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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094562
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20240703BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240703BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01S13/74
G06K7/10 144
G06K7/10 252
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211190
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
【テーマコード(参考)】
3F522
5J070
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522DD03
3F522EE19
3F522FF02
3F522GG02
3F522LL57
5J070AB10
5J070AC02
5J070AE20
5J070AF02
5J070AK15
(57)【要約】
【課題】 読み取りが行えない無線タグに近づくことができる携帯端末を提供する。
【解決手段】 無線タグリーダ10は、通信処理部13と、無線タグから送信された識別情報、時刻、電波強度を記憶する記憶部12と、を備える。探索目標の無線タグの近くにある電波強度が近似する無線タグを、記憶された識別情報、時刻、電波強度に基づき推定し(S38、S39)、推定した無線タグを探索し(S42)、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する(S44)。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグとの通信を行う通信部と、
無線タグから送信された識別情報、時刻、電波強度を記憶する記憶部と、を備えた携帯端末であって、
探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定する推定手段と、
前記推定手段で推定した無線タグを探索することで、前記探索目標の無線タグに近づいたことを報知する報知手段と、を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1の携帯端末であって
前記推定手段は、前記探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、
当該無線タグが読み取れた時刻が、前記探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、前記探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度であることに基づき推定する。
【請求項3】
請求項2の携帯端末であって
前記推定手段は、前記探索目標の無線タグの近くにある無線タグを複数、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定し、
前記報知手段は、前記推定手段で推定した複数の無線タグを探索することで、前記探索目標の無線タグに近づいたことを報知することを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1の携帯端末であって
前記推定手段は、前記探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定し、
前記報知手段は、前記推定手段で推定した電波強度最大の無線タグを探索することで、前記探索目標の無線タグに近づいたことを報知することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項4の携帯端末であって
前記推定手段は、前記探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、
当該無線タグが読み取れた時刻が、前記探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、電波強度最大であることに基づき推定する。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1の携帯端末であって、
在庫のマスターデータとの照合を行い、読み取れた無線タグの消込みを行える消込み手段を備え、
読み取れない無線タグを前記探索目標の無線タグとし、前記推定手段が、前記探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定することを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
請求項1~請求項5のいずれか1の携帯端末であって、
表示器を備え、
前記報知手段は、前記探索目標の無線タグに近づいたことを、前記探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを前記表示器に表示することで報知することを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
請求項1~請求項5のいずれか1の携帯端末であって、
音声装置を備え、
前記報知手段は、前記探索目標の無線タグに近づいたことを、前記探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを前記音声装置で音声出力することで報知することを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
請求項1~請求項5のいずれか1の携帯端末であって、
前記推定手段は、探索目標の無線タグの近くにある同一又は近似する大きさの無線タグを、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定する
【請求項10】
請求項4又は請求項5の携帯端末であって、
前記推定手段は、前記探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、
前記探索目標の無線タグが、以前に読み取りが行えなかった場合、及び/又は、電波強度が設定された閾値よりも低い場合に推定することを特徴とする携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグを検知する無線タグリーダから成る携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線タグを使用した商品管理が普及しつつあり、棚卸しの高速化だけでなく、商品のピックアップにも活用するニーズが高まりつつある。無線タグを使用した棚卸しは、無線タグリーダで読み取れた無線タグを在庫データから消込むことで行われる。商品のピックアップは、例えば、顧客から求められた商品を、当該商品に付けられた無線タグを無線タグリーダで探索することで行われる。対象無線タグに対する探索は一般に行われているが、一時的に読めなかった無線タグの探索はできていない。また、電波の届かないところの無線タグも探索できない。
【0003】
特許文献1には、RFID無線タグを用いた探索システムが開示されている。特許文献2には、限界電波強度に対応する距離を算出し、算出された距離を表示する無線タグリーダによる探索方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-063178号公報
