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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094508
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B65G47/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211092
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000107240
【氏名又は名称】ジェーシーシーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 昭博
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩司
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA05
3F080AA13
3F080BA01
3F080BA02
3F080BB05
3F080BC03
3F080BF14
3F080CB03
3F080CE11
3F080CF22
3F080DA01
3F080DB04
(57)【要約】
【課題】部品を搬送する搬送経路の途中に部品の姿勢を変更する経路部分を備えることなく、起立姿勢の部品を供給できる部品供給装置を提供すること。
【解決手段】部品供給装置1は、部品2がランダムな姿勢で貯留される貯留部6と、搬送部材11を振動させて部品2を搬送部材11上で搬送するリニアフィーダ機構7と、貯留部6に貯留された部品2を、ランダムな姿勢のまま複数本ずつX方向に一列に並べた状態で分離して搬送部材11の搬送面12に載せる分離機構8とを有する。搬送部材11は、搬送方向Dの下流側に向かって、一列に並べられた複数本の部品2が分離機構8から引き渡される部品受け部18と、複数本の部品2のうち横臥姿勢P2の部品2を搬送部材11から落下させる第1振分け部19と、円形底部3が円筒部4の上に位置する倒立姿勢P3の部品2を搬送部材11から落下させる第2振分け部21と、をこの順に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形底部および前記円形底部の外周縁から立ち上がる円筒部を有する部品を、円形底部を下にして起立する起立姿勢で供給する部品供給装置において、
前記部品がランダムな姿勢で貯留される貯留部と、
直線状に延びる搬送部材を振動させて、前記部品を前記搬送部材の延設方向の一方に向かう搬送方向に搬送するリニアフィーダ機構と、
前記貯留部に貯留された前記部品を、ランダムな姿勢のまま複数本ずつ前記延設方向に一列に並べた状態で分離して前記搬送部材の搬送面に載せる分離機構と、を有し、
前記搬送部材は、前記搬送方向の上流側から下流側に向かって、ランダムな姿勢で一列に並べられた複数本の前記部品が前記分離機構から引き渡される部品受け部と、複数本の前記部品のうち横臥姿勢の前記部品を前記搬送部材から落下させる第1振分け部と、前記円形底部が前記円筒部の上に位置する倒立姿勢の前記部品を前記搬送部材から落下させる第2振分け部と、をこの順に備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記部品の高さ寸法は、前記円形底部の外径寸法の1.5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記リニアフィーダ機構は、前記第1振分け部の上方で前記延設方向に延びる第1庇部を備え、
前記第1振分け部では、前記搬送部材が前記延設方向と直交する幅方向の一方側から切り欠かれ、
前記第1振分け部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法は、前記円形底部の外径寸法の1/2よりも短く、
前記第1庇部は、前記幅方向の他方側から前記第1振分け部の前記上方に張り出し、
前記第1庇部と前記搬送部材の搬送面との間の距離は、前記部品の高さ寸法よりも長く、
前記第1庇部は、前記起立姿勢および前記倒立姿勢の前記部品が前記搬送部材上で前記幅方向の一方側に傾斜したとき当該部品に当接して当該部品の前記搬送部材からの落下を阻止することを特徴する請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記第2振分け部において、前記搬送部材には、前記上方および前記幅方向の一方側に開口する複数のスリットが前記延設方向に一定間隔で設けられており、
前記搬送部材において、隣り合う前記スリットの間に位置する搬送部材部分は、前記倒立姿勢で前記第2振分け部を搬送させる前記部品の前記円筒部に侵入可能であり、
前記搬送部材部分が前記円筒部に侵入すると前記倒立姿勢の前記部品が前記幅方向の一方側に傾斜して前記搬送部材から落下することを特徴とする請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記貯留部は、前記搬送部材の前記幅方向の一方側に、前記搬送部材に沿って設けられ、
前記第1振分け部から落下した前記部品および前記第2振分け部から落下した前記部品は、前記貯留部に貯留されることを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記搬送部材は、前記搬送面の前記幅方向の他方の端から当該搬送面と直交する方向に延びる壁面を有する壁部を備え、
前記搬送面は、前記幅方向の他方側に向かって下方に傾斜し、
前記壁面は、前記上方に向かって前記幅方向の他方側に傾斜することを特徴とする請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記搬送部材は、前記第1振分け部と、前記第2振分け部との間に、中間搬送部を備え、
前記部品受け部および前記中間搬送部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法は、前記第1振分け部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法よりも長く、
前記リニアフィーダ機構は、前記搬送部材における前記中間搬送部および前記第2振分け部の前記上方で前記延設方向に延びる第2庇部を備え、
