(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094518
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子部品、圧力値の検出方法、および電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
G01L9/00 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211112
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 宏介
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA01
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD04
2F055EE13
2F055FF07
2F055GG16
(57)【要約】
【課題】第1帯域の圧力値を検出するとともに、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【解決手段】圧力センサ100は、キャビティ42aと、キャビティ内の圧力とキャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレン48と、ASIC30とを備える。メンブレン48は、キャビティ42aと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。ASIC30は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、ASIC30は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティと、
前記キャビティ内の圧力と前記キャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンと、
演算回路とを備え、
前記メンブレンは、前記キャビティと対向する対向部分を含み、
前記対向部分の周縁部と前記対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部であり、
前記演算回路は、
前記肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出し、
前記肉厚部における第2出力値に基づいて、前記第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する、電子部品。
【請求項2】
前記肉薄部は、前記中央部であり、
前記肉厚部は、前記周縁部である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記演算回路は、
所定条件が成立している場合、前記第1出力値に基づいて前記第1帯域の圧力値を検出し、
前記所定条件が成立していない場合、前記第2出力値に基づいて前記第2帯域の圧力値を検出する、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記所定条件は、前記第1出力値が所定値未満であるという条件を含む、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記電子部品は、
前記肉薄部に配置された少なくとも1つの歪みゲージと、
前記肉厚部に配置された少なくとも1つの歪みゲージとを備え、
前記第1出力値は、前記肉薄部に配置された少なくとも1つの歪みゲージに基づく第1電圧値であり、
前記第2出力値は、前記肉厚部に配置された少なくとも1つの歪みゲージに基づく第2電圧値である、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記肉薄部に配置された少なくとも1つの歪ゲージは、第1歪ゲージ、第2歪ゲージ、第3歪ゲージ、および第4歪ゲージを含み、
前記第1歪ゲージおよび前記第3歪ゲージが直列に接続された直列回路と、前記第2歪ゲージおよび前記第4歪ゲージが直列に接続された直列回路とが並列に接続されることにより第1ブリッジ回路が構成され、
前記肉厚部に配置された少なくとも1つの歪ゲージは、第5歪ゲージ、第6歪ゲージ、第7歪ゲージ、および第8歪ゲージを含み、
前記第5歪ゲージおよび前記第7歪ゲージが直列に接続された直列回路と、前記第6歪ゲージおよび前記第8歪ゲージが直列に接続された直列回路とが並列に接続されることにより第2ブリッジ回路が構成され、
前記第1電圧値は、前記第1歪ゲージと前記第3歪ゲージとの間と、前記第2歪ゲージと前記第4歪ゲージとの間との電位差であり、
前記第2電圧値は、前記第5歪ゲージと前記第7歪ゲージとの間と、前記第6歪ゲージと前記第8歪ゲージとの間との電位差である、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記電子部品は、さらに、
前記第1ブリッジ回路および前記第2ブリッジ回路に電圧を印可する電圧端子を備える、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記電子部品は、さらに、
前記第1ブリッジ回路および前記第2ブリッジ回路が接地されるためのグランド端子を備える、請求項6に記載の電子部品。
【請求項9】
前記肉厚部の厚さの前記肉薄部の厚さに対する比率は、1.7以上3.0以下である、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項10】
前記比率は、2.4である、請求項9に記載の電子部品。
【請求項11】
前記第1帯域の圧力値は、大気圧を含む、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項12】
前記第1帯域において検出される圧力値の感度は、前記第2帯域において検出される圧力値の感度よりも高い、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項13】
電子部品による圧力値の検出方法であって、
前記電子部品は、
キャビティと、
前記キャビティ内の圧力と前記キャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンとを備え、
前記メンブレンは、前記キャビティと対向する対向部分を含み、
前記対向部分の周縁部と前記対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部であり、
前記検出方法は、
前記肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出することと、
前記肉厚部における第2出力値に基づいて、前記第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することとを備える、検出方法。
【請求項14】
基板を準備することと、
前記基板の厚さ方向に延伸する複数の溝を前記基板に形成することと、
前記複数の溝の前記基板の内部側の端部に空間を形成することと、
前記複数の溝の前記基板の外部側の端部を塞ぐことにより、キャビティおよびメンブレンを形成すること、
演算回路を設置することとを備え、
前記メンブレンは、
キャビティ内の圧力と、前記キャビティ外の圧力との差によって変形し、
前記メンブレンは、前記キャビティと対向する対向部分を含み、
前記対向部分の周縁部と前記対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部であり、
