(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094596
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】内燃機関のバルブタイミング制御装置と波動歯車減速機
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
F01L1/356 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211237
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】山中 淳史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀平
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AB02
3G018BA09
3G018CA13
3G018DA20
3G018DA21
3G018DA30
3G018FA01
3G018FA09
3G018GA02
3G018GA38
(57)【要約】
【課題】波動発生器のアンバランスな回転モーメントの発生を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】波動歯車減速機の波動発生器26は、楕円形状に形成されて、外歯構成部材25を撓ませて内歯24aと外歯27aを噛み合わせつつ回転させる円筒状の波動発生部30と、波動発生部の内周に軸方向の中央からカムシャフト側の位置にオフセットさせたオフセット部31と、オフセット部の内周部に設けられた内側環状部32の先端から突出し、電動モータの出力軸と継手部材23を介して連結する突出部33と、を備え、波動発生器の重心位置Gを、波動発生部の軸方向において内歯と外歯の噛み合い幅Wのほぼ中心位置に設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、
カムシャフトにカムボルトによって固定され、前記駆動回転体と相対回転可能な従動回転体と、
前記カムシャフトと軸方向で反対側に配置された電動モータの回転を減速して前記従動回転体に伝達する波動歯車減速機と、
を有する内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記波動歯車減速機は、
前記従動回転体に設けられた内歯車と、
前記内歯車の径方向内側に配置されて、前記内歯車の内歯に噛み合う外歯を有する可撓性の外歯構成部材と、
前記電動モータにより回転する波動発生器と、を有し、
前記波動発生器は、
外形状が非円形に形成され、前記外歯構成部材の内周面に当接して前記外歯構成部材を撓ませて前記外歯と前記内歯を噛み合わせつつ回転させる円筒状の波動発生部と、
前記波動発生部の内周に一体に設けられ、前記波動発生部の軸方向の中央から前記カムシャフト側の位置にオフセットさせたオフセット部と、
前記オフセット部の内周部から前記電動モータの方向へ突出し、前記電動モータの出力軸と連結する突出部と、
を備え、
前記波動発生部と前記オフセット部及び前記突出部を含む前記波動発生器の重心位置が、波動発生部の軸方向において前記内歯と外歯の噛み合い幅の範囲内に設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記カムボルトは、頭部の軸方向の先端部が前記外歯構成部材と前記内歯車の噛み合い幅の範囲よりも前記電動モータ側に突出配置され、
前記突出部は、前記カムボルトの頭部よりもさらに前記電動モータ側に突出して、継手部材を介して前記電動モータの出力軸に連係したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記波動発生器は、
前記オフセット部の内周部に、前記オフセット部よりも軸方向の長さが長い内側環状部を有し、
前記突出部は、前記内側環状部の軸方向の前記電動モータ側の端部から突出していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記波動発生部は、
外形が非円形状の基部と、
前記基部の外周面に当接配置された内輪と前記内輪の径方向外側に配置されて前記外歯構成部材の内周面と当接する外輪及び前記内輪と外輪の間に配置された転動体を有する転がり軸受と、
を有し、
前記内輪の内周面が当接する前記基部の外周面に仕上げ加工が施され、
前記内側環状部は、前記基部の径方向から視て前記基部の外周面と重なって配置されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記オフセット部は、軸方向の前記電動モータ側の前端面が、前記内歯と外歯の噛み合い幅の中央位置と同じか、あるいは前記中央位置よりも前記電動モータ寄りに位置していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記突出部は、前記内側環状部の円周方向の約180度の位置に2つ有し、