【特許文献2】特開2016-170046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
棚卸時に読めなかった無線タグを検索することは多いが、そもそも読めていないので、探索自体行えないことが多い。また、電波の届かないところの無線タグの探索も使用者が移動し、ある程度近づくことで探索は可能であるが、広い場所での探索では目安がないため効率が悪い。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、読み取りが行えない無線タグに近づくことができる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、無線タグとの通信を行う通信部(13)と、無線タグから送信された識別情報、時刻、電波強度を記憶する記憶部(12)とを備えた携帯端末(10)であって、
探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、前記時刻、前記電波強度に基づき推定する推定手段(11、S38、S39)と、前記推定手段で推定した無線タグを探索することで(S42)、前記探索目標の無線タグに近づいたことを報知する報知手段(17、S44)と、を有することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
棚卸時に無線タグが重なる、或いは、金属部材と接触すること等で無線タグが読めない状態になると、その無線タグを探す必要がある。しかし、そもそも読めていないその無線タグを対象とした探索は行えない。
請求項1の発明では、過去の履歴により探索目標の無線タグの近くの無線タグを探索対象(推定した無線タグ)とし、探索目標の無線タグの近くの無線タグに近づいたことを報知する。これにより、過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、作業者は、過去に探索目標の無線タグのあった場所にたどり着くことができる。そして、作業者は、探索目標の無線タグの付いた商品を目視により確認し、探索目標の無線タグの付いた商品を移動させることで、無線タグの重なりを無くし、或いは、金属部材と接触しないようにして、探索目標の無線タグを携帯端末で読み取れるようにできる。また、電波の送受範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。更に、加速度センサ、GPS等の位置検出装置を備えなくても携帯端末が探索目標の無線タグを読み取ることができる。
【0009】
請求項2の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、携帯端末は移動しておらず、向きも変わっていない。そして、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0010】
請求項3の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを複数、記憶手段に記憶された識別情報、時刻、電波強度に基づき推定する。そして、報知手段が、推定した複数の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。近辺の無線タグを複数検索し、複数の内の何れかの無線タグを見つけ出すことで、読取可能な範囲が広がり目標の無線タグ近くに効率的にたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。倉庫等の広い場所での探索で電波到達範囲が狭く(数メートル)目標無線タグの読取可能範囲が相対的に狭い場合でも、複数無線タグを探索することで読取可能範囲が広がり、探索の効率が向上する。
【0011】
請求項4の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、識別情報、時刻、電波強度に基づき推定する。そして、報知手段は、推定した電波強度最大の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、目標の無線タグの近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、読取可能な範囲が広がり相対的に離れた場所からでも目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。電波の送受可能な範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。特に、無線タグの重なりなどで電波強度が下がり目標無線タグが読みにくい状態でも、電波強度最大の無線タグは読みやすい可能性が高い。そのため、より遠くからでも発見できる可能性がある。作業者は、電波強度最大の無線タグに近づくことで、電波強度が下がった目標無線タグを読むことができる。
【0012】
請求項5の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、電波強度最大であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、携帯端末は移動しておらず、向きも変わっていないので、電波強度最大の無線タグは目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0013】
請求項6の携帯端末は、在庫のマスターデータとの照合を行い、読み取れた無線タグの消込みを行える消込み手段を備え、読み取れない無線タグを探索目標の無線タグとし、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、識別情報、時刻、電波強度に基づき推定する。このため、棚卸しの際に読み取れなかった無線タグを探索目標の無線タグとして、探索目標の無線タグの近くの無線タグを探し出すことで、作業者は、探索目標の無線タグを探しだし、効率的に棚卸しを行うことができる。
【0014】
請求項7の携帯端末は表示器を備える。報知手段は、探索目標の無線タグに近づいたことを、探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを表示器に表示することで報知する。このため、作業者は、表示器の電波強度が高くなる方へ移動することで、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0015】
請求項8の携帯端末は音声装置を備える。報知手段は、探索目標の無線タグに近づいたことを、探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを音声装置で音声出力することで報知する。作業者は、音声装置での音声に従い電波強度が高くなる方へ移動することで、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0016】
請求項9の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある同一又は近似する大きさの無線タグを、識別情報、時刻、電波強度に基づき推定する。無線タグの大きさによって電解強度がばらつくため、大きさが同一又は近似する無線タグの内で、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0017】
