(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094659
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】水道料金管理装置及び水道料金管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211350
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】520294642
【氏名又は名称】株式会社ウォーターリンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】オリジネイト弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢川 昇
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】各水道事業体の水道料金システムを維持・管理するコストを低減できる水道料金管理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、クラウドサービスとして複数の水道事業体31、32、33に提供する水道料金管理装置であって、アプリケーションとデータベースを備えたマルチテナント方式の水道使用者管理システム21を有し、その水道使用者管理システム21は、複数の水道事業体31、32、33の各々が個別にインターネット11を通じてアプリケーションに接続することで利用できる接続機能21aと、接続権限及びセキュリティー機能21bと、複数の水道事業体の各々の水道使用者に対する給水契約事項を前記データベースに登録できる給水契約業務機能21cと、検針業務機能21dと、調定業務機能21eと、納入通知業務機能21fと、収納業務機能21fと、徴収整理業務機能21gを有する水道料金管理装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサービスとして複数の水道事業体に提供する水道料金管理装置であって、
アプリケーションと、前記アプリケーションに接続されたデータベースを備えたマルチテナント方式の水道料金管理システムを有し、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、
前記複数の水道事業体の各々が個別にインターネット又はLGWANを通じて前記アプリケーションに接続することで利用できる接続機能と、
前記接続機能で前記アプリケーションに接続する際に、前記複数の水道事業体の各々が個別に有する接続権限及びセキュリティー機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を前記データベースに登録できる給水契約業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者の水道使用量データを、前記複数の水道事業体の各々が個別に取得する検針業務機能と、
前記水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、前記複数の水道事業体の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約に基づいて、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者へ通知する調定業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者からの前記水道料金の収納を確認できる収納業務機能と、
前記収納業務機能で前記水道料金の収納が確認できない場合に、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道料金の未納の前記水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う徴収整理業務機能と、
を有し、
前記料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる前記複数の水道事業体の各々に対応できるパラメータを有することを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記接続機能、接続権限及びセキュリティー機能、給水契約業務機能と、検針業務機能、調定業務機能、収納業務機能、及び徴収整理業務機能の少なくとも一つの機能をバージョンアップした場合、前記複数の水道事業体の各々が前記バージョンアップした機能を利用できるように構成されていることを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、前記水道使用者の居所に設置してある水道用スマートメーターの数値のデータを所定期間毎に無線通信により前記水道用スマートメーターから受信する機能(a)と、
前記機能(a)により取得した前記数値のデータを前記マルチテナント方式の水道料金管理システムに無線通信により送信する機能(b)と、
を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、前記機能(b)により受信した前記数値のデータを利用して前記検針業務機能により水道使用量データを取得し、前記調定業務機能により前記水道使用者の水道料金を算出し、前記水道使用者に対して水道使用量及び水道料金をSMS、電子メール又はLINE等によって通知する機能、又は、前記水道使用者の水道使用量及び水道料金をポータルサイトに掲載し、前記水道使用者が前記ポータルサイトにアクセスすることで前記所定期間の水道使用量及び水道料金を閲覧できる機能(c)を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記水道料金管理装置は、
