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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094656
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】筒状体製造装置および筒状体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20240703BHJP
   B26D 1/03 20060101ALI20240703BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B29C65/02
B26D1/03
B26D3/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211347
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】西尾 祥
(72)【発明者】
【氏名】手塚 友章
(72)【発明者】
【氏名】中澤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】有馬 伊吹
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA04
4F211AA11
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH54
4F211AK07
4F211AR04
4F211AR07
4F211AR12
4F211TA02
4F211TC17
4F211TD11
4F211TJ11
4F211TN02
4F211TW15
4F211TW23
(57)【要約】
【課題】樹脂だまりの形成を防止しつつ2枚のフィルム材から連続した筒状体を製造する筒状体製造装置および筒状体製造方法を提供する。
【解決手段】連続するフィルム材Fから連続する少なくとも2つの筒状体Tを形成する装置であって、連続するフィルム材Fが重なった部分を有する連続する積層フィルムLFが供給される加工部10を備えており、加工部10は、積層フィルムLFをその走行方向に沿って連続して熱融着する熱融着部11と、熱融着部11によって熱融着された熱融着積層フィルムHFが供給され、熱融着積層フィルムHFにおける熱融着部11によって熱融着された部分hpを熱融着積層フィルムHFの走行方向に沿って切断する切断部15と、を備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続するフィルム材から連続する少なくとも2つの筒状体を形成する装置であって、
連続するフィルム材が重なった部分を有する連続する積層フィルムが供給される加工部を備えており、
該加工部は、
前記積層フィルムをその走行方向に沿って連続して熱融着する熱融着部と、
該熱融着部によって熱融着された熱融着積層フィルムが供給され、該熱融着積層フィルムにおける前記熱融着部によって熱融着された部分を該熱融着積層フィルムの走行方向に沿って切断する切断部と、を備えている
ことを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項2】
前記熱融着部は、
前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、
該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の筒状体製造装置。
【請求項3】
前記熱融着部は、
前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器を備えており、
該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置では、該積層フィルムにおいて前記加熱器と接触する側と反対側に、前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅よりも広い空間が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の筒状体製造装置。
【請求項4】
前記熱融着部は、
前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、
該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えており、
該張力発生機構が、
前記積層フィルムが走行する走行面を有する受け台を備えており、
該受け台には、
前記走行面に開口を有する前記積層フィルムの走行方向に沿って伸びる溝が形成されており、
前記加熱器は、
前記積層フィルムを加熱する前記加熱面が前記受け台の溝の底面側に位置するように、該受け台の溝と対応する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の筒状体製造装置。
【請求項5】
前記受け台には、前記溝が複数設けられている
ことを特徴とする請求項4記載の筒状体製造装置。
【請求項6】
前記受け台は、
前記走行面が前記加熱器側に凸の円筒状曲面に形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の筒状体製造装置。
【請求項7】
前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅が前記溝の幅よりも狭く、
前記積層フィルムの幅方向において、前記溝の内側面から前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅方向の端縁までの距離が0.5mm以上である
ことを特徴とする請求項4記載の筒状体製造装置。
【請求項8】
連続するフィルム材から連続する筒状体を形成する方法であって、
連続するフィルム材が重なった部分を有する連続する積層フィルムを熱融着部に供給し、
該熱融着部において幅方向の所定の位置で走行方向に沿って連続して前記積層フィルムを熱融着して熱融着積層フィルムを形成し、
該熱融着積層フィルムにおける熱融着された部分を該熱融着積層フィルムの走行方向に沿って切断して筒状体を形成する
ことを特徴とする筒状体製造方法。
【請求項9】
前記積層フィルムに対してその幅方向に沿った張力を加えながら該積層フィルムを熱融着する
ことを特徴とする請求項8記載の筒状体製造方法。
【請求項10】
前記熱融着部では、前記積層フィルムにおいて前記加熱器と接触する側と反対側に空間を設けた状態で前記積層フィルムを加熱する
ことを特徴とする請求項8記載の筒状体製造方法。
【請求項11】
前記熱融着部は、
前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、