前記演算回路は、
前記肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出し、
前記肉厚部における第2出力値に基づいて、前記第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する、電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記複数の溝を形成することは、エッチングにより該複数の溝を形成することを含み、
前記空間を形成することは、エッチングにより前記空間を形成することを含み、
前記基板の前記肉薄部に対応する箇所の溝の径は、前記基板の前記肉厚部に対応する箇所の溝の径よりも大きい、請求項14に記載の電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記複数の溝を形成することは、エッチングにより該複数の溝を形成することを含み、
前記空間を形成することは、エッチングにより前記空間を形成することを含み、
前記基板の前記肉薄部に対応する箇所の2つの溝の間隔は、前記基板の前記肉厚部に対応する箇所の2つの溝の間隔よりも狭い、請求項14に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品、圧力値の検出方法、および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2022-71552号公報(特許文献1)には、メンブレンを有する圧力センサが開示されている。この圧力センサは、メンブレンの撓みに応じて、外気圧を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の圧力センサにおいては、所定の帯域の圧力値を検出する。しかしながら、たとえば、ユーザは、第1帯域の圧力値を検出するとともに、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出したい場合がある。第1帯域とは、たとえば、平地での圧力値(気圧値)の帯域である。また、第2帯域とは、たとえば、海中での圧力値(水圧値)の帯域である。従来の電子部品であれば、第1帯域の圧力値と第2帯域の圧力値とを検出できなかった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、第1帯域の圧力値を検出するとともに、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子部品は、キャビティと、キャビティ内の圧力とキャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンと、演算回路とを備える。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。演算回路は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、演算回路は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【0007】
本開示の検出方法は、電子部品による圧力値の検出方法である。電子部品は、キャビティと、キャビティ内の圧力とキャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンとを備える。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。検出方法は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出することを備える。また、検出方法は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することを備える。
【0008】
本開示の製造方法は、基板を準備することと、基板の厚さ方向に延伸する複数の溝を基板に形成することと、複数の溝の基板の内部側の端部に空間を形成することと、複数の溝の基板の外部側の端部を塞ぐことにより、キャビティおよびメンブレンを形成すること、演算回路を設置することとを備える。メンブレンは、キャビティ内の圧力と、キャビティ外の圧力との差によって変形する。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。演算回路は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、演算回路は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第1帯域の圧力値を検出するとともに、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図3は、第1実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。
【
図4】
図4は、第2実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。
【
図5】
図5は、第3実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。
【
図6】
図6は、第4実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。
【
図7】
図7は、メンブレンの厚さとMEMSの感度との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態のMEMSの拡大図である。
【
図10】
図10は、MEMSなどが有するパッドを説明するための図である。
【
図11】
図11は、MEMSなどが有するパッドを説明するための図である。
【
図12】
図12は、MEMSからの電圧値と圧力センサが検出する圧力値との関係を示す図である。
【
図13】
図13は、圧力値の検出方法を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、レジスト配置工程を説明するための図である。
【
図19】
図19は、キャビティ形成工程を説明するための図である。
【
図20】
図20は、保護膜形成工程を説明するための図である。
【
図21】
図21は、圧力センサの製造方法の主な処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、第2の実施の形態のレジスト配置工程を説明するための図である。
【
図23】
図23は、第2の実施の形態の溝形成工程を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第2の実施の形態の空間形成工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
<第1の実施の形態>
[電子機器700の構成]
図1は、電子機器700の機能ブロック図である。電子機器700は、たとえば、携帯端末である。電子機器700は、圧力センサ100と、処理装置600とを有する。圧力センサ100は、たとえば、圧力センサ100の外部空間における圧力を検知する。圧力センサ100は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)40、およびASIC(application specific integrated circuit)30などを含む。ASIC30は、演算部82、およびA/D変換部84を含む。ASIC30は、本開示の「演算回路」に対応する。圧力センサ100は、本開示の「電子部品」に対応する。
