(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094619
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】釣用仕掛け
(51)【国際特許分類】
A01K 91/053 20060101AFI20240703BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A01K91/053
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211279
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】田井中 佑基
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA35
2B307BA36
2B307BA46
2B307BA70
2B307EB15
2B307EB16
2B307JA09
(57)【要約】
【課題】取り扱いが容易であり、実釣時において、釣糸を巻き取る際に、水底の障害物に引っ掛かることが抑制される釣用仕掛けを提供する。
【解決手段】本発明に係る釣用仕掛けは、一端側が沈下するように錘80が装着され、他端側が浮上する浮力体2を備えている。浮力体2には、沈下する一端側にラインアイ5が設けられ、浮上する他端側に釣針10のハリス12が固定可能な釣針取り付け部7が設けられ、釣針取り付け部7は、浮力体2から突出した位置に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が沈下するように錘が装着され、他端側が浮上する浮力体を備え、
前記浮力体には、沈下する前記一端側にラインアイが設けられ、浮上する前記他端側に釣針のハリスが固定可能な釣針取り付け部が設けられ、
前記釣針取り付け部は、前記浮力体から突出した位置に設けられていることを特徴とする釣用仕掛け。
【請求項2】
前記釣針取り付け部は、前記浮力体から突出するように固定された硬質の線状部材の先端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け。
【請求項3】
前記線状部材は、前記浮力体の全長の0.5倍から2倍以下の長さであることを特徴とする請求項2に記載の釣用仕掛け。
【請求項4】
前記錘は、前記浮力体の内部に設けられており、
前記浮力体が水中で起立した際、前記浮力体の先端縁が着底することを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け。
【請求項5】
前記浮力体には、前記ラインアイと対向する側に、錘を着脱可能な錘アイが設けられており、
前記浮力体が水中で起立した際、前記浮力体の先端縁が底から離間し、前記錘アイに装着された錘の下端が着底することを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け。
【請求項6】
前記錘アイは、基端部が浮力体に固定されると共に、前記基端部から先端部に至るまで360°以上に亘って螺旋状に巻回された部材であり、
前記先端部には、前記錘に設けられた連結リングが挿通可能であることを特徴とする請求項5に記載の釣用仕掛け。
【請求項7】
前記浮力体は、前記一端側の浮力が小さく、前記他端側の浮力が大きい形態を有することを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して用いられる釣用仕掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚を釣る釣用仕掛として、特許文献1に開示されているような、L型の天秤が知られている。通常、L型の天秤は、ステンレスのような硬質な金属材をL型に屈曲し、その一端にリールからのライン、L型に屈曲した他端に釣針のハリス、そして、屈曲部に錘を装着するように構成されている。また、特許文献2には、L型の天秤の屈曲部に装着する錘を、錘体と浮力体で構成した釣用仕掛けが開示されている。これらのL型の天秤は、サーフ、河口、防波堤などからキャスティングし、例えば、キスやコチ等、水底にいる魚を釣る場合に用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-56732号
