(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094559
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211185
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松橋 唯希
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB06
2D003BA05
2D003BA06
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
(57)【要約】
【課題】クレーンモード実行中における駆動源の燃費を向上させることが可能なショベルを提供すること。
【解決手段】ショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられたアタッチメントと、上部旋回体に搭載された駆動源11と、クレーンモード実行中において、アタッチメントが操作された後に、駆動源11の出力を変更するように制御する制御装置50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、
前記上部旋回体に搭載された駆動源と、
クレーンモード実行中において、前記アタッチメントが操作された後に、前記駆動源の出力を変更するように制御する制御装置と、を備える、ショベル。
【請求項2】
前記アタッチメントは、ブームを含み、
前記制御装置は、前記ブームを上げるブーム上げ操作後に、前記駆動源の出力を変更するように制御する、請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ブーム上げ操作後であり、且つ、所定値以上の吊り荷重を検出した場合において、前記駆動源の出力を下げるように制御する、請求項2に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、前記駆動源の出力を下げた後に、前記ブーム上げ操作、または、前記下部走行体の走行操作が行われた場合に、前記駆動源の出力を上げるように制御する、請求項2又は3に記載のショベル。
【請求項5】
前記上部旋回体に取り付けられた物体監視装置と、
前記アタッチメントに取り付けられたフックと、を更に備え、
前記制御装置は、前記物体監視装置が取得した情報に基づいて、前記フックによる吊り動作を検出した場合に、前記駆動源の出力を上げるように制御する、請求項1に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン作業をするためのフックを備えたショベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。このショベルは、動作モードとしてクレーンモードを実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のショベルでは、クレーンモード実行中における駆動源の燃費に関して、改善の余地があった。
【0005】
本開示は、クレーンモード実行中における駆動源の燃費を向上させることが可能なショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられた物体監視装置と、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、前記アタッチメントに取り付けられたフックと、前記物体監視装置が取得した情報に基づいて動作モードをクレーンモードに切り換える制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、クレーンモード実行中における駆動源の燃費を向上させることが可能なショベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。
【
図4】吊り荷重とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【
図5】制御装置で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】ブーム操作とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【
図7】制御装置で実行される処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【
図8】電気式操作レバーによって操作可能なブームシリンダを有する油圧システムの一例を示す油圧系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100の側面図である。ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0010】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0011】
ブーム角度センサS1は、姿勢検出装置の一例であり、ブーム4の回動角度を検出する。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0012】
アーム角度センサS2は、姿勢検出装置の一例であり、アーム5の回動角度を検出する。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0013】
バケット角度センサS3は、姿勢検出装置の一例であり、バケット6の回動角度を検出する。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0014】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
【0015】
本実施形態では、バケット6は、バケットリンク6Lを介してバケットシリンダ9の先端に連結されている。バケットリンク6Lは、クレーン作業で用いられるフック20を収納するための収納部20Sを備えている。フック20は、掘削作業が行われるときには収納部20Sに収納され、クレーン作業が行われるときには
図1に示すように収納部20Sから引き出される。
【0016】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置40、入力装置42、音声出力装置43、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、物体監視装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0017】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0018】
