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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094534
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】加工システムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240703BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20240703BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20240703BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G06F3/12 356
B26D7/20
B26D5/00 F
B23Q17/24 Z
G06F3/12 308
G06F3/12 382
G06F3/12 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211137
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 忠
(72)【発明者】
【氏名】池村 基弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 輝
【テーマコード(参考)】
3C021
3C024
3C029
【Fターム(参考)】
3C021GA04
3C024AA06
3C029EE20
(57)【要約】
【課題】被加工物を加工する際の加工の種別に対応した加工の結果が分かり易い。
【解決手段】加工システム1は、加工の種別に関する情報が含まれた種別マークM2が付与され、かつ、被加工物5が支持される支持面26を有する支持台25と、制御装置103とを備え、加工の種別に基づいて被加工物5を加工するシステムである。制御装置103は、加工の種別毎の加工の内容を示す加工画像G4が記憶された記憶部110と、撮像装置150によって種別マークM2が写るように支持面26を撮像した撮像画像G1を取得する取得部112と、撮像画像G1の種別マークM2に含まれる加工の種別を特定する特定部114と、特定部114に特定された加工の種別に対応した加工画像G4を、特定加工画像G5として取得する加工画像取得部117と、撮像画像G2と特定加工画像G5を重畳表示する表示部118とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工の種別に関する情報が含まれた種別マークが付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台と、制御装置とを備え、前記加工の種別に基づいて前記被加工物を加工する加工システムであって、
前記制御装置は、
前記加工の種別毎の加工の内容を示す加工画像が記憶された記憶部と、
撮像装置によって前記種別マークが写るように前記支持面を撮像した撮像画像を、取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像画像の前記種別マークに含まれる前記加工の種別を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記加工の種別に対応した加工画像を、特定加工画像として取得する加工画像取得部と、
前記撮像画像と前記特定加工画像を重畳表示する表示部と、
を備えた、加工システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記特定部によって特定された前記加工の種別に関連する設定項目のみを表示する項目表示部を備えた、請求項1に記載された加工システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記加工の種別に関連する設定項目を表示する項目表示部を備え、
前記特定部によって特定された前記加工の種別に関連する前記設定項目に対する値は、ユーザによって変更可能に構成され、
前記特定部によって特定されていない前記加工の種別に関連する前記設定項目に対する値は、ユーザによって変更不可能に構成されている、請求項1に記載された加工システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記特定部によって特定された前記加工の種別に対応した前記加工装置の加工範囲に対応する範囲を前記撮像画像から抽出して、前記撮像画像を変換する変換部を備え、
前記表示部は、前記変換部によって変換された後の前記撮像画像と、前記特定加工画像とを重畳表示する、請求項1に記載された加工システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記撮像画像の前記被加工物に対して、ユーザからの所定の指示に基づいて、前記特定加工画像の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整した調整画像を作成する調整部を備えた、請求項1に記載された加工システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記調整画像に対応した加工データを生成する生成部を備えた、請求項5に記載された加工システム。
【請求項7】
前記加工の種別が異なる加工を行う複数の加工装置を備えた、請求項1から6までの何れか1つに記載された加工システム。
【請求項8】
加工の種別に関する情報が含まれた種別マークが付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備え、前記加工の種別に基づいて前記被加工物を加工する加工装置に対して、前記種別マークが写るように前記支持面を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像した撮像画像を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した前記撮像画像の前記種別マークに含まれる前記加工の種別を特定する特定工程と、
前記特定工程において特定した前記加工の種別に対応した加工画像を、特定加工画像として取得する加工画像取得工程と、
前記撮像画像と前記特定加工画像を重畳表示する表示工程と、
を包含する、表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、印刷装置に印刷を実行させる印刷制御装置が開示されている。印刷制御装置は、印刷対象を撮影する撮影センサを備えており、元印刷データに関するプレビュー画像を記憶している。
【0003】
撮影センサによって撮影された撮像画像には、印刷対象が含まれている。印刷制御装置は、撮像画像における印刷対象を特定し、特定した印刷対象の向きに合わせて、プレビュー画像をトリミングしたトリミング画像を作成する。そして、印刷制御装置は、プレビュー画像をトリミングしたトリミング画像と、撮像画像とをディスプレイに重畳表示する。ユーザは、トリミング画像と撮像画像とが重畳表示されたディスプレイを見ることで、予想される印刷結果を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-009546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷対象である被加工物に対して、印刷以外の種別の加工を実施することがあり得る。加工の種別には、例えば印刷以外に、カット、箔押し、彫刻、刻印などが含まれる。このように複数の種別の加工が被加工物に対して実施される場合、上記のようなプレビュー画像は、複数の種別の加工が実施された後の画像となり、複数の種別の加工が含まれた画像になる。そのため、ディスプレイに表示されたプレビュー画像から、どの部分にどの種別の加工が実施されるのかが分かり難かった。すなわち、プレビュー画像を見ただけでは、加工の種別に対応した加工の結果が分かり難かった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物を加工する際の加工の種別に対応した加工の結果が分かり易い加工システムおよび表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加工システムは、加工の種別に関する情報が含まれた種別マークが付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台と、制御装置とを備え、前記加工の種別に基づいて前記被加工物を加工する加工システムである。前記制御装置は、記憶部と、取得部と、特定部と、加工画像取得部と、表示部とを備えている。前記記憶部には、前記加工の種別毎の加工の内容を示す加工画像が記憶されている。前記取得部は、撮像装置によって前記種別マークが写るように前記支持面を撮像した撮像画像を、取得する。前記特定部は、前記取得部によって取得された前記撮像画像の前記種別マークに含まれる前記加工の種別を特定する。前記加工画像取得部は、前記特定部によって特定された前記加工の種別に対応した加工画像を、特定加工画像として取得する。前記表示部は、前記撮像画像と前記特定加工画像を重畳表示する。
【0008】
上記加工システムによれば、撮像画像の種別マークから、加工の種別を特定することができる。そして、特定された加工の種別に対応した加工画像を特定加工画像として取得する。この特定加工画像は、特定された種別の加工の内容を示す画像である。よって、撮像画像と特定加工画像とを重畳表示した結果をユーザが見ることで、特定された種別の加工による被加工物に対する加工の結果を分かり易くすることができる。
【0009】
