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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009464
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】測定用ガイド、測色システム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01J3/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111005
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 陽揮
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA12
2G020DA24
2G020DA36
2G020DA43
(57)【要約】
【課題】測定すべき位置に対する測色装置の位置ずれを抑制する。
【解決手段】測定用ガイドは、装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部と、前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、備えた測色装置の前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、前記底部が嵌合する凹部の外周を形成するフレームと、前記凹部の底面を形成するシート材であって透過性を有するシート材と、を備え、前記シート材には、前記凹部に前記底部が嵌合した状態において前記開口部と位置が合う窓部が形成されていることを特徴する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部と、
前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、備えた測色装置の前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、
前記底部が嵌合する凹部の外周を形成するフレームと、
前記凹部の底面を形成するシート材であって透過性を有するシート材と、を備え、
前記シート材には、前記凹部に前記底部が嵌合した状態において前記開口部と位置が合う窓部が形成されている、
ことを特徴する測定用ガイド。
【請求項2】
請求項1に記載の測定用ガイドにおいて、前記測色装置の前記底部は平面視において長方形の形状を成し、
前記フレームは、前記底部の外周に沿う様に長方形の形状を成すとともに、長手方向及び短手方向において線対称の形状を成す、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項3】
請求項2に記載の測定用ガイドにおいて、前記測色装置の前記開口部は前記底部の長手方向において所定方向に偏った位置にあり、
前記窓部は、前記底部の長手方向において線対称の位置関係を成す様に複数形成される、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項4】
請求項1に記載の測定用ガイドにおいて、前記フレームの上面には滑り止め部が形成されている、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項5】
請求項1に記載の測定用ガイドにおいて、前記シート材は、前記フレームの底面に貼り付けられ、
前記シート材において前記測定対象と対向する面にコーティング処理が施されている、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項6】
請求項1に記載の測定用ガイドにおいて、前記フレームの底面の外周が面取りされている、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項7】
請求項1に記載の測定用ガイドにおいて、前記測色装置の側面において前記底部に臨む位置には、前記開口部の中心位置を示す位置マークが形成され、
前記凹部は、前記測色装置の前記底部が嵌合した際に前記位置マークが隠れない深さに形成されている、
ことを特徴とする測定用ガイド。
【請求項8】
装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部、および前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部備えた測色装置と、
前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の測定用ガイドと、
を備えた測色システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色装置を測定位置に位置合わせする測定用ガイドに関する。また本発明は、測定用ガイドと測色装置を備えた測色システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測定位置提示ガイドが記載されている。測定位置提示ガイドは、印刷画像データに基づき印刷物に印刷される画像と同じ画像を印刷した記録媒体から、測定領域及び位置合わせ領域にそれぞれ対応する部分を切り抜いたものであり、印刷物の測色に用いられる。測定位置提示ガイドが印刷部の上に配置されると、位置合わせ領域の開口内に印刷物に印刷された画像が露呈する。そしてオペレーターの手動操作により、測色器が、測定位置提示ガイドの開口を通して印刷物の各測定領域に接触され、測色が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-70697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の測定位置提示ガイドを用いることで、印刷物において測定すべき位置が提示されるが、開口に対して測色器を位置合わせする手段が提示されていない。