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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094521
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B65D81/34 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211117
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】大橋 渚
(72)【発明者】
【氏名】古澤 寛樹
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA21
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BC14
3E013BC20
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF08
3E013BF23
3E013BF42
3E013BF80
3E013BG11
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】容器本体に加工を施すことなく、多種多様な容器において、電子レンジによる加熱時の容器の内圧の上昇による容器の破裂を防止できるようにする。
【解決手段】電子レンジを用いて加熱すると、トップシール4のラベル5が貼着された部分では、ラベル5の発熱層がマイクロ波を吸収して発熱する一方、加熱された熱収縮性フィルムが収縮することによって、応力が作用すると共に、上昇する内圧も作用する。これによって、ラベル5の貼着部分の加熱によって軟化し、膨らんで弱くなった箇所が破れ、蒸気抜き口が形成され、内圧が過度に上昇して容器が破裂するのを防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体の前記開口を覆うように、トップシールの周縁部が前記容器本体の開口縁に接合された容器と、前記トップシールに貼着されたラベルとを備えるラベル付き容器であって、
前記ラベルは、加熱によって収縮しない基材フィルムと、該基材フィルムの前記トップシール側となる裏面側に積層された積層体とを備え、前記積層体は、加熱によって収縮する熱収縮性フィルムとマイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含み、
前記ラベルは、平面視で前記開口に重なる領域であって、かつ、前記トップシールの前記周縁部に近接した位置に貼着されている、
ラベル付き容器。
【請求項2】
前記ラベルの一部は、前記近接した位置から前記トップシールの前記周縁部へ延びて前記接合領域に重なっている、
請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記ラベルは長手方向を有する形状であって、前記長手方向の一端側が、前記近接した位置にあり、前記長手方向の他端側が、前記接合領域に重なっている、
請求項2に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
前記基材フィルムは、前記積層体よりも大きな面積を有し、前記基材フィルムの表面には、平面視で前記積層体に重ならない領域に、印刷層が形成されている、
請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項5】
前記平面視で前記積層体に重ならない前記領域が、平面視で前記積層体の周囲を囲む枠状である、
請求項4に記載のラベル付き容器。
【請求項6】
前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、前記ラベルは、前記四角形または略四角形の角部に貼着されている、
請求項1、4または5に記載のラベル付き容器。
【請求項7】
前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、
前記ラベルは長手方向を有する形状であり、
前記ラベルは、前記四角形または略四角形の一辺に近接して、その長手方向が前記一辺に沿うように貼着されている、
請求項1、4または5に記載のラベル付き容器。
【請求項8】
前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、
前記ラベルは長手方向を有する形状であり、
前記ラベルは、前記四角形または略四角形の角部から前記トップシールの前記周縁部へ延びて前記接合領域に重なるように貼着されている、
請求項2、3、4または5に記載のラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルが貼着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジで加熱される調理食品等を容器に収容した商品がある。かかる容器として、容器の開口縁に蓋材フィルムをヒートシールで溶融密着させる、いわゆる、トップシール容器がある。
【0003】
調理食品等を収容したトップシール容器を、電子レンジで加熱すると、食品から発生する蒸気等により、容器の内圧が上昇し、容器が破裂して食品が飛散する虞がある。
【0004】
