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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094569
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240703BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240703BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G03G21/00 396
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38 801
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211199
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】平澤 由
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB29
2C056EB49
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HK05
2C061HK18
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2H270KA62
2H270LA76
2H270LA80
2H270LA81
2H270LA97
2H270LB01
2H270LB13
2H270LB18
2H270LD08
2H270MF10
2H270MF13
2H270NB04
2H270NB06
2H270NB14
2H270NC06
2H270NC14
2H270NC20
2H270NC21
2H270NC25
2H270ND03
2H270ND15
2H270ND29
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】画像データにより形成された白紙画像に関する有益な情報を、利用者に提供することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】MFP10のコントローラ12は、印刷エンジン18により、画像データに基づいて画像が用紙に形成される場合に、ドットカウンタ24を更新する。コントローラ12は、ドットカウンタ24が更新されていなければ、白紙カウンタ25とトータルページカウンタ22とを共に更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷エンジンと、
メモリと、
コントローラと、
を備え、
前記印刷エンジンは、画像データに基づいて、用紙に画像を形成させることが可能であり、
前記メモリは、
前記印刷エンジンにより画像が形成される用紙枚数を示す通常カウンタと、
前記印刷エンジンにより白紙画像が形成される用紙枚数を示す白紙カウンタと、
前記印刷エンジンにより形成される前記画像データのドット数を示すドットカウンタと、を記憶可能であり、
前記コントローラは、
前記画像データに基づいて1ページ分の画像が用紙に形成される場合に、前記ドットカウンタを更新するドットカウンタ更新処理と、
前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタが更新されていれば、前記通常カウンタのみを更新し、前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタが更新されていなければ、前記白紙カウンタと前記通常カウンタとを共に更新する用紙枚数カウンタ更新処理と、を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メモリは、
前記用紙枚数カウンタ更新処理により、最初に、前記白紙カウンタの更新を開始した日付を示す日付情報を記憶可能であり、
前記コントローラは、
前記用紙枚数カウンタ更新処理により、最初に、前記白紙カウンタの更新を開始した場合、前記日付情報を前記メモリに記憶させる日付情報記憶処理を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記日付情報記憶処理において、前記白紙カウンタの値が初期値である状態で、前記用紙枚数カウンタ更新処理により、前記白紙カウンタの更新を実行したときに、前記日付情報を前記メモリに記憶させる、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
読取部を備え、
前記コントローラは、
前記画像データを受信し、受信した前記画像データに基づいて、前記印刷エンジンに用紙に画像を形成させる第1印刷処理と、
前記読取部により原稿を読み取らせることで画像データを生成し、生成された前記画像データに基づいて、前記印刷エンジンに用紙に画像を形成させる第2印刷処理と、を実行可能であり、
前記コントローラは、前記用紙枚数カウンタ更新処理において、
前記第1印刷処理により用紙に画像を形成し、前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタを更新すると判断した場合、前記白紙カウンタを更新し、
前記第2印刷処理により用紙に画像を形成した場合、前記白紙カウンタを更新しない、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記画像データを受信し、受信した前記画像データに基づいて、前記印刷エンジンに用紙に画像を形成させる第1印刷処理と、
前記画像形成装置とは異なる他の画像形成装置の読取部により原稿を読み取らせることで生成された画像データに基づいて、前記印刷エンジンに用紙に画像を形成させる第2印刷処理と、を実行可能であり、
前記コントローラは、前記用紙枚数カウンタ更新処理において、
前記第1印刷処理により用紙に画像を形成し、前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタを更新すると判断した場合、前記白紙カウンタを更新し、
前記第2印刷処理により用紙に画像を形成した場合、前記白紙カウンタを更新しない、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置と、サーバとを備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
印刷エンジンと、
メモリと、
コントローラと、
を備え、
前記印刷エンジンは、画像データに基づいて、用紙に画像を形成させることが可能であり、
前記メモリは、
前記印刷エンジンにより画像が形成される用紙枚数を示す通常カウンタと、
前記印刷エンジンにより白紙画像がされる用紙枚数を示す白紙カウンタと、
前記印刷エンジンにより形成される前記画像データのドット数を示すドットカウンタと、を記憶可能であり、
