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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094549
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20240703BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G07F9/00 109
G07F9/10 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211169
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】松本 昭
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044FB03
3E044FB13
3E044FB17
(57)【要約】
【課題】フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能を向上させる。
【解決手段】自動販売機1は、商品を収納する収納庫2aを有する自動販売機本体2と、収納庫2aの前面に設けられるとともに商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口5aが開口された内扉5と、一つの対象搬出口5Xを開閉可能に内扉5に隣り合って取り付けられた複数のフラップ6であって、それぞれが内扉5に形成された軸受部5bに受け入れられる左右方向に延びる軸部6aを自身の上縁に有する、複数のフラップ6と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収納する収納庫を有する自動販売機本体と、
前記収納庫の前面に設けられるとともに、前記商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口が開口された内扉と、
前記一つ又は複数の搬出口のうちの一つの対象搬出口を開閉可能に前記内扉に隣り合って取り付けられた複数のフラップであって、それぞれが前記内扉に形成された軸受部に受け入れられる左右方向に延びる軸部を自身の上縁に有する、複数のフラップと、
を含む、自動販売機。
【請求項2】
前記複数のフラップのうちの対象フラップを、前記軸部を揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度で揺動させるフラップ揺動部を更に含む、請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
商品を収納する収納庫を有する自動販売機本体と、
前記収納庫の前面に設けられるとともに、前記商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口が開口された内扉と、
前記一つ又は複数の搬出口のうちの一つの対象搬出口を開閉可能に前記内扉に取り付けられた一つのフラップであって、前記内扉に形成された軸受部に受け入れられる左右方向に延びる軸部を自身の上縁に有する、一つのフラップと、
前記一つのフラップである対象フラップを、前記軸部を揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度で揺動させるフラップ揺動部と、
を含む、自動販売機。
【請求項4】
前記複数のフラップのうちの少なくとも一つは、自身に対して左右の一方に隣り合うフラップの縁部と重なる重なり縁部を有する、請求項2に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記軸受部は、前記一つの対象搬出口の周縁部に形成され、前記軸部の上下方向についての移動を阻止しつつ前記軸部を回転自在に支持する凹部からなり、
前記フラップ揺動部は、上下に移動可能に支持されるレバー部と、前記レバー部を上下に移動させるレバー駆動部と、前記レバー部の下端と前記対象フラップにおける前記軸部の下方の部位との間を連結する第1連結部と、を有し、前記レバー駆動部により前記レバー部を上方に移動させることで前記対象フラップを開方向に揺動させるように構成されている、請求項2~4のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項6】
前記軸受部は、前記一つの対象搬出口の周縁部に形成され、前記軸部の上下方向についての移動をガイドする上下方向に延びる溝部からなり、
前記フラップ揺動部は、前記一つの対象搬出口の周縁部における前記軸受部の下方の部位に形成され前方に突出した突出部と、上下に移動可能に支持されるレバー部と、前記レバー部を上下に移動させるレバー駆動部と、前記レバー部の下端と前記対象フラップの前記軸部の中間部との間を連結する第2連結部と、を有し、前記レバー駆動部による前記レバー部の上方への移動の際に、前記対象フラップの側縁を前記突出部により押し上げることで、前記対象フラップを開方向に揺動させつつ上方にスライドさせるように構成されている、請求項2~4のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項7】
前記収納庫の内部に設けられ前記商品を前記一つの対象搬出口に向けて搬送する商品搬送部を更に含み、
前記フラップ揺動部は、前記商品搬送部の変位を用いて前記対象フラップを前記開方向に揺動させるように構成されている、請求項2~4のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項8】
前記第1連結部は、前記レバー部の下端に対して相対回転可能に取り付けられる左右方向に延びる上シャフト部と、該上シャフト部から下方に延びるフック部と、を有し、
前記対象フラップにおける前記軸部の下方の部位には、前記フック部が引っ掛けられる下係合具が固定されており、
前記フック部と前記下係合具との間には、前記対象フラップの揺動を許容する隙間が設けられている、