このため、上記のようなトップシール容器では、例えば、特許文献1に示すように、容器本体のフランジ部に、外周から開口部へ向かって入れた所定深さのノッチを設け、加熱調理時に、前記ノッチを設けたフランジ部のヒートシールが、器材の形状変更による機械的な力によって剥離され、蒸気吹き出し口が形成されるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-24803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、容器本体に所定深さのノッチを設ける加工が必要になるので、コストが高くなると共に、多種多様な容器に手軽に適用するのは困難である。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、容器本体に加工を施すことなく、電子レンジで加熱した際の内圧の上昇による容器の破裂を防止できるラベル付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明に係るラベル付き容器は、上部が開口した容器本体の前記開口を覆うように、トップシールの周縁部が前記容器本体の開口縁に接合された容器と、前記トップシールに貼着されたラベルとを備えるラベル付き容器であって、
前記ラベルは、加熱によって収縮しない基材フィルムと、該基材フィルムの前記トップシール側となる裏面側に積層された積層体とを備え、前記積層体は、加熱によって収縮する熱収縮性フィルムとマイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含み、前記ラベルは、平面視で前記開口に重なる領域であって、かつ、前記トップシールの前記周縁部に近接した位置に貼着されている。
【0010】
本発明に係るラベル付き容器を、電子レンジを用いて加熱すると、トップシールのラベルが貼着された部分では、積層体の発熱層がマイクロ波を吸収して発熱して、発熱層の上下の層を加熱する。一方、加熱された熱収縮性フィルムが収縮することによって、トップシールのラベルが貼着された部分に対して、引張り等の応力が作用する。更に、マイクロ波を照射された容器内の被加熱物から生じる蒸気によって上昇する内圧もラベルが貼着された部分に作用する。これによって、ラベルの貼着部分において、トップシール及びラベルが加熱によって軟化し、内圧によって膨れて弱くなった箇所が破れ、蒸気抜き口が形成される。この蒸気抜き口を介して容器内の蒸気が排出されるため、容器の内圧が過度に上昇して容器が破裂するのを防止することができる。
【0011】
したがって、容器自体にノッチを設けるといった加工を施す必要がない。本発明の構成によれば、トップシールにラベルを貼着するだけでよく、多種多様な容器に容易に適用することができる。
【0012】
また、本発明に係るラベル付き容器では、ラベルを、平面視で容器本体の開口に重なる領域であって、かつ、前記開口を覆うトップシールの周縁部に近接した位置に貼着している。
【0013】
ラベルを、容器に収容されている被加熱物の上方であるトップシールの中央部に貼着すると、被加熱物が水分を多く含むため、マイクロ波の吸収の影響を受ける。このため、ラベルの発熱層が吸収できるマイクロ波が減少する。
【0014】
これに対して、本発明に係るラベル付き容器では、ラベルを、トップシールの周縁部に近接した位置に貼着しているので、上記のような水分を多く含む被被加熱物が容器に収容されていても、この被加熱物によるマイクロ波の吸収の影響を低減することができる。これによって、ラベルの発熱層は、マイクロ波を充分に吸収して発熱し、この発熱によってラベルの貼着部分を加熱して、ラベル及びトップシールに蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【0015】
(2)本発明の一実施態様では、前記ラベルの一部は、前記近接した位置から前記トップシールの前記周縁部へ延びて前記接合領域に重なっている。
【0016】
容器本体の開口を覆うトップシールの周縁部と容器本体の開口縁との接合領域では、容器を電子レンジで加熱した際に、被加熱物から生じる蒸気によって上昇する内圧が、トップシールを容器本体の開口縁から剥離させるように作用する。
【0017】
この実施態様では、ラベルの一部が、接合領域に重なるように延びている。これにより、容器を電子レンジで加熱すると、ラベルが重なっている接合領域は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層によって加熱されると共に、加熱された熱収縮性フィルムの収縮によって生じる引張り等の応力を受ける。
【0018】
このようにラベルの一部が重なる接合領域には、上昇する内圧によって、トップシールを、容器本体の開口縁から剥離させようとする力が作用する。また、トップシールのラベルが貼着された部分に対して、熱収縮性フィルムの収縮に伴う引張り等の応力が作用する。更に、トップシール及びラベルが加熱されて軟化し、弱くなる。このため、ラベルの一部が重なる接合領域は、トップシールが容器本体から剥離し易くなり、剥離した箇所から容器内の蒸気が排出される。
【0019】
したがって、この実施態様によれば、ラベル自体に形成される蒸気抜き口、及び、ラベルの一部が重なった接合領域のトップシールの剥離箇所の少なくともいずれか一方から容器内の蒸気を排出することができる。
【0020】
これによって、容器の内圧が過度に上昇するのを確実に阻止して、容器の破裂を防止することができる。