前記第2庇部は、前記中間搬送部において、前記起立姿勢の前記部品および前記倒立姿勢の前記部品が前記搬送部材上で前記幅方向の一方側に傾斜したとき当該部品に当接して当該部品が落下することを阻止するとともに、前記第2振分け部において、前記倒立姿勢の前記部品の前記円筒部に前記搬送部材部分が侵入して当該部品が傾斜したとき当該部品に当接せず当該部品の落下を許容することを特徴する請求項6に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記分離機構は、前記搬送部材の前記幅方向の一方側で前記延設方向および上下方向に延びる固定板と、前記幅方向における前記固定板の前記搬送部材とは反対側で前記固定板に沿って前記上下方向に移動する第1可動板と、前記固定板と前記搬送部材との間で前記固定板に沿って上下方向に移動する第2可動板と、を備え、
前記固定板の前記搬送部材とは反対側は、前記貯留部であり、
前記第1可動板の第1上面、前記第2可動板の第2上面、および前記固定板の第3上面は、それぞれ前記幅方向の他方側に向かって前記下方に傾斜し、
前記第1上面、前記第2上面、および前記第3上面が傾斜する傾斜角度は、同一であり、
前記第1可動板は、前記上方に移動する際に、前記貯留部に貯留された前記部品を前記第1上面により複数本ずつ前記X方向に一列に並べた状態で掬い上げ、前記第1上面と前記第3上面とが連続する高さ位置において前記部品を前記第1上面から前記第3上面に引き渡し、
前記第2可動板は、前記第3上面と前記第2上面とが連続する高さ位置において複数本の前記部品を一列に並べた状態で前記固定板から引き受け、しかる後に、前記第2上面と前記搬送部材の搬送面とが連続する高さ位置まで上昇して、前記部品を前記第2上面から前記搬送部材の搬送面に引き渡すことを特徴とする請求項6に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底筒状の部品を底部を下にした起立姿勢で供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円形底部と円形底部の外周縁から立ち上がる円筒部を有する有底筒状の部品を搬送する部品供給装置は、特許文献1に記載されている。同文献の部品供給装置は、ボウルを備える振動パーツフィーダと、ボウルの外周面に取り付けられた外側トラックと、外側トラックの下流端に接続された多段平面トラック部と、トラフを備える直線振動フィーダと、を有する。外側トラックおよび多段平面トラックは、ボウルの外周面に沿って湾曲しており、ボウルの外周面から径方向外側に張り出している。トラフは、多段平面トラック部の下流端に接続されおり、ボウルの径方向外側を直線状に延びる。
【0003】
ボウルに投入された部品は、その軸線をボウルの径方向に向けた横臥姿勢で外側トラックに排出されて、多段平面トラック部に移動する。多段平面トラック部に移動した部品は、多段平面トラック部を搬送される間に起こされて直立姿勢とされる。直線振動フィーダは、部品を直立姿勢で搬送して、トラフの下流端から外部に供給する。直線振動フィーダにおけるトラフの近傍には、部品の上下を判定するための光センサと、空気噴出ノズルと、が設置されている。トラフを搬送される部品は、光センサからの出力に基づいて、上下が正しい起立姿勢か、上下が逆の倒立姿勢か、判定される。倒立姿勢であると判断された部品には、空気噴出ノズルから空気が噴出される。これにより倒立姿勢の部品は、トラフからボウルに落下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-44043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の部品供給装置では、ランダムな姿勢でボウルに貯留されていた部品は、部品の軸線方向をボウルの径方向に向けた横臥姿勢で外側トラックに排出された後に、多段平面トラックを搬送されながら起こされて起立姿勢または倒立姿勢とされて、直線振動フィーダに移動する。すなわち、上記の部品供給装置は、部品を貯留するボウルから部品を外部に供給する供給部に至る搬送経路の途中に、部品の姿勢を横臥姿勢から起立姿勢に変更するための経路部分を備える。従って、上記の部品供給装置では、姿勢を変更するための経路部分を備えるので、搬送経路が長くなりやすく、部品供給装置が大型化しやすい。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、部品を搬送する搬送経路の途中に部品の姿勢を変更する経路部分を備えることなく、起立姿勢の部品を供給できる部品供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、円形底部および前記円形底部の外周縁から立ち上がる円筒部を有する部品を、円形底部を下にして起立する起立姿勢で供給する部品供給装置において、前記部品がランダムな姿勢で貯留される貯留部と、直線状に延びる搬送部材を振動させて、前記部品を前記搬送部材の延設方向の一方に向かう搬送方向に搬送するリニアフィーダ機構と、前記貯留部に貯留された前記部品を、ランダムな姿勢のまま複数
本ずつ前記延設方向に一列に並べた状態で分離して前記搬送部材の搬送面に載せる分離機構と、を有し、前記搬送部材は、前記搬送方向の上流側から下流側に向かって、ランダムな姿勢で一列に並べられた複数本の前記部品が前記分離機構から引き渡される部品受け部と、複数本の前記部品のうち横臥姿勢の前記部品を前記搬送部材から落下させる第1振分け部と、前記円形底部が前記円筒部の上に位置する倒立姿勢の前記部品を前記搬送部材から落下させる第2振分け部と、をこの順に備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、分離機構は、貯留部にランダムな姿勢で貯留された部品を、ランダムな姿勢のまま一列に並べた状態で分離して、リニアフィーダ機構の搬送部材に載せる。従って、分離機構からリニアフィーダの搬送部材の部品受け部に引き渡される複数本の部品には、横臥姿勢のもの、円形底部を上にした倒立形状のもの、円形底部が下に位置する起立形状のもの、などが含まれる。ここで、これらの部品が搬送部材上を部品受け部から下流側に移動すると、第1振分け部において、複数本の部品のうち横臥姿勢の部品は搬送部材から落下する。また、第2振分け部において、倒立姿勢の部品が搬送部材から落下する。従って、リニアフィーダにおいて、第1振分け部および第2振分け部を経由した部品は、いずれも起立姿勢である。よって、部品供給装置によれば、部品を搬送する搬送経路の途中に部品の姿勢を変更する経路部分を備えることなく、起立姿勢の部品を供給できる。