前記電動モータの出力軸と各突出部との間に継手部材が設けられ、前記継手部材の中央に形成された係合溝部に前記各突出部と係合する被係合部を有し、
前記継手部材は、中央部に前記電動モータの出力軸が挿入される連結用孔を有すると共に、両側部に前記各突出部をそれぞれ挟み込む溝部を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記波動発生部は、
外形が非円形状の基部と、
前記基部の外周面に別体または一体に設けられた内輪と前記内輪の径方向外側に配置されて、前記外歯構成部材の内周面と当接する外輪及び前記内輪と外輪の間に配置された転動体を有する転がり軸受と、
を有し、
前記内輪と外輪は、対向する内外周面に前記転動体が転動する周方向溝を有し、
前記波動発生器の重心は、径方向において前記周方向溝とオーバーラップする位置に設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記波動発生部は、
外形が非円形状の基部と、
前記基部の外周面に別体または一体に設けられた内輪と前記内輪の径方向外側に配置されて、前記外歯構成部材の内周面と当接する外輪及び前記内輪と外輪の間に配置された転動体を有する転がり軸受と、
を有し、
前記波動発生器の重心は、前記転がり軸受の軸方向幅の中心よりも前記カムシャフト寄りの位置に配置されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項9】
波動歯車減速機であって、
内歯車と、
前記内歯車の径方向内側に配置されて、前記内歯車の内歯に噛み合う外歯を有する筒状の外歯構成部材と、
前記外歯構成部材の内側に配置される波動発生器と、
を備え、
前記波動発生器は、
外形状が非円形に形成され、前記外歯構成部材の内周面に当接して前記外歯構成部材を撓ませて前記外歯を前記内歯に噛み合わせつつ回転させる円筒状の波動発生部と、
前記波動発生部の内周に一体に設けられ、前記波動発生部の軸方向の中央あるいは中央から前記電動モータと反対側の位置にオフセット配置されたオフセット部と、
前記オフセット部の内周部から前記電動モータの方向へ突出して、前記電動モータの出力軸と連結される突出部と、
を備え、
前記波動発生部と前記オフセット部及び前記突出部を含む前記波動発生器の重心位置が、波動発生部の軸方向において前記内歯と外歯の噛み合い幅の範囲内に設けられていることを特徴とする波動歯車減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置と波動歯車減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトからの回転力が伝達されるスプロケットと、カムシャフトの回転軸方向の一端部にボルト固体されて、前記スプロケットの内周に相対回転可能に配置された従動部材と、この従動部材の内周側に設けられて電動モータの回転速度を減速して従動部材に伝達する波動歯車減速機と、を備えている。
【0003】
波動歯車減速機は、従動部材の先端部に有し、内周に内歯が形成された円環状の内歯車と、前記内歯車の径方向内側に配置されて、前記内歯車の内歯に噛み合う外歯を有する筒状の外歯構成部材と、前記外歯構成部材の内周側に設けられた転がり軸受であるボールベアリングと、このボールベアリングの内輪と一体に設けられ、前記電動モータにより回転するジェネレータ部である波動発生器と、を備えている。
【0004】
前記波動発生器は、前記電動モータ側の端部に電動モータの出力軸と連係される継手部が一体に設けられて、この継手部を介して電動モータからの回転力が伝達されるようになっている。
【0005】
そして、機関状態に応じて、電動モータの回転力を、波動歯車減速機を介して前記カムシャフトに伝達することにより、このカムシャフトがスプロケットに対して相対回転して吸気弁などの機関弁の開閉時期を変化させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2017 128 731 A1(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の波動歯車減速機は、前記従動部材の内歯と外歯構成部材の外歯の噛み合い部の軸方向の中心位置が前記ボールベアリングの複数のボールの中心位置と径方向で一致している。また、ボールベアリングと波動発生器は、ボールベアリングのボールの中心に対して左右対称形状に形成されている。
【0008】
そして、波動発生器は、前述のように、電動モータ側の端部に継手部が設けられていることから、重心位置がボールベアリングのボールの径方向中心よりも電動モータ側に偏倚している。つまり、波動発生器の重心位置は、前記従動部材の内歯車の内歯と外歯構成部材の外歯との噛み合い部の軸方向の中心に対して電動モータ側に偏倚している。
【0009】