各種機能は、例えば、クレーンモード実行中において、ショベル100の駆動源であるエンジン11の出力を制御する機能含む。コントローラ30に含まれる制御装置50は、クレーンモード実行中において、ショベル100のエンジン11の出力を制御する機能を実行する。
【0019】
表示装置40は、各種情報を表示する。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0020】
入力装置42は、操作者が各種情報をコントローラ30に入力できるようにする。入力装置42は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ、メンブレンスイッチ等を含む。
【0021】
音声出力装置43は、音声を出力する装置である。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力する。
【0022】
記憶装置47は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶しておいてもよい。記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100の操作者が設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0023】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置及び向きを測定する。測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置として機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0024】
機体傾斜センサS4は水平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施形態では、機体傾斜センサS4は上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0025】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度及び旋回角度を検出する。本実施形態では、ジャイロセンサである。レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0026】
物体監視装置S6はショベル100の周辺の情報を取得する。本実施形態では、物体監視装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0027】
物体監視装置S6は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラ等の撮像装置であり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、物体監視装置S6は、異なる2種類の撮像装置の組み合わせであってもよい。例えば、単眼カメラとは別に、ステレオカメラ、距離画像カメラ等が配置されていてもよい。また、物体監視装置S6は、ミリ波レーダ、レーザレンジセンサ、ライダ等であってもよく、撮像装置とミリ波レーダ、レーザレンジセンサ、ライダ等の組み合わせであってもよい。
【0028】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。キャビン10の屋根、すなわちキャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0029】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御する。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網、インターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。
【0030】
図2は、ショベル100の駆動系の構成例を示すブロック図であり、機械的動力系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系をそれぞれ二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0031】
ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30、比例弁31等を含む。
【0032】
エンジン11は、ショベルの駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に連結されている。
【0033】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0034】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、コントローラ30は、操作圧センサ29等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0035】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26及び比例弁31を含む各種油圧制御機器に作動油を供給する。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。
【0036】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。制御弁171~176は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1L、右側走行用油圧モータ1R、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。旋回用油圧モータ2Aは、電動アクチュエータとしての旋回用電動発電機であってもよい。
【0037】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。操作装置26のうちの少なくとも1つは、パイロットライン及びシャトル弁32を介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。
【0038】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0039】
操作圧センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出する。本実施形態では、操作圧センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
【0040】
比例弁31は、パイロットポンプ15とシャトル弁32とを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31及びシャトル弁32を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。