請求項10の携帯端末は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、探索目標の無線タグが、以前に読み取りが行えなかった場合、及び/又は、電波強度が設定された閾値よりも低い場合に推定する。以前に読み取りが行えなかった場合だけでなく、無線タグの重なりなどで電波強度が下がり目標無線タグが読みにくい状態でも、電波強度最大の無線タグは読みやすい可能性が高い。そのため、より遠くからでも発見できる可能性がある。電波強度最大の無線タグに近づくことで、電波強度が下がった目標無線タグを読むことができる。即ち、最初から電波強度が下がった目標無線タグを探すのではなく、先ず、目標無線タグ近くの電波強度最大の無線タグを探すことで、作業者は、効率的に目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図である。
図2】無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
図3】第1実施形態の無線タグリーダの過去の棚卸結果を示す図表である。
図4】第1実施形態の棚卸し対象となる商店の模式図である。
図5図5(A)は第1実施形態の棚卸し処理のフローチャートであり、図5(B)はピックアップ処理のフローチャートである。
図6】第1実施形態の近辺の無線タグの推定及び探索処理のフローチャートである。
図7図7(A)、図7(B)、図7(C)は、第1実施形態に係る無線タグリーダの表示部による画像表示の説明図である。
図8】第1実施形態の変形例に係る棚卸し対象となる商店の模式図である。
図9】第2実施形態の無線タグリーダの過去の棚卸結果を示す図表である。
図10】第2実施形態の棚卸し対象となる商店の模式図である。
図11】第2実施形態の近辺の無線タグの推定及び探索処理のフローチャートである。
図12図12(A)、図12(B)、図12(C)は、第2実施形態に係る無線タグリーダの表示部による画像表示の説明図である。
図13図13(A)、図13(B)、図13(C)は、第2実施形態の変形例に係る無線タグリーダの表示部による画像表示の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る無線タグリーダについて、図面を参照して説明する。
携帯端末から成る無線タグリーダ10のハードウェア構成は、図1のようになっており、制御部11、記憶部12、通信処理部13、アンテナ14及び外部インタフェース15等を備えている。制御部11は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部12とともに情報処理装置を構成している。
【0020】
また、通信処理部13は、図1に示すように、送信回路13b、受信回路13c等を備えている。送信回路13bは、例えば、キャリア発振器、符号化部、変調部及び増幅器等によって構成されている。キャリア発振器は、所定周波数のキャリア(搬送波)を出力しており、符号化部は、制御部11に接続され、制御部11より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を設定された増幅率で増幅しており、その増幅信号が送信信号としてアンテナ14に出力されるようになっている。
【0021】
また、アンテナ14には、受信回路13cの入力端子が接続されており、アンテナ14によって受信された無線タグ30からの応答波に相当する電波信号(受信信号)は、受信回路13cに入力されるようになっている。受信回路13cは、例えば、増幅器、復調部等によって構成されており、アンテナ14によって受信された受信信号を増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調している。更に、その復調された信号波形に相当する信号を受信データとして制御部11に出力している。このように受信された無線タグ30の応答波のRSSI値は、制御部11により、その測定時刻(受信時刻)に関連付けられて、無線タグIDと共に順次記憶部12に記憶される。
【0022】
また、外部インタフェース15は、管理装置等の図示されない外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。表示部17は、各種の情報の表示を行う。音声出力部18は、音声出力により各種の情報を提供する。
【0023】
ここで、無線タグリーダ10の読取対象となる無線タグ30の電気的構成について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、無線タグ30は、アンテナ31,電源回路32,復調回路33,制御回路34,メモリ35,変調回路36などによって構成されている。電源回路32は、アンテナ31を介して受信した無線タグリーダ10からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路34をはじめとする各構成要素に供給している。
【0024】
また、復調回路33は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路34に出力している。メモリ35は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ30を識別するための識別情報(無線タグID)、或いは無線タグ30の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路34は、メモリ35から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路36に出力する構成をなしており、変調回路36は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナ31から応答波として送信するように構成されている。なお、図1及び図2では、無線タグリーダ10及び無線タグ30の電気的構成の一例を挙げたが、電磁波を媒介として無線通信を行い得る構成であれば公知の他の電気的構成を用いてもよい。
【0025】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、棚卸しの機能と商品のピックアップの機能とを有する。無線タグリーダ10は、読み取れた無線タグを在庫データ(在庫のマスターデータ)から消込むことで棚卸しを行う。商品のピックアップは、例えば、顧客から求められた商品が在庫データ中から指定された際に、無線タグリーダ10は、当該商品に付けられた無線タグを検索する。第1実施形態の無線タグリーダ10は、棚卸し等の際に読み取れかなった無線タグの情報を保持しており、読み取れなかった無線タグの探索が指示された際に、読み取れなかった無線タグの近くにある読み取れた無線タグも探索対象とすることで、読み取れなかった無線タグが過去に読み取れた際に置かれていた場所に作業員を誘導する。更に、商品のピックアップが指示された際に、指示された商品に付けられた無線タグが、前回の棚卸しの際等に読み取れなかった無線タグであった場合、読み取れなかった無線タグの近くにある読み取れた無線タグも探索対象とすることで、読み取れなかった無線タグが過去に読み取れた際に置かれていた場所に作業員を誘導する。
【0026】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索対象の近くにある無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダ10は移動しておらず、向きも変わっていない。そして、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられる。そして、第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くの無線タグに近づいたことを表示部17に表示すると共に、音声出力部18で音声で報知する。これにより、過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、作業者は、過去に探索目標の無線タグのあった場所にたどり着くことができる。そして、作業者は、探索目標の無線タグの付いた商品を目視により確認し、探索目標の無線タグの付いた商品を移動させることで、無線タグの重なりを無くし、或いは、金属部材と接触しないようにして、探索目標の無線タグを無線タグリーダ10で読み取れるようにできる。
