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  • 特開-荷受台昇降装置および車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094527
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置および車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B60P1/44 G
B60P1/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211127
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】辻濱 康雄
(57)【要約】
【課題】車体に対する荷受台昇降装置の位置をより細かく調整する。
【解決手段】荷受台昇降装置は、取付孔12aが設けられたシャシフレーム12に荷箱が搭載された車両に対して、取付孔12aに挿通される所定の呼び径のボルトによって固定される荷受台昇降装置であって、シャシフレーム12にボルトによって固定される取付部材40と、取付部材40に設けられ上下回動可能なリンクアームと、リンクアームを回動させる駆動装置と、リンクアームの先端部に支持された荷受台と、を備える。取付部材40には、それぞれボルトを挿通する貫通孔41Bを穿削するための下孔であってボルトの呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔41Aが形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔が設けられたシャシフレームに荷箱が搭載された車両に対して、前記取付孔に挿通される所定の呼び径のボルトによって固定される荷受台昇降装置であって、
前記シャシフレームに前記ボルトによって固定される取付部材と、
前記取付部材に設けられ、上下回動可能なリンクアームと、
前記リンクアームを回動させる駆動装置と、
前記リンクアームの先端部に支持された荷受台と、を備え、
前記取付部材には、それぞれ前記ボルトを挿通する貫通孔を穿削するための下孔であって前記ボルトの呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔が形成されている、
荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記複数の下孔は、前記ボルトの呼び径に対応する複数の孔を前記取付部材に形成可能な間隔よりも狭い間隔で配置されている、
請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記取付部材は、前後方向および上下方向に延びており、
前記複数の下孔は、上下方向に等間隔で配置された下孔からそれぞれなる複数の列を形成しており、
前記複数の列は、前後方向に並ぶように配置されるとともに、上下方向の位置が交互にずれている、
請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記複数の下孔のうちの少なくとも一部は、前記取付部材を貫通した貫通孔である、
請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記複数の下孔のうちの少なくとも一部は、前記取付部材を不貫通の凹部である、
請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
取付孔が設けられたシャシフレームと、
前記シャシフレームに搭載された荷箱と、
請求項1~5のいずれか一つに記載の荷受台昇降装置と、
前記取付孔に挿通された所定の呼び径のボルトと、を備え、
前記取付部材は、
前記複数の下孔のうちの一部の下孔上に形成され、前記ボルトが挿通された貫通孔と、
前記ボルトを挿通可能な貫通孔が未形成の他の下孔と、を備え、
前記取付孔と前記形成された貫通孔とに挿通された前記ボルトによって前記シャシフレームに固定されている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置、および、それを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置を備えた車両が従来から知られている。例えば特許文献1には、シャシフレームに荷箱が搭載され、荷受台昇降装置が固定された車両が開示されている。特許文献1の荷受台昇降装置は、積み下ろし作業をしないときには鉛直姿勢を取って荷箱の後部扉と略平行となり、積み降ろし作業時には水平姿勢を取って昇降する荷受台を備えている。
【0003】