請求項5に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の搬出口に設けられるフラップを有する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機は、一般的に、商品を収納する収納庫及び商品を冷却ないし加熱するための冷却/加熱ユニットを内部に有すると共に断熱材で周囲を囲まれた自動販売機本体と、自動販売機本体の前面開口を開閉する外扉と、収納庫の前面開口を開閉する内扉と、を有している。内扉の下部には、商品の搬出口(払出口とも言う)が開口されている。この搬出口から収納庫内に外気熱が侵入したり、逆に収納庫内の熱(冷気ないし熱気)が外部に逃げたりすることを抑制するために、フラップが搬出口を塞ぐように内扉に取り付けられている。これにより、商品搬出の際のフラップ開放に伴う庫内温度の変動が抑制される。
【0003】
フラップを有する自動販売機の一例として、特許文献1に記載された自動販売機が知られている。特許文献1に記載された自動販売機のフラップ(商品搬出扉)は、収納庫から払い出される商品によって押し開けられ、その後、自重により搬出口を塞いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-102679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比較的に軽く小さい商品(軽量小物商品)についても、自動販売機で販売することが求められることがある。しかし、フラップは商品によって押し開けられるので、軽量小物商品ではフラップ開放に必要な荷重をフラップに作用させることが難しい場合がある。そのため、軽量小物商品の販売を断念せざるを得ない場合があるという課題がある。
【0006】
本発明は、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能を向上させることのできる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、自動販売機は、商品を収納する収納庫を有する自動販売機本体と、前記収納庫の前面に設けられるとともに、前記商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口が開口された内扉と、前記一つ又は複数の搬出口のうちの一つの対象搬出口を開閉可能に前記内扉に隣り合って取り付けられた複数のフラップであって、それぞれが前記内扉に形成された軸受部に受け入れられる左右方向に延びる軸部を自身の上縁に有する、複数のフラップと、を含む、構成とした。
【0008】
本発明の別の側面によると、自動販売機は、商品を収納する収納庫を有する自動販売機本体と、前記収納庫の前面に設けられるとともに、前記商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口が開口された内扉と、前記一つ又は複数の搬出口のうちの一つの対象搬出口を開閉可能に前記内扉に取り付けられた一つのフラップであって、前記内扉に形成された軸受部に受け入れられる左右方向に延びる軸部を自身の上縁に有する、一つのフラップと、前記一つのフラップである対象フラップを、前記軸部を揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度で揺動させるフラップ揺動部と、を含む、構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能を向上させることのできる自動販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る自動販売機の正面側斜視図である。
図2】外扉が開いた状態の自動販売機を示す図である。
図3】自動販売機の内部構造を説明するための図である。
図4】自動販売機のフラップの正面側斜視図である。
図5】内扉の下部の正面側斜視図である。
図6】複数のフラップの配置例を示す図である。
図7】フラップ揺動部の構成を説明するための概念図である。
図8】フラップ揺動部の正面側斜視図である。
図9】フラップの動きを説明するための図である。
図10】フラップの動きを説明するための別の図である。
図11】変形例に係るフラップが取り付けられた内扉の部分拡大斜視図である。
図12】変形例に係るフラップの正面側斜視図である。
図13】変形例に係るフラップの動きを説明するための図である。
図14】変形例に係るフラップの動きを説明するための別の図である。
図15】別の変形例に係るフラップ揺動部を説明するための図である。
図16】別の変形例に係るフラップ揺動部の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る自動販売機の正面側斜視図であり、図2は外扉が開いた状態の自動販売機を示す図であり、図3は自動販売機の内部構造を説明するための図である。なお、本明細書では、左(側)及び右(側)とは、自動販売機の前方から視た時の、左(側)及び右(側)のことをいう。
【0013】
自動販売機1は、各種容器に充填された容器入り飲料や、箱や袋に詰められた菓子などの商品を販売する装置である。販売対象の商品として、多様な形状、重量及び大きさを有する複数の種類の商品が採用され得る。本実施形態では、自動販売機1には、軽く小さい商品(軽量小物商品)、軽く大きい商品(軽量大物商品)、重く小さい商品(重量小物商品)、重く大きい商品(重量大物商品)がそれぞれ区別されて収納されている。
【0014】
図1から図3を参照すると、本実施形態による自動販売機1は、商品を収納する収納庫2aを有する自動販売機本体2と、収納庫2aの内部に設けられる商品搬送部3と、自動販売機本体2の前面の開口を開閉する外扉4と、収納庫2aの前面に設けられるとともに商品を搬出するための一つ又は複数の搬出口5aが開口された内扉5と、一つ又は複数ののうちの一つの対象搬出口5Xを開閉可能に内扉5に隣り合って取り付けられた複数のフラップ6と、を含んで構成されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、搬出口5aは一つであり、フラップ6は二つである。したがって、本実施形態では、一つの搬出口5aである一つの対象搬出口5Xを開閉するためのフラップが左右に隣り合う二つのフラップ6に分割されている。
