(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009460
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】給電ケーブル及び給電ケーブル製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 11/24 20060101AFI20240116BHJP
H01B 7/42 20060101ALI20240116BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B23K11/24 358
H01B7/42 C
H01B13/00 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111000
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000143112
【氏名又は名称】株式会社向洋技研
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 美利
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 豪
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 和裕
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 孝治
(72)【発明者】
【氏名】池畑 良三
(72)【発明者】
【氏名】小野田 幸徳
【テーマコード(参考)】
5G315
【Fターム(参考)】
5G315DA01
5G315DB01
5G315DC01
5G315DC04
(57)【要約】
【課題】水平ガンの操作性の向上が図れる共に給電ケーブル内における冷却水のスムーズな流れを実現でき、更に抵抗溶接装置の製造コストを削減できる給電ケーブル及び給電ケーブル製造方法を提供する。
【解決手段】導電性部材240を複数個の銅線束240aで構成し、第1接続端子200及び第2接続端子220夫々に本体部の開口側に軸方向を深さ方向とする円周方向溝204,224を形成し、複数個の銅線束240a夫々の一端部を第1接続端子の円周方向溝204内に配置し、夫々の他端部を第2接続端子の円周方向溝224内に配置する。第1管状部材260を第1接続端子と第2接続端子との間で、銅線束240aの配置によって形成する略円筒状の空間内に配置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水流入側の第1流路と、冷却水流出側の前記第2流路とを有する水平ガンを備えた抵抗溶接装置に用いる給電ケーブルであって、
導電性を有する金属材から成るフランジ部及び本体部から成り、前記フランジ部は前記本体部よりも大径の円柱状を成し、前記本体部は前記フランジ部から中心軸方向に延びる円柱状を成し、前記本体部及び前記フランジ部には、前記本体部及び前記フランジ部の中心軸上を前記本体部から前記フランジ部にかけて貫通する貫通孔が形成された第1接続端子(200)と、
前記第1接続端子と同一形状及び同一金属材から成る第2接続端子(220)と、
導電性及び可撓性を有する金属材から成り、一端が前記第1接続端子の前記本体部に接続され、他端が前記第2接続端子の本体部に接続される導電性部材(240)と、
可撓性を有する樹脂材から成り、一端部分が前記第1接続端子の前記本体部から前記貫通孔を通って前記第1接続端子の前記フランジ部より突出し、他端部分が前記第2接続端子の前記本体部から前記貫通孔を通って前記第2接続端子のフランジ部より突出する第1管状部材(260)と、
可撓性を有する樹脂材から成り、一端が前記第1接続端子の前記フランジ部側に位置し、他端が前記第2接続端子のフランジ部側に位置し、前記導電性部材と前記第1管状部材と冷却水とを収容する第2管状部材(280)と、
を備え、
前記導電性部材は、複数個の銅線束から成り、前記第1接続端子及び前記第2接続端子のそれぞれには、前記本体部の開口側に、軸方向を深さ方向とする円周方向溝が形成され、前記導電性部材である前記複数個の銅線束それぞれの一端部が前記第1接続端子の前記円周方向溝内に配置され、前記導電性部材である前記複数個の銅線束それぞれの他端部が前記第2接続端子の円周方向溝内に配置され、前記第1管状部材は、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間で、前記複数個の銅線束の配置によって形成される略円筒状の空間内に配置され、前記第1接続端子の前記貫通孔の前記フランジ部側が前記水平ガンの冷却水流入側の前記第1流路と連通し、前記第1管状部材の前記第1接続端子の前記フランジ部より突出する部分側が前記水平ガンの冷却水流出側の前記第2流路と連通する、
給電ケーブル。
【請求項2】
冷却水流入側の第1流路と冷却水流出側の第2流路とを有する水平ガンを備えた抵抗溶接装置に用いる給電ケーブル製造方法であって、
