(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094620
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】配線回路基板、電気的要素実装基板、配線回路基板の製造方法および電気的要素実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240703BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H01L23/12 L
H01L23/12 J
H05K3/46 H
H05K3/46 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211280
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤林 征宏
(72)【発明者】
【氏名】榎木 雅人
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC36
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE08
5E316EE33
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG23
5E316GG28
5E316HH02
5E316HH17
5E316HH24
5E316HH33
(57)【要約】
【課題】電気的要素の実装が容易でかつ配線のインピーダンスの低減および電気的要素の放熱性の確保を実現可能な配線回路基板を提供する。
【解決手段】配線回路基板100は、厚み方向DTにおいて互いに逆の方向を向く第1の面101および第2の面102を有する。配線回路基板100は、積層された複数の絶縁層(10,20,30)と、いずれかの絶縁層上に形成される複数の導体層(11,21,31)と、複数の端子部T1,T2とを含む。複数の端子部T1は第1の面101上に形成され、複数の端子部T2は第2の面102上に形成されている。複数の絶縁層(10,20,30)のうち一の第1の絶縁層10上に第1の導体層11が形成されている。第1の絶縁層10の厚みと第1の導体層11の厚みとの合計は、30μm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板であって、
前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層と、
前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に形成される複数の導体層と、
電気的要素が有する接続端子を接続可能に構成された第1の被接続部および第2の被接続部とを備え、
前記第1の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように前記第1の面上に形成され、
前記第2の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように前記第2の面上に形成され、
前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、
前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である、配線回路基板。
【請求項2】
前記電気的要素は、互いに分離された第1の電気的要素と第2の電気的要素とを含み、
前記配線回路基板は、前記第1の電気的要素と前記第2の電気的要素とを電気的に接続するために用いられる再配線基板である、請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記複数の絶縁層は、第2の絶縁層および第3の絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記第2の絶縁層上に形成される第2の導体層、および前記第3の絶縁層上に形成される第3の導体層を含み、
前記第2の導体層が形成される前記第2の絶縁層の部分の厚みと前記第2の導体層の厚みとの合計は、30μm以下であり、
前記第3の導体層が形成される前記第3の絶縁層の部分の厚みと前記第3の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記複数の絶縁層は、積層配置された複数のベース絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記複数のベース絶縁層上にそれぞれ形成され、
前記複数のベース絶縁層の各々の厚みと、当該ベース絶縁層上に形成される導体層の厚みとの合計は、30μm以下である、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記複数の絶縁層は、積層配置された前記複数のベース絶縁層上に形成されるカバー絶縁層を含み、
前記カバー絶縁層の厚みは、3μm以上15μm以下である、請求項4記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記複数の絶縁層の各々の厚みは、3μm以上15μm以下であり、
前記複数の導体層の各々の厚みは、3μm以上15μm以下である、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記複数の絶縁層は、感光性材料からなる、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項8】
前記複数の絶縁層および前記複数の導体層を支持する金属支持体をさらに備える、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項9】
前記複数の絶縁層は、第2の絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記第2の絶縁層上に形成される第2の導体層を含み、
前記金属支持体は、前記厚み方向において、前記第1の絶縁層および前記第1の導体層と前記第2の絶縁層および前記第2の導体層との間に位置する、請求項8記載の配線回路基板。
【請求項10】
前記金属支持体の熱伝導率は、10W/mK以上250W/mK以下である、請求項8記載の配線回路基板。
【請求項11】
前記金属支持体の25℃以上200℃以下における線膨張係数は、0ppm/K以上25ppm/K以下である、請求項8記載の配線回路基板。
【請求項12】
前記金属支持体は、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかにより形成された、請求項8記載の配線回路基板。
【請求項13】
請求項1または2記載の配線回路基板と、
接続端子を有し、前記配線回路基板の前記第1の面上に実装される電気的要素と、
前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部または前記第2の被接続部とを接合する接合部材とを備え、
前記電気的要素は、
前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、
前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とをさらに有し、
前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される、電気的要素実装基板。
【請求項14】
前記接合部材は、半田を含む、請求項11記載の電気的要素実装基板。
【請求項15】
厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板の製造方法であって、
前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層を形成する工程と、
前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に複数の導体層を形成する工程と、
前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な第1の被接続部を前記第1の面上に形成する工程と、
前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な前記第2の被接続部を前記第2の面上に形成する工程とを含み、
前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、
前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である、配線回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記複数の絶縁層は、感光性材料からなる、請求項15記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の製造方法により前記配線回路基板を作製する工程と、
接続端子を有する電気的要素を、前記製造方法により作製された配線回路基板の前記第1の面上に実装する工程とを含み、
前記実装する工程は、
接合部材を用いて、前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部とを接合することを含み、
前記電気的要素は、
前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、
前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とを有し、
前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される、電気的要素実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の絶縁層および複数の導体層を含む配線回路基板、電気的要素実装基板、配線回路基板の製造方法および電気的要素実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体チップとリジッドプリント配線回路基板との間に再配線基板が挿入される場合がある。再配線基板は、例えば、半導体チップの微細パターンとパッケージ基板の粗パターンとのピッチを変換する役割を担う。再配線基板は、インターポーザ基板とも呼ばれる。
【0003】
特許文献1に記載された半導体装置は、配線回路層を備える。配線回路層は、再配線層として機能する。配線回路層は、絶縁層および導体層を含む。導体層は、絶縁層の内部に形成されている。導体層から一方の主面に一方の導通路が延び、導体層から他方の主面に他方の導通路が延びている。一方の導通路の先端部には、一方の主面で露出する一方の接続用導体部が設けられ、他方の導通路の先端部には、他方の主面で露出する他方の接続用導体部が設けられている。
【0004】
再配線基板は、特許文献1に記載された配線回路層のように、例えば配線を形成する導体層を含む。また、再配線基板は、複数の絶縁層とともに配線を形成する複数の導体層が積層された多層構造を有する場合がある。従来、このような再配線基板は、数百μm程度の厚みを有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-232524号公報
【特許文献2】特開2020-123599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再配線基板が配線を含む場合には、当該配線のインピーダンスを低減する観点および再配線基板上に実装される半導体チップの放熱性を向上させる観点から、当該再配線基板の薄型化が求められている。
【0007】