【0015】
自動販売機本体2は、前面が開口され、上面側、背面側、底面側及び左右両側面側が断熱材によって囲まれた断熱筐体として形成されている。自動販売機本体2の内部は上下に仕切られており、商品を収納する収納庫2aが上側に設けられ、商品を冷却ないし加熱する冷却/加熱ユニット2bが下側に設けられている。図示されていないが、収納庫2aの内部には、商品を収納するとともに払い出し可能に構成された商品収納装置が上側に寄せて設けられている。商品収納装置は、例えば、複数のコラムを有しており、コラム毎に同種の商品が収納されている。冷却/加熱ユニット2bは、空気を冷却ないし加熱し、その冷気流ないし暖気流をファン等により収納庫2a内に循環させて商品を冷却ないし加熱する。商品収納装置、冷却/加熱ユニット2bなどの機器の動作は、例えば、外扉4に設けられる制御部4e(図2参照)からの制御信号に基づいて制御されるように構成されている。
【0016】
商品搬送部3は、収納庫2a内の下部に、つまり、商品収納装置の下方に設けられている。商品搬送部3は、収納庫2aの商品収納装置から払い出された商品を搬出口5a(一つの対象搬出口5X)に向けて搬送する部材又は装置である。商品搬送部3の搬送形式としては、前下がりに傾斜した傾斜板上で商品を転動あるいは滑落(滑動)させるシュータ式ないし無端コンベアにより商品を搬送するコンベア式などの所定の搬送形式が採用される。後述の商品選択ボタン4aの押下等による販売操作が行われると、収納庫2aの商品収納装置の最下部の選択された商品は、制御部4eからの指令に基づいて商品収納装置から下方に落下する。そして、落下した商品は、その後、商品搬送部3を介して前方に搬送され、内扉5に取り付けられたフラップ6を商品自体の荷重によって押し開けて、搬出口5aを通過し、収納庫2aから搬出され得る。シュータ式の商品搬送部3の場合には、商品収納装置から落下した商品は、商品搬送部3としての傾斜板上を転動することで、搬出口5aに向けて搬送される。コンベア式の商品搬送部3の場合には、商品収納装置から落下した商品は、商品搬送部3の無端コンベア上に載置された状態で搬出口5aに向けて搬送され、その後、内扉5に取り付けられたフラップ6を商品自体の荷重によって押し開けて、搬出口5aを通過し、収納庫2aから搬出され得る。
【0017】
外扉4は、自動販売機1の前側の扉であり、自動販売機本体2の幅方向一端側(図では左側)に回転自在に取付けられている。外扉4の前面には商品選択ボタン4a、硬貨投入口4b、硬貨返却口4c、紙幣投入口4d等が設けられている。外扉4の下部には、フラップ6を押し開けて搬出された商品を受け、商品購入者が商品を取り出し可能に構成された商品受部10が設けられている。なお、商品受部10及びその周辺の構造については、後に詳述する。
【0018】
内扉5は、自動販売機本体2内の収納庫2aの前面を開閉する扉であり、自動販売機本体2の断熱筐体の一部を構成している。商品の搬出口5aは内扉5の下部に開口されている。搬出口5aは、収納庫2aから商品受部10への搬出経路を構成する。搬出口5aは、左右方向に長い一つの矩形開口として、内扉5に形成されている。収納庫2aの商品収納装置から払い出された商品は、商品搬送部3及び搬出口5aを介して商品受部10に搬出されるようになっている。
【0019】
ところで、例えば、従来の自動販売機のように一つの搬出口が一つのフラップだけで開閉される場合に、軽く小さい商品(軽量小物商品)の荷重だけで、フラップを開放させることが難しい場合がある。しかし、フラップは庫内温度変化を抑制するために必要な部材である。この点、本実施形態に係る自動販売機1では、一つの搬出口5aである対象搬出口5Xを開閉するためのフラップが左右に隣り合う複数(ここでは二つ)のフラップ6に分割されているので、フラップ開放に必要な商品荷重の低減が図られている。したがって、自動販売機1は、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能の向上を図ることができる。
【0020】
具体的には、複数のフラップ6は、それぞれが内扉5に形成された軸受部5b(図3等参照)に受け入れられる左右方向に延びる軸部6aを自身の上縁に有する。特に限定されないが、本実施形態では、前述のように、フラップ6は二つ(二枚)である。二つのフラップ6は、互いに左右方向に隣り合うように配置されており、一つの搬出口5aは、二つのフラップ6の全体で閉止されるようになっている。
【0021】
各フラップ6の後方に、商品搬送部3がそれぞれ配置されている。つまり、商品搬送部3は、フラップ6毎に設けられている。二つの商品搬送部3は、左右に隣り合うように収納庫2a内の下部に設けられている。そして、収納庫2aの前述の複数のコラムは、各商品搬送部3の上方において前後方向に並ぶように配置されている。したがって、左側の複数のコラムに収納された商品(例えば、軽量小物商品)は、左側の商品搬送部3により左側のフラップ6に向けて搬送され、右側の複数のコラムに収納された商品(例えば、軽量小物商品)は、右側の商品搬送部3により右側のフラップ6に向けて搬送される。そして、各フラップ6は、自身の後方に配置された商品搬送部3によって搬出口5aへと搬送された商品によって押し開けられ、商品は搬出口5aを通過して商品受部10へと搬出され得る。フラップ6及び軸受部5bの形状などについては、後に詳述する。なお、本実施形態では、商品搬送部3はフラップ6毎に設けられているが、これに限定されるものではない。商品搬送部3はフラップ6毎に設けられなくてもよく、本実施形態のように搬出口5aが一つの場合には、例えば、一つの搬出口5aの左右方向の幅に対応する幅を有する一つ(一台)の商品搬送部3が設けられてもよい。
【0022】
次に、商品受部10及びその周辺の構造について、主に図3を参照して詳述する。
【0023】
商品受部10は、商品購入者が商品を取り出し可能に外扉4の下部に開口された商品取出口11と、フラップ6の不正な開放を規制するための防盗板12と、商品受容部材13とを有している。また、商品取出口11には、この開口を塞ぐ外扉側フラップ14が取付けられている。自動販売機本体2内に収納された商品は、商品搬送部3、搬出口5a、商品受容部材13及び商品取出口11を経由して、外部に搬出される。
