(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094557
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電源装置およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240703BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240703BHJP
【FI】
H05K7/14 S
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211182
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 克文
【テーマコード(参考)】
5E348
5H770
【Fターム(参考)】
5E348AA02
5E348EE01
5E348EF04
5E348EF22
5H770AA28
5H770QA27
5H770QA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取付性が良好な電源装置及びその取付方法を提供する。
【解決手段】電力変換器を夫々が収納する複数の対候性に優れる金属製のユニット筐体と、複数のユニット筐体が取り付けられる配線ボード10と、を備える電源装置において、配線ボード10は、各ユニット筐体の電力変換器に電気的に接続されているコンタクト部材が電気的に接続されるコンタクトを有し、縦方向に長い受けコネクタ18と、コネクタ18が配置されている第二回路基板16と、入力される交流電力を複数のユニット筐体に向けて供給する交流電力配線21と、分電器19及び出力分岐基板22を有する分電部23と、各ユニット筐体からの生成電力を分電部23に供給する生成電力配線17と、を備える。配線ボード10にはさらに、交流電力を取り入れるための電源ポート14と、分電部23で分電された生成電力を複数の負荷に向けて出力するための複数の接続ポート15と、が設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器をそれぞれが収納する複数のユニット筐体と、
前記複数のユニット筐体が取り付けられる配線ボードであって、入力される交流電力を前記複数のユニット筐体に向けて供給する交流電力配線と、分電部と、各ユニット筐体からの生成電力を前記分電部に供給する生成電力配線と、を有する配線ボードと、を備え、
前記配線ボードに、前記交流電力を取り入れるための電源ポートと、前記分電部で分電された生成電力を複数の負荷に向けて出力するための複数の接続ポートと、が設けられる
電源装置。
【請求項2】
前記複数のユニット筐体それぞれの背面が、前記配線ボードの前面に取り付けられ、
前記ユニット筐体の背面に設けられた第一開口と、前記配線ボードの前面に設けられて前記第一開口に対向する第二開口とを通じて、前記交流電力が前記電力変換器に供給され、前記電力変換器からの生成電力が前記生成電力配線に供給される
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記ユニット筐体に第一回路基板が収納され、前記第一回路基板の端部に支持されたコンタクト部材が前記第一開口から前記配線ボードに向かって突出する
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記配線ボードの内部空間の、前記複数のユニット筐体が前方で対向する箇所に、第二回路基板が収納され、
前記第二回路基板の面方向は、前記複数のユニット筐体が並ぶ方向とほぼ平行である
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前面視において、前記分電部は、前記複数のユニット筐体からシフトした位置に設けられる
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項6】
前記分電部は、前記ユニット筐体の背面より前方に位置する
請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
それぞれが電力変換器を収納する複数のユニット筐体を配線ボードに取り付ける、電源装置の組立方法であって、
それぞれの前記ユニット筐体の背面を、前記配線ボードの前面に取り付けることで前記電力変換器から延びるコンタクト部材を前記配線ボードの配線に電気的に接続し、
