(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094531
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B06B1/04 A
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211132
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正明
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA02
5D107AA07
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107CD03
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】広い周波数帯で大きな加速度を得られるようにしつつ、可動体と支持体との衝突を回避する。
【解決手段】アクチュエータ1は、可動体3と支持体2とに接続される接続体9として、目標周波数帯域(例えば、50Hz以上100Hz以下)で、目標加速度At(例えば、At=2.5Gal)以上の加速度が得られるような、減衰係数が高い粘弾性体を選定する。アクチュエータ1の制御部1Aは、目標周波数帯域において目標加速度Atを得られる電圧を第1電圧VHとして、可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを上回らない限りは第1電圧VHの電流を供給することにより、大きな加速度を得られるようにする。その一方で、第1電圧VHで駆動すると可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを上回る周波数帯域では、駆動電流の電圧を第1電圧VHより低くすることで、可動体3と支持体2との衝突を回避する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および可動体と、
前記可動体と前記支持体とに接続される接続体と、
前記可動体を前記支持体に対して振動させる磁気駆動回路と、
前記磁気駆動回路に供給する駆動電流を制御する制御部と、を有し、
前記接続体は、粘弾性体であり、
前記支持体と衝突しない前記可動体の最大振幅を上限振幅とし、
前記駆動電流の電圧を一定値とした場合に前記可動体の加速度または振幅が最大となる周波数をピーク周波数とし、
前記ピーク周波数を含む目標周波数帯域において前記可動体の加速度が予め定めた目標加速度以上となる電圧であって、且つ、前記ピーク周波数では前記可動体の振幅が前記上限振幅を越える電圧を第1電圧とし、
前記駆動電流の電圧を前記第1電圧とした場合に前記可動体の振幅が前記上限振幅以上となる周波数帯域が、前記ピーク周波数よりも低い第1周波数から前記ピーク周波数よりも高い第2周波数までの中間周波数帯域である場合に、
前記制御部は、
前記第1周波数以下の低周波数帯域、および、前記第2周波数以上の高周波数帯域で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を前記第1電圧とし、
前記中間周波数帯域で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を、前記第1電圧よりも低く、且つ、前記可動体の振幅が前記上限振幅以下となる電圧とすることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記中間周波数帯域の周波数で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を、前記可動体の振幅が前記上限振幅と一致する電圧とすることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記目標周波数帯域は、50Hz以上100Hz以下であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ピーク周波数は、前記駆動電流の電圧を一定値とした場合に前記可動体の加速度が最大となる加速度ピーク周波数であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記低周波数帯域の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って前記駆動電流の電圧を低くし、
前記ピーク周波数で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を前記可動体の振幅が前記上限振幅と一致する電圧とし、
前記高周波数帯域の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って前記駆動電流の電圧を高くすることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記磁気駆動回路は、コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させ、