一方、半導体チップを他の半導体チップまたは配線回路基板等の電気的要素に電気的に接続させることが可能に構成された半導体モジュールが提案されている。特許文献2に記載された半導体モジュールは、上記の再配線基板に類似の回路構成を有し、次のように作製される。
【0008】
まず、支持基板上に接着剤を介して複数セットの半導体チップが搭載される。次に、複数セットの半導体チップを覆うように、接着剤上に封止樹脂部が形成される。その後、複数セットの半導体チップが封止樹脂部により覆われた状態で、封止樹脂部から接着剤および支持基板が除去される。この状態で、半導体チップの一面が露出する封止樹脂部の面上に、複数の絶縁膜および複数の配線(再配線)が積層形成される。
【0009】
上記の半導体モジュールにおいては、半導体チップの一面上に形成される複数の絶縁膜および複数の再配線の層の厚みを比較的小さくすることができる。しかしながら、その半導体モジュールを製造するためには、複数セットの半導体チップを支持基板上で精度よく位置決めして封止樹脂で固定するために、専用の装置が必要となる。また、複数セットの半導体チップ間の位置関係を考慮した複雑な配線設計が必要となる。さらに、複数セットの半導体チップ上に複数の絶縁膜および複数の再配線を直接形成する場合、半導体チップに悪影響を及ぼさない処理環境が必要になる。したがって、上記のように、封止樹脂部で固定された半導体チップの一面上に複数の絶縁膜および複数の再配線を形成することは、再配線基板に半導体チップを実装する場合に比べて困難性が高い。
【0010】
本発明の目的は、電気的要素の実装が容易でかつ配線のインピーダンスの低減および電気的要素の放熱性の確保を実現可能な配線回路基板、電気的要素実装基板、配線回路基板の製造方法および電気的要素実装基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に従う配線回路基板は、厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板であって、前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層と、前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に形成される複数の導体層と、電気的要素が有する接続端子を接続可能に構成された第1の被接続部および第2の被接続部とを備え、前記第1の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように前記第1の面上に形成され、前記第2の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように前記第2の面上に形成され、前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である。
【0012】
本発明の他の局面に従う電気的要素実装基板は、上記の配線回路基板と、接続端子を有し、前記配線回路基板の前記第1の面上に実装される電気的要素と、前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部または前記第2の被接続部とを接合する接合部材とを備え、前記電気的要素は、前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とをさらに有し、前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従う配線回路基板の製造方法は、厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板の製造方法であって、前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層を形成する工程と、前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に複数の導体層を形成する工程と、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な第1の被接続部を前記第1の面上に形成する工程と、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な前記第2の被接続部を前記第2の面上に形成する工程とを含み、前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である。
【0014】
本発明のさらに他の局面に従う電気的要素実装基板の製造方法は、上記の製造方法により前記配線回路基板を作製する工程と、接続端子を有する電気的要素を、前記製造方法により作製された配線回路基板の前記第1の面上に実装する工程とを含み、前記実装する工程は、接合部材を用いて、前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部とを接合することを含み、前記電気的要素は、前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とを有し、前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気的要素の実装が容易になるとともに、配線のインピーダンスの低減および電気的要素の放熱性の確保が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る再配線基板の構成を示す模式的断面図である。
【
図4】再配線基板の製造工程で用いられるロール・ツー・ロール装置の一例を示す模式的側面図である。
【
図5】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図6】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図7】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図8】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図9】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図10】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図11】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図12】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図13】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図14】第1の導体層の内部にエッチング液が進入した状態の一例を示す再配線基板の模式的断面図である。
【
図15】第1の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図16】第1の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図17】第1の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図18】第1の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図19】第1の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図20】第2の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための図である。
【
図21】第2の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための図である。
【
図22】第2の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための図である。
【
図23】第2の変形例に係る再配線基板の製造方法を説明するための図である。
【
図24】他の実施の形態に係る再配線基板の構成を示す模式的断面図である。
【
図25】再配線基板に係るインピーダンス試験結果を示す図である。
【
図26】半導体素子の放熱性を評価するためのシミュレーションに用いた携帯端末の構造を示す模式的断面図である。
【
図27】半導体素子の放熱性を評価するための複数のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る配線回路基板、電気的要素実装基板、配線回路基板の製造方法および電気的要素実装基板の製造方法について図面を参照しつつ説明する。配線回路基板の一例として、再配線基板を説明する。再配線基板は、例えば半導体素子等の電子部品とリジッドプリント配線回路基板(以下、リジッド基板と略記する。)等の他の配線回路基板との間に配置され、電子部品の微細パターンと他の配線回路基板の粗パターンとのピッチを変換する役割を担う。再配線基板は、インターポーザ基板とも呼ばれる。
【0018】
1.再配線基板の基本構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る再配線基板の構成を示す模式的断面図である。
図2は、
図1の再配線基板100の模式的平面図である。
図3は、
図1の再配線基板100の模式的底面図である。
図1は、
図2および
図3のA-A線断面を表す。
図1に示すように、再配線基板100は、その厚み方向DTにおいて互いに逆の方向を向く第1の面(本例では上面)101および第2の面(本例では下面)102を有する。
図1において、再配線基板100の厚み方向DTは、下から上に向く矢印で示される。
【0019】
再配線基板100は、その厚み方向DTにおいて半導体素子200とリジッド基板300との間に配置される。第1の面101上には、複数の端子部T1が形成されている。再配線基板100の第1の面101上に半導体素子200が実装されることにより、半導体素子実装基板400が形成される。
【0020】
半導体素子200は、再配線基板100に実装された状態で再配線基板100に対向する対向面211を有する。また、半導体素子200は、対向面211から一定長さ突出するように形成された複数の柱状接合部220を有する。各柱状接合部220は、例えば銅を含む金属材料により形成され、
図1の吹き出し内に示すように、当該柱状接合部220の軸方向に直交する横断面が円形状を有する。その柱状接合部220の横断面の直径は、20μm以上40μm以下である。また、柱状接合部220の軸方向の長さ(高さ)は、20μm以上40μm以下である。柱状接合部220の先端部は、半導体素子200の接続端子を構成し、予め対応付けられた再配線基板100の端子部T1に半田Sを介して接合される。なお、柱状接合部220の横断面は、楕円形状または多角形状等の円形状以外の形状を有してもよい。
【0021】
半導体素子実装基板400においては、半導体素子200の対向面211と再配線基板100の第1の面101との間に、アンダーフィル290が充填されている。アンダーフィル290は、例えばエポキシ樹脂により形成される。再配線基板100の第1の面101上には、半導体素子200を覆う蓋部材(図示せず)が設けられてもよい。
図1~
図3では、半導体素子200が一点鎖線で示される。
【0022】
再配線基板100の第2の面102上には、複数の端子部T2が形成されている。リジッド基板300は、当該リジッド基板300の複数の接続端子として複数の電極パッド301を有する。各電極パッド301は、平面視で円形状を有する。その電極パッド301の直径は、50μm以上400μm以下である。なお、電極パッド301は、楕円形状または多角形状等の円形状以外の形状を有してもよい。電極パッド301は、予め対応付けられた再配線基板100の端子部T2に半田Sを介して接合される。