前記配線ボードの、前面視において前記複数のユニット筐体からシフトした位置に設けられる分電部に、前記配線ボードの外部へ延びる配線を接続する
組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電源装置およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、取付性、メンテナンス性が良好な電源装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話基地局には、交流入力電力を整流した直流電力を、無線機等の負荷へ供給する直流電源装置が用いられる。直流電源装置を電柱やビル屋上などの屋外かつ高所に取り付ける場合、所定の防水性・防塵性を確保しつつ取付性が良好であることが求められる。また、近年、こうした電源装置から、より多くの(多種類の)負荷に電力を供給することが求められる傾向にある。
【0005】
従来、電源装置の取付け時における作業員負担の軽減の観点で、改善の余地があった。
【0006】
本発明の一態様は、取付性が良好な電源装置、およびその組立方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電源装置は、電力変換器をそれぞれが収納する複数のユニット筐体と、前記複数のユニット筐体が取り付けられる配線ボードと、を備える。前記配線ボードは、入力される交流電力を前記複数のユニット筐体に向けて供給する交流電力配線と、分電部と、各ユニット筐体からの生成電力を前記分電部に供給する生成電力配線と、を有する。前記配線ボードに、前記交流電力を取り入れるための電源ポートと、前記分電部で分電された生成電力を複数の負荷に向けて出力するための複数の接続ポートと、が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、取付性が良好な電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電源装置をポールに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】配線ボードの前面を取り払って内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明の実施形態に係る電源装置、およびその組立方法の、概要を説明する。
【0011】
(1)電源装置は、電力変換器をそれぞれが収納する複数のユニット筐体と、前記複数のユニット筐体が取り付けられる配線ボードと、を備える。前記配線ボードは、入力される交流電力を前記複数のユニット筐体に向けて供給する交流電力配線と、分電部と、各ユニット筐体からの生成電力を前記分電部に供給する生成電力配線と、を有する。前記配線ボードに、前記交流電力を取り入れるための電源ポートと、前記分電部で分電された生成電力を複数の負荷に向けて出力するための複数の接続ポートと、が設けられる。
本明細書において「配線」は、プリント配線、コネクタのコンタクト、バスバー等の導電部材もその意味に含む。
【0012】
電柱などのポールの高所に電源装置を取り付ける作業は、作業員一人で実施されることが望まれる。立ち位置や動作が制限された状態で作業を行う作業員でも、安全・確実に取り付けられるような取付性が、電源装置には求められる。
上記構成の電源装置によれば、交流電力配線と生成電力配線が配線ボードに予め収納されている。そのため、取付現場での各ユニット筐体に対する配線作業を無くす或いは減らすことができ、作業員の負担が軽減され、取付性が大幅に向上する。また、分電部が配線ボードに予め収納されているため、より多くの負荷に電力供給するために、取付現場で分電器を付加したり、そうした付加的な分電器とユニット筐体を配線で接続したりする作業を、無くすことができる。
【0013】
(2)上記(1)に記載の電源装置は、前記複数のユニット筐体それぞれの背面が、前記配線ボードの前面に取り付けられてもよく、前記ユニット筐体の背面に設けられた第一開口と、前記配線ボードの前面に設けられて前記第一開口に対向する第二開口とを通じて、前記交流電力が前記電力変換器に供給され、前記電力変換器からの生成電力が前記生成電力配線に供給されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、複数のユニット筐体の配線ボードへの取付けと同時に、第一開口および第二開口を通じて、複数のユニット筐体と配線ボードとの電気的な接続を完結させることができる。そのため、取付現場での各ユニット筐体に対する配線作業を無くすことができる。
【0015】