この為、開口に対して測色器が位置ずれする虞があり、この場合適切な測色結果が得られない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の測定用ガイドは、装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部と、前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、備えた測色装置の前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、前記底部が嵌合する凹部の外周を形成するフレームと、前記凹部の底面を形成するシート材であって透過性を有するシート材と、を備え、前記シート材には、前記凹部に前記底部が嵌合した状態において前記開口部と位置が合う窓部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
また本発明の測色システムは、装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部、および前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部備えた測色装置と、前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする上記測定用ガイドとを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】測色装置を上方から見た斜視図。
図2】測色装置を下方から見た斜視図であって、(A)はシャッターを閉じた状態の図、(B)はシャッターを開いた状態の図。
図3】測定用ガイドを上方から見た斜視図。
図4】測色システムを上方から見た図であって測色装置が測定用ガイドに嵌合した状態の斜視図。
図5】測色システムの一部を側方から見た図であって測色装置が測定用ガイドに嵌合した状態の側面図。
図6】測定用ガイドをX-Z平面で切断した断面図であって図7のA-A断面図。
図7】測定用ガイドの平面図。
図8】他の実施形態に係る測定用ガイドをY-Z平面で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る測定用ガイドは、装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部と、前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部と、備えた測色装置の前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、前記底部が嵌合する凹部の外周を形成するフレームと、前記凹部の底面を形成するシート材であって透過性を有するシート材と、を備え、前記シート材には、前記凹部に前記底部が嵌合した状態において前記開口部と位置が合う窓部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、測定用ガイドは前記凹部を有し、測色装置の底部が凹部に嵌合する様に構成されている。前記凹部の底面は透過性を有するシート材で形成されており、前記シート材には、前記凹部に前記底部が嵌合した状態において前記開口部と位置が合う窓部が形成されている為、測色を行う際には先ず前記測定用ガイドの前記窓部を、測定対象の測定部位に合わせる。その際、前記シート材は透過性を有している為、容易に前記窓部を前記測定部位に合わせることができる。その状態で前記測色装置の底部を前記凹部に嵌合させると、前記窓部が前記開口部と位置が合う為、前記測定部位に対して前記測色装置を正確且つ容易に位置合わせすることができ、適切な測色結果が得られる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記測色装置の前記底部は平面視において長方形の形状を成し、前記フレームは、前記底部の外周に沿う様に長方形の形状を成すとともに、長手方向及び短手方向において線対称の形状を成すことを特徴とする。
本態様によれば、前記フレームは、前記底部の外周に沿う様に長方形の形状を成すとともに、長手方向及び短手方向において線対称の形状を成すことから、ユーザーは右手と左手のいずれを用いても前記測定用ガイドを同じように扱うことができる。
【0011】
第3の態様は、第2の態様において、前記測色装置の前記開口部は前記底部の長手方向において所定方向に偏った位置にあり、前記窓部は、前記底部の長手方向において線対称の位置関係を成す様に複数形成されることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記測色装置の前記開口部は前記底部の長手方向において所定方向に偏った位置にあり、前記窓部は、前記底部の長手方向において線対称の位置関係を成す様に複数形成されることから、ユーザーは前記測定用ガイドの向きを気にすることなく前記測定用ガイドを利用することができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0013】
第4の態様は、第1の態様において、前記フレームの上面には滑り止め部が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記フレームの上面には滑り止め部が形成されていることから、前記測定用ガイドを前記測定対象に対してスライドさせる際に操作性が向上する。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、前記第2のまたは第3の態様に適用しても良い。
【0014】
