IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローランドディー.ジー.株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図1
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図2
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図3
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図4
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図5
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図6
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図7
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図8
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図9
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図10
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図11
  • 特開-加工システムおよび表示方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094533
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】加工システムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20240703BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20240703BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20240703BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240703BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240703BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240703BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B26D5/00 F
B26D7/20
B23Q17/24 C
B23Q17/00 E
G01B11/00 H
G01B11/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211136
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】池村 基弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 輝
【テーマコード(参考)】
2C187
2F065
3C021
3C024
3C029
【Fターム(参考)】
2C187AC08
2C187AE07
2C187AG11
2C187BF11
2C187BH17
2C187BH18
2C187BH23
2C187BH27
2F065AA04
2F065AA14
2F065AA31
2F065BB27
2F065DD03
2F065EE00
2F065FF04
2F065FF61
2F065JJ03
2F065MM02
2F065QQ03
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
3C021GA04
3C024AA06
3C029AA40
3C029FF04
(57)【要約】
【課題】支持面に支持された被加工物の位置および向きを適切に特定して表示する。
【解決手段】加工システム1は、複数の特定マークM1が基準位置関係P1になるように付与され、かつ、被加工物5が支持される支持面26を備えた加工装置10と、制御装置103とを備える。制御装置103は、特定マークM11と、支持面26に支持された被加工物5とが写るように支持面26を、撮像装置150によって撮像した撮像画像G1を取得する取得部112と、撮像画像G1の向きにおける複数の特定マークM1の位置を特定する特定部114と、撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係が、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換し、変換撮像画像G2とする変換部116と、変換撮像画像G2と、被加工物5に対する加工画像G5とを重畳表示する表示部118と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の特定マークが所定の基準位置関係になるように付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備えた加工装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
撮像装置によって複数の前記特定マークと前記支持面に支持された前記被加工物とが写るように前記支持面を撮像した撮像画像を、取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像画像の向きにおける複数の前記特定マークの位置を特定する特定部と、
前記撮像画像における複数の前記特定マークの位置関係が、前記基準位置関係になるように前記撮像画像の向きを変換し、変換撮像画像とする変換部と、
前記変換撮像画像と、前記被加工物に加工する内容を示す加工画像とを重畳表示する表示部と、
を備えた、加工システム。
【請求項2】
前記変換部は、前記基準位置関係になるように前記撮像画像の向きを変換すると共に、複数の前記特定マークに基づいて、前記支持面に対して直交する方向から撮像された推定撮像画像を推定し、前記撮像画像を前記推定撮像画像に変換して前記変換撮像画像とする、請求項1に記載された加工システム。
【請求項3】
複数の前記特定マークは、繋いだ形状が矩形状になるように、前記支持面に4つ付与されており、
前記変換部は、前記撮像画像の複数の前記特定マークを繋いだ形状が、矩形状になるように前記推定撮像画像を推定する、請求項2に記載された加工システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記変換撮像画像の前記被加工物に対して、ユーザからの所定の指示に基づいて、前記加工画像の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整した調整画像を作成する調整部を備えた、請求項1に記載された加工システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記変換撮像画像の前記被加工物に対応するように、前記加工画像の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを自動で調整して調整画像を作成する自動調整部を備えた、請求項1に記載された加工システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記調整画像に対応した加工データを生成する生成部を備えた、請求項4または5に記載された加工システム。
【請求項7】
前記支持台は、前記支持面に載置され、前記被加工物が載置される載置治具を有し、
複数の前記特定マークは、前記載置治具に付与され、かつ、前記載置治具を介して前記支持面に間接的に付与されている、請求項1に記載された加工システム。
【請求項8】
複数の前記特定マークは、前記支持面に直接付与されている、請求項1に記載された加工システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、前記加工装置に固定されていない、請求項1に記載された加工システム。
【請求項10】
複数の特定マークが所定の基準位置関係になるように付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備えた加工装置に対して、複数の前記特定マークと、前記支持面に支持された前記被加工物とが写るように前記支持面を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像した撮像画像を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した前記撮像画像の向きにおける複数の前記特定マークの位置を特定する特定工程と、