導電性を有する金属材から成るフランジ部及び本体部から成り、前記フランジ部は前記本体部よりも大径の円柱状を成し、前記本体部は前記フランジ部から中心軸方向に延びる円柱状を成し、前記フランジ部及び前記本体部には、前記本体部及び前記フランジ部の中心軸上を前記本体部から前記フランジ部にかけて貫通する貫通孔が形成され、さらに前記本体部の端部に、軸方向を深さ方向とする円周方向溝が形成された第1接続端子(200)と、
前記第1接続端子と同一形状及び同一金属材から成る第2接続端子(220)と、
導電性及び可撓性を有する金属材から成り、前記第1接続端子の前記本体部と前記第2接続端子の本体部との接続に用いられる導電性部材(240)と、
可撓性を有する樹脂材から成り、前記第1接続端子の貫通孔と前記第2接続端子の貫通孔を通して配設され、冷却水を前記水平ガン側へ流すための第1管状部材(260)と、
ゴム材から成り、前記第1接続端子の前記フランジ部と前記第2接続端子のフランジ部との間に配設される第2管状部材(280)と、
を備え、
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に前記第2管状部材よりも全長が長く且つ外径が前記第1接続端子の前記貫通孔の外径より小さく、前記第1管状部材の外径より大きい金属製の第3管状部材を配置する第1工程と、
前記導電性部材として作製した複数本の銅線からなる銅線束の個々の一端を前記第1接続端子の前記円周方向溝に配設するとともに、前記個々の他端を前記第2接続端子の前記円周方向溝に配設する第2工程と、
前記第3管状部材内に前記第1管状部材を挿入する第3工程と、
前記第1接続端子の前記円周方向溝に配設した複数個の銅線束の個々の一端を前記第1接続端子にロウ付けするとともに、前記第2接続端子の前記円周方向溝に配設した複数個の銅線束の個々の他端を前記第2接続端子にロウ付けする第4工程と、
前記第2管状部材を、前記第1接続端子の前記フランジ部と前記第2接続端子のフランジ部との間に配置する第5工程と、
前記第5工程終了後、前記第3管状部材を抜き取る第6工程と、
を備えた給電ケーブル製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ガンを備えた抵抗溶接装置に用いられる給電ケーブルと、該給電ケーブル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも2枚の金属製の被溶接部材を重ね合わせた状態で溶接箇所を電極で挟み、加圧を加えつつ電流を流し、溶接箇所に発生するジュール熱で被溶接部材同士を接続する抵抗溶接装置がある。
【0003】
抵抗溶接装置には、略正方形の平坦な板状に形成され、装置本体の高さ方向に対して直角方向に配設されるテーブル電極と、テーブル電極の平面方向に移動可能であるとともに、テーブル電極の平面方向に対して直角方向に上下動可能である溶接ガンと、を備えたものがある(例えば特許文献1参考)。同文献に記載された抵抗溶接装置は、“水平ガン”と呼ばれる溶接ガンを有している。なお、同文献に記載の抵抗溶接装置は、本出願人によって提案されたものである。
【0004】
図9は、従来の抵抗溶接装置500の外観を示す側面図である。また、
図10は、
図9の抵抗溶接装置500の水平ガン600の構造を示す部分断面図及び該水平ガン600に接続される給電ケーブルセット700を示す図である。
図9又は
図10に示すように、水平ガン600は、ガン本体601と、ガン本体601の先端部分に装着されるシャンクホルダ602と、シャンクホルダ602の先端部分に装着されるシャンク603と、シャンク603の先端に装着される電極チップ604とを備えている。水平ガン600は、装置本体の高さ方向に対して略直角方向にガンブラケット800に支持される。
【0005】
また、
図10に示すように、ガン本体601の内部にはガン本体601の長さ方向に沿う2つの流路605,606が形成されている。一方の流路605は冷却水流入側の流路であり、他方の流路606は冷却水流出側の流路である。冷却水流入側の流路605の一方の開口部607には、長尺のチューブ(管)710の一端が接続され、冷却水流出側の流路606の一方の開口部608には、短尺のチューブ720の一端が接続される。長尺のチューブ710の他端は装置本体側に接続される。なお、装置本体側には冷却水循環装置(図示略)が配設されており、この冷却水循環装置から送出される冷却水が長尺のチューブ710を通して水平ガン600へ送られる。短尺のチューブ720の他端は給電ケーブル730の一端に接続される。長尺のチューブ710及び短尺のチューブ720は、共に可撓性を有する樹脂材からなる。なお、上述した冷却水循環装置は、“チラー”とも呼ばれる。
【0006】
図11は、給電ケーブル730の一部分を示す図である。同図に示すように、給電ケーブル730は、通電用の複数の銅線からなる導体部材731と、導体部材731の両端に取り付けられる接続部材732と、導体部材731と接続部材732を被覆する円筒形状のゴム部材からなるチューブ733とを備えている。
【0007】
導体部材731は、多数の銅線を撚った1つの束を複数束ねたものである。チューブ733には、水平ガン600を一巡してきた冷却水が流入する。チューブ733に流入した冷却水は、上述した装置本体に向けて流れる。接続部材732は、接続部7321と、ネジ部7322と、パイプ部7323と、固定部7324と、L字状部7325とを備えている。ネジ部7322は、接続部7321よりも小径の円柱形状を成す。パイプ部7323は、ネジ部7322の径と略同径の円柱形状を成す。
【0008】
固定部7324とL字状部7325は、共にパイプ部7323と一体に形成されている。接続部7321、ネジ部7322、パイプ部7323及びL字状部7325のそれぞれには軸心に沿う貫通孔が形成されている。即ち、接続部7321には貫通孔7326が、ネジ部7322には貫通孔7327が、パイプ部7323には貫通孔7328が、L字状部7325には貫通孔7329がそれぞれ形成されている。貫通孔7326、7327、7328及び7329それぞれの径は全て同じになっている。
【0009】
固定部7324は、給電ケーブル730をガン本体601に固定するための部分である。L字状部7325は、短尺のチューブ720の他端を給電ケーブル730に接続するための部分である。接続部7321の一端側には、導体部材731の一端側がロウ付けにより接続される。このロウ付けは、接続部7321の開口部7326aを塞がないようにその周囲に対して行われる。なお、従来の給電ケーブルとして、例えば特許文献2に記載されたものがある。
【0010】
水平ガン600において、図示せぬ冷却水循環装置から送出された冷却水がチューブ710を通ってガン本体601の内部の流路605に流入する。流路605に流入した冷却水は、シャンクホルダ602の内側の流路、シャンク603の内側の流路を順次経て電極チップ604に到達する。電極チップ604に到達した冷却水は、シャンク603の外側の流路、シャンクホルダ602の外側の流路を順次経てガン本体601の外側の流路606に流入する。ガン本体601の外側の流路606に流入した冷却水は、チューブ720を通って給電ケーブル730内に流入する。給電ケーブル730内に流入した冷却水は、図示せぬ冷却水循環装置に向けて流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第6966060号公報
【特許文献2】特開昭60-250885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、水平ガン600の操作性は、それに接続するチューブやケーブルの数が少ないほど良好になるが、現状ではチューブ710,720と給電ケーブル730の3本構成となっているため、必ずしも良好な操作性が得られているとは言えない。
【0013】
また、チューブ710,720と給電ケーブル730を要することは、抵抗溶接装置500の製造コストが嵩むことになる。
【0014】
また、給電ケーブル730は、その製造において、導体部材731の一端と他端のそれぞれに接続部材732をロウ付けにより接合するようにしているが、ロウ付けの際に接続部材732の開口部7326aを塞いでしまうことがないように注意して作業しているものの、ある程度ランダムな取り付けになってしまうこともあって、チューブ733内での冷却水の流れがスムーズに行われない場合がある。そのような場合になると安定した冷却が得られなくなってしまう。なお、ロウ付けの際に開口部7326aを塞いでしまった場合は、開け直す必要がある。
【0015】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、水平ガンの操作性の向上が図れるとともに、給電ケーブル内における冷却水のスムーズな流れを実現でき、さらに抵抗溶接装置の製造コストを削減できる給電ケーブル及び給電ケーブル製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の給電ケーブルは、冷却水流入側の第1流路と、冷却水流出側の前記第2流路とを有する水平ガンを備えた抵抗溶接装置に用いる給電ケーブルであって、導電性を有する金属材から成るフランジ部及び本体部から成り、前記フランジ部は前記本体部よりも大径の円柱状を成し、前記本体部は前記フランジ部から中心軸方向に延びる円柱状を成し、前記本体部及び前記フランジ部には、前記本体部及び前記フランジ部の中心軸上を前記本体部から前記フランジ部にかけて貫通する貫通孔が形成された第1接続端子と、前記第1接続端子と同一形状及び同一金属材から成る第2接続端子と、導電性及び可撓性を有する金属材から成り、一端が前記第1接続端子の前記本体部に接続され、他端が前記第2接続端子の本体部に接続される導電性部材と、可撓性を有する樹脂材から成り、一端部分が前記第1接続端子の前記本体部から前記貫通孔を通って前記第1接続端子の前記フランジ部より突出し、他端部分が前記第2接続端子の前記本体部から前記貫通孔を通って前記第2接続端子のフランジ部より突出する第1管状部材と、可撓性を有する樹脂材から成り、一端が前記第1接続端子の前記フランジ部側に位置し、他端が前記第2接続端子のフランジ部側に位置し、前記導電性部材と前記第1管状部材と冷却水とを収容する第2管状部材と、を備え、前記導電性部材は、複数個の銅線束から成り、前記第1接続端子及び前記第2接続端子のそれぞれには、前記本体部の開口側に、軸方向を深さ方向とする円周方向溝が形成され、前記導電性部材である前記複数個の銅線束それぞれの一端部が前記第1接続端子の前記円周方向溝内に配置され、前記導電性部材である前記複数個の銅線束それぞれの他端部が前記第2接続端子の円周方向溝内に配置され、前記第1管状部材は、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間で、前記複数個の銅線束の配置によって形成される略円筒状の空間内に配置され、前記第1接続端子の前記貫通孔の前記フランジ部側が前記水平ガンの冷却水流入側の前記第1流路と連通し、前記第1管状部材の前記第1接続端子の前記フランジ部より突出する部分側が前記水平ガンの冷却水流出側の前記第2流路と連通する。