【0024】
商品取出口11は、搬出口5aの前方に配置され、左右方向に長い一つの矩形開口として、外扉4に形成されている。商品取出口11は、搬出口5aより幅広に開口されている。商品取出口11の背面側の上方には、前下がりに傾斜した上面板15が配置されている。
【0025】
防盗板12は、矩形の金属製の板状部材からなり、搬出口5aと商品取出口11との間に配置されている。防盗板12は、上面板15の下面に連結軸(図示省略)を介して前後方向に揺動可能に取り付けられている。
【0026】
商品受容部材13は、外扉4の背面における商品取出口11の下方部分に配置され、搬出口5aを介して収納庫2aから搬出された商品を受容可能に形成されている。商品受容部材13は、上方開口の浅皿状をなしており、外扉4に固定されている。
【0027】
外扉側フラップ14は、射出成形により形成された合成樹脂製の透明板からなり、外扉4の商品取出口11の上縁に揺動自在に取り付けられており、前後方向に揺動可能に構成されている。外扉側フラップ14は、上端部を揺動中心として、商品購入者によって前方に揺動されることによって商品取出口11を開放し、自重によって商品取出口11を閉止する。
【0028】
次に、フラップ6及び軸受部5bの形状などについて、図3から図6を参照し詳述する。図4は内扉5の下部の正面側斜視図であり、図5はフラップ6の正面側斜視図である。図6は複数のフラップ6の配置例を示す図である。
【0029】
図3及び図4を参照すると、フラップ6は、内扉5における搬出口5a(一つの対象搬出口5X)の周縁部のうちの上縁に軸受部5bを介して揺動自在に取り付けられている。フラップ6は、例えば、ポリカーボネートからなり、射出成形により形成されている。
【0030】
本実施形態では、軸受部5bは、搬出口5aの周縁部に形成され、軸部6aの上下方向についての移動を阻止しつつ軸部6aを回転自在に支持する凹部からなる。具体的には、軸受部5bは、搬出口5aの周縁部のうちの上縁に、一つのフラップ6に対して二つずつ設けられている。前述のように、フラップは二つであるため、四つの軸受部5bが設けられている。
【0031】
図5及び図6を参照すると、フラップ6は、平面視で概ね矩形状の外形を有している。フラップ6の上下方向の長さは搬出口5aの開口高さに合わせられており、フラップ6の左右方向(幅方向)の長さは搬出口5aの開口幅より小さい長さに設定されている。
【0032】
フラップ6の上縁は、左右方向に延びる概ね円柱状に形成されており、フラップ6の上縁全体がフラップ6の軸部6aを構成している。軸部6aの両端はそれぞれ幅方向外側に突出している。本実施形態では、軸部6aの各端部が、対応する軸受部5bに受け入れられている。また、フラップ6の中央部は前方に膨らむように形成されている。また、フラップ6は中空構造を有しており、フラップ重量の軽量化及び断熱性能の向上が図られている。
【0033】
ところで、前述のように、フラップ分割構造によってフラップ開放に必要な商品荷重の低減が図られ、さらに、中空構造によってフラップ6についてフラップ重量の軽量化が図られている。しかし、これらの構造を有していても、例えば軽く小さい商品(軽量小物商品)の荷重だけで、フラップ6を開放させることが難しい場合もある。そこで、本実施形態に係る自動販売機1は、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、少なくとも軽量小物商品についての搬出性能を更に向上させるべく、フラップ揺動部7を含むとともに以下で説明する構成を有する。
【0034】
図7はフラップ揺動部7の構成を説明するための概念図であり、図8はフラップ揺動部7の正面側斜視図である。なお、図8では、後述するカバー71bは取り外されており、その外形が破線で示されている。自動販売機1は搬出性能を向上すべくフラップ揺動部7をさらに含んでいる。
【0035】
フラップ揺動部7は、複数のフラップ6のうちの対象フラップ6Xを、軸部6aを揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度θcで揺動させるように構成されている。対象フラップ6Xは、複数のフラップ6のうちの少なくとも一つである。本実施形態では、フラップ6は二つであり、対象フラップ6Xは二つである。つまり、各フラップ6が対象フラップ6Xとして設定されている。そして、本実施形態では、二つの対象フラップ6Xに対して、一つのフラップ揺動部7が設けられている。
【0036】
閉姿勢とは、対象フラップ6Xの下端が搬出口5aの周縁部のうちの下縁に当接しているときの対象フラップ6Xの姿勢である。対象フラップ6Xは閉姿勢で軸受部5bの下方で垂直に延びるように吊り下げられている。換言すると、閉姿勢は、軸受部5bの下方で垂直に延びるように吊り下げられた状態の対象フラップ6Xの姿勢である。そして、フラップ揺動部7は、閉姿勢(閉位置)にある対象フラップ6Xを基準とし、対象フラップ6Xを閉姿勢から前方(開方向)へ所定の低揺動角度θcで揺動させる。
【0037】
所定の低揺動角度θcは、想定される販売対象の商品のうちの最大の商品を、搬出口5aを通じて排出可能な角度より小さい角度である。つまり、所定の低揺動角度θcは、閉姿勢にある対象フラップ6Xとフラップ揺動部7により揺動された後の対象フラップ6Xとのなす角度(内角)である。特に限定されるものではないが、より具体的には、所定の低揺動角度θcは、20°から30°の範囲の所定角度(例えば、25°程度)に設定されている。
【0038】
フラップ揺動部7は、非作動時及び作動時のいずれにおいても、閉姿勢又は低揺動角度θcに応じた低開度姿勢にあるフラップ6の商品による開方向への揺動を許容するように構成されている。つまり、フラップ揺動部7により揺動されず閉姿勢にある対象フラップ6Xは、商品の荷重による前方への揺動を許容され、フラップ揺動部7により揺動されて低開度姿勢にある対象フラップ6Xは、更に、商品の荷重による前方への揺動を許容されている。このように、対象フラップ6Xは、前方への揺動について、許容された状態で、フラップ揺動部7に係合(連結)されている。
【0039】
