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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094571
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ウイルス除去装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 31/00 20060101AFI20240703BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A62B31/00
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211202
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503263953
【氏名又は名称】有限会社 ノイエス
(71)【出願人】
【識別番号】504143555
【氏名又は名称】三喜右衛門有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新里 徹
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真幹
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA20
2E185CA03
(57)【要約】
【課題】ウイルスの飛沫感染の拡大を防止するウイルス除去装置に関する技術を提供する。
【解決手段】ウイルス除去装置は、着用者の口及び鼻を被覆可能であると共に、空気の流通を遮断するマスク部と、マスク部に設けられ、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間内に空気を供給する給気口と、マスク部に設けられ、空間内の空気を排出する排気口と、排気口に接続され、前記排気口から空気を排出する排出経路と、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間内に空気を、排出経路から排出するように流通させる流通機構と、排出経路を通過する空気に含まれるウイルスを除去するウイルス除去機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の口及び鼻を被覆可能であると共に、空気の流通を遮断するマスク部と、
前記マスク部に設けられ、前記着用者の口及び鼻と前記マスク部との間の空間内に空気を供給する給気口と、
前記マスク部に設けられ、前記空間内の空気を排出する排気口と、
前記排気口に接続され、前記排気口から空気を排出する排出経路と、
前記空間内の空気を、前記排出経路から排出するように流通させる流通機構と、
前記排出経路を通過する空気に含まれるウイルスを除去するウイルス除去機構と、
を備える、ウイルス除去装置。
【請求項2】
前記流通機構は、前記排出経路に設けられ、前記空間内から空気を吸引する吸引装置を備える、請求項1に記載のウイルス除去装置。
【請求項3】
前記流通機構は、前記給気口に前記マスク部の外部の空気を送る送気装置を備える、請求項1に記載のウイルス除去装置。
【請求項4】
前記送気装置が、ファンである、請求項3に記載のウイルス除去装置。
【請求項5】
前記ウイルス除去機構は、前記排出経路を通過する空気に紫外線を照射する紫外線照射装置を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のウイルス除去装置。
【請求項6】
前記紫外線照射装置は、前記排出経路を通過する空気を収容する紫外線照射ボックスと、前記紫外線照射ボックス内に収容される空気に紫外線を照射する紫外線照射灯と、を備える、請求項5に記載のウイルス除去装置。
【請求項7】
前記排出経路は、容積の異なる複数種類の紫外線照射ボックスのうちの1つを設置可能に構成されている、請求項6に記載のウイルス除去装置。
【請求項8】
前記紫外線照射ボックスは、少なくとも内表面が金属又はセラミックによって形成されている、請求項6に記載のウイルス除去装置。
【請求項9】
前記ウイルス除去機構は、前記排出経路を通過する空気に次亜塩素酸水を噴霧する次亜塩素酸水噴霧装置を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のウイルス除去装置。
【請求項10】