前記撮像画像における複数の前記特定マークの位置関係が、前記基準位置関係になるように前記撮像画像の向きを変換し、変換撮像画像とする変換工程と、
前記変換撮像画像と、前記被加工物に加工する内容を示す加工画像とを重畳表示する表示工程と、
を包含する、表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数の立体物に印刷を行う立体物印刷システムが開示されている。立体物印刷システムは、複数の立体物を載置する印刷テーブルと、印刷テーブル上の各立体物の位置および向きを検出する検出手段とを備えている。
【0003】
印刷テーブルには、基準マークが形成されている。検出手段は、印刷テーブルの上方においてXY方向に移動可能に構成されている。検出手段は、印刷テーブルの真上を通過するときに基準マークを検出することによって、立体物の位置および向きを検出する。そして、検出手段による検出結果に基づいて、各立体物に対応させた印刷データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-187915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の立体物印刷システムでは、検出手段が基準マークを検出するときにおける印刷テーブルに対する位置および向きは、同じである。本願出願人は、印刷テーブルに対する検出手段の位置および向きに限定されずに、基準マークを検出して、立体物の位置および向きを適切に特定することを考えている。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物を支持する支持面に対する撮像装置の位置および向きに依存されることなく、支持面に支持された被加工物の位置および向きを適切に特定して表示することが可能な加工システムおよび表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加工システムは、加工装置と、制御装置とを備えている。前記加工装置は、複数の特定マークが所定の基準位置関係になるように付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備えている。前記制御装置は、取得部と、特定部と、変換部と、表示部とを備えている。前記取得部は、撮像装置によって複数の前記特定マークと前記支持面に支持された前記被加工物とが写るように前記支持面を撮像した撮像画像を、取得する。前記特定部は、前記取得部によって取得された前記撮像画像の向きにおける複数の前記特定マークの位置を特定する。前記変換部は、前記撮像画像における複数の前記特定マークの位置関係が、前記基準位置関係になるように前記撮像画像の向きを変換し、変換撮像画像とする。前記表示部は、前記変換撮像画像と、前記被加工物に加工する内容を示す加工画像とを重畳表示する。
【0008】
上記加工システムによれば、支持面に対して様々な位置、向きおよび角度から、撮像装置によって支持面が撮像されることがあり得る。ここでは、撮像画像の向きにおける複数の特定マークの位置を特定し、撮像画像における複数の特定マークの位置関係が、基準位置関係になるように撮像画像の向きを変換して、変換撮像画像を作成している。そのため、変換撮像画像における複数の特定マークの位置関係は、基準位置関係となる。よって、変換撮像画像を加工画像と重畳させて表示することで、支持面に支持された被加工物の位置および向きを適切に特定して表示することができる。
【0009】
上記表示方法は、撮像工程と、取得工程と、特定工程と、変換工程と、表示工程とを包含する。前記撮像工程では、複数の特定マークが所定の基準位置関係になるように付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備えた加工装置に対して、複数の前記特定マークと、前記支持面に支持された前記被加工物とが写るように前記支持面を撮像する。前記取得工程では、前記撮像工程において撮像された撮像画像を取得する。前記特定工程では、前記取得工程において取得した前記撮像画像の向きにおける複数の前記特定マークの位置を特定する。前記変換工程では、前記撮像画像における複数の前記特定マークの位置関係が、前記基準位置関係になるように前記撮像画像の向きを変換し、変換撮像画像とする。前記表示工程では、前記変換撮像画像と、前記被加工物に加工する内容を示す加工画像とを重畳表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被加工物を支持する支持面に対する撮像装置の位置および向きに依存されることなく、支持面に支持された被加工物の位置および向きを適切に特定して表示することが可能な加工システムおよび表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る加工システムの概念図である。
図2】プリンタを示す斜視図である。
図3】プリンタを示す正面図である。
図4】インクヘッドおよび光照射装置の底面の構成を示す模式図である。
図5】実施形態に係る加工システムのブロック図である。
図6】支持台の支持面を示す平面図である。
図7】表示方法の手順を示すフローチャートである。
図8】撮像画像の一例を示す図である。
図9】変換撮像画像の一例を示す図である。
図10】推定撮像画像の一例を示す図である。
図11】変換撮像画像と印刷画像を重畳表示した図である。
図12】変換撮像画像と調整画像とを重畳表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る加工システム1の概念図である。図1に示すように、加工システム1は、プリンタ10と、操作端末100と、撮像装置150とを備えている。操作端末100は、プリンタ10および撮像装置150と通信可能に接続されている。本実施形態では、プリンタ10は、撮像装置150と通信可能に接続されている。ただし、プリンタ10と撮像装置150とは、通信可能に接続されていなくてもよい。本実施形態では、プリンタ10と、操作端末100と、撮像装置150とは、インターネット200に接続されており、インターネット200を介して相互に通信可能である。以下、プリンタ10、操作端末100、撮像装置150について順に説明する。
【0014】
まずプリンタ10について説明する。本実施形態では、加工システム1が備えるプリンタ10の数は、3つであるが、特に限定されるものではない。
【0015】
図2は、プリンタ10を示す斜視図である。図3は、プリンタ10を示す正面図である。以下の説明では、ユーザがプリンタ10を正面から見たときに、ユーザがプリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。プリンタ10の左、右、上、下とは、ユーザがプリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)している。副走査方向Xは例えば前後方向である。符号Zは、高さ方向、言い換えると上下方向を示している。高さ方向Zは、主走査方向Yおよび副走査方向Xと直交している。ただし、これら方向は、説明の便宜上に定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、かつ、本発明を何ら限定するものではない。
【0016】
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は特に限定されない。プリンタ10は、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタであり、後述の支持台25(図3参照)が副走査方向Xに移動することで、被印刷物5(図3参照)も副走査方向Xに移動するように構成されている。ただし、プリンタ10は、いわゆるガントリータイプのプリンタであってもよく、支持台25に支持された被印刷物5自体は移動させずに、後述のインクヘッド32(図3参照)が主走査方向Yおよび副走査方向Xに移動するものであってもよい。
【0017】
本実施形態では、プリンタ10は、加工装置の一例である。プリンタ10は、被加工物の一例である被印刷物5を加工するものである。ここでいう「加工」とは、被加工物(本実施形態では被印刷物5)の表面に対して何かしらの処理を施して、変化させることをいう。本実施形態では、プリンタ10は、被印刷物5の表面に印刷することで、当該表面を変化させている。プリンタ10は、被印刷物5への印刷を行うことで、被印刷物5を加工する装置である。
【0018】
図2に示すように、プリンタ10は、ケース状のプリンタ本体11と、カバー12とを備えている。プリンタ本体11は、例えば直方体形状であり、内部空間を有している。この内部空間において印刷が行われる。図3に示すように、プリンタ本体11の前部には開口15が形成されている。
【0019】
カバー12は、開口15を開閉自在にプリンタ本体11に支持されている。カバー12は、後端を軸に回転可能に構成されている。図2に示すように、カバー12の前部および上部には、窓16が設けられている。窓16は、透明または半透明の部材、例えばアクリル板によって形成されている。ユーザは、窓16を通じてプリンタ本体11の内部空間を視認することができる。
