)を周回させるように構成される。この循環桿21は、一端側にチェーン23を取り付けて、他端側を自由端とする片持梁状にして周回させるように構成されるものであって、
図3に示すように、スプロケット22を介してチェーン23を周回させるように構成されている。一方、このチェーン23と反対側の循環桿21の端部は、自由端となるように設けられているが、パイナップルの葉10を載置させている領域や、高圧ジェット水が噴射される領域では、上から高圧が掛かるため、循環桿21の自由端側が垂れ下がらないように、その自由端側をガイド部材25に載置させて周回させるようにしている。また、循環桿21の自由端側の端部については、片寄せされた長繊維に引き連れられて長繊維が循環桿21から落ちないように、径を大きくしたフランジ部24を設けており、このフランジ部24に片寄せされた長繊維を保持させて落ちないようにしている。
【0026】
また、この循環桿21の搬送面には、果肉の除去されたパイナップルの葉10の繊維を搬送部2上で片寄せするためのスライド部材41が設けられている(
図1参照)。このスライド部材41は、片寄手段4を構成するものであって、循環桿21の長手方向に沿ってスライドする円筒状の部材で構成される。そして、搬送部2の上面側では、搬送方向の下流側に向かって循環桿21の自由端側に傾斜させた第一のガイド部材42に当接させてスライド部材41を片寄せし、また、搬送部2の下面側では、
図2に示すように、逆方向に傾斜させた第二のガイド部材43に当接させながら、スライド部材41を元の位置に戻せるようにしている。
【0027】
一方、この搬送部2に載置されたパイナップルの葉10は、高圧ジェット器3から噴射される高圧ジェット水によって果肉が除去される。この高圧ジェット器3は、パイナップルの葉10に対して斜め方向に高圧ジェット水を噴射させるものであって、パイナップルの葉10に形成された亀裂11から高圧ジェット水を入れ、あるいは、表皮の切削されたパイナップルの葉10の表面から高圧ジェット水を当てて、その高圧ジェット水をパイナップルの葉10を貫通させ、果肉を搬送部2の下方まで吹き飛ばせるように構成されている。
【0028】
このように、高圧ジェット水をパイナップルの葉10に当てると、水圧によってパイナップルの葉10が飛び跳ねてしまうため、高圧ジェット水が当てられる場所については、
図3に示すように、上から網目状あるいは線状の部材を周回させながらパイナップルの葉10を押圧させる押圧手段26を設け、これによってパイナップルの葉10を押圧させながら高圧ジェット水を当てるようにする。
【0029】
このように高圧ジェット水によって果肉の除去された長繊維は、搬送部2上で搬送されながら、スライド部材41によって片寄せされ、
図1に示すように、自由端側へと束ねられる。そして、繊維取出手段5を介して、循環桿21から長繊維を取り出し、カッター6へと受け渡される。
【0030】
この繊維取出手段5は、周回する循環桿21と干渉しないように、二本の取出桿51を回転させるようにしたものであって、
図4に示すように、取出桿51を下から上への回転させる際に、スライド部材41とフランジ部24との間に束ねられた長繊維を下から持ち上げ、カッター6に受け渡せるように構成される。このとき、長繊維は、高圧ジェット水によって濡れた状態となっており、また、果肉が除去された直後であるために、方向もそろえられており、かつ、直線状になっている。そして、その状態で、長繊維を取出桿51に乗せ、フランジ部24を乗り越えてカッター6に受け渡される。
【0031】
このカッター6は、束ねられた長繊維を細断できるようにしたものであって、硬い繊維を確実に細断できるように、マルチカッター6などが用いられる。そして、マルチカッター6を構成する下側の固定刃61に、束ねられた長繊維を載せ、回転刃62を回転させて長繊維を細断できるようにしている。そして、カッター6によって細断された長繊維を、そのまま下方に落下させ、向きを揃えた状態で回収部9(
図3参照)に回収させる。なお、ここでは、マルチカッター6を用いるようにしたが、ギロチンカッターや、ロータリーカッターなど、他の種類のカッターを用いるようにしてもよい。
【0032】
次に、このように構成された長繊維細断装置1の作用について説明する。
【0033】
まず、パイナップルの葉10から長繊維を抽出する場合、パイナップルの根本付近で切除されたパイナップルの葉10を、亀裂生成装置7や表皮切削装置8に入れ、表皮に亀裂11を生じさせ、あるいは、表皮を削り落とす。
【0034】
そして、このように亀裂11の生成されたパイナップルの葉10や、表皮の切削されたパイナップルの葉10を、搬送部2の上に載置させて搬送させる。
【0035】