前記ウイルス除去機構は、前記排出経路を通過する空気にアルコールを噴霧するアルコール噴霧装置を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のウイルス除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、ウイルス除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスの飛沫感染を防止し、また感染の拡大を防止することを目的として、マスクが着用される。マスクの着用者がマスクで口及び鼻を覆うと、マスクがフィルターとなって、着用者が吸気とともに体内に吸入するウイルスを含むエアロゾルの量が減少し、又、着用者が呼気とともに大気中に排出するウイルスを含むエアロゾルの量が減少する。なお、ウイルスは極小の飛沫であるエアロゾルの中にあって大気中を漂う。マスクの種類としては、布マスク、不織布マスク等が知られている。例えば、特許文献1には、不織布マスクの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/151058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
径が5μm未満のエアロゾルは軽いので長い時間大気中に浮遊するが、これらのエアロゾルのうち、径が1μm未満のエアロゾルはまもなく水分を失うので、これに含まれていたウイルスは無力化される。従って、口や鼻から吸引し、気管支の末端にある肺胞まで到達してウイルス感染を成立させるのは、径がおおよそ1~5μmのウイルスを含むエアロゾルであると考えられる。
【0005】
ウイルス感染を成立させるエアロゾルの径は、おおよそ1~5μmであるから、理論的には不織布マスクや布マスクの繊維の隙間の大きさは1μm未満であるべきである。しかしながら、マスクの繊維の隙間が小さいほど、空気の流れに対するマスクの抵抗は大きくなる。従って、繊維の隙間が小さいマスクを着用すると、十分な換気量を確保するためには、呼吸筋に余分な仕事を強いなければならなくなる。
【0006】
マスクの性能は、径が0.3μmの試験粒子の捕集率で示す。例えば、試験粒子を95%以上、捕集できるマスクをN95マスクと称する。N95マスクは目が細かいため、エアロゾルの通過をほぼ完全に阻止する。しかしながら、目の細かいマスクは空気の流通も制限するため、N95マスクの着用時には十分な換気量を確保するために、呼吸筋に余分な仕事を強いなければならなくなる。すなわち、努力呼吸が必要となる。しかし、たとえそうであっても、医療機関の感染区画では、N95マスクを使用せざるを得ない。一方、市中で一般に使用されている不織布マスクや布マスクの繊維の隙間は5μm程度である。このようなマスクでは空気の流通の制限はごくわずかなので、たとえマスクを着用していたとしても、努力呼吸をしなくても十分な換気量が確保される。しかし、その場合には、エアロゾルを通過させてしまう。
【0007】
本明細書は、ウイルスの飛沫感染の拡大を防止するためのウイルス除去装置に関する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示する技術の第1の態様では、ウイルス除去装置は、着用者の口及び鼻を被覆可能であると共に、空気の流通を遮断するマスク部と、マスク部に設けられ、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間内に空気を供給する給気口と、マスク部に設けられ、空間内の空気を排出する排気口と、排気口に接続され、排気口から空気を排出する排出経路と、当該空間内の空気を、排出経路から排出させるように流通させる流通機構と、排出経路を通過する空気に含まれるウイルスを除去するウイルス除去機構と、を備える。
【0009】
上記のウイルス除去装置では、流通機構により、給気口、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口、排出経路の順で空気が流れ、排出経路から排出された空気からは、ウイルス除去機構により空気中のウイルスが除去される。これにより、呼気に含まれるウイルスを除去した状態で、着用者の呼気を外部に排出することができる。このため、呼気に含まれるウイルスを外部に放出することを防止することができ、着用者から他者にウイルスを感染させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るウイルス除去装置の概略構成を示す図。
図2】実施例2に係るウイルス除去装置の概略構成を示す図。
図3】実施例3に係るウイルス除去装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書に開示する技術の第2の態様では、上記の第1の態様における流通機構は、排出経路に設けられ、着用者の口及び鼻と前記マスク部との間の空間から空気を吸引する吸引装置を備えていてもよい。このような構成によると、マスク部の外部の空気を、給気口、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口、排出経路の順で適切に流すことができる。