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記画像データに基づいて1ページ分の画像が用紙に形成される場合に、前記ドットカウンタを更新するドットカウンタ更新処理と、
前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタが更新されていれば、前記通常カウンタのみを更新し、前記ドットカウンタ更新処理により前記ドットカウンタが更新されていなければ、前記白紙カウンタと前記通常カウンタとを共に更新する用紙枚数カウンタ更新処理と、を実行可能であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記サーバは、
前記用紙枚数カウンタ更新処理により、最初に、前記白紙カウンタの更新を開始した日付を示す日付情報を記憶可能なサーバメモリを備え、
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記用紙枚数カウンタ更新処理により、最初に、前記白紙カウンタの更新を開始した場合、前記日付情報を前記サーバメモリに記憶させるための日付情報記憶処理を実行可能である、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記日付情報記憶処理において、前記白紙カウンタの値が初期値である状態で、前記用紙枚数カウンタ更新処理により、前記白紙カウンタの更新を実行した場合、前記日付情報を前記サーバメモリに記憶させる、ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記日付情報記憶処理において、予め決められた前記サーバに前記日付情報を送信する、ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記日付情報記憶処理において、予め決められた前記サーバからの要求を受けたら、予め決められた前記サーバに前記日付情報を送信する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記サーバメモリは、
前記コントローラは、前記メモリに記憶された制御プログラムを実行することで、前記印刷エンジンに画像を形成させることが可能であり、
前記制御プログラムは、
前記コントローラに、前記用紙枚数カウンタ更新処理による前記白紙カウンタの更新を実行させることができない第1のバージョンと、
前記コントローラに、前記用紙枚数カウンタ更新処理による前記白紙カウンタの更新を実行させることが可能な第2のバージョンと、があり、
前記サーバメモリは、
前記画像形成装置が、前記制御プログラムを、前記第1のバージョンから前記第2のバージョンにアップデータした日付を、前記日付情報として記憶可能である、ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記画像形成装置の前記コントローラは、
前記画像形成装置が起動し、前記画像形成装置が、前記制御プログラムを、前記第1のバージョンから前記第2のバージョンに更新した場合に、前記日付情報を、前記サーバメモリに送信する、ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、用紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷エンジンにより画像が形成された用紙の枚数をカウントすることが可能な画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-88552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置が用紙に対して白紙画像を形成する場合がある。特許文献1では、画像形成装置が白紙画像を形成した場合について何ら記載がない。例えば、何らかの理由で、利用者から白紙画像の枚数に関する情報の開示を要求されても開示可能な情報が存在しなかった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、印刷データにより形成された白紙画像に関する有益な情報を、利用者に提供することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本実施形態に開示された画像形成装置では、印刷エンジンと、メモリと、コントローラと、を備え、印刷エンジンは、画像データに基づいて、用紙に画像を形成させることが可能であり、メモリは、印刷エンジンにより画像が形成される用紙枚数を示す通常カウンタと、印刷エンジンにより白紙画像が形成される用紙枚数を示す白紙カウンタと、印刷エンジンにより形成される画像データのドット数を示すドットカウンタと、を記憶可能である。コントローラは、印刷エンジンにより、画像データに基づいて1ページ分の画像が用紙に形成される場合に、ドットカウンタを更新するドットカウンタ更新処理と、ドットカウンタ更新処理により、ドットカウンタが更新されていれば、通常カウンタのみを更新し、ドットカウンタ更新処理により、ドットカウンタが更新されていなければ、白紙カウンタと通常カウンタとを共に更新する用紙枚数カウンタ更新処理と、を実行可能であることを特徴とする。
【0007】
上記構成では、コントローラは、印刷エンジンにより1ページ分の画像が用紙に形成される場合に、ドットカウンタが更新されていれば、通常カウンタのみを更新する。一方で、コントローラは、ドットカウンタが更新されていなければ、白紙カウンタと通常カウンタとを共に更新する。これにより、画像形成装置は、通常カウンタの値と、白紙カウンタの値とを共にメモリに記憶しておくことが可能になる。このため、印刷エンジンにより形成された白紙画像に関する情報として、白紙画像の枚数と、トータルの用紙枚数といった有益な情報を利用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷エンジンにより形成された白紙画像に関する有益な情報を、利用者に提供することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成システムの構成図である。
図2】ファームウェアを更新する場合の処理を説明するタイミングチャートである。
図3】用紙に画像を形成する場合の処理の手順を説明するフローチャートである。
図4】白紙画像を含む画像の一例を説明する図である。
図5】1ページ分の画像を形成する際の各カウンタの更新を説明する図である。
図6】1ページ分の画像を形成する際の各カウンタの更新を説明する図である。
図7】利用状況ログを説明する図である。
図8】第2実施形態において、用紙に画像を形成する場合の処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1のブロック図である。図1に示す画像形成システム1は、MFP10、管理サーバ30、PC40を備えている。MFP10は、画像形成装置の一例であり、PC印刷、スキャン印刷、FAX送受信処理等の各種の画像形成処理を実行可能な装置である。MFPは、Multifunction Peripheralの略称である。
