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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094512
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01L 7/02 20060101AFI20240703BHJP
   F01L 7/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F01L7/02
F01L7/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211101
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】592179355
【氏名又は名称】種村 政己
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】種村 政己
(57)【要約】
【課題】給気部から導入する空気の量を高めるため開口面積を大きくしてもまた圧送する圧力を高めても、その導入と遮断とを瞬時にしてスムーズに行うことができ、2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)の利点を維持しつつ欠点を解消できる画期的なエンジンを提供すること。
【解決手段】給気部3の開閉用可動壁部5が可動することで多数の連通開口部8が多数の開口部4と位置ずれて閉塞部9により一斉にすべて閉塞された閉塞状態となり、且つこの開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、開閉用可動壁部5が固定壁部7に圧接する圧接状態となるエンジン。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン機構のシリンダー内に導入される空気と燃料とをピストンにより圧縮し燃焼させて爆発させまたは衝突燃焼させて爆発させ、その力を動力とし伝達させるエンジンであって、
空気を前記シリンダー内に導入する給気部に、多数の開口部と、この開口部を導入時には一斉に開口した開口状態とし圧縮時および爆発時にはすべて閉塞した閉塞状態とする開閉自在な開閉部とからなる開口閉塞切替え機構が設けられていて、
この開口閉塞切替え機構は、多数の前記開口部が設けられている固定壁部と、この固定壁部に沿って可動自在に設けられていて、可動することで多数の前記開口部と連通状態となる多数の連通開口部および可動することで多数の前記開口部を閉塞する閉塞部が設けられている前記開閉部としての開閉用可動壁部とからなり、
この開閉用可動壁部が可動することで多数の前記連通開口部が多数の前記開口部と位置ずれて前記閉塞部により多数の前記開口部が一斉にすべて閉塞された閉塞状態となり、且つこの開閉用可動壁部が前記可動とともに前記固定壁部に接近する方向に接近移動することで、前記開閉用可動壁部が前記固定壁部に圧接する圧接状態となり、この圧接状態の閉塞状態から開口状態に切り替える際には、前記開閉用可動壁部を可動することで多数の前記連通開口部が多数の前記開口部と連通状態となり開口された開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部が前記可動とともに前記固定壁部から離反する方向に離反移動することで、この開閉用可動壁部と前記固定壁部との前記圧接状態が解除された圧接解除状態となる構成とされていることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記開口閉塞切替え機構は、前記給気部のシリンダー連通開口部を覆う前記固定壁部に、この固定壁部に沿って前記開閉部としての前記開閉用可動壁部が回動自在にして前記固定壁部へ接近離反移動自在に設けられている構成であり、
前記固定壁部にスリット状の前記開口部が周方向に多数設けられていて、
前記開閉用可動壁部には、この開閉用可動壁部を前記固定壁部に沿って回動可動することでこの固定壁部の多数の前記開口部と連通状態となり前記開口状態となる多数の前記連通開口部と、回動可動することでこの多数の連通開口部と多数の前記開口部とが位置ずれるとともにこの開口部を一斉にすべて閉塞して前記閉塞状態とする前記閉塞部とが周方向に交互に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載のエンジン。
【請求項3】