このため、例えば内燃機関の振動などの外乱に起因して、前記波動発生器の内歯と外歯の噛み合いによる回転駆動時におけるアンバランスな回転モーメントが発生して波動発生器に比較的大きな振れが発生するおそれがある。この結果、波動歯車減速機の耐久性が低下すると共に、バルブタイミングの制御精度が低下するおそれがある。
【0010】
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、波動発生器の重心位置を、内歯と外歯の噛み合い部の軸方向の中心位置と一致させることにより、外乱発生時における波動発生器のアンバランスな回転モーメントの発生を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
好ましい態様の一つとしては、とりわけ、波動歯車減速機は、従動回転体に設けられた内歯車と、前記内歯車の径方向内側に配置されて、前記内歯車の内歯に噛み合う外歯を有する可撓性の外歯構成部材と、電動モータにより回転する波動発生器と、を有している。
前記波動発生器は、外形状が非円形に形成され、前記外歯構成部材の内周面に当接して前記外歯構成部材を撓ませて前記外歯と前記内歯を噛み合わせつつ回転させる円筒状の波動発生部と、前記波動発生部の内周に一体に設けられ、前記波動発生部の軸方向の中央から前記カムシャフト側の位置にオフセットさせたオフセット部と、前記オフセット部の内周部から前記電動モータの方向へ突出し、前記電動モータの出力軸と連結する突出部と、を備え、
前記波動発生部と前記オフセット部及び前記突出部を含む前記波動発生器の重心位置が、波動発生部の軸方向において前記内歯と外歯の噛み合い幅の範囲内に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、波動発生器の重心位置を、内歯と外歯の噛み合い幅の軸方向の中心位置と一致させて、波動発生器のアンバランスな回転モーメントの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るバルブタイミング制御装置の実施形態における縦断面図である。
【
図2】本実施形態に供される主要な構成部材を示す分解斜視図である。
【
図4】本実施形態に供される従動部材とストッパプレートに設けられたストッパ機構を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に供される継手部材に波動発生器の各突出部と電動モータのモータ出力軸が連係した状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に供される波動発生器を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態に供される波動発生器の断面図であって、(a)は
図6のB-B線断面図、(b)は
図6のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置と波動歯車減速機の実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、本実施形態では、バルブタイミング制御装置を吸気側に適用したものを示しているが、排気側に適用することも可能である。
〔第1実施形態〕
図1は本発明に係るバルブタイミング制御装置の実施形態における縦断面図、
図2本実施形態に供される主要な構成部材を示す分解斜視図、
図3は
図1のA部拡大図である。
【0015】
バルブタイミング制御装置は、
図1~
図3に示すように、駆動回転体であるタイミングスプロケット1(以下、スプロケット1という。)と、図外のシリンダヘッド上に軸受ブラケットを介して回転自在に支持されたカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、機関運転状態に応じて両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3と、を備えている。
【0016】
スプロケット1は、
図1及び
図2に示すように、全体が金属圧粉を焼結して得られる焼結金属材によって円環状一体に形成されており、断面ほぼコ字形状に形成されたスプロケット本体1aと、このスプロケット本体1aの軸方向のカムシャフト2側の一端部外周に一体に設けられた歯車部1bと、スプロケット本体1aの軸方向の他端部外周に一体に設けられた円環部1cと、を備えている。
【0017】
スプロケット本体1aは、所定肉厚の円筒状に形成されてカムシャフト2側の軸方向の一端部から径方向内側へ折曲形成された円環状の規制凸部1dを有している。
【0018】
歯車部1bは、図外のクランクシャフトの駆動歯車との間に巻回されるタイミングチェーンによってクランクシャフトの回転力をスプロケッ1に伝達するようになっている。なお、本実施形態では、歯車部1bに回転力を伝達する手段として、タイミングチェーンを用いたが、クランクシャフトのドリブンギアを直接、ギア部に構造を変更した歯車部1bに噛み合わせて回転力を伝達させる構成としてもよい。
【0019】
円環部1cは、円周方向のほぼ60°の間隔位置に後述する6本のボルト4の雄ねじ部4cが螺着する6つの雌ねじ孔1eがそれぞれ形成されている。