【0017】
上記構成によれば、第2管状部内に、導電性部材を複数個の銅線束として、それらの銅線束を、第1接続端子と第2接続端子との間で略円筒形状になるように周方向に並べて配設し、その略円筒形状になった導電性部材内に第1管状部材を配設したので、第2管状部材内における冷却水の安定した流れを実現でき、冷却効率の向上が図れる。
【0018】
また、従来のような2本のチューブと1本の給電ケーブルを必要とするものと比べて、1本の給電ケーブルで済むことから、水平ガンの操作性の向上が図れるとともに、抵抗溶接装置を製造するうえでのコスト削減が可能となる。
【0019】
本発明の給電ケーブル製造方法は、冷却水流入側の第1流路と冷却水流出側の第2流路とを有する水平ガンを備えた抵抗溶接装置に用いる給電ケーブル製造方法であって、導電性を有する金属材から成るフランジ部及び本体部から成り、前記フランジ部は前記本体部よりも大径の円柱状を成し、前記本体部は前記フランジ部から中心軸方向に延びる円柱状を成し、前記フランジ部及び前記本体部には、前記本体部及び前記フランジ部の中心軸上を前記本体部から前記フランジ部にかけて貫通する貫通孔が形成され、さらに前記本体部の端部に、軸方向を深さ方向とする円周方向溝が形成された第1接続端子と、前記第1接続端子と同一形状及び同一金属材から成る第2接続端子と、導電性及び可撓性を有する金属材から成り、前記第1接続端子の前記本体部と前記第2接続端子の本体部との接続に用いられる導電性部材と、可撓性を有する樹脂材から成り、前記第1接続端子の貫通孔と前記第2接続端子の貫通孔を通して配設され、冷却水を前記水平ガン側へ流すための第1管状部材と、ゴム材から成り、前記第1接続端子の前記フランジ部と前記第2接続端子のフランジ部との間に配設される第2管状部材と、を備え、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に前記第2管状部材よりも全長が長く且つ外径が前記第1接続端子の前記貫通孔の外径より小さく、前記第1管状部材の外径より大きい金属製の第3管状部材を配置する第1工程と、前記導電性部材として作製した複数本の銅線からなる銅線束の個々の一端を前記第1接続端子の前記円周方向溝に配設するとともに、前記個々の他端を前記第2接続端子の前記円周方向溝に配設する第2工程と、前記第3管状部材内に前記第1管状部材を挿入する第3工程と、前記第1接続端子の前記円周方向溝に配設した複数個の銅線束の個々の一端を前記第1接続端子にロウ付けするとともに、前記第2接続端子の前記円周方向溝に配設した複数個の銅線束の個々の他端を前記第2接続端子にロウ付けする第4工程と、前記第2管状部材を、前記第1接続端子の前記フランジ部と前記第2接続端子のフランジ部との間に配置する第5工程と、前記第5工程終了後、前記第3管状部材を抜き取る第6工程と、を備える。
【0020】
上記方法によれば、第2管状部内に、導電性部材を複数個の銅線束として、それらの銅線束を第1接続端子と第2接続端子との間で略円筒形状になるように周方向に並べて配設し、その略円筒形状になった導電性部材内に第1管状部材を配設したので、第2管状部材内における冷却水の安定した流れを実現でき、冷却効率の向上が図れる。
【0021】
また、従来のような2本のチューブと1本の給電ケーブルを必要とするものと比べて、1本の給電ケーブルで済むことから、水平ガンの操作性の向上が図れるとともに、抵抗溶接装置を製造するうえでのコスト削減が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水平ガンの操作性の向上が図れるとともに、給電ケーブル内における冷却水のスムーズな流れを実現でき、さらに抵抗溶接装置の製造コストの削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る抵抗溶接装置の外観を横から見た図
【
図2】
図1の抵抗溶接装置の水平ガンの一部分の構造と給電ケーブルの構造を示す図
【
図3】
図1の抵抗溶接装置の水平ガンの先端部分の構造を示す断面図
【
図5】
図2の給電ケーブルの一端側部分の構造を示す断面図
【
図6】
図2の給電ケーブルの他端側部分の構造を示す断面図
【
図8】
図2の給電ケーブル製造方法を説明するための断面図
【
図10】
図9の抵抗溶接装置の水平ガンの一部分の構造と給電ケーブルの構造を示す図
【
図11】
図9の抵抗溶接装置の給電ケーブルの一部分を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の外観を横から見た図である。同図において、本実施形態に係る抵抗溶接装置1は、支持ポスト4と、多関節構造のアーム5と、ガンブラケット6と、水平ガン7と、加圧シリンダ8と、給電ケーブル9と、テーブル電極10と、溶接トランス11と、架台12とを備える。