前記端末のディスプレイに、地図を表示させ、複数の水道事業体のうちの一つの水道事業体の検針員が検針しようとする複数の水道使用者の各々の居所に設置してある水道メーターの位置情報を表示させる機能(d)と、
前記ディスプレイに、前記検針員の位置情報をGPSによって表示させながら前記複数の水道使用者の各々の水道メーターを検針する順序と道順の位置情報を表示させる機能(e)と、
を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、
前記複数の水道事業体の各々が有する会計システムに接続される機能と、
前記調定業務機能により得られる調定データを前記会計システムに送信する機能と、
前記収納業務機能により確認された前記水道使用者からの前記水道料金の収納のデータを前記会計システムに送信する機能と、
前記徴収整理業務機能により確認された前記水道使用者からの前記水道料金の徴収データを前記会計システムに送信する機能と、を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【請求項7】
クラウドサービスとして複数の水道事業体に提供するマルチテナント方式の水道料金管理システムの機能を実現する水道料金管理プログラムであって、
マルチテナント方式の水道料金管理システムは、アプリケーションと、前記アプリケーションに接続されたデータベースを有し、
マルチテナント方式の水道料金管理システムの機能は、
前記複数の水道事業体の各々が個別にインターネット又はLGWANを通じて前記アプリケーションに接続することで利用できる接続機能と、
前記接続機能で前記アプリケーションに接続する際に、前記複数の水道事業体の各々が個別に有する接続権限及びセキュリティー機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を前記データベースに登録できる給水契約業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者の水道使用量データを、前記複数の水道事業体の各々が個別に取得する検針業務機能と、
前記水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、前記複数の水道事業体の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約に基づいて、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者へ通知する調定業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者からの前記水道料金の収納を確認できる収納業務機能と、
前記収納業務機能で前記水道料金の収納が確認できない場合に、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道料金の未納の前記水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う徴収整理業務機能と、
を有し、
前記料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる前記複数の水道事業体の各々に対応できるパラメータを有することを特徴とする水道料金管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道料金管理装置及び水道料金管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水道事業は主に市町村単位で経営している。但し、水道事業は市町村自体が直接行っているとは限らず、 市町村が民間事業者に委託している場合もある。従って、本明細書では、市町村が委託している事業者も含めて「水道事業体」と呼ぶ。
【0003】
各水道事業体は独自の水道料金システムを持っており、その水道料金システムの細かい部分は異なることも多いが、大きな流れは同一である。一般的な水道料金システムの詳細を以下に説明する。
【0004】
まず、水道事業体は、水道使用者と給水契約を結ぶ。給水契約は、水道使用開始、水道料金の支払い及び水道使用中止それぞれの契約である。この給水契約は水道使用者毎に上記の水道料金システムのデータベースに登録される。
【0005】
次に、給水契約を結んだ水道使用者に対して水道水の供給を行った後の検針業務、調定業務、収納業務、徴収整理業務の流れを説明する。
【0006】
<検針業務>
水道事業体の検針員がハンディターミナルを持って水道使用者の居所に行き、そこに設置してある水道メーターの数値を見てその数値をハンディターミナルに入力する。ハンディターミナルには前回の水道メーターの数値が記憶されており、ハンディターミナルが前回の数値と今回の数値の差分を算出することで水道使用量を計算し、その水道使用量に基づいて料金計算ロジックにより水道料金が計算される。その水道使用量及び水道料金等が印字されたお知らせ票をハンディターミナルから出力する。そして、そのお知らせ票を水道使用者の居所のポスト(郵便受け)に投入する。このような作業を複数の検針員が行うことで、水道事業体と給水契約している水道使用者の水道使用量及び水道料金のデータを集める。これに関連した技術が特許文献1に記載されている。
【0007】
<調定業務>
上記の水道使用者の水道メーターの数値、水道使用量及び水道料金のデータを上記の水道料金システムのデータベースにインポートする。次いで、水道料金システムはハンディターミナルが有する料金計算ロジックと同様の料金計算ロジックによって水道使用者の各々の水道使用量データに基づいて水道料金を決定する。