図1~
図3では、リジッド基板300が二点鎖線で示される。
【0023】
再配線基板100は、概ね、積層配置された複数(本例では4つ)の絶縁層の内部に複数の導体層が形成された構成を有する。以下の説明では、
図1の再配線基板100を構成する4つの絶縁層を区別する場合に、複数の絶縁層をそれぞれ第1の絶縁層10、第2の絶縁層20、第3の絶縁層30および第4の絶縁層40と呼ぶ。第1の絶縁層10、第2の絶縁層20、第3の絶縁層30および第4の絶縁層40は、この順で再配線基板100の厚み方向DTに並ぶ。
【0024】
4つの絶縁層(10,20,30,40)の各々は、感光性材料で形成される。4つの絶縁層(10,20,30,40)に用いられる感光性材料としては、具体的には、例えば感光性ポリイミドが挙げられる。なお、絶縁層(10,20,30,40)は、感光性ポリイミドに代えて、他の感光性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂等の他の感光性樹脂)により形成されてもよい。絶縁層(10,20,30,40)の各々の厚みは、0μmよりも大きく30μmよりも小さい。また、絶縁層(10,20,30,40)の各々の厚みは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0025】
複数の導体層は、複数の第1の導体層11、複数の第2の導体層21および複数の第3の導体層31を含む。複数の第1の導体層11は、基本的には、ビア部11aおよび配線部11bを含む。なお、複数の第1の導体層11のうち一部の第1の導体層11は、配線部11bのみで構成されてもよい。
【0026】
ビア部11aは、第1の導体層11のうち第1の絶縁層10の後述する貫通孔h11(
図6)内部に形成される部分である。配線部11bは、第1の絶縁層10の一面(上面)上に所定パターンで形成される部分である。
図1の再配線基板100においては、第1の絶縁層10の他面(下面)が、再配線基板100の第2の面102を構成する。
【0027】
ビア部11aの底部は、第2の面102上に位置する。第1の導体層11のビア部11aの底部に、第2の面102が向く方向に露出するように上記の端子部T2が形成されている。なお、各端子部T2は、ビア部11aの当該底部で構成されてもよいし、ビア部11aの当該底部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。例えば、各端子部T2は、ビア部11aの底部に、金等の耐食性に優れた金属のめっき層を成長させることにより形成されてもよい。あるいは、各端子部T2は、ビア部11aの底部に、例えば水溶性プリフラックス等の有機膜を形成することにより形成されてもよい。
【0028】
複数の第2の導体層21は、複数の第1の導体層11と同様の構成を有し、基本的には、ビア部21aおよび配線部21bを含む。なお、複数の第2の導体層21のうち一部の第2の導体層21は、配線部21bのみで構成されてもよい。
【0029】
ビア部21aは第2の絶縁層20の後述する貫通孔h21(
図8)内部に形成される部分である。配線部21bは、第2の絶縁層20の一面(上面)上に所定パターンで形成される部分である。複数の配線部21bのうちの少なくとも1つの配線部21bはビア部21aを通して第1の導体層11に接続されている。
【0030】
複数の第3の導体層31は、複数の第1の導体層11と同様の構成を有し、基本的には、ビア部31aおよび配線部31bを含む。なお、複数の第3の導体層31のうち一部の第3の導体層31は、配線部31bのみで構成されてもよい。
【0031】
ビア部31aは第3の絶縁層30の後述する貫通孔h31(
図10)内部に形成される部分である。配線部31bは、第3の絶縁層30の一面(上面)上に所定パターンで形成される部分である。複数の配線部31bのうちの少なくとも1つの配線部31bはビア部31aを通して第2の導体層21に接続されている。
【0032】
第4の絶縁層40は、第3の絶縁層30上に形成された第3の導体層31を保護するためのカバー絶縁層として機能し、一面(上面)が再配線基板100の外部に露出している。この第4の絶縁層40の一面は、再配線基板100の第1の面101を構成する。
【0033】
第3の導体層31の配線部31bの一部に上記の複数の端子部T1が形成される。第4の絶縁層40には、第3の導体層31の一部に形成された端子部T1を、第1の面101が向く方向に露出させるための開口が形成されている。
【0034】
各端子部T1は、第3の導体層31の当該一部で構成されてもよいし、第3の導体層31の当該一部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。例えば、各端子部T1は、第3の導体層31の一部に、金等の耐食性に優れた金属のめっき層を成長させることにより形成されてもよい。あるいは、各端子部T1は、第3の導体層31の一部に、例えば水溶性プリフラックス等の有機膜を形成することにより形成されてもよい。
【0035】
上記の各導体層(11,21,31)は、シード層上に電解めっき法によりめっき層を成長させることにより形成される。この形成方法の具体例については後述する。導体層を形成するシード層は、例えばクロム薄膜および銅薄膜からなる。または、シード層は、チタン薄膜および銅薄膜からなる。あるいは、シード層は銅薄膜からなる。一方、めっき層は、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステンおよびルテニウム等のうち1種または複数種を含む金属または合金により形成される。本実施の形態においては、めっき層は銅である。複数の導体層(11,21,31)の配線部11b,21b,31bの各々の厚みは、0μmよりも大きく30μmよりも小さい。また、配線部11b,21b,31bの各々の厚みは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0036】
本実施の形態に係る再配線基板100においては、第4の絶縁層40を除く複数の絶縁層(10,20,30)の各々の厚みと、当該絶縁層上に形成される導体層(11,21,31)の配線部11b,21b,31bの厚みとの合計は30μm以下である。これにより、本実施の形態に係る再配線基板100は、従来の一般的な再配線基板の厚み(数百μm程度)に比べて薄型化が実現されている。
【0037】
絶縁層(10,20,30,40)の各々の厚みが上記の好ましい範囲(3μm以上15μm以下)内にありかつ配線部11b,21b,31bの各々の厚みが上記の好ましい範囲(3μm以上15μm以下)内にある場合を想定する。この場合、第1の絶縁層10の厚みと第1の絶縁層10上に形成される第1の導体層11の配線部11bの厚みとの合計は、6μm以上30μm以下である(
図1の矢印t11参照)。また、第2の絶縁層20の厚みと第2の絶縁層20上に形成される第2の導体層21の配線部21bの厚みとの合計は、6μm以上30μm以下である(
図1の矢印t12参照)。さらに、第3の絶縁層30の厚みと第3の絶縁層30上に形成される第3の導体層31の配線部31bの厚みとの合計は、6μm以上30μm以下である(
図1の矢印t13参照)。これらの結果、
図1の再配線基板100は、各層(10,11,20,21,30,31,40)の厚みが好ましい範囲内にあるとしたときの最小値が21μmとなる。
【0038】
図2に示すように、複数の端子部T1の各々は、平面視で半導体素子200の柱状接合部220の横断面の形状に対応する円形状を有し、その直径は、20μm以上40μm以下である。なお、柱状接合部220の横断面の形状が円形状以外の形状を有する場合には、端子部T1は柱状接合部220の横断面の形状と基本的に同じ形状を有することが好ましい。
【0039】
図3に示すように、複数の端子部T2の各々は、平面視でリジッド基板300の電極パッド301の形状に対応する円形状を有し、その直径は、50μm以上400μm以下である。なお、電極パッド301の形状が円形状以外の形状を有する場合には、端子部T2は電極パッド301の形状と基本的に同じ形状を有することが好ましい。
【0040】
なお、本実施の形態では、再配線基板100の第1の面101に位置する複数の端子部T1の数と、再配線基板100の第2の面102に位置する複数の端子部T2の数とは一致するが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100の第1の面101に位置する複数の端子部T1の数と、再配線基板100の第2の面102に位置する複数の端子部T2の数とは一致しなくてもよい。
【0041】
2.再配線基板100の製造方法
本実施の形態においては、再配線基板100は、例えばロール・ツー・ロール方式により製造される。
図4は、再配線基板100の製造工程で用いられるロール・ツー・ロール装置500の一例を示す模式的側面図である。
【0042】
図4に示すように、ロール・ツー・ロール装置500は、巻き出し部501、巻き取り部502および複数の処理部510,520,…を含む。まず、長尺状の金属支持体1が巻回されたロール(繰り出しロール)R1が用意され、ロール・ツー・ロール装置500の巻き出し部501にセットされる。
【0043】
金属支持体1はステンレス鋼で形成される。金属支持体1は、ステンレス鋼に代えて、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかにより形成されてもよい。鉄およびニッケルを含む合金としては、インバー、42アロイ、45パーマロイおよびコパール等が挙げられる。
【0044】
用意された繰り出しロールR1から金属支持体1が繰り出される。繰り出された金属支持体1は、
図4に点線の矢印で示すように、巻き取り部502にセットされた他のロール(巻き取りロール)R2に巻き取られる。
【0045】
ロール・ツー・ロール装置500においては、複数の処理部510,520,…が、2つのロール(R1,R2)の間で、金属支持体1の移動方向に沿って並ぶように設けられている。複数の処理部510,520,…は、2つのロール(R1,R2)間を移動する長尺状の金属支持体1の各領域に、
図1の複数の絶縁層(10,20,30,40)および
図1の複数の導体層(11,21,31)を順次形成する。それにより、巻き取りロールR2に巻き取られる金属支持体1上に、複数の再配線基板100が形成される。
【0046】
以下、再配線基板100の製造方法について詳細を説明する。
【0047】
図5~
図13は、
図1の再配線基板100の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
図5~
図13に示される模式的断面図は、
図1の再配線基板100の模式的断面図に対応する。
図5~
図13の各図には、
図1の厚み方向DTが示される。
【0048】
上記のように、金属支持体1が巻回された繰り出しロールR1(
図4)が用意され、当該繰り出しロールR1から金属支持体1が繰り出される。
図5に、繰り出された金属支持体1の一部の断面が示される。金属支持体1は、厚み方向DTにおいて互いに逆の方向を向く上面1aおよび下面1bを有する。
【0049】
次に、金属支持体1の上面1a上に感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、塗布された感光性ポリイミドの前駆体が、露光され、現像される。それにより、金属支持体1上に第1の絶縁層10(
図6)が形成される。形成された第1の絶縁層10は硬化処理される。その後、
図6に示すように、第1の絶縁層10のうち予め定められた複数の部分に、例えばレーザ加工またはエッチングにより複数の貫通孔h11が形成される。複数の貫通孔h11は、金属支持体1の上面1aの一部を金属支持体1の上方に露出させる。
【0050】