第5の態様は、第1の態様において、前記シート材は、前記フレームの底面に貼り付けられ、前記シート材において前記測定対象と対向する面にコーティング処理が施されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記シート材は、前記フレームの底面に貼り付けられ、前記シート材において前記測定対象と対向する面にコーティング処理が施されていることから、前記シート材の耐摩耗性を向上させることができる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、前記第2から第4の態様のいずれかに適用しても良い。
【0015】
第6の態様は、第1の態様において、前記フレームの底面の外周が面取りされていることを特徴とする。
本態様によれば、前記フレームの底面の外周が面取りされていることから、前記測定用ガイドを指先で持ち上げる際に指先が引っ掛かり易くなり、取り扱い性が向上する。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、前記第2から第5の態様のいずれかに適用しても良い。
【0016】
第7の態様は、第1の態様において、前記測色装置の側面において前記底部に臨む位置には、前記開口部の中心位置を示す位置マークが形成され、前記凹部は、前記測色装置の前記底部が嵌合した際に前記位置マークが隠れない深さに形成されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記測色装置の側面において前記底部に臨む位置には、前記開口部の中心位置を示す位置マークが形成され、前記凹部は、前記測色装置の前記底部が嵌合した際に前記位置マークが隠れない深さに形成されていることから、前記測色装置の前記底部を前記凹部に嵌合させた状態であっても、前記位置マークを視認することができる。その結果、前記測定用ガイドに前記測色装置を嵌合させた状態であっても、前記開口部の位置を把握することができ、ユーザーの利便性が向上する。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、前記第2から第6の態様のいずれかに適用しても良い。
【0018】
第8の態様に係る測色システムは、装置本体の底部に設けられた開口部であって、測定対象から届く光を前記装置本体の内部に取り入れる為の開口部、および前記開口部を通って入射した光を処理する入射光処理部備えた測色装置と、前記開口部を前記測定対象の測定部位に位置合わせする測定用ガイドであって、第1から第7の態様のいずれかに係る測定用ガイドとを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、測色システムにおいて、上述した第1から第7の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0019】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図に示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X-Y平面が水平面であり、X-Z平面及びY-Z平面が垂直面となる。
またZ軸方向は鉛直方向であって、+Z方向が鉛直上方であり、-Z方向が鉛直下方である。またZ軸方向は後述する光軸CLに平行な方向となる。
またY軸方向は測色装置1をZ軸方向から見て装置の長手方向となる。またX軸方向はY軸方向と直交する方向であって測色装置1をZ軸方向から見て装置の短手方向となる。
本明細書において測色装置1及び測定用ガイド20の構成は、装置が水平面に平行な載置面に載置され、且つ、測色装置1の長手方向がY軸方向に沿うものとして説明する。
【0020】
図1図2において測色装置1は測定対象G(図7参照)の測定部位Ga(図7参照)を測色し、測色結果を表示部8に表示し或いは不図示のコンピューターに送信する装置である。
本実施形態に係る測色装置1はユーザーが片手で掴んで取り扱うことが可能なハンドタイプとされている。測色装置1は、装置本体2の内部に、装置の電力供給源であるバッテリー(不図示)や、入射光を処理する入射光処理部4、更に測定対象Gに向けて発光する発光部(不図示)を備えている。入射光処理部4についての詳細な説明は省略するが、本実施形態において入射光処理部4は不図示の光学フィルターを備える。
【0021】
この光学フィルターは、装置内部に入射した光から、任意の波長成分を選択的に透過させる。この光学フィルターを透過した光は、不図示の受光素子、具体的にはフォトダイオードに入射する。そして入射した光の強度が電圧値に変換されて、不図示の制御部に出力される。測色装置1は、上記光学フィルターによる波長選択と受光強度の取得とを繰り返し行うことで、測色対象のスペクトルを測定する。光学フィルターは、本実施形態では波長可変型のファブリペローエタロンであり、二つの対向する反射面の多重干渉を利用した波長フィルターである。勿論、入射光処理部4はこの様な光学フィルターを備える構成に限られない。波長可変型のファブリペローエタロンは、光軸方向に間隔を空けて対向配置された一対のミラー(不図示)の光軸方向間隔を制御することで波長選択する構成である。
【0022】
装置本体2の外殻は筐体3によって構成されている。装置本体2の底部2aには開口部2bが形成されており、測色対象Gから入射光処理部4に向かう入射光は、開口部2bを介して装置内部に取り入れられる。開口部2bは、光軸CLを中心とする真円形状を成す開口部である。光軸CLは、測色対象から入射光処理部4に向かう入射光の光軸である。
開口部2bの内部には不図示の発光部が設けられており、この発光部から発せられる光は、開口部2bを介して装置外部に向かい、開口部2bと対向する測定部位を照射する。
