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特開2024-94523端末装置、咀嚼力向上支援システム及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094523
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】端末装置、咀嚼力向上支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240703BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211119
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】川延 勇介
(72)【発明者】
【氏名】永盛 明日香
(72)【発明者】
【氏名】森下 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】植村 彩貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓志
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 知佳
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの咀嚼力レベルを継続的に向上させる。
【解決手段】端末装置は、判定対象者による判定対象物の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像と、判定姿勢における判定対象物の咀嚼結果を複数の段階の例示画像によって示す選択肢画像とを表示させる選択肢表示制御部と、選択肢画像から選択された例示画像が示す段階に基づいて、判定対象者の咀嚼力の点数を算出する算出部と、算出部が算出する点数の積算値を記憶する記憶部と、算出部が算出する点数を、外部の集計装置に送信する送信部と、算出部が算出する点数または積算値に基づいて、判定対象者の咀嚼力の評価結果を表示させる結果表示制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象者による判定対象物の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像と、前記判定姿勢における前記判定対象物の咀嚼結果を複数の段階の例示画像によって示す選択肢画像とを表示させる選択肢表示制御部と、
前記選択肢画像から選択された前記例示画像が示す段階に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の点数を算出する算出部と、
前記算出部が算出する前記点数の積算値を記憶する記憶部と、
前記算出部が算出する前記点数を、外部の集計装置に送信する送信部と、
前記算出部が算出する前記点数または前記積算値に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の評価結果を表示させる結果表示制御部と、
を備える端末装置。
【請求項2】
前記咀嚼結果は、前記判定対象物を咀嚼した第1の咀嚼判定回数における第1段階と、前記判定対象物を前記第1段階からさら咀嚼して前記第1の咀嚼判定回数よりも咀嚼回数が多い第2の咀嚼判定回数における第2段階とにおいて判定されるものであって、
前記選択肢表示制御部は、前記第1段階と、前記第2段階とのそれぞれにおいて、前記選択肢画像を表示させ、
前記算出部は、前記第1段階における前記点数の重みを、前記第2段階における前記点数の重みよりも重くして、前記点数を算出する
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第1の咀嚼判定回数は、20回から30回の間のいずれかの回数であり、
前記第2の咀嚼判定回数は、40回から60回の間のいずれかの回数である
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記判定対象物は、色が互いに異なる第1色の咀嚼対象物と第2色の咀嚼対象物とを組み合わせたものであり、前記第1色の咀嚼対象物と、前記第2色の咀嚼対象物とを混合することにより前記第1色及び前記第2色といずれも異なる第3色になるものであって、
前記例示画像が示す段階には、前記第1色の咀嚼対象物と、前記第2色の咀嚼対象物とが混合されずに、咀嚼前に存在している互いの境界線の形状が残っている第1段階と、前記形状が残っていない第2段階とを少なくとも含む
請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
歯並びの判定姿勢を示すガイド画像を表示させる歯並びガイド画像表示制御部と、
前記判定対象者の歯並びを撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像した歯並びの画像に基づいて、前記判定対象者の歯並びの状態を判定する歯並び判定部と、
をさらに備える請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記歯並びガイド画像表示制御部は、前記判定対象者の顔の正面から歯並びを撮像する第1段階と、前記判定対象者の顔の左側からの歯並び及び顔の右側からの歯並びをそれぞれ撮像する第2段階との順に、前記ガイド画像を表示させる
請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記歯並び判定部は、
前記歯並びの状態が所定の第1状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせ、
前記歯並びの状態が所定の第2状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせずに、歯科検診を促す画像を表示させる
請求項5に記載の端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の端末装置と、前記集計装置とを備える咀嚼力向上支援システムであって、
前記集計装置は、
前記送信部から送信される前記点数を受信する受信部と、