前記粘弾性体は、前記支持体と前記可動体とが前記第1方向で対向する個所に、前記第1方向を厚み方向として配置され、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向に移動する際、せん断方向に変形することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記粘弾性体は、シリコーンゲルであることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、支持体および可動体と、可動体を支持体に接続する接続体と、可動体を支持体に対して相対移動させる磁気駆動回路を有するアクチュエータが記載される。磁気駆動回路は、可動体および支持体の一方に搭載される磁石と、可動体および支持体の他方に搭載されるコイルを備える。磁石は、コイルに対して振動方向と直交する方向で対向する。接続体は、シリコーンゲルなどの粘弾性体である。
【0003】
特許文献1のアクチュエータは、例えば、ゲーム機の操作部材、操作パネル等に組み込むことができ、可動体の振動によって利用者に触覚を与える触覚デバイスとして使用することができる。その場合、利用者は、可動体の重量と加速度に応じた強さの振動を体感する。従来、この種のアクチュエータでは、コイルに供給する駆動電流の周波数を共振周波数付近の周波数とすることで大きな加速度を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクチュエータを触覚デバイスとして使用する際、利用者に体感させる触覚を様々な需要に合わせるため、共振周波数付近に限定されずに広い周波数帯で大きな加速度を得たいという要望がある。本発明者らは、粘弾性体の種類を変えることにより、粘弾性体の特性(ばね要素と粘性要素)が変わることに着目し、粘性要素の増大により、広い周波数帯で加速度を上げることを試みたが、その場合、最大振幅が大きくなりすぎて可動体が支持体に衝突してしまうという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、広い周波数帯で大きな加速度を得ることができ、且つ、可動体と支持体との衝突を回避できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体および可動体と、前記可動体と前記支持体とに接続される接続体と、前記可動体を前記支持体に対して振動させる磁気駆動回路と、前記磁気駆動回路に供給する駆動電流を制御する制御部と、を有し、前記接続体は、粘弾性体であり、前記支持体と衝突しない前記可動体の最大振幅を上限振幅とし、前記駆動電流の電圧を一定値とした場合に前記可動体の加速度または振幅が最大となる周波数をピーク周波数とし、前記ピーク周波数を含む目標周波数帯域において前記可動体の加速度が予め定めた目標加速度以上となる電圧であって、且つ、前記ピーク周波数では前記可動体の振幅が前記上限振幅を越える電圧を第1電圧とし、前記駆動電流の電圧を前記第1電圧とした場合に前記可動体の振幅が前記上限振幅以上となる周波数帯域が、前記ピーク周波数よりも低い第1周波数から前記ピーク周波数よりも高い第2周波数までの中間周波数帯域である場合に、前記制御部は、前記第1周波数以下の低周波数帯域、および、前記第2周波数以上の高周波数帯域で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を前記第1電圧とし、前記中間周波数帯域で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を、前記第1電圧よりも低く、且つ、前記可動体の振幅が前記上限振幅以下となる電圧とするこ
とを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ピーク周波数付近の周波数だけでなく、より広い範囲の周波数でも、可動体の加速度を大きくすることができる。すなわち、目標周波数帯域において目標加速度を得られる電圧を第1電圧として、可動体の振幅が上限振幅を上回らない限りは第1電圧の電流を供給することにより、大きな加速度を得られるようにする。その一方で、第1電圧で駆動すると可動体の振幅が上限振幅を上回る周波数帯域では、駆動電流の電圧を第1電圧より低くすることで、可動体と支持体との衝突を回避する。これにより、要望に応じて、目標周波数帯域では目標加速度を得ることができ、且つ、可動体と支持体との衝突を回避できるアクチュエータを提供できる。
【0009】
従来のアクチュエータの設計は、可動体をピーク周波数付近の周波数で駆動することにより大きな加速度が得られるようにしていたが、本発明者らは、接続体として用いる粘弾性体の特性を調整して、粘性要素を増大させたものを用いれば、広い周波数帯で加速度を大きくできることに着目した。そして、ピーク周波数付近では電圧を低くすることによって可動体の振幅が大きくなりすぎることを回避して支持体との衝突を回避すれば、広い周波数帯で大きな加速度を得ることができる、という技術思想に至ったものである。
【0010】
