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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094658
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】無線装置およびデータ格納方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20240703BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240703BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H04W4/38
G08C17/00 Z
G08C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211349
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 壮一朗
【テーマコード(参考)】
2F073
5K067
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA19
2F073AB02
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD01
2F073DE01
2F073EE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K067BB27
5K067EE02
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】データ送信周期を延ばして消費電流を抑制する。
【解決手段】無線装置1は、記憶部4と、記憶部4の記憶領域にデータバッファを確保し、複数種類の物理量のそれぞれの測定周期とデータ長とに基づいて、データバッファの領域のうち複数種類の物理量のそれぞれに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出して複数のデータ領域を設定する演算部5と、複数種類の物理量をそれぞれ予め規定された測定周期で取得して、取得した物理量のそれぞれのデータを対応するデータ領域に格納するデータ取得部3とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶するための記憶部と、
前記記憶部の記憶領域にデータバッファを確保し、複数種類の物理量のそれぞれの測定周期とデータ長とに基づいて、前記データバッファの領域のうち前記複数種類の物理量のそれぞれに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出して複数の前記データ領域を設定するように構成された設定部と、
前記複数種類の物理量をそれぞれ予め規定された前記測定周期で取得して、取得した物理量のそれぞれのデータを対応する前記データ領域に格納するように構成されたデータ取得部とを備えることを特徴とする無線装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線装置において、
データを外部に送信するための無線通信部と、
データ蓄積量が閾値以上になった前記データ領域からデータを取り出して前記無線通信部にデータ送信を要求するように構成された制御部とをさらに備えることを特徴とする無線装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の無線装置において、
前記設定部は、前記測定周期に基づいて単位時間当たりの取得回数を物理量毎に算出し、この取得回数と前記データ長とに基づいて前記データバッファの容量に対する各データ領域の容量の比率を物理量毎に算出し、前記比率と前記データバッファの容量とに基づいて各データ領域の容量を物理量毎に算出し、前記記憶部の記憶領域における前記データバッファの位置と各データ領域の容量とに基づいて各データ領域の先頭位置を物理量毎に算出することを特徴とする無線装置。
【請求項4】
請求項1記載の無線装置において、
前記設定部は、前記無線装置の初期設定時に前記データ領域の設定を行うことを特徴とする無線装置。
【請求項5】
請求項1記載の無線装置において、
前記設定部は、前記複数種類の物理量のうち少なくとも1つの物理量の測定周期が変更されたときに前記データ領域の再設定を行うことを特徴とする無線装置。
【請求項6】
無線装置の記憶部の記憶領域にデータバッファを確保する第1のステップと、
複数種類の物理量のそれぞれの測定周期とデータ長とに基づいて、前記データバッファの領域のうち前記複数種類の物理量のそれぞれに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出して複数の前記データ領域を設定する第2のステップと、
前記複数種類の物理量をそれぞれ予め規定された前記測定周期で取得して、取得した物理量のそれぞれのデータを対応する前記データ領域に格納する第3のステップとを含むことを特徴とする無線装置のデータ格納方法。
【請求項7】
請求項6記載の無線装置のデータ格納方法において、