(3)上記(2)に記載の電源装置は、前記ユニット筐体に第一回路基板が収納され、前記第一回路基板の端部に支持されたコンタクト部材が前記第一開口から前記配線ボードに向かって突出してもよい。
【0016】
コンタクト部材は、コネクタが有するコンタクトであってもよく、コネクタが第一回路基板の端部に支持されてもよい。コンタクト部材は、バスバー等の導電部材であってもよく、第一回路基板に直接支持されてもよい。
上記構成によれば、回路基板に支持されたコンタクト部材が所定の剛性をもって第一開口から突出するため、配線ボードの配線にスムーズに接続できる。
【0017】
(4)上記(3)に記載の電源装置は、前記配線ボードの内部空間の、前記複数のユニット筐体が前方で対向する箇所に、第二回路基板が収納されてもよく、前記第二回路基板の面方向は、前記複数のユニット筐体が並ぶ方向とほぼ平行であってもよい。
【0018】
上記構成によれば、良好な取付性と、全体としてコンパクトな構成を維持しながら、モジュラーデザインで汎用性の高い電源装置を提供できる。配線ボードに収納され、複数のユニット筐体と対向してそれらと電力を授受する第二回路基板により、プラグインタイプの電源装置を提供できる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載の電源装置において、前面視において、前記分電部は、前記複数のユニット筐体からシフトした位置に設けられてもよい。
【0020】
作業員は、電柱などのポールに対向した立ち位置で、配線ボードに対し、ユニット筐体を取り付ける。上記構成によれば、作業員の立ち位置から、分電部が複数のユニット筐体で隠れないため、作業員が分電部にアクセスしやすく、分電部に対する、配線ボードの外部へ延びる配線を接続する作業や、メンテナンス作業を容易に行える。
【0021】
(6)上記(5)に記載の電源装置において、前記分電部は、前記ユニット筐体の背面より前方に位置してもよい。
【0022】
上記構成によれば、作業員が分電部にアクセスしやすく、分電部に対する、配線ボードの外部へ延びる配線を接続する作業や、メンテナンス作業を容易に行える。
【0023】
(7)それぞれが電力変換器を収納する複数のユニット筐体を配線ボードに取り付ける、電源装置の組立方法は、それぞれの前記ユニット筐体の背面を、前記配線ボードの前面に取り付けることで前記電力変換器から延びるコンタクト部材を前記配線ボードの配線に電気的に接続し、前記配線ボードの、前面視において前記複数のユニット筐体からシフトした位置に設けられる分電部に、前記配線ボードの外部へ延びる配線を接続する。
【0024】
上記の組立方法によれば、作業員の立ち位置から、分電部が複数のユニット筐体で隠れないため、作業員が分電部にアクセスしやすく、分電部に対する、配線ボードの外部へ延びる配線を接続する作業を容易に行える。
【0025】
以下、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、携帯電話基地局向けの直流電源装置100をポールに取り付けた状態を示す図である。
【0026】
直流電源装置100は、それぞれが電力変換器を収納する複数のユニット筐体30が、水平方向に並んだ状態で、配線ボード10(配線盤)の前面に取り付けられている。配線ボード10は、装柱金物として兼用され、電柱などのポールの高所に固定される。本明細書における「水平方向」は、完全な水平方向からやや傾いた方向もその意味に含む。
【0027】
各ユニット筐体30は、対候性に優れる金属製の筐体であり、電力変換器としてのAC/DCコンバータを収納して電源ユニット(本実施形態では、整流器ユニット)を構成している。ユニット筐体30は、商用交流電源を受け、負荷設備に対し直流電力を供給する。本実施形態では、並列冗長運転ができるように、4台のユニット筐体30が用いられている。ユニット筐体30は、それらの側面が互いに対向した状態で近接して水平方向に並び、全体としてコンパクトな構成を実現している。ユニット筐体30の台数は、4台に限定はされない。
【0028】
同じ構成の、または実質的に同じ構成の複数の電源ユニットを接続する設計(いわゆる、モジュラーデザイン)により、汎用性の高い電源装置を提供できる。並列接続する電源ユニットの数を変えることで、様々な出力容量(負荷)に柔軟に対応できる。同じ構成の複数の電源ユニットの採用により、部品調達性の向上、生産コスト低減といった量産効果が得られる。
【0029】
配線ボード10はその前面に、縦方向かつ水平方向に延びる金属製の支持板11を一体的に有する。本実施形態では、配線ボード10の筐体の一部を構成する金属製の支持板11が、配線ボード10の前面に固定されている。