【0013】
後述するように、MEMS40は、圧力により撓んで変形する後述のメンブレンを有する。MEMS40は、メンブレンにおける電圧値を示すアナログ信号をASIC30に出力する。
図1の例では、電圧値を示すアナログ信号は、電圧値V11を示すアナログ信号、電圧値V12を示すアナログ信号、電圧値V21を示すアナログ信号、および電圧値V22を示すアナログ信号である。電圧値V11、電圧値V12、電圧値V21、および電圧値V22については後述する。
【0014】
ASIC30の演算部82は、後述の式(1)および式(2)に示される演算により圧力値Pを算出し、該圧力値Pを示す圧力信号をA/D変換部84に出力する。A/D変換部84は、圧力信号をデジタル信号に変換する。A/D変換部84は、該デジタル信号を処理装置600に出力する。処理装置600は、該デジタル信号に基づいた処理を実行する。この処理は、たとえば、表示装置(図示せず)に、該デジタル信号により示される圧力値を表示する処理である。
【0015】
[電子部品の構成について]
図2は、圧力センサ100の断面図である。本実施の形態において、圧力センサ100が有する後述のメンブレン48の厚み方向は、Z軸方向と称される。換言すれば、Z軸方向は、メンブレン48の法線方向である。また、Z軸方向と垂直な2方向は、X軸方向およびY軸方向とも称される。
【0016】
図2に示されているように、圧力センサ100は、ケース10と、リッド20と、ASIC30と、MEMS40とを有している。圧力センサ100は、ゲル材50をさらに有していてもよい。ケース10およびリッド20は、圧力センサ100のパッケージ外装体を構成している。リッド20は、圧力センサ100のパッケージ外装体の上壁を構成している。
【0017】
ケース10は、例えば、セラミック材料製である。ケース10は、側壁11と、底壁12とを有している。側壁11の下端には、底壁12が連なっている。なお、側壁11および底壁12で画されている空間は、内部空間13と称される。内部空間13は、圧力センサ100のパッケージ外装体の内部空間を構成している。ケース10は、平面視において、例えば矩形状である。側壁11の上端は、例えば金属層11aで構成されている。
【0018】
底壁12の外壁面上には、外部接続パッド12aが配置されている。外部接続パッド12aにより、圧力センサ100はプリント配線板等に電気的に接続される。底壁12の内壁面上には、複数の内部接続パッド12bが配置されている。内部接続パッド12bは、ケース10内に埋設されている導体(図示せず)により、外部接続パッド12aに電気的に接続されている。側壁11の内壁面には、段差部11bが形成されている。段差部11b上には、内部接続パッド11cが配置されている。内部接続パッド11cは、ケース10内に埋設されている導体(図示せず)により、外部接続パッド12aおよび/又は内部接続パッド12bに電気的に接続されている。
【0019】
リッド20は、板状の部材である。リッド20は、例えば金属材料で形成されている。リッド20は、平面視において例えば矩形状である。リッド20の平面視における外周縁部は、側壁11の上端に接合されている。より具体的には、リッド20の平面視における外周縁部は、金属層11aに溶接されている。これにより、リッド20は、圧力センサ100のパッケージ外装体の上壁を構成している。
【0020】
リッド20には、孔21が形成されている。孔21は、リッド20を厚さ方向に沿って貫通している。このことを別の観点から言えば、内部空間13は、孔21により、圧力センサ100のパッケージ外装体の外部空間と連通している。なお、本実施の形態においては孔21の数は、1つであるが、複数であってもよい。
【0021】
ASIC30は、第1面30aと、第2面30bとを有している。第1面30aおよび第2面30bは、ASIC30の厚さ方向における端面である。ASIC30は、第1面30aが底壁12の内壁面と対向するように、底壁12の内壁面上に配置されている。第2面30b上には、ASIC30は、バンプ31により、内部接続パッド12bに電気的に接続されている。バンプ31は、例えば金で形成されている。
【0022】
MEMS40は、接着部材32を介在させてASIC30上に配置されている。これにより、MEMS40は、内部空間13に配置される。ボンディングワイヤ49の一方外側端部161Bがボンディングパッド47aに接合されており、ボンディングワイヤ49の他方外側端部は内部接続パッド11cに接合されている。これにより、MEMS40は、ボンディングワイヤ49、ケース10の内部に埋設されている導体、内部接続パッド12bおよびバンプ31により、ASIC30に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ49は、例えば金で形成されている。
【0023】
MEMS40は、キャビティ42aを有する。キャビティ42aは、基準圧室とも称される。キャビティ42a内の圧力は、基準圧とされる。キャビティ42aは、後述のシリコンの基板160(
図14など参照)内の中空部である。
【0024】
MEMS40は、メンブレン48を有する。本実施形態においては、メンブレン48は、肉薄部48aと、肉厚部48bとを有する。メンブレン48は、キャビティ42a内の圧力(基準圧)とキャビティ外の圧力(内部空間13の圧力)との差によって変形する。本実施の形態においては、メンブレン48の中央部は、肉薄部48aである。また、メンブレン48の周縁部は、肉薄部48aよりも厚い肉厚部48bである。
【0025】
[メンブレンの応力]
また、発明者は、本実施の形態のMEMS40、および他の形状のMEMSについてMEMSの応力を測定するための以下のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、本実施の形態のMEMS40、および他の形状のメンブレンに対して、1気圧の外気圧が印加されたことにより、MEMSでの応力分が示される。
図3~
図6は、シミュレーション結果を示す図である。
図3~
図6においては、MEMSのうち、メンブレンの部分の応力を示し、他の箇所の応力は示されない。
【0026】
図3は、第1実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。第1実験例のMEMSのメンブレンの中央部および周縁部は、共に、7μmである。
図3の例では、中央部および周縁部において、大きな応力が生じていることが示されている。
【0027】
図4は、第2実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。第2実験例のメンブレンは、本実施の形態のメンブレン48に該当する。また、このメンブレン48においては、メンブレン48の中央部である肉薄部48aの厚さは、5μmである。また、メンブレン48の周縁部である肉厚部48bの厚さは、12μmである。
図4の例では、肉厚部48bの応力が小さく、肉薄部48aの応力が大きいことが示されている。換言すると、肉厚部48bにおいては応力の変動幅が狭く、肉薄部48aの応力の変動幅は、肉厚部48bよりも広い。
【0028】
図5は、第3実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。第3実験例のMEMSのメンブレンにおいては、メンブレンの中央部が肉厚部となり、メンブレンの周縁部が肉薄部となる。該肉薄部の厚さは5μmであり、該肉厚部の厚さは、12μmである。