【0013】
本明細書に開示する技術の第3の態様では、上記の第1の態様における流通機構は、給気口にマスク部の外部の空気を送る送気装置を備えていてもよい。送気装置は、ファンであってもよい。このような構成でも、マスク部の外部の空気を、供給管、給気口、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口、排出経路の順で適切に流すことができる。
【0014】
本明細書に開示する技術の第4の態様では、上記の第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ウイルス除去機構は、排出経路を通過する空気に紫外線を照射する紫外線照射装置を備えていてもよい。このような構成によると、排出経路を通過する空気(すなわち、マスク部の外部に排出される呼気を含む空気)に含まれるウイルスを適切に除去することができる。
【0015】
本明細書に開示する技術の第5の態様では、上記の第4の態様における紫外線照射装置は、排出経路を通過する空気を収容する紫外線照射ボックスと、紫外線照射ボックス内に収容される空気に紫外線を照射する紫外線照射灯と、を備えていてもよい。また、排出経路は、容積の異なる複数種類の紫外線照射ボックスのうちの1つを設置可能に構成されていてもよい。このような構成によると、着用者の体格に応じて紫外線照射ボックスの容積を変えることにより、マスク部の空間内を通過してきた呼気を含む空気が、適切な時間(例えば、30秒以上)をかけて紫外線照射ボックスを通過するようにすることができる。
【0016】
本明細書に開示する技術の第6の態様では、上記紫外線照射ボックスは、少なくとも内表面が金属又はセラミックによって形成されていてもよい。このような構成によると、紫外線照射ボックスの内表面が紫外線によって劣化することを抑制することができる。
【0017】
本明細書に開示する技術の第7の態様では、上記の第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ウイルス除去機構は、排出経路を通過する空気に次亜塩素酸水を噴霧する次亜塩素酸水噴霧装置を備えていてもよい。このような構成でも、排出経路を通過する空気に含まれるウイルスを適切に除去することができる。
【0018】
本明細書に開示する技術の第8の態様では、上記の第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ウイルス除去機構は、排出経路を通過する空気にアルコールを噴霧するアルコール噴霧装置を備えていてもよい。このような構成でも、排出経路を通過する空気に含まれるウイルスを適切に除去することができる。
【実施例0019】
(実施例1)
図面を参照して、本実施例に係るウイルス除去装置100について説明する。図1に示すように、ウイルス除去装置100は、マスク10と、排出管20と、吸引装置22と、紫外線照射装置30を備えている。
【0020】
マスク10は、ウイルス除去装置100の着用者の口及び鼻を覆うような形状を有している。以下では、ウイルス除去装置100の着用者を、マスク10を着用するため単に「着用者」と称することがある。マスク10は、空気を通さない材料で形成され、例えば、プラスチックで形成されている。マスク10は、ドーム状であり、マスク10の端部は、着用者がマスク10を装着したときに、着用者の口及び鼻の周囲に密着する形状を有している。着用者がマスク10を装着すると、マスク10と着用者との間に所定の容積の空間(以下、マスク10内の空間ともいう)が設けられると共に、マスク10内の空間とマスク10の外部との間で空気の流通が遮断される。
【0021】
マスク10には、給気口12と排気口14が設けられている。そして、排気口14において、マスク10と排出管20とは連通している。なお、給気口12及び排気口14の位置は、特に限定されない。後述するように、給気口12からマスク10内の空間に空気が供給され、排出管20を通して排気口14からマスク10内の空間の空気が排出される。
【0022】
排出管20は、一方の端部が排気口14に接続しており、他方の端部が吸引装置22に接続している。吸引装置22は、排出部24を備えており、排出管20内の空気を吸引して排出部24から排出するように構成されている。本実施例では、吸引装置22は、ポンプである。吸引装置22で排出管20内の空気を吸引することにより、排出管20内の空間を介してマスク10内の空気が排気口14から吸引される。吸引装置22で排出管20内の空気を吸引することにより、マスク部の外部の空気が、給気口12、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口14、排出管20の順で流れる。