本実施形態では、フラップ揺動部7は、揺動部本体ケース71と、レバー部72と、レバー駆動部73と、第1連結部74と、を有し、レバー駆動部73によりレバー部72を上方に移動させることで対象フラップ6Xを開方向に揺動させるように構成されている。
【0040】
揺動部本体ケース71は、下面が開口された概ね箱状に形成されており、内扉5の正面における搬出口5aの上部中央に固定されている。揺動部本体ケース71の内部には、レバー部72の上部、レバー駆動部73などの機器が配置されている。揺動部本体ケース71は、レバー部72を上下に移動可能に支持するガイド溝71a1を有するベース板71aと、下面及び後面が開口されたカバー71bと、を有する。ベース板71aとカバー71bとが組み合わされることで、下面開口の揺動部本体ケース71が構成されている。
【0041】
レバー部72は、上下に移動可能に支持される部材である。レバー部72は、上下に延びる板状のレバー本体72aと、レバー本体72aの裏面に沿って上下方向に延びガイド溝71a1に嵌まり込む凸条片72bと、レバー本体72aの上部両側面から突出した位置検知用片72cと、レバー本体72aの前面に設けられラックギアを有する上下方向に延びたラック72dと、を有し、これらが一体に形成されている。レバー部72のレバー本体72aの下側の側部は、ベース板71aに固定された軸受固定板71cとベース板71aとの間に位置している。
【0042】
レバー駆動部73は、レバー部72を上下に移動させる駆動部である。特に限定されるものでは、レバー駆動部73は、ラックアンドピニオン機構によりレバー部72を上下に移動させる。レバー駆動部73は、減速機構が一体化されたギヤードモータである電動モータ731と、電動モータ731の出力軸に取り付けられラック72dに噛み合うピニオンギア732と、を有する。電動モータ731の本体は、ベース板71aに固定されたモータ取付板71dに取り付けられている。電動モータ731の出力軸は、軸受固定板71cに嵌め込まれた軸受733によって支持されている。
【0043】
レバー駆動部73は、制御部4eからの駆動指令に応じてピニオンギア732を回転させることで、ラック72dを介してレバー部72を上下に移動させる。ベース板71aには、レバー部72の位置を検知するマイクロスイッチ式の上検知センサ75a及び下検知センサ75bが設けられている。上検知センサ75aは下検知センサ75bよりも上方に位置している。各検知センサ75a、75bのスイッチが対応する位置検知用片72cにより押圧されると、検知信号が制御部4eに入力され、制御部4eからの駆動指令が解除される。これにより、レバー部72の上側移動端及び下側移動端が規定されている。
【0044】
第1連結部74は、レバー部72の下端と対象フラップ6Xにおける軸部6aの下方の部位との間を連結する部材である。第1連結部74のレバー部側連結部分はレバー部72に対して相対回転可能に接続され、第1連結部74の対象フラップ側連結部分は対象フラップ6Xに対して少なくとも相対回転可能に接続されている。本実施形態では、フラップ揺動部7は、二つの対象フラップ6Xを低コストに揺動させるべく、一つのレバー部72に対して二つの第1連結部74を有している。一方の第1連結部74は一方の対象フラップ6Xとレバー部72の下端との間を連結し、他方の第1連結部74は他方の対象フラップ6Xとレバー部72の下端との間を連結している。
【0045】
本実施形態では、第1連結部74は、レバー部72の下端に対して相対回転可能に取り付けられる左右方向に延びる上シャフト部74aと、上シャフト部74aから下方に延びるフック部74bと、を有している。第1連結部74は、例えば、金属製の丸棒を屈曲させて形成されたシャフトからなる。
【0046】
本実施形態では、対象フラップ6Xにおける軸部6aの下方の部位には、フック部74bが引っ掛けられる下係合具74cが固定されている。そして、レバー部72の下端には、上シャフト部74aを回動可能に支持する上支持具74dが、固定されている。第1連結部74は、下係合具74c及び上支持具74dを介してレバー部72と対象フラップ6Xとの間を連結している。下係合具74cは、ハット状断面を有して左右方向に延びた金属製ブラケットであり、その鍔部が対象フラップ6Xに固定されている。そして、下係合具74cと対象フラップ6Xとによりに、フック部74bの丸棒の断面積より大きい開口面積を有するフック挿入孔が構成されている。このフック挿入孔に、フック部74bはフック挿入孔に挿入されて下係合具74cに引っ掛けられている。この状態で、フック部74bと下係合具74cとの間には、対象フラップ6Xの揺動を許容する隙間が設けられている。
【0047】
図5及び図6に戻って、本実施形態では、複数のフラップ6のうちの少なくとも一つは、自身に対して左右の一方に隣り合うフラップ6の縁部と重なる重なり縁部6bを有する。本実施形態では、二つのフラップ6(つまり、二つの対象フラップ6X)の両方が、重なり縁部6bを有している。具体的には、フラップ6の周縁のうちの上縁以外の部分は鍔状に形成されている。そして、特に限定されるものではないが、図では、フラップ6の正面視で左縁の全体が、重なり縁部6bとして形成されている。重なり縁部6bは、左のフラップ6の平らな右縁の全体を前方から覆うように屈曲している。
【0048】
次に、フラップ6(対象フラップ6X)の動きについて、説明する。
【0049】
図9及び図10はフラップ6(対象フラップ6X)の動きを説明するための図である。図9は側方から視た概念図であり、図10は内扉5の下部の正面側斜視図でもある。図9の(a)、(b)、(c)及び(d)はそれぞれ図10の(a)、(b)、(c)及び(d)に対応している。
【0050】
フラップ揺動部7の動作は、制御部4eにより制御されている。例えば、商品選択ボタン4aの押下等による販売操作が行われると、制御部4eはフラップ揺動部7に駆動指令を出力してフラップ揺動部7を駆動させる。本実施形態では、一つのフラップ揺動部7は、二つの対象フラップ6Xを同時に揺動させる。例えば、選択された商品が収納庫2aにおける左右いずれのコラムに収納されているかに拘わらず、二つの対象フラップ6Xが揺動される。しかし、対象フラップ6Xは低開度で開放されるので、収納庫2a内の冷気ないし熱気の外部への漏れは抑制されている。