前記受信部が受信する前記点数に基づいて、咀嚼力向上強度の段階に応じて用意される複数の種類の物品の中から、前記判定対象者に提供する物品の種類を選択する選択部と、
を備える咀嚼力向上支援システム。
【請求項9】
コンピュータに、
判定対象者による判定対象物の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像と、前記判定姿勢における前記判定対象物の咀嚼結果を複数の段階の例示画像によって示す選択肢画像とを表示させることと、
前記選択肢画像から選択された前記例示画像が示す段階に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の点数を算出することと、
算出された前記点数の積算値を記憶することと、
算出された前記点数を、外部の集計装置に送信することと、
算出された前記点数または前記積算値に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の評価結果を表示させることと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、咀嚼力向上支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に成長時期の子どもの咀嚼機能の低下が著しいことが指摘されている。したがって、セルフケア領域において、子どもの健全な成長に必要な歯みがき習慣、口腔機能向上の習慣化を長期に渡ってサポートすることが求められる。
従来、例えば、コンピュータによって咀嚼改善の提案を行うシステムとして、例えば特許文献1のような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-126288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来技術によると、咀嚼機能の判定システム構成が比較的複雑なものとなってしまい、ユーザが簡潔な手順で操作することが困難であった。このような従来技術によると、ユーザに飽きさせることなく、ユーザの咀嚼力レベルを継続的に向上させることまでは、必ずしもできないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、判定対象者による判定対象物の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像と、前記判定姿勢における前記判定対象物の咀嚼結果を複数の段階の例示画像によって示す選択肢画像とを表示させる選択肢表示制御部と、前記選択肢画像から選択された前記例示画像が示す段階に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の点数を算出する算出部と、前記算出部が算出する前記点数の積算値を記憶する記憶部と、前記算出部が算出する前記点数を、外部の集計装置に送信する送信部と、前記算出部が算出する前記点数または前記積算値に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の評価結果を表示させる結果表示制御部と、を備える端末装置である。
【0006】
本発明の一実施形態の端末装置において、前記咀嚼結果は、前記判定対象物を咀嚼した第1の咀嚼判定回数における第1段階と、前記判定対象物を前記第1段階からさら咀嚼して前記第1の咀嚼判定回数よりも咀嚼回数が多い第2の咀嚼判定回数における第2段階とにおいて判定されるものであって、前記選択肢表示制御部は、前記第1段階と、前記第2段階とのそれぞれにおいて、前記選択肢画像を表示させ、前記算出部は、前記第1段階における前記点数の重みを、前記第2段階における前記点数の重みよりも重くして、前記点数を算出する。
【0007】
本発明の一実施形態の端末装置において、前記第1の咀嚼判定回数は、20回から30回の間のいずれかの回数であり、前記第2の咀嚼判定回数は、40回から60回の間のいずれかの回数である。
【0008】
本発明の一実施形態の端末装置において、前記判定対象物は、色が互いに異なる第1色の咀嚼対象物と第2色の咀嚼対象物とを組み合わせたものであり、前記第1色の咀嚼対象物と、前記第2色の咀嚼対象物とを混合することにより前記第1色及び前記第2色といずれも異なる第3色になるものであって、前記例示画像が示す段階には、前記第1色の咀嚼対象物と、前記第2色の咀嚼対象物とが混合されずに、咀嚼前に存在している互いの境界線の形状が残っている第1段階と、前記形状が残っていない第2段階とを少なくとも含む。
【0009】
本発明の一実施形態の端末装置において、歯並びの判定姿勢を示すガイド画像を表示させる歯並びガイド画像表示制御部と、前記判定対象者の歯並びを撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像した歯並びの画像に基づいて、前記判定対象者の歯並びの状態を判定する歯並び判定部と、をさらに備える。
【0010】
本発明の一実施形態の端末装置において、前記歯並びガイド画像表示制御部は、前記判定対象者の顔の正面から歯並びを撮像する第1段階と、前記判定対象者の顔の左側からの歯並び及び顔の右側からの歯並びをそれぞれ撮像する第2段階との順に、前記ガイド画像を表示させる。
【0011】
本発明の一実施形態の端末装置において、前記歯並び判定部は、前記歯並びの状態が所定の第1状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせ、前記歯並びの状態が所定の第2状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせずに、歯科検診を促す画像を表示させる。
【0012】
本発明の一実施形態は、前記端末装置と、前記集計装置とを備える咀嚼力向上支援システムであって、前記集計装置は、前記送信部から送信される前記点数を受信する受信部と、前記受信部が受信する前記点数に基づいて、咀嚼力向上強度の段階に応じて用意される複数の種類の物品の中から、前記判定対象者に提供する物品の種類を選択する選択部と、を備える咀嚼力向上支援システムである。
【0013】