前記ピストンの動きに同期して、前記開閉用可動壁部を開口方向に回動可動するとともに前記固定壁部から離反する方向に離反移動することで、この固定壁部に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態から、この固定壁部から離反して圧接が解除された前記圧接解除状態の前記開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部を閉塞方向に回動可動するとともに前記固定壁部に接近する方向に接近移動することで、前記圧接解除状態の前記開口状態から前記固定壁部に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態に戻る構成とされていることを特徴とする請求項2記載のエンジン。
【請求項4】
前記開口閉塞切替え機構は、前記開閉用可動壁部を正・逆回動することでこの開閉用可動壁部が前記固定壁部に接近・離反移動してこの固定壁部への圧接・解除が切り替わるテーパ面からなる回動連動圧接解除切替え機構が備えられている構成であることを特徴とする請求項3記載のエンジン。
【請求項5】
前記開口閉塞切替え機構は、前記シリンダー連通開口部を覆う前記固定壁部が、外側壁部とこの内側に間隔に設けられている内側壁部とからなり、この外側壁部と内側壁部との双方に連通状態に多数の前記開口部が設けられていて、
この固定壁部の外側壁部と内側壁部と間に、前記開閉部としての前記開閉用可動壁部が水平方向に回動自在にして上下方向に接近離反移動自在に設けられていて、前記外側壁部および前記内側壁部に、周方向に間隔をおいて多数のスリット状の前記開口部が外側内側連通状態に設けられていて、
前記開閉用可動壁部には、前記外側内側連通状態の多数の前記開口部とその間で連通状態に設けられている多数の前記連通開口部と、この開閉用可動壁部を水平回動することで多数の前記開口部を一斉にすべて閉塞する前記閉塞部とが周方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項2記載のエンジン。
【請求項6】
前記テーパ面からなる回動連動圧接解除切替え機構は、前記固定壁部の前記外側壁部または前記内側壁部と前記開閉用可動壁部との摺動面に前記テーパ面が設けられていて、この前記開閉用可動壁部を正逆回動可動することでこのテーパ面によりこの開閉用可動壁部が固定壁部に対して接近離反移動する構成とされていることを特徴とする請求項5記載のエンジン。
【請求項7】
前記シリンダー内から燃焼後空気を排気する排気部が設けられていて、この排気部にも前記開口閉塞切替え機構が備えられていて、前記給気部の前記開口閉塞切替え機構と前記排気部の前記開口閉塞切替え機構とを開閉制御して前記シリンダー内の給排気を制御する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気機構および排気機構を介してピストン機構のシリンダー内に導入した空気と燃料とを圧縮燃焼または衝突燃焼させこの燃焼爆発を動力として取得するエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なエンジンが開発されてきているが、瞬時に給気機構を大きく開いて(給気部の開口部を大きく開口し)ピストン機構のシリンダー内に瞬時に多量の空気を導入し、また瞬時に開口部を閉塞して給気を遮断し、燃料ともに圧縮して圧縮燃焼または衝突燃焼させ、出力を高めることができるとともに、たとえば給気部から導入する空気の量を高めるため開口面積を大きくしてもまた圧送する圧力を高めてもその導入と遮断とをスムーズにして瞬時に行うことができる効率性の高い構造のエンジンは未だ開発されていない。
【0003】
またこのように給排気が瞬時にスムーズに行うことが実現できれば、4ストロークエンジン(4サイクルエンジン)に比して小型化が可能であってパワーがあり加速性がよい2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)としても、たとえ給気時の開口期間が短くても瞬時に開口状態として多量の空気を導入でき、且つ瞬時に圧接状態の閉塞状態に切り替えることができれば、十分な給気、排気や掃気がおこなえ、効率のよいエンジンとなり、また耐久性に優れ、燃費も向上することとなり、またこのような2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)を並設することで、さらに優れた動力機構を実現できることになるが、未だ開発されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような現状に鑑み、前記課題を解決し実現したもので、たとえ給気のタイミングが短い(開口期間が短い)制約がある構成であっても、瞬時に給気機構を大きく開いて(給気部の開口部を大きく開口し)ピストン機構のシリンダー内に瞬時に多量の空気を導入し、また瞬時に開口部を閉塞して給気を遮断し、燃料ともに圧縮して圧縮燃焼または衝突燃焼させ、出力を高めることができるとともに、たとえば給気部から導入する空気の量を高めるため開口面積を大きくしてもまた圧送する圧力を高めても、その導入と遮断とを瞬時にしてスムーズに行うことができる効率性の高い構造のエンジンであって、たとえば2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)の利点を維持しつつ欠点を解消できる画期的な2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)を実現することもできる実用性に優れた画期的なエンジンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
ピストン機構のシリンダー1内に導入される空気と燃料とをピストン2により圧縮し燃焼させて爆発させまたは衝突燃焼させて爆発させ、その力を動力とし伝達させるエンジンであって、空気を前記シリンダー1内に導入する給気部3に、多数の開口部4と、この開口部4を導入時には一斉に開口した開口状態とし圧縮時および爆発時にはすべて閉塞した閉塞状態とする開閉自在な開閉部5とからなる開口閉塞切替え機構6が設けられていて、この開口閉塞切替え機構6は、多数の前記開口部4が設けられている固定壁部7と、この固定壁部7に沿って可動自在に設けられていて、可動することで多数の前記開口部4と連通状態となる多数の連通開口部8および可動することで多数の前記開口部4を閉塞する閉塞部9が設けられている前記開閉部5としての開閉用可動壁部5とからなり、この開閉用可動壁部5が可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と位置ずれて前記閉塞部9により多数の前記開口部4が一斉にすべて閉塞された閉塞状態となり、且つこの開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、前記開閉用可動壁部5が前記固定壁部7に圧接する圧接状態となり、この圧接状態の閉塞状態から開口状態に切り替える際には、前記開閉用可動壁部5を可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と連通状態となり開口された開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7から離反する方向に離反移動することで、この開閉用可動壁部5と前記固定壁部7との前記圧接状態が解除された圧接解除状態となる構成とされていることを特徴とするエンジンに係るものである。
【0007】
また前記開口閉塞切替え機構6は、前記給気部3のシリンダー連通開口部10を覆う前記固定壁部7に、この固定壁部7に沿って前記開閉部5としての前記開閉用可動壁部5が回動自在にして前記固定壁部7へ接近離反移動自在に設けられている構成であり、前記固定壁部7にスリット状の前記開口部4が周方向に多数設けられていて、前記開閉用可動壁部5には、この開閉用可動壁部5を前記固定壁部7に沿って回動可動することでこの固定壁部7の多数の前記開口部4と連通状態となり前記開口状態となる多数の前記連通開口部8と、回動可動することでこの多数の連通開口部8と多数の前記開口部4とが位置ずれるとともにこの開口部4を一斉にすべて閉塞して前記閉塞状態とする前記閉塞部9とが周方向に交互に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載のエンジンに係るものである。
【0008】
また前記ピストン2の動きに同期して、前記開閉用可動壁部5を開口方向に回動可動するとともに前記固定壁部7から離反する方向に離反移動することで、この固定壁部7に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態から、この固定壁部7から離反して圧接が解除された前記圧接解除状態の前記開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部5を閉塞方向に回動可動するとともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、前記圧接解除状態の前記開口状態から前記固定壁部7に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態に戻る構成とされていることを特徴とする請求項2記載のエンジンに係るものである。
【0009】