【0021】
(3)本発明の他の実施態様では、前記ラベルは長手方向を有する形状であって、前記長手方向の一端側が、前記近接した位置にあり、前記長手方向の他端側が、前記接合領域に重なっている。
【0022】
ラベルは、同じ面積である場合、長手方向のない形状、例えば、正方形に比べて、長手方向を有する形状、例えば、細長い長方形の方が、電子レンジで加熱した際に、上昇する内圧よって膨らむ度合が小さくなる。したがって、この実施態様によると、電子レンジで加熱した後のラベルの貼着部分の膨らみが少ない状態で蒸気抜き口が形成されるので、ラベルの貼着部分は目立たず、見栄えが改善される。
【0023】
(4)本発明の好ましい実施態様では、前記基材フィルムは、前記積層体よりも大きな面積を有し、前記基材フィルムの表面には、平面視で前記積層体に重ならない領域に、印刷層が形成されている。
【0024】
この実施態様によると、基材フィルムの表面に形成される印刷層は、平面視で積層体に重ならない、すなわち、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層及び加熱されて収縮する熱収縮性フィルムに重ならない領域に形成されている。このため、印刷層は、電子レンジで加熱した際に、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層による加熱、及び、熱収縮性フィルムの収縮に伴う応力の影響を殆ど受けることがない。したがって、印刷層は、軟化して膨らんで破けるようなことはなく、印刷層の、例えば、印刷された文字等の視認性が損なわれることはない。
【0025】
(5)本発明の一実施態様では、前記平面視で前記積層体に重ならない前記領域が、平面視で前記積層体の周囲を囲む枠状である。
【0026】
この実施態様によると、平面視で積層体に重ならない前記領域、すなわち、印刷層が形成される領域は、平面視で積層体の周囲を囲む枠状である。したがって、枠状に印刷される印刷層によって、電子レンジによる加熱によって、蒸気抜き口から蒸気が排出されて高温となる積層体の形成領域を、視覚的に区画することができる。これによって、高温となる積層体の形成領域を明確にして注意を促すことができる。
【0027】
(6)本発明の他の実施態様では、前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、前記ラベルは、前記四角形または略四角形の角部に貼着されている。
【0028】
この実施態様によると、ラベルが貼着される四角形または略四角形の開口の角部は、開口を覆うトップシールの周縁部に近接した位置である。このため、被加熱物の上方であるトップシールの中央部にラベルを貼着した場合に比べて、電子レンジで加熱した際に、被加熱物によるマイクロ波の吸収の影響を低減することができる。これによって、ラベルの発熱層は、マイクロ波を充分に吸収して発熱し得る。よって、この発熱によってラベルの貼着部分を加熱して、蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【0029】
(7)本発明の一実施態様では、前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、前記ラベルは長手方向を有する形状であり、前記ラベルは、前記四角形または略四角形の一辺に近接して、その長手方向が前記一辺に沿うように貼着されている。
【0030】
この実施態様によると、ラベルは、四角形または略四角形の開口の一辺に近接して貼着されるので、ラベルは、トップシールの周縁部に近接して貼着されることになる。したがって、被加熱物の上方であるトップシールの中央部にラベルを貼着した場合に比べて、電子レンジで加熱した際に、被加熱物によるマイクロ波の吸収の影響を低減することができる。これによって、ラベルの発熱層は、マイクロ波を充分に吸収して発熱し、この発熱によってラベルの貼着部分を加熱して、蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【0031】
(8)本発明の他の実施態様では、前記容器本体の前記開口の平面形状は、四角形または略四角形であり、前記ラベルは長手方向を有する形状であり、前記ラベルは、前記四角形または略四角形の角部から前記トップシールの前記周縁部へ延びて前記接合領域に重なるように貼着されている。
【0032】
この実施態様によると、ラベルは、四角形または略四角形の開口の角部からその外側のトップシールの周縁部へ延びて接合領域に重なるように貼着されているので、電子レンジで加熱した際に、被加熱物によるマイクロ波の吸収の影響を低減して、蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【0033】
更に、ラベルの一部が接合領域に重なっているので、接合領域には、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層による加熱、及び、熱収縮性フィルムの収縮に伴う応力が作用することになる。これによって、トップシールの接合領域からの剥離が促進され、トップシールが接合領域から剥離して、容器内の蒸気を排出することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るラベル付き容器を、電子レンジを用いて加熱すると、トップシールのラベルが貼着された部分では、積層体の発熱層がマイクロ波を吸収して発熱し、発熱層の上下の層を加熱する一方、加熱された熱収縮性フィルムが収縮することによって、トップシールのラベルが貼着された部分に対して、引張り等の応力が作用すると共に、上昇する内圧も作用する。これによって、ラベルの貼着部分の加熱によってラベル及びトップシールが軟化し、膨らんで弱くなった箇所が破れて蒸気抜き口が形成される。これにより、内圧が過度に上昇して容器が破裂するといったことがない。