【特許文献2】特開2012-152201号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した引用文献1に開示された釣用仕掛けで、水底にいる魚を釣るために、狙ったポイントにキャスティングすると、天秤が水底で横倒し状態となってしまう。したがって、この状態で釣糸巻き取り操作をすると、L型に屈曲したアーム部は、陸に向けて水底に沿って引きずられるように移動する。このように、天秤が倒れた状態で水底に沿って引きずられると、水底の岩や藻等の凹凸(障害物)に引っ掛かり易く、抜け難いという問題が発生する。特に、釣針のハリスは、水底に沿った状態で延びていることから、障害物に引っ掛かり易く、擦り切れる可能性がある。
【0005】
また、引用文献2に開示された釣用仕掛けは、水底で錘を起立させることで、L型のアーム部を水底から離間させているが、錘(浮力体)の上端にアーム部を垂直上方に突出させ、その先端の接続リングにリールからの釣糸を接続しているため、釣糸を巻き取った際、アーム部を介して重量のある錘部分が海底で引きずられるようになる。この状態で錘部分が障害物に引っ掛かると、釣糸を巻き取って釣糸に引張力を付与しても、錘部分は抜け難く、釣糸が切れ易いという問題が生じる。
さらに、上記したようなL型の天秤は、2本の屈曲した金属性のアーム部を有する構造のため、収納がし難く、取り扱いが不便である。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、取り扱いが容易であり、実釣時において、釣糸を巻き取る際に、水底の障害物に引っ掛かることが抑制される釣用仕掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る釣用仕掛けは、一端側が沈下するように錘が装着され、他端側が浮上する浮力体を備え、前記浮力体には、沈下する前記一端側にラインアイが設けられ、浮上する前記他端側に釣針のハリスが固定可能な釣針取り付け部が設けられ、前記釣針取り付け部は、前記浮力体から突出した位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の釣用仕掛けは、一端側が沈下し他端側が浮上する浮力体の前記一端側にリールからのラインが接続されるラインアイが設けられており、浮力体の前記他端に釣針のハリスが固定可能な釣針取り付け部が設けられている。このように、従来のL型天秤のような2本の屈曲したアーム部を備えていないため、収納及び取り扱いが容易となる。また、浮力体が沈下するように錘が装着される一端側にラインアイが設けられてラインが接続されるので、障害物に引っ掛かっても、ラインアイ部分にラインからの引張力が作用すると、浮力体は障害物から離脱し易くなる。すなわち、リトリーブ操作をしている状況で、前記浮力体の一端側は、水底に障害物があると引っ掛かり易い部分となっているが、たとえ引っ掛かったとしても、沈下している一端側から容易に抜けることができるので、浮力体の引っ掛かりを抑制することができる。また、浮力体には、浮く側となる他端側に、釣針が取り付け可能な釣針取り付け部が突出するように設けられているため、浮力体の一端側から釣針までの距離が確保され、糸絡み等による引っ掛かりを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取り扱いが容易であり、実釣時において、釣糸を巻き取る際に、水底の障害物に引っ掛かることが抑制される釣用仕掛けが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る釣用仕掛けの第1の実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す釣用仕掛け示しており、(a)は側面図、(b)は平面図。
【
図3】
図1に示す釣用仕掛けの水中での起立状態を説明する図。
【
図5】
図1に示す釣用仕掛けを示しており、ラインアイに接続された釣糸に引張力が作用した状態を説明する図。
【
図6】
図1に示す釣用仕掛けの水底での動作を説明する図。
【
図7】本発明に係る釣用仕掛けの第2の実施形態を示す図。
【
図9】本発明に係る釣用仕掛けの第3の実施形態を示す図。
【
図10】本発明に係る釣用仕掛けの第4の実施形態を示す図。
【
図11】本発明に係る釣用仕掛けの第5の実施形態を示す図。
【
図12】本発明に係る釣用仕掛けの第6の実施形態を示す図。
【
図13】本発明に係る釣用仕掛けの第7の実施形態を示す図。