本発明において、前記制御部は、前記中間周波数帯域の周波数で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を、前記可動体の振幅が前記上限振幅と一致する電圧とすることが好ましい。このようにすると、可動体の加速度を最大限に大きくすることができる。従って、利用者が体感する振動を大きくすることができる。
【0011】
本発明において、前記ピーク周波数として、前記駆動電流の電圧を一定値とした場合に前記可動体の加速度が最大となる加速度ピーク周波数を用いることができる。
【0012】
本発明において、前記目標周波数帯域は、50Hz以上100Hz以下とすることができる。このように、本発明のような電圧制御を行うことにより、ピーク周波数付近の周波数だけでなく、広い範囲で目標加速度を得ることができる。
【0013】
本発明において、前記制御部は、前記第1周波数から前記ピーク周波数までの範囲の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って前記駆動電流の電圧を低くし、前記ピーク周波数で駆動するときは、前記駆動電流の電圧を前記可動体の振幅が前記上限振幅と一致する電圧とし、前記ピーク周波数から前記第1周波数までの範囲の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って前記駆動電流の電圧を高くすることが好ましい。このように、ピーク周波数で最も電圧が低くなる電圧パターンを用いれば、可動体の加速度が広い範囲で目標値を上回るようにすることができる。
【0014】
本発明において、前記磁気駆動回路は、コイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させ、前記粘弾性体は、前記支持体と前記可動体とが前記第1方向で対向する個所に、前記第1方向を厚み方向として配置され、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向に移動する際、せん断方向に変形することが好ましい。このような構成では、粘弾性体の特性の調整によって、可動体の加速度を広い周波数帯域で大きくすることができる。従って、駆動電流の電圧調整により、可動体の振幅が大きくなりすぎないようにして、可動体と支持体との衝突を回避できる。
【0015】
本発明において、前記粘弾性体として、シリコーンゲルを用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ピーク周波数付近の周波数だけでなく、より広い範囲の周波数でも、可動体の加速度を大きくすることができる。すなわち、目標周波数帯域において目標加速度を得られる電圧を第1電圧として、可動体の振幅が上限振幅を上回らない限りは第1電圧の電流を供給することにより、大きな加速度を得られるようにする。その一方で、第1電圧で駆動すると可動体の振幅が上限振幅を上回る周波数帯域では、駆動電流の電圧を第1電圧より低くすることで、可動体と支持体との衝突を回避する。これにより、要望に応じて、目標周波数帯域では目標加速度を得ることができ、且つ、可動体と支持体との衝突を回避できるアクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るアクチュエータの外観斜視図である。
【
図5】アクチュエータの電圧特性、振幅特性、および加速度特性の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明に係るアクチュエータ1の実施形態を説明する。以下の説明において、互いに交差する3つの方向を、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yとして説明する。また、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付して説明する。本形態では、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yは、互いに直交する方向である。第2方向Xは、可動体3の振動方向である。
【0019】
図1は、本発明に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1のアクチュエータ1のXZ断面図である。
図3は、
図1のアクチュエータ1のYZ断面図である。
図4は、
図1のアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、アクチュエータ1は、全体として、第2方向Xの寸法が第3方向Yの寸法および第1方向Zの寸法より大きい直方体形状である。
図2、
図3、
図4に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、磁気駆動回路4と、配線基板5とを有する。磁気駆動回路4は、第1方向Zに対向するコイル6および磁石7を備えており、可動体3を第2方向Xに振動させる。コイル6は、支持体2の外周面に固定される配線基板5に接続されており、配線基板5を介してコイル6に電流が流れる。
【0021】
アクチュエータ1は、支持体2と可動体3とに接続される接続体9を備える。可動体3は、接続体9を介して支持体2に支持される。後述するように、アクチュエータ1は、接続体9としてゲル状部材(粘弾性体)を用いている。