【0041】
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する。2つの入口ポートのうちの一方は操作装置26に接続され、他方は比例弁31に接続されている。出口ポートは、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに接続されている。そのため、シャトル弁32は、操作装置26が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0042】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0043】
(制御装置)
次に、ショベル100の制御装置50について説明する。制御装置50における機能は、コントローラ30のCPUによって実行可能である。コントローラ30は、制御装置50における処理を実行する。
【0044】
本実施形態では、制御装置50は、コントローラ30に組み込まれているが、コントローラ30とは別に設けられた制御装置であってもよい。この場合、制御装置50は、例えば、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含むコンピュータで構成される。そして、制御装置50の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。また、制御装置50とコントローラ30とはCAN等の通信ネットワークを通じて互いに通信可能に接続される。
【0045】
制御装置50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、物体監視装置S6、測位装置P1、通信装置T1及び入力装置42等から情報を取得する。
【0046】
ショベル100は、複数の動作モードを実行することができる。制御装置50は、複数の動作モードについて各種制御を実行する。ショベル100は、例えば、クレーンモード及びショベルモードを実行することができる。制御装置50は、クレーンモード及びショベルモードにおいて、異なる制御を実行することができる。
【0047】
ショベルモードは、バケット6を用いて、掘削作業を実行する際に選択される動作モードである。クレーンモードは、フック20を用いて、吊り作業を実行する際に選択される動作モードである。クレーンモードでは、例えばエンジン11の出力の上限値が設定される。また、ショベル100は、クレーンモードにおいて、バケット6の動作を制限してもよい。
【0048】
制御装置50は、モード判定部51、操作判定部52、吊り荷重検出部53、及び制御部54を含む。
【0049】
モード判定部51は、ショベル100において実行中の動作モードを判定する。モード判定部51は、所定の条件が成立している場合にクレーンモード実行中であると判定することができる。モード判定部51は、フック20の姿勢を検出して、クレーンモード実行中であるか否かを判定することができる。モード判定部51は、フック20が下方に垂れ下がっている場合に、クレーンモード実行中であると判定することができる。また、モード判定部51は、表示装置40であるタッチパネルにおいて、クレーンモードを選択する操作を受け付けた場合に、クレーンモード実行中であると判定することができる。モード判定部51は、キャビン10内に設けられた専用のスイッチが押された場合に、クレーンモード実行中であると判定することができる。専用のスイッチは、例えば、操作装置26のノブ(操作レバー)付近に設けられていてもよく、キャビン10の内部のその他の位置に設けられていてもよい。モード判定部51は、ショベル100に関するその他の情報に基づいて、クレーンモード実行中であるか否かを判定してもよい。
【0050】
また、モード判定部51は、撮像装置によって取得された情報に基づいて、クレーンモード実行中であると判定してもよい。例えば、フック20の近傍に存在する作業員を検出した場合に、モード判定部51は、クレーンモード実行中であると判定することができる。吊り作業を実行する前に、作業員は、手作業によりフック20を取り出したり、吊り荷を吊るためのワイヤWRをフック20に引っ掛けたりする作業が必要となる。撮像装置は、フック20の近傍の作業員を検出することができる。モード判定部51は、フック20の近傍に存在する作業員を検出した場合に、クレーンモード実行中であると判定してもよい。
【0051】
操作判定部52は、ショベル100を操縦する操作者による操作を判定する。操作判定部52は、例えば、アタッチメントATに対する操作を検出することができる。操作判定部52は、ブーム4を上げる操作であるブーム上げ操作を検出することができる。操作判定部52は、ブーム上げ操作が完了したか否かを判定することができる。操作判定部52は、ブーム上げ操作が開始された否かを判定してもよい。
【0052】
操作判定部52は、操作圧センサ29から出力された信号に基づいて、操作装置26を用いた操作者の操作内容を把握できる。上述したように、操作圧センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
【0053】
吊り荷重検出部53は、フック20に吊り下げられている吊り荷の荷重を検出する。吊り荷重検出部53は、例えば、ブームボトム圧センサ、及びアーム角度センサS2から出力された情報に基づいて、吊り荷の荷重を検出することができる。
【0054】
また、吊り荷重検出部53は、その他の情報を取得して、吊り荷重を算出してもよい。吊り荷重検出部53は、アタッチメントATの姿勢に基づいて、吊り荷重を算出してもよい。吊り荷重検出部53は、吊り荷重が所定の判定閾値以上であるかを判定することができる。吊り荷重検出部53は、その他のセンサからの情報に基づいて、吊り荷重が判定閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0055】
吊り荷重検出部53は、例えば、撮像装置によって吊り荷を検出し、検出した吊り荷の画像データに基づいて、吊り荷重を検出してもよい。また、操作者は、吊りに荷重に関するデータをタッチパネルである表示装置40を用いて操作入力してもよい。吊り荷重検出部53は、表示装置40から入力された情報に基づいて、吊り荷重を検出してもよい。
【0056】
制御部54は、ショベル100における各種動作の制御を司る。制御部54は、エンジン11の出力を制御する。制御部54は、動作モードに応じて制御内容を変更できる。制御部54は、クレーンモード実行中において、所定の条件が成立した場合に、エンジン11の出力を変更するようにエンジン11を制御することができる。
【0057】
制御部54は、クレーンモード実行中において、アタッチメントATが操作された後にエンジン11の出力を変更する制御を行う。例えば、制御部54は、クレーンモード実行中において、アーム5及びバケット6の操作に基づいて、エンジン11の出力を変更する制御を行ってもよい。