図5の例においても、
図4と同様に、肉厚部の応力が小さく、肉薄部の応力が大きいことが示されている。
【0029】
図6は、第4実験例のメンブレンの応力分布を示す図である。第4実験例のMEMSのメンブレンの中央部および周縁部は、共に、12μmである。第4実験例のメンブレンは、第1実験例のメンブレンよりも厚い。したがって、
図6に示すように、第4実験例のメンブレンの中央部および周縁部において、第1実験例のメンブレンよりも小さな応力が生じていることが示されている。
【0030】
[メンブレンの厚さとMEMSの感度との関係]
図7は、メンブレンの厚さとMEMSの感度との関係を示す図である。
図7の例では、縦軸はMEMSの感度減少率を示し、横軸はメンブレンの厚さを示す。
図7の例では、メンブレンの厚さが7.0μmである場合の感度減少率が0%である例が示されている。
図7に示すように、メンブレンの厚さが薄くなるほど、MEMSの感度は高くなる。これは、
図3~
図6で説明したように、メンブレンが厚くなると、メンブレンでの応力の変動幅が小さくなるからである。
【0031】
後述のように、本実施の形態のメンブレン48においては、肉薄部48aおよび肉厚部48bの各々に4つの歪ゲージが配置される(
図9参照)。そして、圧力センサ100は、肉薄部48aにおける歪ゲージからの電圧値に基づいて圧力値を検出する。これとともに、圧力センサ100は、肉厚部48bにおける歪ゲージからの電圧値に基づいて圧力値を検出する。
【0032】
[MEMS]
図8は、本実施の形態のMEMS40の拡大図である。
図2でも説明したようにMEMS40は、キャビティ42aと、メンブレン48とを備える。
図2および
図8に示されるように、メンブレン48は、キャビティ42aのZ軸上方に形成される。さらに、MEMS40は、保護膜70を備える。保護膜70は、メンブレン48のZ軸上方に配置される。
【0033】
図8に示されるように、メンブレン48は、キャビティ42aとZ軸方向において対向する対向部分60を有する。さらに、対向部分60は、肉厚部48bと、肉薄部48aとを有する。肉薄部48a(中央部)は、肉厚部48b(周縁部)のXY平面における内部の部分である。また、肉薄部48aの厚さL1は、肉厚部48bの厚さL2よりも薄い。メンブレン48は、典型的には、圧力に応じて撓む部分をいう。なお、対向部分60自体が、メンブレン48とされてもよい。
【0034】
また、肉厚部48bの厚さL2の肉薄部48aの厚さL1に対する比率R(=L2/L1)は、1.7以上3.0以下であることが好ましいことが発明者により確認されている。比率Rがこのような範囲にすることにより、後述する第1帯域の圧力値と第2帯域の圧力値とを適切に検出できる。なお、本実施の形態の例では、L1=5μmとし、L2=12μmとされており、これらの値により第1帯域の圧力値と第2帯域の圧力値とを適切に検出できることが発明者により確認されている。つまり、典型的には、比率Rは、2.4(=12μm/5μm)である。なお、本明細書において、比率Rが、2.4であるとは、比率Rが2.4である場合のみならず、第1帯域の圧力値と第2帯域の圧力値とを適切に検出できるという効果を奏する上で2.4とは異なる値(たとえば、2.2以上であり、2.6以下)を含む。
【0035】
さらに、MEMS40は、少なくとも1つの内側歪ゲージと、少なくとも1つの外側歪ゲージとを備える。圧力センサ100は、少なくとも1つの内側歪ゲージにおける電圧値と、少なくとも1つの外側歪ゲージにおける電圧値とに基づいて圧力を検出する。少なくとも1つの内側歪ゲージは、肉薄部48aに配置される。また、少なくとも1つの外側歪ゲージは、肉厚部48bに配置される。
【0036】
図9は、MEMS40をZ軸方向から平面視し、かつ保護膜70が透過された図である。
図9においても、
図8などで説明した肉薄部48aおよび肉厚部48bが示されている。
図9においては、歪ゲージが示される。
【0037】
図9の例では、肉薄部48aに配置される少なくとも1つの内側歪ゲージは、第1内側歪ゲージ111、第2内側歪ゲージ112、第3内側歪ゲージ113、および第4内側歪ゲージ114である。肉厚部48bに配置される少なくとも1つの外側歪ゲージは、第1外側歪ゲージ121、第2外側歪ゲージ122、第3外側歪ゲージ123、および第4外側歪ゲージ124である。このように、外側歪ゲージの数および内側歪ゲージの数は共に4つであるが、他の数としてもよい。なお、
図8においても、これら8つの歪ゲージが示されている。
【0038】
なお、第1内側歪ゲージ111、第2内側歪ゲージ112、第3内側歪ゲージ113、第4内側歪ゲージ114、第1外側歪ゲージ121、第2外側歪ゲージ122、第3外側歪ゲージ123、および第4外側歪ゲージ124は、それぞれ、本開示の「第1歪ゲージ」、「第2歪ゲージ」、「第3歪ゲージ」、「第4歪ゲージ」、「第5歪ゲージ」、「第6歪ゲージ」、「第7歪ゲージ」、および「第8歪ゲージ」に対応する。
【0039】
次に、外側歪ゲージおよび内側歪ゲージの役割を説明する。
図3~
図6のシミュレーション結果でも示されたように、肉厚部48bの応力の変動幅は狭く、肉薄部48aの応力の変動幅は広い。応力の変動幅が広い箇所(つまり、肉薄部48a)に歪ゲージが配置されると、この歪ゲージの歪量の幅は大きくなる。したがって、圧力センサ100は、この歪ゲージにより広範囲の圧力を検出できることから、該圧力センサ100の感度を高くすることができる。したがって、肉厚部48bに配置される外側歪ゲージは、圧力の検出に用いられる。
【0040】
一方、肉厚部48bの応力の変動幅は狭いことから、外側歪ゲージが用いられた圧力センサ100の感度は、内側歪ゲージが用いられた圧力センサ100の感度よりも低い。
【0041】
そして、圧力センサ100のASIC30は、第1電圧値V1と、第2電圧値V2とに基づいて圧力値を算出する。第1電圧値V1は、肉薄部48aの内側歪ゲージにおける電圧値である。第2電圧値V2は、肉厚部48bの外側歪ゲージにおける電圧値である。また、第1電圧値V1は、本開示の「第1出力値」に対応し、第2電圧値V2は、本開示の「第2出力値」に対応する。
【0042】
ここで、第1電圧値V1は、応力の変動幅が広い肉薄部48aに配置された内側歪ゲージにおける電圧値であることから、検出感度が高い圧力値に対応する電圧値である。また、第2電圧値V2は、応力の変動幅が狭い肉厚部48bに配置された外側歪ゲージにおける電圧値であることから、検出感度が低い圧力値に対応する電圧値である。
【0043】
図9においては、第1内側歪ゲージ111、第2内側歪ゲージ112、第3内側歪ゲージ113、および第4内側歪ゲージ114により第1ブリッジ回路151が構成される。具体的には、第1直列回路と第2直列回路とが並列に接続されることにより第1ブリッジ回路151が構成される。第1直列回路は、第1内側歪ゲージ111および第3内側歪ゲージ113が直列に接続された回路である。また、第2直列回路は、第2内側歪ゲージ112および第4内側歪ゲージ114が直列に接続された回路である。
【0044】
また、第1外側歪ゲージ121、第2外側歪ゲージ122、第3外側歪ゲージ123、および第4外側歪ゲージ124により第2ブリッジ回路152が構成される。具体的には、第3直列回路と第4直列回路とが並列に接続されることにより第2ブリッジ回路152が構成される。第3直列回路は、第1外側歪ゲージ121および第3外側歪ゲージ123が直列に接続された回路である。第4直列回路は、第2外側歪ゲージ122および第4外側歪ゲージ124が直列に接続された回路である。
【0045】