特許文献1の荷受台昇降装置は、取付部材を介してシャシフレームに固定されている。シャシフレームには、上下方向に並んだ複数の取付孔の列が複数形成されている。取付部材は、取付孔にボルト締結される。シャシフレームに対する取付部材の上下位置を変えられるように、取付部材には、上下方向に並んだ複数の貫通孔が形成されている。特許文献1によれば、これら複数の貫通孔により、シャシフレームに対する取付部材の取付け高さを調整でき、荷受台昇降装置の高さを適切に調整すること可能になる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-059768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような荷受台昇降装置は、荷受台を支持して上下方向に回動するリンク機構を備えている。荷受台はリンク機構とともに回動する。そのため、荷箱に対する荷受台の位置調整では、上下位置と前後位置とを同時に合わせなければならない。そのため、荷受台昇降装置の位置調整では、調整可能な距離が短いことが好ましい。特許文献1に記載されたような荷受台昇降装置において、シャシフレームに対する荷受台昇降装置の位置を細かく調整しようとすると、取付部材の貫通孔を狭い間隔で配置しなければならない。しかし、狭い間隔で貫通孔を設けると、取付部材の強度が低下するため、複数の貫通孔の間隔を狭くするのには限界がある。その結果、シャシフレームに対する荷受台昇降装置の位置は、それほど精密に調整できなかった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車体に対する位置をより細かく調整可能な荷受台昇降装置を提供することである。また、そのような荷受台昇降装置を備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する荷受台昇降装置は、取付孔が設けられたシャシフレームに荷箱が搭載された車両に対して、前記取付孔に挿通される所定の呼び径のボルトによって固定される荷受台昇降装置であって、前記シャシフレームに前記ボルトによって固定される取付部材と、前記取付部材に設けられ上下回動可能なリンクアームと、前記リンクアームを回動させる駆動装置と、前記リンクアームの先端部に支持された荷受台と、を備える。前記取付部材には、それぞれ前記ボルトを挿通する貫通孔を穿削するための下孔であって前記ボルトの呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔が形成されている。
【0008】
かかる荷受台昇降装置によれば、ボルトの呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔が取付部材に形成されている。そのため、ボルトを挿通可能な孔よりも狭い間隔で複数の下孔を設けることができる。これら複数の下孔のうち、荷受台昇降装置を好適な位置とした状態で取付孔と重なる下孔に穴あけ加工を実施してボルトを挿通可能な孔とし、取付孔と形成された取付部材の孔とをボルトで締結することにより、荷受台昇降装置をシャシフレームに固定することができる。複数の下孔は、ボルトの呼び径よりも小さいため、狭い間隔で設けても取付部材の強度が低下しにくい。よって、複数の下孔の間隔を狭くすることが可能となり、荷受台昇降装置の位置をより細かく調整することが可能となる。
【0009】
荷受台昇降装置の一態様によれば、前記複数の下孔は、前記ボルトの呼び径に対応する複数の孔を前記取付部材に形成可能な間隔よりも狭い間隔で配置されている。かかる荷受台昇降装置によれば、荷受台昇降装置の位置をより細かく調整することができる。
【0010】
荷受台昇降装置の一態様によれば、前記取付部材は、前後方向および上下方向に延びている。前記複数の下孔は、上下方向に等間隔で配置された下孔からそれぞれなる複数の列を形成している。前記複数の列は、前後方向に並ぶように配置されるとともに、上下方向の位置が交互にずれている。かかる荷受台昇降装置によれば、取付部材の強度を確保しつつ、複数の下孔を前後方向および上下方向により狭い間隔で配置することができる。
【0011】
荷受台昇降装置の一態様によれば、前記複数の下孔のうちの少なくとも一部は、前記取付部材を貫通した貫通孔である。かかる荷受台昇降装置によれば、下孔の上にボルトを挿通する孔を形成する作業を容易に行うことができる。
【0012】
荷受台昇降装置の他の一態様によれば、前記複数の下孔のうちの少なくとも一部は、前記取付部材を不貫通の凹部である。かかる荷受台昇降装置によれば、取付部材の強度を向上させることができる。
【0013】
ここに開示する車両は、取付孔が設けられたシャシフレームと、前記シャシフレームに搭載された荷箱と、上記したいずれかの荷受台昇降装置と、前記取付孔に挿通された所定の呼び径のボルトと、を備える。前記取付部材は、前記複数の下孔のうちの一部の下孔上に形成され前記ボルトが挿通された貫通孔と、前記ボルトを挿通可能な貫通孔が未形成の他の下孔と、を備えている。前記取付部材は、前記取付孔と前記形成された貫通孔とに挿通された前記ボルトによって前記シャシフレームに固定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車体に対する荷受台昇降装置の位置をより細かく調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両の側面図である。