【0020】
本実施形態では、図2に示すように、プリンタ10は、操作パネル20を備えている。操作パネル20は、プリンタ本体11に設けられている。詳しくは、操作パネル20は、プリンタ本体11の右上部に設けられているが、プリンタ本体11に対する操作パネル20の位置は特に限定されない。操作パネル20は、プリンタ10の各種設定の情報などが表示される表示画面21と、操作キー22とを有している。ユーザは、例えば操作キー22を操作することによって、表示画面21に各種設定の情報を表示したり、設定の内容を決定したりすることができる。なお、本実施形態では、操作キー22は、物理的なボタンによって構成されているが、例えば表示画面21上に設けられたタッチパネルによって実現されてもよい。
【0021】
次に、プリンタ10の内部構成について説明する。図3に示すように、プリンタ10は、支持台25を備えている。支持台25は、被印刷物5を支持するものである。ここでは、支持台25は、被印刷物5を支持する支持面26を有している。支持面26は、支持台25の上面を構成している。被印刷物5は、支持面26に載置されている。ここでは、支持面26上において印刷が行われる。支持面26は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平らな面である。
【0022】
図3に示すように、プリンタ10は、ガイドレール28と、キャリッジ30と、インクヘッド32と、光照射装置35とを備えている。ガイドレール28は、プリンタ本体11の内部空間に配置され、プリンタ本体11に固定されている。ガイドレール28は、支持台25よりも上方に配置されている。ガイドレール28は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ30は、ガイドレール28に摺動自在に設けられている。キャリッジ30は、ガイドレール28に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0023】
インクヘッド32は、支持台25よりも上方に配置されている。ここでは、インクヘッド32は、支持台25、および、支持台25に支持された被印刷物5よりも上方に配置されている。インクヘッド32は、インクを吐出する。ここでは、インクヘッド32は、支持台25に支持された被印刷物5に向かって下方にインクを吐出する。インクヘッド32は、キャリッジ30に設けられている。詳しくは、インクヘッド32は、底面が下方に向かって露出するようにキャリッジ30に設けられ、かつ、キャリッジ30に支持されている。なお、インクヘッド32の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド32の数は4つである。4つのインクヘッド32は、主走査方向Yに並んで配置されている。
【0024】
図4は、インクヘッド32および光照射装置35の底面の構成を示す模式図である。本実施形態では、図4に示すように、各インクヘッド32は、複数のノズル33と、複数のノズル33が形成されたノズル面34とを有している。ノズル面34は、インクヘッド32の底面を構成している。1つのインクヘッド32において、複数のノズル33は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここで、1つのインクヘッド32において、副走査方向Xに並んだ複数のノズル33の列のことをノズル列33aという。本実施形態では、1つのインクヘッド32において、ノズル列33aの数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0025】
各インクヘッド32は、それぞれ異なる色のインクを吐出する。なお、各インクヘッド32から吐出されるインクの具体的な色は、特に限定されない。各インクヘッド32から吐出されるインクは、例えばプロセスカラーインクおよび特色インクなどのうちの何れかの色のインクである。プロセスカラーインクには、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどが含まれている。特色インクには、プロセスカラーインク以外の色のインク、例えばホワイトインク、クリアインクなどが含まれている。なお、本実施形態では、複数のインクヘッド32は、それぞれ異なる色のインクを吐出しているが、一部のインクヘッド32は、同じ色のインクを吐出してもよい。例えば2つのインクヘッド32から同じ色のインクが吐出されてもよい。また、1つのインクヘッド32において、ノズル列33a毎に異なる色のインクが吐出されてもよい。
【0026】
また、インクヘッド32から吐出されるインクの材料は何ら限定されず、従来からのインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。本実施形態では、インクヘッド32から吐出されるインクは、光が照射されると硬化が促進される光硬化型インクである。インクに照射される光とは、例えば紫外線である。ここでは、インクは、紫外線が照射されると硬化が促進される紫外線硬化型インクである。
【0027】
本実施形態では、インクヘッド32から吐出されるインクは、図3に示すインクカートリッジ45に収容されている。例えばプリンタ本体11の左部の前面には、収容部46が配置されている。インクカートリッジ45は、収容部46に収容されている。インクカートリッジ45は、例えば1つのインクヘッド32につき1つ接続されている。インクカートリッジ45は、例えば図示しないインクチューブを介してインクヘッド32に接続される。インクカートリッジ45に収容されたインクは、インクチューブを通ってインクヘッド32に供給される。
【0028】
光照射装置35は、光を照射するものである。本実施形態では、光照射装置35は、インクヘッド32から吐出されたインクに光を照射する装置である。詳しくは、光照射装置35は、支持台25に支持された被印刷物5に吐出されたインクに、光を照射可能に構成されている。本実施形態では、インクヘッド32(詳しくはノズル33)から吐出されたインクは、紫外線が照射されると硬化が促進される紫外線硬化型インクである。そのため、光照射装置35は、インクヘッド32から吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射装置であり得る。
【0029】
図3に示すように、光照射装置35は、キャリッジ30に設けられており、キャリッジ30およびインクヘッド32と共に主走査方向Yに移動可能に構成されている。本実施形態では、光照射装置35の数は2つである。光照射装置35は、キャリッジ30の左側に設けられている第1光照射装置35Aと、キャリッジ30の右側に設けられている第2光照射装置35Bとを有している。光照射装置35は、キャリッジ30の左右両側、すなわちインクヘッド32の左方および右方に設けられている。しかしながら、第1光照射装置35Aと第2光照射装置35Bの何れかは、省略されてもよい。光照射装置35の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。ここでは、光照射装置35は、インクヘッド32と主走査方向Yに並んで配置されている。
【0030】
図5は、本実施形態に係る加工システム1のブロック図である。本実施形態では、各光照射装置35は、照射本体36(図4参照)と、光源37(図5参照)とを有している。照射本体36は、例えば直方体形状であり、中空のものである。図4に示すように、照射本体36の底面には、照射口38が形成されている。照射口38の形状は、四角形状であるが、特に限定されない。図5の光源37は、光(ここでは紫外線)を発するものであり、照射本体36の内部に配置されている。光源37から発せられた光は、照射口38を通り、支持台25に支持された被印刷物5に吐出されたインクに照射される。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、プリンタ10は、支持台25に対して、キャリッジ30、インクヘッド32および光照射装置35を主走査方向Yに移動させる第1移動機構51と、キャリッジ30、インクヘッド32および光照射装置35に対して、支持台25に支持された被印刷物5を副走査方向Xに移動させる第2移動機構52とを備えている。また、詳しい構成の説明は省略するが、プリンタ10は、支持台25を昇降させる昇降機構53を備えている。
【0032】
第1移動機構51は、キャリッジ30、インクヘッド32および光照射装置35を主走査方向Yに移動させる。なお、第1移動機構51の構成は特に限定されない。第1移動機構51は、図示は省略するが、例えば左右のプーリと、ベルトと、スキャンモータとを有している。左のプーリはガイドレール28の左端部の周囲に設けられ、右のプーリはガイドレール28の右端部の周囲に設けられている。ベルトは、例えば無端状のベルトであり、左右のプーリに巻き掛けられている。ベルトには、キャリッジ30が取り付け固定されている。スキャンモータは、左右のプーリの一方に接続されている。ここでは、スキャンモータが駆動することでプーリが回転し、左右のプーリの間においてベルトが走行する。このことで、キャリッジ30と共に、インクヘッド32および光照射装置35が、ガイドレール28に沿って主走査方向Yに移動する。