次に、上記の決定した水道料金を、水道事業体が水道使用者と結んだ給水契約における水道料金の支払い契約に基づいて、水道事業体が水道使用者に個別に通知する。
【0008】
<収納業務>
水道料金は、水道使用者の銀行口座振替や水道使用者によるコンビニエンスストア又は金融機関での支払い等によって収納される。
【0009】
<徴収整理業務>
水道料金の収納が確認できない場合に、水道事業体が水道料金の未納の水道使用者を特定する。そして、その未納の水道料金を徴収する管理を行う。
【0010】
上述したように、水道事業は、各市町村が個別に行っている場合が多いため、各水道事業体が独自の水道料金システムを持っている。そのため、日本全体を考えると、同じような水道料金システムが多数存在し、各水道事業体が個別に水道料金システムを稼働させ、メンテナンス等を行う必要がある。
【0011】
上記の複数の水道料金システムを一つのマルチテナント方式の水道料金システムに移行できれば、各水道事業体が個別に水道料金システムを持つ必要がなくなり、それらの水道料金システムを維持・管理するためのコスト等を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の種々の態様は、各水道事業体の水道料金システムを維持・管理するコストを低減できる水道料金管理装置及び水道料金管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0015】
[1]クラウドサービスとして複数の水道事業体に提供する水道料金管理装置であって、
アプリケーションと、前記アプリケーションに接続されたデータベースを備えたマルチテナント方式の水道料金管理システムを有し、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、
前記複数の水道事業体の各々が個別にインターネット又はLGWANを通じて前記アプリケーションに接続することで利用できる接続機能と、
前記接続機能で前記アプリケーションに接続する際に、前記複数の水道事業体の各々が個別に有する接続権限及びセキュリティー機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を前記データベースに登録できる給水契約業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者の水道使用量データを、前記複数の水道事業体の各々が個別に取得する検針業務機能と、
前記水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、前記複数の水道事業体の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約に基づいて、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者へ通知する調定業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者からの前記水道料金の収納を確認できる収納業務機能と、
前記収納業務機能で前記水道料金の収納が確認できない場合に、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道料金の未納の前記水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う徴収整理業務機能と、
を有し、
前記料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる前記複数の水道事業体の各々に対応できるパラメータを有することを特徴とする水道料金管理装置。
【0016】
[2]上記[1]において、
前記接続機能、接続権限及びセキュリティー機能、給水契約業務機能と、検針業務機能、調定業務機能、収納業務機能、及び徴収整理業務機能の少なくとも一つの機能をバージョンアップした場合、前記複数の水道事業体の各々が前記バージョンアップした機能を利用できるように構成されていることを特徴とする水道料金管理装置。
【0017】
[3]上記[1]において、
前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約は、前記水道料金の銀行口座振替契約、前記水道料金を前記水道使用者がコンビニエンスストア又は金融機関で支払う契約、又は、自己の電子マネーで支払う契約を含むことを特徴とする水道料金管理装置。
【0018】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、前記水道使用者の居所に設置してある水道用スマートメーターの数値のデータを所定期間毎に無線通信により前記水道用スマートメーターから受信する機能(a)と、
前記機能(a)により取得した前記数値のデータを前記マルチテナント方式の水道料金管理システムに無線通信により送信する機能(b)と、
を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【0019】
[5]上記[4]において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、前記機能(b)により受信した前記数値のデータを利用して前記検針業務機能により水道使用量データを取得し、前記調定業務機能により前記水道使用者の水道料金を算出し、前記水道使用者に対して水道使用量及び水道料金をSMS、電子メール又はLINE等によって通知する機能、又は、前記水道使用者の水道使用量及び水道料金をポータルサイトに掲載し、前記水道使用者が前記ポータルサイトにアクセスすることで前記所定期間の水道使用量及び水道料金を閲覧できる機能(c)を有することを特徴とする水道料金管理装置。