上記表示方法は、撮像工程と、取得工程と、特定工程と、加工画像取得工程と、表示工程とを包含する。前記撮像工程では、加工の種別に関する情報が含まれた種別マークが付与され、かつ、被加工物が支持される支持面を有する支持台を備え、前記加工の種別に基づいて前記被加工物を加工する加工装置に対して、前記種別マークが写るように前記支持面を撮像する。前記取得工程では、前記撮像工程において撮像した撮像画像を取得する。前記特定工程では、前記取得工程において取得した前記撮像画像の前記種別マークに含まれる前記加工の種別を特定する。前記加工画像取得工程では、前記特定工程において特定した前記加工の種別に対応した加工画像を、特定加工画像として取得する。前記表示工程では、前記撮像画像と前記特定加工画像を重畳表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被加工物を加工する際の加工の種別に対応した加工の結果が分かり易い加工システムおよび表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る加工システムの概念図である。
図2】加工装置の基本構成を模式的に示した正面図である。
図3】実施形態に係る加工システムのブロック図である。
図4】加工装置における支持台の支持面を示す平面図である。
図5】変形例における支持台の支持面を示す平面図である。
図6】表示方法の手順を示すフローチャートである。
図7】撮像画像の一例を示す図である。
図8】変換後の撮像画像の一例を示す図である。
図9A】推定撮像画像の一例を示す図である。
図9B】抽出撮像画像の一例を示す図である。
図10】加工画像に関する説明図である。
図11】撮像画像と特定加工画像を重畳表示した図である。
図12】撮像画像と調整画像とを重畳表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る加工システム1の概念図である。図1に示すように、加工システム1は、加工装置10と、操作端末100と、撮像装置150とを備えている。操作端末100は、加工装置10および撮像装置150と通信可能に接続されている。本実施形態では、加工装置10は、撮像装置150と通信可能に接続されている。ただし、加工装置10と撮像装置150とは、通信可能に接続されていなくてもよい。本実施形態では、加工装置10と、操作端末100と、撮像装置150とは、インターネット200に接続されており、インターネット200を介して相互に通信可能である。以下、加工装置10、操作端末100、撮像装置150について順に説明する。
【0014】
まず加工装置10について説明する。図2は、加工装置10の基本構成を模式的に示した正面図である。図2に示すように、加工装置10は、被加工物5を加工するものである。ここでいう「加工」とは、被加工物5の表面に対して何かしらの加工処理を施して、被加工物5の表面を変化させることをいう。
【0015】
図1に示すように、加工システム1が備える加工装置10の数は複数である。ここでは、加工の種別毎に、少なくとも1つの加工装置10が設けられている。ここで、「加工の種別」とは、加工装置10において、被加工物5を加工する際に施す加工処理の方法、言い換えると加工処理の種類のことである。具体的な加工の種別について、特に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態では、加工の種別は、印刷と、カットと、箔押しと、彫刻と、刻印とを有している。「印刷」とは、被加工物5の表面にインクを吐出して画像を形成することで、被加工物5を加工することである。「カット」とは、被加工物5に対してカッターを入れることでカットをして、被加工物5を加工することである。「箔押し」とは、被加工物5の表面に対して箔を押し付けて箔を貼ることで、被加工物5を加工することである。「彫刻」とは、被加工物5の表面を彫ったり刻んだりすることで、被加工物5を加工することである。「刻印」とは、被加工物5の表面に、所定の印を刻み付けることで、被加工物5を加工することである。
【0017】
本実施形態では、加工装置10は、プリンタ11と、カッティング装置12と、箔押し装置13と、彫刻機14と、刻印機15とを有している。プリンタ11は、加工の種別が印刷である装置であり、被加工物5に対して印刷を行う装置である。カッティング装置12は、加工の種別がカットである装置であり、被加工物5に対してカットを行う装置である。箔押し装置13は、加工の種別が箔押しである装置であり、被加工物5に対して箔押しを行う装置である。彫刻機14は、加工の種別が彫刻である装置であり、被加工物5に対して彫刻を行う装置である。刻印機15は、加工の種別が刻印である装置であり、被加工物5に対して刻印を行う装置である。図1では、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14および刻印機15の数は、それぞれ1つであるが、複数であってもよい。
【0018】
なお、加工装置10の具体的な種類は、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14および刻印機15などに限定されず、他の加工の種別を実現する加工装置10であってもよい。
【0019】
次に、加工装置10の基本的な構成について説明する。以下に説明する加工装置10の基本的な構成は、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14および刻印機15に対して共通の構成である。
【0020】
以下の加工装置10に関する説明において、加工装置10の前、後、左、右、上、下とは、ユーザが加工装置10を正面から見たときにおける加工装置10の前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ加工装置10の前、後、左、右、上、下を示している。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)している。副走査方向Xは例えば前後方向である。符号Zは、高さ方向、言い換えると上下方向を示している。高さ方向Zは、主走査方向Yおよび副走査方向Xと直交している。ただし、これら方向は、説明の便宜上に定めた方向に過ぎず、加工装置10の設置態様を何ら限定するものではなく、かつ、本発明を何ら限定するものではない。
【0021】
本実施形態では、図2に示すように、加工装置10は、支持台25と、ガイドレール28と、キャリッジ30と、加工ヘッド32と、を備えている。支持台25は、被加工物5を支持するものである。ここでは、支持台25は、被加工物5を支持する支持面26を有している。支持面26は、支持台25の上面を構成している。被加工物5は、支持面26に載置されている。ここでは、支持面26上において被加工物5に対する加工が行われる。支持面26は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平らな面である。
【0022】
ガイドレール28は、支持台25の支持面26よりも上方に配置されている。ガイドレール28は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ30は、ガイドレール28に摺動自在に係合している。キャリッジ30は、ガイドレール28に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0023】
加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5に対して加工をするためのものである。加工ヘッド32は、キャリッジ30に設けられている。加工ヘッド32は、キャリッジ30と共に、ガイドレール28に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0024】
詳しい図示は省略するが、加工ヘッド32は、加工装置10の加工の種別に応じた機能を有する。プリンタ11の場合には、加工ヘッド32は、インクを吐出するインクヘッドとして機能する。この場合、加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5にインクを吐出することで、被加工物5に印刷をして加工を行うように構成されている。カッティング装置12の場合には、加工ヘッド32は、カッターが設けられたカッティングヘッドとして機能する。この場合、加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5に対してカッターを当て付けて、被加工物5に対して相対的に移動することで被加工物5をカットして加工を行うように構成されている。
【0025】
箔押し装置13の場合には、加工ヘッド32は、例えば箔を被加工物5に押し付けるためのレーザを照射するレーザ照射部を有する箔押しヘッドとして機能する。この場合、加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5と、レーザ照射部との間に箔を配置して、箔にレーザを照射しながら箔を被加工物5に押し付けることで、箔を被加工物5に貼り付けて被加工物5を加工するように構成されている。彫刻機14の場合には、例えばカッター、または、レーザを照射する照射部を有する彫刻ヘッドとして機能する。この場合、加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5に対して、カッターを当て付けながら、または、レーザを照射しながら、被加工物5に対して相対的に移動させることで、被加工物5に彫刻することで被加工物5を加工するように構成されている。刻印機15の場合には、加工ヘッド32は、被加工物5に刻印をする刻印ピンを有する刻印ヘッドとして機能する。この場合、加工ヘッド32は、支持台25に支持された被加工物5に対して刻印ピンに圧力を掛けて押し付けることで、被加工物5に刻印をして被加工物5を加工するように構成されている。
【0026】