【0058】
制御部54は、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作完了後に、エンジン11の出力を変更する制御を行う。制御部54は、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作完了後に、エンジン11の出力を下げる制御を行う。制御部54は、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作完了後に、エンジン11の回転数を、第1回転数から第2回転数に低下させる制御を行ってもよい。第1回転数は、例えば、ショベルモードにおける通常のエンジン11の回転数でもよい。第2回転数は、エンジン11の通常時の平均回転数よりも低い回転数でもよい。制御部54は、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作開始後に、ブーム4が所定の高さまで上昇した後に、エンジン11の出力を下げる制御を行ってもよい。
【0059】
制御部54は、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作後であり、且つ、所定値以上の吊り荷重を検出した場合において、エンジン11の出力を下げる制御を行うことができる。
【0060】
制御部54は、クレーンモード実行中において、エンジン11の出力を下げた後に、ブーム上げ操作を検出した場合、又は、下部走行体1に対する走行操作を検出した場合に、エンジン11の出力を上げるように制御してもよい。この場合、制御部54は、エンジン11の回転数を第2回転数から第3回転数に上昇させる制御を行ってもよい。第3回転数は、第2回転数よりも高い回転数である。
【0061】
制御部54は、クレーンモード実行中において、撮像装置が取得した情報に基づいて、フック20による吊り動作を検出した場合に、エンジン11の出力を上げるように制御してもよい。
【0062】
動作モードは、例えば、クレーンモード及びショベルモードを含む。ショベル100の操作者は、キャビン10内に配置されている所定のスイッチを操作することで動作モードを切り換えることができる。所定のスイッチは、例えば、表示装置40の近くに配置されている押しボタンスイッチとしてのモードスイッチでもよい。所定のスイッチは、タッチパネルを含む表示装置40に表示されるソフトウェアボタンとしてのモードスイッチであってもよい。
【0063】
クレーンモードでは、ショベルモードに比べ、アクチュエータの動作速度が制限される。例えば、クレーンモードにおいて旋回操作レバー26Cが操作されたときの上部旋回体3の旋回速度は、ショベルモードにおいて旋回操作レバー26Cが同じ操作量だけ操作されたときの上部旋回体3の旋回速度よりも小さくなるように制限される。左側走行用油圧モータ1L、右側走行用油圧モータ1R、ブーム4、アーム5及びバケット6の動作速度についても同様である。速度制限は、例えば、操作装置26の操作量に対する制御弁のスプールストローク量を低減させること、メインポンプ14の吐出量を低減させること、エンジン回転数を低減させること等によって実現される。但し、本実施形態では、クレーンモードにおいてパワーが制限されることはない。すなわち、吊り上げ可能な最大荷重が制限されることはない。
【0064】
次に
図3を参照し、ショベルに搭載される油圧システムの構成例について説明する。
図3は、
図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。
図3は、
図2と同様に、機械的動力系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0065】
油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、センターバイパス管路40L、40R、パラレル管路42L、42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させている。メインポンプ14L、14Rは、
図2のメインポンプ14に対応する。
【0066】
センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。制御弁175L、175Rは、
図2の制御弁175に対応する。制御弁176L、176Rは、
図2の制御弁176に対応する。
【0067】
制御弁171は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を左側走行用油圧モータ1Lへ供給し、且つ、左側走行用油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0068】
制御弁172は、メインポンプ14Rが吐出する作動油を右側走行用油圧モータ1Rへ供給し、且つ、右側走行用油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0069】
制御弁173は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0070】
制御弁174は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
【0071】
制御弁175L、175Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0072】
制御弁176L、176Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0073】
パラレル管路42Lは、センターバイパス管路40Lに並行する作動油ラインである。パラレル管路42Lは、制御弁171、173、175Lの何れかによってセンターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。パラレル管路42Rは、センターバイパス管路40Rに並行する作動油ラインである。パラレル管路42Rは、制御弁172、174、175Rの何れかによってセンターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0074】
レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。レギュレータ13L、13Rは、
図2のレギュレータ13に対応する。レギュレータ13Lは、例えば、メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じてメインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。
【0075】
吐出圧センサ28Lは、吐出圧センサ28の一例であり、メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