【0026】
アーム5は、2つのアーム部5A,5Bと、これらのアーム部5A,5Bを支持ポスト4の立設方向に対して直角方向(水平方向)に回転自在に接続する回転軸5Cと、を備える。アーム5は、その基端部にある回転軸5Dにて支持ポスト4に支持される。アーム5は、アーム部5Bの先端部分でガンブラケット6を支持ポスト4の立設方向と同方向に支持する。ガンブラケット6は、その下端部で水平ガン7を支持する。また、ガンブラケット6は、その上端部がアーム部5Bの先端部分に、支持ポスト4の立設方向と同方向に接続される。ガンブラケット6は、アーム部5Bの方向と同方向(水平方向)に回転自在になっている。
【0027】
水平ガン7は、シャンク15を装着するシャンクホルダ71を有している。シャンク15の先端部分には電極チップ16が装着される。シャンク15は、“オフセットシャンク”と呼ばれる屈曲形状のものである。なお、シャンクには“ストレートシャンク”と呼ばれる直線形状のものもある。本開示のシャンク15は屈曲形状のオフセットシャンクである。オフセットシャンクは、主に狭い箇所での溶接に用いられる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の水平ガン7の一部分の構造と給電ケーブル9の構造を示す図である。同図において、水平ガン7は、シャンクホルダ71が装着されるとともに、給電ケーブル9が接続されるガン先端部7Aと、水平ガン7をガンブラケット6に取り付けるためのガン後端部7Bと、ガン後端部7Bの後端部分に取り付けられるハンドル73と、前述したシャンクホルダ71とを備える。水平ガン7は、ガンブラケット6の軸61にて支持され、この軸61を中心に水平ガン7の先端が弧を描くように上下動する。
【0029】
水平ガン7のガン先端部7Aの内部には、冷却水を通流させるための2つの流路80,81が形成されている。この2つの流路80,81のうち一方の流路(第1流路)80には給電ケーブル9を通して送られてくる冷却水が流れ、他方の流路(第2流路)81には水平ガン7内を一巡してきた冷却水が流れる。このように、一方の第1流路80は、水平ガン7に冷却水を供給するための流路であり、他方の第2流路81は、水平ガン7に流れた冷却水を排水するための流路である。
【0030】
図3は、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の水平ガン7の先端部分の構造を示す断面図である。同図において、シャンクホルダ71は、先端部分が折れ曲がったL字状を成しており、内部には1つの流路74が形成されている。シャンクホルダ71の流路74内には樹脂製のチューブ75が挿入されている。チューブ75の長さは、シャンクホルダ71よりも長く、シャンクホルダ71にシャンク15を装着した際に、一部がシャンク15の流路76内に至る。チューブ75は、図示せぬ冷却水循環装置から送出された冷却水をシャンク15側へ流すためのものである。シャンク15の流路76内には樹脂製のチューブ77が挿入される。チューブ77の長さは、シャンク15よりも長く、シャンク15に電極チップ16を取り付けた際に、一部が電極チップ16の内部空間78内に至る。
【0031】
シャンク15の流路76内に挿入されるチューブ77は、シャンクホルダ71の流路74内に挿入されるチューブ75よりも小径で、シャンクホルダ71側のチューブ75に挿入可能となっている。チューブ77は、シャンクホルダ71に挿入されたチューブ75を流れてきた冷却水を電極チップ16側へ流すためのものである。
【0032】
電極チップ16は、テーブル電極10と対を成す電極である。電極チップ16とテーブル電極10のうち一方が溶接トランス11(
図1参照)の一方の電極に接続され、他方が溶接トランス11の他方の電極に接続される。
【0033】
図1に戻り、加圧シリンダ8は、アーム部5Bの先端部分の上面側に配設されている。加圧シリンダ8は、溶接時に圧縮空気の供給を受けることで水平ガン7の後端部に接続されているチェーン(図示略)を引き上げて、水平ガン7の先端部側が下方(テーブル電極10側)へ向かうように水平ガン7を回動させる。この際、被溶接材(図示略)に対して所定の加圧力が加わるようにチェーンが引き上げられる。
【0034】
テーブル電極10は、導電性を有する金属材(主に“銅”)からなる四角形の平面板状に形成されており、水平ガン7の下方に配設される。架台12は、溶接作業に用いられる台であり、テーブル電極10が載置される。溶接トランス11は、水平ガン7に電力を供給するものであり、一方の電極がテーブル電極10に接続され、他方の電極が給電ケーブル9に接続される。溶接トランス11は架台12内に配設される。
【0035】
次に、給電ケーブル9について説明する。
図4は、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の給電ケーブル9の全体構造を示す断面図である。
図5は、給電ケーブル9の一端側部分の構造を示す断面図である。また、
図6は給電ケーブル9の他端側部分の構造を示す断面図である。
図4において、給電ケーブル9は、第1接続端子200、第2接続端子220と、導電性部材240と、第1管状部材260と、第2管状部材280と、第1接続ブロック300と、第2接続ブロック320と、を備える。