【0022】
アクチュエータ1は、可動体3が第2方向Xに振動することにより、アクチュエータ1や、アクチュエータ1を取り付けた機器等を利用する者の身体を通して利用者に情報を報知する。アクチュエータ1は、例えば、ゲーム機の操作部材、操作パネル、自動車のハンドルやいす等に組み込んで利用することができ、可動体3の第2方向Xの振動によって利用者に触覚を与える触覚デバイスとして使用することができる。
【0023】
アクチュエータ1は、磁気駆動回路4のコイル6に供給する駆動電流を制御する制御部1A(
図2参照)を備える。制御部1Aは、配線基板5を介してコイル6に駆動電流を供給する。アクチュエータ1を触覚デバイスとして使用する際、コイル6に駆動電流として交流電流を供給する。制御部1Aは、交流電流の周波数および電圧を制御することにより
、アクチュエータの利用者に体感させる振動を制御する。例えば、交流電流の周波数および電圧の組み合わせを制御することにより、可動体3の加速度の大きさを制御し、利用者が体感する振動の強さを制御する。なお、交流電流の変動のパターンを制御することも可能である。例えば、可動体3が第2方向Xの一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、利用者は、第2方向Xにおいて方向性を有する振動を体感することができる。
【0024】
支持体2は、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に順に重ねられた第1ケース部材10、コイルホルダ30、および第2ケース部材20を有する。第1ケース部材10と第2ケース部材20との間に可動体3および磁気駆動回路4が配置される。本形態では、第1ケース部材10、コイルホルダ30、および第2ケース部材20は各々、樹脂製である。
【0025】
図4に示すように、コイルホルダ30は、4箇所の角部にそれぞれ、第1ケース部材10側へ突出する凸部30aと、第2ケース部材20側へ突出する凸部30bが設けられている。支持体2を組み立てる際には、コイルホルダ30の凸部30aは第1ケース部材10の穴10aに嵌まり、コイルホルダ30の凸部30bは第2ケース部材20の穴(図示せず)に嵌まる。従って、第1ケース部材10、コイルホルダ30および第2ケース部材20は互いに位置決めされた状態で連結される。第1ケース部材10、コイルホルダ30、および第2ケース部材20は、例えば、接着剤により結合される。あるいは、図示しない筒状のカバーの内側に第1ケース部材10、コイルホルダ30、および第2ケース部材20を保持させる構造を採用してもよい。
【0026】
第1ケース部材10は、第2方向Xで並ぶ2つの凹部13が形成された第1端板部11と、第1端板部11の外周縁からZ2方向に延びる第1側板部12を備える。第2ケース部材20は、第2方向Xで並ぶ2つの凹部23が形成された第2端板部21と、第2端板部21の外周縁からZ1方向に延びる第2側板部22を備える。コイルホルダ30の凸部30aが嵌まる穴10aは、第1側板部12における4箇所の角部の先端面に開口し、コイルホルダ30の凸部30bが嵌まる穴(図示せず)は、第2側板部22における4箇所の角部の先端面に開口する。
【0027】
コイルホルダ30のX2方向の側面には、配線基板5が固定される。第2ケース部材20のX2方向の側面には、コイルホルダ30からZ2方向に突出する配線基板5の上端部分を配置する凹部24が形成されている。コイル6から引き出したコイル線(図示せず)は、コイルホルダ30のZ2方向の表面に沿って引き回され、配線基板5に接続される。
【0028】
コイルホルダ30には、第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32が第2方向Xに並んで設けられている。第1コイル配置穴31はX1方向に配置され、第2コイル配置穴32は第1コイル配置穴31のX2方向に配置される。コイルホルダ30は、XY面に平行な板部33を備えており、第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32は、板部33を第1方向Zに貫通する。第1コイル配置穴31と第2コイル配置穴32の間には、第3方向Yに延びる仕切り部34が設けられている。仕切り部34は、コイルホルダ30の第2方向Xの略中央に位置する。
【0029】
コイルホルダ30には、第1コイル配置穴31のX1方向に切欠き部301が形成され、第2コイル配置穴32のX2方向に開口部302が形成されている。切欠き部301、および開口部302は板部33を第1方向Zで貫通している。板部33のY1方向の側面には、Y2方向に凹んだ凹部303、304が設けられている。凹部303は、板部33の第2方向Xの略中央に設けられ、凹部304は、板部33のX2方向の端部に近い位置に設けられている。板部33のY2方向の側面には、Y1方向に凹んだ凹部305が第2
方向Xの略中央に設けられている。凹部303、304、305は、コイル6からコイル線(図示せず)を引き出して配線基板5まで引き回す際、配線スペースとして利用される。
【0030】