図3は、本実施形態に係る加工システム1のブロック図である。本実施形態では、図3に示すように、加工装置10は、移動機構40を備えている。移動機構40は、支持台25に支持された被加工物5と、加工ヘッド32とを相対的に3次元方向に移動させる機構である。ここでは、移動機構40は、主走査移動機構41と、副走査移動機構42と、昇降機構43とを有している。主走査移動機構41は、支持台25に支持された被加工物5に対して加工ヘッド32を主走査方向Yに相対的に移動させる機構である。ここでは、主走査移動機構41は、キャリッジ30および加工ヘッド32をガイドレール28に沿って主走査方向Yに移動させるように構成されている。
【0027】
副走査移動機構42は、支持台25に支持された被加工物5を加工ヘッド32に対して副走査方向Yに相対的に移動させる機構である。ここでは、副走査移動機構42は、支持台25を副走査方向Xに移動させることで、支持台25に支持された被加工物5を副走査方向Xに移動させるように構成されている。昇降機構43は、支持台25に支持された被加工物5を加工ヘッド32に対して相対的に昇降させる機構である。ここでは、昇降機構43は、支持台25を昇降させることで、支持台25に支持された被加工物5を昇降させるように構成されている。なお、主走査移動機構41、副走査移動機構42および昇降機構43の具体的な構成は特に限定されず、例えば従来公知の構成によって実現される。
【0028】
図3に示すように、加工装置10は、加工制御装置60を備えている。加工制御装置60は、加工に関する制御などを行う装置である。加工制御装置60の構成は特に限定されない。加工制御装置60は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されない。加工制御装置60は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。加工制御装置60は、加工装置10の内部に設けられている。ただし、加工制御装置60は、加工装置10の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、加工制御装置60は、有線または無線を介して加工装置10の制御基板(図示せず)と通信可能に接続されているとよい。
【0029】
本実施形態では、加工制御装置60は、加工ヘッド32、移動機構40(詳しくは、主走査移動機構41、副走査移動機構42および昇降機構43)と通信可能に接続されている。加工制御装置60は、加工ヘッド32および移動機構40を制御する。
【0030】
以上、本実施形態に係る加工装置10の基本的な構成について説明した。次に、図1に示す操作端末100について説明する。操作端末100は、ユーザが操作するための端末である。ユーザが操作端末100を操作することで、加工装置10を制御することができる。また、操作端末100は、被加工物5を加工する際の加工の内容が示された加工画像を作成したり、加工画像に沿って加工を行う被加工物5の位置や、被加工物5に対する加工画像の大きさや向き(言い換えると、加工を行う被加工物5の範囲の大きさや向き)を設定したりするための端末である。
【0031】
本実施形態では、図1に示すように、操作端末100は、インターネット200を介して加工装置10と通信可能に接続されている。ここでは、1つの操作端末100が、加工の種別が異なる複数の加工装置10を制御可能なように、複数の加工装置10と通信可能に接続されている。詳しくは、操作端末100は、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14および刻印機15と通信可能に接続されている。
【0032】
操作端末100は、例えば加工装置10の外部に設置されたコンピュータによって実現されている。操作端末100を実現するコンピュータは、複数の加工装置10に対する専用のコンピュータであってもよいし、汎用コンピュータであってもよい。操作端末100は、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ラップトップ型のコンピュータであってもよい。また、操作端末100は、タブレット端末であってもよいし、スマートフォンであってもよい。本実施形態では、加工システム1が備える操作端末100の数は、3つであるが、特に限定されるものではない。
【0033】
図3に示すように、操作端末100は、画面101と、操作手段102と、端末制御装置103とを備えている。画面101は、例えばデスクトップ型やラップトップ型のコンピュータの画面、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型端末の画面である。操作手段102は、ユーザが操作して入力するものである。操作手段102は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成されている。端末制御装置103は、例えばCPUと、ROMと、RAMなどとを備えている。端末制御装置103は、画面101および操作手段102に通信可能に接続されている。更に端末制御装置103は、インターネット200に接続されており、インターネット200を介して加工装置10(詳しくは加工制御装置60)に通信可能に接続されている。
【0034】
ところで、本実施形態に係る加工システム1が加工する対象の被加工物5(図2参照)は、立体物である。被加工物5は、例えばスマートフォンケースの材料となるものである。例えば被加工物5を加工することでスマートフォンケースを作製する。被加工物5は、樹脂によって形成されたものである。しかしながら、被加工物5を形成する材料の種類は特に限定されない。例えば被加工物5は、紙などの平面状のものであってもよい。被加工物5は、PCV、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものであってもよい。
【0035】
本実施形態に係る加工システム1では、被加工物5に対して複数の異なる種別の加工を行うことがあり得る。言い換えると、被加工物5に対して、複数の加工の種別に対応した加工装置10を使用して加工をすることがあり得る。例えば被加工物5に対して、箔押し装置13によって箔押しが行われた後、プリンタ11による印刷が行われ、その後、カッティング装置12によるカットが行われることがあり得る。このように、複数の加工の種別の加工装置10を使用する場合、操作端末100には、加工の種別に応じた加工画像がまとめられた合成画像が記憶されている。ユーザは、使用する加工装置10が変更される毎に、操作端末100を操作して、使用する加工装置10における加工の種別に対応した加工画像を合成画像から選択する。そのため、ユーザによる適切な加工画像の選択は、ユーザにとって煩わしいものであった。そこで、本実施形態では、ユーザが加工画像を選択することなく、加工装置10における加工の種別に則した加工画像を自動で選択して表示する。
【0036】
図4は、加工装置10における支持台25の支持面26を示す平面図である。本実施形態では、図4に示すように、各加工装置10(ここでは、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14、刻印機15)における支持台25の支持面26には、加工範囲AR1が予め設定されている。加工範囲AR1は、被加工物5を加工する範囲である。ここでは、加工範囲AR1は、被加工物5に対して、加工ヘッド32によって加工を行うことが可能な範囲のことであり、被加工物5が支持面26に載置される範囲のことである。加工範囲AR1は、例えば矩形状であるが、加工範囲AR1の形状は特に限定されるものではない。
【0037】
本実施形態では、各加工装置10における支持面26には、複数の特定マークM1が付与されている。本実施形態では、特定マークM1は、支持面26に対する加工範囲AR1の位置を特定するためのものである。特定マークM1の数は特に限定されないが、例えば3つ以上である。ここでは、特定マークM1の数は4つである。4つの特定マークM1は、加工範囲AR1に対応した位置に付与されており、ここでは矩形状の加工範囲AR1の頂点に対応した支持面26の位置に付与されている。ただし、複数の特定マークM1は、加工範囲AR1に対応した位置に付与されていなくてもよい。例えば複数の特定マークM1は、矩形状の加工範囲AR1内の一部の範囲(例えば加工範囲AR1の頂点以外の範囲)に付与されてもよい。複数の特定マークM1は、加工範囲AR1の外側の範囲に付与されてもよい。また、複数の特定マークM1のうち、一部の特定マークM1は、加工範囲AR1内に付与され、他の一部の特定マークM1は、加工範囲AR1の外側の範囲に付与されてもよい。
【0038】
ここでは、4つの特定マークM1のことを、それぞれ第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14と称することとする。特定マークM1は、第1特定マークM11と、第2特定マークM12と、第3特定マークM13と、第4特定マークM14とを有している。第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ加工範囲AR1の左前、左後ろ、右後ろ、右前の頂点に配置されている。なお、第1特定マークM11~第4特定マークM14には、それぞれ加工範囲AR1に対する位置に関する情報が含まれており、撮像装置150(図1参照)によって撮像されることで、どの位置に配置されている特定マークM1であるかを把握することができる。例えば第1特定マークM11には、加工範囲AR1の左前の頂点の位置に関する情報が含まれており、撮像装置150によって撮像されることで、第1特定マークM11から、加工範囲AR1の左前の頂点の位置を把握することができる。
【0039】