【0011】
画像形成システム1の利用者は、サービス提供者との間で、課金額に応じて、MFP10に用紙に画像を形成させることができる課金契約を行っている。例えば、この課金契約では、毎月等の所定期間にMFP10により画像が形成された印刷枚数に応じた課金額が発生する。管理サーバ30は、MFP10を管理するサーバであり、管理の一例として後述するように、MFP10のファームウェア20の更新を管理している。これ以外にも、管理サーバ30は、MFP10により画像が形成された用紙の総数や、利用者の課金状況を管理するものであってもよい。
【0012】
MFP10は、コントローラ12、LCD13、メモリ14、入力IF15、通信IF16、スキャナユニット17(読取部の一例)、印刷エンジン18、FAXIF19を主に備えている。IFは、インタフェースの略である。これらの構成要素は、バス11を介して互いに通信可能とされている。
【0013】
MFP10は、通信IF16を介して、管理サーバ30やPC40と通信可能となっている。通信IF16は、LAN(Local Area Networkの略称)及びWAN(Wide Area Networkの略称)を介した通信に使用されるインタフェースである。なお、通信IF16は、無線通信を行うIFであってもよく、有線通信を行うIFであってもよい。また、通信IF16は、USBデバイスとのデータ入出力に用いられるインタフェースであってもよい。
【0014】
LCD13は、MFP10の各種情報を表示する。なお、LCDは、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ等の他の表示方式のディスプレイでもよい。入力IF15は、例えば、ディスプレイと一体的に構成されているタッチパネルである。入力IF15は、ディスプレイ上に表示されたアイコン,ボタン等へのユーザ操作を受け付ける。また、入力IF15は、タッチパネル以外にも、ハードキー等であってもよい。
【0015】
スキャナユニット17は、イメージセンサを備え、原稿に形成された画像を読み取ることで、画像データを生成する部位である。印刷エンジン18は、後述する印刷処理により用紙に画像を形成するユニットである。本実施形態では、印刷エンジン18は、電子写真方式により用紙に画像を形成する。具体的には、印刷エンジン18は、感光ドラムや現像装置である。なお、印刷エンジン18は、インクジェット方式の印刷により用紙に画像を形成する構成であってもよい。FAXIF19は、MFP10を、電話回線やインターネットといったネットワークに接続させて、所定のプロトコルで、MFP10にFAXデータの送受信を行わせるインタフェースである。
【0016】
コントローラ12は、CPUや、ASIC(application specific integrated circuitの略称)、更には複数の論理集積回路により構成されている。メモリ14には、MFP10が実行可能な機能に応じて、複数のファームウェア20が記憶されている。なお、図1には、1つのファームウェア20のみを記載しているが、機能に応じて複数のファームウェアがメモリ14に記憶されていてもよい。本実施形態では、ファームウェア20が制御プログラムの一例である。
【0017】
コントローラ12は、メモリ14に記憶されたファームウェア20を実行することにより、PC印刷、スキャン印刷、FAX送受信の各機能を実行可能である。PC印刷では、PC40から送信された印刷ジョブを用いて用紙に画像を形成させる機能である。なお、印刷ジョブとは、コントローラ12に対して、用紙に画像を形成させるための指示を行うデータであり、詳細は後述する。スキャン印刷は、MFP10に、スキャナユニット17で原稿を読み取ることで形成された画像データを用いて、用紙に画像を形成させる機能である。FAX送受信は、FAXIF19を用いてFAXデータの送受信を行う機能である。また、FAX送受信のうち、FAX受信は、FAXIF19で受信したFAXデータを用いて、画像を用紙に形成させる機能である。なお、本実施形態では、コントローラ12は、各機能「PC印刷」、「スキャン印刷」、「FAX送受信」の全てに対応するファームウェア20をメモリ14に記憶しているが、これに限らず、各機能「PC印刷」、「スキャン印刷」、「FAX送受信」に応じた個別のファームウェアをメモリ14に記憶するものであってもよい。
【0018】
メモリ14には、データ記憶領域21を備える。データ記憶領域21は、不揮発性メモリの一例であり、ファームウェア20等の実行に必要なデータなどを記憶する領域でもある。メモリ14は、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリや、RAM等の揮発性メモリを含んでいる。また、データ記憶領域21には、各種のカウンタ22,23,24,25が記憶されている。なお、各カウンタ22~25の詳細については後述する。
【0019】
メモリ14は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0020】
なお、本明細書では、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ12の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「制御」等の処理は、コントローラ12の処理を表している。コントローラによる処理は、ファームウェア20の実行に従った処理に加え、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ12の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「コントローラ12が行う」のように記載することがある。
【0021】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ12が要求することなくデータを受信するという処理も、「データを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0022】
また、コントローラ12による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。コントローラ12による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0023】
次に、MFP10のファームウェア20を更新する場合の処理を説明する。本実施形態では、PC40が、不図示のメモリに記憶されたプログラムである更新ツール41を実行することで、この更新ツール41を介して、管理サーバ30に記憶されている更新ファイルを、MFP10にダウンロードし、ファームウェア20を更新する。
【0024】