開口部2bは、図2(A)に示す様にシャッター11によって覆うことができる。シャッター11は、図2(A)に示す様に開口部2bを覆う閉状態と、図2(B)に示す様に開口部2bを開放する開状態とを、Y軸方向にスライドすることで切り換える。シャッター11の開閉は、ユーザーがシャッター11に指を掛けてスライドさせることで行われる。
【0023】
装置本体2の上面2cには各種操作を行う為の操作部7と、各種情報を表示する表示部8とが設けられている。
ユーザーは表示部8を手前にした状態で測色装置1を片手でつかんで使用する。その際、操作部7はユーザーの手指によって操作可能な位置にある。操作部7は中央に決定ボタン7aを備えており、この決定ボタン7aを押下することで各種設定の決定や、測色の実行を行うことができる。また操作部7は十字キー7bを備えており、この十字キー7bによって各種項目の選択や設定の変更を行うことができる。
【0024】
決定ボタン7aは十字キー7bの中央部に配されており、十字キー7bは中央部から上下左右に延びる形状を成している。十字キー7bにおいて左右のキー部分には左右方向に延びる水平マーク7cが付されており、また上下のキー部分には上下方向に延びる垂直マーク7dが付されている。
決定ボタン7aは平面視において真円形状を成しており、その中心位置が光軸CLの位置と一致している。また水平マーク7cを延長した仮想線(不図示)と垂直マーク7dを延長した仮想線(不図示)とが交差する位置が、光軸CLの位置に相当する。
この様な構成により、測色装置1を平面視した際に測色位置の位置合わせが容易となる。
【0025】
また装置本体2の側面であって底部2aに臨む位置には位置マーク9A、9Bが設けられている。位置マーク9Bは平面視において水平マーク7cを延長した仮想線(不図示)の上に位置している。位置マーク9Bは、開口部2bのY軸方向における中心位置を示すマークとなる。また位置マーク9Aは平面視において垂直マーク7dを延長した仮想線(不図示)の上に位置している。位置マーク9Aは、開口部2bのX軸方向における中心位置を示すマークとなる。この様な位置マーク9A、9Bによっても、測色位置の位置合わせが容易となる。
【0026】
装置本体2の-Y方向の側面には図2に示す様にストラップ穴10が形成されており、不図示のストラップをストラップ穴10に通すことで測色装置1の持ち運び性を向上させることができる。尚、後述する測定用ガイド20にもストラップ穴を形成し、測色装置1と測定用ガイド20とをストラップで連結することも好適である。
【0027】
続いて測定用ガイド20について図3以降を参照して説明する。測定用ガイド20は、測色装置1の開口部2bを測定対象G(図7参照)の測定部位Ga(図7参照)に位置合わせする為のガイドであり、測色装置1の底部tが凹部20aに嵌合できる様に構成されている。凹部20aの外周はフレーム21により形成され、凹部20aの底面はシート材であって透過性を有するシート材22により形成されている。シート材22には、凹部20aに底部2aが嵌合した状態において測色装置1の開口部2bと位置が合う窓部22aが形成されている。窓部22aは、シート材22の一部を円形に切り欠くことで形成されており、平面視において真円形状を成している。
【0028】
フレーム21には平面視において略長方形の形状を成す切り欠き部21aが形成されている。フレーム21は一例として樹脂材料で形成することができる。フレーム21は可撓性を有していても有していなくても良いが、或る程度の可撓性を有していることで破損防止効果が得られる。
【0029】
シート材22は透過性を有する樹脂製シートであって、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートを用いることができる。シート材22はフレーム21の下面に対し不図示の両面テープによって貼り付けられており、測定対象Gに測定用ガイド20を載置した場合、シート材22が測定対象Gと接触し、フレーム21は測定対象Gと接触しない。
シート材22の下面即ち測定対象Gと接触する面にはコーティング処理の一例としてハードコート処理が施されている。シート材22は全体の厚みが一例として0.1mm程度である。シート材22の厚みが厚くなると測定対象Gと測色装置1との間隔が広くなり、測色値に悪影響を及ぼす為、極力薄いことが好適である。
【0030】
測定用ガイド20の凹部20aには図4に示す様に測色装置1の底部2aが嵌合できる。その為、図7に示す様に凹部20aの外周即ちフレーム21の切り欠き部21aの内周は、測色装置1の底部2aの外周に沿った形状を成している。換言すれば装置本体2の底部に近い側面と凹部20aの内周との間の隙間が、底部2aの外周に沿って均一となることが可能な様に凹部20aが形成されており、前記隙間は一例として0.5mmに設定されている。前記隙間は、少なくとも1.0mm以下が好ましく、且つ、測色装置1の底部2aが確実に凹部20aに入り込むことができる大きさであることが好ましい。
【0031】
凹部20aの深さh1(図6参照)は一例として約2mmに設定されている。凹部20aの深さh1は適宜設定可能であるが、測色装置1の底部2aを嵌合させた際に測色装置1と測定用ガイド20とがX-Y平面で容易に相対的に動かない様な深さであることが好ましい。
また凹部20aの深さh1は、図5に示す様に位置マーク9A、9Bが隠れない深さに設定されている。換言すれば、位置マーク9A、9BのZ軸方向長さは、凹部20aの深さh1よりも長く設定されている。
【0032】
測色装置1の底部2aは-Z方向から見て略長方形の形状を成しており、X軸方向及びY軸方向において線対称の形状を成す。従って凹部20aも同様に略長方形の形状を成しており、X軸方向及びY軸方向において線対称の形状を成している。更にフレーム21も略長方形の形状を成しており、X軸方向及びY軸方向において線対称の形状を成している。
この為、測色装置1は、凹部20aに対してどのような向きでも嵌合させることができる。また測色装置1を凹部20aに対してどのような向きで嵌合させても良い様に、窓部22aも2つ形成されている。