【0027】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを複数推定する。そして、推定した複数の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを表示部17及び音声出力部18で報知する。近辺の無線タグを複数検索することで、複数の内の何れかの無線タグを見つけ出すことで、読取可能な範囲が広がり目標の無線タグ近くに効率的にたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0028】
図3は過去の棚卸結果を示す図表であり、図4は棚卸し対象となる商店の模式図であり、図5(A)は棚卸し処理のフローチャートであり、図5(B)はピックアップ処理のフローチャートであり、図6は、近辺の無線タグの推定及び探索処理のフローチャートである。
図3に示す様に、第1実施形態の無線タグリーダ10は、記憶部12に棚卸しの際の読取時刻、無線タグID、電波強度(受信信号強度RSSI)を記憶している。ここで、無線タグID11111111が今回の棚卸しの際に読み取れなかった場合、探索対象無線タグとし、探索対象の近くにある無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内(例えば前後数百ミリセカンド以下)であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度(例えば±2dBm)であることに基づき推定する。ここでは、探索目標の無線タグID11111111は、読取時刻が17:32:35.125で、受信信号強度RSSIが-63dBmである。このため、探索目標の無線タグID11111111の読取時刻が17:32:35.125の前後数百ミリセカンド以下で、且つ、受信信号強度RSSI-63dBmの±2dBm以内の、無線タグID3333333(受信信号強度RSSI-65dBm)、及び、無線タグID5555555(受信信号強度RSSI-64dBm)が探索対象無線タグの近くにある無線タグと推定され、探索対象とされる。
【0029】
図4は棚卸し対象となる商店の模式図である。
商店内には多くのTシャツが展示されている。ここで、T1が探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)の付けられたTシャツで、T2が探索対象無線タグの近くにある無線タグ(第2の探索対象:無線タグID3333333)の付けられたTシャツ、T3が探索対象無線タグの近くにある無線タグ(第3の探索対象:無線タグID5555555)の付けられたTシャツである。TNが非探索対象の無線タグが付けられたTシャツである。
【0030】
探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)の付けられたTシャツT1を探索する際に、探索対象無線タグの付けられたTシャツT1の近くにあるTシャツT2に付けられた無線タグ(第2の探索対象:無線タグID3333333)、探索対象無線の近くにあるTシャツT3に付けられた無線タグ(第3の探索対象:無線タグID5555555)を探索対象にする。これによって、探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)が何らかの事情(無線タグ同士の重なり、無線タグが金属に触れている、故障)などで読み取れ無くなっても、探索対象の近くのTシャツT2、TシャツT3に付けられた無線タグを探索することで、探索対象無線タグの付けられたTシャツT1の近くまで作業者を誘導することができる。これにより、探索対象無線タグが読めなくても作業者がTシャツT1を目視できるところまで案内できる。棚卸し作業中であれば、作業者が、読み取れ無くなった状態を改めることで、例えば、商品をずらして無線タグ同士の重なりを解消、或いは、無線タグを金属に触れないようにすることで、探索対象無線タグが読めるようになり、消込みが行える。例え、探索対象無線タグが故障していても、作業者が無線タグリーダ10に手動入力することで、消込みが行える。
【0031】
図5(A)は棚卸し処理のフローチャートである。
無線タグリーダ10は、作業者により棚卸し処理が指示されると(S12:Yes)、在庫データ(在庫のマスターデータ)を読み込む(S14)。そして、読み取った各無線タグに対して、無線タグリーダ10は、図3中に示されたように読取時刻、無線タグID、受信信号強度RSSIを記憶し(S16)、読み取れた無線タグを在庫のマスターデータから消込む(S18)。S16、S18の処理が、作業者により棚卸し終了が指示されるまで(S20:No)繰り返される。作業者により棚卸し終了が指示されると(S20:Yes)、図1中に示される表示部17に、読み取れなかった無線タグの付けられた商品の一覧表示が成される(S22)。
【0032】
図5(B)はピックアップ処理のフローチャートである。
無線タグリーダ10は、作業者によりピックアップ処理が指示されると(S24:Yes)、在庫データ(在庫のマスターデータ)に保持された商品リスト中の商品の一覧を図1中に示される表示部17に表示する。そして、作業者によりピックアップ商品が指定されると(S26:Yes)、ピックアップ商品に付けられた無線タグが、前回読み取れたか、また、無線タグの受信信号強度RSSIが低く、読み取りが困難か判断する(S27)。ここで、無線タグが前回読み取れた場合であって、受信信号強度RSSIが所定閾値よりも高く読み取りが困難では無い場合(S27:No)、当該無線タグの通常のピックアップ探索が行われる(S28)。他方、前回読み取れなかったか、また、無線タグの受信信号強度RSSIが所定閾値よりも低く、読み取りが困難な場合(S27:Yes)、図6に示す処理に移行する。
【0033】
図6は、図5(A)の棚卸し処理、図5(B)のピックアップ処理に続く、第1実施形態の近辺の無線タグの推定及び探索処理のフローチャートである。
図5(A)の棚卸し処理のS22で、図1中に示される表示部17に、読み取れなかった無線タグの付けられた商品の1又は2以上の一覧表示が成される。作業者により複数の商品中、いずれかの商品が指定されると、指定された商品に取り付けられた無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(図6のS32)。また、読み取れなかった無線タグが一つの場合、読み取りができなかった無線タグの付いた商品が作業者により指定されると、同様に、商品に付けられた読み取りができなかった無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(S32)。
【0034】
図5(B)のピックアップ処理の(S27:Yes)で、ピックアップ指示された商品に付けられた無線タグが、前回読み取れなかったか、また、読み取れたが無線タグの受信信号強度RSSIが所定閾値よりも低く、読み取りが困難な場合、ピックアップ指示された商品に付けられた無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(図6のS32)。
【0035】
S34で、図3を参照して上述した過去の棚卸結果のデータが検索される。以降のS36~S40の処理で、棚卸結果のデータを元に、第1の探索対象に近くにある2個の無線タグ(第2の探索対象、第3の探索対象)が推定される。過去の棚卸結果のデータ中無線タグが一ずつ判断対象とされ、先ず、判断対象とされた無線タグが、第1の探索対象の無線タグと同一の型番かが判断される(S36)。同一の型番の場合、判断対象の無線タグが第1の探索対象の無線タグと同一、又は、近似する大きさであると推定する。即ち、第1実施形態では、電波強度(受信信号強度RSSI)に基づき探索目標の無線タグの近くにあるか否か推定するが、無線タグの大きさによって電解強度がばらつくため、大きさが同一又は近似する無線タグのみを判断対象とするためである。同一の型番では無い場合(S36:No)、S34に戻り、棚卸結果のデータ中の次の無線タグが判断対象とされる。