また前記開口閉塞切替え機構6は、前記開閉用可動壁部5を正・逆回動することでこの開閉用可動壁部5が前記固定壁部7に接近・離反移動してこの固定壁部7への圧接・解除が切り替わるテーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12が備えられている構成であることを特徴とする請求項3記載のエンジンに係るものである。
【0010】
また前記開口閉塞切替え機構6は、前記シリンダー連通開口部10を覆う前記固定壁部7が、外側壁部とこの内側に間隔に設けられている内側壁部とからなり、この外側壁部と内側壁部との双方に連通状態に多数の前記開口部4が設けられていて、この固定壁部7の外側壁部と内側壁部と間に、前記開閉部5としての前記開閉用可動壁部5が水平方向に回動自在にして上下方向に接近離反移動自在に設けられていて、前記外側壁部および前記内側壁部に、周方向に間隔をおいて多数のスリット状の前記開口部4が外側内側連通状態に設けられていて、前記開閉用可動壁部5には、前記外側内側連通状態の多数の前記開口部4とその間で連通状態に設けられている多数の前記連通開口部8と、この開閉用可動壁部5を水平回動することで多数の前記開口部4を一斉にすべて閉塞する前記閉塞部11とが周方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項2記載のエンジンに係るものである。
【0011】
また前記テーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12は、前記固定壁部7の前記外側壁部または前記内側壁部と前記開閉用可動壁部5との摺動面に前記テーパ面11が設けられていて、この前記開閉用可動壁部5を正逆回動可動することでこのテーパ面11によりこの開閉用可動壁部5が固定壁部7に対して接近離反移動する構成とされていることを特徴とする請求項5記載のエンジンに係るものである。
【0012】
また前記シリンダー1内から燃焼後空気を排気する排気部13が設けられていて、この排気部13にも前記開口閉塞切替え機構6が備えられていて、前記給気部3の前記開口閉塞切替え機構6と前記排気部13の前記開口閉塞切替え機構6とを開閉制御して前記シリンダー1内の給排気を制御する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のエンジンに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、たとえ給気のタイミングが短い(開口期間が短い)制約がある構成であっても、瞬時に給気機構を大きく開いて(給気部の開口部を大きく開口し)ピストン機構のシリンダー内に瞬時に多量の空気を導入し、また瞬時に開口部を閉塞して給気を遮断し、燃料ともに圧縮して圧縮燃焼または衝突燃焼させ、出力を高めることができるとともに、たとえば給気部から導入する空気の量を高めるため開口面積を大きくしてもまた圧送する圧力を高めても、その導入と遮断とを瞬時にしてスムーズに行うことができる効率性の高い構造のエンジンであって、たとえば2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)の利点を維持しつつ欠点を解消できる画期的な2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)を実現することもできる実用性に優れた画期的なエンジンとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の概略構成説明図である。
図2】本実施例の燃焼爆発時の要部の給気部(左側)および排気部(右側)の双方が閉塞状態の概略構成説明平面図である。
図3】本実施例の燃焼爆発後の要部の排気部(右側)が閉塞状態から全開開口状態となる途中の概略構成説明平面図である。
図4】本実施例の燃焼爆発後の要部の排気部(右側)が全開開口状態となったときの概略構成説明平面図である。
図5】本実施例の燃焼爆発後の要部の排気部(右側)が全開開口状態から閉塞状態となる途中で、給気部(左側)は閉塞状態から全開開口状態となる途中の概略構成説明平面図である。
図6】本実施例の要部の排気部(右側)が閉塞状態となり、給気部(左側)は全開開口状態となったときの概略構成説明平面図である。
図7】本実施例の給気部(左側)は圧接状態の閉塞状態で、排気部(右側)は全開開口状態での要部の概略構成説明正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0016】