利用者が、PC40を操作することで、更新ツール41を起動させ、更新ツール41にMFP10のファームウェア20の更新チェックを実行させたとする。以下では、更新ツール41を実行するPC40による処理を、単に、PC40の処理として記載する。ステップ10(以下、ステップを「S」と記載する。)で、PC40は、MPF10に対して、現在のファームウェア20のバージョンを示すバージョン情報を要求する。「バージョン情報」は、ファームウェア20のバージョンを示す情報である。この例では、MFP10のメモリ14には、「バージョンA」のファームウェア20が記憶されているものとする。
【0025】
MFP10のコントローラ12は、バージョン情報の要求を受信すると、S12で、メモリ14に記憶されたファームウェア20のバージョン情報をPC40に送信する。PC40は、バージョン情報を受信すると、更新可能なファームウェア20の有無を確認するために、管理サーバ30に更新ファームウェア有無チェック要求を行う。更新ファームウェア有無チェック要求には、PC40が取得したバージョン情報「バージョンA」と、MFP10のモデル名「MFP〇〇」とが含まれている。
【0026】
管理サーバ30は、更新ファームウェア有無チェック要求を受信すると、S14で、サーバメモリ31に記憶された、該当するファームウェア20の更新に関する情報を示すアップデート情報を確認する。サーバメモリ31には、管理対象となる装置毎に、ファームウェア20の更新に関する情報を示すアップデート情報が記憶されている。
【0027】
アップデート情報には、更新対象となるファームウェア20のバージョン情報と、更新の概要とを示す情報を含んでいる。「更新の概要」は、ファームウェア20が更新されることで改良される内容を簡略的に示す情報であり、新機能の追加と、不具合改善とがある。例えば、ファームウェア20が、「バージョンA」から「バージョンB」に更新される場合において、「更新の概要」には、機能「PC印刷」に追加される新機能を示す情報と、機能「PC印刷」の不具合が改善されることを示す情報とが示される場合がある。これ以外にも、アップデート情報32には、更新後のファームウェア20、即ち、最新バージョンのファームウェア20と、MFP10のメモリ14に記憶されている旧バージョンのファームウェア20との差に関する情報を示す相違情報を含んでいてもよい。また、MFP10において、ファームウェア20の更新が既に完了している場合、アップデート情報には、現在のバージョンと最新バージョンとの差がないことを示す情報が、相違情報として含まれていてもよい。
【0028】
なお、管理サーバ30のサーバメモリ31には、管理対象となる装置毎に、ファームウェア20を最新バージョンに更新するための更新ファイルのファイル名も登録されている。なお、更新ファイルは、MFP10が記憶しているファームウェア20の全てを書き換えるためのファイルの他、ファームウェア20の一部を書き換えるためのファイルであってもよい。
【0029】
具体的には、管理サーバ30は、更新ファームウェア有無チェック要求に含まれている、「モデル名」によりMFP10のモデルを特定し、「バージョン情報」により更新対象となるファームウェア20のバージョンを特定する。そして、特定した情報に該当するアップデート情報が、サーバメモリ31に登録されていれば、S15で、該当するアップデート情報を、PC40に送信する。なお、管理サーバ30は、該当するアップデート情報がサーバメモリ31に登録されていなければ、図2で示す処理を終了する。
【0030】
PC40は、アップデート情報を受信すると、S16で、受信したアップデート情報を解析し、S17で解析結果に応じた通知を行う。例えば、PC40は、MFP10に対して、ファームウェア20の更新があることを示す通知画面を不図示のディスプレイに表示させることができる。PC40は、S17で表示されたファームウェア20の更新に関する通知画面上で、更新を許可する操作を受け付けた場合に、S18で、管理サーバ30に対して、更新ファイルの送信要求を行う。なお、PC40は、S16で受信したアップデート情報の解析結果により、ファームウェア20の更新が存在しない場合は、ファームウェア20の更新がないことを示す通知画面を不図示のディスプレイに表示させる。これ以外にも、コントローラ12は、S16でのアップデート情報の解析により、ファームウェア20の更新が存在することを判断すると、S18で、管理サーバ30に対して更新ファイルを要求してもよい。この場合、S17での、アップデートの通知を省略するものであってもよい。
【0031】
管理サーバ30は、PC40から更新ファイルの送信要求を受信すると、S19で、該当する更新ファイルをPC40にダウンロードするダウンロード処理を行う。管理サーバ30は、受信した更新ファイルの送信要求に含まれる情報に基づいて、MFP10のモデル名と、更新後のバージョンを示すバージョン情報とを特定し、サーバメモリ31に記憶されている複数の更新ファイルの中から、特定したモデル名及びバージョン情報に応じた更新ファイルをPC40に送信する。なお、本実施形態では、管理サーバ30が、最新バージョンの更新ファイルを記憶しているものとして説明を行うが、管理サーバ30と通信可能な別のサーバが最新バージョンの更新ファイルを記憶していてもよい。この場合、管理サーバ30は、MFP10からの更新ファイルの送信要求を受信すると、PC40に、別のサーバのアドレスを示すURLを指定し、PC40に、このURLで指定される別のサーバに、該当する最新バージョンの更新ファイルを要求させてもよい。
【0032】
PC40は、更新ファイルを受信すると、S20で、受信した更新ファイルを、MFP10に再ダウンロードするダウンロード処理を実行する。
【0033】
MFP10のコントローラ12は、PC40から更新ファイルフを受信すると、S21で、メモリ14に記憶されているファームウェア20を、受信した更新ファイルを用いて、最新バージョンのファームウェア20に更新する更新処理を実行する。この例では、更新ファイルにより、「バージョンA」のファームウェア20が、「バージョンB」のファームウェアに更新される。本実施形態では、バージョンAのファームウェア20は、後述するS33,S34での白紙カウンタ25の更新に関する処理をコントローラ12に実行させることができないファームウェアである。一方、バージョンBのファームウェア20は、後述するS33,S34での白紙カウンタ25の更新に関する処理をコントローラ12に実行させることができるファームウェア20である。MFP10のコントローラ12は、ファームウェア20の更新が完了すると、MFP10の再起動を実行する。本実施形態では、「バージョンA」が第1のバージョンの一例であり、「バージョンB」が第2のバージョンの一例である。
【0034】
コントローラ12は、更新処理が完了すると、S22で、PC40に、更新処理に関する結果応答を行う。コントローラ12は、S21での更新処理が成功した場合は、更新処理が成功したことを示す情報を含む結果応答を、PC40に送信する。一方、コントローラ12は、S21での更新処理が失敗した場合は、更新処理が失敗したことを示す情報を含む結果応答を、PC40に送信する。