【
図14】(a)~(c)は、それぞれ浮力体の表面形状の概念を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る釣用仕掛けの実施形態について説明する。
図1から
図5は、本発明に係る釣用仕掛けの第1の実施形態を示す図であり、
図1は、斜視図、
図2は、
図1に示す釣用仕掛けを示しており、(a)は側面図、(b)は平面図、
図3は、
図1に示す釣用仕掛けの水中での起立状態を説明する図、
図4は、
図3に示すル釣用仕掛けの正面図、そして、
図5は、
図1に示す釣用仕掛けのラインアイに接続された釣糸に引張力が作用した状態を説明する図である。
【0012】
なお、本発明の釣用仕掛けは、浮力体を備えており、前記浮力体には、リールからのラインが接続されるラインアイが設けられている。以下の説明において、釣用仕掛け(浮力体)の方向性を特定するに際しては、釣人がリトリーブ操作した際に釣用仕掛けが進行する方向を先端側(先端部、前側、前方など)と定義し、その反対側を後端側(後端部、後側、後方など)と定義する。また、この状態での水面側を上(上方)、水底側を下(下方)と定義し、前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(左右方向)と定義する。
【0013】
本実施形態の釣用仕掛け1は、海で使用されることを想定したものであり、
図1に示すような形態の浮力体2を備えている。前記浮力体2は、海中(水中)で浮く構成であれば材料については限定されることはなく、比重が軽い材料で構成されたもの、或いは、比重が重い材料であっても内部に空洞が形成されて浮くように構成されたものであっても良い。また、本実施形態の釣用仕掛けは、主に、サーフ、河口、防波堤等、陸からキャスティングして魚を釣るのに適した構成となっているが、河川、湖のような淡水領域においても使用することが可能である。
【0014】
前記浮力体2は、海中において、先端側(一端側)が沈下し後端側(他端側)が浮上した状態を維持できる形態を備えている。本実施形態では、浮力体2の先端側に錘80が設けられて、先端側が沈下する構成となっている。この場合、錘については、予め浮力体2の内部に設けられているもの、ユーザが錘アイを介して取り付けるもの、或いは、これらの組み合わせであっても良く、浮力体2の構成において、便宜上、錘によって沈下する先端側を沈下部2A、浮上する後端側を浮上部2Bと称する。
なお、浮力体に関し、沈下部2Aの素材を比重が大きいもの、浮上部2Bの素材を比重が小さいもので構成すると、上記したような錘を設けなくても、先端側が沈下し後端側を浮上させることが可能となる。本発明では、このような構成であっても、浮力体に錘が装着されたものとする。
【0015】
本実施形態の浮力体2は、
図1に示すように、沈下部2Aと浮上部2Bの外形状が異なっており、共に表面が膨らんだ湾曲状に構成され、
図2(a)(b)に示されるように、浮上部2Bは、上下方向の最大高さH、及び、左右方向における最大幅Wが、沈下部2Aの最大高さ、及び、最大幅よりも大きい形状とされている。したがって、このような表面を備えた外形状では、浮力体2の後方側(浮上部2B)は、前方側(沈下部2A)と比較すると容積が大きいことから、海中で先端側が沈下し、後端側が浮上する状態(以下、このような状態を起立状態とも称する)に維持させ易くなる。
この場合、前記浮力体2の大きさは、一例として、全長Lが40~45mm程度、前記浮上部における上下方向の最大高さHが20~25mm程度、前記浮上部における最大幅Wが15~20mm程度で形成されている。
【0016】
また、本実施形態の浮力体2は、沈下部2Aと浮上部2Bとの間の海底側(下方側)が窪むことで凹部2Cが形成されており、この凹部2C部分で沈下部2Aと浮上部2Bが区分けされている。すなわち、凹部2Cよりも前方側が沈下部2A、その後方側が浮上部2Bとなっており、浮上部2Bの前後方向の長さについては、安定した起立状態で、浮力が十分得られるように沈下部2Aの前後方向長さよりも長い形状とされている。
【0017】
本実施形態では、前記凹部2Cに錘を着脱可能にする錘アイ3が固定されている。この錘アイ3は、例えば、基端部3aが浮力体2に固定され、基端部3aから先が螺旋状に巻回されて先端部3bが中間部分から離間するように形成されたものが用いられており、前記基端部3aから先端部3bに至るまで360°以上に亘って螺旋状に巻回されている。このため、先端部3bに錘80のリング部81を挿通することができ、治具などを用いることなく、錘80を着脱操作することが容易に行うことが可能となると共に、360°以上に亘って螺旋状に巻回されていることで、容易に外れ難くすることができる。