【0009】
本発明において、前記部品の高さ寸法は、前記円形底部の外径寸法の1.5倍以下であるものとすることができる。このような部品であれば、分離機構により貯留部から複数本の部品を分離して一列に並べた状態としたときに、分離した部品に対して起立姿勢の部品および倒立姿勢の部品の割合が多くなる。
【0010】
本発明において、前記リニアフィーダ機構は、前記第1振分け部の上方で前記延設方向に延びる第1庇部を備え、前記第1振分け部では、前記搬送部材が前記延設方向と直交する幅方向の一方側から切り欠かれ、前記第1振分け部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法は、前記円形底部の外径寸法の1/2よりも短く、前記第1庇部は、前記幅方向の他方側から前記第1振分け部の前記上方に張り出し、前記第1庇部と前記搬送部材の搬送面との間の距離は、前記部品の高さ寸法よりも長く、前記第1庇部は、前記起立姿勢および前記倒立姿勢の前記部品が前記搬送部材上で前記幅方向の一方側に傾斜したとき当該部品に当接して当該部品の前記搬送部材からの落下を阻止するものとすることができる。第1振分け部において搬送部材の搬送面の幅寸法を部品の外径寸法の1/2よりも短いものとすれば、振動する搬送部材の搬送面を横臥姿勢で搬送される部品を、幅方向の一方側に落下させることが容易である。この一方、リニアフィーダ機構は、搬送部材における第1振分け部の上方に第1庇部を備える。第1庇部は、起立姿勢の部品および倒立姿勢の部品が搬送部材上で幅方向の一方側に傾斜したとき当該部品に当接して、これらの部品が搬送部材から落下することを阻止する。従って、起立姿勢の部品および倒立姿勢の部品は、第1振分け部から落下させることなく、第1振分け部よりも下流側に搬送できる。また、第1庇部と搬送部材の搬送面との間の距離は、部品の高さ寸法より長く、起立姿勢の部品が搬送部材上で傾斜したとき当該部品に当接する距離である。従って、例えば、2つの部品が上下に重なった状態で搬送されて第1振分け部に到達した場合には、上側の部品は第1庇部と干渉して、搬送部材から落下する。下側の部品は第1庇部と干渉せず、そのまま搬送される。よって、下側に位置する1つの部品のみを、第1振分け部よりも下流側に搬送できる。
【0011】
本発明において、前記第2振分け部において、前記搬送部材には、前記上方および前記幅方向の一方側に開口する複数のスリットが前記延設方向に一定間隔で設けられており、前記搬送部材において、隣り合う前記スリットの間に位置する搬送部材部分は、前記倒立姿勢で前記第2振分け部を搬送させる前記部品の前記円筒部に侵入可能であり、前記搬送部材部分が前記円筒部に侵入すると前記倒立姿勢の前記部品が前記幅方向の一方側に傾斜
して前記搬送部材から落下するものとすることができる。このようにすれば、部品が起立姿勢から倒立姿勢かを判定するセンサや、倒立姿勢の部品に空気を吹き付ける空気噴出ノズルなどを設けることなく、転倒姿勢の部品を、搬送部材から落下させることができる。
【0012】
本発明において、前記貯留部は、前記搬送部材の前記幅方向の一方側に、前記搬送部材に沿って設けられ、前記第1振分け部から落下した前記部品および前記第2振分け部から落下した前記部品は、前記貯留部に貯留されるものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記搬送部材は、前記搬送面の前記幅方向の他方の端から当該搬送面と直交する方向に延びる壁面を有する壁部を備え、前記搬送面は、前記幅方向の他方側に向かって下方に傾斜し、前記壁面は、前記上方に向かって前記幅方向の他方側に傾斜するものとすることができる。このようにすれば、搬送部材の搬送面を搬送される起立姿勢の部品を、搬送中に搬送部材から落下させることを防止或いは抑制できる。
【0014】
本発明において、前記搬送部材は、前記第1振分け部と、前記第2振分け部との間に、中間搬送部を備え、前記部品受け部および前記中間搬送部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法は、前記第1振分け部における前記搬送部材の搬送面の幅寸法よりも長く、前記リニアフィーダ機構は、前記搬送部材における前記中間搬送部および前記第2振分け部の前記上方で前記延設方向に延びる第2庇部を備え、前記第2庇部は、前記中間搬送部において、前記起立姿勢の前記部品および前記倒立姿勢の前記部品が前記搬送部材上で前記幅方向の一方側に傾斜したとき当該部品に当接して当該部品が落下することを阻止するとともに、前記第2振分け部において、前記倒立姿勢の前記部品の前記円筒部に前記搬送部材部分が侵入して当該部品が傾斜したとき当該部品に当接せず当該部品の落下を許容するものとすることができる。このようにすれば、中間搬送部および第2振分け部において起立姿勢の部品が搬送部材から落下することを防止或いは抑制しながら、第2振分け部において倒立姿勢の部品を搬送部材から落下させることができる。
【0015】
本発明において、前記分離機構は、前記搬送部材の前記幅方向の一方側で前記延設方向および上下方向に延びる固定板と、前記幅方向における前記固定板の前記搬送部材とは反対側で前記固定板に沿って前記上下方向に移動する第1可動板と、前記固定板と前記搬送部材との間で前記固定板に沿って上下方向に移動する第2可動板と、を備え、前記固定板の前記搬送部材とは反対側は、前記貯留部であり、前記第1可動板の第1上面、前記第2可動板の第2上面、および前記固定板の第3上面は、それぞれ前記幅方向の他方側に向かって前記下方に傾斜し、前記第1上面、前記第2上面、および前記第3上面が傾斜する傾斜角度は、同一であり、前記第1可動板は、前記上方に移動する際に、前記貯留部に貯留された前記部品を前記第1上面により複数本ずつ前記延設方向に一列に並べた状態で掬い上げ、前記第1上面と前記第3上面とが連続する高さ位置において前記部品を前記第1上面から前記第3上面に引き渡し、前記第2可動板は、前記第3上面と前記第2上面とが連続する高さ位置において複数本の前記部品を一列に並べた状態で前記固定板から引き受け、しかる後に、前記第2上面と前記搬送部材の搬送面とが連続する高さ位置まで上昇して、前記部品を前記第2上面から前記搬送部材の搬送面に引き渡すものとすることができる。このようにすれば、貯留部に貯留された部品を、複数本ずつ一列に並べた状態でリニアフィーダ機構に供給できる。従って、リニアフィーダ機構により部品を搬送することが容易である。ここで、ボウルを備える従来の部品供給機構では、ボウルを振動させることによりボウルに貯留された部品をボウルから搬送機構に排出するので、ボウル(貯留部)において部品が擦れて、部品の外装に傷などが発生しやすいという問題がある。これに対して、本発明では、貯留部に貯留された部品を分離機構により掬い上げてリニアフィーダ機構に移動させる。これにより、貯留部を振動させる必要がないので、貯留部の振動により部品が擦れて傷付くことがない。また、搬送部材を振動させる振動部の他に、ボウルを振動させるための振動部を備える必要がない。