【0035】
したがって、容器自体にノッチを設けるといった加工を施す必要がなく、トップシールにラベルを貼着するだけでよく、多種多様な容器に容易に適用することができる。
【0036】
また、本発明に係るラベル付き容器では、ラベルを、マイクロ波を吸収する被加熱物の上方となるトップシールの中央部ではなく、トップシールの周縁部に近接した位置に貼着する。これにより、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層が、被加熱物の影響を殆ど受けることなく、マイクロ波を充分に吸収して発熱することができる。この発熱によって、ラベルの貼着部分を加熱して、ラベルの貼着部分に、蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の平面図である。
図2図2図1のA-A線に沿う概略断面図である。
図3図3図1の容器に貼着される前のラベルの概略断面図である。
図4図4は電子レンジで加熱する前後のラベルの貼着部分の状態を示す平面図であり、同図(a)は電子レンジで加熱する前の状態を、同図(b)は電子レンジで加熱した後の状態をそれぞれ示す。
図5図5は本発明の他の実施形態のラベル付き容器の平面図である。
図6図6は容器に貼着される前の図5のラベルの概略断面図である。
図7図7は電子レンジで加熱する前後のラベルの貼着部分の状態を示す平面図であり、同図(a)は電子レンジで加熱する前の状態を、同図(b)は電子レンジで加熱した後の状態をそれぞれ示す。
図8図8は電子レンジでの加熱された後のラベルを示す概略側面図である。
図9図9は本発明の更に他の実施形態のラベル付き容器の平面図である。
図10図10は本発明の他の実施形態のラベル付き容器の平面図である。
図11図11は本発明の更に他の実施形態のラベル付き容器の要部の概略断面図である。
図12図12図11のラベル付き容器を電子レンジで加熱した後の平面図である。
図13図13は本発明の他の実施形態のラベル付き容器の平面図である。
図14図14は本発明の更に他の実施形態のラベル付き容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の平面図であり、図2は、図1のA-A線に沿う概略断面図である。
【0040】
この実施形態のラベル付き容器1は、電子レンジで加熱される冷凍食品やチルド食品等の被加熱物2を収容した容器3と、容器3の蓋材であるトップシール4に貼着されたラベル5とを備えている。
【0041】
容器3は、上部に開口7を有すると共に、被加熱物2を収容する凹部を有する容器本体6と、この容器本体6の上部の開口7を塞ぐ上記トップシール4とを備えている。この実施形態では、容器本体6は、平面視で、略四角形、この例では、正方形の角部が丸みを帯びた略正方形であると共に、開口7の平面形状も略正方形である。ここで、略四角形とは、角部が丸み帯びたり、面取りされたり、窪んだりしたものをいう。
【0042】
この容器本体6は、略正方形の底部6aと、その周縁部から斜め外方へ立設された側壁部6bと、側壁部6bの上端、すなわち、開口7の周囲から外方に延びる開口縁であるフランジ部6cとを備えている。
【0043】
この容器3は、平面視略正方形のトップシール4が、容器本体6の開口7を覆うように、容器本体6のフランジ部6cの上面にヒートシールされてなる、いわゆるトップシール容器である。
【0044】
トップシール4は、その周縁部が、容器本体6のフランジ部6cの上面にヒートシールによって接合されている。したがって、このトップシール4と、容器本体6のフランジ部6cの接合領域は、平面視で略正方形の開口7を囲むように略正方形環状に形成されている。
【0045】
容器本体6及びトップシール4は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂から構成されている。この実施形態では、トップシール4は、PET等の透明材料から構成されている。
【0046】
この実施形態では、被加熱物2、例えば、冷凍ご飯が収容されたラベル付き容器1を、電子レンジで加熱する際に、そのまま電子レンジで加熱しても内圧の上昇によって容器が破裂することがないように、上記のラベル5がトップシール4に貼着されている。
【0047】
このラベル5は、ラベル付き容器1を、電子レンジで加熱して、被加熱物2から発生する蒸気で内圧が上昇したときに、後述のように当該ラベル5の貼着部分に蒸気抜き口を形成して蒸気を逃がし、破裂を防止するものである。
【0048】
図3は、容器3のトップシール4に貼着される前のラベル5、すなわち、セパレータ13に接着されているラベル5の概略断面図である。
【0049】
この実施形態のラベル5は、図1に示すように、平面形状が、正方形である。このラベル5は、電子レンジでの加熱時に発熱及び収縮の機能を発揮する積層体8と、この積層体8上の第1基材フィルム9と、この第1基材フィルム9に、第1粘着剤層10を介して積層された第2基材フィルム11と、積層体8の下層の第2粘着剤層12とを備えている。このラベル5は、第2粘着剤層12を介してセパレータ13に剥離可能に接着されている。