なお、錘アイ3は、以下のようなラインアイ5と同一の構成であっても良い。
【0018】
前記浮力体2の錘アイ3に、錘80のリング部81を取り付けることで、浮力体2は、前方側が沈下するようになる。すなわち、浮力体2は、先端側に装着された錘80によって、
図3に示すように、先端側を下にして海(水)中で起立状態を維持することが可能となる。この場合、海中では、海流が生じていることもあるが、本発明に係る釣用仕掛けの構成を説明する上では、そのような海流が無い状態として説明する。
【0019】
図3に示すように、浮力体2の先端側が錘80の重量によって沈下すると、後端側は浮上する。本実施形態では、上記したように、浮力体2の先端側の凹部2Cに設けられた錘アイ3に錘80が装着されるようになっており、錘アイ3の位置は、浮力体2が起立状態になった際、装着された錘80が、浮力体2の先端縁2aよりも海底側となるように設定されている。このため、浮力体2は、錘80が海底100に着底した状態で、浮力体2の先端縁2aが海底100から離間した状態で安定するようになる。
【0020】
前記凹部2C内に固定される錘アイ3については、
図4に示すように、前記浮力体2が海中で起立した状態で正面視した際、浮力体2によって隠れる位置に設けられていることが好ましい。本実施形態では、前記錘アイ3は、凹部2Cの底(最も深い位置)に固定されており、前記沈下部2Aによって、正面から見ても錘アイ3が見えないように構成されている。
【0021】
このように、前記錘アイ3の固定位置を特定することで、正面側から糸絡み、障害物と絡み易い部分が露出しなくなり、引っ掛かりを抑制することが可能となる。なお、錘アイ3の位置については、浮力体2の先端縁2aから前方に飛び出てしまうと、障害物に引っ掛かり易くなってしまい、逆に、浮力体2の後端側に移行し過ぎてしまうと、全体として重心が上がってしまい、海中で安定した起立状態を維持することができなくなってしまう。このため、錘アイ3は、浮力体2の先端縁2aの最先部における接線E1と、錘アイ3の先端で前記接線E1と平行となる接線E2との間の長さL2が、0≦L2≦Lの範囲で浮力体2に固定されていることが好ましい。
【0022】
前記浮力体2の先端部、すなわち、沈下部2Aには、ラインアイ5が固定されている。このラインアイ5は、リール側からのライン(釣糸)90が接続される部分であり、沈下部2Aの表面との間で略リング状に閉じた開口5aが形成されている。本実施形態では、
図2(a)に示すように、前記沈下部2Aから浮上部2Bにかけての上面が湾曲形状に面一状に形成されており、ラインアイ5については、沈下部2Aの上面(背中)の先端に固定することが好ましい。このため、浮力体2には、前記沈下部2Aを挟んで、ラインアイ5と対向する側に前記錘アイ3が設けられた状態となっており、浮力体2が起立した状態で、ラインアイ5に接続されたライン90に引張力Tが作用すると、錘80が装着された部分の動きは、浮力体2の後端部の動きと異なるようになっている。
【0023】
すなわち、
図5に示すように、浮力体2の前端側(沈下部2A)は、リールを巻き取る等、ライン90に引張力Tが作用すると、ライン90の引張に伴って、ラインアイ5と対向する側に固定された錘アイ3は同様な方向に引張作用を受けるようになり、矢印D1方向(時計回り方向)に回動しようとする。これに対して、浮力体2の後端側(浮上部2B)は、その反力によって矢印D2方向(反時計回り方向)に回動しようとする。また、ライン90に対する引張力Tが無くなると、浮力体2は、錘80の重さ、及び、浮上部2Bの浮力によって、上記した回動方向と逆向きに回動するようになる。
なお、ラインアイ5を、浮力体2の先端縁2a(
図3参照)に固定すると、ライン90に引張力Tが作用した際、先端側が回転することがあり、また、接続したライン90が海底と接触してラインが傷付くこともあることから、上記のように、沈下部2Aの上面(背中)の先端に固定することが好ましい。
【0024】
前記ライン90から浮力体2に作用する引張力の方向については、水深やキャスティングした距離によって変化する。例えば、水深が深いと、リールを巻き取り操作した際、