【0035】
PC40は、更新処理に関する結果応答を受信すると、S23で、更新結果通知を管理サーバ30に送信する。PC40は、MFP10からの結果応答に、更新処理が成功したことを示す情報が含まれていれば、S23で、更新処理が成功したことを示す情報を含む更新結果通知を管理サーバ30に通知する。一方、PC40は、MFP10から通知された結果応答に、更新処理が失敗したことを示す情報が含まれていれば、S23で、更新処理が失敗したことを示す情報を含む更新結果通知を管理サーバ30に通知する。この例では、PC40は、S21で更新処理が成功したとして、S23で、更新処理が成功したことを示す情報を含む更新結果通知を管理サーバ30に通知する。
【0036】
本実施形態では、PC40から管理サーバ30に送信される更新結果通知には、MFP10のコントローラ12がS21での更新処理により、ファームウェア20の更新を完了した日付を示す情報が含まれている。例えば、PC40は、S22で、MFP10から通知された結果応答に、更新処理が成功したことを示す情報が含まれていれば、結果応答を受信した日時を示す情報を、ファームウェア20の更新を完了した日付を示す情報として用いる。これ以外にも、MFP10のコントローラ12は、S22での結果応答に、更新処理が成功した日付を示す情報を含ませるものであってもよい。
【0037】
管理サーバ30は、PC40から、更新処理が成功したことを示す情報を含む更新結果通知を受信すると、S24で、今回、更新されたファームウェア20に関する情報を、サーバメモリ31の指定領域に記憶された更新ログ33に登録する。更新ログ33には、更新されたファームウェアに関する情報として、「モデル名」、更新後のバージョンを示す「バージョン情報」、「更新日付情報」とが、関連付けて登録されている。このうち、「更新日付情報」は、MFP10において、ファームウェア20を更新した日付を示す情報である。具体的には、コントローラ12は、S23で、PC40から送信された更新結果通知に含まれるファームウェア20の更新を完了した日付を示す情報を、更新日付情報として更新ログに登録する。
【0038】
この例では、S24の処理により、更新ログ33には、更新日付情報が、MFP10のモデル名「MFP〇〇」と、更新後のバージョンを示すバージョン情報「バージョンB」とに関連付けて登録される。また、その後に、ファームウェア20の更新が行われる都度、管理サーバ30は、S24の処理により、新たにバージョンが更新されたファームウェアに関する情報を、更新ログ33に追加登録していく。例えば、その後に、MFP10のファームウェア20が、「バージョンB」から「バージョンC」に更新される場合は、更新ログ33には、モデル名「MFP〇〇〇」、バージョン情報「バージョンC」、更新日付情報が追加登録されていく。そのため、更新ログ33には、「バージョンB」に関連する情報と、「バージョンC」に関連する情報とがそれぞれ登録された状態になる。本実施形態では、更新日付情報が、日付情報の一例である。本実施形態では、MFP10のコントローラ12は、S22で結果応答をPC40に送信することで、PC40の処理(S23)を介して、S24で、管理サーバ30に更新日付情報を登録させている。そのため、コントローラ12が、S22で実行する処理が、日付情報記憶処理の一例である。
【0039】
次に、MFP10のコントローラ12が、ファームウェア20をバージョンBに更新した後において、課金契約の対象である機能「PC印刷」を実行する場合の処理の手順を、図3を用いて説明する。図4は、MFP10により形成される画像を説明する図である。この例では、MFP10は、PC印刷において、印刷設定「両面印刷」を指定して、図4に示す画像を用紙に形成する。
【0040】
図4で図示するように、印刷ジョブにより、4つの画像G1,G2,G3,G4を、3枚の用紙P1、P2、P3に形成する場合を例示している。3枚の用紙P1~P3において、用紙表面と用紙裏面とを区別するときは、用紙表面の末尾に「a」を付け、用紙裏面の末尾に「b」を付ける。用紙表面P1aと用紙裏面P1bとは1枚目の用紙P1における表面と裏面の関係であり、同様に、用紙表面P2aと用紙裏面P2bとは2枚目の用紙P2における表面と裏面の関係であり、用紙表面P3aと用紙裏面P3bとは3枚目の用紙P3における表面と裏面との関係である。また、用紙表面P1a、用紙裏面P1b、用紙裏面P2b、用紙裏面P3bには、トナー(記録材)を用いて画像G1、G2、G3、G4が形成されている。一方、用紙表面P2a、用紙表面P3aには、トナーを用いて画像が形成されておらず、所謂、白紙画像が形成されている。
【0041】
なお、「用紙表面」、及び「用紙裏面」の用語は、用紙における異なる面を区別するために用いており、第1面、第2面程度の意味として用いている。例えば、機能「PC印刷」において、1枚目の用紙表面P1aに画像G1が形成された後、1枚目の用紙裏面P1bに画像G2が形成される場合の他、1枚目の用紙表面P1aに画像G2が形成された後に、1枚目の用紙裏面P1bに画像G2が形成されるものであってもよい。2枚目の用紙P2及び3枚目の用紙P3においても同様である。
【0042】
図3のS30で、コントローラ12は、PC40から印刷ジョブを受信したか否かを判断する。印刷ジョブを受信していれば(S30:YES)、S31に進み、コントローラ12は、印刷ジョブを解析して、1ページ分の印刷処理を実行する。印刷ジョブには、印刷処理に用いられる各種設定を指定する設定コマンドと、画像データとが含まれている。設定コマンドには、識別情報、印刷設定等を指示するコマンドを含んでいる。識別情報には、印刷ジョブを作成した装置(この例では、PC40)のユーザを識別する情報であるログインユーザ名を含んでいる。印刷設定は、印刷ジョブが作成された際に指定される情報であり、印刷ジョブの名称、印刷ジョブの作成日時、印刷方法の指定(片面印刷、両面印刷)、カラー種別(例えば、カラー印刷、モノクロ印刷)、解像度、明るさ、印刷される文字の文字コードの種類を含む。画像データには、画像の描画を指示する描画コマンドが含まれている。
【0043】
本実施形態では、設定コマンドにより印刷設定「両面印刷」が指定されているため、S31の処理では、まず、1枚目の用紙表面P1aに画像G1が形成される。具体的には、コントローラ12は、印刷ジョブのうち、画像データに含まれる描画コマンドを解析し、RIP処理により1ページ分の画像に応じたラスタデータを生成する。ラスタデータは、画素の座標情報と、画素の色情報とが関連づけられたデータである。このとき、印刷ジョブから解析された設定コマンドのうち、RIP処理に関連する設定を用いて、ラスタデータが生成される。コントローラ12は、生成したラスタデータを用いて、印刷エンジン18に露光処理を実行させる。この露光処理では、各色に対応する感光ドラムの表面にレーザー光を照射することで、静電潜像が形成される。次に、静電潜像が形成された感光ドラムの表面に、対応する色のトナーが塗布されることで、感光ドラムの表面にトナー像が形成される現像処理が行われる。なお、搬送機構により搬送された1枚目の用紙表面P1aに、感光ドラムの表面に形成された各色のトナー像が順次転写され、定着部により用紙に形成された画像が定着されることで、用紙に画像が形成される。