図1に示すように、アクチュエータ1のX1方向の外周面には、コイルホルダ30の切欠き部301を塞ぐシール部材201が貼付される。アクチュエータ1の製造工程において、内部を検査する際、切欠き部301から検査光を照射する。また、アクチュエータ1のY1方向の外周面には、凹部303、304を塞ぐシール部材202が貼付され、アクチュエータ1のY2方向の外周面には、凹部305を塞ぐシール部材203が貼付される。
【0031】
支持体2は、コイルホルダ30の板部33およびコイル6にZ1方向から重ねられた金属製のプレート40を備える。プレート40は、第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32に重なるが、切欠き部301および開口部302には重ならない。コイルホルダ30にコイル6を固定する際、プレート40とコイルホルダ30とを積層し、接着剤を入れた第1コイル配置穴31および第2コイル配置穴32にコイル6を配置して固定する。
【0032】
図4に示すように、コイルホルダ30は、コイル6の外周面を押圧して位置決めするばね部50を2箇所に備える。ばね部50は、コイルホルダ30と一体に形成された樹脂ばねである。ばね部50は、第1コイル配置穴31のX2方向の内周面、および第2コイル配置穴32のX1方向の内周面に1箇所ずつ設けられている。
【0033】
コイルホルダ30は、第1コイル配置穴31のX1方向の内周面、および第2コイル配置穴32のX2方向の内周面には、それぞれ、第3方向Yに離れた2箇所に受け部55が設けられている。第1コイル61は、第1コイル配置穴31においてばね部50によりX1方向に押圧され、受け部55に押し付けられている。第2コイル62は、第2コイル配置穴32においてばね部50によりX2方向に押圧され、受け部55に押し付けられている。従って、第1コイル61および第2コイル62には、いずれも、2箇所の受け部55と1箇所のばね部50が有効辺601の部分に接触しており、3点で支持される。
【0034】
ばね部50は、コイルホルダ30の第2方向Xの中央に配置される仕切り部34のX1方向の側面、および仕切り部34のX2方向の側面に配置される。仕切り部34のX1方向の側面には、X2方向に凹む凹部35が設けられている。ばね部50は、凹部35のY1方向の開口縁からY2方向の開口縁に向かって延びている。仕切り部34のX2方向の側面には、X1方向に凹む凹部36が設けられている。ばね部50は、凹部36のY2方向の開口縁からY1方向の開口縁に向かって延びている。従って、ばね部50は、第2方向Xに弾性変形可能である。
【0035】
各ばね部50の先端には、コイル6が位置する側に突出する凸部51が設けられている。凸部51の先端は、各コイル配置穴の内周面よりも内周側に突出している。従って、ばね部50は、凸部51の先端によってコイル6を押圧する。また、各ばね部50は、凸部51のZ2方向の端部から突出する係止部52を備える。係止部52は、第1コイル61のX2方向の外周縁をZ2方向から係止する。同様に、受け部55のZ2方向の端部から突出する係止部56が第1コイル61のX1方向の外周縁をZ2方向から係止する。これにより、第1コイル61が第1コイル配置穴31から抜けないように保持される。第2コイル配置穴32においても、同様に、第2コイル62が第2コイル配置穴32から抜けないように保持される。
【0036】
磁気駆動回路4は、コイル6として、第1コイル61および第2コイル62を備える。
第1コイル61は、第1コイル配置穴31に配置される。第2コイル62は、第2コイル配置穴32に配置される。コイル6は、第3方向Yに延在する2本の有効辺601を備える長円形状の空芯コイルである。コイル6の中央には、第3方向Yに延びる中央穴602が設けられている。
【0037】
磁石7は、コイル6の有効辺601と第1方向Zで対向する。磁石7は、第1コイル61および第2コイル62の有効辺601にZ1方向から対向する2個の第1磁石71、72と、第1コイル61および第2コイル62の有効辺601にZ2方向から対向する2個の第2磁石73、74を備える。第1磁石71、72および第2磁石73、74は、第3方向Yで分極着磁される。本形態では、第1コイル61と第2コイル62は、同一のコイルである。また、第1磁石71、72、および第2磁石73、74は、全て同一の磁石である。
【0038】
なお、本形態では、コイル6に対する第1方向Zの両側に磁石7を配置しているが、磁気駆動回路4は、コイル6に対してZ1方向およびZ2方向の一方側にのみ磁石7を配置した構成を採用してもよい。また、本形態では、コイル6と磁石7を第1方向Zで対向させた磁気駆動回路4を2組備えているが、本発明は、磁気駆動回路4を1組、あるいは3組以上備えたアクチュエータに適用できる。
【0039】
可動体3は、磁石7を保持するヨーク80を備える。
図2、
図3、
図4に示すように、ヨーク80は、コイルホルダ30の板部33に対してZ1方向から対向する第1板部81と、板部33に対してZ2方向から対向する第2板部82と、板部33の第3方向Yの両側において第1方向Zに延びて第1板部81と第2板部82とを接続する一対の連結板部83、84を備える。第1板部81のZ2方向の表面には、第1磁石71、72が第2方向Xに並んで固定される。第2板部82のZ1方向の表面には、第2磁石73、74が第2方向Xに並んで固定される。第1磁石71、72および第2磁石73、74は、接着等の方法でヨーク80に固定される。