第1外側歪ゲージ121の一端、第2外側歪ゲージ122の一端、第1内側歪ゲージ111の一端、および第2内側歪ゲージ112の一端は、VDD端子(電圧端子)301に電気的に接続される。VDD端子301は、第1ブリッジ回路151および第2ブリッジ回路152に電圧を印加するための端子である。該電圧は、たとえば、電圧供給端子250(
図11参照)から供給される。本実施の形態においては、VDD端子301は、第1ブリッジ回路151および第2ブリッジ回路152で兼用される。したがって、圧力センサ100においては、「第1ブリッジ回路151と、第2ブリッジ回路152とでVDD端子が別である」という構成と比較して、VDD端子の数を減少させることができる。
【0046】
また、第3外側歪ゲージ123の一端、第4外側歪ゲージ124の一端、第3内側歪ゲージ113の一端、および第4内側歪ゲージ114の一端は、GND端子302に電気的に接続される。GND端子302は、第1ブリッジ回路151および第2ブリッジ回路152を接地するための端子である。本実施の形態においては、GND端子302は、第1ブリッジ回路151および第2ブリッジ回路152で兼用される。したがって、圧力センサ100においては、「第1ブリッジ回路151と、第2ブリッジ回路152とでGND端子が別である」という構成と比較して、GND端子の数を減少させることができる。
【0047】
また、MEMS40は、VDD端子301から電圧が印加されている状態において、以下の電圧値V11、電圧値V12、電圧値V21、および電圧値V22をASIC30に出力する(
図1参照)。
【0048】
電圧値V11は、第1内側歪ゲージ111と第3内側歪ゲージ113との間の電圧値である。また、電圧値V12は、第2内側歪ゲージ112と第4内側歪ゲージ114との間の電圧値である。電圧値V21は、第1外側歪ゲージ121と第3外側歪ゲージ123との間の電圧値である。電圧値V22は、第2外側歪ゲージ122と第4外側歪ゲージ124との間の電圧値である。
【0049】
また、第1電圧値V1は電圧値V11と電圧値V12との電位差により算出される値である。第2電圧値V2は電圧値V21と電圧値V22との電位差により算出される値である。たとえば、第1電圧値V1および第2電圧値V2はそれぞれ、以下の式(1)および式(2)により規定される。
第1電圧値V1=V11-V12 (1)
第2電圧値V2=V21-V22 (2)
図10は、MEMS40が有するパッドと、ASIC30が有するパッドとが示された図である。MEMS40のパッドは、第1パッド221と、第2パッド222と、第3パッド223と、第4パッド224と、第5パッド225と、第6パッド226とを含む。また、ASIC30が有するパッドは、第1パッド231と、第2パッド232と、第3パッド233と、第4パッド234と、第5パッド235と、第6パッド236とを含む。第1パッド221~第6パッド226は、それぞれ、第1パッド231~第6パッド236と電気的に接続される。
【0050】
第1パッド221は、VDD端子301(
図9参照)と電気的に接続されるパッドである。第2パッド222は、GND端子302(
図9参照)と電気的に接続されるパッドである。第3パッド223は、電圧値V11を出力する端子と電気的に接続されるパッドである。第4パッド224は、電圧値V12を出力する端子と電気的に接続されるパッドである。第5パッド225は、電圧値V21を出力する端子と電気的に接続されるパッドである。第6パッド226は、電圧値V22を出力する端子と電気的に接続されるパッドである。
【0051】
図11は、
図10とは別の観点で、第1パッド221~第6パッド226、および第1パッド231~第6パッド236が示された図である。
図11に示すように、上述の電圧供給端子250から、第1ブリッジ回路151、第2ブリッジ回路152、およびASIC30に電圧が印加される。
【0052】
[MEMS出力と圧力値との関係]
図12は、MEMS40からの電圧値(出力値)と圧力センサ100が検出する圧力値との関係を示す図である。
図8の例では、縦軸はMEMS出力を示し、横軸は圧力値を示す。
図12は、グラフC1と、グラフC2とが示されている。グラフC1により示される感度は、グラフC2により示される感度よりも高い。
【0053】
グラフC1は、肉薄部48aにおける内側歪ゲージからの電圧値と、該電圧値に基づいて圧力センサ100により検出される圧力値とを示すグラフである。また、グラフC2は、肉厚部48bにおける外側歪ゲージからの電圧値と、該電圧値に基づいて圧力センサ100により検出される圧力値とを示すグラフである。
【0054】
図12に示すように、用いられる電圧値の上限値として、所定値Sが規定されている。仮に、過度に大きい電圧値を用いて圧力値を検出する構成が考えられる。しかしながら、このような構成においては、以下の問題が生じ得る。この問題は、上述のASICでの処理負担が増大するという問題、および圧力値の検出感度が低下するという問題のうち少なくとも一方を含む。そこで、本実施の形態においては、出力電圧値について上限値である所定値Sが規定される。本実施の形態の圧力センサ100は、所定値Sを越えた出力電圧値を用いない。したがって、上記の問題の発生を抑制できる。
【0055】
また、
図12に示すように、グラフC1における検出可能な圧力値の帯域が第1帯域として示され、グラフC2における検出可能な圧力値の帯域が第2帯域として示される。ここで、第2帯域は、第1帯域よりも高い帯域である。具体的には、第2帯域の下限値は、第1帯域の上限値以上である。さらに、第2帯域は第1帯域よりも感度が低い分、第2帯域は、第1帯域よりも広い。第1帯域は、大気圧を含む。したがって、第1帯域の圧力値はたとえば、平地での圧力値である。また、第2帯域は、たとえば、海中での圧力値(水圧値)における帯域である。ASIC30の演算部82は、たとえば、グラフC1に対応する第1テーブルおよびグラフC2に対応する第2テーブルを有する。演算部82は、第1テーブルおよび第2テーブルに応じた演算式を有するようにしてもよい。
【0056】
[圧力値の検出方法]
図13は、ASICの演算部82(
図1参照)による圧力値の検出方法を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定期間(たとえば、1秒毎)に実行される。
【0057】
まず、ステップS102において、演算部82は、第1電圧値V1(上記の式(1))を取得する。次に、ステップS104において、第1電圧値V1が所定値S(
図12参照)未満であるか否かを判断する。第1電圧値V1が、所定値S未満である場合には(ステップS104でYES)、ステップS106において、演算部82は、第1テーブルを参照して、第1電圧値に対応する圧力値を算出し、該圧力値を出力する。該圧力値は、第1帯域の圧力値である。
【0058】
また、ステップS104において、第1電圧値V1が、所定値S以上である場合には(ステップS104でNO)、ステップS108において、演算部82は、第2電圧値V2(上記式(2))を取得する。そして、ステップS110において、演算部82は、第2テーブルを参照して、第2電圧値に対応する圧力値を算出し、該圧力値を出力する。該圧力値は、第2帯域の圧力値である。
【0059】
以上のように、圧力センサ100は、肉薄部48aにおける第1出力値(たとえば、式(1)により示される第1電圧値V1)に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、圧力センサ100は、肉厚部48bにおける第2出力値(たとえば、式(1)により示される第2電圧値V2)に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する(