【発明の効果】
【0016】
本発明の部品供給装置は、ランダムな姿勢で貯留部に貯留された部品を、ランダムな姿勢のまま複数本ずつ一列に並べた状態で分離して、搬送部材の搬送面に載せる。また、部品供給装置は、搬送部材の搬送面に載せられた部品を搬送する間に、起立姿勢の部品のみを搬送面上に残し、他の姿勢の部品を搬送面から落下させる。これにより、部品供給装置は、部品を搬送する搬送経路の途中に部品の姿勢を変更する経路部分を有する必要がない。従って、姿勢を変更するための経路部分を有さない分だけ、搬送経路を短くできる。よって、起立姿勢の部品を供給する供給装置を小型化することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した部品供給装置の斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】貯留部を区画する区画部材を取り除いた部品供給装置の斜視図である。
図4】搬送部材の斜視図である。
図5】分離機構の動作の説明図である。
図6】分離機構の動作の説明図である。
図7】分離機構の動作の説明図である。
図8】貯留部を区画する区画部材の説明図である。
図9図1のB-B線部分断面図である。
図10図1のC-C線部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した部品供給装置を説明する。図1は、本発明を適用した部品供給装置の斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、貯留部を区画する区画部材を取り除いた部品供給装置の斜視図である。図4は、搬送部材の斜視図である。図5図6図7は、分離機構の動作の説明図である。図8は、貯留部を区画する区画部材の説明図である。図9は、図1のB-B線部分断面図である。図10は、図1のC-C線部分断面図である。
【0019】
(部品供給装置)
図1に示す部品供給装置1は、貯留部6に貯留された有底筒状の部品2を、円形底部3を下にして起立する起立姿勢P1で供給する。部品供給装置1は、例えば、電解コンデンサの組立ラインに組み込まれ、部品2としてコンデンサ素子用のケースを供給する。部品2(ケース)は、アルミ製であり、円形底部3および円形底部3の外周縁から立ち上がる円筒部4を有する。本例において、部品供給装置1が扱う部品2は、高さ寸法Hが外径寸法D(円形底部3の外径寸法D)よりも長い。また、部品2の高さ寸法Hは、外径寸法Dの1.5倍以下である。
【0020】
部品供給装置1は、部品2が貯留される貯留部6と、部品2を直線的に搬送するリニアフィーダ機構7と、貯留部6に貯留された部品2を複数本ずつ分離してリニアフィーダ機構7に受け渡す分離機構8と、を有する。貯留部6は、リニアフィーダ機構7に取り付けられた区画部材10により、リニアフィーダ機構7の側方に区画されている。部品2は、ランダムな姿勢で貯留部6に貯留される。
【0021】
リニアフィーダ機構7は、直線状に延びる搬送部材11を振動させて、搬送部材11に載せられた部品2を搬送部材11の延設方向の一方に向かう搬送方向Dに搬送する。分離機構8は、搬送部材11の幅方向の一方側に位置する。分離機構8は、貯留部6の部品2を、ランダムな姿勢のまま複数本ずつ延設方向に一列に並べた状態で分離して、搬送部材11の搬送面12に載せる。リニアフィーダ機構7の搬送部材11における搬送方向Dの
下流端は、部品2を外部に供給する供給部13である。
【0022】
以下の説明では、互いに直交する3方向を、それぞれX方向、Y方向、およびZ方向とする。X方向は、リニアフィーダ機構7の搬送部材11の延設方向である。搬送方向DはX方向の一方に向かう方向である。X方向において搬送方向Dの上流側をX1方向、下流側をX2方向とする。Y方向は、搬送部材11の幅方向である。Y方向において、リニアフィーダ機構7に対して分離機構8が位置する側(搬送部材11の幅方向の一方側)をY1方向、その反対側をY2方向とする。Z方向は、上下方向である。下方をZ1方向、上方をZ2方向とする。
【0023】
(リニアフィーダ機構)
図2図3に示すように、リニアフィーダ機構7は、直線状に延びる搬送部材11と、搬送部材11を振動させる振動部15と、を有する。図4に示すように、搬送部材11は、部品2を載せる搬送面12を備える本体部16と、本体部16からZ2方向に延びる壁部17と、を備える。壁部17は、搬送面12の幅方向の他方側の端から搬送面12と直交する方向に延びる壁面17aを有する。また、図1図2図4に示すように、搬送部材11は、上流側から下流側に向かって、部品受け部18、第1振分け部19、中間搬送部20、第2振分け部21、および供給部13を、この順に備える。部品受け部18には、ランダムな姿勢で一列に並べられた複数本の部品2が分離機構8から引き渡される。第1振分け部19は、複数本の部品2のうち横臥姿勢P2の部品2を搬送部材11から落下させる。第2振分け部21は、円形底部3が円筒部4の上に位置する倒立姿勢P3の部品2を搬送部材11から落下させる。
【0024】
本例では、図3に示すように、搬送部材11は、第1搬送部材11Aと、第1搬送部材11AのX2方向に配列された第2搬送部材11Bの2つの部材からなる。第1搬送部材11Aは、部品受け部18を備える。第2搬送部材11Bは、第1振分け部19、中間搬送部20、第2振分け部21、および供給部13を備える。また、振動部15は、第1搬送部材11Aを振動させる第1振動部15Aと、第2搬送部材11Bを振動させる第2振動部15Bと、を備える。第1振動部15Aと第2振動部15Bとは、同期して駆動される。
【0025】