図5のT1で示す方向に引張力が作用し、水深が浅いと、
図5のT2で示す方向に引張力が作用するようになる。この場合、ラインアイ5は、上記のように、浮力体2の前端部の上面に固定されており、浮力体2が起立した状態で接続されたライン90の延長線上(又はその近傍)に、浮力体2の前端側を沈下させる錘80が存在するように設定することで、深さに関係なく、浮力体2の前端側(沈下部2A)を、ライン90の引張に伴って矢印D1方向(時計回り方向)に回動させることが可能となる。
【0025】
また、前記浮力体2の後端部、すなわち、浮上部2Bには、釣針10が取り付け可能な釣針取り付け部7が後方に向けて突出するように固定されている。この釣針取り付け部7は、前記浮力体2から突出した位置(浮力体2の後端部から後方に離間する位置)にあれば良く、釣針10、及び、釣針10のチモトに取り付けられたハリス12を、前記錘アイ3及びラインアイ5から離間させて糸絡み等を生じ難くするようにしている。これにより、前記浮力体2は、海中において、前記ラインアイ5が下、前記釣針取り付け部7が上となった状態が維持される。
【0026】
前記釣針取り付け部7は、硬質で屈曲可能な材料、或いは、硬質で屈曲しない硬質材料の先端部に設けられており、
図3に示すように、ハリス12によって釣針10が上方から垂れ下がるようにする場合、針金のように、後方に向けて直線状に延出する硬質の線状部材(硬質ワイヤ)7Aで構成することが好ましい。このような構成では、ハリス12の長さを所望の状態となるように調整して、釣針10の海底での状態を変更することが可能となる。なお、釣針取り付け部7は、浮力体2に対して着脱可能な構成であっても良い。
【0027】
前記釣針取り付け部7は、前記ハリス12を挟持する公知のハリス止めを備えたもので構成することが可能である(
図1,2参照)。
このようなハリス止めを用いることで、容易に釣針10や、ハリス12の太さを変更することが可能となる。
【0028】
なお、前記線状部材7Aの突出方向の長さL1については、長くし過ぎると仕掛けが長くなり過ぎて、キャスト性やバランスが悪くなってしまい、短すぎるとハリス12を長くした際、絡み易くなってしまう。このため、前記浮力体2の全長をLとした場合、突出方向の長さL1は、0.5L≦L1≦2Lの範囲にすることが好ましい(
図2参照)。また、前記釣針取り付け部(ハリス止め)7については、1本の線状部材7Aの先端部に、方向性を変えて複数個設けた構成であっても良い。
【0029】
次に、
図6を参照して、本実施形態の釣用仕掛け1の使用態様について説明する。
本実施形態の釣用仕掛け1は、根魚/ハゼに適した構造となっており、
図6は、海底に生息するハゼを対象魚として上記した構成の釣用仕掛け1を用いた例を示している。
【0030】
前記釣用仕掛け1は、キャスティング操作等によって、所望の位置に投げ込まれ、海底に着底すると、浮力体2は、先端側に装着された錘80によって、錘80が着底すると共に、浮力体2の先端縁2aが海底100から離間した状態で維持される(起立状態が維持される)。この状態では、釣針10に取り付けられたエサ15は、浮力体2の後端部から後方に突出する線状部材7Aの先端の釣針取り付け部7に挟持されたハリス12によって、海底付近で浮遊するような動きを呈するようになる。すなわち、釣人のリトリーブ操作、釣竿のあおり操作、或いは、線状部材7Aの撓り等によって、エサ15を海底付近で浮遊させるように動かすことができ、魚に対す釣用仕掛けアピール力を高めることができる。
【0031】
また、海底100には、石、岩、貝殻等が堆積して凹凸状態(障害物110)になっていることがあり、前記浮力体2の前端領域や錘80の部分が障害物110に引っ掛かることもあるが、上記したように、浮力体2は、ライン90に引張力Tが作用すると、D1方向に回動しようとするため、障害物110から離脱し易くなり、釣用仕掛け1が障害物110に引っ掛かることが抑制される。
【0032】
この場合、前記浮力体2は、従来のL字型の天秤のような2本のアーム部を備えた構成でないことから、収納及び取り扱いが容易となる。また、実釣時において、浮力体2が障害物に引っ掛かっても、ラインアイ5に接続されたライン90に引張力を作用させると、上記したように、沈下部2Aの部分が容易に回動して障害物から離脱させることができるので、L字型の天秤のように釣糸が切れたり、損傷することが防止される。
【0033】