【0033】
第2移動機構52は、支持台25を副走査方向Xに移動させることで、支持台25に支持された被印刷物5を副走査方向Xに移動させる。なお、第2移動機構52の構成は特に限定されない。ここでは、第2移動機構52は、図示は省略するが、支持台25を支持する支持台キャリッジと、支持台キャリッジをスライド可能に支持し、副走査方向Xに延びた左右一対のスライドレールとを備えている。第2移動機構52は、図示は省略するが、更にスライドレールの前方および後方に設けられた前後一対のスライドプーリと、前後一対のスライドプーリに巻き掛けられたスライドベルトとを備えている。このスライドベルトには、支持台キャリッジが固定されている。前後一対のスライドプーリのうちの何れかには、フィードモータが接続されている。ここでは、フィードモータが駆動してスライドベルトが走行することで、支持台キャリッジと共に支持台25が副走査方向Xに移動する。このことによって、支持台25に支持された被印刷物5も副走査方向Xに移動する。
【0034】
図3に示すように、プリンタ10は、プリンタ制御装置60を備えている。プリンタ制御装置60は、印刷に関する制御などを行う装置である。プリンタ制御装置60の構成は特に限定されない。プリンタ制御装置60は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されない。プリンタ制御装置60は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。プリンタ制御装置60は、プリンタ本体11の内部に設けられている。ただし、プリンタ制御装置60は、プリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、プリンタ制御装置60は、有線または無線を介してプリンタ10の制御基板(図示せず)と通信可能に接続されているとよい。
【0035】
本実施形態では、図5に示すように、プリンタ制御装置60は、操作パネル20(詳しくは表示画面21および操作キー22)、インクヘッド32、光照射装置35(詳しくは光源37)、第1移動機構51、第2移動機構52および昇降機構53と通信可能に接続されている。プリンタ制御装置60は、操作パネル20、インクヘッド32、光照射装置35、第1移動機構51、第2移動機構52および昇降機構53を制御する。
【0036】
以上、本実施形態に係るプリンタ10の構成について説明した。次に、図1に示す操作端末100について説明する。操作端末100は、ユーザが操作するための端末である。ユーザが操作端末100を操作することで、プリンタ10を制御することができる。また、操作端末100は、被印刷物5に印刷する画像(例えば後述の印刷画像G5(図11参照))を作成したり、画像を印刷する被印刷物5の位置や、被印刷物5に対する画像の大きさや向きを設定したりするための端末である。
【0037】
本実施形態では、図1に示すように、操作端末100は、インターネット200を介してプリンタ10と通信可能に接続されている。操作端末100は、例えばプリンタ10のプリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータによって実現されている。操作端末100を実現するコンピュータは、プリンタ10に対する専用のコンピュータであってもよいし、汎用コンピュータであってもよい。操作端末100は、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ラップトップ型のコンピュータであってもよい。また、操作端末100は、タブレット端末であってもよいし、スマートフォンであってもよい。本実施形態では、加工システム1が備える操作端末100の数は、3つであるが、特に限定されるものではない。
【0038】
図5に示すように、操作端末100は、画面101と、操作手段102と、端末制御装置103とを備えている。画面101は、例えばデスクトップ型やラップトップ型のコンピュータの画面、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型端末の画面である。操作手段102は、ユーザが操作して入力するものである。操作手段102は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成されている。端末制御装置103は、例えばCPUと、ROMと、RAMなどとを備えている。端末制御装置103は、画面101および操作手段102に通信可能に接続されている。更に端末制御装置103は、インターネット200に接続されており、インターネット200を介してプリンタ10(詳しくはプリンタ制御装置60)に通信可能に接続されている。
【0039】
ところで、本実施形態に係るプリンタ10が印刷する対象の被印刷物5(図3参照)は、立体物である。被印刷物5は、例えば、スマートフォンケースの材料となるものである。被印刷物5は、樹脂によって形成されたものである。しかしながら、被印刷物5を形成する材料の種類は特に限定されない。例えば被印刷物5は、紙などの平面状のものであってもよい。被印刷物5は、PCV、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものであってもよい。
【0040】
図3に示すように、被印刷物5に印刷する際、被印刷物5は、支持台25の支持面26に載置される。このとき、支持面26に対する被印刷物5の位置および向きは、所定の基準位置および基準向きになるようにする。この基準位置および基準向きからずれるように被印刷物5が配置されると、被印刷物5に対する印刷にずれが生じるおそれがあった。そのため、従来では、例えば被印刷物5を嵌める嵌合孔が形成された専用治具を支持面26に配置したり、被印刷物5を配置する位置および向きを示す目印を、支持面26に付けたりすることで、被印刷物5を基準位置および基準向きに配置するようにしていた。これらの場合、ユーザが被印刷物5を配置する際に、被印刷物5の位置および向きを気にする必要があり、煩わしいものであった。そこで、本実施形態では、ユーザが支持面26に被印刷物5を自由に配置して、例えば上記の基準位置および基準向きになるように配置しない場合であっても、被印刷物5に対する印刷にずれが生じ難くする。
【0041】
図6は、支持台25の支持面26を示す平面図である。本実施形態では、図6に示すように、支持台25が有する支持面26には、印刷範囲AR1が予め設定されている。印刷範囲AR1は、加工範囲の一例である。印刷範囲AR1は、被印刷物5を加工する範囲である。ここでは、印刷範囲AR1は、被印刷物5に対して印刷を行うことが可能な範囲のことであり、被印刷物5が支持面26に載置される範囲のことである。印刷範囲AR1は、例えば矩形状であるが、印刷範囲AR1の形状は特に限定されるものではない。
【0042】
本実施形態では、支持面26には、複数の特定マークM1が付与されている。本実施形態では、特定マークM1は、支持面26に対する印刷範囲AR1の位置を特定するためのものである。特定マークM1の数は特に限定されないが、例えば3つ以上である。ここでは、特定マークM1の数は4つである。4つの特定マークM1は、印刷範囲AR1に対応した位置に付与されており、ここでは矩形状の印刷範囲AR1の頂点に対応した支持面26の位置に付与されている。ただし、複数の特定マークM1は、印刷範囲AR1に対応した位置に付与されていなくてもよい。例えば複数の特定マークM1は、矩形状の印刷範囲AR1内の一部の範囲(例えば印刷範囲AR1の頂点以外の範囲)に付与されてもよい。複数の特定マークM1は、印刷範囲AR1の外側の範囲に付与されてもよい。また、複数の特定マークM1のうち、一部の特定マークM1は、印刷範囲AR1内に付与され、他の一部の特定マークM1は、印刷範囲AR1の外側の範囲に付与されてもよい。
【0043】
ここでは、4つの特定マークM1のことを、それぞれ第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14と称することとする。特定マークM1は、第1特定マークM11と、第2特定マークM12と、第3特定マークM13と、第4特定マークM14とを有している。第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ印刷範囲AR1の左前、左後ろ、右後ろ、右前の頂点に配置されている。なお、第1特定マークM11~第4特定マークM14には、それぞれ印刷範囲AR1に対する位置に関する情報が含まれており、撮像装置150(図1参照)によって撮像されることで、どの位置に配置されている特定マークM1であるかを把握することができる。例えば第1特定マークM11には、印刷範囲AR1の左前の頂点の位置に関する情報が含まれており、撮像装置150によって撮像されることで、第1特定マークM11から、印刷範囲AR1の左前の頂点の位置を把握することができる。