なお、複数の貫通孔h11は、第1の絶縁層10の形成時に、金属支持体1上に塗布された感光性ポリイミドの前駆体を、所定パターンで露光することにより形成されてもよい。すなわち、複数の貫通孔h11の形成は、金属支持体1上への第1の絶縁層10の形成と同時に行われてもよい。
【0051】
次に、複数の貫通孔h11の内部で露出する金属支持体1の部分、複数の貫通孔h11の内周面および第1の絶縁層10上に、例えばスパッタリングによりシード層SL(
図7)が形成される。なお、シード層SLは、例えばスパッタリングに代えて、無電解めっきにより形成されてもよい。
【0052】
その後、シード層SL上に所定パターンのめっきレジスト層が形成され、めっきレジスト層の開口部を通して露出するシード層SLの部分に、電解めっきによりめっき層PL(
図7)が形成される。また、めっきレジスト層がエッチングにより除去される。さらに、シード層SLのうちめっき層PLが形成されていない部分がエッチングにより除去される。それにより、
図7に示すように、貫通孔h11内にビア部11aを有しかつ第1の絶縁層10上に配線部11bを有する1または複数の第1の導体層11が形成される。また、第1の絶縁層10上に配線部11bを有する1または複数の第1の導体層11が形成される。
【0053】
次に、複数の第1の導体層11の配線部11bを覆うように、第1の絶縁層10上に新たに感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、第1の絶縁層10の形成時と同様の手順で、第1の絶縁層10上に第2の絶縁層20(
図8)が形成される。形成された第2の絶縁層20は硬化処理される。その後、
図8に示すように、第2の絶縁層20のうち予め定められた複数の部分に、例えばレーザ加工またはエッチングにより複数の貫通孔h21が形成される。複数の貫通孔h21は、複数の第1の導体層11の一部を第2の絶縁層20の上方に露出させる。ここでも、複数の貫通孔h21の形成は、複数の貫通孔h11の例と同様に、感光性ポリイミドの露光技術(階調露光)を用いることにより第1の絶縁層10上への第2の絶縁層20の形成と同時に行われてもよい。
【0054】
次に、複数の貫通孔h21の内部で露出する第1の導体層11の部分、複数の貫通孔h21の内周面および第2の絶縁層20上に、第1の導体層11の形成時と同様に、シード層SLが形成される。シード層SL上に所定パターンのめっきレジスト層が形成され、めっきレジスト層の開口部を通して露出するシード層SLの部分に、電解めっきによりめっき層PLが形成される。また、めっきレジスト層がエッチングにより除去される。さらに、シード層SLのうちめっき層PLが形成されていない部分がエッチングにより除去される。それにより、
図9に示すように、貫通孔h21内にビア部21aを有しかつ第2の絶縁層20上に配線部21bを有する1または複数の第2の導体層21が形成される。また、第2の絶縁層20上に配線部21bを有する1または複数の第2の導体層21が形成される。
【0055】
次に、複数の第2の導体層21の配線部21bを覆うように、第2の絶縁層20上に新たに感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、第1の絶縁層10の形成時と同様の手順で、第2の絶縁層20上に第3の絶縁層30(
図10)が形成される。形成された第3の絶縁層30は硬化処理される。その後、
図10に示すように、第3の絶縁層30のうち予め定められた複数の部分に、例えばレーザ加工またはエッチングにより複数の貫通孔h31が形成される。複数の貫通孔h31は、複数の第2の導体層21の一部を第3の絶縁層30の上方に露出させる。ここでも、複数の貫通孔h31の形成は、複数の貫通孔h11の例と同様に、感光性ポリイミドの露光技術を用いることにより第2の絶縁層20上への第3の絶縁層30の形成と同時に行われてもよい。
【0056】
次に、複数の貫通孔h31の内部で露出する第2の導体層21の部分、複数の貫通孔h31の内周面および第3の絶縁層30上に、第1の導体層11の形成時と同様に、シード層SLが形成される。シード層SL上に所定パターンのめっきレジスト層が形成され、めっきレジスト層の開口部を通して露出するシード層SLの部分に、電解めっきによりめっき層PLが形成される。また、めっきレジスト層がエッチングにより除去される。さらに、シード層SLのうちめっき層PLが形成されていない部分がエッチングにより除去される。それにより、
図11に示すように、貫通孔h31内にビア部31aを有しかつ第3の絶縁層30上に配線部31bを有する1または複数の第3の導体層31が形成される。また、第3の絶縁層30上に配線部31bを有する1または複数の第3の導体層31が形成される。
【0057】
次に、複数の第3の導体層31の配線部31bを覆うように、第3の絶縁層30上に新たに感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、第1の絶縁層10の形成時と同様の手順で、第3の絶縁層30上に第4の絶縁層40(
図12)が形成される。形成された第4の絶縁層40は硬化処理される。その後、
図12に示すように、第4の絶縁層40のうち予め定められた複数の部分に、例えばレーザ加工またはエッチングにより複数の貫通孔h41が形成される。複数の貫通孔h41は、複数の第3の導体層31の一部を第4の絶縁層40の上方に露出させる。ここでも、複数の貫通孔h41の形成は、複数の貫通孔h11の例と同様に、感光性ポリイミドの露光技術を用いることにより第3の絶縁層30上への第4の絶縁層40の形成と同時に行われてもよい。
【0058】
上記の第4の絶縁層40の形成が完了することにより、金属支持体1の上面1a上で
図1の再配線基板100の基本構成が完成する。
図4のロール・ツー・ロール装置500においては、複数の絶縁層(10,20,30,40)および複数の導体層(11,21,31)が形成された
図12の金属支持体1が巻き取りロールR2により巻き取られる。巻き取りロールR2で巻き取られた金属支持体1(金属支持体1と再配線基板100との積層体)は、例えば他のロール・ツー・ロール装置に繰り出しロールとしてセットされる。セットされた繰り出しロールから繰り出される積層体に対して後続の処理が行われる。
【0059】
続いて、再配線基板100上に半導体素子200を実装する前に、
図13に示すように、再配線基板100の第1の絶縁層10から金属支持体1がウェットエッチングにより除去される。
【0060】
その後、
図13に点線で示すように、複数の第3の導体層31のうち再配線基板100の第1の面101上に露出する部分に、必要に応じて表面処理(めっき処理等)が施され、
図1の複数の端子部T1が形成される。また、複数の第1の導体層11のうち再配線基板100の第2の面102上に露出する部分に、必要に応じて表面処理(めっき処理等)が施され、
図1の複数の端子部T2が形成される。なお、上記のように、端子部T1は第3の導体層31の一部で構成されてもよい。また、端子部T2は第1の導体層11の一部で構成されてもよい。これらの場合、第3の導体層31の露出部分および第1の導体層11の露出部分に対して、上記の表面処理は不要である。
【0061】
作製された再配線基板100上に半導体素子200が実装されることにより
図1の半導体素子実装基板400が完成する。半導体素子実装基板400はリジッド基板300上に接続される。
【0062】
3.再配線基板100の製造方法の第1の変形例
以下の説明では、上記の
図5~
図13の再配線基板100の製造方法を基本例に係る再配線基板100の製造方法と呼ぶ。基本例に係る再配線基板100の製造方法において、金属支持体1に接する第1の導体層11のシード層SLに欠落部分または薄厚の部分があると、金属支持体1のウェットエッチング時に、第1の導体層11の内部にエッチング液が進入する可能性がある。
【0063】
図14は、第1の導体層11の内部にエッチング液が進入した状態の一例を示す再配線基板100の模式的断面図である。
図14に白抜きの矢印で示すように、金属支持体1のウェットエッチング時に第1の導体層11の内部にエッチング液が進入すると、金属支持体1除去後の第1の絶縁層10の貫通孔h11内に空隙が形成される可能性がある。再配線基板100において、このような空隙の存在は再配線基板100の信頼性を低下させる。この点を考慮して、再配線基板100は、下記の第1の変形例に従って作製されてもよい。
【0064】
以下、第1の変形例に係る再配線基板100の製造方法について、基本例に係る再配線基板100の製造方法と異なる点を説明する。
図15~
図19は、第1の変形例に係る再配線基板100の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図15~
図19に示される模式的断面図は、
図1の再配線基板100の模式的断面図に対応する。
図15~
図19の各図には、
図1の厚み方向DTが示される。
【0065】
第1の変形例に係る再配線基板100の製造方法においては、基本例に係る再配線基板100の製造方法と同様に、最初に、金属支持体1の上面1a上に第1の絶縁層10が形成される。この第1の絶縁層10の形成後または形成時に、当該第1の絶縁層10に上記の複数の貫通孔h11(
図6)に代えて、複数の縦孔v11が形成される。より具体的には、
図15に示すように、第1の変形例では、第1の絶縁層10における予め定められた複数の部分の各々に、金属支持体1から厚み方向DTに一定距離離間して底部が位置するように縦孔v11が形成される。縦孔v11は、
図6の貫通孔h11の例と同様に、例えばレーザ加工、エッチングまたは感光性ポリイミドの露光技術(階調露光)のいずれかの方法を用いて形成される。
【0066】
次に、複数の縦孔v11の底部、複数の縦孔v11の内周面および第1の絶縁層10上に、シード層SLが形成される。シード層SL上に所定パターンのめっきレジスト層が形成され、めっきレジスト層の開口部を通して露出するシード層SLの部分に、電解めっきによりめっき層PLが形成される。また、めっきレジスト層がエッチングにより除去される。さらに、シード層SLのうちめっき層PLが形成されていない部分がエッチングにより除去される。それにより、
図16に示すように、縦孔v11内にビア部11aを有しかつ第1の絶縁層10上に配線部11bを有する1または複数の第1の導体層11が形成される。また、第1の絶縁層10上に配線部11bを有する1または複数の第1の導体層11が形成される。
【0067】
その後、上記の基本例と同様に、第1の絶縁層10上に、複数の絶縁層(20,30,40)、複数の導体層(21,31)が形成される。この状態で、
図17に示すように、第1の導体層11の下端部に位置するシード層SLの部分と金属支持体1の上面1aとの間には、第1の絶縁層10の一部が存在する。
【0068】
続いて、再配線基板100上に半導体素子200を実装する前に、
図18に示すように、再配線基板100の第1の絶縁層10から金属支持体1がウェットエッチングにより除去される。
【0069】
ここで、第1の導体層11のシード層SLと金属支持体1との間に位置する第1の絶縁層10の部分は、感光性ポリイミドにより形成されている。したがって、上記のウェットエッチング時に、第1の導体層11のシード層SLと金属支持体1との間に位置する第1の絶縁層10の部分は、金属支持体1のエッチング液に対するエッチングストップ層として機能する。
【0070】
それにより、金属支持体1の除去時に、金属支持体1のエッチング液は、第1の絶縁層10の縦孔v11の底部に位置するシード層SLに接触しない。したがって、第1の絶縁層10の縦孔v11の内部に形成されたシード層SLおよびめっき層PLが、金属支持体1のエッチング液により溶解しない。その結果、金属支持体1除去後の第1の絶縁層10の縦孔v11内に空隙が発生することが防止される。
【0071】