データ蓄積量が閾値以上になった前記データ領域からデータを取り出して外部に送信する第4のステップをさらに含むことを特徴とする無線装置のデータ格納方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の無線装置のデータ格納方法において、
前記第2のステップは、前記測定周期に基づいて単位時間当たりの取得回数を物理量毎に算出し、この取得回数と前記データ長とに基づいて前記データバッファの容量に対する各データ領域の容量の比率を物理量毎に算出し、前記比率と前記データバッファの容量とに基づいて各データ領域の容量を物理量毎に算出し、前記記憶部の記憶領域における前記データバッファの位置と各データ領域の容量とに基づいて各データ領域の先頭位置を物理量毎に算出するステップを含むことを特徴とする無線装置のデータ格納方法。
【請求項9】
請求項6記載の無線装置のデータ格納方法において、
前記第2のステップは、無線装置の初期設定時に前記データ領域の設定を行うステップを含むことを特徴とする無線装置のデータ格納方法。
【請求項10】
請求項6記載の無線装置のデータ格納方法において、
前記第2のステップは、前記複数種類の物理量のうち少なくとも1つの物理量の測定周期が変更されたときに前記データ領域の再設定を行うステップを含むことを特徴とする無線装置のデータ格納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信周期を延ばして消費電流を抑えることが可能な無線装置およびデータ格納方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルブのデータなどの運転データを基にした各種診断技術や、設備に設置された無線センサ等の設備監視デバイスにおいては、複数種類のデータをそれぞれ別々の周期で測定したり、測定したデータを定期的に無線で送信したりすることが行われている。データの測定の周期は、現場ごとに変化する。
【0003】
電池駆動の無線センサ等のデバイスでは、消費電流を抑えたいという要求がある。特許文献1に開示された技術では、モバイルデバイス内に、デバイスの使用状況を監視するアプリケーションを実装し、監視結果をサーバへ送信することで、利用状況によりサーバ側からのアクセスを最適化することで、モバイルデバイスの消費電流を抑えるようにしている。しかしながら、特許文献1に開示された技術は、サーバからデバイスへのアクセス頻度を落とすことで消費電流を抑える方法であるため、サーバ側からのアクセスが少ない、もしくはアクセスが無い場合には、消費電流の抑制効果が限定的になるという課題があった。
【0004】
また、無線センサの中には、データを測定して内部のデータバッファにいったん格納し、データバッファに格納したデータを送信するというデバイスがある。このようなデバイスの場合、データバッファが満杯になったタイミング、もしくは一定量以上溜まったタイミングで、データを送信する方法が最も送信周期を延ばすことができ、消費電流を抑えることができる。したがって、データをいかに効率良く溜め込むかが送信周期を延ばすための重要な要素となるが、従来の技術ではこのような方法が実現されていなかった。
【0005】
また、無線センサの中には、複数種類の物理量をそれぞれ別々の周期で測定するというデバイスがある。このようなデバイスの場合、以下のような課題が発生する。
例えば、測定周期の短いデータAと測定周期の長いデータB,Cという3種類のデータがあり、それぞれに対して1つ1つ同程度のデータバッファの配列を用意したとする。図8に示すように、測定周期の短いデータA用のデータバッファ100-Aの容量がすぐに一杯になってしまい、データAの送信が実施される。このとき、データB,C用のデータバッファ100-B,100-Cの容量には余裕があるタイミングでの送信となるため、データバッファ100-B,100-Cの空き容量が無駄になってしまう。また、このような無駄を解消するには、データの測定周期に合わせたバッファ容量を確保する必要があるが、データの測定周期が例えば客先ごとに異なるため、予め適切なバッファ容量を確保することが難しいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013-539258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、データ送信周期を延ばして消費電流を抑えることが可能な無線装置およびデータ格納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線装置は、データを記憶するための記憶部と、前記記憶部の記憶領域にデータバッファを確保し、複数種類の物理量のそれぞれの測定周期とデータ長とに基づいて、前記データバッファの領域のうち前記複数種類の物理量のそれぞれに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出して複数の前記データ領域を設定するように構成された設定部と、前記複数種類の物理量をそれぞれ予め規定された前記測定周期で取得して、取得した物理量のそれぞれのデータを対応する前記データ領域に格納するように構成されたデータ取得部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置の1構成例は、データを外部に送信するための無線通信部と、データ蓄積量が閾値以上になった前記データ領域からデータを取り出して前記無線通信部にデータ送信を要求するように構成された制御部とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の無線装置の1構成例において、前記設定部は、前記測定周期に基づいて単位時間当たりの取得回数を物理量毎に算出し、この取得回数と前記データ長とに基づいて前記データバッファの容量に対する各データ領域の容量の比率を物理量毎に算出し、前記比率と前記データバッファの容量とに基づいて各データ領域の容量を物理量毎に算出し、前記記憶部の記憶領域における前記データバッファの位置と各データ領域の容量とに基づいて各データ領域の先頭位置を物理量毎に算出することを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置の1構成例において、前記設定部は、前記無線装置の初期設定時に前記データ領域の設定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置の1構成例において、前記設定部は、前記複数種類の物理量のうち少なくとも1つの物理量の測定周期が変更されたときに前記データ領域の再設定を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の無線装置のデータ格納方法は、無線装置の記憶部の記憶領域にデータバッファを確保する第1のステップと、複数種類の物理量のそれぞれの測定周期とデータ長とに基づいて、前記データバッファの領域のうち前記複数種類の物理量のそれぞれに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出して複数の前記データ領域を設定する第2のステップと、前記複数種類の物理量をそれぞれ予め規定された前記測定周期で取得して、取得した物理量のそれぞれのデータを対応する前記データ領域に格納する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置のデータ格納方法の1構成例は、データ蓄積量が閾値以上になった前記データ領域からデータを取り出して外部に送信する第4のステップをさらに含むことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の無線装置のデータ格納方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記測定周期に基づいて単位時間当たりの取得回数を物理量毎に算出し、この取得回数と前記データ長とに基づいて前記データバッファの容量に対する各データ領域の容量の比率を物理量毎に算出し、前記比率と前記データバッファの容量とに基づいて各データ領域の容量を物理量毎に算出し、前記記憶部の記憶領域における前記データバッファの位置と各データ領域の容量とに基づいて各データ領域の先頭位置を物理量毎に算出するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置のデータ格納方法の1構成例において、前記第2のステップは、無線装置の初期設定時に前記データ領域の設定を行うステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の無線装置のデータ格納方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記複数種類の物理量のうち少なくとも1つの物理量の測定周期が変更されたときに前記データ領域の再設定を行うステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設定部を設けることにより、記憶部のデータバッファにデータを効率良く溜め込むことができ、データの送信周期を延ばすことが可能になるので、データバッファの空き容量の無駄を削減しつつ、無線装置の消費電流を抑えることができる。本発明では、データの送信周期が現場によって異なる場合においても、各物理量へのデータ領域の割り当てを自動で設定することができ、記憶部の容量を効率的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の原理を説明する図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1の実施例に係る演算部の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の第1の実施例に係る無線装置の初期設定時の処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の第1の実施例に係る無線装置の初期設定時の処理を説明する図である。
図6図6は、本発明の第1の実施例に係る無線装置の測定時の処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、本発明の第1~第3の実施例に係る無線装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図8図8は、従来の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[発明の原理]
発明者は、以下のように、1つの大きなバッファの割り振りを自動で変化させる方法を発明した。