【0050】
積層体8は、少なくとも、加熱によって収縮するシュリンクフィルムである熱収縮性フィルム14と、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層としての発熱インク層15と、を備える。熱収縮性フィルム14と発熱インク層15とは、ラミネート層16を介して接着されて、積層体8として構成される。積層体8の熱収縮性フィルム14の下面には、第2粘着剤層12が形成されている。
【0051】
第1基材フィルム9及び第2基材フィルム11は、シュリンクフィルムのように加熱によって収縮する熱収縮性フィルムではなく、加熱によって収縮しない非熱収縮性フィルムである。これらの非熱収縮性フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等からなる。
【0052】
積層体8の熱収縮性フィルム14は、加熱によって収縮するシュリンクフィルムである。この熱収縮性フィルム14は、例えば、一軸延伸の熱収縮性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。
【0053】
この熱収縮性フィルム14は、一軸延伸の熱収縮性PETフィルムに限らず、例えば、熱収縮性ポリスチレン(PS)フィルム、熱収縮性ポリエチレン(PE)フィルム、熱収縮性ポリプロピレン(PP)フィルム、熱収縮性ポリ塩化ビニル(PV)フィルム、あるいは、PS(ポリスチレン)とPET(ポリエチレンテレフタレート)の積層系であるハイブリッド熱収縮性フィルム等を使用することができ、一軸延伸に限らず、二軸延伸の熱収縮性フィルムを使用してもよい。
【0054】
積層体8の発熱インク層15は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱インクからなる層である。この発熱インクは、マイクロ波を吸収して発熱する導電性材料を含んでいる。この導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、銀、アルミニウム、ITO(酸化インジウム錫)、ポリアニリン類などの導電性有機化合物を挙げることができる。
【0055】
この発熱インク層15は、マイクロ波を吸収して発熱し、その下層の熱収縮性フィルム14を加熱して収縮させると共に、トップシール4を加熱して、軟化させる。同様に、発熱インク層15は、マイクロ波を吸収して発熱し、その上層の第1基材フィルム9及び第2基材フィルム11を加熱して軟化させる。
【0056】
このように発熱インク層15は、マイクロ波を吸収して発熱するので、マイクロ波を充分に吸収できる位置に配置することが好ましい。
【0057】
電子レンジで冷凍食品やチルド食品等の被加熱物2を加熱する場合、照射したマイクロ波は、水分を多く含む被加熱物2に吸収される。このため、被加熱物2の上方のトップシール4に、ラベル5の発熱インク層15を位置させると、マイクロ波を吸収する被加熱物2によって反射するマイクロ波が減少し、発熱インク層15が吸収するマイクロ波が減少する。
【0058】
したがって、発熱インク層15、すなわち、ラベル5は、被加熱物2の上方となるトップシール4の中央部を避けて、被加熱物2の量が少ないトップシール4の周縁部に近接した位置に貼着するのが好ましい。
【0059】
ここで、「近接した位置」とは、トップシール4の周縁部に近い位置であり、開口7を覆うトップシール4の中央部を除く位置、すなわち、トップシール4の中央部以外の周囲の位置をいう。
【0060】
この「近接した位置」は、次のように規定することもできる。すなわち、トップシール4は、容器本体6の開口7を覆うものである。このトップシール4の周縁部は、容器本体6のフランジ部6cに接合されているので、トップシール4の周縁部の最も内周側は、フランジ部6cの内周縁となる。したがって、「近接した位置」は、フランジ部6cの内周縁に近接した位置となる。
【0061】
ここで、容器本体6の平面形状を、中心位置を変えることなく、例えば、1/3に縮小した相似形の容器本体を考える。この場合に、縮小した相似形の容器本体のフランジ部の内周縁と、元の容器本体6のフランジ部6cの内周縁とによって区画される領域内を、フランジ部6cに近接した位置、すなわち、トップシール4の周縁部に近接した位置としてもよい。
【0062】
なお、縮小の割合は、1/3に限らず、例えば、2/3、1/2、1/4、あるいは、3/4などとしてもよい。
【0063】
この実施形態では、ラベル5は、図1に示すように、略正方形のトップシール4の平面視で開口7に重なる領域であって、トップシール4の周縁部に近接した前記略正方形の一つの角部(図1では右上の角部)に貼着している。
【0064】
このように電子レンジで照射されるマイクロ波を吸収する被加熱物2の上方位置となるトップシール4の中央部を避けて、被加熱物2の量が少ないトップシール4の周縁部に近接した位置に、ラベル5を貼着している。これによって、ラベル5の発熱インク層15に与える被加熱物2の影響を低減することができる。したがって、発熱インク層15は、マイクロ波を充分に吸収して発熱することができ、この発熱によって、ラベル5の貼着部分を加熱して、蒸気抜き口を安定して形成することができる。
【0065】