【0036】
同一の型番の場合(S36:Yes)、判断対象の無線タグが、第1の探索対象の無線タグの過去読取時刻から閾値時間内(例えば、前後500ミリ秒)の短時間で読み取りが行われたかが判断される(S38)。過去読取時刻から閾値時間を超える場合(S38:No)、S34に戻り、棚卸結果のデータ中の次の無線タグが判断対象とされる。他方、過去読取時刻から閾値時間内の場合(S38:Yes)、判断対象の無線タグのRSSI値が第1の探索対象の無線タグの過去読み取りのRSSI値から所定閾値(例えば±2dBm)内の近似する値であるかが判断される(S39)。RSSI値が近似しない値の場合(S39:No)、S34に戻る。RSSI値が近似する値の場合(S39:Yes)、第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグとされる(S40)。ここでは、2個の近辺にある無線タグが探索対象とされる。このS38、S39の処理により、図3を参照して上述したように、第1探索対象の無線タグID11111111の読取時刻が17:32:35.125の前後数百ミリセカンド以下で、且つ、受信信号強度RSSI-63dBmの±2dBm以内の、無線タグID3333333(受信信号強度RSSI-65dBm)、及び、無線タグID5555555(受信信号強度RSSI-64dBm)が探索対象無線タグの近くにある無線タグと推定され、探索対象とされる。
【0037】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダ10は移動しておらず、向きも変わっていない。そして、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられるからである。
【0038】
以降のS42、S44で、第1の探索対象に近くにある第2の探索対象、第3の探索対象が探索処理される。先ず、第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグが通常探索され、RSSI値が求められる(S42)。そして、第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグのRSSI値に基づき、第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグに近づいていることが報知される(S44)。
【0039】
図7は、無線タグリーダ10の表示部17による画像表示の説明図である。
図7(A)は、表示部17に表示された通常探索開始時の第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1、第2の探索対象の無線タグのRSSI値TG2、第3の探索対象の無線タグのRSSI値TG3を示している。読み取り不能な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグも無線タグリーダ10から距離が遠く、RSSI値TG2、TG3は相対的に低い。図7(B)は、作業者が第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグに近づいた際の表示部17の画像表示である。読み取り不能な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグに無線タグリーダ10から距離が近くなり、RSSI値TG2、TG3は相対的に高く表示されている。このようにして、第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグに近づいていることが報知される。図7(C)は、作業者が第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグに最も近づいた際の表示部17の画像表示である。読み取り不能な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグ、第3の探索対象の無線タグが無線タグリーダ10から至近距離になり、RSSI値TG2、TG3は最高に高く表示されている。この図7(C)の表示部17の画像表示が表示される時、図4を参照して上述したように第2の探索対象の無線タグの付けられたTシャツT2、第3の探索対象の無線タグ付けられたTシャツT3の近辺に置かれた第1の探索対象の無線タグの付けられたTシャツT1は、作業者により目視可能である。ピックアップ処理の場合、ここで処理が終了する。
【0040】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、表示部17の画像表示と共に、音声出力部18からの音声により第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグに近づいていることを報知する。例えば、第2の探索対象無線タグ、第3の探索対象無線タグに近づくのに伴い、短く繰り返されたブザー音が、段々長くなって音声出力される。報知は、表示部17、音声出力部18を介して作業者のみならず、外部インタフェース15を介して図示されない外部機器に対しても行われる。
【0041】
棚卸し処理の場合、第1の探索対象の無線タグの付けられたTシャツT1を確認した作業者は、読み取れ無くなって状態を改めることで、例えば、商品をずらして無線タグ同士の重なりを解消、或いは、無線タグを金属に触れないようにすることで、探索対象無線タグが読めるようにする。これにより、第1の探索対象の無線タグが検出できたかのS46の判断がYesとなり、読み取れるようになった第1の探索対象の無線タグの消込みが行われる(S48)。
【0042】
第1実施形態の無線タグリーダ10では、過去の履歴により探索目標の無線タグの近くの無線タグを探索対象(推定した無線タグ)とし、探索目標の無線タグの近くの無線タグに近づいたことを画像表示及び音声で報知する。これにより、過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、作業者は、過去に探索目標の無線タグのあった場所にたどり着くことができる。そして、作業者は、探索目標の無線タグの付いた商品を目視により確認し、探索目標の無線タグの付いた商品を移動させることで、無線タグの重なりを無くし、或いは、金属部材と接触しないようにして、探索目標の無線タグを無線タグリーダで読み取れるようにできる。また、電波の送受範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。更に、加速度センサ、GPS等の位置検出装置を備えなくても、無線タグリーダは探索目標の無線タグを読み取ることができる。
【0043】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が、探索目標の無線タグが読み取れた電波強度から所定値以内の近似する強度であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダは移動しておらず、向きも変わっていない。そして、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0044】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを複数、過去の履歴に基づき推定し、推定した複数の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。近辺の無線タグを複数検索し、複数の内の何れかの無線タグを見つけ出すことで、読取可能な範囲が広がり目標の無線タグ近くに効率的にたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。倉庫等の広い場所での探索で電波到達範囲が狭く(数メートル)目標無線タグの読取可能範囲が相対的に狭い場合でも、複数無線タグを探索することで読取可能範囲が広がり、探索の効率が向上する。