図2】車両の背面図である。
図3】車両の後部を拡大図示した側面図である。
図4】ブラケット付近の側面図である。
図5】ボルト孔を加工する前のブラケット付近の側面図である。
図6】ボルト孔を加工した後のブラケット付近の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0017】
[車両の構成]
図1は、一実施形態に係る車両10の側面図である。図2は、車両10の背面図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両10は、荷箱15とテールゲートリフタ20とを備えた車両である。車両10は、内部に図示しない運転席を有するキャブ11と、キャブ11を支持するシャシフレーム12と、シャシフレーム12の前部に設けられた左右の前輪13と、シャシフレーム12の後部に設けられた左右の後輪14とを備えている。
【0018】
荷箱15は、シャシフレーム12に搭載されている。荷箱15は、シャシフレーム12に支持され、キャブ11の後方に配置されている。テールゲートリフタ20は、荷箱15の後部に設けられている。テールゲートリフタ20は、荷物の積み下ろし作業時に荷物を載せて昇降するものである。テールゲートリフタ20は、シャシフレーム12に固定されている。
【0019】
図3は、車両10の後部を拡大図示した側面図である。図3に示すように、テールゲートリフタ20は、支持フレーム21と、リアバンパ22と、左右一対のリンクアーム23と、テールゲート24と、リンクアーム23の駆動装置30と、ブラケット40と、を備えている。ブラケット40および支持フレーム21は、シャシフレーム12にボルト16(図4参照)によって固定される取付部材の一例である。ここでは、ブラケット40がシャシフレーム12に固定され、支持フレーム21はブラケット40と固定されている。支持フレーム21は、平面視においてコの字型に形成されたフレームである。支持フレーム21の後方側は開放されている。支持フレーム21の左右の後端の間には、リアバンパ22が張り渡されている。
【0020】
一対のリンクアーム23は、支持フレーム21に設けられ、上下回動可能に構成されている。リンクアーム23の基端部(前端部)は、上下に回動可能に支持フレーム21に支持されている。一対のリンクアーム23の基端部は、それぞれ、支持フレーム21の左右の側面に取り付けられている。リンクアーム23の先端部(後端部)は、テールゲート24を上下に回動可能に支持している。
【0021】
駆動装置30は、リンクアーム23を回動させるように構成されている。駆動装置30は、車両10のパワーユニットに接続された油圧ポンプによって伸縮するリフトシリンダ31およびチルトシリンダ32を備えている。リフトシリンダ31が伸縮すると、リンクアーム23が回動し、テールゲート24が昇降する。テールゲート24は、積み降ろし時に荷物を載せることが可能な荷受台の一例である。チルトシリンダ32が伸縮すると、テールゲート24は回動し、鉛直姿勢または水平姿勢を取る。ただし、リンクアーム23の駆動装置30は、油圧シリンダを備えたものには限定されない。例えば、駆動装置30は、モータによってリンクアーム23を回動させてもよい。
【0022】
図4は、ブラケット40付近の側面図である。図4に示すように、ブラケット40は、ここでは、車両10の左右の側面に2つずつ設けられている(右側面は図示省略)。左右それぞれにおいて、2つのブラケット40は、前後方向に並んで配置されている。ただし、ブラケット40の数や配置は特に限定されない。ブラケット40をシャシフレーム12にボルト16で固定することにより、テールゲートリフタ20はシャシフレーム12に固定される。
【0023】
シャシフレーム12には、ブラケット40がボルト締結される複数の取付孔12aが設けられている。複数の取付孔12aは、前後方向および上下方向に並んでいる。複数の取付孔12aの数や間隔は特に限定されない。複数の取付孔12aは、ここでは貫通孔であり、所定の呼び径のボルト16を挿通可能に構成されている。
【0024】
ブラケット40をシャシフレーム12に固定する際には、テールゲート24の上下方向および前後方向の位置を荷箱15に合わせるため、ブラケット40の位置を調整する必要がある。テールゲートリフタ20は、回動するリンクアーム23によってテールゲート24を昇降および回動させるため、荷箱15に対する上下位置と前後位置とを同時に合わせなければならない。そのため、ブラケット40の位置の調整では、調整可能な距離が短いことが望まれる。荷箱15に対するブラケット40の位置の調整方法については後述する。
【0025】