【0030】
支持板11はその上端に、前方に延びる上フランジ11aを一体的に有する。上フランジ11aと、各ユニット筐体30の上面とが、ボルト、ネジ等の固定具15により、上方から固定されている。
【0031】
本明細書において、ユニット筐体30の、配線ボード10に近い面(対向する面)を背面と呼び、その反対側の面を前面と呼ぶ。配線ボード10の、ユニット筐体30に近い面(対向する面)を前面と呼ぶ。本実施形態のユニット筐体30では、別体で形成された背面板(後述)が背面を形成している。
【0032】
本実施形態では、ユニット筐体30の少なくとも背面板と、配線ボード10の支持板11とは、強固な金属成型品または板金切削品である。これらは、板金深絞り成型品であってもよい。
【0033】
図示しないが、ユニット筐体30は、複数の単電池を直列ないし並列に接続した組電池を収納してもよい。組電池は、ユニット筐体30ではなく、配線ボード10に収納されてもよいし、組電池を収納した蓄電池箱が別途用意されてもよい。本実施形態では、単電池として、リチウムイオン電池セルが用いられ、組電池はそれら複数のリチウムイオン電池セルを管理する電池管理システム(BMS)を有して電池パックとして構成される。
【0034】
配線ボード10は、前方に延びる支持台12を有する。支持台12は、複数のユニット筐体30の下方で前方に張り出し、それらユニット筐体30の取付け時に、ユニット筐体30の一時的な置き場として機能する。支持台12は、誤って落下しかけたユニット筐体30を止めるストッパーとしても機能する。
【0035】
図2に示すように、配線ボード10はその下面13に、商用交流電源を取り入れる電源ポート14と、複数の接続ポート15とを有する。これら電源ポート14、接続ポート15に、外部へ延びる配線が接続される。防水コネクタを介して、それらポートに配線が接続されてもよい。
【0036】
電源ポート14を介して配線ボード10に取り入れられた交流電力は、配線ボード10内で複数のユニット筐体30に分配される。各ユニット筐体30は、AC/DC変換を行って直流電力を出力する。生成された直流電力は、配線ボード10内の分電器で分電され、複数の接続ポート15を通って外部の複数の負荷に供給される。
【0037】
図3および
図4に示すように、ユニット筐体30の背面(本実施形態では背面板)には、金属成型または板金切削により、強固な第一周壁31が一体的に設けられている。第一周壁31は、ユニット筐体30の背面に設けられた、図示しない長円形状の第一開口の周囲に設けられて、ユニット筐体30の背面から配線ボード10に向かって突出している。本実施形態における第一周壁31は、縦方向に延びて互いに対向する一対の縦壁と、それら縦壁の上端同士を繋ぐ上円弧壁と、それら縦壁の下端同士を繋ぐ下円弧壁とを有する。
【0038】
支持板11には、金属成型または板金切削により、強固な第二周壁13が一体的に設けられている。第二周壁は、支持板11の第二開口の周囲に設けられて、支持板11からユニット筐体30に向かって突出している。本実施形態における第二周壁13は、第一周壁31に対応した形状を有する。すなわち第二周壁13は、縦方向に延びて互いに対向する一対の縦壁と、それら縦壁の上端同士を繋ぐ上円弧壁と、それら縦壁の下端同士を繋ぐ下円弧壁とを有する。これら円弧壁の採用により、後述するシール部材(Oリング)によるシール性を確保しやすくしている。
【0039】
ユニット筐体30の背面には、金属成型または板金切削により、強固な円柱状の支持ピン32が一体的に設けられている。支持ピン32は、第一周壁31の上方に設けられて、その先端が、第一周壁31の先端よりも、配線ボード10に向かって突出している。
【0040】
図3に示すように、支持板11には、配線ボード10の本体上面より上方に突出した位置で、かつ、ユニット筐体30の支持ピン32に対応する位置に、受け部としての受け孔11bが設けられている。
図4に示すように、ユニット筐体30が配線ボード10に取り付けられると、支持ピン32が、受け孔11bを介して支持板11を貫通する。支持ピン32は、金属成型または板金切削によって先端が先細り形状(例えば、半球形状)を有し、受け孔11bへの挿入を容易に行える。
【0041】
支持ピン32の先端を受け孔11bに挿入することで、第一周壁31と第二周壁13との篏合をガイドできる。作業員は、ユニット筐体30の背面を視認できなくても、スムーズに組立作業を行うことができる。
【0042】