【0045】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、在庫のマスターデータとの照合を行い、読み取れた無線タグの消込みを行う消込み処理機能を有する。そして、無線タグリーダ10は、読み取れない無線タグを探索目標の無線タグとし、探索目標の無線タグの近くにある無線タグを、過去の履歴に基づき推定できる。このため、棚卸しの際に読み取れなかった無線タグを探索目標の無線タグとして、探索目標の無線タグの近くの無線タグを探し出すことで、作業者は、探索目標の無線タグを探し出し、効率的に棚卸しを行うことができる。
【0046】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを表示部17に表示することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。このため、作業者は、表示部の電波強度が高くなる方へ移動することで、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0047】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある無線タグの電波強度が高くなったことを音声出力部18で音声出力することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。作業者は、音声に従い電波強度が高くなる方へ移動することで、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0048】
第1実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある同一又は近似する大きさの無線タグを、過去の履歴、及び、同一無線タグ型番か否かに基づき推定する。無線タグの大きさによって電解強度がばらつくため、大きさが同一又は近似する無線タグの内で、電波強度も近似していれば、目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを容易に見つけ出すことができる。
【0049】
[第1実施形態の変形例]
図8は第1実施形態の変形例に係る棚卸し対象となる商店の模式図である。
第1実施形態の変形例では、読み取りができなかった探索無線タグ(第1の探索対象の無線タグ)の近くにある無線タグとして、3個の第2の探索対象の無線タグ(TシャツT2の無線タグ)、第3の探索対象の無線タグ(TシャツT3の無線タグ)、第4の探索対象の無線タグ(TシャツT4の無線タグ)が推定され、そして、探索対象とされる。円C2は第2の探索対象のTシャツT2の無線タグの探索可能範囲(電波の送受信可能な範囲)、円C3は第3の探索対象のTシャツT3の無線タグの探索可能範囲、円C4は第4の探索対象のTシャツT4の無線タグの探索可能範囲を示している。作業者は、円C2、円C3、円C4の何れかの探索可能範囲に入ることで、第1の探索対象の無線タグに近づくことが可能になる。第1実施形態の改変例では、倉庫等の広い場所での相対的に狭い読み取り範囲の無線タグを探索することが容易になる。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態の無線タグリーダの機械的構成は図1を参照して上述した第1実施形態と略同一である。このため、図示及び説明は書略され、同一の参照番号が用いられる。第2実施形態の無線タグリーダ10は、第1実施形態の無線タグリーダと同様に棚卸しの機能と商品のピックアップの機能とを有する。
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、識別情報、時刻、電波強度に基づき推定し、そして、推定した電波強度最大の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを表示部17、音声出力部18を介して報知する。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、目標の無線タグの近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、読取可能な範囲が広がり相対的に離れた場所からでも目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。電波の送受可能な範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。
【0051】
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、電波強度最大であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダは移動しておらず、向きも変わっていないので、電波強度最大の無線タグは目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0052】
図9は過去の棚卸結果を示す図表であり、図10は棚卸し対象となる商店の模式図である。図9に示す様に、第2実施形態の無線タグリーダ10は、記憶部12に棚卸しの際の読取時刻、無線タグID、電波強度(受信信号強度RSSI)を記憶している。ここで、無線タグID11111111が今回の棚卸しの際に読み取れなかった場合、探索対象無線タグとし、探索対象の近くにある電波強度最大の無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内(例えば前後数百ミリセカンド以下)であることに基づき推定する。ここでは、探索目標の無線タグID11111111は、読取時刻が17:32:35.125である。このため、探索目標の無線タグID11111111の読取時刻が17:32:35.125の前後数百ミリセカンド以下で、電波強度最大の無線タグID3333333(受信信号強度RSSI-35dBm)が探索対象無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグと推定され、探索対象とされる。
【0053】
図10は棚卸し対象となる商店の模式図である。
商店内には多くのTシャツが展示されている。ここで、T1が探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)の付けられたTシャツで、T2が探索対象無線タグの近くにある無線タグ(第2の探索対象:無線タグID3333333)の付けられたTシャツである。TNが非探索対象の無線タグが付けられたTシャツである。
【0054】
探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)の付けられたTシャツT1を探索する際に、探索対象無線タグの近くにあるTシャツT2に付けられた電波強度最大の無線タグ(第2の探索対象:無線タグID3333333)を探索対象にする。これによって、探索対象無線タグ(第1の探索対象:無線タグID11111111)が何らかの事情(無線タグ同士の重なり、無線タグが金属に触れている、故障)などで読み取れ無くなっても、探索対象の近くのTシャツT2に付けられた電波強度最大の無線タグを探索することで、探索対象無線タグの付けられたTシャツT1の近くまで作業者を誘導することができる。これにより、探索対象無線タグが読めなくても作業者を目視できるところまで案内できる。棚卸し作業中であれば、作業者が、読み取れ無くなって状態を改めることで、例えば、商品をずらして無線タグ同士の重なりを解消、或いは、無線タグを金属に触れないようにすることで、探索対象無線タグが読めるようになり、消込みが行える。例え、探索対象無線タグが故障していても、作業者が無線タグリーダ10に手動入力することで、消込みが行える。