【0051】
図9(a)及び図10(a)に示されるように、フラップ揺動部7は、閉姿勢にある各対象フラップ6Xを所定の低揺動角度θcで開方向に強制的に揺動させる。その結果、商品が搬出口5aに到達する前に、搬出口5aが低開度で開放される。この低開度開放は、所定時間の間だけ維持される。そして、対象フラップ6Xが少し開いた状態で、商品が搬出口5aに到達する。この時、選択された商品が低開度の対象フラップ6Xに接触せずに低開度の搬出口5aを通過できる程度の大きさの商品である場合には、対象フラップ6Xに接触することなく搬出口5aを通過して収納庫2aから搬出される。したがって、商品の重量が商品のみで閉姿勢の対象フラップ6Xを押し開けることが難しいほど軽い場合でも、該商品は搬出口5aから確実に搬出されるようになっている。
【0052】
一方、選択された商品が、低開度で開いた対象フラップ6Xに接触し得る大きさの商品の場合には、商品は搬出口5aを通過可能な角度まで対象フラップ6Xを押し開ける必要がある。
【0053】
例えば、低開度の対象フラップ6Xに接触し得る商品が収納庫2aの右側のコラムに収納されている場合には、この商品は、フラップ揺動部7により低開度で開かれた右側の対象フラップ6Xを、図9(b)及び図10(b)に示されるように、さらに押し開ける必要がある。この場合でも、商品と低開度で開かれた対象フラップ6Xとの接触ポイントは閉姿勢の場合(従来)の接触ポイントよりもフラップ下端に近づき、対象フラップ6Xへの荷重作用点が軸部6aから遠ざかるので、商品から対象フラップ6Xに作用する回転モーメントが従来よりも増加する。その結果、選択された商品の重量が商品のみで閉姿勢の対象フラップ6Xを押し開けることが難しいほど軽い場合でも、該商品は搬出口5aから確実に搬出されるようになっている。このとき、左側の対象フラップ6Xは低開度に維持されている。したがって、一つのフラップ揺動部7で2つのフラップを駆動する構成において、商品が通過しない一方(左側)の開口領域については低開度に維持され、収納庫2a内の冷気ないし熱気の外部への漏れは抑制されている。
【0054】
また、低開度の対象フラップ6Xに接触し得る商品が収納庫2aの左側のコラムに収納されている場合には、この商品は、フラップ揺動部7より低開度で開かれた左側の対象フラップ6Xを、図9(c)及び図10(c)に示されるように、さらに押し開ける必要がある。この場合でも、対象フラップ6Xに対する接触ポイントがフラップ下端に近づくので、選択された商品の重量が商品のみで閉姿勢の対象フラップ6Xを押し開けることが難しいほど軽い場合でも、該商品は左側の対象フラップ6Xを押し開けて搬出口5aから確実に搬出される。但し、左側の対象フラップ6Xの右縁は、右側の対象フラップ6Xの左縁の重なり縁部6bの後方に位置しているので、右側の対象フラップ6Xは左側の対象フラップ6Xの右縁によって前方にさらに押し開けられている。
【0055】
図9(a)~図9(c)及び図10(a)~図10(c)に示された低開度開放は、所定時間の間だけ維持され、選択された商品は搬出口5aを確実に通過して搬出される。その後、各対象フラップ6Xは、フラップ揺動部7によって閉方向に揺動されて、図7に実線で示された閉姿勢に戻る。以上のように、自動販売機1は、軽量小物商品、軽量大物商品、重量小物商品、重量大物商品のいずれについても、搬出口5aから搬出させることができる。
【0056】
なお、商品のみで対象フラップ6Xを押し開けることができるか否かについての情報は、例えば、商品種別毎に制御部4eに予め入力されている。したがって、選択された商品が当該商品のみで対象フラップ6Xを押し開けることができる場合(例えば、重量小物商品、重量大物商品の場合)には、制御部4eはフラップ揺動部7に駆動指令を出力しなくてもよい。この場でも、図3に示されるように、フラップ閉姿勢において、フック部74bと下係合具74cとの間には、対象フラップ6Xの揺動を許容する隙間が設けられ、閉姿勢にある対象フラップ6Xの前方への揺動が許容されているので、対象フラップ6Xは図3の二点鎖線で示されるように商品により前方に押し開けられる。この場合、対象フラップ6Xは、商品の大きさに応じた開度で商品によって押し開かれて、搬出口5aから排出される。
【0057】
本実施形態に係る自動販売機1によれば、以下のような効果が得られる。
【0058】
本実施形態では、自動販売機1は、一つの対象搬出口5X(搬出口5a)を開閉可能に内扉5に隣り合って取り付けられた複数のフラップ6であって、それぞれが内扉5に形成された軸受部5bに受け入れられる左右方向に延びる軸部6aを自身の上縁に有する、複数のフラップ6を含んで構成されている。これにより、一つの対象搬出口5Xを開閉するためのフラップが左右に隣り合う複数(ここでは二つ)のフラップ6に分割されており、フラップ開放に必要な商品荷重の低減が図られている。したがって、自動販売機1は、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能の向上を図ることができる。
【0059】
本実施形態では、複数のフラップ6のうちの対象フラップ6Xは、フラップ揺動部7によって、軸部6aを揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度θcで揺動される。したがって、自動販売機1は、低揺動角度θcが適切に設定されるだけで、フラップ開放に伴う庫内温度変化を抑制しつつ、軽量小物商品についての搬出性能の更なる向上を図ることができる。
【0060】
また、フラップ揺動部7は、非作動時(停止中)及び作動時(駆動中)のいずれにおいても、閉姿勢にある対象フラップ6Xの商品の荷重による開方向への揺動を許容するように、対象フラップ6Xに係合(連結)されている。これにより、前述のように、自動販売機1は、軽量小物商品、軽量大物商品、重量小物商品、重量大物商品といった多様な重量及び大きさの商品を販売することができ、販売商品のバリエーションが広がる。
【0061】