図2に示すように、部品受け部18、第1振分け部19、中間搬送部20、および第2振分け部21において、搬送面12は、Y2方向に向かってZ1方向に傾斜する。また、壁面17aは、Z2方向に向かってY2方向に傾斜する。なお、供給部13では、搬送面12は、Y2方向に向かってZ1方向に傾斜する状態から下流端に向かって水平に変化する。壁面17aは、Z2方向に向かってY2方向に傾斜する状態から下流端に向かって垂直に変化する。
【0026】
図4に示すように、第1振分け部19では、搬送部材11がY1方向から切り欠かれれている。第1振分け部19における搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2は、円形底部3の外径寸法Dの1/2よりも短い。本例では、第1振分け部19における搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2は、円形底部3の外径寸法Dの1/3である。第1振分け部19は、搬送面12のY1方向に、Y1方向に向かってZ1方向に傾斜する傾斜面26を備える。
【0027】
部品受け部18の搬送面12の幅寸法W1および中間搬送部20の搬送面12の幅寸法W3は、第1振分け部19の搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2よりも長い。本例では、部品受け部18の搬送面12の幅寸法W1および中間搬送部20の搬送面12の幅寸法W3は、円形底部3の外径寸法Dと同一である。
【0028】
第2振分け部21の搬送面12の幅寸法W4は、部品受け部18の搬送面12の幅寸法W1および中間搬送部20の搬送面12の幅寸法W3と同一か、または、僅かに短い。第2振分け部21において、搬送部材11には、Z2方向およびY1方向に開口する複数のスリット25がX方向に一定間隔で設けられている。また、第2振分け部21において、搬送部材11には、搬送面12のZ1方向に、Y2方向に窪む凹部26が設けられている。ここで、各スリット25は、凹部26に連通する。凹部26が設けられることにより、隣り合うスリット25の間に位置する搬送部材部分27は、舌片状とされている。また、搬送部材部分27のY1方向端縁は、円弧形状とされている。搬送部材部分27のX方向の幅は円筒部4の内径寸法よりも短く、各スリット25のX方向の幅は、部品2の円筒部4の厚み寸法よりも長い。これにより、搬送部材部分27は、部品2の円筒部4に侵入可能である。
【0029】
また、リニアフィーダ機構7は、図1から図3に示すように、第1振分け部19のZ2方向でX方向に延びる第1庇部31と、中間搬送部20および第2振分け部21のZ2方向でX方向に延びる第2庇部32と、を備える。第1庇部31および第2庇部32は、それぞれY2方向の側からY1方向に向かって張り出している。第1庇部31および第2庇部32は、板状であり、搬送面12と平行に延びる。すなわち、第1庇部31および第2庇部32は、Y2方向に向かってZ1方向に傾斜する。
【0030】
ここで、第1庇部31は、搬送面12と垂直な方向から見た場合に、X1方向の端が、第1振分け部19における搬送面12のX1方向の端と重なる位置まで張り出している。第2庇部32は、搬送面12と垂直な方向から見た場合に、X1方向の端が、中間搬送部20および第2振分け部21における搬送面12のX1方向の端と重なる位置まで張り出している。従って、第2庇部32は、第1庇部31よりもY1方向に突出する突出量が大きい。また、第2庇部32と搬送面12との間の距離は、第1庇部31と搬送面12との間の距離よりも長い。
【0031】
(分離機構)
図1に示すように、分離機構8は、搬送部材11における部品受け部18のY1方向に設けれられている。分離機構8は、搬送部材11のY1方向でX方向およびZ方向に延びる固定板35と、幅方向における固定板35の搬送部材11とは反対側で固定板35に沿ってZ方向に移動可能な第1可動板36と、固定板35と搬送部材11との間で固定板35に沿ってZ方向に移動可能な第2可動板37と、を備える。固定板35は、区画部材10に一体に設けられている。また、分離機構8は、図2に示すように、第1可動板36をZ方向に移動させる第1移動機構38と、第2可動板37をZ方向に移動させる第2移動機構39と、を備える。本例では、第1移動機構38および第2移動機構39は、同一の駆動源40を備える。第1移動機構38および第2移動機構39は、同期して駆動される。これにより、第1移動機構38と第2移動機構39とは、同一のタイミングで昇降する。
【0032】
第1可動板36、第2可動板37、および第3可動体は、X方向において、搬送部材11の部品受け部18と同一の長さ寸法を備える。第1可動板36、第2可動板37、および第3可動体のY方向の厚みは、部品2の外径寸法Dと略同一である。第1可動板36の第1上面36a、第2可動板37の第2上面37a、および固定板35の第3上面35aは、それぞれY2方向に向かってZ1方向に傾斜する。第1上面36a、第2上面37a、および第3上面35aが傾斜する傾斜角度は、同一である。
【0033】
第1可動板36は、その第1上面36aが貯留部6の底面6aと一致する待機位置Q1(図2図6参照)と、第1上面36aと第3上面35aとが連続する第1受渡位置Q2(図5図7参照)との間を昇降する。第1受渡位置Q2は、待機位置Q1のZ2方向に
位置する。第2可動板37は、第3上面35aと第2上面37aとが連続する第2受渡位置R1(図2図6参照)と、第2上面37aが搬送部材11の搬送面12に連続する第3受渡位置R2(図5図7参照)との間を昇降する。第3受渡位置R2は、第2受渡位置R1のZ2方向に位置する。図2図6に示すように、第1可動板36が待機位置Q1に位置するときに、第2可動板37は第2受渡位置R1に位置する。また、図5図7に示すように、第1可動板36が第1受渡位置Q2に位置するときに、第2可動板37は、第3受渡位置R3に位置する。
【0034】
(分離機構の動作)
図2に示すように、初期状態では、第1可動板36は待機位置Q1に位置し、第2可動板37は、第2受渡位置R1に位置する。分離機構8が動作すると、第1可動板36は待機位置Q1から第1受渡位置Q2に移動する。第2可動板37は第2受渡位置R1から第3受渡位置R2に移動する。ここで、図2図5に示すように、第1可動板36が待機位置Q1からZ2方向に移動する際に、第1可動板36の第1上面36aは、貯留部6に貯留された部品2を、複数本ずつX方向に一列に並べた状態で掬い上げる。また、図5に示す第1受渡位置Q2において、第1可動板36は、掬い上げた複数本の部品2を第1上面36aから固定板35の第3上面35aに引き渡す。すなわち、第1可動板36が第1受渡位置Q2に移動すると、第1上面36aと第3上面35aとが連続する。従って、第1上面36aにある複数本の部品2は、自重により滑って、固定板35の第3上面35aに移動する。