ユニット筐体30の上面には、固定具15が挿入される受け孔33が設けられている。ユニット筐体30の(本実施形態では背面板の)上面の上に、支持板11の上フランジ11aが張り出す。固定具15は、上フランジ11aを貫通し、ユニット筐体30上面の受け孔33に挿入され固定される。
【0043】
図5に示すように、支持ピン32の円柱部の直径と、支持板11の受け孔11bの直径は、比較的大径で、ほぼ同等である(受け孔11bの直径が僅かに大きい)。ユニット筐体30の重さは、支持ピン32を介して支持板11の受け孔11bで支持される。
【0044】
ユニット筐体30の上面と、その上に張り出す支持板11の上フランジ11aとを、固定具15により固定することで、支持ピン32が支持板11の受け孔11bから抜けることが防止される。
【0045】
こうして、ユニット筐体30の重さを、機械的強度が高い支持ピン32と、支持板11の受け孔11bで支えて、第一周壁31や第二周壁13、後述するシール部材に、部分的に過度な荷重がかかることを回避できる。
【0046】
ユニット筐体30の内部空間には、AC/DCコンバータやDC/DCコンバータといった電力変換器が実装された、第一回路基板34が、立った状態で収納され固定されている。第一回路基板34はその面方向が、配線ボード10に向かう方向(第一周壁31および第二周壁13の篏合方向。
図5における左右方向)と平行である。第一回路基板34はその一部が、ユニット筐体30背面の第一周壁31の内側で、配線ボード10に向かって突出しており、そこに後述するコンタクト部材が支持されている。
【0047】
配線ボード10の内部空間の、ユニット筐体30が前方で対向する箇所に、第二回路基板16が、立った状態で収納され固定されている。第二回路基板16はその面方向が、複数のユニット筐体30が並ぶ水平方向(
図5の紙面に対し垂直な方向)と平行である。第一回路基板34の面方向と第二回路基板16の面方向は、ほぼ直交している。
【0048】
電源ポート14(
図2参照)から取り入れられた交流電力は、
図5に示す第二回路基板16を経て、複数のユニット筐体30に分配される。各ユニット筐体30がAC/DC変換を行って出力する直流電力は、回路基板16を経て、バスバー等の導電部材17を通って分電器19に供給される。本実施形態では、直流電力が複数の分電器19に分電され、各分電器で更に複数の配線に分電される。
【0049】
本実施形態では、支持板11が前方に延びる下フランジ11cと、下フランジ11cの前端で上方に延びる止水フランジ11dとを一体的に有し、下フランジ11cが支持台12を構成している。下フランジ11cないし支持台12により、配線ボード10の内部空間は、ユニット筐体30の下方で前方に拡がっている。具体的には、配線ボード10の背面10aと支持板11との間の距離より、背面10aと前面10bとの間の距離が、ユニット筐体30の下方で拡がっている。そして、
図5の断面視において、分電器19を含む分電部23は、ユニット筐体30の背面より前方に位置している。
【0050】
本実施形態における、ユニット筐体30の下方に配置される、配線ボード10の前面10bは、着脱可能である。例えば前面10bは、
図7に示す配線ボード10の筐体本体の前端に設けられるフランジ10cに、着脱可能である。代替的に、図示しないヒンジ等の支持部材を用いて、前面10bが開閉可能になっていてもよい。作業者は前方から(
図5における左側から)、分電部23にアクセスできる。
【0051】
本実施形態における分電器19は、面方向が前方の斜め下を向くように固定された出力分岐基板22の表面に固定される。分電器19は、外部へ延びる配線を接続するための開口が、前方の斜め下を向いて開口している。そのため作業者が、前方から配線を接続する作業を行いやすい。
【0052】
図6は、
図5におけるVI部の、一部の線を非表示にした拡大図である。ユニット筐体の背面板30aは、上述したように金属成型または板金切削により、支持ピン32と第一周壁31とが強固に一体的に形成されている。第一周壁31の内側に、縦方向に長い長円形状の第一開口31aが形成されている。
【0053】
第一回路基板34はその一部が、第一開口31aから配線ボードに向かって突出しており、そこにコンタクト部材34aが支持されている。第一回路基板34は、第一周壁31の先端からは突出していない。
【0054】
本実施形態では、第一開口31aが縦方向に長い形状であるため、多くのコンタクト部材34aが、縦方向に並んで第一回路基板34に支持されている。コンタクト部材34aの一部は、第一回路基板34上の配線を介して電力変換器に電気的に接続されている。
【0055】