該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えており、
該張力発生機構が、
前記積層フィルムが走行する走行面を有する受け台を備えており、
前記受け台には、
前記走行面に開口を有する前記積層フィルムの走行方向に沿って伸びる溝が形成されており、
前記加熱器によって前記受け台の走行面に前記積層フィルムが接触した状態となるように前記積層フィルムを前記受け台側に付勢した状態で、該積層フィルムを前記溝の軸方向に移動させながら該積層フィルムを前記加熱器によって加熱する
ことを特徴とする請求項9または10記載の筒状体製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体製造装置および筒状体製造方法に関する。さらに詳しくは、連続するフィルム材から複数の筒状体を製造する筒状体製造装置および筒状体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続するフィルム材から一辺に開口を有する袋体を製造する場合、通常、連続する筒状体を形成したのち袋体を形成する。具体的には、連続する筒状体を形成したのち、筒状体を所定の長さに切断し、その一方の端縁を融着することによって3辺が閉塞され一辺が開口した袋体を製造する。かかる袋体の製造に使用される連続する筒状体は、以下の方法で製造される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
まず、2枚のフィルム材を重ねた状態のフィルム材または一枚のフィルム材を折りたたんで重なった部分ができるようにした状態のフィルム材(以下積層フィルムという場合がある)を連続搬送し、その搬送途中でスリットシーラーによって所定の幅の複数の連続フィルムとなるように積層フィルムを分割する。具体的には、積層フィルムをスリットシーラーによって複数の連続フィルムとなるように切断すると同時に、切断した箇所で2枚のフィルム材やフィルム材が重なっている部分(以下単に積層部分という場合がある)を熱融着することによって幅方向の両端部が閉じられた連続する筒状体を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-20053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した方法で製造された連続する筒状体は通常ロール状に巻き取られて保管されるが、上述した方法で製造された筒状体では、スリットシーラーによって積層部分が熱融着された後、冷却固化した際に樹脂が塊状になった樹脂だまりができる可能性がある。かかる樹脂だまりが筒状体に形成されれば、その箇所は筒状体の厚さが厚くなるので、樹脂だまりが形成された筒状体を巻き取ってロール状にした場合には、ロールの巻きずれが生じる等、ロールの巻きが悪くなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、樹脂だまりの形成を防止しつつ連続するフィルム材から連続した筒状体を製造する筒状体製造装置および筒状体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<筒状体製造装置>
第1発明の筒状体製造装置は、連続するフィルム材から連続する少なくとも2つの筒状体を形成する装置であって、連続するフィルム材が重なった部分を有する連続する積層フィルムが供給される加工部を備えており、該加工部は、前記積層フィルムをその走行方向に沿って連続して熱融着する熱融着部と、該熱融着部によって熱融着された熱融着積層フィルムが供給され、該熱融着積層フィルムにおける前記熱融着部によって熱融着された部分を該熱融着積層フィルムの走行方向に沿って切断する切断部と、を備えていることを特徴とする。
第2発明の筒状体製造装置は、第1発明において、前記熱融着部は、前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えていることを特徴とする。
第3発明の筒状体製造装置は、第1発明において、前記熱融着部は、前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器を備えており、該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置では、該積層フィルムにおいて前記加熱器と接触する側と反対側に前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅よりも広い空間が形成されていることを特徴とする。
第4発明の筒状体製造装置は、第2または第3発明において、前記熱融着部は、前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えており、該張力発生機構が、前記積層フィルムが走行する走行面を有する受け台を備えており、該受け台には、前記走行面に開口を有する前記積層フィルムの走行方向に沿って伸びる溝が形成されており、前記加熱器は、前記積層フィルムを加熱する前記加熱面が前記受け台の溝の底面側に位置するように、該受け台の溝と対応する位置に配置されていることを特徴とする。
第5発明の筒状体製造装置は、第4発明において、前記受け台には、前記溝が複数設けられていることを特徴とする。
第6発明の筒状体製造装置は、第4発明において、前記受け台は、前記走行面が前記加熱器側に凸の円筒状曲面に形成されていることを特徴とする。
第7発明の筒状体製造装置は、第4発明において、前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅が前記溝の幅よりも狭く、前記積層フィルムの幅方向において、前記溝の内側面から前記加熱器において前記積層フィルムと接触する部分の幅方向の端縁までの距離が0.5mm以上であることを特徴とする。
<筒状体製造方法>
第8発明の筒状体製造方法は、連続するフィルム材から連続する筒状体を形成する方法であって、連続するフィルム材が重なった部分を有する連続する積層フィルムを熱融着部に供給し、該熱融着部において幅方向の所定の位置で走行方向に沿って連続して前記積層フィルムを熱融着して熱融着積層フィルムを形成し、該熱融着積層フィルムにおける熱融着された部分を該熱融着積層フィルムの走行方向に沿って切断して筒状体を形成することを特徴とする。
第9発明の筒状体製造方法は、第8発明において、前記積層フィルムに対してその幅方向に沿った張力を加えながら該積層フィルムを熱融着することを特徴とする。
第10発明の筒状体製造方法は、第8または第9発明において、前記熱融着部では、前記積層フィルムにおいて前記加熱器と接触する側と反対側に空間を設けた状態で前記積層フィルムを加熱することを特徴とする。