【0040】
ヨーク80は、第1板部81および第1板部81の第3方向Yの両端からZ2方向に屈曲した一対の連結板部83、84を備える第1ヨーク85と、第2板部82からなる第2ヨーク86の2部品を接合して製造される。連結板部83は、第1コイル61に対してX1方向でコイルホルダ30の切欠き部301を通ってZ2方向に延在し、連結板部84は、第2コイル62に対してZ2方向でコイルホルダ30の開口部302を通ってZ2方向に延在する。一対の連結板部83、84のZ2方向の端部は、溶接により第2板部82の第3方向Yの両端部に連結される。
【0041】
(接続体)
図2に示すように、接続体9は、支持体2と可動体3とが第1方向Zで対向する個所に配置される。可動体3は、接続体9によって第2方向Xに移動可能に支持される。本形態では、接続体9は、第1ヨーク85と第1ケース部材10とが第1方向Zで対向する個所に配置される第1接続体91、および、第2ヨーク86と第2ケース部材20とが第1方向Zで対向する個所に配置される第2接続体92を備える。
【0042】
第1接続体91は、第1ヨーク85の第1板部81と第1ケース部材10の凹部13の底面との間で第1方向Zに圧縮された状態で配置される。本形態では、2個の第1接続体91が第2方向Xで並列して配置される。また、第2接続体92は、第2ヨーク86の第2板部82と第2ケース部材20の凹部23の底面との間で第1方向Zに圧縮された状態で配置される。本形態では、2個の第2接続体92が第2方向Xで並列して配置される。
【0043】
本形態では、接続体9は粘弾性体である。例えば、接続体9(粘弾性体)は、針入度が
10度から110度であるシリコーンゲルである。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。なお、シリコーンゲルの粘弾性特性は、上記のものに限定されない。例えば、後述するように、粘性成分が多く、減衰係数が高いシリコーンゲルを用いることができる。また、粘弾性を備えた接続体9として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0044】
接続体9は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、接続体9は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(ばね成分)よりも非線形の成分(粘性成分)が大きい伸縮特性を備える。これに対して、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(粘性成分)よりも線形の成分(ばね成分)が大きい伸縮特性を備える。また、接続体9は、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(粘性成分)よりも線形の成分(ばね成分)が大きい変形特性を持つ。
【0045】
可動体3が第2方向Xに振動した際、接続体9は、せん断方向に変形する。従って、接続体9では、可動体3が第2方向Xに振動した際、せん断方向の変形特性を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもった振動を実現することができる。
【0046】
(粘弾性体の選定、および、駆動制御に用いる電圧特性)
図5は、アクチュエータ1の電圧特性、振幅特性、および加速度特性の説明図である。
図5(a)は電圧特性のグラフであり、
図5(b)は振幅特性のグラフであり、
図5(c)は加速度特性のグラフである。
図5(a)-(c)において、実線で示す電圧特性V、振幅特性W、加速度特性Aが本形態のアクチュエータ1の特性を示す。破線で示す電圧特性V1、振幅特性W1、加速度特性A1は、比較例1の特性を示す。二点鎖線で示す電圧特性V2、振幅特性W2、加速度特性A2は、比較例2の特性を示す。
【0047】
図5(b)に示す振幅特性W、W1、W2、および、
図5(c)に示す加速度特性A、A1、A2は、可動体3の重量、接続体9の粘弾性特性(ばね要素+減衰要素)、磁気駆動回路のローレンツ力(すなわち、可動体3を振動させる推力)から、1自由度の振動系の運動方程式の解として求めることができる。従って、アクチュエータ1の具体的構成が決まれば、電圧特性V、V1、V2をパラメータとして、運動方程式から、振幅特性W、W1、W0および加速度特性A、A1、A2を求めることができる。あるいは、試作品の可動体3を電圧特性V、V1、V2で駆動して計測により振幅特性W、W1、W2および加速度特性A、A1、A2を求めることもできる。
【0048】
本形態では、加速度特性A、A1、A2を規定するパラメータの1つである接続体9の粘弾性特性(ばね要素+減衰要素)に着目して、アクチュエータの利用者が要望する目標周波数帯域(例えば、50Hz以上100Hz以下)で、目標加速度At(例えば、At=2.5Gal)以上の加速度が得られるように、接続体9として用いる粘弾性体の種類を選定した。その際、減衰係数が高い粘弾性体を用いれば、広い周波数帯域で、全体として加速度のレベルが高いレベルにシフトすることに着目して、粘弾性体の選定を行った。