本発明の一実施形態は、コンピュータに、判定対象者による判定対象物の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像と、前記判定姿勢における前記判定対象物の咀嚼結果を複数の段階の例示画像によって示す選択肢画像とを表示させることと、前記選択肢画像から選択された前記例示画像が示す段階に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の点数を算出することと、算出された前記点数の積算値を記憶することと、算出された前記点数を、外部の集計装置に送信することと、算出された前記点数または前記積算値に基づいて、前記判定対象者の咀嚼力の評価結果を表示させることと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザの歯並びや咀嚼力レベルの判定と、判定の結果に基づいた物品の提供とを継続的に行える仕組みを提供することにより、ユーザに飽きさせることなく、ユーザの咀嚼力レベルを継続的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の咀嚼力向上支援システムの機能構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態の判定対象物の一例を示す図である。
図3】本実施形態の判定対象物の利用時の形態の一例を示す図である。
図4】本実施形態の端末装置の動作の流れの一例を示す図である。
図5】本実施形態の記憶部が記憶する規定点数情報の一例を示す図である。
図6】本実施形態の記憶部が記憶する積算値情報の一例を示す図である。
図7】本実施形態の記憶部が記憶する物品情報の一例を示す図である。
図8】本実施形態の端末装置に表示されるログイン画面の一例を示す図である。
図9】本実施形態の端末装置に表示される情報登録画面の一例を示す図である。
図10】本実施形態の端末装置に表示される歯並びチェック開始画面の一例を示す図である。
図11】本実施形態の端末装置に表示される正面撮影画面の一例を示す図である。
図12】本実施形態の端末装置に表示される左面撮影画面の一例を示す図である。
図13】本実施形態の端末装置に表示される右面撮影画面の一例を示す図である。
図14】本実施形態の端末装置に表示される歯並びチェック結果画面の一例を示す図である。
図15】本実施形態の端末装置が表示する咀嚼力測定開始画面の一例を示す図である。
図16】本実施形態の端末装置が表示するチェック1回目開始画面の一例を示す図である。
図17】本実施形態の端末装置が表示するチェック1回目進行画面の一例を示す図である。
図18】本実施形態の端末装置が表示するチェック1回目状態選択画面の一例を示す図である。
図19】本実施形態の端末装置が表示する選択肢画像の一例を示す図である。
図20】本実施形態の端末装置が表示するチェック2回目開始画面の一例を示す図である。
図21】本実施形態の端末装置が表示するチェック2回目状態選択画面の一例を示す図である。
図22】本実施形態の端末装置に表示される付与ポイント表示画面の一例を示す図である。
図23】本実施形態の端末装置に表示される咀嚼力チェック結果画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本実施形態の咀嚼力向上支援システム1について説明する。
図1は、本実施形態の咀嚼力向上支援システム1の機能構成の一例を示す図である。
咀嚼力向上支援システム1は、端末装置10と、集計装置20とを備える。端末装置10と集計装置20とは、ネットワークNを介して互いに接続される。
集計装置20は、例えば、サーバ装置によって構成される。端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレットによって構成される。
【0017】
なお、以下の説明において、端末装置10が各種の演算機能を備えている、いわゆるネイティブアプリケーションとして構成される場合を一例として説明するが、これに限られない。端末装置10が備えるものとして説明する演算機能の一部または全部を、外部の装置(例えば、集計装置20や、その他のウェブサーバ装置)が備えている、いわゆるウェブアプリケーションとして構成されていてもよい。
【0018】
[咀嚼力向上支援サービス(噛む育サービス)の概要]
本実施形態の咀嚼力向上支援システム1が提供する咀嚼力向上支援サービスは、セルフケア領域において、子どもの健全な成長に必要な歯みがき習慣、口腔機能向上の習慣化を長期に渡ってサポートするものである。
咀嚼力向上支援サービスは、サービスの利用者が端末装置10を操作して、咀嚼力レベルの判定対象者(以下の説明において、ユーザUとも記載する。)の歯並びや咀嚼力レベルを判定する判定段階と、判定の結果に基づいた学び・トレーニング段階とによって構成される。
【0019】
判定段階の歯並び判定においては、端末装置10で動作するアプリケーションソフトウエアが提供するガイド画像などに基づいて、端末装置10のカメラを利用してユーザUの歯並びを撮像することにより、ユーザUの歯並びを判定する。
【0020】
判定段階の咀嚼力レベル判定においては、咀嚼力向上支援サービスの参加者に提供される判定対象物(例えば、2色のチューイングガムや、風船ガム)をユーザUが咀嚼した結果に基づいて、ユーザUの咀嚼力レベルを判定する。
例えば、判定対象物として2色のチューイングガムが提供される場合には、ユーザUが2色のチューイングガムを咀嚼することにより、混合されたチューイングガムの状態に基づいて、ユーザUの咀嚼力レベルを判定する。
また、例えば、判定対象物として風船ガムが提供される場合には、ユーザUが風船ガムを咀嚼して膨らませた際の、風船ガムの状態に基づいて、ユーザUの咀嚼力レベルを判定する。
【0021】
学び・トレーニング段階においては、ユーザU毎の歯並びの判定結果や、咀嚼力レベルの判定結果に基づいて、ユーザUの咀嚼力レベルを向上させるための物品(例えば、グミキャンディー)が提供される。ユーザUは、提供された物品(例えば、グミキャンディー)を咀嚼することにより、咀嚼力レベルが向上される。
以下、咀嚼力向上支援システム1の構成の具体例について図を参照しつつ説明する。
【0022】
なお、本実施形態の一例では、咀嚼力レベルの判定対象者(すなわち、ユーザU)が、幼児または児童など、特に歯の生えかわり時期や生えそろい時期の小児であり、ユーザUの保護者が端末装置10を操作するとして説明する。
【0023】