【0020】
また、スプロケット本体1aは、内周面と後述する従動回転体である従動部材9の外周面との間に滑り軸受が設けられている。この滑り軸受は、
図1~
図3に示すように、スプロケット本体1aの内周面に形成された円環状の軸受面5と、後述する従動部材9に有し、軸受面5の内側に配置された円筒状のジャーナル部10と、によって構成されている。
【0021】
スプロケット本体1aの前端部には、それぞれ金属材によって円環状に形成されたストッパプレート7とスラストプレート8が軸方向で重合状態に配置されつつ前記6本のボルト4よって共締め固定されている。
【0022】
図4は本実施形態に供される従動部材とストッパプレートに設けられたストッパ機構を示す斜視図である。
【0023】
ストッパプレート7は、外周部の円周方向の約60°位置に有する6つのボス部に前記6本のボルト4の軸部4bが挿入される6つのボルト挿入孔7aが貫通形成されている。また、ストッパプレート7は、
図2及び
図4に示すように、内周の約180度位置に2つの円弧状溝部7b、7bが形成されていると共に、この両円弧状溝部7b、7bの間に円弧状の2つの規制突起部7c、7cが設けられている。この各円弧状溝部7b、7bは、ストッパプレート7の中心を軸とした180°の対称位置に設けられ、それぞれの円弧長さがほぼ120°の角度範囲に形成されている。各規制突起部7c、7cは、両円弧状溝部7b、7bの間の約180°位置に設けられていると共に、それぞれの円弧角度が約90°に形成されている。この各一対の円弧状溝部7b、7bと規制突起部7c、7cは、従動部材9の後述する一対のストッパ突部10d、10dと共同してストッパ機構を構成している。
【0024】
スラストプレート8は、同じく外周部の円周方向の約60°位置に有するボス部に6つのボルト挿入孔8aが貫通形成されていると共に、その肉厚幅Xによって後述する波動歯車減速機13の外歯構成部材25の軸方向の適正な位置を調整するようになっている。
【0025】
各ボルト4は、一般的な六角穴付きボルトであって、頭部4aに一体に設けられた軸部4bの先端部外周に前記雌ねじ孔1eに締結する雄ねじ部4cが形成されている。
【0026】
カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有している。また、カムシャフト2は、
図1に示すように、回転軸方向の一端部2aが従動部材9に設けられた円環状の嵌合凸部9cの内側に軸方向から嵌合して位置決め保持されている。カムシャフト2は、一端部2aの先端面から内部軸心方向に沿って形成された挿入孔2bを有している。この挿入孔2bは、後述するカムボルト11の軸部11bが挿入されると共に、先端側の内周面にカムボルト11の雄ねじ部11cが締結される雌ねじ部2cが形成されている。
【0027】
従動部材9は、
図1~
図3に示すように、金属粉末を圧縮して焼結成形される焼結金属によってカップ状に一体に形成され、カムシャフト2側の円盤状本体9aと、この円盤状本体9aの外周縁からカムシャフト2と反対方向に突出した円筒状のジャーナル部10と、を有している。
【0028】
円盤状本体9aは、中央位置にカムボルト11の軸部11bが挿入されるボルト挿入孔9bが貫通形成されていると共に、カムシャフト2側の外側面にボルト挿入孔9bを中心とした円筒状の嵌合凸部9cが一体に設けられており、嵌合凸部9cの内側に前述したカムシャフト2の一端部2aが嵌合保持されている。したがって、従動部材9は、嵌合凸部9cの内周側にカムシャフト2の一端部2aが嵌合した状態で、前記円盤状本体9aのボルト挿入孔9bに挿入されたカムボルト11によってカムシャフト2の一端部2aに軸方向から締結固定されている。
【0029】
ジャーナル部10は、軸方向の長さがスプロケット本体1aの軸受面5の軸方向長さよりも僅かに短く形成されて、外周面10aが軸受面5全体に摺動可能なっており、この外周面10aでスプロケット1を回転自在に軸受けしている。ジャーナル部10は、カムシャフト2側の後端面10bがスプロケット本体1aの規制凸部1dに軸方向から当接可能に配置されてカムシャフト2方向のスラスト移動が規制されるようになっている。
【0030】
また、ジャーナル部10の先端面10cには、前述したように、円周方向の約180°位置に一対のストッパ突部10d、10dが設けられている。この各ストッパ突部10d、10dは、ストッパ機構の一部を構成し、前記両円弧状溝部7b、7b内を周方向に摺動しつつ前記両規制突起部7c、7cの端縁に円周方向から当接してカムシャフト2(従動部材9)の遅角側と進角側の最大相対回転位置を機械的に規制するようになっている。
【0031】
なお、円盤状本体9aの内面の外周部には、後述するボールベアリング35の外輪35bのカムシャフト2方向へのスラスト移動を規制する円環状に規制部材6が設けられている。
【0032】
カムボルト11は、
図1及び