【0020】
[6]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記水道料金管理装置は、
前記端末のディスプレイに、地図を表示させ、複数の水道事業体のうちの一つの水道事業体の検針員が検針しようとする複数の水道使用者の各々の居所に設置してある水道メーターの位置情報を表示させる機能(d)と、
前記ディスプレイに、前記検針員の位置情報をGPSによって表示させながら前記複数の水道使用者の各々の水道メーターを検針する順序と道順の位置情報を表示させる機能(e)と、
を有することを特徴とする水道料金管理装置。
なお、水道メーターは、アナログメーターとスマートメーターをともに含むとよい。
【0021】
[7]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記マルチテナント方式の水道料金管理システムは、
前記複数の水道事業体の各々が有する会計システムに接続される機能と、
前記調定業務機能により得られる調定データを前記会計システムに送信する機能と、
前記収納業務機能により確認された前記水道使用者からの前記水道料金の収納のデータを前記会計システムに送信する機能と、
前記徴収整理業務機能により確認された前記水道使用者からの前記水道料金の徴収データを前記会計システムに送信する機能と、を有することを特徴とする水道料金管理装置。
[8]クラウドサービスとして複数の水道事業体に提供するマルチテナント方式の水道料金管理システムの機能を実現する水道料金管理プログラムであって、
マルチテナント方式の水道料金管理システムは、アプリケーションと、前記アプリケーションに接続されたデータベースを有し、
マルチテナント方式の水道料金管理システムの機能は、
前記複数の水道事業体の各々が個別にインターネット又はLGWANを通じて前記アプリケーションに接続することで利用できる接続機能と、
前記接続機能で前記アプリケーションに接続する際に、前記複数の水道事業体の各々が個別に有する接続権限及びセキュリティー機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を前記データベースに登録できる給水契約業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々の水道使用者の水道使用量データを、前記複数の水道事業体の各々が個別に取得する検針業務機能と、
前記水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、前記複数の水道事業体の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約に基づいて、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者へ通知する調定業務機能と、
前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者からの前記水道料金の収納を確認できる収納業務機能と、
前記収納業務機能で前記水道料金の収納が確認できない場合に、前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道料金の未納の前記水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う徴収整理業務機能と、
を有し、
前記料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる前記複数の水道事業体の各々に対応できるパラメータを有することを特徴とする水道料金管理プログラム。
【発明の効果】
【0022】
本発明の種々の態様によれば、各水道事業体の水道料金システムを維持・管理するコストを低減できる水道料金管理装置及び水道料金管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一態様に係る水道料金管理装置を説明するための模式図である。
【
図2】
図1に示す水道料金管理装置の変形例を示す模式図である。
【
図3】
図1及び
図2に示すマルチテナント方式の水道料金管理システム21が有する機能を示す図である。
【
図4】マルチテナント方式の水道料金管理システム21の詳細を説明するための図である。
【
図5】検針員が検針業務で使用する端末のディスプレイ41を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の一態様に係る水道料金管理装置を説明するための模式図である。
図2は、
図1に示す水道料金管理装置の変形例を示す模式図である。
図3は、
図1及び
図2に示すマルチテナント方式の水道料金管理システム21が有する機能を示す図である。
図4は、マルチテナント方式の水道料金管理システム21の詳細を説明するための図である。
【0026】
図1に示す水道料金管理装置は、クラウドサービスとして複数の水道事業体31、32、33に提供する装置である。
【0027】
図1の水道料金管理装置は、アプリケーション21Aと、このアプリケーション21Aに接続されたデータベース21Bを備えたマルチテナント方式の水道料金管理システム21を有している(
図4参照)。なお、
図1の水道料金管理装置は、以下に説明する各々の機能を実現するプログラムを有している。
【0028】
マルチテナント方式の水道料金管理システム21は、接続機能21a、接続権限及びセキュリティー機能21b、給水契約業務機能21c、検針業務機能21d、調定業務機能21e、収納業務機能21f、及び徴収整理業務機能21gを有している(