【0044】
S32では、コントローラ12は、ドットカウンタ24の更新処理を行う。ドットカウンタ24は、印刷ジョブに含まれる画像データのドット数をカウントした値である。例えば、コントローラ12は、ラスタデータから、1ページ分の画像を形成するのに必要となるドットの数を算出し、算出されたドットの数をドットカウンタ24の値に追加することで、ドットカウンタ24を更新する。図5に示されるように、トナーを用いて用紙に画像を形成する場合、K(ブラック)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)うち、使用されたトナーに応じたドットカウンタ24が更新されていく(≠+0)。なお、ドットカウンタ24の更新処理は、周知技術であり、本実施形態で記載した方法に限定されず、他の方法で画像データのドット数をカウントしてもよい。
【0045】
S33で、コントローラ12は、メモリ14に記憶されたドットカウンタ24の値が、前回(この例では、1枚目の用紙表面P1aへの画像の形成前)よりも増加していないか否かを判断する。上述のように、ファームウェア20がバージョンAからバージョンBに更新されているため、S33及び後述するS34での白紙カウンタ25を更新するための処理を実行することが可能になる。1枚目の用紙表面P1aに画像G1を形成しているため、ドットカウンタ24の値が増加しており(S33:NO)、コントローラ12は、S35に進む。
【0046】
S35で、コントローラ12は、メモリ14に記憶されているトータルページカウンタ22に「1」を追加する(+1)。後述するが、両面印刷カウンタ23は、1枚目の用紙裏面P1bに画像が形成されることで、値に「1」が追加される。なお、この例では、白紙画像が形成されていないため、S34に進まず、白紙カウンタ25の値は追加されない。本実施形態では、トータルページカウンタ22が通常カウンタの一例であり、コントローラ12が、S34、S35で実行する処理が用紙枚数カウンタ更新処理の一例である。
【0047】
本実施形態では、各カウンタは加算式のカウンタであるため、カウンタを更新するとは、カウント条件が成立することで、カウンタの値を増加させることを意味する。これに限らず、例えば、カウンタが減算式のカウンタであれば、カウンタを更新するとは、カウント条件が成立することで、カウンタの値を減算させることであってもよい。
【0048】
S36で、コントローラ12は、印刷ジョブに、印刷をしていない画像データが存在するか否かを判断する。この例では、印刷をしていない画像データが存在するため(S36:YES)、コントローラ12は、S31に戻る。
【0049】
コントローラ12は、印刷設定「両面印刷」が指定されているため、S31で、印刷ジョブの解析結果に基づいて、1ページ目の用紙裏面P1bに画像G2を形成する。そのため、S32のドットカウンタ更新処理において、ドットカウンタ24の値が増加する。S33で、コントローラ12は、ドットカウンタ24の値が増加しているため(S33:NO)、S35に進み、トータルページカウンタ22に1を追加する。また、印刷設定「両面印刷」が設定されているため、コントローラ12は、S35で両面印刷カウンタ23の値に1を追加する。S36で、コントローラ12は、印刷ジョブに、印刷していない画像データが存在するため(S36:YES)、S31に戻る。
【0050】
S31で、コントローラ12は、印刷ジョブの解析結果に基づいて、2枚目の用紙表面P2aに画像を形成する。この例では、図4に示されるように、2枚目の用紙表面P2aには白紙画像が形成される。図6に示されるように、白紙画像が形成される場合、S32において、コントローラ12は、KYCMの各ドットカウンタ24を更新しない(+0)。そのため、コントローラ12は、S33を肯定判断し(S33:YES)、S34で、白紙カウンタ25の値に1を追加する(+1)。
【0051】
S35では、コントローラ12は、トータルページカウンタ22に1を追加し、S35に進む。S35で、コントローラ12は、印刷ジョブに印刷していない画像データが存在しているため(S36:YES)、S31に戻る。印刷ジョブの解析結果に基づいて、2枚目の用紙裏面P2bに画像G3を形成する場合の処理は、1枚目の用紙裏面P1bに画像G2を形成する場合と同様である。
【0052】
コントローラ12は、印刷ジョブの解析結果に基づいて、3枚目の用紙表面P3aに白紙画像を形成する場合、2枚目の用紙表面P2aに白紙画像を形成する場合と同様の処理が行われる。即ち、コントローラ12は、各色のドットカウンタ24の値が前回よりも増加していないため(S33:YES)、S34で、白紙カウンタ25の値に1を追加する。コントローラ12は、S35の処理で、トータルページカウンタ22の値に1を追加する。なお、3枚目の用紙裏面P3bに画像を形成する場合の処理については、1枚目の用紙裏面P1bに画像を形成する場合と同様である。S36で、印刷ジョブに印刷していない画像データが存在しないため(S36:NO)、コントローラ12は、図3の処理を終了する。
【0053】
次に、MFP10のメモリ14に記憶された白紙カウンタ25の利用方法の一例を説明する。この例では、課金契約を行っている利用者が、PC40を操作することでMFP10の利用状況を確認する場面を例に説明を行う。
【0054】
利用者がPC40を操作ることで、PC40からMFP10に、図7に示す利用状況ログ50の送信要求が行われる。利用状況ログ50は、MFP10の利用状況を示す情報であり、メモリ14に記憶された各カウンタ22,23,25の値が、その総数や、各機能(この例では、PC印刷、FAX送受信、その他)毎に含まれている。
【0055】
PC40とMFP10との通信は、例えば、MIB(Management Information Baseの略称)を使用することで行われる。これ以外にも、PC40から、利用状況ログの送信要求を示すPJLコマンドを送信し、MFP10は、このPJLコマンドを受信すると、利用状況ログ50を送信するものであってもよい。MFP10のコントローラ12が、EWS(Embedded Web Serverの略称)等のWebサーバとして機能することができる構成であれば、PC40から、IPP(Internet Printing Protocolの略称)等の通信規約に応じた通信により、利用状況ログの送信要求を行うものであってもよい。
【0056】
MFP10のコントローラ12は、利用状況ログ50の送信要求を受信すると、メモリ14に記憶された各カウンタ22,23、25の値を読み出し、読み出された各カウンタ22、23、25の値を含む利用状況ログ50を生成する。コントローラ12は、生成した利用状況ログ50を、通信IF16を介してPC40に送信する。PC40は、利用状況ログ50を受信すると、不図示のディスプレイに利用状況ログを表示させる。