第11発明の筒状体製造方法は、第9および第10発明において、前記熱融着部は、前記積層フィルムを加熱する加熱面を有する加熱器と、該加熱器と前記積層フィルムとが接触する位置において、該積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加える張力発生機構と、を備えており、該張力発生機構が、前記積層フィルムが走行する走行面を有する受け台を備えており、前記受け台には、前記走行面に開口を有する前記積層フィルムの走行方向に沿って伸びる溝が形成されており、前記加熱器によって前記受け台の走行面に前記積層フィルムが接触した状態となるように前記積層フィルムを前記受け台側に付勢した状態で、該積層フィルムを前記溝の軸方向に移動させながら該積層フィルムを前記加熱器によって加熱することを特徴とする。
【0008】
<筒状体製造装置>
第1発明によれば、熱融着部において積層フィルムを熱融着して熱融着積層フィルムを形成したのち、熱融着された部分を切断部によって切断するので、切断された端面の仕上がりを向上できる。
第2発明によれば、積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加えながら加熱器によって積層フィルムを加熱することができるので、積層フィルムにおいて熱融着された部分のシール強度を均一にすることができる。
第3発明によれば、加熱器からの熱を積層フィルムのみに供給できるので、積層フィルムを熱融着するシール温度を安定化することができる。
第4発明によれば、加熱器によって積層フィルムを受け台側に軽く付勢した状態で積層フィルムを加熱すれば、積層フィルムを加熱する際に積層フィルムに適切な張力を加えやすくなる。しかも、受け台の溝の位置で加熱器と積層フィルムとを接触させるので、受け台に加熱器からの熱が加わることを防止できる。したがって、積層フィルムを加熱した際に積層フィルムに加わる熱量を適切に調整できるので、熱融着された部分のシール強度を均一にすることができる。
第5発明によれば、溝の数や溝に配置する加熱器の数や位置を調整すれば、形成する筒状体の数や幅を調整することができる。
第6発明によれば、積層フィルムをスムースに走行させることができる。
第7発明によれば、溝の内側面と加熱器との間でフィルムが切断されることを防止できる。
<筒状体製造方法>
第8発明によれば、熱融着部において積層フィルムを熱融着して熱融着積層フィルムを形成したのち、融着された部分を切断部によって切断するので、切断された端面の仕上がりを向上できる。
第9発明によれば、積層フィルムにその幅方向に沿った張力を加えながら積層フィルムを加熱することができるので、積層フィルムにおいて熱融着された部分のシール強度を均一にすることができる。
第10発明によれば、熱融着部から供給される熱を積層フィルムのみに供給できるので、積層フィルムを熱融着するシール温度を安定化することができる。
第11発明によれば、加熱器によって積層フィルムを受け台側に軽く付勢した状態で積層フィルムを加熱するので、積層フィルムに適切な張力を加えやすくなる。しかも、受け台の溝の位置で加熱器と積層フィルムとを接触させるので、受け台に加熱器からの熱が加わることを防止できる。したがって、積層フィルムを加熱した際に積層フィルムに加わる熱量を適切に調整できるので、熱融着された部分のシール強度を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の筒状体製造装置1の概略説明図であり、(A)は側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
図2図1(B)のII-II線概略断面図である。
図3】(A)、(B)は他の実施形態の加工部10の概略説明図であり、(C)は多数の溝12gが形成された受け台12の概略斜視図である。
図4】他の実施形態の加工部10の概略説明図であり、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の筒状体製造装置は、包装袋を形成するための筒状体を製造する装置であり、フィルム材を連続して搬送しながら熱融着することによって筒状体を連続して製造できる装置である。
【0011】
本実施形態の筒状体製造装置によって製造される筒状体の素材、つまり、フィルム材の素材はとくに限定されない。フィルム材の素材は加熱することによって熱融着できる素材であればよい。フィルム材の素材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0012】
また、本実施形態の筒状体製造装置によって熱融着されるフィルム材の厚さはとくに限定されない。本実施形態の筒状体製造装置によって熱融着できるフィルム材の厚さは、後述する加熱器においてフィルム材に加えられる熱量や加熱器とフィルム材とが接触する時間(つまり、フィルム材の走行速度)などによって制限されるので、これらの条件に応じて熱融着できるフィルム材が選択される。例えば、10~200μm、好ましくは20~100μm、より好ましくは20~60μmの厚さのフィルム材であれば、本実施形態の筒状体製造装置によって熱融着して筒状体を形成することが可能である。
【0013】
本実施形態の筒状体製造装置によって製造される筒状体の大きさ、つまり、筒状体の幅はとくに限定されない。例えば、その幅が70~600mmの筒状体を形成することができる。また、本実施形態の筒状体製造装置によって製造された筒状体から製造される包装袋の大きさもとくに限定されない。筒状体を適切な長さで切断し長さ方向の一方の端部を熱融着すれば、本実施形態の筒状体製造装置によって製造された筒状体から一端に開口を有する包装袋を製造することができる。
【0014】
本実施形態の筒状体製造装置1を採用する装置や設備もとくに限定されない。例えば、上述したようなフィルム材からなる包装袋を製造する設備や、上述したようなフィルム材によって被包装物を包装する包装設備等を挙げることができる。
【0015】
<本実施形態の筒状体製造装置1>
図1(A)に示すように、本実施形態の筒状体製造装置1は、連続するフィルム材Fから積層フィルムLFを形成する積層フィルム形成部2と、この積層フィルム形成部2で形成された積層フィルムLFが供給される加工部10と、を備えている。
【0016】
<積層フィルム形成部2>
図1(A)に示すように、積層フィルム形成部2は、積層フィルムLFを形成し、形成された積層フィルムLFを加工部10に供給する機能を有するものである。積層フィルム形成部2は、フィルム材Fが2枚重なった状態の連続する積層フィルムLFを形成できる機構を有していればよく、その機構や積層フィルムLFを形成するフィルム材Fはとくに限定されない。
【0017】