本実施形態では、軸受部5bは、搬出口5aの周縁部に形成され、軸部6aの上下方向についての移動を阻止しつつ軸部6aを回転自在に支持する凹部からなり、フラップ揺動部7は、上下に移動可能に支持されるレバー部72と、レバー部72を上下に移動させるレバー駆動部73と、レバー部72の下端と対象フラップ6Xにおける軸部6aの下方の部位との間を連結する第1連結部74と、を有し、レバー駆動部73によりレバー部72を上方に移動させることで対象フラップ6Xを開方向に揺動させるように構成されている。これにより、対象フラップ6Xの軸部6aが確実に支持された状態で、対象フラップ6Xが確実且つ安定して前方に揺動され、軽量商品の搬出性能の向上が確実に向上する。
【0062】
本実施形態では、第1連結部74のフック部74bと下係合具74cとの間には、対象フラップ6Xの揺動を許容する隙間が設けられている。これにより、搬出可能な商品の大きさの自由度が容易に向上される。
【0063】
本実施形態では、複数のフラップ6のうちの少なくとも一つは、自身に対して左右の一方に隣り合うフラップ6の縁部と重なる重なり縁部6bを有する。これにより、左のフラップ6と右のフラップ6との間の気密性が向上され、待機時における収納庫2a内の冷気ないし熱気の外部への漏れが抑制される。
【0064】
なお、対象フラップ6Xは、二つに限らず、一つでもよい。また、フラップ6は、二つに限らず、一つでもよいし、三つ以上でもよい。フラップ6が一つの場合には、対象フラップ6Xは一つである。そして、フラップ6が三つ以上の場合には、対象フラップ6Xは一つでもよいし二つ以上でもよい。複数のフラップ6のうちの対象フラップ6X以外のフラップ6は、商品の荷重だけで押し開けられるので、このフラップ6に対応する位置に配置された商品収納装置には、重量小物商品や重量大物商品などが収納される。
【0065】
図11から図14は、フラップ6及び対象フラップ6Xが一つの場合の変形例の一例が示されている。図11は対象フラップ6Xが取り付けられた内扉5の部分拡大斜視図であり、図12は対象フラップ6Xの正面側斜視図であり、図13及び図14は対象フラップ6Xの動きを説明するための図である。この変形例(以下、変形例1という)では、フラップ個数、フラップ形状、軸受部5bの形状、フラップ揺動部7の構成が図1から図10に示された実施形態に係る自動販売機1の構成と異なる。この変形例1について、以下では、主に、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0066】
変形例1では、図11を参照すると、フラップ揺動部7により揺動される対象フラップ6Xは、一つのフラップ6である。この場合、軸受部5bは、例えば、搬出口5a(一つの対象搬出口5X)の周縁部に形成され、軸部6aの上下方向についての移動をガイドする上下方向に延びる溝部からなる。具体的には、軸受部5bは、内扉5の搬出口5aの周縁部のうちの上側左角部及び上側右角部において開口幅方向中心側に開放された上下方向に延びた溝部からなる。そして、図11及び図12を参照すると、対象フラップ6Xは、閉姿勢で搬出口5aの周縁部に前方から当接可能な左右方向の長さ(幅)を有しており、幅広に形成されている。例えば、一つの対象フラップ6Xの後方に、一つの商品搬送部3が配置されている。
【0067】
図11及び図13の左図を参照すると、対象フラップ6Xの上縁の軸部6aの各端部は、対応する軸受部5bに受け入れられ、フラップ閉姿勢において、軸受部5bの溝下端に当接し、その上方に隙間があけられている。対象フラップ6Xの周縁のうちの上縁以外の部分は、平らに形成されている。
【0068】
図11から図13を参照すると、対象フラップ6Xの周縁のうちの右側縁の上部及び左側縁の上部には、後述する突出部76に当接する突出片6cが形成されている。そして、対象フラップ6Xの軸部6aの中間部(図では中央部)の下部には、後述する第2連結部77のフック状に形成された下部77aが挿入されるフック挿入口6dが開口されている。
【0069】
そして、フラップ揺動部7は、前述の揺動部本体ケース71、レバー部72及びレバー駆動部73に加えて、突出部76を有する。そして、フラップ揺動部7は、第1連結部74に替えて第2連結部77を有する。フラップ揺動部7は、レバー駆動部73によるレバー部72の上方への移動の際に、対象フラップ6Xの側縁(突出片6c)を突出部76により押し上げることで、対象フラップ6Xを開方向に揺動させつつ上方にスライドさせるように構成されている。
【0070】
突出部76は、搬出口5aの周縁部における軸受部5bの下方の部位に形成され前方に突出している。突出部76の下方を臨む面は、上方に向かうにしたがって搬出口5aの周縁部から遠ざかるように傾斜している。
【0071】
第2連結部77は、レバー部72の下端と対象フラップ6Xの軸部6aの中間部との間を連結する部材である。第2連結部77のレバー部側連結部分はレバー部72に対して相対移動不能に接続され、第2連結部77の対象フラップ側連結部分は対象フラップ6Xに対して相対回転可能に接続されている。
【0072】
具体的には、第2連結部77は、例えば、金属プレートからなり、概ねクランク状に前後方向に屈曲され、その下部77aはフック状にさらに屈曲している。第2連結部77の上端は、レバー部72の下端に対して相対移動不能に直接固定されている。一方、第2連結部77のフック状の下部77aは、フック挿入口6dに挿入され、軸部6aの中間部を回動可能に下方から支持する。つまり、対象フラップ6Xの軸部6aは、その両端が上下方向に延びる溝部からなる軸受部5bに受け入れられた状態で、その中間部が第2連結部77に対して第2連結部77のフック状の下部77aによって相対回転可能に吊り下げられている。
【0073】