また、発熱インク層15がマイクロ波を充分に吸収して発熱するので、電子レンジの出力ワット数が、家庭用の電子レンジのように、例えば、500ワットであってもマイクロ波を効率よく吸収して発熱し、蒸気抜き口を形成することができる。
【0066】
このラベル付き容器1を電子レンジで加熱した際に、トップシール4のラベル5の貼着部分には、蒸気抜き口が次のようにして形成されると考えられる。
【0067】
すなわち、電子レンジで加熱を開始すると、ラベル5の積層体8の発熱インク層15が、マイクロ波を吸収して発熱する。この発熱インク層15の発熱によって、その上層の第1,第2基材フィルム9,11が加熱されて軟化すると共に、その下層の熱収縮性フィルム14及びトップシール4も加熱されて軟化する。
【0068】
このとき、加熱された熱収縮性フィルム14が収縮し、この収縮に伴う引張り等の応力が、その下層のトップシール4に作用すると共に、その上層の第1,第2基材フィルム9,11等に作用する。
【0069】
また、マイクロ波が照射されて昇温した被加熱物2から発生した蒸気によって上昇した容器3の内圧もトップシール4及びラベル5に作用する。これによって、加熱によって軟化したトップシール4及びラベル5が、上昇する内圧によって膨らみ、軟化して弱くなった箇所が破けて蒸気抜き口が形成され、この蒸気抜き口を介して被加熱物2から生じた蒸気が容器3外へ排出される。
【0070】
このようにラベル5がトップシール4に貼着されているラベル付き容器1では、電子レンジで加熱した際の蒸気を抜くために、容器自体にノッチを設けるといった加工を施す必要がなく、トップシールにラベルを貼着するだけでよく、多種多様な容器に容易に適用することができる。
【0071】
図4は、電子レンジによる加熱の前後の容器本体6の開口7の角部付近を拡大した概略平面図である。図4(a)は加熱前のラベルの状態を、図4(b)は加熱後のラベルの状態をそれぞれ示している。この例のラベル5は、一辺が20mmの正方形である。また、この例では、電子レンジは、出力ワット数が、1500ワットであり、加熱時間が40秒である。
【0072】
電子レンジで加熱される前のラベル5は、図4(a)に示されるように、平面視正方形である。
【0073】
電子レンジで加熱することによって、上記のようにトップシール4及びラベル5が加熱されて軟化して膨らみ、弱くなった箇所が、図4(b)に示すように変形して破れる。これによって、トップシール4及びラベル5を貫通する複数の蒸気抜き口20が形成され、被加熱物2から生じた蒸気が蒸気抜き口20から排出される。
【0074】
なお、電子レンジの出力ワット数が、家庭用の電子レンジのような500ワットであっても、例えば、加熱時間を2分と長くすることによって、1500ワットの場合と同様に、蒸気抜き口20を形成して容器3内の蒸気を排出することができる。
【0075】
[実施形態2]
上記のように、電子レンジで加熱すると、ラベル5の貼着部分の加熱によって軟化して弱くなった箇所が破れて蒸気抜き口20が形成される。このため、電子レンジによる加熱の直後は、ラベル5の貼着部分は、蒸気抜き口20から蒸気が排出されて高温となっている。したがって、ラベル付き容器1を電子レンジから取り出す際に、ラベル5の貼着部分に、手を触れないように注意を喚起することが望まれる。
【0076】
図5は、本発明の他の実施形態のラベル付き容器1aの平面図であり、図1に対応する部分には、同一または対応する参照符号を付す。
【0077】
この実施形態のラベル付き容器1aでは、容器3は、上記実施形態の容器3と同じである。
【0078】
この実施形態のラベル5aは、上記実施形態のラベル5よりも一回り大きな正方形である。このラベル5aは、電子レンジの加熱によって上記のように軟化して膨らみ、蒸気抜き口が形成される正方形の積層領域5a1と、その周囲を囲む枠状の印刷のための印刷領域5a2とを備えている。
【0079】
この実施形態のラベル5aは、上記実施形態の平面形状が正方形のラベル5に相当する積層領域5a1の周囲に正方形環状の印刷領域5a2が追加された構成となっている。
【0080】
図6は、この実施形態のラベル5aの上記図3に対応する概略断面図であり、図3に対応する部分には、同一または対応する参照符号を付す。なお、この図6では、各層の構成を分かり易くするために、第1粘着剤層10を、セパレータ13から離間させた状態で示している。
【0081】
この図6において、第1,第2粘着剤層10,12、積層体8、第1基材フィルム9及び第2基材フィルム11の平面視で重なる正方形の領域が、上記実施形態のラベル5に相当する積層領域5a1である。
【0082】
この実施形態のラベル5aでは、第1粘着剤層10及び第2基材フィルム11が、前記積層領域5a1を囲むように一回り大きな正方形となっている。この一回り大きな正方形の領域、すなわち、積層体8に平面視で重ならない枠状の領域が、印刷層17が形成された印刷領域5a2となっている。
【0083】
この例では、枠状の印刷領域5a2には、積層領域5a1を区画するために全面にベタ印刷が施されているが、絵柄や文字等の印刷を行ってもよい。
【0084】
上記のように、印刷層17が形成されている枠状の印刷領域5a2の下には、加熱によって収縮する熱収縮性フィルム14及びマイクロ波を吸収して発熱する発熱インク層15が積層された積層体8は存在しない。このため、電子レンジで加熱した際に、発熱して収縮することがなく、膨れて蒸気抜き口が形成されることもない。
【0085】