図12参照)。したがって、1つの圧力センサ100により、第1帯域の圧力値を検出するとともに、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することができる。
【0060】
また、
図8および
図9などに示すように、肉薄部48aは、対向部分60の中央部である。また、肉厚部48bは、対向部分60の周縁部である。したがって、比較的、簡単な構成により、肉薄部48aおよび肉厚部48bは形成されることができる。
【0061】
また、
図13などに示すように、圧力センサ100は、第1電圧値V1が所定値S未満である場合には(ステップS104でYES)、第1電圧値V1に対応する圧力値を検出する。また、圧力センサ100は、第1電圧値V1が所定値S以上である場合には(ステップS104でNO)、第2電圧値V2に対応する圧力値を検出する。したがって、状況に応じた圧力値を検出できる。
【0062】
また、MEMS40は、少なくとも1つの内側歪ゲージと、少なくとも1つの外側歪ゲージとを備える。ASIC30は、少なくとも1つの内側歪ゲージにおける第1電圧値V1に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。これとともに、ASIC30は、少なくとも1つの外側歪ゲージにおける第2電圧値V2に基づいて、第2帯域の圧力値を検出する。したがって、圧力センサ100は、公知の部品である歪ゲージを用いて、第1帯域の圧力値、および第2帯域の圧力値を検出できる。
【0063】
また、
図9などで示されるように、MEMS40は、肉薄部48aおよび肉厚部48bにそれぞれ4つの歪ゲージが設置され、第1電圧値V1および第2電圧値V2を検出する。したがって、たとえば、肉薄部48aおよび肉厚部48bにそれぞれ2つの歪ゲージが設置された構成と比較して、圧力値の検出精度を高めることができる。
【0064】
[製造方法]
次に、圧力センサ100の製造方法を説明する。後述の溝形成工程および空間形成工程においてはボッシュプロセスが用いられる。ボッシュプロセスでは、主に、エッチングステップおよび保護ステップが交互に実行される。
【0065】
図14~
図20は、圧力センサ100の製造方法を説明するための図である。
図14は、準備工程を説明するための図である。この準備工程では、半導体層からなる基板160が準備される。半導体層は、たとえば、シリコン層である。
【0066】
図15は、レジスト配置工程を説明するための図である。レジスト170は、基板160の上面160Sに配置される。レジスト170は、2次元的に(XY平面上に)、複数の貫通穴170Sが形成されている。この貫通穴170Sは、後述の第1溝161および第2溝162に対応する。
【0067】
上面160Sのうち、将来的に肉薄部48aとなる領域は、中央領域160Aと称され、将来的に肉厚部48bとなる領域は、周縁領域160Bと称される。レジスト170の貫通穴170Sのうち中央領域160Aの貫通穴170Aの径は径M1とされ、周縁領域160Bの貫通穴170Bの径は、径M2とされる。ただし、M1>M2である。
【0068】
図16は、溝形成工程を説明するための図である。この溝形成工程においては、レジスト170が基板160に配置された状態で、エッチングステップが実行される。このエッチングステップでは、所定のエッチング材が基板160に流される。エッチング材は、エッチングガスおよびエッチングするための液体の少なくとも一方を含む。本実施の形態においては、上述のようにボッシュプロセスが用いられることから、エッチング材として、エッチングガスが用いられる。また、エッチングガスは、たとえば、六フッ化硫黄である。なお、
図16および
図17では、ボッシュプロセス中の上述の保護ステップについては記載されていない。また、
図16および
図17では、レジスト170も記載されていない。
【0069】
レジスト170を用いたボッシュプロセスにより、貫通穴170Aに対応する第1溝161および貫通穴170Bに対応する第2溝162が、基板160に形成される。第1溝161は、中央領域160Aに形成される溝である。また、第2溝162は、周縁領域160Bに形成される溝である。
【0070】
ここで、上述のように、貫通穴170Aの径M1は、レジスト170の貫通穴170Bの径M2よりも大きい。したがって、
図16に示すように、貫通穴170Aに対応する第1溝161の径R1の方が、貫通穴170Bに対応する第2溝162の径R2よりも大きくなる。また、基板160に流されるエッチングガスの単位面積当たりの量は、貫通穴170Aと貫通穴170Bとで同一である。したがって、貫通穴170Aの方が、貫通穴170Bよりも多くのエッチングガスが流されることになる。これにより、貫通穴170Aに対応する第1溝161の深さの方が、貫通穴170Bに対応する第2溝162の深さよりも深く形成される。つまり、第1溝161の体積の方が、第2溝162の体積よりも大きくなる。
【0071】
図17は、空間形成工程を説明するための図である。空間形成工程は、第1溝161および第2溝162が形成されている状態で、さらに、ボッシュプロセスが継続される工程である。以下では、基板160において、第1溝161および第2溝162以外の残りの個所は、「残存部」とも称される。
【0072】
ボッシュプロセスが継続されることにより、複数の溝(第1溝161および第2溝162)の基板160の内部側の端部に空間195が形成される。この端部は、第1溝161の内側端部161Aと、第2溝162の内側端部162Aとを含む。また、
図16で説明したように、第1溝161の体積の方が、第2溝162の体積よりも大きくなる。したがって、第1溝161の方が、第2溝162よりも、多くのエッチングガスが流れる。よって、中央領域160Aの残存部191の長さK1(深さ)の方が、周縁領域160Bの残存部192の長さK2よりも短くなる。
【0073】
図18は、塞ぎ工程を説明するための図である。塞ぎ工程においては、たとえば、アニール処理が実行される。
図18の例では、基板160に対して水素を含む高温(たとえば、1100度~1200度)の雰囲気で、熱処理が行われる。そして、熱処理によって溶融した基板160の一部165により、複数の溝の基板160の外部側の端部が塞がれる。この端部は、第1溝161の外側端部161Bと、第2溝162の外側端部162Bとを含む。
【0074】
図19は、キャビティ形成工程を説明するための図である。キャビティ形成工程では、プラズマデポジションの処理により基板160の上部が厚膜化されてメンブレン48が形成される。さらに、上述の8つの歪ゲージ(第1内側歪ゲージ111、第2内側歪ゲージ112、第3内側歪ゲージ113、第4内側歪ゲージ114、第1外側歪ゲージ121、第2外側歪ゲージ122、第3外側歪ゲージ123、および第4外側歪ゲージ124)が配置される。
【0075】
図20は、保護膜形成工程を説明するための図である。
図20に示すように、基板160の上部に保護膜70(
図8も参照)が形成される。そして、ASIC30などその他の部品が設置されることにより、
図2のような圧力センサ100が製造される。
【0076】
以上、キャビティ形成工程においては、対向部分60の肉薄部48aの厚さL1が、該対向部分60の肉厚部48bの厚さL2よりも薄くなるように、キャビティ42aおよびメンブレン48が形成される。したがって、本実施の形態の製造方法により、第1帯域の圧力値および第2帯域の圧力値を検出可能な圧力センサ100が製造される。