(a)容量の大きい1つのデータバッファを複数種類のデータで共用する。
(b)各データの測定周期とデータ長とを基に、データバッファの容量に対する各データ領域の容量の比率を算出する。
(c)比率とデータバッファの容量とに基づいて各データ領域の容量を算出し、各データ領域の先頭位置を算出してデータバッファ上に各データ領域を設定する。
(d)各データ領域に対応するデータを格納する。
【0015】
本発明のように容量の大きい1つのバッファを用いる理由は、マイクロコンピュータの限られたメモリを最大限活用し、データの送信周期を最大化するためである。メモリ容量を最大限活用できるサイズのバッファを確保し、その配列の割り振りを変化させることで、種類の異なるデータがそれぞれどのような測定周期であっても、最大限メモリ容量を活用することができ、送信周期も最大化できる。
【0016】
本発明における計算の過程は以下のとおりである。まず、3種類の物理量A,B,Cをそれぞれの測定周期T,T,Tで測定し、かつ各物理量の1回の測定時のデータ長がD,D,Dであるとする。測定周期T,T,Tは、同一の値の場合と互いに異なる値の場合のいずれの場合もあり得る。
【0017】
(I)物理量A,B,Cの測定の周波数F,F,Fを以下のように算出する。周波数F,F,Fは、各データの単位時間(1秒)当たりの取得回数を示す。
【0018】
【数1】
【0019】
(II)データバッファの全容量に対する、各物理量A,B,C用のデータ領域の容量の比率R,R,Rを以下のように算出する。
【0020】
【数2】
【0021】
(III)物理量A,B,C用のデータ領域の容量L,L,Lを以下のように算出する。Lは全体のバッファ容量である。
=R×L ・・・(7)
=R×L ・・・(8)
=R×L ・・・(9)
【0022】
(IV)データ領域の容量L,L,Lから物理量B,Cのデータ用のオフセット値O,Oを以下のように算出する。
=L ・・・(10)
=O+L ・・・(11)
【0023】
上記(IV)で計算したオフセット値O,Oを基に、各データ領域の先頭位置を決定し、その領域に収まるようデータを格納していく(図1)。1つのバッファXにおいて、物理量A用のデータ領域の先頭位置は0、物理量B用のデータ領域の先頭位置はO、物理量C用のデータ領域の先頭位置はOである。
【0024】
今回の例では、3種類データがある場合を例に挙げたが、データの種類に決まりはなく、例えば4種類や5種類のデータがあっても、同様の手順で割り振りを決定することができる。
【0025】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。無線装置1は、複数種類の物理量A,B,Cを測定する複数のセンサ2-A,2-B,2-Cと、データ取得部3と、記憶部4と、演算部5と、無線通信部6と、無線装置1の各部に電力を供給する電源部7(電池)とから構成される。
【0026】
図3は演算部5の構成例を示すブロック図である。演算部5は、設定部50と、制御部51とを備えている。
【0027】
図4は無線装置1の初期設定時の処理を説明するフローチャートである。設定部50は、例えば無線装置1が起動した初期設定時に、図5に示すように記憶部4の記憶領域に確保可能な最大サイズのデータバッファ40を確保する(図4ステップS100)。設定部50は、例えば記憶部4の記憶領域のうち、無線装置1の動作に必要な記憶領域(例えばプログラムの記憶領域やレジスタなど)として予め規定された領域を除き、残りの領域をデータバッファ40として確保する。このデータバッファ40の容量が上記のLである。
【0028】
次に、設定部50は、予め規定された物理量A,B,Cの測定周期T,T,Tと物理量A,B,Cのデータ長D,D,Dとに基づいて、上記の(I)~(IV)の処理により、データバッファ40の領域のうち物理量A,B,Cの各データに割り当てるデータ領域の容量と先頭位置とを算出する(図4ステップS101)。上記の例では、データバッファ40の先頭位置(アドレス)ADSTARTを0とすると、物理量A用のデータ領域の先頭位置は0で容量はL、物理量B用のデータ領域の先頭位置はOで容量はL、物理量C用のデータ領域の先頭位置はOで容量はLである。
【0029】
そして、設定部50は、計算結果を基に、図5に示すようにデータバッファ40上において物理量A,B,Cの各データに割り当てるデータ領域41-A,41-B,41-Cを設定する(図4ステップS102)。本実施例では、例えば物理量Aをバルブの開度、物理量Bを設備機器の内部温度、物理量Cを設備機器の電源電圧としている。以上で、初期設定時の設定部50の動作が終了する。
【0030】
図6は無線装置1の測定時の処理を説明するフローチャートである。データ取得部3は、センサ2-A,2-B,2-Cによって測定される物理量A,B,Cのデータを予め規定された測定周期T,T,Tで取得する(図6ステップS200,S201)。データ取得は、センサ2-A,2-B,2-Cから出力されるデジタルデータを取得してもよいし、センサ2-A,2-B,2-Cから出力されるアナログ信号をデータ取得部3によってデジタルデータに変換してもよい。
【0031】
データ取得部3は、取得した物理量A,B,Cのそれぞれのデータを対応するデータ領域41-A,41-B,41-Cに格納する(図6ステップS202)。データ取得部3は、ステップS200~S202の処理を物理量A,B,C毎に独立に行う。