図2に示すように、先端部に六角レンチなどの工具が挿入される六角形の工具穴を有する頭部11aと、この頭部11aにフランジ部11dを介して一体に固定された軸部11bと、この軸部11bの外周面に形成されて、カムシャフト2の雌ねじ孔2dに螺着する雄ねじ部11cと、を有している。
【0033】
位相変更機構3は、
図1~
図3に示すように、スプロケット1の前端側に配置された電動モータ12と、この電動モータ12から継手を介して伝達された回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する波動歯車減速機13と、から主として構成されている。
【0034】
電動モータ12は、直流型の三相誘導モータであって、
図1に示すように、チェーンケースに固定される有底円筒状のモータハウジング14と、このモータハウジング14の内周面に固定された磁性部材であるステータ(固定子)15と、ステータ15の内周側に配置されたモータ出力軸16と、該モータ出力軸16の外周に固定されたロータ17と、モータハウジング14のスプロケット1と反対側に設けられた制御部18と、を有している。
【0035】
モータハウジング14は、例えば鉄系金属板をカップ状に折曲形成されて、内部にステータ15などを収容するステータ収容空間Sが形成されている。モータハウジング14は、波動歯車減速機13側の底壁14aのほぼ中央に段差径状の筒部14bが設けられていると共に、この筒部14bの先端側の小径部内側に有する貫通孔にモータ出力軸16がオイルシール19を介して挿通されている。
【0036】
また、モータハウジング14は、後端部の開口端の外周に径方向外側に突出したフランジ部14cが一体に設けられている。このフランジ部14cは、円周方向の約120°位置に3つのブラケット片14dが一体に設けられている。また、この3つのブラケット片14dには、図外の3つのボルトの軸部が挿入されるボルト挿入孔14eがそれぞれ貫通形成されている。
【0037】
各ボルトは、モータハウジング14と制御部18の後述するケーシング20とを共締め固定すると共に、これらを図外のチェーンケースに固定するようになっている。なお、ボルト挿入孔14eやボルトなどを、3つ以上に増加することも可能である。
【0038】
オイルシール19は、一般的な構造であって、外周面が筒部14bの貫通孔の内周面に圧入されている一方、内周のシール片がバックアップスプリングによってモータ出力軸16の一端部16aの外周面に摺動可能に当接している。これによって、オイルシール19が、波動歯車減速機13からモータハウジング14内へのオイルの流入を規制している。
【0039】
ステータ15は、
図1に示すように、インシュレータ21の外周に設けられた円環状のステータコア(鉄心)15aと、インシュレータ21の内周に設けられた図外の複数の各ティース部と、該各ティース部の外周にそれぞれ巻き付けられた三相U,V,Wのコイル22と、を備えている。ステータコア15aは、鋼板を多数積層して形成されている。各ティース部は、径方向内側の先端部に磁性材の金属片が設けられている。
【0040】
モータ出力軸16は、
図1にも示すように、金属材によって円柱状に形成されて、波動歯車減速機13側の一端部16aの先端外面に接線方向に沿って形成された二面幅部16bを有している。この二面幅部16bは、後述する継手部材23の連結用孔23aに軸方向から挿入されている。また、モータ出力軸16は、筒部14bの大径部の内側及びケーシング20の中央部に有するボックス状のベアリング保持部20cの内側に設けられた一対のボールベアリング50、51によって軸受されている。
【0041】
制御部18は、合成樹脂材によって一体に形成されたケーシング20と、該ケーシング20の前端を覆うカバー部41と、を有している。このケーシング20の内部には、電動モータ12へ給電するバスバーなどの通電回路や、モータ出力軸16の回転位置を検出する回転センサや、通電量を制御する回路基板などが収容配置されている。また、ケーシング20には、通電回路に電気的に接続される給電用コネクタ20aと図外の信号用コネクタが一体に設けられている。カバー部41は、例えばアルミニュウム合金材などによってカップ状に形成されて、回路基板や電子部品などを覆っている。
【0042】
給電用コネクタ20aは、内部に突出された端子20bが図外のコントロールユニットに雌端子を介して電源であるバッテリーに接続されている。一方、信号用コネクタは、内蔵された端子がコントロールユニットに雌端子を介して接続され、回転センサで検出された回転角信号をコントロールユニットに出力するようになっている。
【0043】
図5は本実施形態に供される継手部材に波動発生器の各突出部と電動モータのモータ出力軸が連係した状態を示す斜視図である。
【0044】
また、モータ出力軸16の一端部16aと後述する波動発生器26との間には、この両者16,26を連係する継手部材23が設けられている。この継手部材23は、
図1、
図3及び