例えば、図1(A)に示すように、連続する2枚のフィルム材Fから積層フィルムLFを形成するのであれば、連続する2枚のフィルム材Fを両端縁が一致するように重ねた状態で一対のローラ間に通すことによって積層フィルムLFを形成する機構を積層フィルム形成部2に採用することができる。この場合、積層フィルムLFは、その幅方向(つまり搬送方向と交差する方向、図1(B)では上下方向)における両端部が非連結の状態である連続するフィルムとなる。そして、積層フィルムLF全体が、特許請求の範囲にいう「連続するフィルム材が重なった部分」に相当する部分になる。
【0018】
また、連続する1枚のフィルム材Fから積層フィルムLFを形成するのであれば、連続する1枚のフィルム材Fをその搬送方向に沿って折り目ができ、かつ、フィルム材Fの端縁が一致するように重なった状態となるように折り曲げて一対のローラ間に通すことによって積層フィルムLFを形成する機構を積層フィルム形成部2に採用することができる。この場合、積層フィルムLFは、その幅方向(つまり搬送方向と交差する方向)における一方の端縁(つまり折り目が形成されている端縁)は連結されており他方の端縁は非連結の状態の連続するフィルムとなる。そして、積層フィルムLFにおいて、折り目となっている部分(つまり一方の端縁)を除いた部分が、特許請求の範囲にいう「連続するフィルム材が重なった部分」に相当する部分になる。1枚のフィルム材Fに折り目を形成する機構はとくに限定されず、フィルム材やシートなどに折り目を形成する公知の機構を採用することができる。
【0019】
また、既に筒状体となっている連続するフィルム材Fから積層フィルムLFを形成するのであれば、筒状体となっている連続するフィルム材Fの幅方向の両端部にその搬送方向に沿って折り目ができるようにして一対のローラ間に通すことによって積層フィルムLFを形成する機構を積層フィルム形成部2に採用することができる。この場合、積層フィルムLFは、その幅方向(つまり搬送方向と交差する方向)における両端縁が連結された連続するフィルムとなる。そして、積層フィルムLFにおいて、折り目となっている部分(つまり両端縁)を除いた部分が、特許請求の範囲にいう「連続するフィルム材が重なった部分」に相当する部分になる。筒状体となっているフィルム材Fの幅方向の両端部に折り目を形成する機構はとくに限定されず、筒状体となっているフィルム材や筒状体となっているシート等の幅方向の両端部に折り目を形成する公知の機構を採用することができる。
【0020】
また、外部の装置から上述したような積層フィルムLFが供給されるのであれば、本実施形態の筒状体製造装置1は必ずしも積層フィルム形成部2は有していなくてもよい。
【0021】
<加工部10>
加工部10は、積層フィルム形成部2から供給される積層フィルムLFから複数の連続する筒状体T(以下、連続する筒状体Tを単に筒状体Tという場合がある)を同時に形成するものである。例えば、図1の加工部10であれば、2つの筒状体Tを同時に形成することができる。この加工部10は、熱融着部11と、切断部15と、を備えている。
【0022】
<熱融着部11>
熱融着部11は、積層フィルム形成部2から供給される積層フィルムLFをその移動方向(図1では左右方向、以下では走行方向という場合がある)に沿って連続して熱融着する機能を有するものである。つまり、熱融着部11は、積層フィルムLFのフィルム材Fが重なった部分において、後述する加熱器13の加熱面13fが接触した位置の重なっているフィルム材F同士を熱融着する機能を有するものである。なお、積層フィルムLFにおいて、積層フィルムLFの走行方向と直交する方向(図1(B)では上下方向)を積層フィルムLFや筒状体Tの幅方向という。
【0023】
<受け台12>
図1に示すように、熱融着部11は、積層フィルムLFが走行する受け台12を備えている。この受け台12は、積層フィルムLFの一方の面(図1(A)では下面)が面接触した状態で移動する走行面12aを有している。この走行面12aは、加熱器13側に凸の円筒状の曲面に形成されている。
【0024】
図3(C)に示すように、受け台12には、走行面12aから凹んだ複数の溝12g(図1図2では3本の溝12g)が設けられている。この複数の溝12gは、互いに平行であり、しかも、複数の溝12gと積層フィルムLFの走行方向とが平行となるように設けられている。また、複数の溝12gは、受け台12の幅方向、つまり、積層フィルムLFの走行方向と直交する方向(言い換えれば積層フィルムLFの幅方向)に沿って間隔を空けて設けられている。なお、複数の溝12gを設ける間隔(図2(A)のL1、L2)はとくに限定されず、等間隔でもよいし、位置によって間隔が異なっていてもよい。
【0025】
<加熱器13>
図1および図2に示すように、受け台12においての走行面12aと対向する側(図1(A)、図2では受け台12の上方)には、受け台12に向かって接近離間する移動部材10dが設けられており、この移動部材10dの受け台12側の面(図1(A)、図2では下面、以下、単に移動部材10dの下面という)に複数の加熱器13が設けられている。
【0026】
図1に示すように、各加熱器13は、積層フィルムLFに接触させる接触部13aと、接触部13aに対して熱を供給する加熱部13bと、を有している。この接触部13aにおいて、受け台12の溝12gの底面側に位置する面(図1(A)、図2では下面)に積層フィルムLFに接触する加熱面13fが設けられている。この加熱面13fは、加熱部13bから接触部13aに熱が供給されると、積層フィルムLFを構成するフィルム材F同士が熱融着できる温度となるように積層フィルムLFを加熱できるものである。
【0027】
各加熱器13は、受け台12の複数の溝12gと対応する位置に、受け台12の溝12gと同じ数だけ設けられている。例えば、図1(A)、図2のように、受け台12に3つの溝12gが設けられている場合には、3つの加熱器13が設けられる。しかも、各加熱器13は、移動部材10dが下降すると加熱面13fを積層フィルムLFに接触させることができ、かつ、積層フィルムLFを溝12gの底面に向かって(言い換えれば受け台12に向かって)付勢できるように設けられている。しかも、各加熱器13は、移動部材10dが下降しても、各加熱器13と受け台12とが互いが接触しないように設けられている。具体的には、加熱器13の加熱面13fの幅(つまり、加熱器13において積層フィルムLFと接触する部分の幅)が、溝12gの幅よりも短くなるように形成されている。例えば、図2であれば、加熱器13の加熱面13fの幅13w(積層フィルムLFの走行方向と直交する方向の長さ)が溝12gの幅W1~W3よりも短くなるように形成されている。しかも、加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させた際に、その幅方向において、加熱面13fの側端縁13eから溝12gの内側面12fまでの距離dが所定の距離だけ離れた状態となるように設けられている。言い換えれば、積層フィルムLFの幅方向において、溝12gの内側面12fから加熱器13において積層フィルムLFと接触する部分(つまり加熱面13f)の幅方向の端縁(側端縁13e)までの距離dが所定の距離だけ離れた状態となるように加熱器13は設けられている。