【0077】
また、
図16に示すように、第1溝161の径R1を、第2溝162の径よりも大きくする。このような簡易な手法により、対向部分60の肉薄部48aの厚さL1を、該対向部分60の肉厚部48bの厚さL2よりも薄くすることができる。
【0078】
図21は、圧力センサ100の製造方法の主な処理の流れを示すフローチャートである。ステップS2において、基板160が準備される(
図14参照)。次に、ステップS4において、レジストが配置される(
図15参照)。次に、ステップS6において、エッチングにより複数の溝が形成される(
図16参照)。
【0079】
次に、ステップS8において、エッチングにより空間195が形成される(
図17参照)。次に、ステップS10において、たとえば、アニール処理により塞ぎ工程が実行される(
図18参照)。次に、ステップS12において、プラズマデポジションの処理により、メンブレン48が形成される(
図19参照)。次に、ステップS14において、保護膜70が形成される(
図20参照)。次に、ステップS16において、ASIC30などが配置される(
図2参照)。
【0080】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、また、対向部分60の肉薄部48aの厚さL1を、該対向部分60の肉厚部48bの厚さL2よりも薄くする手法として、第1溝161の径R1を、第2溝162の径よりも小さくするという手法が説明された。第2の実施の形態においては、厚さL1を厚さL2よりも薄くする他の手法が説明される。
【0081】
図22は、第2の実施の形態のレジスト配置工程を説明するための図である。第2の実施の形態のレジスト170Xの貫通穴170Sのうち中央領域160Aの貫通穴170Aの径と周縁領域160Bの貫通穴170Bの径は同一であり、共に径Mとされる。また、中央領域160Aの隣接する2つの貫通穴170Aの間隔P1は、周縁領域160Bの隣接する2つの貫通穴170Bの間隔P2よりも狭い。
【0082】
図23は、第2の実施の形態の溝形成工程を説明するための図である。
図23に示すように、基板160の中央領域160Aの2つの第1溝161の間隔は、間隔P1である。また、基板160の周縁領域160Bの2つの第2溝162の間隔は、間隔P2である。また、
図22のレジスト170Xが用いられることにより、全ての第1溝161の径、および全ての第2溝162の径は全て同一の径Rである。そして、
図22のレジスト170Xが用いられることにより、間隔P1は、間隔P2よりも小さくなる。
【0083】
図24は、第2の実施の形態の空間形成工程を説明するための図である。レジスト170Xにおける間隔P1は、間隔P2よりも小さい。したがって、中央領域160Aの単位面積当たりに流れるエッチングガスの量は、周縁領域160Bの単位面積当たりに流れるエッチングガスの量よりも多くなる。よって、
図24に示すように、中央領域160Aの残存部191の長さK1(深さ)の方が、周縁領域160Bの残存部192の長さK2よりも短くなる。
【0084】
したがって、キャビティ形成工程において、対向部分60の肉薄部48aの厚さL1が、該対向部分60の肉厚部48bの厚さL2よりも薄くなるように、キャビティ42aおよびメンブレン48が形成される。
【0085】
以上、対向部分60の肉薄部48aの厚さL1を、該対向部分60の肉厚部48bの厚さL2よりも薄くする手法として、
図23に示すように、2つの第1溝161の間隔P1を、基板の周縁領域160Bの2つの第2溝162の間隔P2よりも狭くする。このような手法であっても、第1帯域の圧力値および第2帯域の圧力値を検出できる圧力センサ100を製造することができる。
【0086】
<その他の実施の形態>
(1)
図13の処理を行う圧力センサ100は、第1電圧値V1が所定値S未満である場合には、第1電圧値に対応する圧力値を出力し、第1電圧値V1が所定値S以上である場合には、第2電圧値に対応する圧力値を出力する。ここで、「第1電圧値V1が所定値S未満であるという条件」は、本開示の「所定条件」に対応する。この所定条件は他の条件を含んでいてもよい。たとえば、圧力センサ100または電子機器700が液体センサを備えるようにしてもよい。液体センサは、液体を検出センサである。そして、所定条件は、液体センサにより液体が検出されていない条件を含むようにしてもよい。
【0087】
上述のように、第2帯域は、たとえば、海中での圧力値における帯域である。この点を鑑みて、圧力センサ100は、所定条件が成立した場合には第1帯域の圧力値を検出する。「所定条件が成立した場合」とは、液体センサが液体を検出していないことから圧力センサ100が平地に存在する(海中に存在していない)場合である。一方、圧力センサ100は、所定条件が成立していない場合には第2帯域の圧力値を検出する。「所定条件が成立していない場合」とは、液体センサが液体を検出したことから圧力センサ100が海中に存在すると推定される場合である。
【0088】
このような構成であれば、圧力センサ100が海中に存在すると推定された場合には第2帯域の圧力値を検出し、圧力センサ100が平地に存在すると推定された場合には第1帯域の圧力値を検出できる。
【0089】
また、所定条件は他の条件としてもよい。たとえば、所定条件は、「第1帯域の圧力値を検出するという指示」がユーザにより圧力センサ100に入力されるという条件である。このような構成の場合には、圧力センサ100は、所定条件が成立している場合(「上記指示が入力された場合)には、圧力センサ100は、第1帯域の圧力値を検出する。また、圧力センサ100は、所定条件が成立していない場合(上記指示が入力されていない場合)には、圧力センサ100は、第2帯域の圧力値を検出する。このような構成によれば、圧力センサ100は、ユーザが所望する帯域の圧力値を検出できる。
【0090】
(2) 上述の実施の形態においては、肉薄部48aは、対向部分60の中央部であり、肉厚部48bは、対向部分60の周縁部である構成が説明された。しかしながら、肉薄部48aは、対向部分60の周縁部であり、肉厚部48bは、対向部分60の中央部である構成が採用されてもよい。
【0091】
<付記>
(第1項) 本開示の電子部品は、キャビティと、キャビティ内の圧力とキャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンと、演算回路とを備える。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。演算回路は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、演算回路は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【0092】
このような構成によれば、1つの電子部品で、第1帯域の圧力値、および第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出できる。
【0093】
(第2項) 第1項に記載の電子部品において、肉薄部は、中央部である。また、肉厚部は、周縁部である。
【0094】
このような構成によれば、簡単な構成により、肉薄部48aおよび肉厚部48bは形成されることができる。
【0095】
(第3項) 第1項または第2項に記載の電子部品において、演算回路は、所定条件が成立している場合、第1出力値に基づいて第1帯域の圧力値を検出する。また、所定条件が成立していない場合、第2出力値に基づいて第2帯域の圧力値を検出する。
【0096】