[端末装置10の機能構成]
端末装置10は、操作部110と、表示部120と、撮像部130と、送信部140と、制御部150と、記憶部160とを備える。
操作部110、例えば、タッチパネルを備えており、端末装置10の利用者による操作を検出する。
表示部120は、例えば、液晶ディスプレイを備えており、撮像部130によって撮像される画像や、制御部150によって生成される情報を表示する。
撮像部130は、例えば、カメラを備えており、端末装置10の周囲の所定の画角内を撮像する。
送信部140は、ネットワークNを介して集計装置20に情報を送信する。
記憶部160は、制御部150の動作プログラムや各種のデータを記憶する。
なお、端末装置10と集計装置20との間において、画像や文字などの情報は、上述したようにネットワークNを介して通信されるが、以下の説明においては、「ネットワークNを介する」との説明は省略する。
【0024】
[制御部150の機能構成]
制御部150は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを備えており、各種の機能を提供する。
制御部150は、選択肢表示制御部151と、算出部152と、結果表示制御部153と、ガイド画像表示制御部154と、歯並び判定部155とを、その機能部として備える。
【0025】
選択肢表示制御部151は、判定対象物30の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像を表示させる。ここで、図2を参照して、判定対象物30の一例について説明する。
【0026】
[判定対象物30の構成]
図2は、本実施形態の判定対象物30の一例を示す図である。本実施形態において、判定対象物30とは、チューイングガム(以下、単にガムとも記載する。)である。
判定対象物30は、第1色の咀嚼対象物31(例えば、赤色のガム)と、第2色の咀嚼対象物32(例えば、青色のガム)との2色のガムによって構成される。なお、第1色の咀嚼対象物31及び第2色の咀嚼対象物32は、目視によって境界線33が互いに判別できるものであればよく、赤・青の組み合わせに限られず、例えば白・黒の組み合わせや、緑・黄の組み合わせなどであってもよい。
【0027】
判定対象物30は、第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32とが個別に包装されており、利用者が積層して利用する構成になっていてもよいし、第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32とがあらかじめ積層されて包装されている構成であってもよい。
【0028】
なお、判定対象物30は、咀嚼力のチェック機能に加えて、例えば、風船ガムのように口唇、舌、歯などを使用して膨らませることによって咀嚼力や口腔機能を高める機能(すなわち、トレーニング機能)を有するものであってもよい。
【0029】
以下の説明において、端末装置10を操作する者を、端末装置10の操作者(または、単に操作者)とも記載する。
なお、ユーザUは、小児に限られず、例えば大人であってもかまわない。また、端末装置10をユーザUが操作してもよい。この場合、端末装置10の操作者と、咀嚼力レベルの判定対象者(つまり、ユーザU)とが同一人物であってもかまわない。
【0030】
図3は、本実施形態の判定対象物30の利用時の形態の一例を示す図である。ユーザU(あるいは、その保護者)は、第1色の咀嚼対象物31と、第2色の咀嚼対象物32とが積層された状態の判定対象物30と、ユーザUの口内のサイズに合わせて折りたたむ。例えば、同図に示すように、三つ折りにする。
ユーザUは、第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32とが積層されて、境界線33が明確に判別可能な状態の判定対象物30を口内に入れて咀嚼する。判定対象物30を咀嚼した結果(以下、単に咀嚼結果とも記載する。)は、端末装置10の操作者によって判定される。
【0031】
図1に戻り、選択肢表示制御部151は、ユーザU(判定対象者)による判定対象物30の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示すガイド画像P111と、判定姿勢における判定対象物30の咀嚼結果を複数の段階の選択肢画像P112-1~4(例示画像)によって示す選択肢画像P112とを表示させる。
算出部152は、選択肢画像P112から選択された選択肢画像P112が示す段階に基づいて、ユーザU(判定対象者)の咀嚼力の点数を算出する。
記憶部160は、算出部152が算出する点数の積算値(積算値情報D2)を記憶する。
送信部140は、算出部152が算出する点数を、外部の集計装置20に送信する。
結果表示制御部153は、算出部152が算出する点数または積算値に基づいて、ユーザU(判定対象者)の咀嚼力の咀嚼力レベル提示画面P151(評価結果)を表示させる。
【0032】
[集計装置20の機能構成]
集計装置20は、受信部210と、選択部220と、記憶部230とを備える。
受信部210は、送信部140から送信される点数を受信する。
選択部220は、受信部210が受信する点数に基づいて、咀嚼力の段階に応じて用意される複数の種類の物品の中から、ユーザU(判定対象者)に提供する物品の種類を選択する。
記憶部230は、積算値情報D2及び物品情報D3を記憶する。
【0033】
[端末装置10の動作]
以下、咀嚼力向上支援システム1の動作の流れを説明しつつ、その機能構成の詳細について併せて説明する。
図4は、本実施形態の端末装置10の動作の流れの一例を示す図である。
【0034】
図5は、本実施形態の記憶部160が記憶する規定点数情報D1の一例を示す図である。記憶部160には、判定対象物30の混合状態MSの段階と、各段階の評価点とが対応付けられた情報が、規定点数情報D1として記憶されている。
【0035】
図6は、本実施形態の記憶部160が記憶する積算値情報D2の一例を示す図である。記憶部160には、ユーザUを識別するユーザIDと、ユーザU毎の獲得点数の積算値とが対応付けられた情報が、積算値情報D2として記憶されている。
【0036】