【0028】
上記構成とする理由は以下のとおりである。
まず、加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させて積層フィルムLFを溝12gの内底面側に軽く付勢すると、積層フィルムLFは一方の面(図1(A)、図2では下面)が受け台12の走行面12aに接触し、他方の面(図1(A)、図2では上面)が加熱器13の加熱面13fに接触した状態になる。すると、積層フィルムLFには、その幅方向に沿って積層フィルムLFを伸展する張力が発生する。かかる張力が積層フィルムLFに加われば、加熱器13の加熱面13fと積層フィルムLFとの接触状態を均一にできる。すると、加熱器13の加熱面13fから積層フィルムLFに加わる熱による積層フィルムLFの熱融着状態にムラがない状態としやすくなるので、熱融着した部分のシール強度を均一にすることができる。一方、積層フィルムLFに上記のような張力が加わった状態で積層フィルムLFが走行すると、積層フィルムLFにおいて加熱器13の加熱面13fの側端縁13eと溝12gの内側面12fとの間の部分には剪断力が発生し、この剪断力が一定以上になると、積層フィルムLF(または積層フィルムLFを構成する2枚のフィルム材Fの1枚)が切断されてしまう。この剪断力は、加熱器13の加熱面13fの側端縁13eと溝12gの内側面12fとの間の距離dと、加熱器13の加熱面13fの押し込み量H(図2参照)と、によって変化する。しかし、加熱器13の加熱面13fの押し込み量Hは、通常、積層フィルムLFと加熱器13の加熱面13fとが接触する位置において、加熱器13の加熱面13fと受け台12の走行面12aが同じ高さか―5mm以下、より好ましくは―2mm以下に調整される。したがって、積層フィルムLFの厚さ(言い換えればフィルム材Fの厚さ)やその強度に応じて距離dを適切に調整すれば、積層フィルムLF(または積層フィルムLFを構成する2枚のフィルム材Fの1枚)が切断されることを防止できる。なお、押し込み量Hとは、加熱器13の加熱面13fと受け台12の走行面12aとの高さの差であり、両者が同じ高さになっている状態を0とすると、その状態よりも加熱器13の加熱面13fが溝12gの底面側に位置する場合をマイナスとしている。
【0029】
例えば、積層フィルムLFのフィルム材Fの素材がポリエチレンであり、フィルム材Fの厚さが10~60μmの場合であって加熱器13の加熱面13fの押し込み量Hが上述した範囲であれば、距離dを0.5mm以上(好ましくは0.5~2mm)とすることで、積層フィルムLF(または積層フィルムLFを構成する2枚のフィルム材Fの1枚)が切断されることなく、適度な張力を与えながら加熱器13の加熱によって積層フィルムLFを熱融着することができる。
【0030】
<切断部15>
図1に示すように、移動部材10dの下面において、加熱器13よりも下流側、つまり、積層フィルムLFの走行方向の進行側(図1では右側)の部分には、切断部15の複数のカッター16が設けられている。このカッター16は、例えば、シック刃などの切断刃である。この複数のカッター16は、加熱器13と対応する位置に設けられている。具体的には、複数のカッター16は、積層フィルムLFの走行方向に沿って複数の加熱器13の加熱面13fの下流側に設けられており、各カッター16が対応する各加熱器13の幅方向の中心面上に位置するように設けられている。しかも、各カッター16は、加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させると、加熱器13で熱融着された熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpに各カッター16が接触し、その先端が熱融着積層フィルムHFにおいて各カッター16と反対側に突出するように(図1(A)では熱融着積層フィルムHFよりも下方に位置するよう)に設けられている。
【0031】
以上のごとき構成を有しているので、本実施形態の筒状体製造装置1による筒状体Tの製造は以下の方法で実施される。
【0032】
まず、積層フィルムLFをその一方の面が受け台12の走行面12aに接触するように配置し、その状態で移動部材10dを下降させて加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させる。
【0033】
ついで、受け台12の溝12gに対する加熱器13の加熱面13fや切断部15の複数のカッター16の位置を調整する。具体的には、加熱器13の加熱面13fの側端縁13eと溝12gの内側面12fとの間の距離dが所定の距離となるように調整する。併せて、加熱器13の加熱面13fが積層フィルムLFを受け台12側(図1(A)、図2では下方)に付勢する付勢力を調整する。つまり、加熱器13の加熱面13fの押し込み量Hを調整し、積層フィルムLFを幅方向に引っ張る所定の張力(言い換えれば積層フィルムLFを幅方向に伸ばす張力)が発生するように調整する。
【0034】
上記調整が終了すると、加熱器13の加熱面13fを高温にして積層フィルムLFを熱融着できる状態にしたのち、積層フィルムLFを走行させる。すると、各加熱器13の加熱面13fによって積層フィルムLFにその走行方向に沿って熱融着された部分hpを連続して形成することができる。図1(B)、図2であれば、積層フィルムLFにその走行方向に沿って、積層フィルムLFに3カ所の熱融着された部分hpを連続して形成することができる。つまり、3カ所の熱融着された部分hpが形成された熱融着積層フィルムHFを連続して形成することができる。
【0035】
熱融着積層フィルムHFが走行方向に沿って移動すると、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpが切断部15の複数のカッター16にそれぞれに接触するので、複数のカッター16によって熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpがそれぞれ連続して切断される。すると、熱融着積層フィルムHFから、複数の筒状体(図1(B)、図2であれば、2つの筒状体)、つまり、端縁がそれぞれ連続して熱融着された連続する複数の筒状体Tを製造することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の筒状体製造装置1によれば、熱融着部11によって積層フィルムLFの走行方向に沿って連続する熱融着された部分hpを有する熱融着積層フィルムHFを形成することができる。そして、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpが切断部15の複数のカッター16によって連続して切断されるので、連続する複数の筒状体Tを製造することができる。
【0037】