【0035】
次に、第1可動板36は第1受渡位置Q2から待機位置Q1に戻る。また、第2可動板37は、第3受渡位置R2から第2受渡位置R1に戻る。これにより、分離機構8は、図5に示す状態から、図6に示す状態となる。ここで、第2受渡位置R1において、第2可動板37は一列に並べられた状態の複数本の部品2を、固定板35の第3上面35aから引き受ける。すなわち、第2可動板37が第2受渡位置R1に配置されると、固定板35の第3上面35aと第2可動板37の第2上面37aとが連続する。従って、固定板35の第3上面35aにある複数本の部品2は、自重により滑って、第2可動板37の第2上面37aに移動する。
【0036】
しかる後に、第1可動板36は待機位置Q1から第1受渡位置Q2に移動する。第2可動板37は第2受渡位置R1から第3受渡位置R2に移動する。これにより、分離機構8は、図7に示す状態となる。第3受渡位置R2において、第2可動板37は、複数の部品2を搬送部材11における部品受け部18の搬送面12に受け渡す。すなわち、第2可動板37が第3受渡位置R2に配置されると、第2上面37aと、搬送部材11の搬送面12とが連続する。従って、第2上面37aにおいて一列に並べられた複数本の部品2は、自重により滑って、第2上面37aから搬送面12に移動する。これにより、分離機構8が、貯留部6にある部品2を分離して、搬送部材11の搬送面12に載せる分離動作が完了する。
【0037】
なお、図示は省略しているが、分離機構8が図6に示す状態から図7に示す状態になる際に、第1可動板36の第1上面36aは、貯留部6に貯留された部品2を、新たに、複数本ずつX方向に一列に並べた状態で掬い上げる。よって、その後に、第1可動板36の昇降と、第2可動板37の昇降とが繰り返されることにより、搬送部材11の搬送面12には、複数の部品2が供給される。
【0038】
ここで、分離機構8は、図1に示すように、貯留部6にランダムな姿勢で貯留された部品2を、ランダムな姿勢のまま一列に並べた状態で分離して、リニアフィーダ機構7の搬送部材11に載せる。従って、図2に示すように、分離機構8からリニアフィーダ機構7の搬送部材11の部品受け部18に引き渡される複数本の部品2には、その軸線をX方向
に向けた横臥姿勢P2のもの、その軸線を幅方向に向けた横臥姿勢P2のもの、円形底部3を上にした倒立姿勢P3のもの、円形底部3が下に位置する起立姿勢P1のもの、が含まれる。
【0039】
(貯留部)
図1に示すように、貯留部6は、区画部材10の内側であって、固定板35の搬送部材11とは反対側の領域である。区画部材10は、X方向で対向する第1側板部41および第2側板部42を備える。また、貯留部6は、Y方向で対向する第3側板部43および第4側板部44と、第1側板部41、第2側板部42、第3側板部43および第4側板部44の下端を接続する底部45と、を備える。貯留部6をZ2方向から見た場合の形状は、X方向に長い長方形形状である。
【0040】
第1側板部41は、搬送部材11の上流端のX1方向に隣り合う位置からY1方向に延びる。第2側板部42は、搬送部材11における第2振分け部21の下流端のY2方向に隣り合う位置からY1方向に延びる。第3側板部43は、第1側板からX1方向に突出する固定板35と、固定板35からX1方向に延びて第2側板部42に接続される壁板46と、を備える。固定板35は、分離機構8を構成するものである。図1に示すように、固定板35は、搬送部材11の部品受け部18のY1方向を、部品受け部18と隙間を開けて平行に延びる。固定板35と搬送部材11との間の隙間には、第2可動板37が配置される。壁板46は、搬送部材11の第1振分け部19、中間搬送部20および第2振分け部21のZ1方向をX方向に延びる。壁板46は、Y1方向に向かってZ1方向に傾斜する傾斜面46aと、傾斜面46aからZ1方向の延びる垂直面46bとを備える。第4側板部44は、X方向に延びて第1側板部41のY1方向の端と第2側板部42のY1方向の端とを接続する。
【0041】
図8に示すように、底部45は、第1可動板36を通過させる開口47を備える底面6aと、第4側板部44の壁板46と対向する部分および第2側板部42からX1方向に位置する底面6aに向かってZ1方向に傾斜する第1傾斜面45aと、第4側板部44の固定板35と対向する部分からY2方向に位置する底面6aに向かってZ1方向に傾斜する第2傾斜面45bと、を備える。底面6aは、Y2方向に向かってZ1方向に傾斜している。図2に示すように、底面6aは、第1可動板36が待機位置Q1に配置されたときに、第1上面36aに連続する。
【0042】
(部品供給装置の動作)
部品2は、貯留部6にランダムな姿勢で貯留される。部品2を供給する際に、部品供給装置1は、リニアフィーダ機構7の振動部15(第1振動部15Aおよび第2振動部15B)を駆動するとともに、分離機構8の駆動源40を駆動して第1可動板36および第2可動板37を動作させる。
【0043】
図2図5に示す第1可動板36の待機位置Q1から第1受渡位置Q2への移動、および、図6図7に示す第2可動板37の第2受渡位置R1から第3受渡位置R2への移動により、貯留部6の部品2は、図1に示すように、複数本ずつ一列に並べられた状態で搬送部材11の部品受け部18の搬送面12に載置される。一列に並べられた複数本の部品2には、図3に示すように、その軸線をX方向に向けた横臥姿勢P2のもの、その軸線を幅方向に向けた横臥姿勢P2のもの、円形底部3を上にした倒立姿勢P3のもの、円形底部3が下に位置する起立姿勢P1のもの、が含まれる。
【0044】
ここで、部品2が第1振分け部19を経由すると、図9に示すように、複数本の部品2のうち横臥姿勢P2の部品2が搬送部材11からY1方向に落下する。すなわち、第1振分け部19では、搬送面12の幅寸法W2が部品2の外径寸法Dの1/2よりも短い。従
って、図9に実線で示すように、その軸線をX方向に向けた横臥姿勢P2の部品2は、転動して、搬送部材11から落下する。
【0045】