上記のように、第1の絶縁層10から金属支持体1が除去された後、第1の導体層11の一部を第1の絶縁層10の下方に露出させるために、第1の絶縁層10の下端部から一定厚みの領域(
図18の点線部分参照)が、例えばエッチングにより除去される。ここで用いられるエッチング液は、第1の絶縁層10、すなわち感光性ポリイミドを溶解するためのエッチング液である。そのため、第1の絶縁層10のエッチング時に、第1の導体層11は溶解しない。
【0072】
第1の導体層11の部分的なエッチングが行われることにより、複数の縦孔v11の底部に位置する第1の導体層11の部分が第1の絶縁層10の下面上で露出する。それにより、
図19に示すように、再配線基板100が完成する。第1の変形例に係る再配線基板100の製造方法によれば、金属支持体1のエッチングに伴う第1の導体層11の溶解が防止されるので、作製された再配線基板100の信頼性が向上する。
【0073】
4.再配線基板100の製造方法の第2の変形例
基本例および第1の変形例に係る再配線基板100の製造方法によれば、第1の絶縁層10から金属支持体1が完全に除去された状態にある再配線基板100が作製される。それにより、再配線基板100においては、薄型化および柔軟性の確保が実現されている。
【0074】
一方、再配線基板100上に半導体素子200を実装する際には、取り扱い性の観点から、再配線基板100はある程度の剛性を有することが好ましい。この点を考慮して、再配線基板100は、下記の第2の変形例に従って作製されてもよい。
【0075】
以下、第2の変形例に係る再配線基板100の製造方法について、基本例に係る再配線基板100の製造方法と異なる点を説明する。
図20~
図23は、第2の変形例に係る再配線基板100の製造方法を説明するための図である。
【0076】
基本例、第1の変形例および第2の変形例に係る再配線基板100の製造時には、1枚の共通する金属支持体1上に複数の再配線基板100が形成される。
図20に、再配線基板100の製造方法で用意される金属支持体1の一部を示す平面図が示される。
【0077】
図20に示すように、金属支持体1においては、再配線基板100を形成するための領域が予め定められている。以下、金属支持体1において、再配線基板100が形成されるべき予め定められた領域の部分を第1の部分p1と呼ぶ。また、金属支持体1のうち第1の部分p1以外の部分を第2の部分p2と呼ぶ。
図20の例では、複数の第1の部分p1が、当該金属支持体1が延びる方向に沿うように間隔をおいて二列で並ぶ。一方、第2の部分p2は、複数の第1の部分p1の間で格子状に広がるとともに複数の第1の部分p1を取り囲む。これにより、第2の部分p2は、各第1の部分p1に隣り合う。
【0078】
図20の金属支持体1を用いて、基本例のうち金属支持体1上に複数の絶縁層(10,20,30,40)および複数の導体層(11,21,31)を形成するまでの工程(
図5~
図12に示される工程)が進められる。このとき、各絶縁層(10,20,30,40)は、第1の部分p1から第2の部分p2にかけて連続的に重なるように金属支持体1上に順次積層形成される。それにより、
図21に示すように、金属支持体1のうち複数の第1の部分p1に複数の再配線基板100がそれぞれ形成される。
【0079】
続いて、第2の変形例に係る再配線基板100の製造方法においては、再配線基板100の第1の絶縁層10に接触する金属支持体1のうち複数の第1の部分p1のみがウェットエッチングにより除去される。この場合、金属支持体1の第2の部分p2は、フレーム枠として機能する。それにより、各再配線基板100は、複数の絶縁層(10,20,30,40)の外縁部分を介して金属支持体1の第2の部分p2により間接的に支持される。
【0080】
この状態で、
図22に模式的断面図で示すように、複数の第1の導体層11の露出部分および複数の第3の導体層31の露出部分に必要に応じて表面処理が行われ、複数の端子部T1,T2が形成される。なお、
図22および後続の
図23においては、第1の部分p1をウェットエッチングすることにより金属支持体1に形成された開口が符号opで示される。
【0081】
その後、
図23に模式的断面図で示すように、再配線基板100が金属支持体1の第2の部分p2により支持された状態で、再配線基板100上に半導体素子200が実装される。これにより、半導体素子実装基板400が完成する。この実装時には、再配線基板100が金属支持体1の第2の部分p2で支持されているので、再配線基板100の取り扱い性が向上し、実装作業が安定化する。その結果、半導体素子実装基板400の信頼性が向上する。
【0082】
最後に、
図23の模式的断面図において、太い二点鎖線で示すように、複数の絶縁層(10,20,30,40)の外縁部分を、金属支持体1の第2の部分p2上に位置する絶縁層(10,20,30,40)の部分から切断する。それにより、エッチング液等の半導体素子200に悪影響を及ぼす薬剤を用いることなく再配線基板100から金属支持体1を分離することができる。
【0083】
5.効果
(a)上記の再配線基板100においては、第1の面101上の複数の端子部T1に半導体素子200が有する複数の柱状接合部220の先端部を接続することができる。したがって、再配線基板100への半導体素子200の実装が容易である。また、第2の面102上の複数の端子部T2にリジッド基板300が有する複数の電極パッド301を容易に接続することができる。
【0084】
また、上記の再配線基板100においては、一の絶縁層(10,20,30)の厚みと複数の導体層(11,21,31)の配線部(11b,21b,31b)の厚みとの合計が30μm以下である。したがって、それらの厚みの合計が30μmよりも大きい場合に比べて、再配線基板100の全体の厚みを小さくすることができる。すなわち、再配線基板100の薄型化が実現される。
【0085】
これらの結果、再配線基板100および半導体素子200を含む半導体素子実装基板400の製造が容易になる。また、各絶縁層(10,20,30)上の導体層(11,21,31)の配線部(11b,21b,31b)により形成される配線のインピーダンスの低減が実現される。さらに、再配線基板100上に実装された半導体素子200について高い放熱性の確保が実現される。
【0086】
(b)上記の4つの絶縁層(10,20,30,40)の各々は、感光性ポリイミドにより形成される。また、その形成時には、感光性ポリイミドの前駆体が金属支持体1または他の絶縁層(20,30,40)上に塗布され、塗布された前駆体が露光および現像される。したがって、前駆体の露光を選択的に行うことにより、絶縁層のパターニングが容易である。そのため、各絶縁層(10,20,30,40)に貫通孔等を形成する場合に、レーザ加工等で必要な残渣除去の工程が不要となり、再配線基板100の製造に要する工程数を低減することができる。なお、各絶縁層(10,20,30,40)に感光性ポリイミド以外の感光性材料が用いられる場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0087】
(c)上記実施の形態に係る半導体素子実装基板400の製造方法によれば、樹脂等に比べて高い剛性を有する金属支持体1上で再配線基板100が作製される。それにより、再配線基板100の作製時に再配線基板100の中間体が過剰に変形することが防止される。したがって、再配線基板100の製造の信頼性が向上する。
【0088】
また、上記の製造方法によれば、再配線基板100上に半導体素子200を実装する工程の前に、再配線基板100から金属支持体1がウェットエッチングにより除去される。この場合、再配線基板100から金属支持体1を除去する際に、再配線基板100および金属支持体1の近傍に半導体素子200を配置する必要がない。したがって、再配線基板100から金属支持体1を除去する作業に起因して、半導体素子200が損傷を受けるかまたは汚染することが防止される。これらの結果、高い信頼性を有する半導体素子実装基板400を作製することが可能になる。
【0089】
(d)上記の再配線基板100の製造方法によれば、絶縁層および導体層の形成工程の簡単な繰り返しで、多数の導体層が積層された再配線基板100を作製することができる。
【0090】
(e)上記実施の形態に係る再配線基板100の製造時には、金属支持体1上に再配線基板100を作製する際に、ロール・ツー・ロール装置500が用いられる。これにより、繰り出しロールR1と巻き取りロールR2との間を移動する金属支持体1上の複数の領域上に連続的に複数の処理を行うことができる。したがって、再配線基板100の作製の効率が向上する。
【0091】
6.他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る再配線基板100は、基本的に複数の絶縁層(10,20,30,40)および複数の導体層(11,21,31)が積層形成された構成を有し、金属支持体1を含まないが、本発明はこれに限定されない。
【0092】
再配線基板は、金属支持体を含んでもよい。
図24は、他の実施の形態に係る再配線基板の構成を示す模式的断面図である。本例の再配線基板の平面図および底面図は、上記実施の形態に係る再配線基板100の平面図および底面図と同じである(
図2および
図3参照)。
図24においても、
図1の例と同様に、再配線基板100の厚み方向DTが矢印により示される。
【0093】
図24に示すように、他の実施の形態に係る再配線基板100は、主として金属支持体110、複数(本例では4つ)の絶縁層および複数(本例では3つ)の導体層を含む。以下の説明では、
図24の再配線基板100を構成する4つの絶縁層を区別する場合に、複数の絶縁層をそれぞれ第1の絶縁層50、第2の絶縁層60、第3の絶縁層70および第4の絶縁層80と呼ぶ。これらの複数の絶縁層(50、60,70,80)は、上記実施の形態に係る
図1の複数の絶縁層(10,20,30,40)と同じ材料により形成される。
【0094】
第1の絶縁層50、第2の絶縁層60、金属支持体110、第3の絶縁層70および第4の絶縁層80は、この順で再配線基板100の厚み方向DTに並ぶ。金属支持体110は、ステンレス鋼で形成される。金属支持体110は、ステンレス鋼に代えて、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかにより形成されてもよい。鉄およびニッケルを含む合金としては、インバー、42アロイ、45パーマロイおよびコパール等が挙げられる。金属支持体110にインバーが用いられる場合、インバー中のニッケル(Ni)組成の変化に対応して、金属支持体110の線膨張係数を調整することが可能になる。この場合、再配線基板100を構成する各層に反りが発生することを抑制することが可能になる。
【0095】
金属支持体110の熱伝導率は、10W/mK以上250W/mK以下である。金属支持体110の25℃以上200℃以下における線膨張係数は、0ppm/K以上25ppm/K以下である。金属支持体110の厚みは、15μm以上60μm以下である。
【0096】
図24の例において、金属支持体110のうち半導体素子200を向く一面(
図24において上方を向く面)を上面110aと呼び、金属支持体110のうちリジッド基板300を向く他面(
図24において下方を向く面)を下面110bと呼ぶ。金属支持体110には、上面110aから下面110bに至る複数(本例では2つ)の貫通孔h111が形成されている。
【0097】
金属支持体110の外表面には、被覆層120が形成されている。より具体的には、金属支持体110には、上面110a、下面110bおよび各貫通孔h111の内周面の全体を覆うように、被覆層120が形成されている。被覆層120は、例えば感光性ポリイミドにより形成される。また、被覆層120は、0.1μm以上20μm以下の厚みを有する。なお、被覆層120は、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂等の他の樹脂により形成されてもよい。また、被覆層120の材料としては、上記の樹脂に代えて、無機絶縁材料または有機絶縁材料を用いることもできる。具体的には、被覆層120の材料としては、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム等を用いることもできる。