本実施形態では、支持面26に付与されている複数の特定マークM1の位置関係のことを基準位置関係P1という。基準位置関係P1とは、第1特定マークM11~第4特定マークM14における互いの位置関係のことをいう。ここでは、基準位置関係P1とは、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が、それぞれ支持面26の左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されている状態の複数の特定マークM1の位置関係のことである。例えば第1特定マークM11における基準位置関係P1は、第2特定マークM12よりも前方の位置、第3特定マークM13よりも前方かつ左方の位置、第4特定マークM14よりも左方の位置の関係となる。
【0040】
本実施形態では、図4に示すように、各加工装置10における支持面26には、種別マークM2が付与されている。種別マークM2は、支持台25を備える加工装置10の加工の種別に関する情報、すなわち加工の種別を特定するための情報が含まれている。言い換えると、種別マークM2には、加工の種別に関する情報が記憶されている。例えばプリンタ11の支持台25の支持面26に付与された種別マークM2には、加工の種別である印刷に関する情報が含まれている。例えば撮像装置150によって種別マークM2が撮像されることによって、種別マークM2に含まれる加工の種別を特定することができる。なお、種別マークM2には、加工の種別に関する情報以外に、加工装置10の機種に関する機種情報が含まれていてもよいし、例えば加工装置10の加工範囲AR1の大きさに関する情報が含まれていてもよい。本実施形態では、1つの加工装置10の支持面26に付与されている種別マークM2の数は1つであるが、2つ以上の複数であってもよい。
【0041】
なお、特定マークM1および種別マークM2の種類および形状などは特に限定されない。ここでは、特定マークM1と種別マークM2とは、同じ種類、かつ、同じ形状であるが、異なる種類であってもよいし、異なる形状であってもよい。本実施形態では、特定マークM1および種別マークM2は、いわゆるARマーカー、またはArUcoマーカーによって構成されている。特定マークM1および種別マークM2の形状は、例えば矩形状である。
【0042】
本実施形態では、図4に示すように、種別マークM2は、複数の特定マークM1のうちの1つの特定マークM1と一体的に構成されている。すなわち1つのマークによって、種別マークM2と、1つの特定マークM1とが構成されている。ここでは、種別マークM2は、複数の特定マークM1のうちの第3特定マークM13と一体的に構成されている。本実施形態では、種別マークM2は、加工範囲AR1の右後ろの頂点の位置に配置されている。
【0043】
図5は、変形例における支持台25の支持面26を示す平面図である。なお、図5に示すように、種別マークM2は、1つの特定マークM1と一体的に構成されていなくてもよく、複数の特定マークM1とは別々のマークであってもよい。また、支持面26に対する種別マークM2の位置は特に限定されない。種別マークM2は、例えば加工範囲AR1内に配置されていてもよいし、加工範囲AR1の外部に配置されていてもよい。例えば種別マークM2は、図5に示すように、複数の特定マークM1と異なるマークであり、第1特定マークM11と第4特定マークM14との間に配置されてもよい。この場合、種別マークM2は、第1特定マークM11および第4特定マークM14と主走査方向Yに並んで配置されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、図4に示すように、支持台25の支持面26には、特定マークM1および種別マークM2と共に枠線L10が付与されている。枠線L10は、複数の特定マークM1を繋いだ線のことである。枠線L10は、加工範囲AR1の外郭に沿った線であり、枠線L10の形状は矩形状である。枠線L10は、平面視において加工範囲AR1を囲む線である。ここでは、枠線L10は、第1特定マークM11と第2特定マークM12とを繋ぐ第1枠線L11と、第2特定マークM12と第3特定マークM13とを繋ぐ第2枠線L12と、第3特定マークM13と第4特定マークM14とを繋ぐ第3枠線L13と、第4特定マークM14と第1特定マークM11とを繋ぐ第4枠線L14とを有している。第1枠線L11と第3枠線L13は平行であり、第2枠線L12と第4枠線L14は平行である。本実施形態では、枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14における加工範囲AR1の中心側の頂点を繋いでいる。詳しくは、枠線L10は、第1特定マークM11の右後ろの頂点と、第2特定マークM12の右前の頂点と、第3特定マークM13の左前の頂点と、第4特定マークM14の左後ろの頂点とを繋いでいる。なお、枠線L10において、第1特定マークM11~第4特定マークM14を繋ぐときの第1特定マークM11~第4特定マークM14に対する位置は特に限定されない。例えば枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14の中心点を繋いでもよい。枠線L10は、第1特定マークM11~第4特定マークM14における加工範囲AR1の中心から遠い側の頂点を繋いでもよい。また、枠線L10は、省略されてもよい。
【0045】
本実施形態では、複数の特定マークM1、および、種別マークM2は、支持面26に付与されている。ここで「特定マークM1が支持面26に付与されている」とは、特定マークM1が支持面26上に配置されており、複数の特定マークM1(ここでは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)の位置関係が特定できる状態であることをいう。「種別マークM2が支持面26に付与されている」とは、種別マークM2が支持面26上に配置されており、種別マークM2から加工装置10の加工の種別が特定できる状態であることをいう。「付与」とは、例えば特定マークM1および種別マークM2が印刷されることで付与されてもよいし、特定マークM1および種別マークM2がシールによって貼り付けられることで付与されてもよい。複数の特定マークM1、および、種別マークM2は、支持面26に直接付与されていてもよいし、他の部材に付与されており、当該他の部材を介して支持面26に間接的に付与されてもよい。また、枠線L10も、支持面26に直接付与されてもよいし、他の部材に付与され、他の部材を介して支持面26に間接的に付与されてもよい。
【0046】
本実施形態では、図2に示すように、各加工装置10における支持台25は、載置治具130を有している。載置治具130は、例えば被加工物5を加工する際に、支持台25の支持面26に載置されることで、支持面26に支持されるものである。図4に示すように、載置治具130は、支持面26の加工範囲AR1を上から覆うように載置される。また、載置治具130には、被加工物5が載置される。載置治具130は被加工物5を支持する。ここでは、被加工物5への加工の際、上から被加工物5、載置治具130、支持面26の順に重ねられる。なお、載置治具130に支持される被加工物5の数、すなわち支持面26に支持される被加工物5の数は特に限定されない。支持面26の加工範囲AR1に配置される被加工物5の数は、図4では1つであるが、特に限定されない。
【0047】
載置治具130は、板状の部材である。ここでは、載置治具130は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっており、高さ方向Zが主走査方向Yおよび副走査方向Xよりも短い板状の部材である。載置治具130の形状は、直方体形状であり、平面視において矩形状である。ただし、載置治具130の形状は特に限定されない。また、載置治具130を形成する材料は特に限定されない。載置治具130は、例えばゴム製である。このことによって、載置治具130に被加工物5を載置した際に、載置治具130に対して被加工物5が滑り難くすることができ、かつ、支持面26に対して載置治具130が滑り難くすることができる。また、載置治具130の少なくとも被加工物5が載置される面(ここでは上面)は、黒色である。例えば載置治具130の全体が黒色である。このように載置治具130を黒色にすることで、光が載置治具130によって反射し難くすることができる。ただし、載置治具130の色は特に限定されない。
【0048】
本実施形態では、図4に示すように、載置治具130には、複数の特定マークM1(ここでは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)、種別マークM2、および、枠線L10が付与されている。ここでは、複数の特定マークM1、および、種別マークM2は、載置治具130が支持面26に載置されている状態において、加工範囲AR1の頂点の位置に対応する載置治具130の位置に付与されている。ここでは、種別マークM2は、複数の特定マークM1のうちの何れか(例えば第3特定マークM13)と一体的になるように載置治具130に付与されている。枠線L10は、載置治具130において複数の特定マークM1を繋ぐように載置治具130に付与されている。本実施形態では、載置治具130に付与された複数の特定マークM1の位置関係が、基準位置関係P1になり、かつ、平面視において枠線L10が加工範囲AR1を囲むように、載置治具130が支持面26に載置される。なお、特定マークM1の色、種別マークM2の色、および、枠線L10の色は特に限定されない。特定マークM1の色、種別マークM2の色、および、枠線L10の色は、例えば黒色である。ただし、載置治具130が黒色の場合、特定マークM1の色、種別マークM2の色、および、枠線L10の色は、例えば白色である。
【0049】
本実施形態では、載置治具130は、加工の種別毎に設けられている。言い換えると、載置治具130は、加工の種別が異なる加工装置10毎に設けられている。すなわち、プリンタ11、カッティング装置12、箔押し装置13、彫刻機14、および、刻印機15に対して、異なる載置治具130が設けられている。
【0050】