図3参照)。
【0029】
図1~
図3に示すように、接続機能21aは、複数の水道事業体31、32、33の各々が個別にインターネット11を通じてアプリケーション21Aに接続することで利用できる機能である。
【0030】
なお、本実施形態では、複数の水道事業体31、32、33の各々が個別にインターネット11を通じてマルチテナント方式の水道料金管理システム21のアプリケーション21Aに接続するように構成されているが、これに限定されず、
図2に示すように、複数の水道事業体34、35の各々が個別にLGWAN12を通じてマルチテナント方式の水道料金管理システム21のアプリケーション21Aに接続するように構成されることも可能である。ここでLGWAN(総合行政ネットワーク:Local Government Wide Area Network)12とは、日本において、地方公共団体間のコミュニケーションの円滑化と情報の共有による情報の高度利用を図ることを目的として構築された、行政機関専用のコンピュータネットワークであり、運営主体は地方公共団体情報システム機構(J-LIS)である。
【0031】
また、接続機能21aによりアプリケーション21Aに接続する際の接続権限及びセキュリティー機能21bは、複数の水道事業体31~35の各々が個別に有している。これにより、複数の水道事業体31~35の各々が安心してマルチテナント方式の水道料金管理システム21を利用することができる。
【0032】
また、給水契約業務機能21cは、複数の水道事業体31~35の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項をマルチテナント方式の水道料金管理システム21のデータベース21Bに登録できる機能である。つまり、マルチテナント方式の水道料金管理システム21では、複数の水道事業体31~35の各々が水道使用者と給水契約を結んだ場合、その給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を、複数の水道事業体31~35の各々がデータベース21Bに登録することができる。
【0033】
給水契約業務機能21cによりデータベース21Bに登録された水道料金の支払い契約は、水道料金の銀行口座振替契約、水道料金を水道使用者がコンビニエンスストア又は金融機関で支払う契約、又は、自己の電子マネーで支払う契約等を含むものである。
【0034】
また、検針業務機能21dは、複数の水道事業体31~35の各々の水道使用者の水道使用量データを、複数の水道事業体31~35の各々が個別に取得する機能である。
【0035】
以下に詳細に説明する。
上記の水道料金管理装置は、マルチテナント方式の水道料金管理システム21が、水道使用者の居所に設置してある水道用スマートメーターの数値のデータを所定期間毎に無線通信により水道用スマートメーターから受信する機能(a)を有する。ここでの所定期間は、各水道事業体によって異なる場合があり、ある水道事業体は0時間(リアルタイム)であったり、他の事業者は一か月であったり、また他の水道事業体は二か月であったりする。
また、水道料金管理装置は、上記の機能(a)により取得した数値のデータをマルチテナント方式の水道料金管理システム21に無線通信により送信する機能(b)を有する。
【0036】
図5に示すように、上記の水道料金管理装置は、端末のディスプレイ41に、地
図42を表示させ、複数の水道事業体31~35のうちの一つの水道事業体の検針員が検針しようとする複数の水道使用者の各々の居所に設置してある水道メーターA、B、C、D、E、Fの位置情報51~56を表示させる機能(d)を有する。ここでの水道メーターは、主に水道用アナログメーターを意味するが、水道用スマートメーターを含んでもよい。また、上記の水道料金管理装置は、ディスプレイ41に、検針員の位置情報61をGPSによって表示させながら複数の水道使用者の各々の水道メーターA、B、C、D、E、Fを検針する順序と道順の位置情報71を表示させる機能(e)を有する。これにより、未経験又は経験の少ない検針員であっても道に迷うことなく効率よく水道メーターA、B、C、D、E、Fの検針業務を行うことができる。
【0037】
また、マルチテナント方式の水道料金管理システム21が有する調定業務機能21eは、水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、複数の水道事業体31~35の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、給水契約業務機能21cによって登録されている水道料金の支払い契約に基づいて、複数の水道事業体31~35の各々が個別に水道使用者へ通知する機能である。
【0038】
この料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる複数の水道事業体31~35の各々に対応できるパラメータを有している。これは、上記の水道料金管理装置がシングルテナント方式と異なるマルチテナント方式の水道料金管理システム21を有するため、水道事業体31~35によって検針方式又は料金計算方式が異なっていても上記の料金計算ロジックが対応できるようにするためである。
【0039】
上記の調定業務機能21eにより算出された各水道事業体31,32,33の水道使用者の水道料金等の水道料金調定データはデータベース21Bに記憶される(
図4参照)。例えば、
図4に示すように、データベース21Bには、水道事業体毎に区別されて記憶され、水道事業体A、B・・・と、水道事業体A、B・・・の各々の水道使用者Aaa、Bbb、Ccc、Ddd、Eee、Fff・・・と、水道使用者Aaa、Bbb、Ccc、Ddd、Eee、Fff・・・の各々の調定年月及び本体金額等が記憶される。