第二回路基板16の表面の、第一回路基板34の複数のコンタクト部材34aに対応する位置に、縦方向に長い受けコネクタ18が配置されている。受けコネクタ18は、縦方向に並ぶ複数のコンタクト18aを有する。それらコンタクト18aが、第二周壁13の内側に形成された長円形状の第二開口13aからユニット筐体に向かって突出している。
【0056】
それぞれのユニット筐体の背面に設けられる第一周壁31を、配線ボードの前面に水平方向に並んで設けられる複数の第二周壁13のうちの一つに篏合させる。すると、ユニット筐体の電力変換器に電気的に接続されているコンタクト部材34aが、配線ボードの配線、具体的には受けコネクタ18のコンタクト18aに、電気的に接続される。こうして、第一回路基板34の面方向の端部に設けられたコンタクト部材34aが、第一回路基板34と直交する第二回路基板16の表面に設けられた受けコネクタ18のコンタクト18aに接続される。
【0057】
第二周壁13の内側における、第二周壁13と支持板11とで形成されるコーナー部(座部)に、Oリングなどのシール部材20が配置される。第一周壁31を第二周壁13の内側に篏合させ、第一周壁31の先端と支持板11との間でシール部材20を押圧し弾性変形させることで、第一周壁31と第二周壁13との間の隙間、および、第一周壁31先端と支持板11との間の隙間を、シール部材20で塞いでいる。シール部材20は、第一周壁31の根元部に配置されてもよい。
【0058】
図1に示すように、組み立てられた、いわばプラグインタイプの電源装置100は、全体としてコンパクトな構成(電力密度が高い構成)を有する。配線ボード10を共用することで、従来はそれぞれのユニット筐体30に要していた配線の一部を不要にできる。
【0059】
図7に示すように、配線ボード10内に、電源ポート14から取り入れられた交流電力を複数のユニット筐体に向けて供給する交流電力配線21と、複数のユニット筐体が生成した直流電力を分電器19に供給する導電部材17が収納されている。そのため、各ユニット筐体に、こうした交流電力配線21や導電部材17を設ける必要がない。第二回路基板16は一枚の基板で構成され、水平方向に並ぶ複数の(本実施形態では4台の)ユニット筐体を、基板表面に垂直に取り付けることができるよう、水平方向に延びている。言い換えれば、第二回路基板16は、複数のユニット筐体にわたり水平方向に延びている。
【0060】
取付現場では、作業員は、高所で水平方向に延びる配線ボード10に対し、一つずつユニット筐体30の背面を垂直に差し込んでいく(プラグインする)ことで、
図6に示す、第一回路基板34と第二回路基板16との電気接続を完了できる。すなわち、
図7に示す交流電力配線21からの交流電力をユニット筐体30の電力変換器に供給可能になり、電力変換器からの直流電力を導電部材17に供給可能になる。第二周壁13内に配置したシール部材20(
図6参照)によって、所定の防水性・防塵性が確保される。
【0061】
そして、
図1に示すように、隣のユニット筐体30が邪魔にならない上方から、固定具15により、各ユニット筐体30を配線ボード10(支持板11)に固定できる。上述した実施形態により、取付性が良好な電源装置100を提供できる。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
実施形態では、携帯電話基地局向けの直流電源装置を説明したが、その他の用途の電源装置(例えば、電源ユニットが交流電力を出力する無停電電源装置)に、本発明を適用して取付作業を効率化できる。特に、多くの台数の電源ユニットを各所に設置するような用途に、本発明を適用することが好ましい。
【0063】
実施形態では、屋外のポールに取り付けたが、電源装置は屋内に設置されてもよいし、地上に設置されてもよい。分電部23は、その一部が配線ボード10の外部に配置されてもよい。
【0064】
実施形態では、ユニット筐体30の上面を、支持板11の上フランジ11aにボルト止めないしねじ止めする例を説明したが、代替的に、リベット止めなどの他の固定具が採用されてもよい。
【0065】
実施形態では、第一周壁31および第二周壁13それぞれを連続する壁部で形成したが、それらの少なくとも一方が、集方向に間隔をあけて設けられる複数の壁部で形成されてもよい。
【0066】
実施形態では、筐体を有する配線ボード10を用いたが、配線ボードは板状であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 配線ボード
14 電源ポート
15 接続ポート
17 生成電力配線
21 交流電力配線
23 分電部
30 ユニット筐体
100 直流電源装置(電源装置)