図5に示すように、肉厚な金属板材によって径方向に長い矩形状に形成されている。継手部材23は、中央位置にモータ出力軸16の一端部16aが挿入される連結用孔23aが貫通形成されていると共に、径方向に突出した一対の突起部23b、23bに後述する波動発生器26の一対の突出部33,33が軸方向から係入する一対の係合溝孔23c、23cが形成されている。
【0045】
連結用孔23aは、円形状の内周面にモータ出力軸16の回転軸から径方向に沿った二面幅状の一対の対向面が形成されている。各突起部23b、23bの各係合溝孔23c、23cは、径方向に長い長溝状に形成されている。
【0046】
波動歯車減速機13は、電動モータ12とは軸方向から分離独立して設けられ、主たる構成部材がスプロケット本体1aと従動部材9の径方向内側に収容配置されている。すなわち、波動歯車減速機13は、
図1~
図3に示すように、従動部材9のジャーナル部10の内周面に設けられ、複数の内歯24aからなる内歯車24と、この内歯車24の径方向内側に配置された外歯構成部材25と、前記外歯構成部材25の径方向内側に配置されて、電動モータ12によって回転駆動する波動発生器26と、を備えている。
【0047】
内歯車24は、内歯24aが真円形状のジャーナル部10の内周面全体に形成されている。
【0048】
外歯構成部材25は、撓み変形可能な薄肉な金属材によって円筒状に形成された外歯車27と、この外歯車27の前端縁から径方向外側へ一体に延びた固定用フランジ28と、を有している。外歯車27は、内周に前記内歯車24の各内歯24aに噛み合う複数の外歯27aが形成されている。固定用フランジ28は、前記スラストプレート8の前端側に配置されて、円周方向の約60°の間隔位置に各ボルト4が挿入される6つのボルト挿入孔28aが貫通形成されている。
【0049】
また、外歯構成部材25の前端側には、リテーナプレート29が配置されている。このリテーナプレート29は、金属板材により外歯構成部材25の外形に沿って断面ほぼクランク状に折曲形成され、外歯車27の内周側に配置された円筒状本体29aと、該円筒状本体29aの前端縁から径方向外側に延びたフランジ部29bと、円筒状本体29aの後端縁に径方向内側に延びた円環部29cと、を有している。円筒状本体29aは、外歯車27との間に筒状隙間Cが形成されて、この筒状隙間Cによって外歯車27の径方向の撓み変形を許容している。フランジ部29bは、円周方向の約60°の位置に各ボルト4が挿入される6つのボルト挿入孔29dが貫通形成されている。円環部29cは、外端面で後述するボールベアリング35の外輪35bの軸方向の一側面に当接してスラスト方向の移動を規制するようになっている。
【0050】
そして、リテーナプレート29と外歯構成部材25、スラストプレート8及びストッパプレート7は、前記6本のボルト4によってスプロケット1の円環部1cに軸方向から共締め固定されている。
【0051】
図6は本実施形態に供される波動発生器を示す斜視図、
図7は本実施形態に供される波動発生器の断面図であって、(a)は
図6のB-B線断面図、(b)は
図6のC-C線断面図である。
【0052】
波動発生器26は、
図1~
図7に示すように構成され、外形状が非円形に形成され、外歯車27の内周面に当接して外歯車27を撓ませて各外歯27aを各内歯24aに噛み合わせる方向へ押付ける円筒状の波動発生部30と、波動発生部30の内周に設けられ、一部の軸方向の肉厚が波動発生部30の軸方向の中央から電動モータ12と反対側の位置にオフセット配置されたオフセット部31と、このオフセット部31の内周に一体に設けられた内側環状部32と、該内側環状部32の先端から電動モータ12方向へ突出し、この電動モータ12のモータ出力軸16と連結する一対の突出部33,33と、を備えている。
【0053】
波動発生部30は、
図1~
図3及び
図7(a)(b)に示すように、金属材によって所定肉厚の円筒状に形成された基部34と、該基部34の外周面34a側に配置された転がり軸受であるボールベアリング35と、を有している。基部34は、軸方向幅がボールベアリング35の軸方向幅よりも大きく形成されていると共に、外形が非円形な楕円形状に形成されている。この外周面34aは、内輪35aの内周面との当接精度を高めるために切削による仕上げ加工が施されている。
【0054】
ボールベアリング35は、基部34の外周面34aに当接配置された真円状の内輪35aと、前記外歯車27の内周面に当接配置された外輪35bと、内輪35aと外輪35bとの間に保持器35eに保持されつつ転動可能に設けられた転動体である複数のボール35cと、を有している。また、内輪35aと外輪35bは、対向する内外周面に各ボール35cが転動する周方向溝35d、35dがそれぞれ設けられている。ボールベアリング35は、内輪35aが基部34の外周面34aの軸方向両端部に設けられた係止溝に弾性的に係止された一対のスナップリング36,37によって軸方向の移動が規制されている。
【0055】
オフセット部31は、
図3及び