本発明は、ピストン機構のシリンダー1内に、たとえば導入される空気と噴射される燃料とがピストン機構のピストン2により圧縮燃焼して爆発し、または衝突燃焼して爆発し、その力が動力とし伝達(取得)されるエンジンであって、前記シリンダー1内に空気を導入する給気部3に、その給気口としての多数の開口部4と、この多数の開口部4を導入時に一斉に開口した開口状態とし、爆発時にはすべて閉塞した閉塞状態とする給気弁としての開閉自在な開閉部5とからなる開口閉塞切替え機構6(開閉式給気機構)を設けた構成としている。
【0017】
また本発明のこの開口閉塞切替え機構6は、多数の前記開口部4を設けた固定壁部7と、この固定壁部7に沿って可動自在に設けた前記開閉部5としての開閉用可動壁部5とからなる構成であって、この開閉用可動壁部5には、可動することで多数の前記開口部4と連通状態となる多数の連通開口部8および可動することで多数の前記開口部4を閉塞する閉塞部9とを設けた構成としている。
【0018】
また本発明は、この開閉用可動壁部5が可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と位置ずれて前記閉塞部9により多数の前記開口部4が一斉に閉塞した閉塞状態となり、また本発明はさらにこの開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、前記開閉用可動壁部5が前記固定壁部7に圧接する圧接状態となる構成としている。
【0019】
また本発明は、この圧接状態の閉塞状態から開口状態に切り替える際には、前記開閉用可動壁部5を可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と連通状態となり開口した開口状態となり、且つこの開閉用可動壁部5がこの可動とともに前記固定壁部7から離反する方向に離反移動することで、この開閉用可動壁部5と前記固定壁部7との前記圧接状態が解除された圧接解除状態となる構成としている。
【0020】
したがって、たとえば、前記ピストン2の動きに同期して、空気を導入するときは、前記開閉用可動壁部5を一方向に可動させるとともにこの可動により離反移動させることで、瞬時に圧接状態の閉塞状態からスムーズに全開開口状態にして多量の空気導入が行えるとともに、燃料とともに圧縮燃焼または衝突燃焼して燃焼爆発する時には、前記可動させるとともに接近移動させることで瞬時に圧接状態の閉塞状態に戻すことができ、高い燃焼圧に耐え燃焼気の給気側への逆流を瞬時にして確実に防ぐことができることとなる。
【0021】
具体的にはたとえば、前記ピストン2の動きに同期して、このピストン2の上死点付近で空気を前記シリンダー1内に導入し給気するために、前記固定壁部7に圧接していて空気を遮断している前記圧接状態での閉塞状態から、前記開閉用可動壁部5を一方向に可動するとともにこの固定壁部7から離反移動することで、容易にしてスムーズに且つ瞬時に前記開口状態となって多量の空気が瞬時に導入給気され、またたとえば燃料の噴射や着火により爆発するが、この燃焼爆発圧に十分耐え得ることができることとなる。
【0022】
すなわち、この爆発時には前記開閉用可動壁部5を再び可動して前記固定壁部7に接近移動させることでこの固定壁部7に圧接した前記圧接状態の閉塞状態となり、この爆発時の爆発圧を受ける前記開閉用可動壁部5をこの固定壁部7で受けることができ、漏れもなく耐久性に優れることとなる。
【0023】
またこの圧接状態の閉塞状態から、可動して再び開口状態とする際には離反移動して圧接が解除され開口状態となるため、瞬時にしてスムーズに開口できる構成であることから、たとえば駆動力の小さなアクチェーターでも開閉可動させて十分に爆発圧に耐え得る閉塞状態でありながら瞬時にしてスムーズに開口状態に切り替えることができ、また高出力に設計でき排気ガスも綺麗である。
【0024】
このように本発明は、たとえばピストン機構のピストン2に同期させて可動(たとえば往復回動)することで、固定壁部7の開口部4に対して開閉用可動壁部5の連通開口部8を位置ずれさせて、一斉閉塞状態、一斉開口状態、一斉閉塞状態と切り替えることができ、逆方向のこの動作で再び一斉開口状態、一斉閉塞状態と切り替えることができる。
【0025】
さらにこの可動に加えて、接近離反方向に移動させるため、開閉用可動壁部5は閉塞時には固定壁部7に圧接し、開口時には離れてこの圧接が解除されるため、一斉圧接閉塞状態、一斉圧接解除開口状態、一斉圧接閉塞状態と小さな力で瞬時に切り替えることができ、給気の導入と遮断並びに燃焼爆発圧に耐える圧接閉塞状態による遮断と開口導入とをスムーズにして確実に切り替えることが実現できることとなる。
【0026】
言い換えると、本発明は、このようにたとえ2サイクルエンジンのように給気のタイミングが短い開口期間に制約される構成であっても、たとえばスリット状の開口部4を多数設けた構成とすることで簡易な可動操作で且つ短い可動ストロークで瞬時に開口面積の大きい開口状態に切り替えることができるから、瞬時に多量の空気を導入給気でき、またたとえばさらに圧送給気機構を設ければさらに短期間で多量の空気を導入できることとなる。