そして、搬送部2を駆動させることによって、パイナップルの葉10を下流側に向けて搬送させ、途中、押圧手段26によってパイナップルの葉10を上から押圧させながら、高圧ジェット器3から高圧ジェット水を噴射させる。
【0036】
すると、この高圧ジェット水が、表皮の亀裂11などを介して果肉の中に入り込み、裏面側へと貫通して、果肉を循環桿21の下方に吹き飛ばす。このとき、果肉の除去された長繊維は、パイナップルの葉10の長手方向に沿って揃えられた状態となっており、かつ、直線状となっている。
【0037】
次に、このように果肉の除去された長繊維を搬送させていく。このとき、循環桿21に設けられたスライド部材41が、第一のガイド部材42に当たって片寄せされ、これに伴って、搬送部2上の長繊維も循環桿21の自由端側へと片寄せされる。
【0038】
そして、このように片寄せされた状態で、繊維取出手段5を構成する二本の取出桿51を回転させ、
図4に示すように、循環桿21の下方から長繊維を持ち上げる。そして、束ねられた長繊維をカッター6側へと受け渡す。
【0039】
すると、束ねられた長繊維が、カッター6の固定刃61の上に載せられ、回転刃62によって長繊維を細断される。そして、このように細断された繊維を、下方の回収部9に落下させる。このとき、細断された長繊維の長さは、取出桿51の回転する時間によって決まるが、回転速度を制御することによって、紡績可能な長さに設定しておく。
【0040】
そして、回収部9に回収された繊維を乾燥させ、その後、紡績などを行えるようにする。
【0041】
このように上記実施の形態によれば、長繊維を有するパイナップルの葉10を載置し、当該パイナップルの葉10の長繊維の長手方向に沿ってパイナップルの葉10を搬送させる搬送部2と、当該搬送部2に載置されたパイナップルの葉10に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器3と、前記搬送部2における高圧ジェット水が当たる位置の下流側に設けられ、前記搬送部2によって繊維の長手方向に搬送された濡れた繊維を一定の長さに細断するカッター6と、を備えるようにしたので、予め向きが揃えられた長繊維であって、かつ、直線状になった長繊維を、そのまま細断して、一定の長さにすることができるようになる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0043】
例えば、上記実施の形態では、搬送部2上で長繊維を片寄せさせるようにしたが、片寄せさせることなく、ギロチンカッター6などを用いて長繊維を細断させるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、スライド部材41を移動させることによって長繊維を片寄せさせるようにしたが、搬送面を平滑な面で形成しておき、この搬送面上で左右に往復する板状の部材を用いて長繊維を片寄せさせるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、取出桿51を回転させて長繊維をカッター6に受け渡すようにしたが、搬送部2にセンサーを設けておき、長繊維の先端部分を検知した場合に取出桿51を回転させて長繊維を細断させるようにしてもよい。このように構成すれば、パイナップルの葉10の先端部分から一定の長さで細断させることができるようになる。
【0046】
また、上記実施の形態では、取出桿51を用いて長繊維をカッター6に受け渡すようにしたが、二本の取出桿51の距離を、紡績に必要な最低長さに設定しておき、これによって、その長さより短い繊維については、取出桿51でカッター6側に受け渡せないようにするとよい。このように構成すれば、紡績に必要な長さ以上の長繊維のみを細断することができるようになる。このとき、取出桿51によって受け渡されなかった繊維については、搬送部2の下流側から落下して回収される。
【0047】
また、上記実施の形態では、循環桿21を片持梁状に構成して、自由端側に片寄せさせるようにしたが、左右両端にチェーン23を設けて両持ち状態に循環桿21を取り付けておき、第一のガイド部材42を用いて搬送部2の中央部分に長繊維を左右から方寄せさせて細断させるようにしてもよい。このとき、カッター6としては、循環桿21と循環桿21の間でギロチンカッターを上下動させて細断できるように構成しておくとよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・長繊維細断装置
2・・・搬送部
21・・・循環桿
24・・・フランジ部
3・・・高圧ジェット器
4・・・片寄手段
41・・・スライド部材
42・・・第一のガイド部材
43・・・第二のガイド部材
5・・・長繊維取出手段
51・・・取出桿51
6・・・カッター
7・・・亀裂生成装置
8・・・表皮切削装置
10・・・パイナップルの葉