【0032】
次に、制御部51は、各データ領域41-A,41-B,41-Cのデータ蓄積量を監視し、データ蓄積量が閾値以上になったときに(図6ステップS203においてYES)、データ蓄積量が閾値以上になったデータ領域からデータを取り出して無線通信部6にデータ送信を要求する(図6ステップS204)。
【0033】
各データ領域41-A,41-B,41-Cの容量L,L,Lは、上記のように物理量A,B,Cの測定周期T,T,Tに応じて変わる可変量である。そこで、例えばデータ領域41-A,41-B,41-Cの容量L,L,Lに対する所定の割合(例えば90%)を、データ蓄積量の閾値として設定しておけばよい。例えば制御部51は、データ領域41-Aのデータ蓄積量が容量Lの90%以上に達したときに、データ領域41-Aからデータを取り出して無線通信部6にデータ送信を要求する。
【0034】
無線通信部6は、制御部51から受け取ったデータを上位装置(不図示)へ無線送信する(図6ステップS204)。
制御部51と無線通信部6とは、ステップS203~S205の処理を物理量A,B,C毎に独立に行う。
【0035】
こうして、本実施例では、記憶部4のデータバッファ40にデータを効率良く溜め込むことができ、データの送信周期を延ばすことが可能になるので、データバッファ40の空き容量の無駄を削減しつつ、無線装置1の消費電流を抑えることができる。
【0036】
[第2の実施例]
第1の実施例では、測定する物理量の種類を3種類としたが、3種類でなくてもよい。例えば、第1の実施例のバルブ開度、内部温度、電圧に加え、加速度や、圧力、外部温度等の、取得する物理量の種類が増えても、第1の実施例と同様の方法で対応することができる。
【0037】
物理量i(i=A,B,C,・・・・)の予め規定された測定周期をT、データ長をDとすれば、上記の(I)の処理で計算する物理量iの測定の周波数Fは、式(1)~式(3)と同様の次式となる。
【0038】
【数3】
【0039】
すなわち、周波数Fは、測定周期Tの逆数である。上記の(II)の処理で計算するデータ領域の容量の比率Rは、式(4)~式(6)と同様の次式となる。
【0040】
【数4】
【0041】
すなわち、周波数(単位時間当たりの取得回数)Fとデータ長Dとの積が物理量iの単位時間当たりのデータ量であり、各物理量の単位時間当たりのデータ量の和を分母にとり、物理量iの単位時間当たりのデータ量F×Dを分子にとることで、比率Rを算出することができる。上記の(III)の処理で計算する、物理量i用のデータ領域の容量Lは、式(7)~式(9)と同様の次式となる。
=R×L ・・・(14)
【0042】
すなわち、比率Rとデータバッファ40の容量Lとの積を容量Lとする。上記(IV)の処理で計算する、物理量i用のデータ領域の先頭位置Oは、式(10)、式(11)と同様の次式となる。
=Oi-1+Li-1 ・・・(15)
【0043】
i-1は、物理量i用のデータ領域の直前に割り当てられる、物理量(i-1)用のデータ領域の容量、Oi-1は物理量(i-1)用のデータ領域の先頭位置である。上記(IV)の処理では、データバッファ40の先頭に物理量A用のデータ領域41-Aを配置するものとし、記憶部4の記憶領域におけるデータバッファ40の先頭位置(アドレス)ADSTARTを0としている。物理量Aについては、式(15)におけるOi-1,Li-1が共に0となるので、データ領域41-Aの先頭位置(オフセット値)はO=ADSTART=0となる。
こうして、測定する物理量の種類が2種類の場合、あるいは3種類を超える場合においても本発明を適用することができる。
【0044】
[第3の実施例]
第1の実施例では、初期設定時に設定部50の処理を実施しているが、複数種類の物理量のうち少なくとも1つの物理量の測定周期が何らかのイベントで変更されたときに、設定部50が自動的に測定周期の変更を検知し、ステップS100~S102の処理を再度行うようにしてもよい。
【0045】
第1~第3の実施例で説明した記憶部4と演算部5とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図7に示す。
【0046】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インタフェース装置(I/F)202とを備えている。I/F202にはデータ取得部3のハードウェアと無線通信部6のハードウェア等が接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明のデータ格納方法(データ送信方法)を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って第1~第3の実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、データを外部に送信する無線装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…無線装置、2-A,2-B,2-C…センサ、3…データ取得部、4…記憶部、5…演算部、6…無線通信部、7…電源部、40…データバッファ、41-A,41-B,41-C…データ領域、50…設定部、51…制御部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8