また、第1振分け部19では、搬送面12の幅寸法W2が部品2の外径寸法Dの1/2よりも短い。すなわち、搬送面12の幅寸法Wは、部品2の高さ寸法Hの1/2よりも短い。さらに、第1庇部31と搬送面12との間の距離は、部品2の高さ寸法Hよりも長い。従って、図9において鎖線で示すように、その軸線をY方向に向けた横臥姿勢P2の部品2もY1方向に傾斜する。また、第1庇部31は、Y1方向に傾斜した部品2が搬送部材11から落下することを許容する。よって、その軸線をY方向に向けた横臥姿勢P2の部品2は、搬送部材11から落下する。第1振分け部19において搬送部材11から落下した部品2は、区画部材10の壁板46の傾斜面46aを経由して、貯留部6に戻る。
【0046】
この一方、第1庇部31は、起立姿勢P1および倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11上でY1方向に傾斜したときに、部品2に当接して当該部品2の搬送部材11からの落下を阻止する。従って、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2は、第1振分け部19よりも下流側に搬送される。
【0047】
また、第1庇部31と搬送部材11の搬送面12との間の距離は、部品2の高さ寸法Hより長く、起立姿勢P1の部品2が搬送部材11上で傾斜したとき当該部品2に当接する距離である。従って、例えば、2つの部品2が上下に重なった状態で搬送されて第1振分け部19に到達した場合には、下側の部品2は第1庇部31と干渉せず、そのまま下流側に搬送される。上側の部品2は第1庇部31と干渉して、搬送部材11から落下する。
【0048】
次に、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2は、中間搬送部20および第2振分け部21を経由して搬送される。図10に示すように、倒立姿勢P3の部品2が第2振分け部21を経由すると、部品2の円筒部4の開口に、隣り合うスリット25の間の搬送部材部分27が侵入する。これにより、部品2は、Y1方向に傾斜した姿勢となる。ここで、第2庇部32は、中間搬送部20において、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11上でY1方向に傾斜したとき当該部品2に当接して当該部品2が落下することを阻止する。この一方で、第2振分け部21において、倒立姿勢P3の部品2の円筒部4に搬送部材部分27が侵入して当該部品2が傾斜したとき当該部品2に当接せず当該部品2の落下を許容する。従って第2振分け部21を経由することにより、倒立姿勢P3は搬送部材11から落下し、起立姿勢P1の部品2のみが供給部13に搬送される。第2振分け部21において搬送部材11から落下した部品2は、区画部材10の側壁の傾斜面46aを経由して、貯留部6に戻る。
【0049】
(作用効果)
本例では、分離機構8は、貯留部6にランダムな姿勢で貯留された部品2を、ランダムな姿勢のまま一列に並べた状態で分離して、リニアフィーダ機構7の搬送部材11に載せる。従って、分離機構8からリニアフィーダ機構7の搬送部材11の部品受け部18に引き渡される複数本の部品2には、横臥姿勢P2のもの、円形底部3を上にした倒立姿勢P3のもの、円形底部3が下に位置する起立姿勢P1のもの、などが含まれる。ここで、これらの部品2が搬送部材11上を部品受け部18から搬送方向のDの下流側に移動すると、第1振分け部19において、複数本の部品2のうち横臥姿勢P2の前記部品2は搬送部材11から落下する。また、第2振分け部21において、円形底部3が円筒部4の上に位置する倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11から落下する。従って、リニアフィーダにおいて、第1振分け部19および第2振分け部21を経由した部品2は、いずれも起立姿勢P1である。よって、部品供給装置1によれば、部品2を搬送する搬送経路の途中に部品2の姿勢を変更する経路部分を備えることなく、起立姿勢P1の部品2を供給できる。
【0050】
本例において、部品2の高さ寸法Hは、円形底部3の外径寸法Dの1.5倍以下であるものとすることができる。このような部品2であれば、分離機構8により貯留部6から複数本の部品2を分離して一列に並べた状態としたときに、分離した部品2に対して起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2の割合が多くなる。
【0051】
本例において、リニアフィーダ機構7は、第1振分け部19のZ2方向でX方向に延びる第1庇部31を備える。第1振分け部19では、搬送部材11がX方向と直交するY1方向から切り欠かれ、第1振分け部19における搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2は、円形底部3の外径寸法Dの1/2よりも短い。第1庇部31は、Y2方向から第1振分け部19のZ2方向に張り出し、第1庇部31と搬送部材11の搬送面12との間の距離は、部品2の高さ寸法Hよりも長い。第1庇部31は、起立姿勢P1および倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11上でY1方向に傾斜したとき当該部品2に当接して当該部品2の搬送部材11からの落下を阻止する。
【0052】
本例では、第1振分け部19において搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2を部品2の外径寸法Dの1/2よりも短いものとしているので、振動する搬送部材11の上面を横臥姿勢P2で搬送される部品2を、Y1方向に落下させることができる。この一方、リニアフィーダ機構7は、搬送部材11における第1振分け部19のZ2方向に第1庇部31を備える。第1庇部31は、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11上でY1方向に傾斜したとき当該部品2に当接して、これらの部品2が搬送部材11から落下することを阻止する。従って、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2は、第1振分け部19から落下させることなく、第1振分け部19よりも下流側に搬送できる。また、第1庇部31と搬送部材11の上面との間の距離は、部品2の高さ寸法Hより長く、起立姿勢P1の部品2が搬送部材11上で傾斜したとき当該部品2に当接する距離である。従って、例えば、2つの部品2が上下に重なった状態で搬送されて第1振分け部19に到達した場合には、上側の部品2は第1庇部31と干渉して、搬送部材11から落下する。下側の部品2は第1庇部31と干渉せず、そのまま搬送される。よって、下側に位置する1つの部品2のみを、第1振分け部19よりも下流側に搬送できる。