【0036】
図5において、第1接続端子200は、導電性を有する金属材(主に“銅”)から成り、第1接続ブロック300と接続するためのフランジ部202と、フランジ部202と一体化し、外周側の表面部分が鋸歯状に形成された本体部203とを備える。フランジ部202は、本体部203よりも大径の円筒状を成す。本体部203は、フランジ部202から中心軸方向に延びる円筒状を成す。フランジ部202と本体部203には、それぞれに共通する中心軸の方向に貫通する貫通孔201が形成されている。この貫通孔201は、フランジ部202側の方の径が若干大きくなっている。なお、フランジ部202と本体部203の双方に貫通孔201が形成されることから、フランジ部202と本体部203の双方の形状が円筒状となる。
【0037】
第1接続端子200の本体部203に形成された歯は、その歯先の向きが第2管状部材280の第1接続端子200への挿入方向と逆向きになっていて、第2管状部材280が第1接続端子200から容易に抜けないようになっている。また、第1接続端子200の本体部203には、その開口側(フランジ部202と反対側)に、軸方向を深さ方向とする溝(以下、“円周方向溝”と呼ぶ)204が周方向に形成されている。円周方向溝204の断面形状は、フランジ部202に近づくに従って狭くなるようにテーパー状にしている。なお、円周方向溝204の断面形状をテーパー状にする以外に例えばコ字状にしても構わない。
【0038】
一方、第2接続端子220は、第1接続端子200と同一形状及び同一金属材から成る。即ち、
図6において、第2接続端子220は、導電性を有する金属材(主に“銅”)から成り、第2接続ブロック320と接続するためのフランジ部222と、フランジ部222と一体化し、外周側の表面部分が鋸歯状に形成された本体部223とを備える。フランジ部222は、本体部223よりも大径の円柱状を成し、本体部223はフランジ部222から中心軸方向に延びる円柱状を成す。フランジ部222と本体部223には、それぞれに共通する中心軸の方向に貫通する貫通孔221が形成されている。この貫通孔221は、フランジ部222側の方の径が若干大きくなっている。なお、フランジ部222と本体部223の双方に貫通孔221が形成されることから、フランジ部222と本体部223の双方の形状が円筒状となる。
【0039】
第2接続端子220の本体部223に形成された歯は、その歯先の向きが第2管状部材280の第2接続端子220への挿入方向と逆向きになっており、第2管状部材280が第2接続端子220から容易に抜けないようになっている。また、第2接続端子220の本体部223には、その開口側に、軸方向を深さ方向とする溝(以下、“円周方向溝”と呼ぶ)224が周方向に形成されている。円周方向溝224の断面形状は、フランジ部222に近づくに従って狭くなるテーパー状にしている。なお、円周方向溝224の断面形状をテーパー状にする以外に例えばコ字状にしても構わない。
【0040】
図4~
図6において、導電性部材240は、導電性及び可撓性を有する金属材(主に“銅”)から成り、一端が第1接続端子200の本体部203側に接続され、他端が第2接続端子220の本体部223側に接続される。導電性部材240は、複数個の銅線束240a(
図7参照)から成り、各銅線束240aは複数本の銅線を撚り合わせたものであり、円形の断面形状になっている。導電性部材240を構成する複数個の銅線束240aそれぞれの一端部が第1接続端子200の円周方向溝204に沿って配置され、複数個の銅線束それぞれの他端部が第2接続端子220の円周方向溝224に沿って配置される。この場合、複数個の銅線束は、周方向に配置される。
【0041】
図7は、
図5のA-A線矢視断面図である。同図は、給電ケーブル9における導電性部材240の第1接続端子200及び第2接続端子220に対する配置を示す図である。同図に示すように、各銅線束240aの一端部は、第1接続端子200の円周方向溝204に対し、周方向に沿って配置される。各銅線束240aの他端部も同様に第2接続端子220の円周方向溝224に対し、周方向に沿って配置される。特に、各銅線束240aの一端部と他端部は、円周方向溝204,224に対して同位置に配置される。即ち、銅線束240aの一端部が円周方向溝204に対して例えば時計で12時の位置に配置される場合、銅線束240aの他端部が円周方向溝224に対して12時の位置に配置される。同様に、銅線束240aの一端部が円周方向溝204に対して例えば3時の位置に配置される場合、銅線束240aの他端部が円周方向溝224に対して3時の位置に配置される。銅線束240aの一端部と他端部を円周方向溝204,224に対して同位置に配置することで、導電性部材240が略円筒形状と成る。
【0042】
図4~
図6に戻り、第1管状部材260は、可撓性を有する樹脂材から成り、一端部分が第1接続端子200の本体部203側から貫通孔201を通って第1接続ブロック300の内部に至り、他端部分が第2接続端子220の本体部223から貫通孔221を通って第2接続ブロック320の内部に至る。
【0043】