【0044】
本実施形態では、支持面26に付与されている複数の特定マークM1の位置関係のことを基準位置関係P1という。基準位置関係P1とは、第1特定マークM11~第4特定マークM14における互いの位置関係のことをいう。ここでは、基準位置関係P1とは、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が、それぞれ支持面26の左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されている状態の複数の特定マークM1の位置関係のことである。例えば第1特定マークM11における基準位置関係P1は、第2特定マークM12よりも前方の位置、第3特定マークM13よりも前方かつ左方の位置、第4特定マークM14よりも左方の位置の関係となる。
【0045】
特定マークM1の種類および形状などは特に限定されない。ここでは、特定マークM1は、いわゆるARマーカー、またはArUcoマーカーによって構成されている。特定マークM1の形状は、例えば矩形状である。
【0046】
なお、本実施形態では、支持台25の支持面26には、特定マークM1と共に枠線L10が付与されている。枠線L10は、複数の特定マークM1を繋いだ線のことである。枠線L10は、印刷範囲AR1の外郭に沿った線であり、枠線L10の形状は矩形状である。枠線L10は、平面視において印刷範囲AR1を囲む線である。ここでは、枠線L10は、第1特定マークM11と第2特定マークM12とを繋ぐ第1枠線L11と、第2特定マークM12と第3特定マークM13とを繋ぐ第2枠線L12と、第3特定マークM13と第4特定マークM14とを繋ぐ第3枠線L13と、第4特定マークM14と第1特定マークM11とを繋ぐ第4枠線L14とを有している。第1枠線L11と第3枠線L13は平行であり、第2枠線L12と第4枠線L14は平行である。本実施形態では、枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14における印刷範囲AR1の中心側の頂点を繋いでいる。詳しくは、枠線L10は、第1特定マークM11の右後ろの頂点と、第2特定マークM12の右前の頂点と、第3特定マークM13の左前の頂点と、第4特定マークM14の左後ろの頂点とを繋いでいる。なお、枠線L10において、第1特定マークM11~第4特定マークM14を繋ぐときの第1特定マークM11~第4特定マークM14に対する位置は特に限定されない。例えば枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14の中心点を繋いでもよい。枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14における印刷範囲AR1の中心から遠い側の頂点を繋いでもよい。また、枠線L10は、省略されてもよい。
【0047】
本実施形態では、複数の特定マークM1は、支持面26に付与されている。ここで「特定マークM1が支持面26に付与されている」とは、特定マークM1が支持面26上に配置されており、複数の特定マークM1(ここでは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)の位置関係が特定できる状態であることをいう。「付与」とは、例えば特定マークM1が印刷されることで付与されてもよいし、特定マークM1がシールによって貼り付けられることで付与されてもよい。複数の特定マークM1は、支持面26に直接付与されていてもよいし、他の部材に付与されており、当該他の部材を介して支持面26に間接的に付与されてもよい。また、枠線L10も、支持面26に直接付与されてもよいし、他の部材に付与され、他の部材を介して支持面26に間接的に付与されてもよい。
【0048】
本実施形態では、図3に示すように、支持台25は、載置治具130を有している。載置治具130は、例えば被印刷物5を印刷する際、支持台25の支持面26に載置されることで、支持面26に支持されるものである。図6に示すように、載置治具130は、支持面26の印刷範囲AR1を上から覆うように載置される。また、載置治具130には、被印刷物5が載置される。載置治具130は被印刷物5を支持する。ここでは、被印刷物5への印刷の際、上から被印刷物5、載置治具130、支持面26の順に重ねられる。なお、載置治具130に支持される被印刷物5の数、すなわち支持面26に支持される被印刷物5の数は特に限定されない。支持面26の印刷範囲AR1に配置される被印刷物5の数は、図6では1つであるが、特に限定されない。
【0049】
載置治具130は、板状の部材である。ここでは、載置治具130は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっており、高さ方向Zが主走査方向Yおよび副走査方向Xよりも短い板状の部材である。載置治具130の形状は、直方体形状であり、平面視において矩形状である。ただし、載置治具130の形状は特に限定されない。また、載置治具130を形成する材料は特に限定されない。載置治具130は、例えばゴム製である。このことによって、載置治具130に被印刷物5を載置した際に、載置治具130に対して被印刷物5が滑り難くすることができ、かつ、支持面26に対して載置治具130が滑り難くすることができる。また、載置治具130の少なくとも被印刷物5が載置される面(ここでは上面)は、黒色である。例えば載置治具130の全体が黒色である。このように載置治具130を黒色にすることで、例えば光照射装置35(図3参照)からの光が、載置治具130によって反射し難くすることができる。ただし、載置治具130の色は特に限定されない。
【0050】
本実施形態では、図6に示すように、載置治具130には、複数の特定マークM1(ここでは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)、および、枠線L10が付与されている。詳しくは、複数の特定マークM1は、載置治具130が支持面26に載置されている状態において、印刷範囲AR1の頂点の位置に対応する載置治具130の位置に付与されている。枠線L10は、載置治具130において複数の特定マークM1を繋ぐように載置治具130に付与されている。ここでは、複数の特定マークM1および枠線L10は、印刷されることによって載置治具130に付与されている。本実施形態では、載置治具130に付与された複数の特定マークM1の位置関係が、基準位置関係P1になり、かつ、平面視において枠線L10が印刷範囲AR1を囲むように、載置治具130が支持面26に載置される。なお、特定マークM1の色、および、枠線L10の色は特に限定されない。特定マークM1の色、および、枠線L10の色は、例えば黒色である。ただし、載置治具130が黒色の場合、特定マークM1の色、および、枠線L10の色は、例えば白色である。
【0051】
図1に示す撮像装置150は、例えばユーザが使用するものである。撮像装置150は、支持台25の支持面26を撮像する装置である。ユーザは、支持面26に付与された複数の特定マークM1および枠線L10と、支持面26に支持された被印刷物5とが写るように、撮像装置150を使用して支持面26を撮像する。このように、撮像装置150によって撮像された支持面26の画像のことを撮像画像G1(図8参照)という。
【0052】
本実施形態では、図1に示すように、加工システム1が備える撮像装置150の数は3つであるが、特に限定されない。また、撮像装置150の種類は特に限定されない。撮像装置150は、撮像することで複数の特定マークM1の位置関係が分かるものであるとよい。撮像装置150は、例えばカメラである。撮像装置150は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型端末に搭載されているカメラである。撮像装置150は、操作端末100と別体であり、例えばインターネット200を介して操作端末100と通信可能である。ただし、撮像装置150は、操作端末100に搭載されていてもよく、すなわち操作端末100と一体となって形成されていてもよい。本実施形態では、撮像装置150は、プリンタ10(例えばプリンタ本体11またはキャリッジ30(図3参照))に固定されていない。そのため、支持面26に対する撮像装置150の位置は固定されておらず、ユーザが任意に決定することができる。すなわち、ユーザは、撮像装置150を使用して、どの向き、どの方向、および、どの位置から支持面26を撮像してもよい。
【0053】
本実施形態では、加工システム1において、操作端末100は、詳しくは後述するが、撮像装置150によって撮像された撮像画像を取得し、撮像画像に基づいて、被印刷物5に印刷する印刷画像の大きさ、向き、位置などを決定し、印刷用の印刷データを生成する。そして、当該印刷データをプリンタ10に送信し、印刷データに基づいて被印刷物5に印刷画像を印刷する。
【0054】