図1に示す撮像装置150は、例えばユーザが使用するものである。撮像装置150は、各加工装置10における支持台25の支持面26を撮像する装置である。ユーザは、支持面26に付与された複数の特定マークM1、種別マークM2および枠線L10と、支持面26に支持された被加工物5とが写るように、撮像装置150を使用して支持面26を撮像する。このように、撮像装置150によって撮像された支持面26の画像のことを撮像画像G1(図7参照)という。
【0051】
本実施形態では、図1に示すように、加工システム1が備える撮像装置150の数は3つであるが、特に限定されない。また、撮像装置150の種類は特に限定されない。撮像装置150は、撮像することで複数の特定マークM1の位置関係が分かり、かつ、種別マークM2に含まれる加工の種別が特定できるような撮像画像G1が得られる装置であるとよい。撮像装置150は、例えばカメラである。撮像装置150は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯型端末に搭載されているカメラである。撮像装置150は、操作端末100と別体であり、例えばインターネット200を介して操作端末100と通信可能である。ただし、撮像装置150は、操作端末100に搭載されていてもよく、すなわち操作端末100と一体となって形成されていてもよい。本実施形態では、撮像装置150は、各加工装置10(例えばキャリッジ30(図2参照))に固定されていない。そのため、各加工装置10において、支持面26に対する撮像装置150の位置は固定されておらず、ユーザが任意に決定することができる。すなわち、ユーザは、撮像装置150を使用して、どの向き、どの方向、および、どの位置から支持面26を撮像してもよい。
【0052】
本実施形態では、加工システム1において、操作端末100は、詳しくは後述するが、撮像装置150によって撮像された撮像画像を取得する。そして、操作端末100は、撮像画像に基づいて、加工装置10の加工の種別に応じた加工画像を取得し、加工画像の大きさ、向き、位置などを決定し、加工用の加工データを生成する。その後、加工データを、加工データに対応した加工の種別の加工装置10に送信し、加工データに基づいて被加工物5を加工する。
【0053】
本実施形態では、操作端末100の端末制御装置103は、本発明の制御装置の一例である。図3に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、記憶部110と、取得部112と、特定部114と、変換部116と、加工画像取得部117と、表示部118と、項目表示部119と、調整部120と、自動調整部122と、生成部124とを備えている。なお、端末制御装置103の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば端末制御装置103の各部は、複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0054】
次に、本実施形態に係る表示方法について、図6のフローチャートに沿って説明する。ここでの表示方法は、図6に示すように、載置工程S101と、撮像工程S102と、取得工程S103と、特定工程S104と、変換工程S105と、加工画像取得工程S106と、表示工程S107と、項目表示工程S108と、調整工程S109と、生成工程S110とを包含する。
【0055】
まず載置工程S101では、図2に示すように、加工装置10の支持台25の支持面26に被加工物5を載置し、被加工物5を支持させる。ここでは、被加工物5に対して加工する際において、ユーザが希望する加工の種別の加工装置10の支持面26に被加工物5を載置し、被加工物5を支持させる。例えば被加工物5に印刷したい場合には、プリンタ11の支持面26に被加工物5を支持させる。ユーザは、支持面26に載置治具130を載置し、載置治具130に被加工物5を載置する。
【0056】
図4に示すように、支持面26には、予め加工範囲AR1が設定されているため、載置治具130に付与された複数の特定マークM1が、平面視において加工範囲AR1の頂点の位置と重なるようにして、載置治具130を支持面26に載置する。このとき、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が、それぞれ左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されるような載置治具130の向きになるように、支持面26上に設置する。言い換えると、複数の特定マークM1の位置関係が基準位置関係P1になるように、支持面26に載置治具130を載置する。
【0057】
その後、載置治具130に被加工物5を載置する。このとき、支持面26(言い換えると載置治具130)に対する被加工物5の向きは特に限定されない。図4の一例では、載置治具130に載置する被加工物5の数は1つであるが、複数であってもよい。複数の被加工物5を載置する場合、複数の被加工物5の向きは、揃っていてもよいし、揃っていなくてもよい。ユーザは、載置治具130の枠線L10から被加工物5がはみ出さずに、枠線L10内に被加工物5が配置されるように被加工物5を載置治具130に載置する。このことによって、加工範囲AR1内に被加工物5を配置することができる。
【0058】
次に、図6の撮像工程S102では、撮像装置150によって、支持面26を撮像する。ここでは、ユーザは、被加工物5を載置した加工装置10の支持面26を、撮像装置150を使用して撮像する。ユーザは、複数の特定マークM1(詳しくは、第1特定マークM11~第4特定マークM14)と、種別マークM2と、支持面26に支持された被加工物5とが写るように、撮像装置150を使用して支持面26を撮像する。図7は、撮像画像G1の一例を示す図である。なお、図7図9A図9B図11図12において、載置治具130の図示が省略されている。ここで、撮像装置150によって支持面26を撮像した画像が、図7に示す撮像画像G1である。
【0059】
なお、支持面26を撮像するときの支持面26に対する撮像装置150の位置は特に限定されない。例えばユーザは、支持面26の真上から支持面26を撮像してもよいし、支持面26の前方かつ上方から支持面26を撮像してもよい。すなわち、ユーザは、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Z)から支持面26を撮像してもよいし、高さ方向Zから所定の角度傾いた方向から支持面26を撮像してもよい。図7の撮像画像G1は、支持面26に対して右方かつ上方の方向から、撮像装置150を使用して支持面26を撮像した画像である。なお、撮像装置150によって撮像された支持面26の撮像画像G1は、撮像装置150に保存される。
【0060】
次に、図6の取得工程S103では、撮像装置150によって撮像された撮像画像G1を取得する。本実施形態では、取得工程S103は、操作端末100の取得部112(図3参照)によって実現される。取得部112は、撮像装置150から撮像画像G1を取得する。本実施形態では、図1に示すように、操作端末100と撮像装置150とは、インターネット200を通じて通信可能に接続されている。ここで、撮像装置150が支持面26を撮像したとき、撮像画像G1がインターネット200を介して操作端末100に送信される。なお、撮像画像G1は、撮像装置150によって撮像されたタイミングで操作端末100に自動で送信されてもよい。または、例えば操作端末100から送信された取得信号を撮像装置150が受信したときに、撮像装置150から操作端末100に撮像画像G1が送信されてもよい。なお、操作端末100と撮像装置150とが一体となって形成されている場合には、撮像画像G1は、インターネット200を介さずに、取得部112によって取得される。取得部112は、撮像装置150から送信された撮像画像G1を取得する。なお、取得部112によって取得された撮像画像G1は、図3の記憶部110に記憶される。
【0061】
次に、図6の特定工程S104では、取得工程S103において取得した撮像画像G1の向き(ここでは、図7の向き)における複数の特定マークM1の位置を特定する。更に特定工程S104では、取得工程S103において取得した撮像画像G1の種別マークM2を特定し、かつ、種別マークM2に含まれる加工の種別を特定する。本実施形態では、特定工程S104は、操作端末100の特定部114(図3参照)によって実現される。
【0062】
特定部114は、取得部112によって取得された撮像画像G1の向きにおける複数の特定マークM1、すなわち第1特定マークM11~第4特定マークM14の位置を特定する。ここでは、図7に示すように、撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係が基準位置関係P1(図4参照)ではないことがあり得る。ここで、図7などにおいて、符号F1、Rr1、L1、R1とは、画像(例えば撮像画像G1)における前、後、左、右をそれぞれ示している。特定部114は、第1特定マークM11~第4特定マークM14が、撮像画像G1の向きに対して、前後左右のどの位置にあるかを特定する。ここでは、特定マークM1は、例えばARマーカーによって構成されているため、後述のARマーカーアプリケーションを用いて特定マークM1を読み取ることで位置を特定する。図7の一例では、撮像画像G1の向きに対して、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ撮像画像G1の左後ろ、右後ろ、右前、左前に配置されている。なお、本実施形態では、撮像画像G1の向きに対する複数の特定マークM1の位置関係のことを、撮像位置関係P2という。
【0063】