ブラケット40は、上下方向および前後方向に延びている。ブラケット40のシャシフレーム12に取り付けられる部分は、上下方向および前後方向に延びる平板状に構成されている。図5は、シャシフレーム12に取り付けられていない状態のブラケット40付近の側面図である。図5に示すように、ブラケット40には、それぞれボルト16(図4参照)を挿通するボルト孔41B(図6参照)を穿削するための複数の下孔41Aが形成されている。図5は、ボルト孔41Bを加工する前のブラケット40付近の側面図である。複数の下孔41Aは、それぞれ、ボルト16の呼び径よりも小さい径を有している。各下孔41Aは、ここでは、ブラケット40を貫通した貫通孔である。ただし、各下孔41Aは、ブラケット40を不貫通の凹部であってもよい。下孔41Aが貫通孔であった方が、後でボルト孔41Bをあける作業が容易となる。一方で、下孔41Aが不貫通の凹部だと、ブラケット40の強度が向上する。
【0026】
複数の下孔41Aは、ボルト16の呼び径に対応する複数の孔をブラケット40に形成可能な間隔よりも狭い間隔で配置されている。ここで、「ボルト16の呼び径に対応する複数の孔をブラケット40に形成可能な間隔」とは、ボルト16の呼び径に対応する複数の孔をその間隔で形成してもブラケット40が必要な強度を保てる間隔をいう。ボルト16の呼び径に対応する孔とは、少なくともボルト16が挿通可能であって、かつ、実質的にほとんどガタのない大きさの孔、例えば、ある呼び径のボルト16を挿通する孔として一般に採用されている径の孔をいう。下孔41Aは、ボルト孔41Bであったとすれば実質的に不可能な密度で形成されている。
【0027】
隣接する下孔41A同士の間隔は、好ましくは、一方の下孔41A上にボルト孔41Bを加工しても他方の下孔41Aにボルト孔41Bが重ならない間隔であるとよい。ただし、隣接する下孔41A同士の間隔は、一方の下孔41A上にボルト孔41Bを加工したときに他方の下孔41Aにボルト孔41Bが重なるような間隔であってはいけないわけではない。
【0028】
本実施形態では、複数の下孔41Aは、上下方向にずれる千鳥配置で配置されている。すなわち、複数の下孔41Aは、上下方向に等間隔で配置された下孔41Aからそれぞれなる複数の列を形成しており、下孔41Aの複数の列は、前後方向に並ぶように配置されるとともに、上下方向位置が交互にずれている。このような配置により、ブラケット40の強度を確保しつつ、複数の下孔41Aを前後方向および上下方向により狭い間隔で配置することができる。ただし、複数の下孔41Aは、例えば、下孔41Aの列の上下方向の位置が揃うように(前後方向および上下方向に等間隔、つまりマトリクス配置で)配置されていてもよい。
【0029】
図6は、ボルト孔41Bを加工した後のブラケット40付近の側面図である。図6に示すように、ブラケット40は、複数の下孔41Aのうちの一部の下孔41A上に形成されボルト16が挿通されるボルト孔41Bと、ボルト孔41Bが未形成の他の下孔41Aと、を備える。ボルト孔41Bは、ボルト16を挿通可能な貫通孔であり、好ましくは、ボルト16の呼び径に対応する貫通孔である。ブラケット40は、シャシフレーム12の取付孔12aと形成されたボルト孔41Bとに挿通されたボルト16によってシャシフレーム12に固定される。ここでは、1つのブラケット40は、6本から9本程度のボルト16によってシャシフレーム12に締結される。ただし、1つのブラケット40に使用されるボルト16の本数は特に限定されない。
【0030】
[テールゲートリフタの位置調整]
テールゲートリフタ20の位置調整は、以下のように行われる。まず、テールゲートリフタ20の上下方向および前後方向の位置をシャシフレーム12および荷箱15に合わせる。テールゲートリフタ20の好適な位置は、例えば、テールゲート24を荷箱15の床面と略一致する高さまで上昇させた際に荷箱15の後端とテールゲート24の前端との隙間が十分に小さくなるような位置である。この状態で、シャシフレーム12の取付孔12aと位置が重なる下孔41Aが存在すれば、当該下孔41Aは、ボルト孔41Bをその上に形成する下孔として選択される。位置が重なる下孔41Aが存在しない場合、テールゲート24を上昇ないし下降させた後、テールゲート24の高さが荷箱15の床面と略一致し、かつ、荷箱15とテールゲート24の前端との隙間が十分小さくなる位置にテールゲートリフタ20全体を再度移動させる。本実施形態では、複数の下孔41Aは、ボルト孔41Bを形成可能な間隔よりも狭い間隔で配置されている。そのため、下孔41Aのいずれかが取付孔12aと重なる確率は、従前のブラケットのボルト孔のいずれかが取付孔12aと重なる確率よりもかなり高い。
【0031】
選択された下孔41Aに対しては孔あけ加工が行われ、下孔41Aに重ねてボルト孔41Bが形成される。このとき下孔41Aが既に形成されているため、ボルト孔41Bの加工は比較的容易に実施できる。シャシフレーム12の取付孔12aと形成されたボルト孔41Bとにはボルト16が挿通され、さらにボルト16に図示しないナットが締結されることにより、シャシフレーム12にブラケット40が固定される。このときのテールゲートリフタ20の位置は、好ましい位置に調整されている。