図7は、本実施形態の記憶部230が記憶する物品情報D3の一例を示す図である。記憶部230には、ユーザUの咀嚼力の段階(咀嚼力レベルLV)と、咀嚼力の段階に応じてユーザUに提供される物品の種類とが対応付けられて、物品情報D3として記憶されている。
【0037】
図8は、本実施形態の端末装置10に表示されるログイン画面P1の一例を示す図である。端末装置10の操作者は、ログインボタンPLを操作して、咀嚼力向上支援システム1が提供するアプリケーション(例えば、噛む育アプリ)にログインして、操作を開始する。
【0038】
図9は、本実施形態の端末装置10に表示される情報登録画面P2の一例を示す図である。端末装置10の操作者は、永久歯情報入力画面P21を操作して、ユーザUの歯の生えかわりの状態を登録する。操作者は、操作ボタンP22を操作して次の画面に処理を進める。
【0039】
図10は、本実施形態の端末装置10に表示される歯並びチェック開始画面P3の一例を示す図である。歯並びチェック開始画面P3には、ユーザUの歯並びを評価する際の、歯並びの分類を示す画像(歯並び例示画面P31)が含まれる。
【0040】
[歯並び判定動作]
図4に戻り説明を続ける。咀嚼力向上支援システム1は、ステップS10からステップS80までにおいて、ユーザUの歯並び判定動作を行う。
【0041】
(ステップS10)端末装置10は、正面撮影画面P4を表示させる。
(ステップS20)端末装置10の撮像部130は、ユーザUの正面から見た歯並び(歯並びの正面)を撮像する。
【0042】
図11は、本実施形態の端末装置10に表示される正面撮影画面P4の一例を示す図である。正面撮影画面P4には、撮像画像P41と、撮像ガイド画像P42と、操作ボタンP43とが含まれる。
ガイド画像表示制御部154は、歯並びの判定姿勢を示す撮像ガイド画像P42を表示させる。撮像部130は、ユーザU(判定対象者)の歯並びを撮像する。制御部150は、撮像部130によって撮像した画像を撮像画像P41として表示部120に表示させる。
操作者は、操作ボタンP43を操作することにより、歯並びの正面画像を取り直す、又は、処理を次に進める。
表示部120に撮像ガイド画像P42が表示されることにより、操作者は、容易に、ユーザUの歯並びの画像を歯並びの判定に適した態様にして撮像することができる。
【0043】
なお、端末装置10は、撮像部130によって撮像した画像を操作者の操作によってトリミングする機能を提供してもよい。
【0044】
また、端末装置10は、歯並び判定動作において、ユーザUの行動(例えば、早食い、指しゃぶり、口呼吸、うつぶせ寝、頬杖、舌を出す、爪を噛むなど)や、状況(例えば、硬いものが食べにくい、やわらかいものばかり食べるなど)に関するアンケートを実施してもよい。端末装置10は、アンケート結果を、歯並び判定の条件に用いてもよい。
【0045】
(ステップS30)端末装置10は、左面撮影画面P5を表示させる。
(ステップS40)端末装置10の撮像部130は、ユーザUの左面から見た歯並び(歯並びの左面)を撮像する。
【0046】
図12は、本実施形態の端末装置10に表示される左面撮影画面P5の一例を示す図である。左面撮影画面P5には、撮像画像P51と、撮像ガイド画像P52と、操作ボタンP53とが含まれる。
ガイド画像表示制御部154は、歯並びの判定姿勢を示す撮像ガイド画像P52を表示させる。撮像部130は、ユーザU(判定対象者)の歯並びを撮像する。制御部150は、撮像部130によって撮像した画像を撮像画像P51として表示部120に表示させる。
操作者は、操作ボタンP53を操作することにより、歯並びの左面画像を取り直す、又は、処理を次に進める。
表示部120に撮像ガイド画像P52が表示されることにより、操作者は、容易に、ユーザUの歯並びの画像を歯並びの判定に適した態様にして撮像することができる。
【0047】
(ステップS50)端末装置10は、右面撮影画面P6を表示させる。
(ステップS60)端末装置10の撮像部130は、ユーザUの右面から見た歯並び(歯並びの右面)を撮像する。
【0048】
図13は、本実施形態の端末装置10に表示される右面撮影画面P6の一例を示す図である。右面撮影画面P6には、撮像画像P61と、撮像ガイド画像P62と、操作ボタンP63とが含まれる。
ガイド画像表示制御部154は、歯並びの判定姿勢を示す撮像ガイド画像P62を表示させる。撮像部130は、ユーザU(判定対象者)の歯並びを撮像する。制御部150は、撮像部130によって撮像した画像を撮像画像P61として表示部120に表示させる。
操作者は、操作ボタンP63を操作することにより、歯並びの右面画像を取り直す、又は、処理を次に進める。
表示部120に撮像ガイド画像P62が表示されることにより、操作者は、容易に、ユーザUの歯並びの画像を歯並びの判定に適した態様にして撮像することができる。
【0049】
すなわち、ガイド画像表示制御部154は、ユーザU(判定対象者)の顔の正面から歯並びを撮像する第1段階と、ユーザU(判定対象者)の顔の左側からの歯並び及び顔の右側からの歯並びをそれぞれ撮像する第2段階との順に、撮像ガイド画像P42を表示させる。
このように構成された咀嚼力向上支援システム1によれば、第1段階においてユーザUの歯並びの全体像を取得することができるため、歯並びの判定を容易に行うことができる。
また、ユーザUの左右方向から撮像する場合に比べて、一般的に慣れているポーズであるユーザUの正面から撮像する場合のほうが、ユーザUや操作者にとって撮像しやすい。上述のように、左右方向からの撮像に先立って正面方向からの撮像を行うように構成された本実施形態の咀嚼力向上支援システム1によれば、ユーザUや操作者にとって扱いやすいアプリケーションソフトウエアを提供することができる。
【0050】
(ステップS60)端末装置10の歯並び判定部155は、ステップS10からステップS50において撮像された正面及び左右方向のユーザUの歯並びの画像に基づいて、ユーザUの歯並びの状態を判定する。
すなわち、歯並び判定部155は、撮像部130で撮像した歯並びの画像に基づいて、ユーザU(判定対象者)の歯並びの状態を判定する。
【0051】
図14は、本実施形態の端末装置10に表示される歯並びチェック結果画面P7の一例を示す図である。歯並びチェック結果画面P7には、撮像画像P71と、種類判定結果画面P72と、該当確率画面P73と、歯並び種類例示画面P74とが含まれる。撮像画像P71は、ユーザUの現在の歯並びの状態を示す。種類判定結果画面P72は、歯並び判定部155による歯並びの種類の判定結果を示す。ここで歯並びの種類とは、図10に示した歯並び例示画面P31に示される種類であり、以下に示すような型がある。