このような構成によれば、所定条件の成立の有無に応じて、第1帯域の圧力値および第2帯域の圧力値のいずれかを検出することができる。
【0097】
(第4項) 第3項に記載の電子部品であって、所定条件は、第1出力値が所定値未満であるという条件を含む。
【0098】
このような構成によれば、第1出力値が所定値未満である場合には、第1帯域の圧力値を検出し、第1出力値が所定値以上である場合には、第2帯域の圧力値を検出できる。
【0099】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の電子部品であって、電子部品は、肉薄部に配置された少なくとも1つの歪みゲージと、肉厚部に配置された少なくとも1つの歪みゲージとを備える。第1出力値は、肉薄部に配置された少なくとも1つの歪みゲージに基づく第1電圧値である。第2出力値は、肉厚部に配置された少なくとも1つの歪みゲージに基づく第2電圧値である。
【0100】
このような構成によれば、公知の部品である歪ゲージを用いて、第1帯域の圧力値、および第2帯域の圧力値を検出できる。
【0101】
(第6項) 第5項に記載の電子部品であって、肉薄部に配置された少なくとも1つの歪ゲージは、第1歪ゲージ、第2歪ゲージ、第3歪ゲージ、および第4歪ゲージを含む。第1歪ゲージおよび第3歪ゲージが直列に接続された直列回路と、第2歪ゲージおよび第4歪ゲージが直列に接続された直列回路とが並列に接続されることにより第1ブリッジ回路が構成される。肉厚部に配置された少なくとも1つの歪ゲージは、第5歪ゲージ、第6歪ゲージ、第7歪ゲージ、および第8歪ゲージを含む。第5歪ゲージおよび第7歪ゲージが直列に接続された直列回路と、第6歪ゲージおよび第8歪ゲージが直列に接続された直列回路とが並列に接続されることにより第2ブリッジ回路が構成される。第1電圧値は、第1歪ゲージと第3歪ゲージとの間と、第2歪ゲージと第4歪ゲージとの間との電位差である。第2電圧値は、第5歪ゲージと第7歪ゲージとの間と、第6歪ゲージと第8歪ゲージとの間との電位差である。
【0102】
このような構成によれば、中央部および周縁部にそれぞれ2つの歪ゲージが設置された構成と比較して、圧力値の検出精度を高めることができる。
【0103】
(第7項) 第6項に記載の電子部品であって、電子部品は、さらに、第1ブリッジ回路および第2ブリッジ回路に電圧を印可する電圧端子を備える。
【0104】
このような構成によれば、電圧端子の数を抑制できる。
(第8項) 第6項または第7項に記載の電子部品であって、電子部品は、さらに、第1ブリッジ回路および第2ブリッジ回路が接地されるためのグランド端子を備える。
【0105】
このような構成によれば、グランド端子の数を抑制できる。
(第9項) 第1項~第8項のいずれか1項に記載の電子部品であって、肉厚部の厚さの肉薄部の厚さに対する比率は、1.7以上3.0以下である。
【0106】
このような構成によれば、より適切に第1帯域の圧力値、および第2帯域の圧力値を検出できる。
【0107】
(第10項) 第9項に記載の電子部品であって、比率は、2.4である。
このような構成によれば、より適切に第1帯域の圧力値、および第2帯域の圧力値を検出できる。
【0108】
(第11項) 第1項~第10項のいずれか1項に記載の電子部品であって、第1帯域の圧力値は、大気圧を含む。
【0109】
このような構成によれば、1圧力値を含む第1帯域の圧力値を検出できる。
(第12項) 第1項~第11項のいずれか1項に記載の電子部品であって、第1帯域において検出される圧力値の感度は、第2帯域において検出される圧力値の感度よりも高い。
【0110】
このような構成によれば、第1帯域での圧力値の感度を、第2帯域での圧力値の感度よりも向上させることができる。
【0111】
(第13項) 本開示の検出方法は、電子部品による圧力値の検出方法である。電子部品は、キャビティと、キャビティ内の圧力とキャビティ外の圧力との差によって変形するメンブレンとを備える。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。検出方法は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出することを備える。また、検出方法は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出することを備える。
【0112】
(第14項) 本開示の製造方法は、基板を準備することと、基板の厚さ方向に延伸する複数の溝を基板に形成することと、複数の溝の基板の内部側の端部に空間を形成することと、複数の溝の基板の外部側の端部を塞ぐことにより、キャビティおよびメンブレンを形成すること、演算回路を設置することとを備える。メンブレンは、キャビティ内の圧力と、キャビティ外の圧力との差によって変形する。メンブレンは、キャビティと対向する対向部分を含む。対向部分の周縁部と対向部分の中央部とのうちいずれか一方は肉薄部であり、他方は該肉薄部よりも厚い肉厚部である。演算回路は、肉薄部における第1出力値に基づいて、第1帯域の圧力値を検出する。また、演算回路は、肉厚部における第2出力値に基づいて、第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出する。
【0113】
このような構成によれば、第1帯域の圧力値、および第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出できる電子部品を製造できる。
【0114】
(第15項) 第14項に記載の電子部品の製造方法であって、複数の溝を形成することは、エッチングにより該複数の溝を形成することを含む。空間を形成することは、エッチングにより空間を形成することを含む。基板の肉薄部に対応する箇所の溝の径は、基板の肉厚部に対応する箇所の溝の径よりも大きい。
【0115】
このような構成によれば、第1帯域の圧力値、および第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出できる電子部品を簡易な手法で製造できる。
【0116】
(第16項) 第14項に記載の電子部品の製造方法であって、複数の溝を形成することは、エッチングにより該複数の溝を形成することを含む。空間を形成することは、エッチングにより空間を形成することを含む。基板の肉薄部に対応する箇所の2つの溝の間隔は、基板の肉厚部に対応する箇所の2つの溝の間隔よりも狭い。
【0117】
このような構成によれば、第1帯域の圧力値、および第1帯域よりも高い第2帯域の圧力値を検出できる電子部品を簡易な手法で製造できる。
【0118】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
10 ケース、11 側壁、12 底壁、12a 外部接続パッド、13 内部空間、20 リッド、21 孔、30 ASIC、30a 第1面、30b 第2面、31 バンプ、32 接着部材、40 MEMS、42a キャビティ、47a ボンディングパッド、48 メンブレン、48a 肉薄部、48b 肉厚部、49 ボンディングワイヤ、50 ゲル材、60 対向部分、70 保護膜、82 演算部、84 変換部、100 圧力センサ、111 第1内側歪ゲージ、112 第2内側歪ゲージ、113 第3内側歪ゲージ、114 第4内側歪ゲージ、121 第1外側歪ゲージ、122 第2外側歪ゲージ、123 第3外側歪ゲージ、124 第4外側歪ゲージ、151 第1ブリッジ回路、152 第2ブリッジ回路、160 基板、160A 中央領域、160B 周縁領域、161 第1溝、162 第2溝。