【0032】
[実施形態の作用効果]
以下では、本実施形態に係るテールゲートリフタ20および車両10が奏することができる作用効果について説明する。
【0033】
本実施形態に係るテールゲートリフタ20は、取付孔12aが設けられたシャシフレーム12に荷箱15が搭載された車両10に対して、取付孔12aに挿通される所定の呼び径のボルト16によって固定されるテールゲートリフタであって、シャシフレーム12にボルト16によって固定される取付部材(ここでは、ブラケット40および支持フレーム21)と、取付部材としての支持フレーム21に設けられ上下回動可能なリンクアーム23と、リンクアーム23を回動させる駆動装置30と、リンクアーム23の先端部に支持されたテールゲート24と、を備えている。ブラケット40には、それぞれボルト16を挿通するボルト孔41Bを穿削するための下孔であってボルト16の呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔41Aが形成されている。
【0034】
かかるテールゲートリフタ20によれば、ボルト16の呼び径よりも小さい径を有する複数の下孔41Aがブラケット40に形成されている。そのため、ボルト16を挿通可能な孔よりも狭い間隔で複数の下孔41Aを設けることができる。これら複数の下孔41Aのうち、テールゲートリフタ20を好適な位置とした状態で取付孔12aと重なる下孔41Aに穴あけ加工を実施してボルト16を挿通可能なボルト孔41Bとし、取付孔12aとボルト孔41Bとをボルト16で締結することにより、テールゲートリフタ20をシャシフレーム12に固定することができる。複数の下孔41Aは、ボルト16の呼び径よりも小さいため、狭い間隔で設けてもブラケット40の強度が低下しにくい。よって、複数の下孔41Aの間隔を狭くすることが可能となり、テールゲートリフタ20の位置をより細かく調整することが可能となる。
【0035】
本実施形態では、複数の下孔41Aは、ボルト16の呼び径に対応する複数の孔をブラケット40に形成可能な間隔よりも狭い間隔で配置されている。かかるテールゲートリフタ20によれば、テールゲートリフタ20の位置をより細かく調整することができる。
【0036】
本実施形態では、ブラケット40は、前後方向および上下方向に延びている。複数の下孔41Aは、上下方向に等間隔で配置された下孔41Aからそれぞれなる複数の列を形成している。複数の列は、前後方向に並ぶように配置されるとともに、上下方向の位置が交互にずれている。かかるテールゲートリフタ20によれば、ブラケット40の強度を確保しつつ、複数の下孔41Aを前後方向および上下方向により狭い間隔で配置することができる。
【0037】
本実施形態では、複数の下孔41Aは、それぞれ、ブラケット40を貫通した貫通孔である。かかるテールゲートリフタ20によれば、下孔41Aの上にボルト孔41Bを形成する作業を容易に行うことができる。
【0038】
なお、テールゲートリフタ20の他の一態様によれば、複数の下孔41Aは、それぞれ、ブラケット40を不貫通の凹部であってもよい。かかるテールゲートリフタ20によれば、ブラケット40の強度を向上させることができる。また、複数の下孔41Aは、その一部が貫通孔とされ、他の一部が不貫通の凹部とされてもよい。
【0039】
[他の実施形態]
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は一例に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施可能である。例えば、車両の構成は、シャシフレームにテールゲートリフタを固定するための取付孔が設けられ、取付孔に挿通されたボルトによってテールゲートリフタの取付部材がシャシフレームに固定される限りで特に限定されない。テールゲートリフタの構成も、上記したものには限定されない。
【0040】
ブラケットの形状は特に限定されない。ブラケットは平板状でなくてもよく、もっと厚みがあったり、厚さが場所により変わったりしてもよい。ブラケットは、側面視において矩形状の形状に構成されていなくてもよい。
【0041】
その他、特に言及されない限りにおいて、実施形態は本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0042】
10 車両
12 シャシフレーム
12a 取付孔
15 荷箱
16 ボルト
20 テールゲートリフタ(荷受台昇降装置)
21 支持フレーム(取付部材)
23 リンクアーム
24 テールゲート(荷受台)
30 駆動装置
40 ブラケット(取付部材)
41A 下孔
41B ボルト孔(貫通孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6