【0098】
金属支持体110の外表面の一部には、上記の被覆層120を介して複数の第1の導体層111が形成されている。複数の第1の導体層111の各々は、ビア部111aおよび配線部111b,111cを含む。
【0099】
ビア部111aは、第1の導体層111のうち金属支持体110の貫通孔h111内部に形成される部分である。配線部111bは、金属支持体110の下面110b上に所定パターンで形成される部分である。配線部111cは、金属支持体110の上面110a上に所定パターンで形成される部分である。配線部111b,111cの各々の厚みは、0μmよりも大きく30μmよりも小さい。また、配線部111b,111cの各々の厚みは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0100】
第2の絶縁層60は、第1の導体層111の配線部111bを下方から覆うように、被覆層120を介して金属支持体110の下面110b上に形成されている。第2の絶縁層60には、厚み方向DTに延びる複数(本例では2つ)の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔の上端部は、第1の導体層111の配線部111b上に位置する。
【0101】
第2の絶縁層60の一部に、複数の第2の導体層61が形成されている。複数の第2の導体層61の各々は、ビア部61aおよび配線部61bを含む。ビア部61aは、第2の導体層61のうち第2の絶縁層60の貫通孔内部に形成される部分である。配線部61bは、第2の導体層61のうち第2の絶縁層60の一面(本例では下面)上に所定パターンで形成される部分である。なお、複数の第2の導体層61のうち一部の第2の導体層61は、配線部61bのみで構成されてもよい。配線部61bの各々の厚みは、0μmよりも大きく30μmよりも小さい。また、配線部61bの各々の厚みは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0102】
第1の絶縁層50は、第2の絶縁層60上に形成された第2の導体層61を保護するためのカバー絶縁層として機能し、一面(下面)が再配線基板100の外部に露出している。この第1の絶縁層50の一面は、再配線基板100の第2の面102を構成する。
【0103】
第2の導体層61の配線部61bの一部に複数の端子部T2が形成される。第1の絶縁層50には、複数の端子部T2を、第2の面102が向く方向に露出させるための開口が形成されている。各端子部T2は、第2の導体層61の当該一部で構成されてもよいし、第2の導体層61の当該一部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。
【0104】
第3の絶縁層70は、第1の導体層111の配線部111cを上方から覆うように、被覆層120を介して金属支持体110の上面110a上に形成されている。第3の絶縁層70には、厚み方向DTに延びる複数(本例では2つ)の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔の下端部は、第1の導体層111の配線部111c上に位置する。
【0105】
第3の絶縁層70の一部に、複数の第3の導体層71が形成されている。複数の第3の導体層71の各々は、ビア部71aおよび配線部71bを含む。ビア部71aは、第3の導体層71のうち第3の絶縁層70の貫通孔内部に形成される部分である。配線部71bは、第3の導体層71のうち第3の絶縁層70の一面(本例では上面)上に所定パターンで形成される部分である。なお、複数の第3の導体層71のうち一部の第3の導体層71は、配線部71bのみで構成されてもよい。配線部71bの各々の厚みは、0μmよりも大きく30μmよりも小さい。また、配線部71bの各々の厚みは、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0106】
第4の絶縁層80は、第3の絶縁層70上に形成された第3の導体層71を保護するためのカバー絶縁層として機能し、一面(上面)が再配線基板100の外部に露出している。この第4の絶縁層80の一面は、再配線基板100の第1の面101を構成する。
【0107】
第3の導体層71の配線部71bの一部に複数の端子部T1が形成される。第4の絶縁層80には、複数の端子部T1を、第1の面101が向く方向に露出させるための開口が形成されている。各端子部T1は、第3の導体層71の当該一部で構成されてもよいし、第3の導体層71の当該一部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。
【0108】
図24の再配線基板100においては、第1の絶縁層50および第4の絶縁層80を除く複数の絶縁層(60,70)の各々の厚みと、当該絶縁層上に形成される導体層(61,71)の配線部61b,71bの厚みとの合計が30μm以下である。これにより、
図24の再配線基板100においても、従来の一般的な再配線基板の厚み(数百μm程度)に比べて薄型化が実現されている。
【0109】
絶縁層(60,70)の各々の厚みが上記の好ましい範囲(3μm以上15μm以下)内にありかつ配線部61b,71bの各々の厚みが上記の好ましい範囲(3μm以上15μm以下)内にある場合を想定する。この場合、第2の絶縁層60の厚みと第2の絶縁層60上に形成される第2の導体層61の配線部61bの厚みとの合計は、6μm以上30μm以下である(
図24の矢印t21参照)。また、第3の絶縁層70の厚みと第3の絶縁層70上に形成される第3の絶縁層70の配線部71bの厚みとの合計は、6μm以上30μm以下である(
図24の矢印t22参照)。
【0110】
上記の構成を有する
図24の再配線基板100は、概ね以下のように作製される。まず、金属支持体110が用意され、金属支持体110の予め定められた部分に複数の貫通孔h111が形成される。また、金属支持体110の外表面全体に渡って被覆層120が形成される。その後、金属支持体110の外表面のうち予め定められた部分上に被覆層120を介して第1の導体層111が形成される。
【0111】
次に、金属支持体110の下面110b上に、第2の絶縁層60、第2の導体層61および第1の絶縁層50を含む積層構造が形成される。また、金属支持体110の上面110a上に、第3の絶縁層70、第3の導体層71および第4の絶縁層80を含む積層構造が形成される。これらの積層構造の形成は、上記実施の形態に係る再配線基板100の製造工程のうち複数の絶縁層(10,20,30,40)および導体層(11,21,31)を形成する工程と同様の手順で行われる。
【0112】
本例の再配線基板100においては、複数の絶縁層(50,60,70,80)および複数の導体層(111,61,71)が高い剛性を有する金属支持体110により補強される。したがって、再配線基板100の信頼性が向上する。
【0113】
また、金属支持体110は、複数の絶縁層(50,60,70,80)に比べて高い熱伝導率を有する。そのため、金属支持体110は、再配線基板100上に半導体素子200が実装された場合に、半導体素子200で発生した熱を受け取りやすい。したがって、金属支持体110は、半導体素子200の放熱部材として機能する。
【0114】
上記のように、金属支持体110の熱伝導率は、10W/mK以上250W/mK以下である。この場合、金属支持体110は、再配線基板100に実装される半導体素子200の放熱部材として有効に機能する。
【0115】
また、金属支持体110の25℃以上200℃以下における線膨張係数は、0ppm/K以上25ppm/K以下である。この場合、再配線基板100の温度の変化に伴って金属支持体110が大きく変形することが防止される。それにより、再配線基板100の信頼性が向上する。
【0116】
(b)上記実施の形態に係る再配線基板100においては、複数の絶縁層の各々の厚みと、当該絶縁層上に形成される導体層の配線部の厚みとの合計が30μm以下であるが、本発明はこれに限定されない。
【0117】
再配線基板100においては、複数の絶縁層のうち少なくとも1つの絶縁層の厚みと、当該絶縁層上に形成される導体層の配線部の厚みとの合計が30μm以下であればよい。この場合、複数の絶縁層の全ての絶縁層の各々の厚みと、当該絶縁層上に形成される導体層の配線部の厚みとの合計が30μmよりも大きい場合に比べて、再配線基板100を薄型化することができる。
【0118】
(c)上記実施の形態においては、金属支持体1を含まない
図1の再配線基板100は、3つの絶縁層(10,20,30)にそれぞれ3つの導体層(11,21,31)が形成された構成を有するが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100は、4つの絶縁層にそれぞれ4つの導体層が形成された構成を有してもよいし、5以上の絶縁層にそれぞれ5以上の導体層が形成された構成を有してもよい。
【0119】
(d)上記実施の形態では、再配線基板100は、ロール・ツー・ロール方式により製造されるが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100は、ロール・ツー・ロール方式以外の方式で作製されてもよい。例えば、1枚のシートに順次処理を行う枚葉方式で作製されてもよい。
【0120】
(e)上記実施の形態は本発明を再配線基板に適用した例であるが、これに限らず、複数の絶縁層および複数の導体層が積層形成された他の配線回路基板に本発明を適用してもよい。
【0121】
7.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0122】
上記実施の形態では、再配線基板100が配線回路基板および再配線基板の例であり、第1の面101が第1の面の例であり、第2の面102が第2の面の例であり、厚み方向DTが厚み方向の例であり、複数の絶縁層(10,20,30,60,70)のいずれかが第1の絶縁層の例であり、複数の絶縁層(10,20,30,40,50,60,70,80)が複数の絶縁層の例である。
【0123】
また、複数の導体層(11,21,31,61,71)が複数の導体層の例であり、半導体素子200およびリジッド基板300が電気的要素の例であり、半導体素子200の複数の柱状接合部220の先端部およびリジッド基板300の複数の電極パッド301が接続端子の例であり、再配線基板100の端子部T1が第1の被接続部の例であり、再配線基板100の端子部T2が第2の被接続部の例であり、複数の導体層(11,21,31,61,71)のいずれかが第1の導体層の例である。
【0124】
また、半導体素子200が第1の電気的要素の例であり、リジッド基板300が第2の電気的要素の例であり、第2の絶縁層20が第2の絶縁層の例であり、第3の絶縁層30が第3の絶縁層の例であり、第2の導体層21が第2の導体層の例であり、第3の導体層31が第3の導体層の例であり、複数の絶縁層(10,20,30,60,70)が複数のベース絶縁層の例であり、複数の絶縁層(40,50,80)がカバー絶縁層の例である。
【0125】
また、金属支持体1が金属支持体の例であり、複数の絶縁層(60,70)のいずれかが第2の絶縁層の例であり、複数の導体層(61,71)のいずれかが第2の導体層の例であり、半田Sが接合部材の例であり、対向面211が対向面の例であり、柱状接合部220が柱状接合部の例であり、半導体素子実装基板400が電気的要素実装基板の例である。
【0126】
8.実施例および比較例
(a)配線のインピーダンスに関して