(1)ガタガタ型
(2)上の前歯が前に出ている型
(3)噛み合わせが深い型
(4)前歯が閉じない型
(5)受け口型
(6)正常型
【0052】
歯並び判定部155は、ユーザUの歯並びが、これら(1)~(6)のいずれに分類されるのかを種類判定結果画面P72として、各分類への該当確率を該当確率画面P73として、歯並び種類例示画面P74とともに、表示部120に表示させる。
【0053】
(ステップS70)図4に戻り、歯並び判定部155は、ユーザUの歯並びの状態が基準内であるか否かを判定する。
ここで基準内とは、ユーザUの咀嚼力を向上させるために咀嚼力向上支援システム1が提供する物品(例えば、グミキャンディー)をユーザUが使用することによって、咀嚼力の向上や、歯並びの改善が図れる場合をいう。また、基準外とは、ユーザUの咀嚼力を向上させるために咀嚼力向上支援システム1が提供する物品(例えば、グミキャンディー)をユーザUが使用したとしても、咀嚼力の向上や、歯並びの改善が図りにくい場合や、歯並びの改善にあたり歯科医師等の診察、指導、治療等が必要になる場合をいう。
【0054】
ユーザUの歯並びの状態が基準内であることを、歯並びの状態が所定の第1状態であるともいう。
ユーザUの歯並びの状態が基準外であることを、歯並びの状態が所定の第2状態であるともいう。
【0055】
歯並び判定部155は、ユーザUの歯並びの状態が基準内である(すなわち、第1状態である)と判定した場合(ステップS70;YES)には、制御部150は、処理をステップS90に進める。
歯並び判定部155は、ユーザUの歯並びの状態が基準内でない(すなわち、第2状態である)と判定した場合(ステップS70;NO)には、制御部150は、処理をステップS80に進める。
【0056】
(ステップS80)ユーザUの歯並びの状態が基準内でない(すなわち、第2状態である)と判定された場合、歯並び判定部155は、歯科検診を促す画像(不図示)を表示させて、一連の処理を終了する。
(ステップS90)一方、ユーザUの歯並びの状態が基準内である(すなわち、第1状態である)と判定された場合、歯並び判定部155は、咀嚼力測定開始画面P8を表示させる。
すなわち、歯並び判定部155は、歯並びの状態が所定の第1状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせ、歯並びの状態が所定の第2状態である場合には、咀嚼結果の判定をさせずに、歯科検診を促す画像を表示させる。
【0057】
[咀嚼チェック動作]
咀嚼力向上支援システム1は、ステップS90からステップS190までにおいて、ユーザUの咀嚼チェック動作を行う。咀嚼力向上支援システム1は、ユーザUの咀嚼チェックを2段階に分けて行う。
具体的には、咀嚼結果は、判定対象物30を咀嚼した第1の咀嚼判定回数における第1段階と、判定対象物30を第1段階からさら咀嚼して第1の咀嚼判定回数よりも咀嚼回数が多い第2の咀嚼判定回数における第2段階とにおいて判定される。
【0058】
第1の咀嚼判定回数は、20回から30回の間のいずれかの回数である。本実施形態の一例では、第1の咀嚼判定回数は、20回である。
第2の咀嚼判定回数は、40回から60回の間のいずれかの回数である。本実施形態の一例では、第2の咀嚼判定回数は、40回である。
一般的に、食事中に口に入れた食物の咀嚼回数は、30回程度であることが好ましいとされる。第1の咀嚼判定回数と、第2の咀嚼判定回数とは、一般的に好ましいとされる咀嚼回数(例えば、30回)を境にして、その上下の回数の範囲に設定されている。
【0059】
図15は、本実施形態の端末装置10が表示する咀嚼力測定開始画面P8の一例を示す図である。咀嚼力測定開始画面P8には、咀嚼力レベル表示画面P81と、ガイド画面P82と、操作ボタンP83とが含まれる。
判定対象物30の第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32とを積層させて、ユーザUに咀嚼させる準備が整ったら、操作者は、操作ボタンP83を操作して処理を進める。
【0060】
図16は、本実施形態の端末装置10が表示するチェック1回目開始画面P9の一例を示す図である。チェック1回目開始画面P9には、咀嚼回数指示画面P91と、操作ボタンP92とが含まれる。操作者は、操作ボタンP92を操作して処理を進める。
【0061】
図17は、本実施形態の端末装置10が表示するチェック1回目進行画面P10の一例を示す図である。チェック1回目進行画面P10には、咀嚼促進画面P101が含まれる。
【0062】
(ステップS100)図4に戻り、選択肢表示制御部151は、チェック1回目状態選択画面P11を表示させる。
【0063】
図18は、本実施形態の端末装置10が表示するチェック1回目状態選択画面P11の一例を示す図である。チェック1回目状態選択画面P11には、ガイド画像P111と、選択肢画像P112と、選択ボタンP113と、操作ボタンP114とが含まれる。
ガイド画像P111とは、判定対象物30の咀嚼結果を判定する際の判定姿勢を示す画像である。判定姿勢とは、例えば、噛んだガムを舌の上にのせて口を開けた姿勢である。
選択肢画像P112とは、判定姿勢における判定対象物30の咀嚼結果を複数の段階の選択肢画像P112-1~4によって示す画像である。
【0064】
図19は、本実施形態の端末装置10が表示する選択肢画像P112の一例を示す図である。選択肢画像P112には、第1の混合状態MS1に対応する選択肢画像P112-1と、第2の混合状態MS2に対応する選択肢画像P112-2と、第3の混合状態MS3に対応する選択肢画像P112-3と、第4の混合状態MS4に対応する選択肢画像P112-4とがある。
すなわち、本実施形態の一例では、判定対象物30があまり混合されていない状態である第1の混合状態MS1から、判定対象物30がよく混合された状態である第4の混合状態MS4までの、4段階の混合状態MSがある。
【0065】
判定対象物30は、色が互いに異なる第1色(例えば、赤色)の咀嚼対象物31と第2色(例えば、青色)の咀嚼対象物32とを組み合わせたものであり、第1色の咀嚼対象物31と、第2色の咀嚼対象物32とを混合することにより第1色及び第2色といずれも異なる第3色(例えば、紫色)になる。