【0040】
マルチテナント方式の水道料金管理システム21は、上記の機能(b)により受信した数値のデータを利用して検針業務機能21dにより水道使用量データを取得し、調定業務機能21eにより水道使用者の水道料金を算出し、水道使用者に対して水道使用量及び水道料金をSMS、電子メール又はLINE等によって通知する機能、又は、水道使用者の水道使用量及び水道料金をポータルサイトに掲載し、水道使用者がポータルサイトにアクセスすることで所定期間の水道使用量及び水道料金を閲覧できる機能(c)を有するとよい。このように水道使用者(水道契約者)のSMS、電子メール又はLINE等と連携することにより、水道使用者の利便性を高めることができる。
【0041】
また、収納業務機能21fは、複数の水道事業体31~35の各々が個別に水道使用者からの水道料金の収納を確認できる機能である。
【0042】
また、徴収整理業務機能21gは、上記の収納業務機能21fで水道料金の収納が確認できない場合に、複数の水道事業体31~35の各々が個別に水道料金の未納の水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う機能である。
【0043】
上述した接続機能21a、接続権限及びセキュリティー機能21b、給水契約業務機能21cと、検針業務機能21d、調定業務機能21e、収納業務機能21f、及び徴収整理業務機能21gの少なくとも一つの機能をバージョンアップした場合、複数の水道事業体31~35の各々がバージョンアップした機能を利用できるように構成されているとよい。
【0044】
上述したマルチテナント方式の水道料金管理システム21は、さらに以下の(1)~(4)の機能を有するとよい。
(1)複数の水道事業体31~35の各々が有する会計システムに接続される機能。
(2)調定業務機能21eにより得られる調定のデータを上記の会計システムに送信する機能。
(3)収納業務機能21fにより確認された水道使用者からの水道料金の収納のデータを上記の会計システムに送信する機能。
(4)徴収整理業務機能21gにより確認された水道使用者からの水道料金の徴収データを上記の会計システムに送信する機能。
【0045】
上記の(1)~(4)の機能を有することにより、複数の水道事業体31~35の各々が有する会計システムに水道使用者のデータを導入することができ、その結果、この会計システムにマルチテナント方式の水道料金管理システム21を連携させることができる。それにより、複数の水道事業体31~35の各々にとって水道料金管理装置が利便性の高いものとなる。
【0046】
本実施形態によれば、上述したマルチテナント方式の水道料金管理システム21により複数の水道事業体31~35の各々が個別に有する水道料金システムを一つのマルチテナント方式の水道料金システムに移行することが可能となり、各水道事業体31~35が個別に水道料金システムを持つ必要がなくなる。その結果、それらの水道料金システムを維持・管理するためのコスト等を大幅に低減することが可能となる。
【0047】
また、本発明の一態様に係る水道料金管理プログラムは、クラウドサービスとして複数の水道事業体31~35に提供するマルチテナント方式の水道料金管理システム21の機能を実現するプログラムである。
マルチテナント方式の水道料金管理システム21は、アプリケーション21Aと、前記アプリケーション21Aに接続されたデータベース21Bを有する。
【0048】
マルチテナント方式の水道料金管理システム21の機能は、
前記複数の水道事業体31~35の各々が個別にインターネット11又はLGWAN12を通じて前記アプリケーション21Aに接続することで利用できる接続機能21aと、
前記接続機能で前記アプリケーション21Aに接続する際に、前記複数の水道事業体31~35の各々が個別に有する接続権限及びセキュリティー機能21bと、
前記複数の水道事業体31~35の各々の水道使用者に対する給水契約における水道使用開始、水道料金の支払い契約及び水道使用中止それぞれの契約事項を前記データベース21Bに登録できる給水契約業務機能21cと、
前記複数の水道事業体31~35の各々の水道使用者の水道使用量データを、前記複数の水道事業体31~35の各々が個別に取得する検針業務機能21dと、
前記水道使用者の水道使用量データに基づいて料金計算ロジックにより水道料金を、前記複数の水道事業体31~35の各々が個別に算出し、この算出した前記水道料金を、前記給水契約業務機能の前記水道料金の支払い契約に基づいて、前記複数の水道事業体31~35の各々が個別に前記水道使用者へ通知する調定業務機能21eと、
前記複数の水道事業体の各々が個別に前記水道使用者からの前記水道料金の収納を確認できる収納業務機能21fと、
前記収納業務機能で前記水道料金の収納が確認できない場合に、前記複数の水道事業体31~35の各々が個別に前記水道料金の未納の前記水道使用者を特定し、その未納の水道料金を徴収する管理を行う徴収整理業務機能21gと、
を有する。
上記の料金計算ロジックは、検針方式又は料金計算方式が異なる前記複数の水道事業体の各々に対応できるパラメータを有する。
【符号の説明】
【0049】
11 インターネット
12 LGWAN
21 マルチテナント方式の水道料金管理システム
21A アプリケーション
21B データベース
21a 接続機能
21b 接続権限及びセキュリティー機能
21c 給水契約業務機能
21d 検針業務機能
21e 調定業務機能
21f 収納業務機能
21g 徴収整理業務機能
31~35 水道事業体
41 ディスプレイ
51~56 水道メーターの位置情報
61 検針員の位置情報