【0053】
また、第2振分け部21において、搬送部材11には、Z2方向およびY1方向に開口する複数のスリット25がX方向に一定間隔で設けられている。搬送部材11において、隣り合うスリット25の間に位置する搬送部材部分27は、倒立姿勢P3で第2振分け部21を搬送させる部品2の円筒部4に侵入可能であり、搬送部材部分27が円筒部4に侵入すると倒立姿勢P3の部品2がY1方向に傾斜して搬送部材11から落下する。従って、部品2が起立姿勢P1から倒立姿勢P3かを判定するセンサや、倒立姿勢P3の部品2に空気を吹き付ける空気噴出ノズルなどを設けることなく、転倒姿勢の部品2を、搬送部材11から落下させることができる。
【0054】
本例において、貯留部6は、搬送部材11のY1方向に、搬送部材11に沿って設けられ、第1振分け部19から落下した部品2および第2振分け部21から落下した部品2は、貯留部6に貯留される。従って、搬送部材11から落下した部品2を貯留部6に戻すことが容易である。
【0055】
本例において、搬送部材11は、搬送面12のY方向の他方の端から当該搬送面12と直交する方向に延びる壁面17aを有する壁部17を備える。搬送面12は、Y2方向に向かってZ1方向に傾斜し、壁面17aは、Z2方向に向かってY2方向に傾斜する。従って、搬送部材11の搬送面12を搬送される起立姿勢P1の部品2を、搬送中に搬送部材11から落下させることを防止或いは抑制できる。
【0056】
また、搬送部材11は、第1振分け部19と、第2振分け部21との間に、中間搬送部
20を備える。部品受け部18おける搬送面12の幅寸法W1および中間搬送部20における搬送面12の幅寸法W3は、第1振分け部19における搬送部材11の搬送面12の幅寸法W2よりも長い。また、リニアフィーダ機構7は、搬送部材11における中間搬送部20および第2振分け部21のZ2方向でX方向に延びる第2庇部32を備える。第2庇部32は、中間搬送部20において、起立姿勢P1の部品2および倒立姿勢P3の部品2が搬送部材11上でY1方向に傾斜したとき当該部品2に当接して当該部品2が落下することを阻止する。また、第2庇部32は、第2振分け部21において、倒立姿勢P3の部品2の円筒部4に搬送部材部分27が侵入して当該部品2が傾斜したとき当該部品2に当接せず当該部品2の落下を許容する。従って、中間搬送部20および第2振分け部21において起立姿勢P1の部品2が搬送部材11から落下することを防止或いは抑制できる。また、第2振分け部21において倒立姿勢P3の部品2を搬送部材11から落下させることができる。
【0057】
本例において、分離機構8は、搬送部材11のY1方向でX方向およびZ方向に延びる固定板35と、Y方向における固定板35の搬送部材11とは反対側で固定板35に沿ってZ方向に移動する第1可動板36と、固定板35と搬送部材11との間で固定板35に沿ってZ方向に移動する第2可動板37と、を備える。固定板35の搬送部材11とは反対側は、貯留部6であり、第1可動板36の第1上面36a、第2可動板37の第2上面37a、および固定板35の第3上面35aは、それぞれY2方向に向かってZ1方向に傾斜する。第1上面36a、第2上面37a、および第3上面35aが傾斜する傾斜角度は、同一である。第1可動板36は、Z2方向に移動する際に、貯留部6に貯留された部品2を第1上面36aにより複数本ずつX方向に一列に並べた状態で掬い上げ、第1上面36aと第3上面35aとが連続する高さ位置において部品2を第1上面36aから第3上面35aに引き渡す。第2可動板37は、第3上面35aと第2上面37aとが連続する高さ位置において複数本の部品2を一列に並べた状態で固定板35から引き受け、しかる後に、第2上面37aと搬送部材11の搬送面12とが連続する高さ位置まで上昇して、部品2を第2上面37aから搬送部材11の搬送面12に引き渡す。従って、貯留部6に貯留された部品2を、複数本ずつ一列に並べた状態でリニアフィーダ機構7に供給できる。従って、リニアフィーダ機構7により部品2を搬送することが容易である。
【0058】
ここで、ボウルを備える従来の部品供給機構では、ボウルを振動させることによりボウルに貯留された部品2をボウルからリニアフィーダ機構7などの搬送機構に排出する。従って、ボウル(貯留部6)において部品2が擦れて、部品2の外装に傷などが発生しやすいという問題がある。これに対して、本例では、貯留部6に貯留された部品2を分離機構8により掬い上げてリニアフィーダ機構7に移動させる。これにより、貯留部6を振動させる必要がないので、貯留部6の振動により部品2が擦れて傷付くことがない。また、搬送部材11を振動させる振動部15の他に、ボウル(貯留部6)を振動させるための振動部を備える必要がない。
【符号の説明】
【0059】
1…部品供給装置、2…部品、3…円形底部、4…円筒部、6…貯留部、6a…底面、7…リニアフィーダ機構、8…分離機構、10…区画部材、11…搬送部材、11A…第1搬送部材、11B…第2搬送部材、12…搬送面、13…供給部、15…振動部、15A…第1振動部、15B…第2振動部、16…本体部、17…壁部、17a…壁面、18…部品受け部、19…第1振分け部、20…中間搬送部、21…第2振分け部、25…傾斜面、25…スリット、26…凹部、27…搬送部材部分、31…第1庇部、32…第2庇部、35…固定板、35a…第3上面、36…第1可動板、36a…第1上面、37…第2可動板、37a…第2上面、38…第1移動機構、39…第2移動機構、40…駆動源、41…第1側板部、42…第2側板部、43…第3側板部、44…第4側板部、45…底部、45a…第1傾斜面、45b…第2傾斜面、46…壁板、46a…傾斜面、43b
…垂直面、47…開口、P1…起立姿勢、P2…横臥姿勢、P3…倒立姿勢、Q1…待機位置、Q2…第1受渡位置、R1…第2受渡位置、R2…第3受渡位置、W1…部品受け部の搬送面の幅寸法、W2…第1振分け部の搬送面の幅寸法、W3…中間搬送部の搬送面の幅寸法、W4…第2振分け部の搬送面の幅寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10