図7は、電子レンジによる加熱の前後の容器本体6の開口7の角部付近を拡大した概略平面図である。図7(a)は加熱前のラベルの状態を、図7(b)は加熱後のラベルの状態をそれぞれ示している。この例のラベル5aは、積層領域5a1が、一辺が20mmの正方形であり、印刷領域が、幅5mmの枠状である。この例では、電子レンジは、出力ワット数が、1500ワットであり、加熱時間が40秒である。
【0086】
電子レンジで加熱される前のラベル5aは、図7(a)に示されるように、平面視正方形の積層領域5a1の周囲を、正方形の枠状の印刷領域5a2が囲んでいる。
【0087】
電子レンジで加熱することによって、枠状の印刷領域5a2で囲まれた積層体8を含む正方形の積層領域5a1では、上記実施形態のラベル5と同様に、加熱によって軟化し、内圧の上昇によって膨らんで弱くなった箇所が破れ、複数の蒸気抜き口20が形成されて、被加熱物2から生じた蒸気が蒸気抜き口20から排出される。
【0088】
これに対して、積層領域5a1の周囲を囲む枠状の印刷領域5a2では、その内周縁が、積層領域5a1の加熱による収縮等の影響を受けてやや変形しているものの、積層体8の発熱インク層15の発熱、及び、熱収縮性フィルム14の収縮の影響を殆ど受けることがない。このため、印刷領域5a2は、加熱によって膨らんだり、破れたりすることなく、正方形の枠状の状態を殆どそのまま維持している。
【0089】
したがって、この枠状の印刷領域5a2によって、蒸気抜き口20から蒸気が排出されて高温となっている積層領域5a1を区画して明示することができる。
【0090】
また、印刷領域5a2を大きくし、例えば、「熱い、注意」、「蒸気、注意」といった文字を印刷して、一層明確に注意を喚起するようにしてもよい。この場合、枠状の印刷領域5a2は、加熱によって膨らんだり、破れたりすることがないので、印刷した文字の視認性が損なわれることもない。
【0091】
この枠状の印刷領域5a2は、蒸気抜き口20が形成されることはないので、印刷層17を形成するインクが、蒸気抜き口20を介して容器3の内部へ入り込むことがない。
【0092】
電子レンジの出力ワット数が500ワットであっても、例えば、加熱時間を2分と長くすることによって、1500ワットの場合と同様に、蒸気抜き口20を形成して容器3内の蒸気を排出することができる。
【0093】
この実施形態では、印刷のための印刷領域5a2は、蒸気抜き口が形成される積層領域5a1の周囲を囲むように枠状であったが、枠状に限らず、例えば、積層領域の一部に連続する他の形状でもよい。また、印刷領域を、積層領域に平面視で重なるように形成してもよい。
【0094】
[実施形態3]
上記実施形態では、各ラベル5,5aの平面形状は、長手方向を有しない正方形である。電子レンジで加熱すると、図8のラベル付近を示す概略側面図に示すように、正方形のラベル5,5aの中央部が大きく膨らむことになる。
【0095】
このように大きく膨らんだ状態は、商品として見栄えのよいものではない。
【0096】
図9は、本発明の他の実施形態のラベル付き容器の平面図であり、図1に対応する部分には、同一または対応する参照符号を付す。
【0097】
この実施形態のラベル5bは、上記図1の実施形態のラベル5のような平面形状が正方形ではなく、長手方向を有する細長い長方形である。このラベル5bでは、マイクロ波を吸収して発熱する発熱インク層15の面積を、上記実施形態のラベル5の面積と同じにしている。具体的には、このラベル5bの幅を、上記実施形態のラベル5の幅の1/2とし、ラベル5bの長さを、ラベル5の長さの2倍としている。
【0098】
このようにラベル5bは、その平面形状が異なるだけで、その他の構成は、図1の実施形態のラベル5と同じである。
【0099】
このラベル5bは、容器本体6の平面形状が略正方形の開口7の角部付近に、その長手方向が、略正方形の一辺に沿うように、トップシール4の周縁部に近接した位置に貼着されている。
【0100】
これによって、電子レンジで加熱する際に、マイクロ波を吸収する被加熱物2の影響を低減することができ、ラベル5bに、上記実施形態のラベル5と同様に蒸気抜き口を形成することができる。
【0101】
しかも、ラベル5bは細長い形状であるので、蒸気抜き口を形成したときの膨らみが少ない。したがって、上記実施形態の正方形のラベル5のように中央部が大きく膨らんで目立つことがなく、見栄えが改善される。
【0102】
[実施形態4]
図10は、本発明の更に他の実施形態のラベル付き容器の平面図であり、図1に対応する部分には、同一または対応する参照符号を付す。
【0103】
上記各実施形態では、ラベル5,5a,5bは、いずれもトップシール4の平面視で容器本体6の開口7に重なる領域であって、トップシール4の周縁部に近接した位置に貼着された。
【0104】
これに対して、この実施形態のラベル5cは、長手方向を有する細長い長方形であって、その長手方向の一端側が、平面視で容器本体6の開口7に重なる領域に位置すると共に、他端側がトップシール4の周縁部に延びて、トップシール4と容器本体6との接合領域に重なっている。このラベル5cは、その長手方向が、トップシール4の周縁部が接合された略正方形環状の接合領域の角部から開口7の中央部へ向かう方向に沿うように貼着されている。
【0105】
このラベル5cでは、図9の実施形態のラベル5bに比べて、幅を1/2とし、長さを2倍にしているので、ラベル5cの面積は、上記実施形態のラベル5,5bの面積と同じである。