【0049】
比較例1の特性は、上記の条件を満たすように選定した粘弾性体を用いたアクチュエータ1の構成において、全ての周波数帯において第1電圧VH(VH=5.9V)で駆動し
た場合の特性である。すなわち、比較例1の電圧特性は、全周波数帯域で「電圧制御なし」とするものである。
図5(c)に示すように、駆動電流の電圧を一定値にした場合に、可動体3の加速度が最大加速度となる周波数をピーク周波数fpとする。
図5(b)に示すように、可動体3の振幅は、ピーク周波数fpもしくはその付近で最大振幅となる。
【0050】
比較例1の振幅特性W1からわかるように、全周波数帯域を第1電圧VHで駆動すると、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域では、可動体3の振幅が、本形態のアクチュエータ1における上限振幅Wmaxを超える。上限振幅Wmaxは、本形態のアクチュエータ1において、可動体3が支持体2に衝突せずに振動できる最大振幅である。最大振幅は、可動体3と支持体2とが第2方向Xで対向する箇所の最小の隙間により決まる。例えば、本形態では、上限振幅Wmax=1.3mmと設定する。なお、上限振幅Wmaxは、最大振幅と一致していなくてもよく、外乱などによる振幅の乱れを考慮して、最大振幅よりも小さい値に設定することもできる。
【0051】
本形態では、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域では、駆動電流の電圧を第1電圧VHよりも低い値とするように電圧特性Vを設定する(
図5(a)参照)。すなわち、本形態の電圧特性は、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域を電圧制御区間として、電圧制御区間では「電圧制御あり」とし、他の区間では「電圧制御なし(すなわち、電圧を一定値とする)」とするものである。これにより、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域では、可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを超えないようにしている。
【0052】
より具体的には、第1周波数f1からピーク周波数までの周波数帯域では、周波数が高くなるに従って電圧を下げるような特性を採用する。一方、ピーク周波数から第2周波数f2までの周波数帯域では、周波数が高くなるに従って電圧を上げるような特性を採用する。電圧特性のカーブの形状は、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域の全ての周波数で、可動体3の振幅を上限振幅Wmaxと一致させるように設定している。
【0053】
この結果、第1周波数f1から第2周波数f2までの中間周波数帯域における加速度特性Aは、電圧を下げる制御を行っていない比較例1の加速度特性A1と比較して、第1周波数f1から第2周波数f2までの範囲で、周波数の増大に伴う加速度の上昇が緩やかになっており、加速度のピーク値が下がっている。また、加速度のピーク値が得られる周波数は、上記のピーク周波数fpよりも高い周波数となっている。そのような点で比較例1との違いはあるものの、本形態の電圧特性Vにより得られる加速度特性Aは、目標周波数帯域(50Hz以上100Hz以下)で、目標加速度At(2.5Gal)以上の加速度を得るという条件は満たしている。
【0054】
比較例2の電圧特性V2は、ピーク周波数fpでの振幅が上限振幅Wmaxを超えない第2電圧VL(例えば、2.6V)を決定し、全ての周波数帯において第2電圧VLで駆動するものである。すなわち、比較例2の電圧特性は、全周波数帯域で「電圧制御なし(但し、低電圧)」とするものである。しかしながら、この場合、振幅特性W0が上限振幅Wmaxを超えないという必要条件を満たすものの、加速度特性A2は、目標周波数帯域(50Hz以上100Hz以下)の一部で、目標加速度(2.5Gal)を満たすことができないものになってしまう。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、支持体2および可動体3と、可動体3と支持体2とに接続される接続体9と、可動体3を支持体2に対して振動させる磁気駆動回路4と、磁気駆動回路4に供給する駆動電流を制御する制御部1Aと、を有する。
接続体9は、粘弾性体である。支持体2と衝突しない可動体3の最大振幅を上限振幅Wmaxとし、駆動電流の電圧を一定値とした場合に可動体3の加速度または振幅が最大となる周波数をピーク周波数fpとし、ピーク周波数fpを含む目標周波数帯域において可動体3の加速度が予め定めた目標加速度At以上となる電圧であって、且つ、ピーク周波数fpでは可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを越える電圧を第1電圧VHとし、駆動電流の電圧を第1電圧VHとした場合に可動体3の振幅が上限振幅Wmax以上となる周波数帯域が、ピーク周波数fpよりも低い第1周波数f1からピーク周波数fpよりも高い第2周波数f2までの中間周波数帯域である場合に、制御部1Aは、第1周波数f1以下の低周波数帯域、および、第2周波数f2以上の高周波数帯域で駆動するときは、駆動電流の電圧を第1電圧VHとし、中間周波数帯域で駆動するときは、駆動電流の電圧を、第1電圧VHよりも低く、且つ、可動体3の振幅が上限振幅Wmax以下となる電圧とする。