【0076】
ここで、
図3の油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御(以下、「ネガコン制御」とする。)について説明する。
【0077】
センターバイパス管路40L、40Rには、最も下流にある制御弁176L、176Rのそれぞれと作動油タンクとの間にネガティブコントロール絞り18L、18Rが配置されている。メインポンプ14L、14Rが吐出した作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rで制限される。そして、ネガティブコントロール絞り18L、18Rは、レギュレータ13L、13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」とする。)を発生させる。ネガコン圧センサ19L、19Rは、ネガコン圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0078】
コントローラ30は、ネガコン圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。コントローラ30は、例えば、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させる。
【0079】
具体的には、
図3で示されるように、ショベルにおける油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、センターバイパス管路40L、40Rを通ってネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L、14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンターバイパス管路40L、40Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
【0080】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。
【0081】
上述のような構成により、
図3の油圧システムは、待機状態においては、メインポンプ14L、14Rにおける無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油がセンターバイパス管路40L、40Rで発生させるポンピングロスを含む。また、
図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14L、14Rから必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに供給できる。
【0082】
次に
図4を参照して、クレーンモード実行中における吊り荷重とエンジン回転数との関係について説明する。
図4は、吊り荷重とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
図4では横軸に、吊り荷重を示し、縦軸にエンジン回転数をしめす。例えば、コントローラ30の記憶部には、クレーンモード実行中における吊り荷重とエンジン回転数との関係を示すデータが格納されている。制御装置50は、記憶部に記憶されているデータを参照することにより、吊り荷重に応じたエンジン回転数となるように、エンジン11を制御することができる。
【0083】
吊り荷重が例えば判定閾値T1を超えるまで、エンジン回転数は、回転数E1で一定である。吊り荷重が判定閾値T1を超えた後、エンジン回転数は低下する。例えば、吊り荷重が判定閾値T2を超えるまで、エンジン回転数は、吊り荷重に応じて低下する。
【0084】
吊り荷重が判定閾値T2を超えた後、エンジン回転数は、回転数E2で一定である。
【0085】
次に、
図5を参照して、制御装置50で実行される処理手順の一例について説明する。
図5は、制御装置50で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示す処理は、基本的に、コントローラ30のCPUにより実行される。
図5に示す処理の一部又は全部は、エンジン11を制御するECU(エンジンコントロール)によって実行されてもよい。
【0086】
まず、制御装置50のモード判定部51は、クレーンモードが実行中であるか否かを判定する(ステップS11)。上述したように、モード判定部51は、例えば、操作者による操作によって、クレーンモードが選択されている場合に、クレーンモードが実行中であると判定することができる。クレーンモードが実行中である場合には、ステップS12に進み、クレーンモードが実行中ではない場合には、クレーンモードが実行中になるのを待って、ステップS12に進む。
【0087】
次に、制御装置50の吊り荷重検出部53は、吊り荷重が判定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS12)。吊り荷重が判定閾値以上である場合には、ステップS13に進み、吊り荷重が判定閾値以上ではない場合には、ステップS11に戻る。
【0088】
次に、制御装置50の操作判定部52は、ブーム上げ操作が完了したか否かを判定する(ステップS13)。上述したように、操作判定部52は、操作圧センサ29からの信号に基づいて、操作内容を把握して、ブーム上げ操作が完了したか否かを判定する。ブーム上げ操作が完了した場合には、ステップS14に進み、ブーム上げ操作が完了していない場合には、ステップS13の処理を繰り返し、ブーム上げ操作の完了を待って、ステップS14に進む。制御装置50は、ブーム角度センサM3aから入力した情報に基づいて、ブーム4の高さ(ブーム高さ)に関する情報を判定することができる。操作判定部52は、ブーム高さに基づいて、ブーム上げ操作が完了したか否かを判定することができる。操作判定部52は、例えば、アーム角度センサM3bなど、その他の角度センサから入力した情報に基づいて、ブーム高さを判定してもよい。また、操作判定部52は、操作装置26による操作圧を検出可能な操作圧センサ29から入力した情報に基づいて、ブーム高さを判定してもよい。また、操作判定部52は、その他のセンサから入力した情報に基づいて、ブーム高さを判定してもよく、その他の方法に基づいて、ブーム高さを判定してもよい。
【0089】
次に、制御部54は、エンジン回転数を低下させる(ステップS14)。制御部54は、ステップS13において判定したブーム高さに基づいて、エンジン回転数を低下させることができる。制御部54は、エンジン11に指令信号を送信して、エンジン回転数を低下させる。
【0090】
次に、制御装置50の操作判定部52は、ブーム上げ操作、又は走行操作が実行されたか否かを判定する。制御装置50は、ブーム上げ操作を検出した場合、又は、走行操作を検出した場合に、ステップS16に進む。制御装置50は、ブーム上げ操作を検出しない場合、又は、走行操作を検出しない場合に、ブーム上げ操作を検出、又は、走行操作の検出を待ってステップS16に進む。