また、本実施形態の筒状体製造装置1では、積層フィルムLFを熱融着した後に熱融着された部分hpを切断する工程を設けている。このため、熱融着と切断とを同時に実施する場合のように樹脂溜まりが発生することを防止でき、筒状体Tの熱融着された部分hpの端面の形状を均一なものにすることができるので、美粧な筒状体Tを製造することができる。さらに、熱融着された部分hpの熱融着状態を均一にできるため、熱融着された部分hpのシール強度も均一にすることができる。
【0038】
さらに、加熱器13の加熱面13fは、積層フィルムLFと接触しても受け台12の走行面12aとは接触しないように設けられているので、受け台12に加熱器13からの熱が加わることを防止できる。すると、加熱器13からの熱を積層フィルムLFのみに供給できるので、積層フィルムLFを加熱する際のシール温度を安定化することができる。つまり、積層フィルムLFを加熱する際の熱量を適切に調整できるので、積層フィルムLFの熱融着された部分hpをムラがないように熱融着することができ、筒状体Tのシール強度を均一にすることができる。
【0039】
さらに、加熱器13の加熱面13fによって積層フィルムLFが受け台12側(図1(A)、図2では下方)に押された状態で積層フィルムLFが熱融着されるので、積層フィルムLFに加熱器13の加熱面13fと受け台12の溝12gのエッジとの間で積層フィルムLFの幅方向に沿った張力が発生する。すると、積層フィルムLFにその幅方向に沿った張力を加えながら加熱器13の加熱面13fによって加熱することができるので、積層フィルムLFの熱融着された部分hpをムラがないように熱融着することができ、筒状体Tのシール強度を均一にすることができる。
【0040】
なお、上記のように、加熱器13の加熱面13fによって積層フィルムLFが受け台12側(図1(A)、図2では下方)に付勢されれば、積層フィルムLFを幅方向に引っ張る張力が発生するので、この構成、つまり、加熱器13と受け台12の溝12gが特許請求の範囲にいう張力発生機構に相当するものとなる。
【0041】
<受け台12の走行面12aと加熱器13の加熱面13fの配置>
上記のように、移動部材10dを受け台12に接近させて加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させるが、この際に、加熱器13の加熱面13fは受け台12の走行面12aとほぼ同じ高さになるようにすることが望ましい。つまり、受け台12の走行面12aの法線方向(または鉛直方向)における加熱器13の加熱面13fと受け台12の走行面12aとの距離H(上述した押し込み量H)が、例えば0~―5mm程度、より好ましくは0~-2mm程度になるように配置することが望ましい。かかる構成とすれば、加熱器13の加熱面13fと受け台12の溝12gのエッジとの間で積層フィルムLFに適切な張力を発生させることができる。なお、マイナスは、加熱器13の加熱面13fが受け台12の走行面12aに挿入された状態を意味している。
【0042】
<複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16の設置について>
複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16を設置する方法はとくに限定されない。受け台12に対して接近離間でき、しかも、受け台12の走行面12aの溝12gに対する位置を調整できるように設けられていればよい。
【0043】
例えば、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16は、図4に示すように設けられていてもよい。
図4では、1つの加熱器13と1つのカッター16が1つの移動部材10dに設置されており、1つの移動部材10dは支持軸10sによって移動フレーム10fに連結されている。
一方、積層フィルムLFの搬送方向において受け台12を挟む位置に、受け台12の幅方向に沿って延びる一対の案内軸10a,10aが設けられており、一対の案内軸10a,10aにそれぞれ一対のスライダ10b,10bが設けられている。この一対のスライダ10b,10bは、一対の案内軸10a,10aの軸方向に沿って移動でき、かつ、軸方向の所定の位置で固定できる機構を有している。
そして、1つの移動部材10dは、支持軸10sと移動フレーム10fを介して、一対のスライダ10b,10bに設けられたシリンダ10cによって一対のスライダ10b,10bに連結されている。具体的には、一対のスライダ10b,10bに設けられたシリンダ10cは、その伸縮方向(つまりロッドが出没する方向)が加熱器13やカッター16が受け台12に接近離間する方向(受け台12の走行面12aの法線方向(または鉛直方向))と平行となるように一対のスライダ10b,10bに設けられている。そして、一対のスライダ10b,10bのシリンダ10cのロッドに、支持軸10sと移動フレーム10fを介して、移動部材10dが連結されている。
上記のような方法で、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16を設置すれば、各加熱器13や各カッター16の位置を個別に調整することができる。つまり、各加熱器13や各カッター16が設置されている移動部材10dを、各移動部材10dが連結されている一対のスライダ10b,10bによって移動させれば、受け台12の幅方向において、各加熱器13や各カッター16の位置を、受け台12の走行面12aの溝12gと対応するように個別に調整することができる。また、一対のスライダ10b,10bに設けられているシリンダ10cを伸縮させれば、受け台12の走行面12aと各加熱器13や各カッター16との距離を個別に調整できる。つまり、各加熱器13や各カッター16と受け台12の走行面12aの溝12gとの相対的な位置関係を個別に調整できるので、各加熱器13や各カッター16の位置調整が容易になるし位置精度も高くできる。
【0044】
また、上記の構成の場合、同じ移動部材10dに設けられている加熱器13とカッター16の相対的な位置は固定されていてもよいし、相対的な位置が調整できるようになっていてもよい。例えば、加熱器13とカッター16の両方または一方が移動部材10dに対して受け台12の幅方向や積層フィルムLFの搬送方向に移動できるようになっていてもよい。かかる構成となっていれば、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpを切断する切断部15の複数のカッター16の位置を微調整したり、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpに対応する位置に切断部15の複数のカッター16を設置したりすることができる。
【0045】