【0056】
本形態によれば、ピーク周波数fp付近の周波数だけでなく、より広い範囲の周波数でも、可動体3の加速度を大きくすることができる。すなわち、目標周波数帯域において目標加速度Atを得られる電圧を第1電圧VHとして、可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを上回らない限りは第1電圧VHの電流を供給することにより、大きな加速度を得られるようにする。その一方で、第1電圧VHで駆動すると可動体3の振幅が上限振幅Wmaxを上回る周波数帯域では、駆動電流の電圧を第1電圧VHより低くすることで、可動体3と支持体2との衝突を回避する。これにより、目標周波数帯域では目標加速度Atを得ることができ、且つ、可動体3と支持体2との衝突を回避できるアクチュエータ1を提供できる。
【0057】
本形態では、制御部1Aは、中間周波数帯域(すなわち、第1電圧VHの電流を供給すると、可動体3の振幅が上限振幅Wmax以上になってしまう周波数帯域)の周波数で駆動するときは、駆動電流の電圧を、可動体3の振幅が上限振幅Wmaxと一致する電圧まで下げる制御を行う。このようにすると、可動体3の加速度を最大限に大きくすることができる。従って、利用者が体感する振動を大きくすることができる。
【0058】
本形態では、ピーク周波数fpとして、駆動電流の電圧を一定値とした場合に可動体3の加速度が最大となる加速度ピーク周波数を用いる。なお、駆動電流の電圧を一定値とした場合の可動体3の振幅特性から、可動体3の振幅が最大となる振幅ピーク周波数を求め、振幅ピーク周波数をピーク周波数fpとして扱うこともできる。
【0059】
本形態では、目標周波数帯域は、50Hz以上100Hz以下とする。本形態のような電圧制御を行うことにより、ピーク周波数fp付近の周波数だけでなく、50Hz以上100Hz以下のような広い範囲で、目標加速度At(例えば、At=2.5Gal)を得ることができる。
【0060】
本形態では、制御部1Aは、第1周波数f1からピーク周波数fpまでの範囲の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って駆動電流の電圧を低くし、ピーク周波数fpで駆動するときは、駆動電流の電圧を可動体3の振幅が上限振幅Wmaxと一致する電圧とし、ピーク周波数fpから第1周波数f1までの範囲の周波数で駆動するときは、周波数が高くなるに従って駆動電流の電圧を高くする。このように、ピーク周波数fpで最も電圧が低くなる電圧パターンを用いれば、可動体3の加速度が広い範囲で目標値を上回るようにすることができる。また、可動体3の振幅を広い周波数帯域で上限振幅Wmaxに一致させることができ、広い周波数帯域で可動体3の加速度を大きくすることができる。
【0061】
本形態では、磁気駆動回路4は、コイル6およびコイル6に第1方向Zで対向する磁石7を備え、可動体3を支持体2に対して第1方向Zに交差する第2方向Xに振動させ、粘
弾性体は、支持体2と可動体3とが第1方向Zで対向する個所に、第1方向Zを厚み方向として配置され、可動体3が支持体2に対して第2方向Xに移動する際、せん断方向に変形する。このような構成では、粘弾性体の特性の調整によって、可動体3の加速度を広い周波数帯域で大きくすることができる。従って、駆動電流の電圧調整により、可動体3の振幅が大きくなりすぎないようにして、可動体3と支持体2との衝突を回避できる。
【0062】
本形態では、粘弾性体として、シリコーンゲルを用いることができる。シリコーンゲルは、材料の配合比の調整により、粘弾性特性(ばね要素+減衰要素)を調整できる。従って、減衰係数が高い粘弾性体を選定することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…アクチュエータ、1A…制御部、2…支持体、3…可動体、4…磁気駆動回路、5…配線基板、6…コイル、7…磁石、9…接続体、10…第1ケース部材、10a…穴、11…第1端板部、12…第1側板部、13…凹部、20…第2ケース部材、21…第2端板部、22…第2側板部、23…凹部、24…凹部、30…コイルホルダ、30a、30b…凸部、31…第1コイル配置穴、32…第2コイル配置穴、33…板部、34…仕切り部、35、36…凹部、40…プレート、50…ばね部、51…凸部、52…係止部、55…受け部、56…係止部、61…第1コイル、62…第1コイル、71、72…第1磁石、73、74…第2磁石、80…ヨーク、81…第1板部、82…第2板部、83、84…連結板部、85…第1ヨーク、86…第2ヨーク、91…第1接続体、92…第2接続体、201、202、203…シール部材、301…切欠き部、302…開口部、303、304、305…凹部、601…有効辺、602…中央穴、X…第2方向、Y…第3方向、Z…第1方向