選択肢画像P112が示す咀嚼の段階には、第1色の咀嚼対象物31と、第2色の咀嚼対象物32とが混合されずに、咀嚼前に存在している互いの境界線の形状が残っている第1段階と、形状が残っていない第2段階とを少なくとも含む。
【0066】
ここで、第1段階とは、選択肢画像P112-1が示す第1の混合状態MS1である。第1の混合状態MS1においては、図2図3に示した境界線33の形状が、境界線MS11-1や境界線MS11-2として残っている。ここで、図2図3に示した境界線33の形状とは、第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32との境界に存在する、積層された略直線状の形状をいう。
すなわち、第1段階においては、第1色の咀嚼対象物31と、第2色の咀嚼対象物32とが混合されずに、咀嚼前に存在している互いの境界線の形状が残っている。
【0067】
第2段階とは、選択肢画像P112-2が示す第2の混合状態MS2である。第2の混合状態MS2においては、第1色の咀嚼対象物31と第2色の咀嚼対象物32とが混合されていない領域である、未混合領域MS21(未混合領域MS21-1~3)が存在しているものの、図2図3に示した境界線33の形状がそのまま残っているわけではない。すなわち、第2段階においては、咀嚼前に存在していた、第1色の咀嚼対象物31と、第2色の咀嚼対象物32との境界線の形状が残っていない。
【0068】
上述したように、本実施形態の咀嚼力向上支援システム1は、判定対象物30の咀嚼の状態(混合状態MS)を、画像処理などによる自動判定を行わず、ユーザU(あるいは、操作者)の目視結果と選択肢画像P112との照合により、ユーザU(あるいは、操作者)が判定する構成を採用している。ここで、判定対象物30の咀嚼の状態(混合状態MS)は、選択肢画像P112が提示されているのであれば、目視で判定することが比較的容易である一方、画像処理などによる自動化を行おうとすると、システムの構成が複雑になってしまう。仮に、画像処理などによる自動化を採用した場合、画像処理ソフトウエアを開発する必要がある、端末装置10に画像処理ソフトウエアをインストールする必要がある、または、集計装置20が画像処理ソフトウエアを備える場合には端末装置10から集計装置20に対して咀嚼結果を撮像した画像データを送信する、などの構成を採用する必要がある。
上述のように、判定対象物30の咀嚼の状態(混合状態MS)を目視判定するように構成された本実施形態の咀嚼力向上支援システム1によれば、システムの構成を簡素化することができる。
【0069】
図18に戻り、操作者は、ユーザUの舌の上の判定対象物30の混合状態MSが、選択肢画像P112-1~4のいずれの状態に最も近いかを判断する。操作者は、最も近いと判断した選択肢画像P112に対応する選択ボタンP113を選択する。操作者は、操作ボタンP114を操作して処理を次に進める。
【0070】
(ステップS110)制御部150は、操作者の選択結果を取得する。
(ステップS120)算出部152は、ステップS110において取得された選択結果と、記憶部160に記憶されている規定点数情報D1とに基づいて、ユーザUの咀嚼力の点数を算出する。
ここで、算出部152は、チェック1回目の場合(つまり、咀嚼回数が20回から30回の間のいずれかの回数におけるチェックの場合)には、図5に示した規定点数情報D1のうち、チェック1回目の点数として規定されている点数を、ユーザUの咀嚼力の点数として算出する。
例えば、ステップS100において選択された混合状態MSが第1の混合状態MS1である場合には、算出部152は、「2点」をユーザUの咀嚼力の点数として算出する。
【0071】
(ステップS130~ステップS160)制御部150は、ステップS90からステップS120によるチェック1回目の場合と同様にして、チェック2回目(つまり、咀嚼回数が40回から60回の間のいずれかの回数におけるチェック)を行う。
【0072】
図20は、本実施形態の端末装置10が表示するチェック2回目開始画面P12の一例を示す図である。チェック2回目開始画面P12は、チェック1回目の判定対象物30をそのまま咀嚼し続けるように促す表示がある点において、チェック1回目開始画面P9と異なる。
【0073】
図21は、本実施形態の端末装置10が表示するチェック2回目状態選択画面P13の一例を示す図である。チェック2回目状態選択画面P13は、チェック2回目であることを示す表示がある点において、チェック1回目状態選択画面P11と異なる。
ステップS130~ステップS150について、上述した点以外の事項においては、ステップS90~ステップS110と同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
すなわち、選択肢表示制御部151は、第1段階と、第2段階とのそれぞれにおいて、選択肢画像P112を表示させる。
【0075】
(ステップS160)算出部152は、ステップS150において取得された選択結果と、記憶部160に記憶されている規定点数情報D1とに基づいて、ユーザUの咀嚼力の点数を算出する。
ここで、算出部152は、チェック2回目の場合(つまり、咀嚼回数が40回から60回の間のいずれかの回数におけるチェックの場合)には、図5に示した規定点数情報D1のうち、チェック2回目の点数として規定されている点数を、ユーザUの咀嚼力の点数として算出する。
例えば、ステップS140において選択された混合状態MSが第2の混合状態MS2である場合には、算出部152は、「2点」をユーザUの咀嚼力の点数として算出する。
【0076】
ここで、規定点数情報D1に示した規定の点数は、チェック2回目(第2段階)の点数よりも、チェック1回目(第1段階)の点数のほうが、その点数の重みが重い。具体的には、第1の混合状態MS1の場合、チェック2回目(第2段階)の点数「1点」よりも、チェック1回目(第1段階)の点数「2点」のほうが重く設定されている。。他の混合状態MS(第2の混合状態MS2~第4の混合状態MS4)についても、第1の混合状態MS1と同様に、チェック1回目(第1段階)の点数のほうが重く設定されている。