第2管状部材280は、ゴム材から成り、一端が第1接続端子200のフランジ部202側に位置し、他端が第2接続端子220のフランジ部222側に位置する。第2管状部材280は、導電性部材240と第1管状部材260と冷却水とを収容する。導電性部材240は、その形状が略円筒形状になるので、冷却水を安定して流すことができる。即ち、第2管状部材280内において冷却水をスムーズに流すことができる。冷却水をスムーズに流せることで冷却効率の向上が図れる。
【0044】
図5において、第1接続ブロック300は、導電性を有する金属材(主に“銅”)から成り、第1穴部301と、第2穴部302と、第1開口部303と、第2開口部304とを有する。第1接続ブロック300は、第1接続端子200のフランジ部202に接続される。この場合、フランジ部202への接続には例えばネジが用いられる。第1穴部301は、内径が第1接続端子200の貫通孔201の内径と略同程度の大きさになっている。第1穴部301は、第1接続端子200の貫通孔201と連通する。第2穴部302は、内径が第1穴部301の内径よりも小さくなっている。第2穴部302は、第1穴部301と連通する。
【0045】
第1開口部303は、第1穴部301と連通し、第2開口部304は、第2穴部302と連通する。第2穴部302は、第1管状部材260の外径より僅かに小さい内径(即ち、第2穴部302に第1管状部材260を圧入できる程度に小さい内径)を有する。なお、第1開口部303と第2開口部304それぞれの開口端には、水漏れ防止用のゴム製のO(オウ)リング305が配置されている。なお、第1接続ブロック300と第1接続端子200のフランジ部202との間にもOリング307が配置されている。
【0046】
第1開口部303は、冷却水の流入側の開口部であり、水平ガン7内の流路を通ってきた冷却水が流入する。矢印Y2は、その流れの方向を示している。一方、第2開口部304は、冷却水の流出側の開口部であり、図示せぬ冷却水循環装置から送出されてきた冷却水が流出する。矢印Y1は、その流れの方向を示している。
【0047】
図6において、第2接続ブロック320は、第1接続ブロック300と同様に、導電性を有する金属材からなる。また、大きさ及び形状は同一である。第2接続ブロック320は、第3穴部321と、第4穴部322と、第3開口部323と、第4開口部324とを有する。第3穴部321は、内径が第2接続端子220の貫通孔221の内径と略同程度の大きさになっている。第3穴部321は、第2接続端子220の貫通孔221と連通する。第4穴部322は、内径が第3穴部321の内径よりも小さくなっている。第4穴部322は、第3穴部321と連通する。
【0048】
第3開口部323は、第3穴部321と連通し、第4開口部324は、第4穴部322と連通する。第4穴部322は、第1管状部材260の外径より僅かに小さい内径(即ち、第4穴部322に第1管状部材260を圧入できる程度に小さい内径)を有する。なお、第3開口部323と第4開口部324それぞれの開口端には、水漏れ防止用のOリング305が配置されている。なお、第2接続ブロック320と第2接続端子220のフランジ部222との間にもOリング307が配置されている。
【0049】
第3開口部323は、冷却水の流出側の開口部であり、第1接続ブロック300の第1開口部303に流入した冷却水が流出する。矢印Y4、その流れの方向を示している。一方、第4開口部324は、冷却水の流入側の開口部であり、図示せぬ冷却水循環装置から送出されてきた冷却水が流入する。矢印Y3は、その流れの方向を示している。
【0050】
このように、給電ケーブル9は、第1接続端子200の本体部203に環状の円周方向溝204が形成されるともに、第2接続端子220の本体部223に環状の円周方向溝224が形成される一方、第1接続端子200の本体部203と第2接続端子220の本体部223を接続する導電性部材240が複数個の銅線束240aで構成され、各銅線束240aの一端部が、第1接続端子200の本体部203の円周方向溝204に周方向に沿って配置されてロウ付けされ、各銅線束240aの他端部が、各銅線束240aの一端部の円周方向溝204に対する場合と同様に、円周方向溝224に対して同位置になるように、第2接続端子220の本体部223の円周方向溝224に周方向に沿って配置してロウ付けされ、さらに冷却水循環装置から送出される冷却水を通流させる第1管状部材260が第1接続端子200と第2接続端子220を通して配設されるので、冷却水循環装置から送出される冷却水を水平ガン7へ流すための第1管状部材260が給電ケーブル9内に収容されることから、チューブやケーブルの総数を少なくでき、水平ガン7の操作性の向上が図れるとともに、抵抗溶接装置1を製造するうえでのコスト削減が可能となる。また、第1接続端子200と第2接続端子220との間で各銅線束240aが整列配置されることから、第2管状部材280内における冷却水のスムーズな流れを実現でき、冷却効率の向上が図れる。
【0051】
次に、本実施形態の抵抗溶接装置1の給電ケーブル9の製造方法について説明する。
図8は、給電ケーブル9の製造方法を説明するための図である。本方法は、冷却水流入側の第1流路80と冷却水流出側の第2流路81とを有する水平ガン7を備えた抵抗溶接装置1の製造に用いる方法である。
【0052】
(第1工程)