【0055】
円C1はTシャツT1に付けられた第1の探索対象の無線タグの探索可能範囲(電波の送受信可能な範囲)、円C2はTシャツT2に付けられた第2の探索対象の無線タグの探索可能範囲を示している。ここでは、探索対象の無線タグは無線タグ同士の重なり等の理由で電波強度が下がり、読み取り範囲の円C1は狭くなっている。第2の探索対象の電波強度最大の無線タグの探索可能範囲の円C2は広い。作業者は、円C2の探索可能範囲に入ることで、第1の探索対象の無線タグに近づくことが可能になる。第2実施形態では、倉庫等の広い場所での相対的に狭い読み取り範囲の無線タグを探索することが容易になる。
【0056】
第2実施形態の無線タグリーダ10の棚卸し処理、ピックアップ処理は、図5(A)、図5(B)に示される第1実施形態での処理と同様であるため、図示及び説明が省略される。
【0057】
図11は、第2実施形態の近辺の電波強度最大の無線タグの推定及び探索処理のフローチャートである。
第1実施形態と同様に図5(A)の棚卸し処理のS22で、図1中に示される表示部17に、読み取れなかった無線タグの付けられた商品の1又は2以上の一覧表示が成される。作業者により複数の商品中、いずれかの商品が指定されると、指定された商品に取り付けられた無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(図11のS32)。また、読み取れなかった無線タグが一つの場合、読み取りができなかった無線タグの付いた商品が作業者により指定されると、同様に、商品に付けられた読み取りができなかった無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(S32)。
【0058】
第1実施形態と図5(B)のピックアップ処理の(S27:Yes)で、ピックアップ指示された商品に付けられた無線タグが、前回読み取れなかったか、また、読み取れたが無線タグの受信信号強度RSSIが所定閾値よりも低く、読み取りが困難な場合、ピックアップ指示された商品に付けられた無線タグが、選択された無線タグとして、第1の探索対象とされる(図11のS32)。
【0059】
S34で、図9を参照して上述した過去の棚卸結果のデータが検索される。以降のS36~S40の処理で、棚卸結果のデータを元に、第1の探索対象に近くにある電波強度最大の無線タグ(第2の探索対象)が推定される。過去の棚卸結果のデータ中無線タグが一ずつ判断対象とされ、先ず、判断対象とされた無線タグが、第1の探索対象の無線タグと同一の型番かが判断される(S36)。同一の型番の場合、判断対象の無線タグが第1の探索対象の無線タグと同一、又は、近似する大きさであると推定する。同一の型番では無い場合(S36:No)、S34に戻り、棚卸結果のデータ中の次の無線タグが判断対象とされる。なお、第2実施形態では、S36の判断を省略することも可能である。
【0060】
同一の型番の場合(S36:Yes)、判断対象の無線タグが、第1の探索対象の無線タグの過去読取時刻から閾値時間内(例えば、前後500ミリ秒)の短時間で読み取りが行われたかが判断される(S38)。過去読取時刻から閾値時間を超える場合(S38:No)、S34に戻り、棚卸結果のデータ中の次の無線タグが判断対象とされる。他方、過去読取時刻から閾値時間内の場合(S38:Yes)、判断対象の無線タグのRSSI値が最大であるかが判断される(S39)。RSSI値が最大でない場合(S39:No)、S34に戻る。RSSI値が最大の場合(S39:Yes)、第2の探索対象の無線タグとされる(S40)。このS38、S39の処理により、図9を参照して上述したように、第1探索対象の無線タグID11111111の読取時刻が17:32:35.125の前後数百ミリセカンド以下で、且つ、電波強度最大の無線タグID3333333(受信信号強度RSSI-35dBm)が探索対象無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグと推定され、探索対象とされる
【0061】
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、当該無線タグの電波強度が最大であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダ10は移動しておらず、向きも変わっていないからである。
【0062】
以降のS42、S44で、第1の探索対象、及び、第1の探索対象に近くにある第2の探索対象が探索処理される。先ず、第1の探索対象無線タグ、第2の探索対象無線タグが通常探索され、RSSI値が求められる(S42)。そして、第2の探索対象無線タグのRSSI値に基づき、第2の探索対象無線タグに近づいていることが報知される(S44)。
【0063】
図12は、無線タグリーダ10の表示部17による画像表示の説明図である。
図12(A)は、表示部17に表示された通常探索開始時の第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1、第2の探索対象の無線タグのRSSI値TG2を示している。読み取りが困難な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグも無線タグリーダ10から距離が遠く、RSSI値TG2は相対的に低い。図12(B)は、作業者が第2の探索対象の無線タグに近づいた際の表示部17の画像表示である。読み取りが困難な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグに無線タグリーダ10からの距離が近くなり、RSSI値TG2は相対的に高く表示されている。このようにして、第2の探索対象無線タグに近づいていることが報知される。図12(C)は、作業者が第2の探索対象の無線タグに最も近づいた際の表示部17の画像表示である。電波強度が弱く読み取り困難な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1は低く表示され、第2の探索対象の無線タグが無線タグリーダ10から至近距離になり、RSSI値TG2は最高に高く表示されている。この図12(C)の表示部17の画像表示が表示される時、電波強度が弱く読み取り困難な第1の探索対象の無線タグが読み取られており、第1の探索対象の無線タグの付けられたTシャツT1は目視可能である。ピックアップ処理の場合、ここで処理が終了する。
【0064】
一方、棚卸し処理の場合、電波強度が弱く読み取り困難な第1の探索対象の無線タグに近づくことで、読み取れ(S46:Yes)、読み取れるようになった第1の探索対象の無線タグの消込みが行われる(S48)。他方、近くに寄っても読み取りが行えない無線タグに対しては、第1の探索対象の無線タグの付けられたTシャツT1を確認した作業者は、読み取れ無くなって状態を改めることで、例えば、商品をずらして無線タグ同士の重なりを解消、或いは、無線タグを金属に触れないようにすることで、探索対象無線タグが読めるようにする。これにより、第1の探索対象の無線タグが検出できたかのS46の判断がYesとなり、読み取れるようになった第1の探索対象の無線タグの消込みが行われる(S48)。
【0065】