また、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16は全てを1つの移動部材10dに設けてもよい。この場合、加熱器13や切断部15のカッター16の移動部材10dに対する受け台12に接近離間する方向の移動等が固定されていれば、装置の構成を簡素化できるし、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16の移動を同時にできるので、作業の準備が容易になる。つまり、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16を同時に一括で所定の位置(つまり積層フィルムLFや熱融着積層フィルムHFに接触する位置)に配置するこことができる。
【0046】
一方、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16を一つの移動部材10dに設けた場合でも、各加熱器13や切断部15の各カッター16は、移動部材10dに対して受け台12の幅方向や積層フィルムLFの搬送方向に独立して移動できるようになっていてもよい。また、各加熱器13や切断部15の各カッター16は、移動部材10dに対して独立して接近離間できるようになっていてもよい。この場合、各加熱器13や切断部15の各カッター16の受け台12の溝12gに対する位置を微調整することが可能になる。
【0047】
また、複数の加熱器13や切断部15の複数のカッター16は、移動部材10dに着脱可能に設けられていてもよい。すると、製造する筒状体Tの数に合わせて、適切な数の加熱器13やカッター16を設置することができるし(図3(B)参照)、筒状体Tを形成するフィルム材Fに合わせて適切な位置や数の加熱器13やカッター16を設置することができる。
【0048】
また、加熱器13は、加熱面13fが高温になっていなければ積層フィルムLFに接触しても熱融着しない。したがって、複数の加熱器13については、溝12gに対応する最大数の加熱器13を設けておき(図3(A)参照)、積層フィルムLFを熱融着する位置の加熱器13のみを熱融着できる温度にしてもよい。すると、複数の加熱器13が一つの移動部材10dに設置されかつ移動部材10dに対する移動が固定されていても(つまり全ての加熱器13が同じだけ移動する場合でも)、所望の位置だけ熱融着することができる。この場合には、他の加熱器13(つまり温度の低い加熱器13)も積層フィルムLFに接触するので、他の加熱器13とその位置の受け台12の溝12gを張力発生機構として機能させることも可能である。もちろん、上述したように加熱器13を個別に移動させることができる場合には、積層フィルムLFを熱融着する位置の加熱器13以外は積層フィルムLFに接触しないようにすることが望ましい。
【0049】
<張力発生機構について>
上記例では、積層フィルムLFが受け台12側に付勢されて、積層フィルムLFに加熱器13の加熱面13fと受け台12の溝12gのエッジとの間で張力が発生し、積層フィルムLFを幅方向に引っ張る張力が発生する構成となっている。この構成では、加熱器13の加熱面13fと受け台12の溝12gのエッジが張力発生機構に相当するものとなる。
【0050】
かかる構成とは別に、積層フィルムLFを幅方向に沿って引っ張る張力発生機構を別途設けてもよい。例えば、公知のエキスパンダーロールを設けて張力発生機構とすることができる。つまり、受け台12の上流側と下流側のいずれか一方(または両方)に公知のエキスパンダーロールを設けてこのエキスパンダーロールを積層フィルムLFに接触させれば、積層フィルムLFに対して幅方向に沿って引っ張る張力を発生させることができる。また、公知のピンチエキスパンダを設けて張力発生機構とすることができる。つまり、受け台12の上流側と下流側のいずれか一方(または両方)に積層フィルムLFの幅方向の端部を引っ張る公知のピンチエキスパンダを設ければ、積層フィルムLFに対して幅方向に沿って引っ張る張力を発生させることができる。
【0051】
<冷却部20について>
切断部15のカッター16では、熱融着積層フィルムHFにおける加熱器13によって熱融着された部分hpを切断するが、熱融着された部分hpの温度が高い場合(つまり熱を持っている場合)には、切断部15のカッター16によってきれいにカットできない可能性がある。例えば、ポリエチレン製のフィルム材Fを熱融着した熱融着積層フィルムHFの場合、熱融着された部分hpが熱融着積層フィルムHFを構成するフィルム材Fの融点以上となっている場合には、切断部15のカッター16によって熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpをきれいにカットできない可能性がある。例えば、切断された熱融着積層フィルムHFの切断面同士が再融着する可能性があるし、切断した熱融着積層フィルムHFがカッター16に貼りついて熱融着積層フィルムHFの切断ができなくなる可能性がある。
【0052】
したがって、熱融着積層フィルムHFの切断面(つまり筒状体Tの側端縁)を良好な状態とする上では、積層フィルムLFが加熱器13によって熱融着された熱融着積層フィルムHFとなった後、切断部15のカッター16に接触する前に、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpを冷却する冷却部20を設けてもよい(図1(A)参照)。例えば、冷却部20として、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpに対して冷却用の空気を吹き付ける機構を設けてもよい。すると、切断部15のカッター16に接触する前に、切断部15のカッター16で切断した際に熱融着積層フィルムHFの切断面を良好な状態とできる温度まで熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpを冷却することができる。例えば、加熱器13によって熱融着された温度が熱融着積層フィルムHFを構成するフィルム材Fの融点近傍の温度であっても、冷却部20によって切断部15のカッター16に接触する位置において熱融着された部分hpが十分に冷却固化するまで温度を低下させることができれば、熱融着積層フィルムHFの切断面を良好な状態とすることができる。
【0053】
なお、冷却部20は所定の温度まで熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpの温度を低下できる構成であればよく、上記のような冷却用の空気を吹き付ける構成に限られない。例えば、冷却部20には冷却ロール等を採用してもよい。つまり、熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpに冷却ロールを接触させて熱融着積層フィルムHFの熱融着された部分hpを冷却してもよい。
【0054】
<受け台12について>