【0033】
尚、フレーム21の上面において+Y方向端部と-Y方向端部には、滑り止め部21cが形成されている。滑り止め部21cは、X軸方向に延びるリブがY軸方向に複数形成されることで細かい凹凸状に形成されている。
またフレーム21の下面にはフレーム21の全周に亘って面取り部21bが形成されている(図5図6参照)。
以上の測色装置1と測定用ガイド20は、測色システム100を構成する。
【0034】
以上の測色装置1と測定用ガイド20とを用いて測定対象Gの測定を行う場合、先ず図7に示す様に測定用ガイド20の窓部22aを測定対象Gの測定部位Gaに合わせる。その状態で測色装置1の底部2aを測定用ガイド20の凹部20aに嵌合させる。これにより測色装置1の開口部2bと窓部22aの位置が合い、測定部位Gaを位置ずれなく測定することができる。
窓部22aの外径は、開口部2bの外径よりも大きく、且つ凹部20aと測色装置1との間の隙間によって測色装置1が有る程度動いても窓部22aの内側に開口部2bが収まる大きさに形成されている。
【0035】
以上説明した様に測定用ガイド20は凹部20aを有し、測色装置1の底部2aが凹部20aに嵌合する様に構成されている。凹部20aの底面は透過性を有するシート材22で形成されており、シート材22には、凹部20aに測色装置1の底部2aが嵌合した状態において測色装置1の開口部2bと位置が合う窓部22aが形成されている。シート材22は透過性を有している為、容易に窓部22aを測定部位Gaに合わせることができる。その状態で測色装置1の底部2aを凹部20aに嵌合させると、窓部22aが開口部2bと位置が合う為、測定部位Gaに対して測色装置1を正確且つ容易に位置合わせすることができ、適切な測色結果が得られる。
尚、シート材22が透過性を有するとは、シート材22が完全な透明であることに限らず、半透明であったり着色されていたりしても測定対象Gを視認することができ、窓部22aを測定部位Gaに合わせることができることを意味する。
【0036】
また本実施形態においてフレーム21即ち測定用ガイド20は、測色装置1の底部2aの外周に沿う様に長方形の形状を成すとともに、長手方向(Y軸方向)及び短手方向(X軸方向)において線対称の形状を成す。このことによりユーザーは右手と左手のいずれを用いても測定用ガイド20を同じように扱うことができる。
【0037】
また本実施形態において測色装置1の開口部2bはY軸方向において+Y方向に偏った位置にあり、即ち底部2aの長手方向において+Y方向に偏った位置にある。そして窓部22aは、Y軸方向即ち長手方向において線対称の位置関係を成す様に複数(2つ)形成されている。このことにより、ユーザーは測定用ガイド20の向きを気にすることなく測定用ガイド20を使用することができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0038】
また本実施形態においてフレーム21の上面には滑り止め部21cが形成されていることから、測定用ガイド20を測定対象Gに対してスライドさせる際に操作性が向上する。
また本実施形態においてシート材22において測定対象Gと対向する面にコーティング処理が施されていることから、シート材22の耐摩耗性を向上させることができる。
また本実施形態においてフレーム21の底部2aの外周が面取りされていることから、測定用ガイド20を指先で持ち上げる際に指先が引っ掛かり易くなり、取り扱い性が向上する。底部2aの外周の面取りは、R面であってもC面であっても良い。
【0039】
また本実施形態において測色装置1の側面において底部2aに臨む位置には、開口部2bの中心位置を示す位置マーク9A、9Bが形成され、凹部20aは、測色装置1の底部2aが嵌合した際に位置マーク9A、9Bが隠れない深さに形成されている。このことにより、測色装置1の底部2aを凹部20aに嵌合させた状態であっても、位置マーク9A、9Bを視認することができ、開口部2bの位置を把握することができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0040】
尚、測定用ガイド20は折り畳み可能とすることも好適である。図8は折り畳み可能な測定用ガイド20Aを示しており、上述した構成と同一の構成には同一符号を付している。測定用ガイド20Aは上述した測定用ガイド20を長手方向で2分割するとともに互いに回転可能な様に連結した構造を有している。フレーム21Aにはシート材22Aが貼り付けられており、二つのフレーム21Aは連結シート25によって連結されている。連結シート25は可撓性を有するシート材であるが、この様なシート材に代えてヒンジ等によって二つのフレーム21Aを連結しても良い。
図8(A)は測定用ガイド20Aの使用状態を示し、図8(B)は測定用ガイド20Aを折り畳んだ状態を示している。測定用ガイド20Aは、折り畳んだ状態でY軸方向長さが測色装置1のY軸方向長さより短くなり、これにより測定用ガイド20Aの収納性が向上する。例えば、測色装置1を収納可能な収納ケース(不図示)に、測色装置1と測定用ガイド20Aの双方を収納できる。
【0041】
更に本発明は上記において説明した実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1…測色装置、2…装置本体、2a…底部、2b…開口部、2c…上面、4…入射光処理部、7…操作部、7a…決定ボタン、7b…十字キー、7c…水平マーク、7d…垂直マーク、8…表示部、9A、9B…位置マーク、10…ストラップ穴、11…シャッター、20…測定用ガイド、20a…凹部、21…フレーム、21a…切り欠き部、21b…面取り部、21c…滑り止め部、22…シート材、22a…窓部、100…測色システム、G…測定対象、Ga…測定部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8