また、釣針10のハリス12については、前記線状部材7Aの先端から垂れ下がるような状態となっており(海底で漂っていない)、かつ、線状部材7Aの長さL1によって浮力体2との距離も確保されているので、糸絡みによる引っ掛かりも効果的に防止することができる。さらに、前記錘アイ3については、
図4に示すように、前記浮力体2が海中で起立した状態で正面視した際、浮力体2によって隠れる位置に設けられており、しかも凹部2C内に位置していることから、ライン90やハリス12が糸絡みし難くなる。
【0034】
次に、本発明の釣用仕掛けの別の実施形態について説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、前記第1の実施形態と同様な構成を有する部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0035】
図7は、本発明に係る釣用仕掛けの第2の実施形態を示す図である。
この実施形態では、浮力体2に錘アイ3を固定することはなく、浮力体2の先端側の内部に、錘85が設けられている。このため、浮力体2が海中で起立した際、浮力体2の先端縁2aが着底する状態となる。
【0036】
このような構成によれば、錘85の位置は、
図7のように、浮上部2Aが介在してラインアイ5の固定位置と重なることから、ラインアイ5に接続されたラインに引張力が作用した際、錘85に直接、引張力を作用させることができ、浮力体2の先端部分は、
図5で示した矢印D1方向に回動し易くなり、釣用仕掛け1が障害物に引っ掛かっても、より容易に離脱させることが可能となる。また、浮力体2が直接、着底するので、起立状態が安定するようになる。
【0037】
なお、浮力体2の表面には、印刷、シール(ホログラムシール等を含む)の貼付、ホットスタンプ等、各種の公知の手法によって模様(目の模様2E、更には、鱗模様等)を形成しても良く、これにより、対象魚に対す釣用仕掛けピール力を高めることができる。また、線状部材7Aの先端に設けられる釣針取り付け部7については、リング部として構成し、この部分にハリスを直接接続したり、スナップ等を介してハリスを取り付ける構成であっても良い。
【0038】
図8は、
図7に示す第2実施形態の変形例を示しており、
図7に示した浮力体2に、別途、錘80が装着できるように、第1の実施形態と同様、錘アイ3を固定した構造にしたものである。このような構成では、ユーザの好みに応じて重量を重くすることができるので、遠方にキャスティングし易くなり、また、線状部材7Aを更に短くすることで、よりキャスティングし易くなる。
【0039】
図9は、本発明に係る釣用仕掛けの第3の実施形態を示す図である。
この実施形態では、浮力体2(浮上部2B)の後端部に、複数の釣針取り付け部7を設けた例を示している。具体的には、浮力体2の後端部から、左右方向、及び、後方向に略90°間隔で3本の線状部材7Aを突出するように固定しており、それぞれの先端に釣針取り付け部(ハリス止め)7を設けている。
【0040】
このような構成によれば、釣果の向上が期待できると共に、異なるタイプの釣針、異なる太さのハリス、異なるタイプのエサを装着することができ、魚のかかり具合によって最適な構成を選択し易くなる。
【0041】
図10は、本発明に係る釣用仕掛けの第4の実施形態を示す図である。
この実施形態の浮力体2は、上記した各実施形態の浮力体2の形状とは異なり、先端側の沈下部2Aを、後端側の浮上部2Bよりも外形状が大きくなるように構成している。また、錘アイ3については、沈下部2Aの下端位置で、ラインアイ5と近接する位置に固定している。
【0042】
このように、浮力体2の全体形状については、先端側が沈下し、後端側が浮上できれば、適宜、変形することができる。例えば、沈下部2Aの容積が大きくても、錘80(内部に設けられる錘であっても良い)の重量を大きく設定することで、上記した実施形態と同様、起立状態を維持させることが可能である。また、錘アイ3とラインアイ5の固定位置については、ラインアイ5に接続されたラインに引張力が作用した際、錘80が装着された部分が、浮力体2の後端部に対して、動きの方向が変わるように構成されていれば良い。
【0043】
図11は、本発明に係る釣用仕掛けの第5の実施形態を示す図である。
この実施形態の浮力体2の先端縁2aには、先端側に移行するに連れて幅広で、かつ、厚肉となるリップ20が取り付けられている。また、このリップ20の上面にはラインアイ5Aが設けられており、好ましくは、リップ20の上面の先端に固定されている。