本発明者らは、再配線基板100を従来の再配線基板よりも薄型化することにより、当該再配線基板100の内部に形成される配線のインピーダンスが低減されるのかを確認するために、以下の試験(以下、インピーダンス試験と呼ぶ。)を行った。
【0127】
まず、本発明者らは、実施例1として、
図1の再配線基板100と基本的に同じ構成を有する再配線基板100を作製した。実施例1の再配線基板100においては、複数の絶縁層(10,20,30,40)を感光性ポリイミドで作製した。各絶縁層の厚みは5μmであった。また、各絶縁層の被誘電率は3.3であり、各絶縁層の誘電正接は0.007であった。さらに、実施例1の再配線基板100においては、複数の導体層(11、21,31)の各々を銅で形成した。各導体層の厚みは5μmであった。
【0128】
また、本発明者らは、比較例1として、実施例1の再配線基板100と各部の厚みおよび材料を除いて同じ構成を有する再配線基板を作製した。比較例1の再配線基板においては、複数の絶縁層を、実施例1の感光性ポリイミドとは異なる材料(パナソニック社製のMEGTRON GX R-1515A)を用いて作製した。各絶縁層の厚みは30μmであった。また、各絶縁層の被誘電率は4.7であり、各絶縁層の誘電正接は0.011であった。さらに、比較例1の再配線基板においては、複数の導体層の各々を銅で形成した。各導体層の厚みは15μmであった。
【0129】
その後、本発明者らは、実施例1の再配線基板100および比較例1の再配線基板について、最上部の導体層の配線(半導体素子実装基板400において半導体素子200に最も近い位置にある配線)のインピーダンスを測定した。ここで測定されたインピーダンスを上部インピーダンスと呼ぶ。
【0130】
また、本発明者らは、実施例1の再配線基板100および比較例1の再配線基板について、最下部の導体層の配線(半導体素子実装基板400において半導体素子200から最も遠い位置にある配線)のインピーダンスを測定した。ここで測定されたインピーダンスを下部インピーダンスと呼ぶ。
【0131】
図25は、再配線基板100に係るインピーダンス試験結果を示す図である。
図25では、インピーダンス試験結果がグラフで示される。
図25のグラフでは、縦軸が配線のインピーダンスの大きさを表し、横軸が周波数を表す。また、実施例1の再配線基板100の上部インピーダンスが太い点線で示され、実施例1の再配線基板100の下部インピーダンスが太い実線で示される。さらに、比較例1の再配線基板100の上部インピーダンスが点線で示され、比較例1の再配線基板100の下部インピーダンスが実線で示される。
【0132】
図25のインピーダンス試験結果によれば、実施例1の最上部および最下部の配線のインピーダンスは、比較例1の最上部および最下部の配線のインピーダンスに対して幅広い周波数帯域で低くなることが確認された。
【0133】
(b)再配線基板に実装される電気的要素の放熱性に関して
本発明者らは、再配線基板100を従来の再配線基板よりも薄型化することにより、当該再配線基板100に実装される半導体素子200の放熱性がどの程度向上するのかを確認するために、以下のシミュレーションを行った。
【0134】
まず、本発明者らは、実施例11として、
図1の構成を有しかつ再配線基板100の厚み(厚み方向DTにおける第1の面101と第2の面102との間の距離)が40μmの再配線基板モデルを想定した。また、本発明者らは、実施例12として、
図24の構成を有しかつ再配線基板100の厚み(厚み方向DTにおける第1の面101と第2の面102との間の距離)が65μmの再配線基板モデルを想定した。さらに、本発明者らは、比較例11として、厚みが150μmである点を除いて、
図1の構成を有する再配線基板モデル、すなわち複数の絶縁層(10,20,30)の各々の厚みと当該絶縁層上に形成された導体層(11,21,31)の厚みとの合計が30μmよりも大きい再配線基板モデルを想定した。
【0135】
その上で、それらの再配線基板モデルが携帯端末に搭載された場合に、再配線基板モデルの近傍の温度がどのように変化するのかを確認した。
図26は、半導体素子200の放熱性を評価するためのシミュレーションに用いた携帯端末の構造を示す模式的断面図である。
【0136】
図26に示すように、その携帯端末900は、ケーシング910内部に、リジッド基板300Aとともにバッテリ等の複数種類の部品901が収容された構成を有する。
図26の吹き出し内の部分的拡大図に示すように、リジッド基板300Aには、再配線基板100が接合部材390を介して接続されている。その再配線基板100には、半導体素子200が実装されている。再配線基板100および半導体素子200により半導体素子実装基板400が構成される。接合部材390は、半田を含むものとする。半導体素子実装基板400は、封止樹脂490により覆われるものとする。封止樹脂490には、さらに放熱対策部材491が取り付けられている。放熱対策部材491は、ケーシング910内部に収容された複数種類の部品901のうち一部の部品901に接触している。
【0137】
以下の説明において、リジッド基板300Aと半導体素子実装基板400との接続部分に位置する予め定められた点を注目点tpと呼ぶ。
図26の携帯端末900が実施例11の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400を備えるとした場合に、当該携帯端末900において特定のプログラムを起動してから一定期間中の注目点tpの温度変化をシミュレーションにより算出した。
【0138】
また、
図26の携帯端末900が実施例12の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400を備えるとした場合に、当該携帯端末900において特定のプログラムを起動してから一定期間中の注目点tpの温度変化をシミュレーションにより算出した。
【0139】
さらに、
図26の携帯端末900が比較例11の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400を備えるとした場合に、当該携帯端末900において特定のプログラムを起動してから一定期間中の注目点tpの温度変化をシミュレーションにより算出した。
【0140】
図27は、半導体素子200の放熱性を評価するための複数のシミュレーション結果を示す図である。
図27では、複数のシミュレーション結果がグラフで示される。
図27のグラフでは、縦軸が
図26の注目点tpの温度を表し、横軸が時間を表す。横軸の0点は、特定のプログラムの起動時点である。
【0141】
実施例11の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果が黒い丸印と実線とで示される。また、比較例11の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果が三角印と点線とで示される。なお、実施例12の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果は、
図27のグラフ上で差異を示すことができない程度に、実施例11の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果とほぼ同一であった。したがって、実施例12の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果については、図示を省略している。
【0142】
実施例11および実施例12の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果によれば、注目点tpの温度は、特定のプログラムが起動された後、160sec経過後に50℃に到達している。これに対して、比較例11の再配線基板モデルに対応するシミュレーション結果によれば、注目点tpの温度は、特定のプログラムが起動された後、140sec経過後に50℃に到達している。
【0143】
これらの結果、実施例11および実施例12の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400は、比較例11の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400に比べて注目点tpの温度が上昇しにくいことが確認できた。すなわち、実施例11および実施例12の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400においては、比較例11の再配線基板モデルを含む半導体素子実装基板400に比べて半導体素子200の放熱性が向上していることが確認できた。
【0144】
9.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る配線回路基板は、
厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板であって、
前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層と、
前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に形成される複数の導体層と、
電気的要素が有する接続端子を接続可能に構成された第1の被接続部および第2の被接続部とを備え、
前記第1の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように前記第1の面上に形成され、
前記第2の被接続部は、前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように前記第2の面上に形成され、
前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、
前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である。
【0145】
その配線回路基板においては、第1の面上の第1の被接続部に電気的要素が有する接続端子を接続することができる。また、第2の面上の第2の被接続部に電気的要素が有する接続端子を接続することができる。したがって、配線回路基板への電気的要素の実装が容易である。
【0146】
また、上記の構成によれば、第1の絶縁層のうち第1の導体層が形成される部分の厚みと第1の導体層の厚みとの合計が30μmよりも大きい場合に比べて、配線回路基板の全体の厚みを小さくすることができる。すなわち、配線回路基板の薄型化が実現される。
【0147】
これらの結果、配線回路基板および電気的要素を含む電気的要素実装基板の製造が容易になるとともに、第1の導体層により形成される配線のインピーダンスの低減および実装された電気的要素についての高い放熱性の確保が実現される。
【0148】
(第2項)第1項に記載の配線回路基板において、
前記電気的要素は、互いに分離された第1の電気的要素と第2の電気的要素とを含み、
前記配線回路基板は、前記第1の電気的要素と前記第2の電気的要素とを電気的に接続するために用いられる再配線基板であってもよい。
【0149】
第1の電気的要素および第2の電気的要素の各々は、例えば半導体素子等の電子部品またはリジッドプリント配線回路基板であり、複数の接続端子を有する。上記の構成によれば、配線回路基板は、再配線基板として、第1の電気的要素の複数の接続端子間のピッチと第2の電気的要素の複数の接続端子間のピッチとを変換する。
【0150】
(第3項)第1項または第2項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層は、第2の絶縁層および第3の絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記第2の絶縁層上に形成される第2の導体層、および前記第3の絶縁層上に形成される第3の導体層を含み、