図7(a)(b)の一点鎖線で示すように、基部34の内周に一体に設けられて円環状に形成されて、全体が基部34の先端縁からカムシャフト2側へ凹んだ位置にオフセット配置されている。オフセット部31は、電動モータ12側の前端面31aが基部34の軸方向のほぼ中心位置、つまり、本実施形態では、内歯24aと外歯27aとの噛み合い幅Wの中心線Pまで後退した位置に設定されている。また、後端面31b、基部34の後端面と同一平面となっている。なお、前端面31aの位置は、噛み合い幅Wの中心線Pよりも電動モータ12寄りに位置させることも可能である。この前端面31aの位置は、後述する波動発生器26の重心位置Gを前記噛み合い幅Wの範囲内に設定するための一つの手段であるから、波動発生器26の大きさや仕様に応じて任意に変更することが可能である。
【0056】
内側環状部32は、径方向の肉厚がオフセット部31の肉厚よりも小さい円筒状に形成されていると共に、電動モータ12方向へ突出した軸方向の長さLがオフセット部31よりも長く基部34の前端縁とほぼ同じ長さに形成されている。
【0057】
両突出部33、33は、内側環状部32の円周方向の約180°に位置に設けられていると共に、内側環状部32の先端面32aから電動モータ12方向へ平行に延びている。この各突出部33は、それぞれの断面がほぼ矩形状に形成されていると共に、軸方向の長さがリテーナプレート29のフランジ部29b付近まで延びて、各先端部33a、33aが継手部材23の各係合溝孔23c、23cに軸方向から係入配置されている。これによって、電動モータ12のモータ出力軸16と波動発生部30が、継手部材23により連結されて、電動モータ12の回転力により波動発生部30が回転駆動されるようになっている。
【0058】
前記カムボルト11は、頭部11aの軸方向の先端部が外歯構成部材25の各外歯27aと内歯車24の各内歯24aとの噛み合い幅Wの範囲よりも電動モータ12側に突出配置されている。各突出部33,33は、カムボルト11の頭部11aよりもさらに電動モータ12側に突出して継手部材23の各係合溝孔23c、23cに係入している。
【0059】
そして、波動発生部30とオフセット部31、内側環状部32及び各突出部33,33を含む波動発生器26の重心位置Gを、波動発生部30の軸方向において内歯24aと外歯27aの噛み合い幅Wの範囲内に設けた。すなわち、波動発生器26は、
図3及び
図7(a)(b)に示すように、オフセット部31を電動モータ12と反対側のカムシャフト2寄りの位置にずらすことによって、その重心位置Gが内歯24aと外歯27aの噛み合い幅Wの範囲内のほぼ中心位置となるように設定されている。また、波動発生器26の重心位置Gは、ボールベアリング35の内輪35aと外輪35bの対向面に形成された周方向溝35d、35dと径方向でオーバーラップする位置に設けられている。
〔本実施形態の作用効果〕
以下、本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の作用について簡単に説明する。まず、機関のクランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してスプロケット1が回転すると、この回転力が波動歯車減速機13の波動発生器26に伝達される。この波動発生器26の回転力が、従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2の駆動カムが各吸気弁を開閉作動させる。
【0060】
機関始動後の所定の機関運転時には、コントロールユニットからの制御電流が電動モータ12のコイルに通電されてモータ出力軸16が正逆回転駆動される。このモータ出力軸16の回転力が、継手部材23を介して各突出部33,33から波動発生部30に伝達されて波動歯車減速機13の作動によりカムシャフト2に対し減速された回転力が伝達される。
【0061】
これによって、カムシャフト2が、タイミングスプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換される。したがって、各吸気弁は、開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御されるのである。
【0062】
このように、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ連続的に変換されることによって、機関の燃費や出力などの機関性能の向上が図れる。
【0063】
そして、本実施形態では、減速機として波動歯車減速機13を用いて減速比を大きくすることが可能になることは勿論のこと、特に、波動発生器26のオフセット部31を電動モータ12と反対側の位置にずらしたことによって、波動発生器26の重心位置Gを、電動モータ12側に偏ることなく、内歯24aと外歯27aの噛み合い幅Wの範囲内である中心線P上に配置した。このため、前記内歯24aと外歯27aの噛み合い駆動時における振れを抑制することができる。
【0064】