第1接続端子200と第2接続端子220との間に第2管状部材280よりも全長が長く且つ外径が第1接続端子200の貫通孔201の外径より小さく、第1管状部材260の外径より大きい金属製の第3管状部材400を配置する。なお、第1工程では、第1管状部材260は使用しない。第3管状部材400は、第1接続端子200と第2接続端子220との間に第1管状部材260を通すためと、導電性部材240を第1,2接続端子200,220にロウ付けする際の防熱のために用いられる。
【0053】
(第2工程)
導電性部材240として作製した複数本の銅線からなる銅線束240aの個々の一端を第1接続端子200の円周方向溝204に配設するとともに、個々の他端を第2接続端子220の円周方向溝224に配設する。
【0054】
(第3工程)
第3管状部材400内に第1管状部材260を挿入する。
【0055】
(第4工程)
第1接続端子200の円周方向溝204に配設した複数個の銅線束240aの個々の一端を第1接続端子200にロウ付けするとともに、第2接続端子220の円周方向溝224に配設した複数個の銅線束240aの個々の他端を第2接続端子220にロウ付けする。
【0056】
ロウ付け時にはその箇所が高温になるので、金属製の第3管状部材400がなければ樹脂製の第1管状部材260が溶解してしまうが、第3管状部材400を設けたことで、第1管状部材260がロウ付け時の熱に影響を受けるのを防止できる。
【0057】
(第5工程)
第2管状部材280を、第1接続端子200のフランジ部202と第2接続端子220のフランジ部222との間に配置する。
【0058】
導電性部材240を複数個の銅線束240aとして、それらの銅線束240aを第1接続端子200と第2接続端子220との間で略円筒形状になるように周方向に並べて配設し、その略円筒形状になった導電性部材240内に第1管状部材260を配設することで、第2管状部材280内における冷却水の安定した流れを実現でき、冷却効率の向上が図れる。
【0059】
(第6工程)
第5工程終了後、第3管状部材400を抜き取る。導電性部材240を第1,2接続端子200,220にロウ付けし、第1管状部材260を挿入したので、第3管状部材400が不要となる。このため、第3管状部材400を抜き取る。
【0060】
本方法では、2本のチューブと1本の給電ケーブルを必要とするものと比べて、1本の給電ケーブル9で済むことから、水平ガン7の操作性の向上が図れ、また抵抗溶接装置1を製造するうえでのコスト削減が可能となる。
【0061】
次に、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の使用例について説明する。
溶接を行うときは、テーブル電極10上に例えば2枚の鋼鈑を重ね合わせて載置する。その後、上側の鋼鈑に水平ガン7の先端部分(電極チップ16が装着された部分)を当てる。この状態で溶接を開始する操作を行うことで、加圧シリンダ8が作動を開始して水平ガン7の後端部分が引き上げられる。水平ガン7の後端部分が引き上げられることで、水平ガン7の先端部側が下方へ回動し、電極チップ16が上側の鋼鈑に当接する。この場合、加圧力に応じた大きさで当接する。溶接を開始する操作が行われることで、加圧と同時に通電が行われて、2枚の鋼鈑の溶接が行われる。
【0062】
このように、本実施形態に係る抵抗溶接装置1の水平ガン7によれば、第2管状部材280内に、導電性部材240を複数個の銅線束240aとして、それらの銅線束240aを、第1接続端子200と第2接続端子220との間で略円筒形状になるように周方向に並べて配設し、その略円筒形状になった導電性部材240内に第1管状部材260を配設したので、第2管状部材280内における冷却水の安定した流れを実現でき、冷却効率の向上が図れる。
【0063】
また、従来のような2本のチューブ710,720と1本の給電ケーブル730を必要とするものと比べて、1本の給電ケーブル9で済むことから、水平ガン7の操作性の向上が図れるとともに、抵抗溶接装置1を製造するうえでのコスト削減が可能となる。
【0064】
なお、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、装置本体に対して水平方向に移動できる溶接ガンと、略正方形の平坦な板状に形成されたテーブル電極とを備えた抵抗溶接装置に好適である。
【符号の説明】
【0066】
1 抵抗溶接装置
4 支持ポスト
5 アーム
6 ガンブラケット
7 水平ガン
7A ガン先端部
7B ガン後端部
8 加圧シリンダ
9 給電ケーブル
10 テーブル電極
11 溶接トランス
12 架台
15 シャンク
16 電極チップ
61 軸
71 シャンクホルダ
73 ハンドル
74,76 流路
75,77 チューブ
78 内部空間
80 第1流路
81 第2流路
200 第1接続端子
201 貫通孔
202 フランジ部
203 本体部
204,224 円周方向溝
220 第2接続端子
221 貫通孔
222 フランジ部
223 本体部
240 導電性部材
240a 銅線束
260 第1管状部材
280 第2管状部材
300 第1接続ブロック
301 第1穴部
302 第2穴部
303 第1開口部
304 第2開口部
305,307 Oリング
320 第2接続ブロック
321 第3穴部
322 第4穴部
323 第3開口部
324 第4開口部
400 第3管状部材