すなわち、算出部152は、第1段階における点数の重みを、第2段階における点数の重みよりも重くして、点数を算出する。
【0077】
このように構成された咀嚼力向上支援システム1によれば、第1段階と第2段階とのうち早い段階でより高い混合状態MSに到達した場合、より多くの点数を付与するように、点数に重みづけをすることができる。
この場合、より少ない咀嚼回数で食物をよく混合することができるユーザUの点数を、混合の程度が当該ユーザUと同じ程度になるまでにより多くの咀嚼回数を要する他のユーザUの点数よりも、高く算出することができる。つまり、本実施形態の咀嚼力向上支援システム1によれば、ユーザUの咀嚼力の判定精度を高めることができる。
【0078】
(ステップS170)算出部152は、ステップS120において算出したチェック1回目の点数と、ステップS160において算出したチェック2回目の点数とを合計し、合計した点数を記憶部160に記憶させる。
さらに、算出部152は、合計した点数を、同一ユーザUの過去の点数に加算することにより、点数の積算値を算出する。算出部152は、ユーザU毎に算出した積算値を、図6に示した積算値情報D2として、記憶部160に記憶させる。
【0079】
(ステップS180)結果表示制御部153は、算出部152が算出する点数に基づいて、ユーザU(判定対象者)の咀嚼力の評価結果を表示させる。
ここで、評価結果には、チェック実施の対価として付与される参加ポイントや、咀嚼力を示す点数などが含まれる。参加ポイントは、他のコンピュータシステム(例えば、電子商取引システム)が提供する商品の購入用ポイントや、キャンペーングッズの引き換え用ポイントとして利用可能である。
【0080】
図22は、本実施形態の端末装置10に表示される付与ポイント表示画面P14の一例を示す図である。結果表示制御部153は、算出部152が算出する積算値に基づいて、付与される参加ポイントの量や、あとどの程度チェックを実施すれば参加ポイントが付与されるのか、といった情報を表示する。
【0081】
参加ポイントは、例えば、下記に示す条件に基づいて付与される。
・アプリケーションへの初回ログイン(10ポイント)
・ユーザID登録(50ポイント)
・レビュー投稿(100ポイント)
・歯並びチェックの実施(50ポイント;ただし1日に1回まで)
・歯の抜けかわり入力の実施(50ポイント;ただしユーザUあたり30本まで)
・アプリケーションへの2回目以降のログイン(5ポイント)
・アプリケーションの継続利用(3か月:100ポイント、6か月:100ポイント、12か月:100ポイントなど)
・定期購入(サブスクリプション課金)の契約(200ポイント)
・咀嚼チェックの実施(100ポイント)
【0082】
なお、ユーザU(あるいは操作者)の参加ポイントの積算値(すなわち、累計獲得ポイント)によって、会員ランクが定められていてもよい。会員ランクは、累計獲得ポイントの低い順に「レギュラー会員」(例えば、累計獲得ポイント0~999ポイント)、「シルバー会員」(例えば、累計獲得ポイント1000~2499ポイント)、「ゴールド会員」(例えば、累計獲得ポイント2500~4999ポイント)、「プラチナ会員」(例えば、累計獲得ポイント5000ポイント以上)などと定められている。
累計獲得ポイントがより高い会員ランクに到達した場合、昇格ボーナスポイントや到達記念得点が贈呈されてもよい。
このように構成された咀嚼力向上支援システム1によれば、ユーザU(あるいは操作者)の継続的な参加意欲を高めることができる。
【0083】
図23は、本実施形態の端末装置10に表示される咀嚼力チェック結果画面P15の一例である。咀嚼力チェック結果画面P15には、咀嚼力レベル提示画面P151と、咀嚼力点数提示画面P152とが含まれる。
【0084】
(ステップS190)送信部140は、算出部152が算出する点数を、外部の集計装置20に送信する。
【0085】
集計装置20の受信部210は、送信部140から送信される点数を受信する。
選択部220は、受信部210が受信する点数に基づいて、咀嚼力向上強度の段階に応じて用意される複数の種類の物品の中から、ユーザUに提供する物品の種類を選択する。
【0086】
ユーザUに提供する物品とは、ユーザUの咀嚼力を向上させる機能を有する製品であり、例えば、グミキャンディーである。本実施形態の一例では、図7に示したように第1種類の物品G1から第4種類の物品G4までの4種類の物品が用意されている。
すなわち、歯並びや咀嚼力レベルに応じた複数の硬さの物品(例えば、グミキャンディー)が用意されている。咀嚼力向上支援システム1は、ユーザU毎の歯並びの判定結果や、咀嚼力レベルの判定結果に応じた硬さの物品を選択することにより、ユーザUの現状の咀嚼力レベルに適合し、かつユーザUの咀嚼力レベルを効率よく向上させることができる硬さの物品を提供することができる。
【0087】
以上説明したように、咀嚼力向上支援システム1は、ユーザUの歯並びや咀嚼力レベルの判定と、判定の結果に基づいた物品の提供とを継続的に行える仕組みを提供することにより、ユーザUに飽きさせることなく、ユーザUの咀嚼力レベルを継続的に向上させることができる。
【0088】
なお、上述した各実施形態において、端末装置10と、集計装置20との機能分担の一例を説明したが、各装置は上述と異なる機能分担にして構成されていてもよい。例えば、咀嚼力向上支援システム1は、集計装置20の機能の全部又は一部が、端末装置10において動作するソフトウエアとして実現されていてもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0090】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0091】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…咀嚼力向上支援システム、10…端末装置、20…集計装置、150…制御部、選択151…肢表示制御部、152…算出部、153…結果表示制御部、154…ガイド画像表示制御部、155…歯並び判定部
図1
図2
図3
図4
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図10
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