【0057】
図7に示されるように、利用状況ログ50には、MPF10が実行した総印刷枚数及びその内訳を示す欄51と、各機能(FAX送受信、PC印刷、その他)における内訳を示す欄52、53、54を含んでいる。具体的には、トータル印刷欄51「Total」は、MFP10で印刷された総印刷枚数と、この総印刷枚数の内訳を示す項目である、カラー印刷「Color」、モノクロ印刷「B&W」、両面印刷「2―Side Print」、白紙画像「Blank Page」での印刷枚数を示している。先頭の総印刷枚数「393ページ」は、各機能の実行時においてS35でカウントされたトータルページカウンタ22の総数である。項目「Color」は、総印刷枚数のうち、S31で解析された印刷設定「カラー印刷」でのトータルページカウンタ22の値を示している。項目「B&W」は、総印刷枚数のうち、S31で解析された印刷設定「モノクロ印刷」でのトータルページカウンタ22の値を示している。項目「2―Side Print」は、総印刷枚数のうち、S35でカウントされた両面印刷カウンタ23の総数を示している。項目「Blank Page」は、総印刷枚数のうち、S34でカウントされた白紙カウンタ25の総数を示している。
【0058】
FAX利用欄52は、機能「FAX送受信」での内訳を示し、先頭には枚数が「0ページ」であることを示している。PC印刷利用欄53は、機能「PC印刷」での内訳を示しており、先頭には枚数が「381ページ」であることを示している。その他利用欄54は、機能「FAX送受信」、「PC印刷」のいずれにも属さない機能での内訳を示し、先頭には枚数が「12ページ」であることを示している。具体的には、PC印刷利用欄53の先頭の枚数は、機能「PC印刷」におけるトータルページカウンタ22の総数である。項目「Color」は、機能「PC印刷」における、印刷設定「カラー印刷」でのトータルページカウンタ22の値である。項目「B&W」は、機能「PC印刷」における、印刷設定「モノクロ印刷」でのトータルページカウンタ22の総数である。項目「2―Side Print」は、機能「PC印刷」における、両面印刷カウンタ23の値である。項目「Blank Page」は、機能「PC印刷」における、白紙カウンタ25の値である。なお、FAX利用欄52、その他利用欄54においても、機能が異なる以外は同様である。
【0059】
なお、図7では、利用状況ログ50には、機能「スキャン印刷」に対応する欄が含まれていないが、機能「スキャン印刷」に対応する欄が含まれていてもよい。また、各欄において、両面印刷は、カラー印刷とモノクロ印刷との両面印刷カウンタ23の値を示しているが、カラー印刷及びモノクロ印刷それぞれの両面印刷カウンタ23の値を示すものであってもよい。
【0060】
利用者は、PC40に表示された利用状況ログ50を参照することで、課金契約がなされている期間でのMFP10の利用状況、特には、項目「Blank Page」の値から白紙画像が形成された枚数を把握することが可能となる。また、利用者が、利用状況ログ50に含まれる項目「Blank Page」のカウントが開始された日付を把握したい場合、PC40を操作することで、管理サーバ30に対して、図2のS24でサーバメモリ31に登録された更新ログ33から、更新日付情報の要求を送信する。この更新日付情報の要求には、管理サーバ30により管理されたPC40を識別するための「モデル名」が含まれている。管理サーバ30は、更新日付情報の要求を受信すると、更新ログから、PC40のモデル名「MFP〇〇」に該当し、かつバージョン情報「バージョンB」に関連付けられた更新日付情報を読み出す。
【0061】
管理サーバ30は、サーバメモリ31から読み出された更新日付情報を、PC40に出力する。PC40は、更新日付情報を受信すると、ディスプレイに更新日付情報を表示させる。これにより、PC40を操作する利用者は、利用状況ログ50のうち、各欄の項目「Blank Page」の運用、即ち、白紙画像のカウントの運用が開始された日付を確認することが可能になる。
【0062】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することが可能である。
MFP10のコントローラ12は、印刷エンジン18により1ページ分の画像を用紙に形成する場合に、ドットカウンタ24が更新されていなければ、通常カウンタであるトータルページカウンタ22を更新する。一方で、コントローラ12は、印刷エンジン18により用紙に画像を形成する場合に、ドットカウンタ24が更新されていれば、トータルページカウンタ22に加えて、白紙カウンタ25を更新する。これにより、MFP10は、印刷エンジン18により形成された白紙画像に関する情報として、白紙画像の枚数と、トータルの用紙枚数といった有益な情報を利用者に提供することができ、例えば、利用者は、白紙画像が形成された割合を計算することが可能になる。
【0063】
管理サーバ30のサーバメモリ31には、MFP10が、ファームウェア20を、バージョンAからバージョンBに更新した日付を、更新日付情報として記憶可能である。これにより、利用者は、管理サーバ30にアクセスして更新日付情報を取得することで、白紙カウンタ25の運用が開始された日付を把握することができる。
【0064】
(第1実施形態の変形例)
上述した実施形態において、MFP10が実行する機能に応じて、図3のS33,S34での白紙カウンタ25の更新に関する処理を実行するか否かを切替えてもよい。スキャナユニット17により原稿を読み取ることで生成された画像データには、画像とは異なるノイズが含まれる場合があり、印刷エンジン18がこのノイズを画像として用紙に形成してしまう場合がある。このような場合に、コントローラ12が、白紙画像であっても、ドットカウンタ24が更新されることで白紙カウンタ25を更新してしまうおそれがある。そのため、コントローラ12は、機能「スキャン印刷」により、原稿を読み取ることで画像データを生成する場合は、白紙カウンタ25を更新しない。
【0065】
また、MFP10は、機能「FAX受信」において、FAXIF19を介して、MFP10とは異なる他の画像形成装置のスキャナユニットにより原稿を読み取らせることで生成されたFAXデータを受信し、このFAXデータを用いて用紙に画像を形成させる場合がある。そのため、上述した機能「スキャン印刷」と同様、FAXIF19により受信したFAXデータには、画像とは異なるノイズが含まれる場合がある。そのため、コントローラ12は、機能「FAX受信」により、原稿を読み取ることで画像データを生成する場合は、白紙カウンタ25を更新しないようにする。
【0066】