変形例1では、対象フラップ6Xが閉姿勢にあるとき(図11及び図13の左図)に、フラップ揺動部7がレバー駆動部73によって一つの対象フラップ6Xを揺動させる。これにより、商品が幅広の商品である場合であっても、幅広に形成された一つの対象フラップ6Xが揺動されることで、幅広商品の搬出が確実になされる。フラップ揺動部7は、幅広な対象フラップ6Xの軸部6aの中間部に連結されたレバー部72を上方に移動させる。このとき、一つの対象フラップ6Xの軸部6aの各端部は、軸受部5bによって前後方向への移動を拘束されつつ、軸受部5bの溝内壁に沿って上方へ移動する。フラップ揺動部7は、レバー部72の上方への移動の際に際に、図13の右図及び図14に示されるように、対象フラップ6Xの側縁(突出片6c)を突出部76により押し上げることで、対象フラップ6Xを開方向に揺動させつつ上方にスライドさせる。これにより、対象フラップ6Xは、フラップ揺動部7によって閉姿勢から少し上方にスライドされつつ軸部6aを揺動中心として閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度θcで揺動され、低開度に開放される。その結果、幅広な商品についても搬出可能な商品の重量及び大きさの自由度が容易に向上される。
【0074】
本実施形態及び変形例1では、フラップ揺動部7は、レバー部72を上下に移動させることで対象フラップ6Xを揺動させ、且つ、レバー部72を移動させるための駆動源として電動モータ731(図8参照)を有しているが、これに限定されるものではない。フラップ揺動部7は、図15に示されるように、商品搬送部3の変位を用いて対象フラップ6Xを開方向に揺動させるように構成されてもよい。図15及び図16は、別の変形例(以下、変形例2と言う)に係るフラップ揺動部7を説明するための図である。図15では対象フラップ6Xは閉姿勢にあり、図16では対象フラップ6Xは前方に開放されている。
【0075】
変形例2では、図15及び図16を参照すると、商品搬送部3として、例えば、無端コンベアにより商品を搬送するコンベア式の装置が採用される。コンベア式の商品搬送部3は、前側回転部材31及び後側回転部材32に巻き掛けられた無端状部材33を有し、無端状部材33の上側走行部33aを前方に向かって走行させることにより、上側走行部33aに載置された商品を搬出口5aに向けて搬送するように構成されている。この場合、フラップ揺動部7は、無端状部材33の変位を用いて対象フラップ6Xを開方向に揺動するように構成されている。これにより、対象フラップ6Xを揺動させるための専用の動力源が不要になり、低コスト化及び省スペース化が図られる。
【0076】
具体的には、変形例2では、フラップ揺動部7は、複数の押圧片78と、押圧ロッド79と、戻しばね80と、ロッド支持部81と、を有する。複数の押圧片78は、無端状部材33に互いに間隔をあけて連結されている。
【0077】
押圧ロッド79は、無端状部材33の変位を用いて対象フラップ6Xを揺動させるために対象フラップ6Xを押圧するロッドである。押圧ロッド79は、戻しばね80により前後方向について後方(フラップ閉方向)に付勢された状態で、前側回転部材31の上側近傍位置で、ロッド支持部81を介して前後方向に進退可能に支持されている。押圧ロッド79は、図16に示されるように、前側回転部材31の上方において、複数の押圧片78のうちの前側回転部材31の上方を移動する最前列押圧片78aにより押圧されることで、対象フラップ6Xの裏面下部をロッド先端部79aにより前方に押圧して対象フラップ6Xを開方向に揺動させる。これにより、フラップ揺動部7は、商品搬送部3の変位を用いて、対象フラップ6Xを、軸部6aを揺動中心として、閉姿勢から開方向に所定の低揺動角度θcで揺動させる。そして、押圧ロッド79は、最前列押圧片78aによる押圧が解除されることにより、戻しばね80の付勢力によって後退して、対象フラップ6Xをその自重により閉方向に揺動する。そして、対象フラップ6Xは図15のように閉姿勢に戻る。なお、図示されていないが、ロータリー式のダンパが例えば軸部6aに一体に設けられている。これにより、戻しばね80による対象フラップ6Xの閉方向の揺動速度が低減される。
【0078】
なお、本実施形態及び上記変形例1及び変形例2において、1種類のフラップ揺動部7が設けられているが、これに限定されるものではなく、2種類以上のフラップ揺動部7が設けられもよい。例えば、フラップ6が四つの場合を一例に挙げると、中央寄りの二つのフラップ6が図1から図10で示されたフラップ揺動部7により揺動され、両側の二つのフラップ6がそれぞれ変形例2のコンベア式の商品搬送部3の変位を用いてフラップ6を揺動させるフラップ揺動部7により揺動されてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、内扉5には、一つの搬出口5aが開口されているが、これに限定されるものではなく、複数の搬出口5aが開口されてもよい。この場合、複数の搬出口5aのうちのいずれかが、一つ又は複数のフラップ6(対象フラップ6X)により開閉される一つの対象搬出口5Xとして設定される。そして、複数の搬出口5aのうちの対象搬出口5X以外の搬出口5aに対しては、例えば、フラップ揺動部7を備えず商品荷重だけでフラップを開放させる従来構成が適用されてもよい。具体的には、自動販売機1が、各種容器(缶、ペットボトル、紙パックなど)に充填された容器入り飲料を商品として販売する飲料区画と、箱や袋に詰められた菓子(箱物、袋物)などの商品を販売する物品区画とを有し、飲料区画では商品荷重だけでフラップ6を開放させることができるが、物品区画では商品荷重だけでフラップ6を開放させることが難しい場合がある。このような飲料区画と物品区画とを有する自動販売機1では、複数の搬出口5aのうちの物品区画に対応する一つの搬出口5aは一つ又は複数のフラップ6(対象フラップ6X)により開閉される一つの対象搬出口5Xとして設定され、複数の搬出口5aのうちの飲料区画に対応する搬出口5a(対象搬出口5X以外の搬出口5a)に対しては商品荷重だけでフラップ6を開放させる従来構成が適用される。
【0080】
以上、本発明の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…自動販売機、2…自動販売機本体、2a…収納庫、3…商品搬送部、5…内扉、5X…対象搬出口、5a…搬出口、5b…軸受部、6…フラップ、6X…対象フラップ、6a…軸部、6b…重なり縁部、7…フラップ揺動部、72…レバー部、73…レバー駆動部、74…第1連結部、74a…上シャフト部、74b…フック部、74c…下係合具、76…突出部、77…第2連結部、θc…所定の低揺動角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16