また、特定部114は、取得部112によって取得された撮像画像G1の種別マークM2に含まれる加工の種別を特定する。上述のように、種別マークM2は、例えばARマーカーによって構成されている。操作端末100の端末制御装置103には、ARマーカーを読み取ることが可能なARマーカーアプリケーションが予めインストールされている。特定部114は、上記のARマーカーアプリケーションを用いて種別マークM2を読み取ることで、種別マークM2に記憶された加工の種別に関する情報を取得することができる。特定部114は、取得した情報から、種別マークM2に含まれる加工の種別を特定する。なお、特定部114によって特定された加工の種別に関する情報は、図3の記憶部110に記憶される。
【0064】
図8は、変換後の撮像画像G2Aの一例を示す図である。次に、図6の変換工程S105では、撮像画像G1を変換する。本実施形態では、変換工程S105は、操作端末100の変換部116(図3参照)によって実現される。変換部116は、図7の撮像画像G1における複数の特定マークM1の位置関係(ここでは、撮像位置関係P2)が、基準位置関係P1(図4参照)になるように、撮像画像G1の向きを変換して、図8に示す変換後の撮像画像G2Aとする。ここでは、変換部116は、撮像画像G1における左前、左後ろ、右後ろ、右前の位置に、それぞれ第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14が配置されるように、撮像画像G1を回転させて、変換後の撮像画像G2Aとする。図8において、第1特定マークM11、第2特定マークM12、第3特定マークM13、第4特定マークM14は、それぞれ撮像画像G2Aの左前、左後ろ、右後ろ、右前に配置されており、基準位置関係P1となっている。
【0065】
図9Aは、推定撮像画像G3の一例を示す図である。変換工程S105では、更に変換部116は、撮像画像G1の複数の特定マークM1に基づいて、支持面26に対して直交する方向(ここでは高さ方向Zにおける上から見た方向)から撮像された推定撮像画像G3(図9A参照)を推定する。そして、変換部116は、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換する(図8参照)と共に、撮像画像G1を推定撮像画像G3に変換することで、図9Aに示す変換後の撮像画像G2Bとする。本実施形態では、図8に示すように、高さ方向Zから斜めに傾いた方向(ここでは、支持面26の右方かつ上方)から支持面26を撮像した場合、複数の特定マークM1を繋ぐ枠線L10は、台形形状になる。図9Aに示すように、推定撮像画像G3は、支持面26を高さ方向Zの上から見たときの画像であり、枠線L10は矩形状になっている。変換部116は、撮像画像G1において、複数の特定マークM1を繋ぐ枠線L10の形状が台形形状から矩形状になるように、推定撮像画像G3に変換して、図9Aに示すような変換後の撮像画像G2Bを作成する。なお、枠線L10が支持面26に付与されていない場合には、変換部116は、複数の特定マークM1を繋ぐ仮想的な枠線を推定し、当該仮想的な枠線が矩形状になるように、推定撮像画像G3を推定するとよい。このように、台形形状を矩形状に変換するには、例えば台形補正の技術を用いることが可能である。以上のようにして、変換部116によって変換されて作成された図9Aの変換後の撮像画像G2Bは、図3の記憶部110に記憶される。
【0066】
図9Bは、抽出撮像画像G3Aの一例を示す図である。変換工程S105では、更に変換部116は、推定撮像画像G3から加工範囲AR1に対応する範囲を示す抽出撮像画像G3Aを抽出する。そして、変換部116は、基準位置関係P1になるように撮像画像G1の向きを変換する(図8参照)と共に、撮像画像G1から推定された推定撮像画像G3(図9A参照)から抽出撮像画像G3Aを抽出することで、図9Bに示す変換後の撮像画像G2とする。本実施形態では、特定マークM1によって囲まれた範囲が、加工範囲AR1に対応するため、変換部116は、特定マークM1によって囲まれた推定撮像画像G3の範囲を抽出撮像画像G3Aとして抽出する。なお、種別マークM2に加工装置10の加工範囲AR1の大きさに関する情報が含まれている場合には、種別マークM2の位置に基づいて、加工範囲AR1に対応する範囲を推定撮像画像G3から抽出してもよい。
【0067】
本実施形態では、ユーザが撮像装置150を使用して、任意の位置から支持面26を撮像するため、撮像画像G1の縦と横の長さの比率が、加工範囲AR1の縦と横(例えば副走査方向Xと主走査方向Y)の長さの比率と一致しないことがあり得る。また、加工の種別、言い換えると加工装置10の種類(または機種)に応じて、加工範囲AR1の大きさが異なることがあり得る。そこで、本実施形態では、変換部116は、撮像画像G1(詳しくは推定撮像画像G3)の縦と横の長さの比率が、加工装置10の加工範囲AR1の縦と横の比率と対応するように、推定撮像画像G3から抽出撮像画像G3Aを抽出し、抽出撮像画像G3Aを、変換後の撮像画像G2とする。なお、図9Bのような変換後の撮像画像G2は、図3の記憶部110に記憶される。
【0068】
図10は、加工画像G4に関する説明図である。次に、図6の加工画像取得工程S106では、特定工程S104において特定した加工の種別に対応した加工画像G4を取得する。本実施形態では、加工画像取得工程S106は、操作端末100の加工画像取得部117(図3参照)によって実現される。加工画像取得部117は、特定部114によって特定された加工の種別に対応した加工画像G4を、特定加工画像G5(図11参照)として取得する。
【0069】
加工画像G4とは、被加工物5に対する加工の内容が示された画像である。加工画像G4は、図3の記憶部110に予め記憶されている。加工画像G4は、加工の種別毎に存在するものである。ここでは、図10に示すように、加工画像G4は、プリンタ11に対する印刷用の印刷画像G41と、カッティング装置12に対するカット用のカット画像G42と、箔押し装置13に対する箔押し用の箔押し画像G43と、彫刻機14に対する彫刻用の彫刻画像G44と、刻印機15に対する刻印用の刻印画像G45とを有している。
【0070】
本実施形態では、被加工物5に対する加工画像G4である印刷画像G41、カット画像G42、箔押し画像G43、彫刻画像G44、および刻印画像G45は、1つの合成画像G4Aにまとめられている。合成画像G4Aは、複数の加工画像G4、ここでは印刷画像G41、カット画像G42、箔押し画像G43、彫刻画像G44、および刻印画像G45の少なくとも1つ以上を含む(言い換えると、合成した)画像であり、被加工物5に対して複数の種別の加工した結果を示す画像である。ここでは、被加工物5に対して加工が行われる加工の種別に対応した加工画像G4が重ねられて、合成画像G4Aが作成されている。そのため、被加工物5に対して加工されない加工の種別に対応した加工画像G4は、合成画像G4Aには含まれない。ここでは、合成画像G4Aから、印刷画像G41、カット画像G42、箔押し画像G43、彫刻画像G44および刻印画像G45の少なくとも何れかを抽出することが可能である。この合成画像G4Aは、記憶部110(図3参照)に記憶されている。なお、本実施形態では、加工の種別に対応した加工画像G4が合成された合成画像G4Aが記憶部110に記憶されているが、加工の種別に対応した加工画像G4は、合成されずに記憶部110に記憶されてもよい。すなわち、印刷画像G41、カット画像G42、箔押し画像G43、彫刻画像G44、および刻印画像G45は、別々の画像として記憶部110に記憶されてもよい。また、複数の加工画像G4は、加工の種別毎に重ねられて、すなわち階層状(レイヤー状)になって記憶部110に記憶されてもよい。
【0071】
加工画像取得部117は、特定部114によって特定された加工の種別に対応した加工画像G4を、記憶部110に合成画像G4Aから抽出し、抽出した加工画像G4を特定加工画像G5として取得する。例えば特定部114によって特定された加工の種別が印刷の場合、加工画像取得部117は、記憶部110に記憶された合成画像G4Aから印刷画像G41を抽出し、印刷画像G41を特定加工画像G5として取得する。なお、加工画像G4が加工の種別毎に重ねられて階層状になって記憶部110に記憶されている場合には、加工画像取得部117は、特定部114によって特定された加工の種別に対応する階層に記憶された加工画像G4を特定加工画像G5として取得する。
【0072】
図11は、撮像画像G2と特定加工画像G5を重畳表示した図である。次に、図6の表示工程S107では、図11に示すように、変換後の撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示する。本実施形態では、表示工程S107は、操作端末100の表示部118(図3参照)によって実現される。表示部118は、撮像画像G2と、被加工物5を加工する内容を示す特定加工画像G5とを重畳表示する。表示部118は、図11に示すように、特定加工画像G5が撮像画像G2に対して上から重なるようにして、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示する。なお、特定加工画像G5は、被加工物5に対して、特定された加工の種別に沿って加工する内容が示されたものであるが、表示される際、撮像画像G2の被加工物5に対して重なって表示されてもよいし、被加工物5に重なっていなくてもよい。また、図11に示すように、特定加工画像G5は、撮像画像G2の被加工物5に対して一部がはみ出して表示されてもよい。
【0073】
なお、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示する対象画面は、特に限定されない。本実施形態では、表示部118は、操作端末100の画面101に、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示する。
【0074】