なお、ラインアイ5Aについては、リップ20の先端縁20aに固定すると、ラインに引張力Tが作用した際、先端側が回転することがあり、ラインが傷付くこともあるので、上記のように、リップ20の上面の先端に固定することが好ましい。
【0044】
このようなリップ20を浮力体2に設けることで、釣用仕掛けをリトリーブした際、浮力体2は振動しながら移動するため、魚に対す釣用仕掛けピール力を高めることができる。また、このような構成において、錘アイ3に錘(図示せず)を装着すると、ラインアイ5Aに接続されたラインから引張力が作用した際、リップ20は上記した実施形態と同様、浮力体2の後端部に対して動きの方向が変わる(
図5で示した矢印D1方向に回動する)ため、リップ20の部分が障害物に引っ掛かっても、容易に離脱することができる。また、錘アイ3については、浮力体2が水中で起立した状態で正面視した際、前記リップ20によって隠れる位置に設けられているため、ライン90やハリス12が糸絡みし難くなる。
【0045】
図12は、本発明に係る釣用仕掛けの第6の実施形態を示す図である。
この実施形態では、浮力体2の先端縁2aに取り付けられるリップ20の先端の内部に錘86が取り付けられている。また、浮力体2の下面には、フック用のアイ9が取り付けられており、後端部(浮上部2Bの後端)にも、フック用のアイ7Bが後方に突出するように固定されている。
なお、図面では、各アイ7B,9に対して、リング部材25を介してトリプルフック30,31が装着されているが、後端側のアイ7Bについては、
図11に示すように、線状部材7Aで構成しても良い。また、リップ20の先端の内部に錘86が設けられているため、錘アイ3については省略されていても良い。
【0046】
このような構成では、リップ20の先端縁20aが着底して浮力体2の起立状態が維持されるようになり、ラインアイ5Aに接続されたラインに引張力が作用した際、リップ20の錘部分に引張力が作用して浮力体2の後端部に対して動きの方向が変わることから、障害物に掛かっても抜け易くなる。
【0047】
図13は、本発明に係る釣用仕掛けの第7の実施形態を示す図である。
この実施形態では、
図6の実施形態の構成において、浮力体2の下面に固定されたフック用のアイ9を削除すると共に、後端部(浮上部2Bの後端)のフック用のアイ7Bに、釣針10のハリス12を接続するように構成されている。
【0048】
図11,
図12に示した実施形態と同様、リップ20を浮力体2の先端縁2aに取り付けたことで、リップ20と浮力体2によって長さが確保できるので、フック用のアイ7Bに直接ハリス12を接続しても、糸絡みを抑制することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0050】
例えば、前記浮力体2を構成する先端側の沈下部2Aと、後端側の浮上部2Bの外形状や表面の状態については限定されるものではなく、一端側(先端側)が沈下し、他端側(後端側)が浮上できれば、両者の形態や境界部分は、明確に特定されなくても良い。前記浮力体の外形状(形態)としては、
図14(a)~(c)に例示されるように、例えば、立方体40の形状に基づくもの、三角錐41の形状に基づくもの、球体42に基づくもの等、或いは、これらを組み合わせる等、適宜変形することが可能である。この場合、浮力体2を球体とした場合、海中において、ラインアイ3が下となっており、釣針取り付け部7が上となった状態が維持されれば良い。
【0051】
また、浮力体の表面の状態については、曲面状、平坦状、これらが複合した状態等、適宜、変形することができる(本発明の実施形態では、表面が曲面状となった大きさが異なる略球体(略楕円状の球体)を一体化することで、沈下部2Aと浮上部2Bを構成している)。或いは、浮力体は、実際の生物の形態を模したもの等で構成しても良い。また、浮力体の構成(大きさ、材質、アイの個数等)、及び、装着される錘についても、適宜変形することが可能である。
【0052】
また、上記した構成の釣用仕掛け1は、前記浮力体2の表面にベイトフィッシュのような模様を付すことで、一般的なルアーのように使用することも可能である(水底に着底させないようにリトリーブする)。
【符号の説明】
【0053】
1 釣用仕掛け
2 浮力体
2A 沈下部
2B 浮上部
3 錘アイ
5,5A ラインアイ
7 釣針取り付け部
7A 線状部材
80,85,86 錘