【0023】
紫外線照射装置30は、排出管20の中間に設けられている。紫外線照射装置30は、紫外線照射ボックス32と、紫外線照射灯34を備えている。紫外線照射ボックス32は箱状であり、紫外線照射ボックス32内の空間は、排出管20と連通している。
【0024】
紫外線照射灯34は、紫外線照射ボックス32内の空気に紫外線を照射するように構成されている。紫外線照射灯34は、例えば、100~280nmの波長の紫外線を照射する。本実施例では、紫外線照射灯34は、約253.7nmの紫外線を照射する(いわゆる、UV-C)。多くの種類のウイルスが、紫外線(例えば、UV-C)を照射することにより無力化されることが知られている。例えば、SARS-CoV-2を含む空気に、253.7nmの紫外線を500μW/cm2の照射照度で30秒間照射すると、SARS-CoV-2の感染性が99.999%減少することが知られている(Chieh-Wen Lo, et al: UVC disinfects SARS-CoV-2 b induction of viral genome damage without apparent effects on viral morphology and proteins. Scientific Reports 11, Article number: 13804 (2021))。このように、紫外線照射灯34から紫外線照射ボックス32内の空気に紫外線が照射されると、紫外線照射ボックス32内の空気中のウイルスは無力化される。
【0025】
本実施例のウイルス除去装置100では、紫外線照射ボックス32の容積は、着用者の体格に応じて変えることができる。SARS-CoV-2等のウイルスを紫外線照射によって無力化するためには、上述したように30秒を要する。一回換気量は、理想体重×6mL/kgであることが知られている。例えば、理想体重が40kgであれば、一回換気量は240mLであり、すなわち、一回呼気量も240mLになる。呼気時間は、一般的に約2秒である。したがって、120mL/秒以上の流速でマスク10内の空間に空気を流せば、呼気を含む空気は、全て紫外線照射ボックス32内に流れ込む。120mL/秒は、7.2L/分である。7.2L/分で流れる空気が紫外線照射ボックス32内の空間を30秒以上かけて通過するためには、紫外線照射ボックス32の容積が、3.6L以上である必要がある。このように、仮に、着用者の理想体重が40kgであれば、紫外線照射ボックス32の容積は、3.6L以上に調整する。
【0026】
紫外線照射ボックス32を通過した空気は、再び排出管20を通って吸引装置22に流入し、吸引装置22の排出部24から外部に排出される。すなわち、呼気に含まれるウイルスは、外部に放出される前に無力化されるため、着用者から他者にウイルスを感染させることが防止される。
【0027】
また、本実施例では、紫外線照射ボックス32は、内表面が金属又はセラミックによって形成されている。紫外線照射ボックス32内には紫外線が照射されるため、紫外線照射ボックス32の内表面は紫外線により劣化し易い。紫外線照射ボックス32の内表面を金属又はセラミックによって形成することによって、紫外線照射ボックス32の内表面が紫外線によって劣化することを抑制することができる。なお、紫外線照射ボックス32は、少なくとも内表面が金属又はセラミックによって形成されていればよく、紫外線照射ボックス32は全体が金属又はセラミックによって形成されていてもよい。
【0028】
(実施例2)
上記の実施例1では、吸引装置22によって、マスク10の外部の空気が、給気口12、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口14、排出管20の順で流れるように構成されていたが、このような構成に限定されない。例えば、図2に示すように、マスク10内の空間に空気を送る送気装置16によってマスク10の外部の空気が、給気口12、着用者の口及び鼻とマスク部との間の空間、排気口14、排出管20の順で流れるように構成されていてもよい。
【0029】
本実施例のウイルス除去装置200は、マスク10と、送気装置16と、供給管21と、排出管20と、紫外線照射装置30を備えている。なお、排出管20は、マスク10と反対側の端部に吸引装置22が接続されていない点を除き、実施例1の排出管20と同一の構成であり、紫外線照射装置30は、実施例1の紫外線照射装置30と同一の構成である。このため、排出管20、紫外線照射装置30については、詳細な説明を省略する。また、マスク10についても、実施例1のマスク10と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0030】