【0027】
また本発明は、閉塞時には圧接状態の閉塞状態となり十分に燃焼爆発圧に耐え得る構成でありながら、開口時には離反移動によって圧接状態が解除され摩擦抵抗が軽減されて可動が容易となるため、瞬時にしてスムーズに開口状態に切り替えることができる。また、排気部13にも同様の開口閉塞切替え機構6を設ければ、排気も短い期間内に瞬時におこなえ、排気途中で給気の開口部4も開口すれば、さらにシリンダー内1がこの空気の導入給気によって掃気もされ、一層給排気が瞬時にしてスムーズにおこななわれ、効率のよいエンジンを実現できることとなる。
【0028】
このように本発明によれば、開口部4の総開口面積を容易に大きくとれる構成であって、速やかに多量の給気、速やかに排気、掃気がおこなえる構成を容易に実現でき、2サイクルエンジンの性能を容易に高めることができ、また給気部3に過給機構(たとえば圧送給気機構)を設けることも容易で、また排気期間を長く設定することで、ミラーアトキンソンサイクルも実現可能となる。
【実施例0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例では、ピストン機構のシリンダー1内に、たとえば圧送給気機構により圧送導入される空気と、噴射される燃料とをこのピストン2により圧縮燃焼させ、点火装置がなくても燃焼できこの燃焼爆発時の力を動力とし伝達させるエンジン(内燃機関)であって、2サイクルエンジンに本発明を適用したものである。
【0031】
すなわち、エンジンには様々な構成を採用可能であるが、本実施例では、シリンダー1内に上下動するピストン2を設け、このピストン2の上下往復動により給気部3から空気を導入する構成とするが、本実施例では、圧送給気機構により空気を圧送導入給気し、この圧送空気と燃料噴射部からシリンダー1内に噴射される燃料と衝突燃焼させるとともにこのピストン2で圧縮燃焼してその燃焼爆発の力をピストン2を介して動力として取得し、燃焼後は排気部13から排気ガスを排気する2サイクルのガソリンエンジンに本発明を適用している。
【0032】
具体的には本実施例では、この給気部3に、スリット状の多数の開口部4と、この開口部4を導入時には一斉に開口した開口状態とし圧縮時および爆発時にはすべて閉塞した閉塞状態とする開閉自在な開閉部5とからなる開口閉塞切替え機構6を設けた構成としている。
【0033】
本実施例のこの開口閉塞切替え機構6は、多数の前記開口部4を設けた固定壁部7と、この固定壁部7に沿って可動自在に設けた前記開閉部5としての開閉用可動壁部5とからなる構成であって、この開閉用可動壁部5には、可動することで多数の前記開口部4と連通状態となる多数の連通開口部8および可動することで多数の前記開口部4を閉塞する閉塞部9を設けた構成としている。
【0034】
また本実施例では、この開閉用可動壁部5を可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と位置ずれて前記閉塞部9により多数の前記開口部4が一斉にすべて閉塞した閉塞状態となり、且つこの開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、前記開閉用可動壁部5が前記固定壁部7に圧接した圧接状態となり、またこの圧接状態の閉塞状態から開口状態に切り替える際には、前記開閉用可動壁部5を可動することで多数の前記連通開口部8が多数の前記開口部4と連通状態となりすべて開口した開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部5が前記可動とともに前記固定壁部7から離反する方向に離反移動することで、この開閉用可動壁部5と前記固定壁部7との前記圧接状態が解除した圧接解除状態となる構成としている。
【0035】
さらに説明すると本実施例の開口閉塞切替え機構6は、前記給気部3のシリンダー連通開口部10を覆う前記固定壁部7に、この固定壁部7に沿って前記開閉部5としての前記開閉用可動壁部5を回動自在にして前記固定壁部7へ接近離反移動自在に設けた構成とし、前記固定壁部7にスリット状の前記開口部4を周方向に多数設け、前記開閉用可動壁部5には、この開閉用可動壁部5を前記固定壁部7に沿って回動可動することでこの固定壁部7の多数の前記開口部4と連通状態となり前記開口状態となる多数の前記連通開口部8と、回動可動することでこの多数の連通開口部8と多数の前記開口部4とが位置ずれるとともにこの開口部4を一斉にすべて閉塞して前記閉塞状態となる前記閉塞部9とを周方向に交互に設けた構成としている。