次に、図6の項目表示工程S108では、特定工程S104において特定した加工の種別に関連する設定項目P1(図11参照)のみを表示する。本実施形態では、項目表示工程S108は、操作端末100の項目表示部119(図3参照)によって実現される。項目表示部119は、特定部114によって特定された加工の種別に関連する設定項目P1を表示する。この設定項目P1は、例えば被加工物5を加工する際に必要となる項目のパラメータのことである。設定項目P1は、加工の種別毎に異なるものである。
【0075】
例えば加工の種別が印刷の場合、プリンタ11に設定される設定項目P1として、印刷品質(例えば高画質、標準、高速など)、使用するインクの色、使用するICCプロファイル、ページ間の余白、補正値(例えば被加工物5の副走査方向Xへの移動補正値、双方向印刷の補正値など)、支持台25に設けられた吸着ファン(図示せず)の強さ、加工ヘッド32の高さ(例えば支持面26と加工ヘッド32との上下方向Zの距離)、キャリッジ30に設けられた光照射装置(図示せず)の照射強度などが挙げられる。ここで、上記吸着ファンとは、複数の吸着孔が形成された支持面26の下方に設けられ、駆動することで吸着孔を通じて被加工物5を吸引して、支持面26に吸着させるものである。上記光照射装置とは、被加工物5に吐出されたインクに光(例えば紫外線)を照射して、インクの硬化を促進させる装置である。
【0076】
例えば加工の種別がカットの場合、カッティング装置12に設定される設定項目P1として、カッター圧、加工ヘッド32の移動速度、カッターオフセット値(カッターの中心軸とカッターの先端のズレ量)、いわゆるミシン目カットをする場合におけるダイカット長、ダイカット圧、ハーフカット長、ハーフカット圧などが挙げられる。例えば加工の種別が箔押しの場合、箔押し装置13に設定される設定項目P1として、箔押しの塗潰しのピッチ、重ね回数、箔押しの強度などが挙げられる。
【0077】
例えば加工の種別が彫刻の場合、彫刻機14に設定される設定項目P1として、加工ヘッド32のカッターの切り込み深さ、カッターの回転数などが挙げられる。例えば加工の種別が刻印の場合、刻印機15に設定される設定項目P1として、加工ヘッド32の刻印ピンに掛けられる圧力などが挙げられる。
【0078】
本実施形態では、項目表示部119は、図11に示すように、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示する画面と同じ画面(ここでは、操作端末100の画面101)に、種別マークM2から特定された加工の種別に対応した設定項目P1を表示する。ここでは、画面101には、撮像画像G2および特定加工画像G5と重ならない位置において、項目表示領域A1が設けられている。項目表示部119は、加工の種別に対応した設定項目P1を項目表示領域A1に表示する。本実施形態では、項目表示部119は、加工の種別に対応しない設定項目P1を項目表示領域A1に表示しない。ただし、項目表示部119は、加工の種別に対応しない設定項目P1を項目表示領域A1に表示してもよい。この場合、加工の種別に対応しない設定項目P1を、加工の種別に対応する設定項目P1と異なる態様(例えば異なる色、文字フォント、文字の太さなど)で表示するとよい。
【0079】
なお、設定項目P1に対する値(例えばパラメータ)は、ユーザによって変更可能に構成されている。例えばユーザが操作手段102を操作することで、画面101に表示されている設定項目P1に対する値を変更することができる。ただし、設定項目P1の一部または全部に対する値は、固定値であり、ユーザによって変更できないように構成されていてもよい。また、加工の種別に対応しない設定項目P1が表示されている場合、この加工の種別に対応しない設定項目P1に対する値は、ユーザによって変更できないように構成されていてもよい。
【0080】
本実施形態では、項目表示工程S108は、表示工程S107の後に実行されている。しかしながら、項目表示工程S108は、表示工程S107の前に実行されてもよいし、表示工程S107と同じタイミングで実行されてもよい。
【0081】
次に、図6の調整工程S109では、撮像画像G2の被加工物5に対して、特定加工画像G5の位置、向き、大きさを調整(以下、単に特定加工画像G5の調整ともいう。)する。本実施形態では、調整工程S109は、操作端末100の調整部120(図3参照)または自動調整部122(図3参照)によって実現される。調整工程S109において、特定加工画像G5の調整は、手動または自動で行われる。図12は、撮像画像G2と調整画像G6とを重畳表示した図である。調整工程S109において、特定加工画像G5を調整した後の画像のことを、調整画像G6(図12参照)という。
【0082】
ここでは、図3の調整部120は、所定の指示に基づいて、特定加工画像G5の調整を手動で行う。ここでの所定の指示とは、例えばユーザが操作端末100の操作手段102(図3参照)を操作することで行われる指示である。例えば画面101には、特定加工画像G5を調整する調整機能を有する調整画面が表示されており、ユーザが操作手段102を操作して、調整画面において被加工物5に対する特定加工画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを決定する。ここで決定された特定加工画像G5の位置、向き、大きさに関する指示に基づいて、調整部120は、特定加工画像G5の調整を行い、図12に示すような調整画像G6を作成する。
【0083】
図3の自動調整部122は、特定加工画像G5の調整を自動で行う。ここでは、自動調整部122は、撮像画像G2の被加工物5に対応するように、特定加工画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを自動で調整する。自動調整部122は、被加工物5から特定加工画像G5がはみ出さないように、特定加工画像G5を自動で調整して、図12に示す調整画像G6を作成する。ここでは、調整部120は、所定の指示に基づいて、特定加工画像G5を調整して調整画像G6を作成する。自動調整部122は、特定加工画像G5を自動で調整して調整画像G6を作成する。なお、調整部120または自動調整部122によって作成された調整画像G6は、図3の記憶部110に記憶される。
【0084】
次に、図6の生成工程S110では、加工データDT1を生成する。本実施形態では、生成工程S110は、操作端末100の生成部124(図3参照)によって実現される。生成部124は、調整画像G6(または特定加工画像G5)に対応した加工データDT1を生成する。ここで、加工データDT1とは、加工装置10に送信するために、加工装置10の加工制御装置60が読み取り可能な形式に調整画像G6が変換されたデータのことである。加工データDT1は、例えばラスタ形式のデータ、すなわちラスターデータである。調整画像G6は、例えばビットマップデータである。生成部124は、調整画像G6をラスタライズすることで、加工データDT1を生成する。ただし、加工データDT1は、ラスタ形式のデータに限定されるものではない。例えば加工装置10がカッティング装置12(図1参照)の場合には、加工データDT1は、ベクタ形式のデータであるとよい。生成部124は、加工装置10の加工制御装置60が読み取り可能な形式に調整画像G6を変換して加工データDT1を生成する。生成部124によって生成された加工データDT1は、図3の記憶部110に記憶される。
【0085】
本実施形態では、加工データDT1が生成された後、被加工物5を支持している支持台25の加工装置10による被加工物5への加工が開始される。まず、操作端末100の端末制御装置103から、被加工物5が支持された加工装置10へ加工データDT1が送信される。加工装置10側では、加工制御装置60が加工データDT1を受信し、加工データDT1に基づいて、支持面26に支持された被加工物5に対して加工が行われる。このときの支持面26に対する被加工物5の位置は、上記の載置工程S101において、被加工物5を載置した位置(図4参照)である。
【0086】
次に、被加工物5への加工の一例として、被加工物5に対して箔押し、印刷が順に行われる場合の手順について簡単に説明する。
【0087】
この場合、まず被加工物5に対して箔押しを行うため、ユーザは、図2に示すように、箔押し装置13の支持面26に、箔押し用の載置治具130を載置し、載置治具130に被加工物5を載置することで、支持面26に支持させる。図4に示すように、この箔押し用の載置治具130に付与された種別マークM2には、加工の種別として箔押しに関する情報が記憶されている。その後、ユーザは、撮像装置150を用いて、箔押し装置13の支持面26を撮像する。支持面26を撮像した後、箔押し用の撮像画像G1が操作端末100に送信され、複数の特定マークM1の位置関係が基準位置関係P1になり、かつ、支持面26に対して直交した方向(ここでは支持面26の真上)から見た画像になるようなるように、変換後の撮像画像G2に変換される。
【0088】
また、箔押し用の撮像画像G1の種別マークM2から、加工の種別が箔押しであることが特定され、図10に示すように、合成画像G4Aの中から箔押し画像G43が抽出され、箔押し画像G43が特定加工画像G5として取得される。その後、図11に示すように、画面101には、変換後の撮像画像G2と、箔押し用の特定加工画像G5とが重畳表示されると共に、箔押しに関する設定項目P1が表示される。ユーザは、画面101を見ながら操作手段102を操作することで、箔押し用の特定加工画像G5の調整と、箔押し用の設定項目P1における値を設定する。その後、特定加工画像G5が調整された後の調整画像G6(図12参照)から、箔押し用の加工データDT1が生成される。箔押し用の加工データDT1および設定項目P1の値が、箔押し装置13に送信されることで、箔押し装置13によって、被加工物5に対して箔押し画像G43に沿った箔押しが行われる。
【0089】