供給管21は、一方の端部が給気口12に接続しており、他方の端部が送気装置16に接続している。送気装置16は、供給管21と給気口12を通して外部の空気をマスク10内に送り込む。本実施例では、送気装置16は、ファンである。なお、送気装置16は、空気を送り込むポンプであってもよい。送気装置16によって外部の空気が供給管21と給気口12を通してマスク10内の空間に送り込まれると、マスク10内の空間の空気は、排気口14から排出されて排出管20に移動する。そして、排出管20内を通り、紫外線照射装置30を通過し、排出管20から外部に排出される。
【0031】
本実施例においては、送気装置16によって、マスク10の外部の空気が、供給管21、給気口12、マスク10内の空間、排気口14、排出管20の順で流れる。このため、呼気に含まれるウイルスは、紫外線照射装置30で無力化される。このため、ウイルスが外部に放出されることを防止することができ、着用者から他者にウイルスを感染させることを防止できる。
【0032】
(実施例3)
上記の実施例1及び2では、着用者の呼気を含むに空気に紫外線を照射することによって、着用者の呼気に含まれるウイルスを無力化したが、このような構成に限定されない。例えば、着用者の呼気を含むに空気に次亜塩素酸水を噴霧することによって、着用者の呼気に含まれるウイルスを無力化してもよい。
【0033】
図3に示すように、ウイルス除去装置300は、マスク10と、排出管20と、吸引装置22と、次亜塩素酸水噴霧装置230を備えている。すなわち、ウイルス除去装置300は、紫外線照射装置30の代わりに次亜塩素酸水噴霧装置230を備えている点が、実施例1のウイルス除去装置100と相違している。このため、ウイルス除去装置100と同一の構成については説明を省略する。
【0034】
次亜塩素酸水噴霧装置230は、噴霧ボックス33と、噴霧部36を備えている。噴霧ボックス33は箱状であり、噴霧ボックス33内の空間は、排出管20と連通している。噴霧ボックス33は、プラスチック素材で形成されている。噴霧部36は、噴霧ボックス33内の空気に次亜塩素酸水を噴霧するように構成されている。次亜塩素酸水を噴霧することにより、多くの種類のウイルスが無力化されることが知られている。このため、本実施例においても、排出管20を介して着用者の呼気を含む空気が次亜塩素酸水噴霧装置230を通過することにより、ウイルスが無力化された状態で着用者の呼気を外部に排出することができる。
【0035】
なお、本実施例では、次亜塩素酸水噴霧装置230で着用者の呼気に含まれるウイルスを無力化したが、このような構成に限定されない。例えば、噴霧ボックス33には、次亜塩素酸水の代わりにアルコールが噴霧されてもよい。すなわち、ウイルス除去装置は、ウイルス除去装置300の次亜塩素酸水噴霧装置230の代わりに、噴霧ボックス33内の空気にアルコールを噴霧する噴霧部を備えるアルコール噴霧装置を備えていてもよい。アルコールを噴霧することにより、多くの種類のウイルスが無力化されることが知られている。このため、排出管20を介して着用者の呼気を含む空気にアルコールを噴霧することによっても、着用者の呼気に含まれるウイルスを無力化した状態で外部に排出することができる。
【0036】
また、本実施例では、吸引装置22によって、マスク10の外部の空気が、給気口12、マスク10内の空間、排気口14の順で流れるように構成されていたが、上記の実施例2と同様に、送気装置16によって、マスク10の外部の空気が、給気口12、マスク10内の空間、排気口14の順で流れるように構成されていてもよい。
【0037】
また、本実施例では、噴霧ボックス33は、プラスチック素材で形成されていたが、このような構成に限定されない。噴霧ボックス33は、次亜塩素酸水やアルコールによって劣化し難い材料で形成されていればよく、材料は適宜選択することができる。
【0038】
実施例で説明したウイルス除去装置100、200、300に関する留意点を述べる。マスク10は、「マスク部」の一例であり、排出管20は、「排出経路」の一例である。
【0039】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
10:マスク
12:給気口
14:排気口
16:送気装置
20:排出管
21:供給管
22:吸引装置
30:紫外線照射装置
32:紫外線照射ボックス
33:噴霧ボックス
34:紫外線照射灯
36:噴霧部
100、200、300:ウイルス除去装置
230:次亜塩素酸水噴霧装置
図1
図2
図3