【0036】
そしてさらに本実施例では、前記ピストン2の動きに同期して、前記開閉用可動壁部5を開口方向に回動可動するとともに前記固定壁部7から離反する方向に離反移動することで、この固定壁部7に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態から、この固定壁部7から離反して圧接が解除された前記圧接解除状態の前記開口状態となり、且つ前記開閉用可動壁部5を閉塞方向に回動可動するとともに前記固定壁部7に接近する方向に接近移動することで、前記圧接解除状態の前記開口状態から前記固定壁部7に圧接した前記圧接状態の前記閉塞状態に戻る構成としている。
【0037】
さらに説明すると、本実施例の前記開口閉塞切替え機構6は、前記開閉用可動壁部5を正・逆水平回動することで、この開閉用可動壁部5が前記固定壁部7に接近・離反移動してこの固定壁部7への圧接・解除が切り替わるテーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12を備えた構成としている。
【0038】
またさらに本実施例の前記開口閉塞切替え機構6は、給気部3のシリンダー連通開口部10を覆う円盤状の前記固定壁部7が、円盤状の外側壁部とこの内側に間隔に設けられている円盤状の内側壁部とからなる構成であって、この外側壁部と内側壁部との双方に連通状態に多数のスリット状の前記開口部4を放射状に間隔を置いて設けた構成とし、この固定壁部7の外側壁部と内側壁部と間に、中心軸を軸にして前記開閉部5としての円盤状の前記開閉用可動壁部5を水平方向に回動自在にして上下方向にわずかに接近離反移動自在に設けた構成とし、前記外側壁部および前記内側壁部に、放射方向に長いスリット状で周方向に間隔をおいて多数の前記開口部4を外側内側連通状態(上下対向状態)に設けた構成としている。
【0039】
すなわち、円盤状の前記開閉用可動壁部5には、前記外側内側連通状態の多数の前記開口部4とその間でこの上下の開口部4と連通する位置に設けた多数の前記連通開口部8と、この開閉用可動壁部5を水平回動することで多数の前記開口部4を一斉にすべて閉塞する前記閉塞部9とを周方向に交互に設けた構成としている。
【0040】
また本実施例では、開閉用可動壁部5を水平回動可動することで自動的に上下方向の接近離反移動させることになるテーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12を設けている。
【0041】
具体的には、前記固定壁部7の下部の内側壁部と前記開閉用可動壁部5の下部との摺動面に、開閉用可動壁部5が水平回動することで、この開閉用可動壁部5が登り上がることによりわずかに上昇して上部の固定壁部7の外側壁部に圧接することになる前記テーパ面11を設けて、この前記開閉用可動壁部5を正逆回動可動することでこのテーパ面11によりこの開閉用可動壁部5が固定壁部7の上部の外側壁部に対して接近離反移動する構成としている。
【0042】
また本実施例では、前記シリンダー1内から燃焼後空気を排気する排気部13にも、前記開口閉塞切替え機構6を備えていて、前記給気部3の前記開口閉塞切替え機構6と前記排気部13の前記開口閉塞切替え機構6とを別々に開閉制御して前記シリンダー1内の給排気を制御する構成としている。
【0043】
具体的には、前述したように、この円盤状の固定壁部7の上側の外側壁部と下側壁部の双方に、放射方向に長さを有し、周方向に間隔をおいて多数のスリット状の開口部4を双方連通状態(連通する対向位置に)設けて、この間で水平回動する開閉用可動部5の連通開口部8が連通した開口状態では、シリンダー内連通開口部10と連通して給気部3が開口状態となるように構成し、この固定壁部7の上部の外側壁部と下部の内側壁部との間で、回動自在にして上下動自在に設けた開閉用可動壁部5には、上下連通状態の多数の開口部4と連通状態となり前記開口状態となる同じくスリット状の多数の前記連通開口部8を設けて、水平回動可動することでこの多数の連通開口部8が位置ずれてこの連通開口部8間の閉塞部9により多数の開口部4が一斉に閉塞し前記閉塞状態となるように構成している。なお、各所に耐熱グリースやラビリンスパッキンなどを設けて封止している。
【0044】
また本実施例は、前述したように、前記ピストン2の動きに同期して、前記開閉用可動壁部5を一方向に水平回動可動することで、この回動方向に徐々に登り傾斜している前記テーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12により、本実施例では固定壁部7の上部の前記外側壁部に徐々に接近移動し圧接した前記圧接状態の閉塞状態となり、前記開閉用可動壁部5を反対方向に水平回動可動することで、前記固定壁部7の上部の外側壁部から徐々に下がるように離反移動して、前記圧接状態が解除されスムーズにして瞬時に前記圧接閉塞状態から、全開開口状態となり、そして前記下部の内側壁部に接近移動して圧接することで、開口状態での空気圧にも耐え得る構成としている。