前記第2の導体層が形成される前記第2の絶縁層の部分の厚みと前記第2の導体層の厚みとの合計は、30μm以下であり、
前記第3の導体層が形成される前記第3の絶縁層の部分の厚みと前記第3の導体層の厚みとの合計は、30μm以下であってもよい。
【0151】
この場合、3以上の絶縁層が積層された構成を有する配線回路基板の厚みを小さくすることができる。
【0152】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層は、積層配置された複数のベース絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記複数のベース絶縁層上にそれぞれ形成され、
前記複数のベース絶縁層の各々の厚みと、当該ベース絶縁層上に形成される導体層の厚みとの合計は、30μm以下であってもよい。
【0153】
この場合、配線回路基板のさらなる薄型化が実現される。
【0154】
(第5項)第4項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層は、積層配置された前記複数のベース絶縁層上に形成されるカバー絶縁層を含み、
前記カバー絶縁層の厚みは、3μm以上15μm以下であってもよい。
【0155】
この場合、配線回路基板のさらなる薄型化が実現される。
【0156】
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層の各々の厚みは、3μm以上15μm以下であり、
前記複数の導体層の各々の厚みは、3μm以上15μm以下であってもよい。
【0157】
この場合、配線回路基板のさらなる薄型化が実現される。
【0158】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層は、感光性材料からなってもよい。
【0159】
この場合、各絶縁層を構成する感光性材料の露光を選択的に行うことにより、当該絶縁層を容易にパターニングすることができる。したがって、各絶縁層に貫通孔等を形成する場合に、レーザ加工等で必要な残渣除去の工程が不要となり、配線回路基板の製造に要する工程数を低減することができる。
【0160】
(第8項)第1項または第2項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層および前記複数の導体層を支持する金属支持体をさらに備えてもよい。
【0161】
この場合、複数の絶縁層および複数の導体層が高い剛性を有する金属支持体により補強される。したがって、配線回路基板の信頼性が向上する。
【0162】
また、金属支持体は、絶縁層に比べて高い熱伝導率を有する。そのため、金属支持体は、配線回路基板上に電気的要素が実装された場合に、電気的要素で発生した熱を受け取りやすい。したがって、金属支持体は、電気的要素の放熱部材として機能する。
【0163】
(第9項)第8項に記載の配線回路基板において、
前記複数の絶縁層は、第2の絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記第2の絶縁層上に形成される第2の導体層を含み、
前記金属支持体は、前記厚み方向において、前記第1の絶縁層および前記第1の導体層と前記第2の絶縁層および前記第2の導体層との間に位置してもよい。
【0164】
この場合、複数の絶縁層および複数の導体層は金属支持体により補強される。したがって、配線回路基板の信頼性が向上する。
【0165】
(第10項)第8項または第9項に記載の配線回路基板において、
前記金属支持体の熱伝導率は、10W/mK以上250W/mK以下であってもよい。
【0166】
この場合、金属支持体は、配線回路基板に実装される電気的要素の放熱部材として有効に機能する。
【0167】
(第11項)第8項~第10項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記金属支持体の25℃以上200℃以下における線膨張係数は、0ppm/K以上25ppm/K以下であってもよい。
【0168】
この場合、配線回路基板の温度の変化に伴って金属支持体が大きく変形することが防止される。それにより、配線回路基板の信頼性が向上する。
【0169】
(第12項)第8項~第11項のいずれか一項に記載の配線回路基板において、
前記金属支持体は、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかにより形成されてもよい。
【0170】
これにより、複数の絶縁層および複数の導体層がステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかで形成された金属支持体により補強される。
【0171】
(第13項)第13項に係る電気的要素実装基板は、
第1項~第12項のいずれか一項に記載の配線回路基板と、
接続端子を有し、前記配線回路基板の前記第1の面上に実装される電気的要素と、
前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部または前記第2の被接続部とを接合する接合部材とを備え、
前記電気的要素は、
前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、
前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とをさらに有し、
前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される。
【0172】
その電気的要素実装基板の作製時には、配線回路基板の第1の面に電気的要素の対向面を対向配置し、配線回路基板の第1の被接続部に電気的要素の接続端子を接続することができる。あるいは、配線回路基板の第2の面に電気的要素の対向面を対向配置し、配線回路基板の第2の被接続部に電気的要素の接続端子を接続することができる。この場合、電気的要素の接続端子が柱状接合部の先端部で構成されているので、接続端子が平坦な面上に形成される場合に比べて接続作業が容易になる。また、接合部材を用いた接続の信頼性が向上する。
【0173】
また、電気的要素実装基板は、上記の配線回路基板を備える。これらの結果、電気的要素実装基板の製造が容易になるとともに、第1の導体層により形成される配線のインピーダンスの低減および実装された電気的要素の放熱性の確保が実現される。
【0174】
(第14項)第13項に係る電気的要素実装基板において、
前記接合部材は、半田を含んでもよい。この場合、汎用の接合材料を用いて信頼性の高い電気的要素実装基板を作製することができる。
【0175】
(第15項)第15項に係る配線回路基板の製造方法は、
厚み方向において互いに逆の方向を向く第1の面および第2の面を有する配線回路基板の製造方法であって、
前記厚み方向に積層配置され、第1の絶縁層を含む複数の絶縁層を形成する工程と、
前記複数の絶縁層のうちいずれかの絶縁層上に複数の導体層を形成する工程と、
前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第1の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な第1の被接続部を前記第1の面上に形成する工程と、
前記複数の導体層に電気的に接続されるとともに前記第2の面が向く方向に露出するように、電気的要素が有する接続端子を接続可能な前記第2の被接続部を前記第2の面上に形成する工程とを含み、
前記複数の導体層は、前記第1の絶縁層上に形成される第1の導体層を含み、
前記第1の絶縁層のうち前記第1の導体層が形成される部分の厚みと前記第1の導体層の厚みとの合計は、30μm以下である。
【0176】
上記の製造方法により作製される配線回路基板においては、第1の面上の第1の被接続部に電気的要素が有する接続端子を接続することができる。また、第2の面上の第2の被接続部に電気的要素が有する接続端子を接続することができる。したがって、配線回路基板への電気的要素の実装が容易である。
【0177】
また、上記の構成によれば、第1の絶縁層のうち第1の導体層が形成される部分の厚みと第1の導体層の厚みとの合計が30μmよりも大きい場合に比べて、配線回路基板の全体の厚みを小さくすることができる。すなわち、配線回路基板の薄型化が実現される。
【0178】
これらの結果、配線回路基板および電気的要素を含む電気的要素実装基板の製造が容易になるとともに、第1の導体層により形成される配線のインピーダンスの低減および実装された電気的要素の放熱性の確保が実現される。
【0179】
(第16項)第15項に係る配線回路基板の製造方法において、
前記複数の絶縁層は、感光性材料からなってもよい。
【0180】
この場合、各絶縁層を構成する感光性材料の露光を選択的に行うことにより、当該絶縁層を容易にパターニングすることができる。したがって、各絶縁層に貫通孔等を形成する場合に、レーザ加工等で必要な残渣除去の工程が不要となり、配線回路基板の製造に要する工程数を低減することができる。
【0181】
(第17項)第17項に係る電気的要素実装基板の製造方法は、
第15項または第16項に記載の製造方法により前記配線回路基板を作製する工程と、
接続端子を有する電気的要素を、前記製造方法により作製された配線回路基板の前記第1の面上に実装する工程とを含み、
前記実装する工程は、
接合部材を用いて、前記電気的要素が有する前記接続端子と前記配線回路基板が備える前記第1の被接続部とを接合することを含み、
前記電気的要素は、
前記配線回路基板への実装時に前記配線回路基板に対向する対向面と、
前記対向面から一定長さ突出するように形成された柱状接合部とを有し、
前記接続端子は、前記柱状接合部の先端部で構成される。
【0182】
その電気的要素実装基板の作製時には、配線回路基板の第1の面に電気的要素の対向面を対向配置し、配線回路基板の第1の被接続部に電気的要素の接続端子を接続することができる。あるいは、配線回路基板の第2の面に電気的要素の対向面を対向配置し、配線回路基板の第2の被接続部に電気的要素の接続端子を接続することができる。この場合、電気的要素の接続端子が柱状接合部の先端部で構成されているので、接続端子が平坦な面上に形成される場合に比べて接続作業が容易になる。また、接合部材を用いた接続の信頼性が向上する。
【0183】
また、電気的要素実装基板は、上記の配線回路基板を備える。これらの結果、電気的要素実装基板の製造が容易になるとともに、第1の導体層により形成される配線のインピーダンスの低減および実装された電気的要素の放熱性の確保が実現される。
【符号の説明】
【0184】
1…金属支持体,1a…上面,1b…下面,10,50…第1の絶縁層,11,111…第1の導体層,11a,21a,31a,61a,71a,111a…ビア部,11b,21b,31b,61b,71b,111b,111c…配線部,20,60…第2の絶縁層,21,61…第2の導体層,30,70…第3の絶縁層,31,71…第3の導体層,40,80…第4の絶縁層,100…再配線基板,101…第1の面,102…第2の面,110…金属支持体,110a…上面,110b…下面,120…被覆層,200…半導体素子,211…対向面,220…柱状接合部,290,…アンダーフィル,300,300A…リジッド基板,301…電極パッド,390…接合部材,400…半導体素子実装基板,490…封止樹脂,491…放熱対策部材,500…ロール・ツー・ロール装置,501…巻き出し部,502…巻き取り部,510,520…処理部,900…携帯端末,901…部品,DT…厚み方向,PL…めっき層,R1…繰り出しロール,R2…巻き取りロール,S…半田,SL…シード層,T1,T2…端子部,h11,h21,h31,h41,h111…貫通孔,p1…第1の部分,p2…第2の部分,tp…注目点,v11…縦孔