上記例では、受け台12の走行面12aが加熱器13側に凸の円筒状曲面に形成されている場合を説明したが、受け台12の走行面12aは平面であってもよい。しかし、受け台12の走行面12aを加熱器13側に凸の円筒状曲面にすれば、積層フィルムLFを走行面12aに沿ってスムースに走行させることができる。
【0055】
<受け台12の溝12gについて>
図1および図2では、筒状体Tを2つ同時に製造する場合を示しているが、筒状体Tを製造する数は2つに限られない。受け台12に形成する溝12gの数とその溝12gに配置される加熱器13の数、切断部15のカッター16の数を調整すれば、筒状体Tを1つだけ製造することもできるし、2つ以上の筒状体Tを同時に製造することも可能である。
【0056】
例えば、積層フィルムLFが2枚のフィルム材Fを重ねたものであれば、受け台12に溝12gを3つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ、2つの筒状体Tを2つ同時に製造することができる。また、2枚のフィルム材Fを重ねた積層フィルムLFであれば、溝12gを2つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ1つの筒状体Tを製造することができるし、溝12gを4つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ3つの筒状体Tを同時に製造することができる。
【0057】
また、積層フィルムLFが1枚のフィルム材Fを折り重ねたものであれば、受け台12に溝12gを2つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ、2つの筒状体Tを2つ同時に製造することができる。また、1枚のフィルム材Fを折り重ねた積層フィルムLFであれば、溝12gを1つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ1つの筒状体Tを製造することができるし、溝12gを3つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ3つの筒状体Tを同時に製造することができる。
【0058】
さらに、積層フィルムLFが筒状体であれば、受け台12に溝12gを1つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ、2つの筒状体Tを2つ同時に製造することができる。また、筒状体の積層フィルムLFであれば、溝12gを2つ設けて対応する数の加熱器13と切断部15のカッター16とを設ければ3つの筒状体Tを同時に製造することができる。
【0059】
また、同時に製造する筒状体Tは同じ幅の筒状体Tでもよいし異なる幅の筒状体Tでもよい。例えば、図2において、積層フィルムLFが2枚のフィルム材Fを重ねたものであれば、隣接する溝12g間の距離L1,L2を同じにすれば、同じ幅を有する筒状体Tを2つ同時に製造することができるし、隣接する溝12g間の距離L1,L2を異なるものとすれば、異なる幅を有する筒状体Tを2つ同時に製造することができる。もちろん、3つ以上の筒状体Tを同時に製造する場合でも、隣接する溝12g間の距離を全て同じにすれば同じ幅の筒状体Tを複数同時に製造することができるし、隣接する溝12g間の距離を異なる距離とすれば異なる幅の筒状体Tを複数同時に製造することができる。
【0060】
図3(C)に示すように、受け台12は、多数の溝12gを有するものを使用することが望ましい。多数の溝12gを有する受け台12を使用すれば、製造する筒状体Tに合わせて加熱器13と切断部15のカッター16の位置を調整すれば、受け台12を交換しなくても製造する筒状体Tの幅や数を変更できるので、製造する筒状体Tの幅や数を変更する作業を簡単かつ短時間で実施することができる。しかも、製造する筒状体Tの種類が多くなっても(例えば寸法の異なる筒状体Tを製造する場合であっても)、1つの受け台12で全ての筒状体Tを製造することも可能になるので、設備コストも抑えることができる。もちろん、受け台12は、製造する筒状体Tに応じたものを用意しておき、製造する筒状体Tを変更する際に受け台12を交換して、受け台12の各溝12gに対応するように、加熱器13と切断部15のカッター16の位置を調整してもよい。
【0061】
なお、上記例では、受け台12の走行面12aを積層フィルムLFが走行する場合を説明したが、積層フィルムLFは連続して走行するように設けられていれば、必ずしも受け台12の走行面12a上を走行しなくてもよい。受け台12のない状態でも、積層フィルムLFを軽く付勢した状態となるように加熱器13の加熱面13fを積層フィルムLFに接触させれば、積層フィルムLFに熱融着された部分hpを連続して形成することができる。しかも、積層フィルムLFにおいて加熱器13の加熱面13fが接触する側と反対側には加熱器13の加熱面13fの幅よりも広い空間がある状態となる。受け台12の溝12gと対応する位置に加熱器13を配置した場合と同様に、加熱器13によって加熱面13fからの熱を積層フィルムLFのみに供給できるので、積層フィルムLFを熱融着するシール温度を安定化することができる。
【0062】
<熱融着部11の加熱器13について>
熱融着部11の加熱器13は、積層フィルムLFと接触する接触部13aの幅方向の角が曲面状になったR面取りが施されていることが望ましい(図2参照)。加熱器13の積層フィルムLFと接触する部分の角がR面取りされていれば、積層フィルムLFに対して加熱器13の接触部13aの角から加わる力を分散できるので、積層フィルムLFやフィルム材Fの損傷(例えば破れる等の損傷)を防止しやすくなる。
【0063】
また、上記例では、熱融着部11の加熱器13として、フィルム材Fと接触する加熱面13fが平坦面になったものを例示したが、加熱器13の形状はとくに限定されない。積層フィルムLFの2枚のフィルム材Fが熱融着できる形状や構造であればよく、とくに限定されない。例えば、加熱器13を積層フィルムLFの表面(言い換えれば受け台12の走行面12a)と平行な軸を中心とする円筒体とし、この軸周りに回転できる構造を有するものを加熱器13として採用してもよい。この場合には、円筒体の外周面を加熱面とし、この加熱面を積層フィルムLFに接触させるようにすれば、積層フィルムLFの移動に伴って加熱器13が回転するので、加熱面13fと積層フィルムLFとの摩擦を小さくできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の筒状体製造装置は、包装袋を形成するための筒状体を製造する装置に適している。
【符号の説明】
【0065】
1 筒状体製造装置
2 積層フィルム形成部
10 加工部
11 熱融着部
12 受け台
12a 走行面
12g 溝
13 加熱器
13f 加熱面
15 切断部
16 カッター
20 冷却部
T 筒状体
LF 積層フィルム
HF 熱融着積層フィルム
F フィルム材

図1
図2
図3
図4