このように、被加工物5に対して箔押しが行われた後、ユーザは、箔押し装置13の支持面26から被加工物5を取り出す。次に、ユーザは、プリンタ11の支持面26に、印刷用の載置治具130を載置し、載置治具130に、箔押しの加工が行われた被加工物5を載置する。この印刷用の載置治具130に付与された種別マークM2には、加工の種別として印刷に関する情報が記憶されている。ユーザは、撮像装置150を用いて、プリンタ11の支持面26を撮像する。支持面26を撮像した後、印刷用の撮像画像G1が操作端末100に送信され、箔押しのときと同様にして、変換後の撮像画像G2に変換される。
【0090】
このとき、印刷用の撮像画像G1の種別マークM2から、加工の種別が印刷であることが特定され、図10に示すように、合成画像G4Aの中から印刷画像G41が抽出され、印刷画像G41が特定加工画像G5として取得される。その後、図11に示すように、画面101には、変換後の印刷用の撮像画像G2と、印刷用の特定加工画像G5とが重畳表示されると共に、印刷に関する設定項目P1が表示される。ユーザは、印刷用の特定加工画像G5の調整と、設定項目P1における値を設定する。なお、ここでは、印刷用の撮像画像G2の被加工物5には、既に箔押しがされた状態である。そのため、ユーザは、実際に被加工物5に箔押しされた状態を、画面101を通じて見ながら、印刷用の特定加工画像G5を調整することができる。印刷用の特定加工画像G5が調整された後、印刷用の加工データDT1が生成される。その後、印刷用の加工データDT1と設定項目P1の値が、プリンタ11に送信され、箔押しされた被加工物5に対して、プリンタ11による印刷画像G41に沿った印刷が行われる。このようにして、被加工物5に対して箔押し、および、印刷が順に行われる。
【0091】
以上、本実施形態では、図1に示すように、加工システム1は、加工の種別に関する情報が含まれた種別マークM2が付与され、かつ、被加工物5が支持される支持面26を有する支持台25(図4参照)と、端末制御装置103(図3参照)とを備え、所定の加工の種別に基づいて被加工物5を加工する加工システムである。図3に示すように、端末制御装置103は、記憶部110と、取得部112と、特定部114と、加工画像取得部117と、表示部118とを備えている。記憶部110には、加工の種別毎の加工の内容を示す加工画像G4が記憶されている。取得部112は、図6の取得工程S103において、撮像装置150によって、種別マークM2が写るように支持面26を撮像した撮像画像G1(図4参照)を取得する。特定部114は、図6の特定工程S104において、取得部112によって取得された撮像画像G1の種別マークM2に含まれる加工の種別を特定する。加工画像取得部117は、図6の加工画像取得工程S106において、特定部114によって特定された加工の種別に対応した加工画像G4を、特定加工画像G5(図11参照)として取得する。表示部118は、図6の表示工程S107において、図11に示すように、撮像画像G2と特定加工画像G5を重畳表示する。
【0092】
このことによって、撮像画像G1の種別マークM2から、被加工物5を支持する支持面26を備える加工装置10の加工の種別を特定することができる。そして、特定された加工の種別に対応した加工画像G4を特定加工画像G5として取得する。この特定加工画像G5は、特定された種別の加工の内容を示す画像である。よって、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示した結果をユーザが見ることで、特定された種別の加工による被加工物5に対する加工の結果を分かり易くすることができる。
【0093】
本実施形態では、図1に示すように、加工システム1は、加工の種別が異なる加工を行う複数の加工装置10を備えている。ここでは、加工装置10は、加工の種別が異なるプリンタ11と、カッティング装置12と、箔押し装置13と、彫刻機14と、刻印機15とを有している。このように加工の種別が異なる複数の加工装置10が加工システム1に備えられた場合であっても、撮像画像G1の種別マークM2から加工の種別を特定することによって、特定した加工の種別に対応した特定加工画像G5を表示することができる。よって、加工の種別が異なる複数の加工装置10が加工システム1に備えられた場合であっても、これから加工する加工の種別による加工の結果が分かり易い。
【0094】
本実施形態では、図3に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、項目表示部119を備えている。項目表示部119は、図6の項目表示工程S108において、特定部114によって特定された加工の種別に関連する設定項目P1(図11参照)のみを表示する。このことによって、重畳表示された特定加工画像G5に対応した加工の種別に関連した設定項目P1のみを表示することができ、その他の加工の種別に関連した設定項目P1を表示しないようにすることができる。よって、ユーザは、特定加工画像G5に対応した加工の種別に関連した設定項目P1の内容を見ることができるため、複数の加工の種別における設定項目P1を全て見る場合と比較して、ユーザの手間を軽減することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、項目表示部119は、特定部114によって特定された加工の種別に関連する設定項目P1(図11参照)以外に、特定部114によって特定されていない加工の種別に関連する設定項目P1を表示してもよい。この場合、特定部114によって特定された加工の種別に関連する設定項目P1に対する値は、ユーザによって変更可能に構成され、特定部114によって特定されていない加工の種別に関連する設定項目P1に対する値は、ユーザによって変更不可能に構成されているとよい。このことによって、ユーザは、特定加工画像G5に対応した加工の種別に関連した設定項目P1に対する値のみを変更することができると共に、他の加工の種別(特定部114によって特定されていない加工の種別)に関連した設定項目P1に対する値を間違えて変更することを防止することができる。
【0096】
本実施形態では、図3に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、変換部116を備えている。変換部116は、図6の変換工程S105において、特定部114によって特定された加工の種別に対応した加工装置10の加工範囲AR1に対応する範囲を撮像画像G1から抽出して、撮像画像G1を変換する。ここでは、変換部116は、図9Aに示す推定撮像画像G3から、加工範囲AR1に対応した範囲を示す抽出撮像画像G3A(図9B参照)を抽出し、抽出撮像画像G3Aを変換後の撮像画像G2(図9B参照)とする。表示部118は、変換部116によって変換された後の撮像画像G2と、特定加工画像G5(図11参照)とを重畳表示する。本実施形態では、ユーザは、任意の位置から支持面26を撮像装置150で撮像するため、撮像画像G1と、加工装置10の加工範囲AR1との間で、縦と横の長さの比率が異なることがあり得る。しかしながら、ここでは、加工範囲AR1に対応する範囲になるように、撮像画像G1が変換されて変換後の撮像画像G2となる。よって、加工範囲AR1に対応した範囲に変換された撮像画像G2と特定加工画像G5を重畳表示することができるため、被加工物5に対して実際にどのような加工がされるかが分かり易い。
【0097】
本実施形態では、図3に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、調整部120を備えている。調整部120は、図6の調整工程S109において、撮像画像G2の被加工物5に対して、ユーザからの所定の指示に基づいて、特定加工画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整した調整画像G6(図12参照)を作成する。このことによって、例えばユーザが所定の指示をして、特定加工画像G5の位置、向き、および、大きさのうちの少なくとも何れかを調整することで、特定加工画像G5の微調整をすることができ、ユーザが望んだ調整画像G6を得易い。
【0098】
本実施形態では、図3に示すように、操作端末100の端末制御装置103は、生成部124を備えている。生成部124は、図6の生成工程S110において、調整画像G6に対応した加工データDT1を生成する。このことによって、調整画像G6に対応した加工データDT1が生成されるため、特定加工画像G5から調整された調整画像G6に基づいて被加工物5を加工することができる。
【0099】
本実施形態では、加工システム1は、加工装置10と、操作端末100とを備えており、本発明の制御装置は、操作端末100の端末制御装置103によって実現されていた。しかしながら、操作端末100の端末制御装置103の各部は、加工装置10に備えられてもよい。例えば、本発明の制御装置は、加工装置10の加工制御装置60によって実現されてもよい。この場合、図6の表示工程S107において、表示部118は、加工装置10に備えられた表示画面(図示せず)に、撮像画像G2と特定加工画像G5とを重畳表示するとよい。図6の項目表示工程S108において、項目表示部119は、加工装置10の上記表示画面に、加工の種別に対応した設定項目P1を表示するとよい。また、本発明の制御装置の各部、すなわち端末制御装置103の各部は、加工装置10および撮像装置150と通信可能に接続されたサーバに備えられてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 加工システム
5 被加工物
10 加工装置
11 プリンタ
12 カッティング装置
13 箔押し装置
14 彫刻機
15 刻印機
25 支持台
26 支持面
100 操作端末
103 端末制御装置(制御装置)
110 記憶部
112 取得部
114 特定部
117 加工画像取得部
118 表示部
119 項目表示部
120 調整部
124 生成部
150 撮像装置
G1、G2 撮像画像
G4 加工画像
G5 特定加工画像
M2 種別マーク
P1 設定項目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12