【0106】
このようにラベル5cは、その平面形状が異なるだけで、その他の構成は、上記実施形態のラベル5,5bと同じである。
【0107】
容器本体6の開口7を覆うトップシール4の周縁部と容器本体6の開口縁であるフランジ部6cとの接合領域には、電子レンジで加熱した際に、被加熱物2から生じる蒸気によって上昇する内圧が、トップシール4を、容器本体6のフランジ部6cから剥離させるように作用する。
【0108】
この実施形態では、ラベル5cの一部が、この接合領域に重なっている。このため、電子レンジで加熱すると、ラベル5cが重なっている接合領域には、上昇する内圧に加えて、マイクロ波を吸収して発熱する発熱インク層15によって加熱されると共に、加熱された熱収縮性フィルム14の収縮によって生じる引張り等の応力が作用する。
【0109】
このようにラベル5cが重なっている接合領域には、上昇する内圧によって、トップシール4を、容器本体6の開口縁であるフランジ部6cから剥離させようとする力が作用する。また、トップシール4に熱収縮性フィルム14の収縮に伴う応力が作用する。更に、トップシール4はマイクロ波を吸収した発熱インク層15による加熱によって軟化する。
【0110】
このため、この実施形態では、電子レンジで加熱すると、ラベル5cが重なった接合領域のトップシール4の一部が剥離し、剥離した箇所から容器3内の蒸気が排出されると共に、ラベル5c自体にも上記各実施形態と同様に蒸気抜き口が形成されて容器3内の蒸気が排出される。
【0111】
このように本実施形態では、電子レンジで加熱すると、ラベル5c自体に形成される蒸気抜き口、及び、ラベル5cが重なっている接合領域におけるトップシール4のフランジ部6cからの剥離箇所の少なくともいずれか一方から容器3内の蒸気を排出することができるので、容器3の内圧が過度に上昇して容器3が破裂するのを確実に防止することができる。
【0112】
[実施形態5]
上記図10の実施形態では、ラベル5cの他端側は、容器本体6のフランジ部6cの上面に接合されたが、本発明の他の実施形態として、図11のフランジ部付近の概略断面図に示すように、ラベル5cの他端側を、容器本体6のフランジ部6cの上面、側面及び下面を覆うように接合してもよい。この場合、ラベル5cの長手方向の長さを長くしてもよいし、ラベル5cの貼着位置をずらして、容器本体6のフランジ部6cの下面まで覆うようにしてもよい。
【0113】
このようにトップシール4の周縁部と容器本体6のフランジ部6cの接合領域を上下で挟むようにラベル5cを貼着することによって、電子レンジで加熱した際には、トップシール4の周縁部と容器本体6のフランジ部6cの接合領域は、ラベル5cの上下の発熱インク層15の発熱によって一層加熱が促進されると共に、上下の熱収縮性フィルム14の収縮による応力が作用することになる。これによって、ラベル5cによって挟まれたトップシール4の周縁部と容器本体6のフランジ部6cの接合領域の剥離が一層促進され、接合領域を確実に剥離させて蒸気を排出することができる。
【0114】
このように上下のラベル5cによる加熱及び応力が加わるので、加熱後のフランジ部6cは、図12の概略平面図に示すように、ラベル5cが貼着されたフランジ部6cの角部の外周縁が、中央側へ食い込むように変形する。
【0115】
この容器本体6のフランジ部6cの変形によって、高温となった領域を視覚的に認識でき、注意を喚起することができる。
【0116】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0117】
(1)長手方向を有しない形状のラベル、例えば平面視正方形のラベル5を、図13に示すように、その一部が、トップシールの周縁部4と容器本体6のフランジ部6cとの接合領域に重なるように貼着してもよい。
【0118】
(2)図14に示すように、ラベル5dを長くして、容器本体6の略正方形の開口7の一辺に沿うように貼着してもよい。
【0119】
(3)ラベルの形状やサイズは、上記実施形態に限らない。形状は、四角形に限らず、三角形や五角形以上の多角形、円形、楕円形、星形等の他の形状であってもよい。
【0120】
また、容器本体の形状、及び、開口の形状も正方形に限らず、長方形や五角形以上の多角形、円形、楕円形等の他の形状であってもよい。
【0121】
(4)第2基材フィルム11及び第1粘着剤層10は、省略してもよい。この場合、印刷層は、第1基材フィルム9上に形成すればよい。
【0122】
(5)上記実施形態では、熱収縮性フィルム14の上に、発熱インク層15を形成したが、熱収縮性フィルム14の下に、発熱インク層15を形成してもよい。
【0123】
(6)基材フィルムの材質によっては、第1基材フィルム9と発熱インク層15との間にアンカー層を設けてもよい。
【0124】
(7)印刷用のインクとして、温度の変化によって色が変化する示温インクを使用してもよい。この場合、電子レンジによる加熱で高温となった領域の色を変化させて注意を喚起することができる。
【符号の説明】
【0125】
1,1a,1b,1c,1d ラベル付き容器
2 被加熱物
3 容器
4 トップシール
5,5a,5b,5c,5d ラベル
6 容器本体
7 開口
8 積層体
9 第1基材フィルム
11 第2基材フィルム
14 熱収縮性フィルム
15 発熱インク層
17 印刷層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14