本実施形態では、操作端末100の端末制御装置103は、本発明の制御装置の一例である。図5に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、記憶部110と、取得部112と、特定部114と、変換部116と、表示部118と、調整部120と、自動調整部122と、生成部124とを備えている。なお、端末制御装置103の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば端末制御装置103の各部は、複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0055】
次に、本実施形態に係る表示方法について、図7のフローチャートに沿って説明する。ここでの表示方法は、図7に示すように、載置工程S101と、撮像工程S102と、取得工程S103と、特定工程S104と、変換工程S105と、表示工程S106と、調整工程S107と、生成工程S108とを包含する。
【0056】
まず載置工程S101では、図3に示すように、プリンタ10の支持台25の支持面26に被印刷物5を載置し、被印刷物5を支持させる。ここでは、ユーザは、支持面26に載置治具130を載置し、載置治具130に被印刷物5を載置する。図6に示すように、支持面26には、予め印刷範囲AR1が設定されているため、載置治具130に付与された複数の特定マークM1が、平面視において印刷範囲AR1の頂点の位置と重なるようにして、載置治具130を支持面26に載置する。このとき、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が、それぞれ左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されるような載置治具130の向きになるように、支持面26上に設置する。言い換えると、複数の特定マークM1の位置関係が基準位置関係P1になるように、支持面26に載置治具130を載置する。
【0057】
その後、載置治具130に被印刷物5を載置する。このとき、支持面26(言い換えると載置治具130)に対する被印刷物5の向きは特に限定されない。図6の一例では、載置治具130に載置する被印刷物5の数は1つであるが、複数であってもよい。複数の被印刷物5を載置する場合、複数の被印刷物5の向きは、揃っていてもよいし、揃っていなくてもよい。ユーザは、載置治具130の枠線L10から被印刷物5がはみ出さずに、枠線L10内に被印刷物5が配置されるように被印刷物5を載置治具130に載置する。このことによって、印刷範囲AR1内に被印刷物5が配置されることになる。
【0058】
次に、図7の撮像工程S102では、撮像装置150によって、支持面26を撮像する。ここでは、ユーザは、複数の特定マークM1(詳しくは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)と、支持面26に支持された被印刷物5とが写るように、撮像装置150を使用して支持面26を撮像する。図8は、撮像画像G1の一例を示す図である。なお、図8図12において、載置治具130の図示が省略されている。ここで、撮像装置150によって支持面26を撮像した画像が、図8に示す撮像画像G1である。
【0059】
なお、支持面26を撮像するときの支持面26に対する撮像装置150の位置は特に限定されない。例えばユーザは、支持面26の真上から支持面26を撮像してもよいし、支持面26の前方かつ上方から支持面26を撮像してもよい。すなわち、ユーザは、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Z)から支持面26を撮像してもよいし、高さ方向Zから所定の角度傾いた方向から支持面26を撮像してもよい。図8の撮像画像G1は、支持面26に対して右方かつ上方の方向から、撮像装置150を使用して支持面26を撮像した画像である。なお、撮像装置150によって撮像された支持面26の撮像画像G1は、撮像装置150に保存される。
【0060】
次に、図7の取得工程S103では、撮像装置150によって撮像された撮像画像G1を取得する。本実施形態では、取得工程S103は、操作端末100の取得部112(図5参照)によって実現される。取得部112は、撮像装置150から撮像画像G1を取得する。本実施形態では、図1に示すように、操作端末100と撮像装置150とは、インターネット200を通じて通信可能に接続されている。ここで、撮像装置150が支持面26を撮像したとき、撮像画像G1がインターネット200を介して操作端末100に送信される。なお、撮像画像G1は、撮像装置150によって撮像されたタイミングで操作端末100に自動で送信されてもよい。または、例えば操作端末100から送信された取得信号を撮像装置150が受信したときに、撮像装置150から操作端末100に撮像画像G1が送信されてもよい。なお、操作端末100と撮像装置150とが一体となって形成されている場合には、撮像画像G1は、インターネット200を介さずに、取得部112によって取得される。取得部112は、撮像装置150から送信された撮像画像G1を取得する。なお、取得部112によって取得された撮像画像G1は、図5の記憶部110に記憶される。
【0061】
次に、図7の特定工程S104では、取得工程S103において取得した撮像画像G1の向き(ここでは、図8の向き)における複数の特定マークM1の位置を特定する。本実施形態では、特定工程S104は、操作端末100の特定部114(図5参照)によって実現される。特定部114は、取得部112によって取得された撮像画像G1の向きにおける複数の特定マークM1、すなわち第1特定マークM11~第4特定マークM14の位置を特定する。
【0062】
ここでは、図8に示すように、撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係が基準位置関係P1(図6参照)ではないことがあり得る。図8などにおいて、符号F1、Rr1、L1、R1とは、画像(例えば撮像画像G1)における前、後、左、右をそれぞれ示している。特定部114は、第1特定マークM11~第4特定マークM14が、撮像画像G1の向きに対して、前後左右のどの位置にあるかを特定する。上述のように、特定マークM1は、例えばARマーカーによって構成されている。操作端末100の端末制御装置103には、ARマーカーを読み取ることが可能なARマーカーアプリケーションが予めインストールされている。特定部114は、上記のARマーカーアプリケーションを用いて特定マークM1を読み取ることで、特定マークM1の位置を特定することができる。図8の一例では、撮像画像G1の向きに対して、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ撮像画像G1の左後ろ、右後ろ、右前、左前に配置されている。なお、本実施形態では、撮像画像G1の向きに対する複数の特定マークM1の位置関係のことを、撮像位置関係P2という。
【0063】
図9は、変換撮像画像G2Aの一例を示す図である。次に、図7の変換工程S105では、撮像画像G1を変換撮像画像G2A(図9参照)に変換する。本実施形態では、変換工程S105は、操作端末100の変換部116(図5参照)によって実現される。変換部116は、図8の撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係(ここでは、撮像位置関係P2)が、基準位置関係P1(図6参照)になるように、撮像画像G1の向きを変換して、図9に示す変換撮像画像G2Aとする。ここでは、変換部116は、撮像画像G1における左前、左後ろ、右後ろ、右前の位置に、それぞれ第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が配置されるように、撮像画像G1を回転させて変換撮像画像G2Aとする。図9において、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ変換撮像画像G2Aの左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されており、基準位置関係P1となっている。
【0064】
図10は、推定撮像画像G3の一例を示す図である。変換工程S105では、更に変換部116は、撮像画像G1の複数の特定マークM1に基づいて、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Zにおける上から見た方向)から撮像された推定撮像画像G3(図10参照)を推定する。そして、変換部116は、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換する(図9参照)と共に、撮像画像G1を推定撮像画像G3に変換することで、図10に示す変換撮像画像G2とする。本実施形態では、図9に示すように、高さ方向Zから斜めに傾いた方向(ここでは、支持面26の右方かつ上方)から支持面26を撮像した場合、複数の特定マークM1を繋ぐ枠線L10は、台形形状になる。図10に示すように、推定撮像画像G3は、支持面26を高さ方向Zの上から見たときの画像であり、枠線L10は矩形状になっている。変換部116は、撮像画像G1において、複数の特定マークM1を繋ぐ枠線L10の形状が台形形状から矩形状になるように、推定撮像画像G3に変換して、図10に示す変換撮像画像G2を作成する。なお、枠線L10が支持面26に付与されていない場合には、変換部116は、複数の特定マークM1を繋ぐ仮想的な枠線を推定し、当該仮想的な枠線が矩形状になるように、推定撮像画像G3を推定するとよい。このように、台形形状を矩形状に変換するには、例えば台形補正の技術を用いることが可能である。以上のようにして、変換部116によって変換されて作成された図10の変換撮像画像G2は、図5の記憶部110に記憶される。