すなわち、内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる波動歯車減速機13は、波動発生器26の重心位置Gが前記内歯24aと外歯27aの噛み合い幅Wの範囲から軸方向へ外れてしまった場合には、例えば内燃機関の振動などの外乱に起因して、内歯24aと外歯27aの噛み合い駆動時における回転モーメントの発生により比較的大きな振動や異音が発生するおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態では、前述のように、波動発生器26の重心位置Gを、内外歯24a、27aの噛み合い幅Wの範囲内(中心線P上)に配置させたことによって、内歯24aと外歯27aの噛み合い駆動時における回転モーメントの発生を十分に抑制することができる。これによって、外乱によっても波動歯車減速機13の振動や異音の発生を抑制することができる。
また、前述のように、波動発生器26の重心位置Gを特定することによって、各突出部33、33を電動モータ12側へ延出させても波動発生器26全体の重量バランスが取ることができる。このため、カムボルト11の頭部11aを波動発生器26の噛み合い幅Wよりも電動モータ12側に突出させることができる。つまり、カムボルト11の頭部11aを、波動発生器26の軸方向の内部に配置することができることから、装置全体の軸方向の長さを短尺化することができる。
【0066】
しかも、オフセット部31の前端面31aが、内歯車24の内歯24aと外歯車27の外歯27aとの噛み合い部と径方向で重なっていることによって、オフセット部31による波動発生部30(基部34)の支持剛性が高くなることから、回転駆動した際の波動発生部30の撓み変形を抑制できる。
【0067】
さらに、波動発生器26の重心位置Gが、ボールベアリング35の周方向溝35d、35dの幅内に存することによって、各ボール35cの軌道面を介して径方向に荷重が伝わり易くなりことから、波動発生器26の安定した回転が得られる。
【0068】
カムシャフト2は、カム軸受によって機関のシリンダヘッドに支持されており、波動発生器26の重心位置Gが、ボールベアリング35の内外輪35a、35bの軸方向幅の中心線P上に位置し、カムシャフト2寄りに配置されていることから、波動発生器26は前記カム軸受を介して安定した支持が得られる。この結果、波動発生器26の回転駆動時における振動などの発生を抑制することができる。
【0069】
また、各突出部33,33は、オフセット部31の内周側に一体に有する内側環状部32の先端部から突出されていることから、その長さを内側環状部32の長さ分だけ短くすることができる。このため、各突出部33,33の強度を高くすることが可能になると共に、短尺化に伴って製造作業が容易になる。
【0070】
また、前述したように、基部34の外周面34aは、ボールベアリング35の内輪35aの内周面との当接精度を高めるために仕上げ加工が施されるようになっているが、この仕上げ加工作業の際に、内側環状部32を内周側からチャックによって支持するようになっている。このとき、内側環状部32が基部34の外周面34aと径方向で重なって配置されていることから、例えば切削刃を前記外周面34aの径方向外側から内側へ押圧しながら切削するときの支持精度が良好になり、外周面34aの仕上げ加工精度が向上する。
【0071】
各突出部33,33は、継手部材23の係合溝孔23c、23cに係合し得る細幅の形状にできるので、軽量化を図ることができる。これによって、質量の低減化が図れることから波動発生器26の回転時における慣性モーメントが小さくなって大きな振動などの発生を抑制できる。
【0072】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、波動発生器26の重心位置Gを、前述のように、内歯24aと外歯27aの噛み合い幅Wの範囲内に設定するためには、各突出部33,33の長さを調整するとか、オフセット部31の偏倚量などを変更することなど、各構成部品の質量や形成位置などを変更して行うことも可能である。また、転がり軸受としては、ボールベアリング35の他にニードルベアリングなどであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)、1a…スプロケット本体、1b…外歯部、1e…雌ねじ孔、2…カムシャフト、2a…一端部、3…位相変更機構、5…軸受け面、4…ボルト、4c…雄ねじ部、7…ストッパプレート、7c…規制突起部、8…スラストプレート、9…従動部材(従動回転体)、10…ジャーナル部、10a…外周面、10b…後端面、10c…先端面、10d…ストッパ突部、11…カムボルト、11a…頭部、11b…軸部、11c…雄ねじ部、12…電動モータ、13…波動歯車減速機、16…モータ出力軸、16a…先端部、24…内歯車、24a…内歯、25…外歯構成部材、26…波動発生器、27…外歯車、27a…外歯、30…波動発生部、31…オフセット部、31a…前端面、31b…後端面、32…内側環状部、33…突出部、34…基部、35…ボールベアリング(転がり軸受)、35a…内輪、35b…外輪、35c…ボール(転動体)、35d…周方向溝、P…噛み合い幅の中心線、G…重心位置。