【0045】
具体的には、ピストン2の動きに同期して、このピストン2の上死点付近でたとえば前記圧送空気を前記シリンダー1内に導入給気するために、前記固定壁部7の内側壁部に圧接していてこの圧送空気圧を受ける前記可動壁部5をこの内側壁部で受けている前記圧接状態の開口状態から、前記開閉用可動壁部5を一方向に回動することで、前記テーパ面11からなる回動連動圧接解除切替え機構12により、この内側壁部から離反移動するとともに外側壁部に接近移動してこの外側壁部に圧接した圧接状態での前記閉塞状態となって前記圧送空気が強制給気され給気での圧送空気圧を受ける開口状態のときも、また燃料の噴射により爆発してこの爆発圧を受ける閉塞状態のときでも、この圧力に耐え得る圧接状態となる構成としていて、且つ開閉可動する際にはこの開閉可動により自動的に離反移動して圧接状態が解除されてスムーズにして瞬時に大きく一斉開口しまた瞬時に一斉に圧接状態の閉塞状態に戻るように構成している。
【0046】
すなわち、たとえば前記圧送空気を前記シリンダー1内に導入する時(圧送給気時)には、前記圧接閉塞状態から前記開閉用可動壁部5を一方向に回動することで自動的に前記固定壁部7から離反移動することで前記開口状態となるから、開口可動時には圧接状態から解かれることで、摩擦が解消されこの開口のための回動可動が瞬時にしてスムーズに且つ容易に行える構成としている。
【0047】
そして本実施例では、この開口状態でも反対側の固定壁部7の内側壁部に圧接する圧接状態となる構成としているため、給気時でも給気時空気圧に耐え得る構成となる。
【0048】
そしてさらに逆方向に回動可動させることで、瞬時に再び閉塞できるとともに圧接状態の閉塞状態にできるため燃焼時の爆発圧にも耐える構成としている。
【0049】
そのため圧接閉塞できる構成でありながら、たとえば駆動力の小さなアクチェーターでも開閉可動させて開口状態に切り替えることができ、また高出力に設計でき排気ガスも綺麗である。
【0050】
また本実施例では、前記開口閉塞切替え機構6の前記開閉用可動壁部5を前記固定壁部7の外側壁部と内側壁部との間で水平回動させる開閉用駆動部(回動アクチェーター)と、前記開閉用可動壁部を前記外側壁部および前記内側壁部に接近離反可動させる圧接離反用駆動部(上下動アクチェーター)とを備えてもよいが、開閉用可動壁部5に設けた回動レバーをカム機構などにより往復動させる前記開閉用駆動部(回動アクチェーター)のみとし、またこの回動により回動連動圧接解除切り替え機構12のテーパ面11のテーパ面作用による上昇下降によって自動的に上下方向の接近離反方向に移動させて、圧接・解除が切り替わるように構成している。
【0051】
また前述のとおり、本実施例ではこの空気圧送部により圧送される空気をシリンダー1内に圧送する給気経路に等圧圧縮する貯圧タンクを設け、熱が逃げ損失はあるが小さい力で多くの圧縮気を得ることができるようにしている。またこの経路に前記シリンダー1から燃焼後排気される排気ガスと熱交換して前記圧送空気を加熱する排気ガス熱交換部を設けている。これによりたとえば空気圧送部として設けた圧縮機によって圧縮される空気が、通常のコンプレッサーのように等温圧縮に近い状態で圧縮され、断熱圧縮に比べて同じ仕事量で多くの圧縮気を得ることができ、排ガスとの熱交換により熱を与えることで等圧膨張して一種の外燃機関として働き総合熱効率を高めることができるように構成している。
【0052】
またたとえば、前記連通させて開口給気口とし空気をシリンダー1内に導入する多数の開口部4および多数の連通開口部8の断面は給気方向には空気流入抵抗が少なく逆に燃焼爆発時の逆流を受ける逆方向の空気流入抵抗が大きくなる開口断面形状に形成してもよい。すなわちたとえば、開口部が給気側となる上部側は大きく、内部に行くほどゆるやかに開口径が小さくなり下部側の開口部は小さくなる流線形に形成してもよい。
【0053】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
1 シリンダー
2 ピストン
3 給気部
4 開口部
5 開閉部、開閉用可動壁部
6 開口閉塞切替え機構
7 固定壁部
8 連通開口部
9 閉塞部
10 シリンダー連通開口部
11 テーパ面
12 回動連動圧接解除切り替え機構
13 排気部
図1
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図7