【0065】
図11は、変換撮像画像G2と印刷画像G5を重畳表示した図である。次に、図7の表示工程S106では、図11に示すように、変換撮像画像G2を表示する。本実施形態では、表示工程S106は、操作端末100の表示部118(図5参照)によって実現される。表示部118は、変換撮像画像G2と、被印刷物5に印刷する内容を示す印刷画像G5とを重畳表示する。印刷画像G5は、被加工物に加工する内容を示す加工画像の一例である。図5に示すように、印刷画像G5は、記憶部110に予め記憶されている画像である。表示部118は、図11に示すように、印刷画像G5が変換撮像画像G2に対して上から重なるようにして、変換撮像画像G2と印刷画像G5とを重畳表示する。なお、印刷画像G5は、変換撮像画像G2に含まれる被印刷物5に印刷されるものであるが、表示される際、変換撮像画像G2の被印刷物5に対して重なって表示されてもよいし、被印刷物5に重なっていなくてもよい。また、図11に示すように、印刷画像G5は、変換撮像画像G2の被印刷物5に対して一部がはみ出して表示されてもよい。
【0066】
なお、変換撮像画像G2と印刷画像G5とを重畳表示する対象画面は、特に限定されない。本実施形態では、表示部118は、操作端末100の画面101に、変換撮像画像G2と印刷画像G5とを重畳表示する。
【0067】
次に、図7の調整工程S107では、変換撮像画像G2の被印刷物5に対して、印刷画像G5の位置、向き、大きさを調整(以下、単に印刷画像G5の調整ともいう。)する。本実施形態では、調整工程S107は、操作端末100の調整部120(図5参照)または自動調整部122(図5参照)によって実現される。調整工程S107において、印刷画像G5の調整は、手動または自動で行われる。図12は、変換撮像画像G2と調整画像G6とを重畳表示した図である。調整工程S107において、印刷画像G5を調整した後の画像のことを、調整画像G6(図12参照)という。
【0068】
ここでは、図5の調整部120は、所定の指示に基づいて、印刷画像G5の調整を手動で行う。ここでの所定の指示とは、例えばユーザが操作端末100の操作手段102(図5参照)を操作することで行われる指示である。例えば画面101には、印刷画像G5を調整する調整機能を有する調整画面が表示されており、ユーザが操作手段102を操作して、調整画面において被印刷物5に対する印刷画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを決定する。ここで決定された印刷画像G5の位置、向き、大きさに関する指示に基づいて、調整部120は、印刷画像G5の調整を行い、図12に示すような調整画像G6を作成する。
【0069】
図5の自動調整部122は、印刷画像G5の調整を自動で行う。ここでは、自動調整部122は、変換撮像画像G2の被印刷物5に対応するように、印刷画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを自動で調整する。自動調整部122は、被印刷物5から印刷画像G5がはみ出さないように、印刷画像G5を自動で調整して、図12に示す調整画像G6を作成する。ここでは、調整部120は、所定の指示に基づいて、印刷画像G5を調整して調整画像G6を作成する。自動調整部122は、印刷画像G5を自動で調整して調整画像G6を作成する。なお、調整部120または自動調整部122によって作成された調整画像G6は、図5の記憶部110に記憶される。
【0070】
次に、図7の生成工程S108では、印刷データDT1を生成する。本実施形態では、生成工程S108は、操作端末100の生成部124(図5参照)によって実現される。生成部124は、調整画像G6に対応した印刷データDT1を生成する。印刷データDT1は、加工データの一例である。ここで、印刷データDT1とは、プリンタ10に送信するために、プリンタ10のプリンタ制御装置60が読み取り可能な形式に調整画像G6が変換されたデータのことである。印刷データDT1は、例えばラスタ形式のデータ、すなわちラスターデータである。調整画像G6は、例えばビットマップデータである。生成部124は、調整画像G6をラスタライズすることで、印刷データDT1を生成する。生成部124によって生成された印刷データDT1は、図5の記憶部110に記憶される。
【0071】
本実施形態では、印刷データDT1が生成された後、プリンタ10による被印刷物5への印刷が開始される。まず、操作端末100の端末制御装置103からプリンタ10へ印刷データDT1が送信される。プリンタ10側では、プリンタ制御装置60が印刷データDT1を受信し、印刷データDT1に基づいて、支持面26に支持された被印刷物5に対して印刷が行われる。このときの支持面26に対する被印刷物5の位置は、上記の載置工程S101において、被印刷物5を載置した位置(図6参照)である。
【0072】
被印刷物5に印刷する際、インクヘッド32を主走査方向Yに、支持台25上を1往復させている間、印刷データDT1に基づいて、支持面26に支持された被印刷物5に向かってノズル33からインクを吐出させることで、1スキャン分の印刷が終了する。インクヘッド32による1往復の移動の後、支持台25を副走査方向Xに所定の距離、移動させる。このとき、支持台25に支持された被印刷物5も副走査方向Xに所定の距離、移動する。その後、インクヘッド32を主走査方向Yに、支持台25上を1往復させている間に、ノズル33からインクを吐出させて次の1スキャン分の印刷を行う。ここでは、インクヘッド32による主走査方向Yへの1往復の移動と、支持台25の副走査方向Xへの移動を繰り返し実行することで、印刷データDT1に基づいて、被印刷物5への調整画像G6の印刷が終了する。
【0073】
以上、本実施形態では、図1に示すように、加工システム1は、加工装置の一例であるプリンタ10と、操作端末100とを備えている。図3に示すように、プリンタ10は、被加工物の一例である被印刷物5が支持される支持面26を有する支持台25を備えている。図6に示すように、支持面26には、複数の特定マークM1が所定の基準位置関係P1になるように付与されている。図1に示すように、操作端末100は、プリンタ10と通信可能に接続されている。図5に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、取得部112と、特定部114と、変換部116と、表示部118と備えている。取得部112は、図7の取得工程S103において、撮像装置150によって、複数の特定マークM1と、支持面26に支持された被印刷物5とが写るように支持面26を撮像した撮像画像G1(図8参照)を取得する。特定部114は、図7の特定工程S104において、取得部112によって取得された撮像画像G1の向きにおける複数の特定マークM1の位置を特定する。変換部116は、図7の変換工程S105において、撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係(ここでは撮像位置関係P2)が、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換し、変換撮像画像G2A(図9参照)とする。表示部118は、図7の表示工程S106において、図11に示すように、変換撮像画像G2と、被印刷物5に加工する加工画像の一例である印刷画像G5とを重畳表示する。
【0074】
このことによって、例えばプリンタ10の支持面26に対して様々な位置、向きおよび角度から、撮像装置150によって支持面26が撮像されることがあり得る。ここでは、撮像画像G1の向きにおける複数の特定マークM1の位置を特定し、撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係(ここでは、撮像位置関係P2)が、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換して、変換撮像画像G2A(図9参照)を作成している。そのため、変換撮像画像G2Aにおける複数の特定マークM1の位置関係は、基準位置関係P1となる。よって、図11に示すように、変換撮像画像G2を印刷画像G5と重畳させて表示することで、支持面26に支持された被印刷物5の位置および向きを適切に特定して表示することができる。したがって、支持面26に対する撮像装置150の位置および向きに依存されることなく、支持面26に支持された被印刷物5の位置および向きを適切に表示することができる。
【0075】