【0091】
次に、ステップS16では、制御部54は、エンジン回転数を復帰させる。制御部54は、ステップS14によって低下させたエンジン回転数を、低下させる前の回転数に戻す。これにより、制御部54は、エンジン回転数を上昇させる。
【0092】
(作用効果)
本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられたアタッチメントと、上部旋回体3に搭載された駆動源であるエンジン11と、クレーンモード実行中において、アタッチメントが操作された後に、エンジン11の出力を変更するように制御する制御装置50と、を備える。
【0093】
このようなショベル100によれば、クレーンモード実行中において、アタッチメントが操作された後に、エンジン11の出力を変更することにより、エンジン11の燃費を向上させるように制御できる。
【0094】
また、ショベル100において、アタッチメントは、ブーム4を含み、制御装置50は、ブーム4を上げるブーム上げ操作後に、エンジン11の出力を変更するように制御する。
【0095】
このようなショベル100によれば、クレーンモード実行中において、ブーム上げ操作後、例えば、ブーム上げ操作の完了後に、エンジン11の出力を下げる制御を行うことができる。ショベル100では、このようにクレーンモード実行中において、エンジン11の出力を下げることにより、従来と比較して、エンジン11における燃費の向上を図ることができる。クレーンモードにおいて、ブーム上げ操作後は、通常時と比較して、エンジン11の出力を必要としない。従来技術では、クレーンモードにおいてエンジン11が一定であり、エンジン11の燃費の向上を図ることができなかった。ショベル100では、クレーンモードにおいて、エンジン11の出力を低下させて、不要なエンジン出力を削減することにより、燃費の向上を図ることができる。
【0096】
また、ショベル100において、制御装置50は、ブーム上げ操作後であり、且つ、所定値以上の吊り荷重を検出した場合において、エンジン11の出力を下げるように制御する。
【0097】
このようなショベル100によれば、クレーンモード実行中において、吊り荷重に応じて、エンジン11の出力を下げることにより、適切にエンジン出力を低下させて、燃費の向上を図ることができる。
【0098】
また、ショベル100において、エンジン11の出力を下げた後に、ブーム上げ操作、または、下部走行体1の走行操作が行われた場合に、エンジン11の出力を上げるように制御する。
【0099】
このようなショベル100によれば、クレーンモード実行中において、不要なエンジン出力を削減するために、エンジン出力を低下させた後に、適切にエンジン出力を上げることができる。これにより、エンジン出力の低下後に、エンジン出力が必要になる状況に合わせて、適切にエンジン出力を上げることができる。
【0100】
また、ショベル100は、上部旋回体に取り付けられた物体監視装置である撮像装置と、アタッチメントに取り付けられたフック20と、を更に備え、制御装置50は、撮像装置が取得した情報に基づいて、フック20による吊り動作を検出した場合に、エンジン11の出力を上げるように制御してもよい。
【0101】
これにより、撮像装置によって取得された情報に基づいて、クレーンモード実行中であるか否かを判定して、エンジン出力を適切に変更できる。
【0102】
次に、
図6を参照してブーム操作とエンジン回転数との関係について説明する。
図6は、ブーム操作とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
図6では、横軸に時間の経過を示す。
図6では、縦軸に、エンジン回転数、及びブーム高さを示す。
【0103】
クレーンモード実行中において、ブーム高さは操作者によるブーム操作に応じて、適宜変化する。ブーム高さは、ブーム高さB11とブーム高さB12との間で変化する。ブーム高さB12は、ブーム高さB11よりも高い位置である。
【0104】
制御装置50は、クレーンモード実行中において、ブーム高さに応じて、エンジン回転数を制御することができる。制御装置50は、例えば、時間T11において、ブームB11である場合に、エンジン回転数をE11から低下させる制御を行うことができる。
【0105】
制御装置50は、例えば、時間T12において、ブームB12である場合に、エンジン回転数をE11まで上昇させる制御を行うことができる。
【0106】
次に、
図7を参照して、制御装置で実行される処理手順の変形例について説明する。
図7は、制御装置で実行される処理手順の変形例を示すフローチャートである。
図7に示される処理手順が、
図5に示される処理手順と違う点は、ステップS15,S16に代えて、ステップS25,S26を実行する点である。なお、
図7のフローチャートの説明では、
図5のフローチャートの説明と違う点について説明する。
【0107】
制御装置50は、ステップS14の後に、ステップS25の処理を行う。制御装置50の操作判定部52は、撮像装置が吊り動作を検出したか否かを判定することができる(ステップS25)。操作判定部52は、上述したように、撮像装置から情報を入力して、フック20の周辺に作業員がいるか否かを判定して、吊り動作を検出してもよい。
【0108】
制御装置50は、吊り動作を検出した場合にステップS26に進み、吊り動作を検出しなかった場合には、吊り動作の検出を待って、ステップS26に進む。
【0109】
ステップS26では、制御部54は、エンジン回転数を上昇させる制御を行う。制御部54は、例えば、ECUに指令信号を送信して、エンジン11の回転数を上昇させる。これにより、エンジン出力を上げる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0111】
例えば、上述の実施形態では、パイロット圧式の制御弁が採用されているが、電磁式の制御弁が採用されてもよい。
図8に示すように、操作装置26は、電気式操作レバーであってもよい。
【0112】
また、上記の実施形態では、駆動源としてエンジン11を例示しているが、駆動源はエンジン11に限定されない。ショベル100は、駆動源としてモータを備える電気ショベルでもよい。ショベル100は、エンジン11,モータ、及びバッテリを備えるハイブリット方式のショベルでもよい。
【0113】
ショベル100の周囲を撮像する撮像装置である物体監視装置S6は、キャビン10の外部に配置されていてもよく、キャビン10の外部に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0114】
100 ショベル
1 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
11 エンジン(駆動源)
20 フック
50 制御装置
51 モード判定部
52 操作判定部
53 吊り荷重検出部
54 制御部
S6 物体監視装置