この場合において、コントローラ12は、図3のS32を実行した後、現在、機能「スキャン印刷」又は機能「FAX受信」を実行している場合は、S33,S34を実行することなく、そのままS35に進み、トータルページカウンタ22を更新する。即ち、コントローラ12は、機能「PC印刷」を実行する場合は、S33,S34の処理を実行し、機能「スキャン印刷」を実行する場合は、S33,S34の処理を実行しない。本実施形態では、機能「PC印刷」が、第1印刷処理の一例であり、機能「スキャン印刷」や「FAX受信」が、第2印刷処理の一例である。
【0067】
上述の実施形態では、MFP10のファームウェア20を更新する場合に、PC40の更新ツール41を介して、管理サーバ30から更新ファイルをMFP10にダウンロードした。これに代えて、PC40を介することなく、MFP10と管理サーバ30との通信により、管理サーバ30から更新ファイルをMFP10にダウンロードしてもよい。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施形態では、MFP10のメモリ14に、白紙カウンタ25のカウントが開始された日付を示す日付情報が記憶される構成が、第1実施形態と比べて異なる。
【0069】
図8は、本実施形態において、MFP10のコントローラ12が、PC40から送信された印刷ジョブを受信する場合に、実行する処理の手順を説明している。コントローラ12は、PC40から印刷ジョブを受信していれば(S30:YES)、S31に進み、印刷ジョブを解析して、1ページ分の印刷処理を実行する。なお、S31で実行する処理は、第1実施形態で説明済みである。
【0070】
S32では、コントローラ12は、ドットカウンタ24の更新処理を行う。トナーを用いて用紙に画像が形成される場合、各色KYCMのドットカウンタ24の値が更新されていく。一方、白紙画像が形成される場合、ドットカウンタ24の値は更新されない。S33で、コントローラ12は、ドットカウンタ24の値が前回のS31での印刷処理よりも増加していなければ(S33:YES)、コントローラ12は、S34で、白紙カウンタ25の値に1を追加する。
【0071】
S50で、コントローラ12は、白紙カウンタ25の値を初めて更新したか否かを判断する。白紙カウンタ25の値を初めて更新したとは、例えば、白紙カウンタ25が初期値(例えば、「0」)である状態で、白紙画像が形成されることで、ドットカウンタ24が増加していないことが判断され(S33:YES)、S34で、白紙カウンタ25の初期値が異なる値(例えば「1」)になった場合である。
【0072】
コントローラ12は、白紙カウンタ25の値を初めて更新したと判断すると(S50:YES)、S51に進み、現在の日付を示す情報を、白紙カウンタ25の運用を開始した日付を示す運用開始日付情報としてメモリ14に登録する。
【0073】
なお、S51で登録される運用開始日付情報は、MFP10が出力可能な利用状況ログ50のうち、項目「Blank Page」に関連づけて、メモリ14に登録されてもよい。これ以外にも、運用開始日付情報は、管理サーバ30が、第1実施形態で説明した更新日付情報と同様、MFP10を識別するモデル名と、アップデート後のファームウェア20のバージョン情報と、に関連付けてメモリ14に登録されてもよい。例えば、その後に、MFP10のファームウェア20が、「バージョンB」から「バージョンC」に更新された場合も、コントローラ12は、S51の処理により、新たな運用開始日付情報をサーバメモリ31に追加登録していく。
【0074】
なお、コントローラ12は、S50で、白紙カウンタ25の値を初めて更新したと判断しない場合(S50:NO)、運用開始日付情報をメモリ14に登録することなく、S35に進む。この場合、運用開始日付情報はメモリ14に登録済みであるため、新たに運用開始日付情報をメモリ14に登録する必要がないためである。
【0075】
S35では、コントローラ12は、トータルページカウンタ22、必要な場合は両面印刷カウンタ23に1を追加し、S36に進む。S36で、コントローラ12は、印刷ジョブに印刷していない画像データが存在していれば(S36:NO)、S31に戻る。一方、コントローラ12は、印刷ジョブに印刷していない画像データが存在していなければ(S36:YES)、図8の処理を終了する。
【0076】
次に、MFP10のメモリ14に登録された運用開始日付情報を、管理サーバ30に登録させる場合の処理を説明する。MFP10のコントローラ12は、図8の処理を終了後、予め決められたサーバである管理サーバ30に、メモリ14に登録した運用開始日付情報を、通信IF16を介して送信する。管理サーバ30は、運用開始日付情報を受信すると、受信した運用開始日付情報をサーバメモリ31に登録する。即ち、本実施形態では、MFP10のコントローラ12は、白紙カウンタ25の値が初期値である状態で、白紙カウンタ25を更新した場合に、運用開始日付情報を管理サーバ30のサーバメモリ31に記憶させる日付情報記憶処理を実行すること可能である。
【0077】
以上説明した本実施形態では、MFP10のコントローラ12は、白紙画像が形成されることで、最初に、白紙カウンタが更新された場合に、この日付を示す運用開始日付情報をメモリ14に登録する。これにより、利用者は、MFP10にアクセスするだけで、このMFP10が出力可能な利用状況ログ50のうち、項目「Blank Page」に関連づけて、白紙カウンタ25の運用が開始された日付を把握することが可能になり、白紙カウンタ25の値をいっそう有効活用することができる。
【0078】
コントローラ12は、白紙カウンタの値が初期値である状態で、白紙カウンタ25の更新を実行した場合に、運用開始日付情報をメモリ14に登録する。これにより、利用者は、白紙カウンタ25の値が初期値から更新された日付を把握することが可能になる。
【0079】
MFP10のコントローラ12は、白紙カウンタ25の更新を最初に開始した日付を示す運用開始日付情報を、サーバメモリ31に記憶させる。これにより、利用者は、管理サーバ30へアクセスして運用開始日付情報を取得することで、白紙カウンタ25の更新を開始した日付を把握することが可能となる。
【0080】
(その他の実施形態) 本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述の実施形態では、MFP10が、両面印刷を行う場合を例に説明を行った。これに限らず、MFP10が片面印刷を行う場合において、白紙画像が形成されると、白紙カウンタ25を更新してもよい。
【0081】
上述の実施形態では、画像形成装置として、MFP10を例に説明を行った。これに代えて、画像形成装置は、スキャナユニット17を備えていない印刷装置であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…MFP、12…コントローラ、14…メモリ、18…印刷エンジン、19…FAXIF、20…ファームウェア、22…トータルページカウンタ、24…ドットカウンタ、25…白紙カウンタ、30…管理サーバ、40…PC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8