本実施形態では、変換部116は、図7の変換工程S105において、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換すると共に、複数の特定マークM1に基づいて、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Zの上方)から撮像された推定撮像画像G3(図10参照)を推定し、撮像画像G1を推定撮像画像G3に変換して変換撮像画像G2(図10参照)とする。このことによって、変換撮像画像G2を、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Zの上方)から支持面26を見たときの画像とすることができる。よって、高さ方向Zの上方から見たときに、被印刷物5に対して印刷画像G5がどのように印刷されるかを分かり易くすることができる。
【0076】
本実施形態では、図6に示すように、複数の特定マークM1は、繋いだ形状が矩形状になるように、支持面26に4つ付与されている。変換部116は、図7の変換工程S105において、撮像画像G1の複数の特定マークM1を繋いだ形状が、矩形状になるように推定撮像画像G3(図10参照)を推定する。このことによって、撮像画像G1における複数の特定マークM1を繋いだ形状が矩形状になるように撮像画像G1を変換することで、高さ方向Zの上方から見たときの変換撮像画像G2を得ることができる。
【0077】
本実施形態では、図5に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、調整部120を備えている。調整部120は、図7の調整工程S107において、変換撮像画像G2の被印刷物5に対して、ユーザからの所定の指示に基づいて、加工画像の一例である印刷画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整した調整画像G6(図12参照)を作成する。このことによって、例えばユーザが所定の指示をして、印刷画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整することで、印刷画像G5の微調整をすることができ、ユーザが望んだ調整画像G6を得易い。
【0078】
本実施形態では、図5に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、自動調整部122を備えている。自動調整部122は、図7の調整工程S107において、変換撮像画像G2の被印刷物5に対応するように、印刷画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを自動で調整して調整画像G6を作成する。このことによって、ユーザが指示することなく、印刷画像G5を自動で調整して調整画像G6を作成することができるため、ユーザの手間を省くことができる。
【0079】
本実施形態では、支持面26に対して被印刷物5を載置する際、被印刷物5のどのような向きに載置した場合であっても、画面101上において、被印刷物5に入るように印刷画像G5を調整することができる。よって、支持面26に対する被印刷物5の向きを気にすることなく、被印刷物5を支持面26に載置させた場合であっても、被印刷物5に対して適切に印刷することができる。
【0080】
本実施形態では、図5に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、生成部124を備えている。生成部124は、図7の生成工程S108において、調整画像G6に対応した加工データの一例である印刷データDT1を生成する。このことによって、調整画像G6に対応した印刷データDT1が生成されるため、印刷画像G5から調整された調整画像G6を被印刷物5に印刷することができる。
【0081】
本実施形態では、図3に示すように、支持台25は、支持面26に載置され、被印刷物5が載置される載置治具130を有している。図6に示すように、複数の特定マークM1は、載置治具130に付与され、かつ、載置治具130を介して支持面26に間接的に付与されている。このことによって、複数の特定マークM1が付与された載置治具130を支持面26に載置するという簡単な方法で、複数の特定マークM1を支持面26に付与することができる。また、支持面26に対する特定マークM1が不必要なときには、支持面26から載置治具130を取り外すことで、特定マークM1を支持面26に付与しない状態にすることができる。
【0082】
本実施形態では、支持面26には、印刷範囲AR1を囲むように複数の特定マークM1を繋ぐ枠線L10が付与されている。このことによって、ユーザは、枠線L10内に入るように被印刷物5を支持面26上に配置することで、被印刷物5を印刷範囲AR1内に配置することができる。よって、枠線L10を見ることで、印刷範囲AR1を視覚的に分かり易くすることができる。
【0083】
本実施形態では、撮像装置150は、プリンタ10に固定されていない。このことによって、支持面26に対する撮像装置150の位置が固定されることなく、支持面26に対して様々な位置、向きおよび角度から、撮像装置150を使用して支持面26を撮像することができる。
【0084】
なお、本実施形態において、複数の特定マークM1は、支持面26に直接付与されてもよい。例えば複数の特定マークM1は、支持面26に直接印刷されてもよい。このことによって、支持面26に対する複数の特定マークM1の位置を固定することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、プリンタ10は、本発明の加工装置の一例であった。しかしながら、加工装置は、プリンタ10に限定されない。加工装置は、いわゆるカッティング装置であってもよい。カッティング装置は、例えばカッターを有するカッティングヘッドを備え、カッターを被加工物に押し付けることによって切断することで、被加工物を加工してもよい。
【0086】
また、加工装置は、いわゆる箔押し装置であってもよい。箔押し装置は、箔を被加工物に押し付ける箔押しヘッドを備えている。箔押し装置において、箔押しヘッドによって箔を被加工物に押し付けることで、被加工物に箔を貼り付けて、被加工物を加工してもよい。また、加工装置は、いわゆる彫刻機、または刻印機であってもよい。彫刻機は、回転工具またはレーザなどを用いて、被加工物の表面を彫刻することによって、被加工物を加工してもよい。刻印機は、被加工物に対して版に圧力を掛けて押し付けることで刻印して、被加工物を加工してもよい。
【0087】
本実施形態では、加工装置はプリンタ10であり、加工データは、プリンタ10のプリンタ制御装置60が読み取り可能なラスタ形式のデータであった。しかしながら、加工データは、ラスタ形式のデータに限定されるものではない。加工データは、加工装置の種類に対応した形式のデータ、すなわち加工装置の制御装置が読み取り可能な形式のデータであるとよい。例えば加工装置がカッティング装置の場合には、加工データは、ベクタ形式のデータであるとよい。生成部124は、加工装置の制御装置が読み取り可能な形式に調整画像G6を変換して加工データを生成する。
【0088】
本実施形態では、加工システム1は、加工装置の一例であるプリンタ10と、操作端末100とを備えており、本発明の制御装置は、操作端末100の端末制御装置103によって実現されていた。しかしながら、操作端末100の端末制御装置103の各部は、加工装置に備えられてもよい。例えば、本発明の制御装置は、プリンタ10のプリンタ制御装置60(言い換えると、加工装置の制御装置)によって実現されてもよい。この場合、図7の表示工程S106において、表示部118は、プリンタ10(言い換えると加工装置)の表示画面21に、変換撮像画像G2と印刷画像G5とを重畳表示するとよい。このように、本発明の制御装置は、加工装置の一例であるプリンタ10と別体である操作端末100の端末制御装置103によって実現されることが可能であり、プリンタ10と一体のプリンタ制御装置60によって実現されることが可能である。これらのことから、本発明の制御装置は、加工装置と一体であってもよいし、加工装置と別体であってもよい。また、本発明の制御装置の各部、すなわち端末制御装置103の各部は、加工装置および撮像装置150と通信可能に接続されたサーバに備えられてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 加工システム
5 被印刷物(被加工物)
10 プリンタ(加工装置)
25 支持台
26 支持面
100 操作端末
103 端末制御装置(制御装置)
112 取得部
114 特定部
116 変換部
118 表示部
120 調整部
122 自動調整部
124 生成部
120 載置治具
150 撮像装置
AR1 印刷範囲(加工範囲)
DT1 印刷データ(加工データ)
G1 撮像画像
G2、G2A 変換撮像画像
G3 推定撮像画像
G5 印刷画像(加工画像)
G6 調整画像
L10 枠線
M1 特定マーク
P1 基準位置関係
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12