第2実施形態の無線タグリーダ10では、過去の履歴により探索目標の無線タグの近くの電波強度最大の無線タグを探索対象(推定した無線タグ)とし、探索目標の無線タグの近くの電波強度最大の無線タグに近づいたことを報知する。これにより、過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、作業者は、過去に探索目標の無線タグのあった場所にたどり着くことができる。そして、作業者は、探索目標の無線タグの付いた商品を目視により確認し、探索目標の無線タグの付いた商品を移動させることで、無線タグの重なりを無くし、或いは、金属部材と接触しないようにして、探索目標の無線タグを無線タグリーダで読み取れるようにできる。また、電波の送受範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。更に、加速度センサ、GPS等の位置検出装置を備えなくても無線タグリーダが探索目標の無線タグを読み取ることができる。
【0066】
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、識別情報、時刻、電波強度に基づき推定し、そして、推定した電波強度最大の無線タグを探索することで、探索目標の無線タグに近づいたことを報知する。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、目標の無線タグの近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、読取可能な範囲が広がり相対的に離れた場所からでも目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。電波の送受可能な範囲外の無線タグに対しても目安を持って探索可能である。特に、無線タグの重なりなどで電波強度が下がり目標無線タグが読みにくい状態でも、電波強度最大の無線タグは読みやすい可能性が高い。そのため、より遠くからでも発見できる可能性がある。作業者は、電波強度最大の無線タグに近づくことで、電波強度が下がった目標無線タグを読むことができる。
【0067】
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、当該無線タグが読み取れた時刻が、探索目標の無線タグが読み取れた時間から所定値以内の短時間内であって、且つ、電波強度最大であることに基づき推定する。即ち、目標の無線タグを読んだ前後数百ミリ秒以内に読んだ無線タグであれば、無線タグリーダは移動しておらず、向きも変わっていないので、電波強度最大の無線タグは目標の無線タグの近辺にあると考えられる。過去に読めた目標の無線タグが読めない状態になっても、近辺の電波強度最大の無線タグを検索することで、作業者は、目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを容易に見つけ出すことができる。
【0068】
第2実施形態の無線タグリーダ10は、探索目標の無線タグの近くにある電波強度最大の無線タグを、探索目標の無線タグが、以前に読み取りが行えなかった場合、及び/又は、電波強度が設定された閾値よりも低い場合に推定する。以前に読み取りが行えなかった場合だけでなく、無線タグの重なりなどで電波強度が下がり目標無線タグが読みにくい状態でも、電波強度最大の無線タグは読みやすい可能性が高い。そのため、より遠くからでも発見できる可能性がある。電波強度最大の無線タグに近づくことで、電波強度が下がった目標無線タグを読むことができる。
【0069】
即ち、第2実施形態の無線タグリーダ10は、最初から電波強度が下がった目標無線タグを探すのではなく、先ず、目標無線タグ近くの電波強度最大の無線タグを探すことで、作業者は、効率的に目標の無線タグ近くにたどり着くことができ、目標の無線タグを見つけ出すことが可能になる。
【0070】
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態の変形例では、図11を参照して上述した第2実施形態の電波強度最大の無線タグの推定及び探索処理と、図6を参照して上述した第1実施形態の電波強度が近似する無線タグの推定及び探索処理とが同時に行われる。
図13は第2実施形態の変形例に係る無線タグリーダの表示部による画像表示の説明図である。
【0071】
図13(A)は、表示部17に表示された通常探索開始時の第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1、第2の探索対象の無線タグ(電波強度最大)の無線タグのRSSI値TG2、第3の探索対象の無線タグ(電波強度近似)の無線タグのRSSI値TG3、第4の探索対象の無線タグ(電波強度近似)の無線タグのRSSI値TG4を示している。第2実施形態の変形例での第3の探索対象の無線タグは、第1実施形態の第2の探索対象の無線タグに対応し、第2実施形態の変形例での第4の探索対象の無線タグは、第1実施形態の第3の探索対象の無線タグに対応する。読み取りが困難な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、第2の探索対象の無線タグも無線タグリーダ10から距離が遠く、RSSI値TG2は相対的に低い。第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグも無線タグリーダ10から距離が遠く、RSSI値TG3、TG4はゼロである。図13(B)は、作業者が第2の探索対象の無線タグに近づいた際の表示部17の画像表示である。読み取りが困難な第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであり、近い距離でないと読み取れない第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグも、RSSI値TG3、TG4はゼロである。図12(C)は、作業者が第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグに近づいた際の表示部17の画像表示である。読み取りが行い得ない第1の探索対象の無線タグのRSSI値TG1はゼロであるが、第2の探索対象の無線タグが無線タグリーダ10から至近距離になり、RSSI値TG2は最高に高く表示されている。第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグに近づいているため、第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグのRSSI値TG3、TG4も高まっている。第1の探索対象の無線タグの付近の第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグに近づいているため、作業者は第1の探索対象の無線タグの付けられた商品を視認できる。
【0072】
第2実施形態の変形例では、電波強度最大の無線タグを探索することで、遠くから当該無線タグに近づくことができ、更に、第1の探索対象の無線タグの付近の第3の探索対象の無線タグ、第4の探索対象の無線タグに近づけるため、作業者は第1の探索対象の無線タグの付けられた商品を視認できる。
【0073】
上述した実施形態では、携帯端末は加速度センサ、GPS等の位置検出装置を備えなかった。ここで、位置検出装置を備えることで、目標無線タグ読み取り時刻から数秒後に読んだ無線タグ、さらに、その数秒後に読んだ無線タグも探索対象とすることで、最終目的の無線タグが電波範囲外であっても近づくよう誘導することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…無線タグリーダ
11…制御部
12…記憶部
13…通信処理部
17…表示部
18…音声出力部
30…無線タグ
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