(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094660
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20240703BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20240703BHJP
A61H 3/04 20060101ALI20240703BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20240703BHJP
A61G 5/02 20060101ALN20240703BHJP
A61G 5/10 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
B62B3/00 Z
B62B3/02 C
A61H3/04
B62B5/04 A
A61G5/02
A61G5/10 717
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211351
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000107066
【氏名又は名称】株式会社リッチェル
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真彦
【テーマコード(参考)】
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050BB03
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG04
3D050JJ03
4C046AA24
4C046CC01
4C046DD27
4C046DD33
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で、小回りのきく歩行車の提供を目的とする。
【解決手段】歩行を補助する歩行車であって、一対の前輪をそれぞれ旋回自在に支持する一対の前フレームと、一対の後輪をそれぞれ旋回自在に支持し、前記後輪のブレーキ装置を備えた一対の後フレームと、歩行車の上側に操作ハンドルと、前記操作ハンドルの下方で走行時と駐車時で逆方向に回動可能な前記ブレーキ装置を作動させるブレーキハンドルを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行を補助する歩行車であって、
一対の前輪をそれぞれ旋回自在に支持する一対の前フレームと、一対の後輪をそれぞれ旋回自在に支持し、前記後輪のブレーキ装置を備えた一対の後フレームと、歩行車の上側に操作ハンドルと、前記操作ハンドルの下方で走行時と駐車時で逆方向に回動可能な前記ブレーキ装置を作動させるブレーキハンドルを有することを特徴とする歩行車。
【請求項2】
前記後フレームは、上部が前記前フレームに連結されて前フレームとで側面視人字型を形成し、下部で支持する後輪が前記前フレームの左右方向外側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の歩行車。
【請求項3】
前記後フレームは、斜め下方に延在する後フレーム部と、前記後フレーム部の後端から後方外側に突出する突出部を有し、前記突出部で支持する後輪が前記前フレーム及び後フレーム部の左右方向外側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の歩行車。
【請求項4】
前記前輪は、歩行車の後進時に前記前フレームの延在線F上におよそ位置し、前記後輪は、歩行車の前進時に側面視で前記後フレーム部の延在線B上におよそ位置していることを特徴とする請求項3に記載の歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行を補助する歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な歩行車が知られている。
例えば、特許文献1に開示するように、歩行車を手押し操作するハンドル部の近くに走行時及び駐車時のブレーキレバーを備えた歩行車は、ブレーキ操作の利便性に優れる。
しかし、特許文献1の歩行車は、前輪と後輪がともに旋回自在ではなく、このような歩行車を利用するユーザは、進行方向の変更時などでタイヤの向きを変更するために歩行車を何度か前後等に動かす必要があり、スムーズな進路変更がしにくく、例えば家の中で使用する際に小回りがきくとは言い難い。
また、特許文献2に開示するように、下部フレームが略U字形状の歩行車も、例えば角を曲がる際に、下部フレームが角を形成する柱などにぶつかりやすく、特許文献3に開示するように、構成が複雑な歩行車は重量が大きくなりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-183228号公報
【特許文献2】特公平4-26859号公報
【特許文献3】特開2019-201900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な構造で、小回りのきく歩行車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る歩行車は、歩行を補助する歩行車であって、一対の前輪をそれぞれ旋回自在に支持する一対の前フレームと、一対の後輪をそれぞれ旋回自在に支持し、前記後輪のブレーキ装置を備えた一対の後フレームと、歩行車の上側に操作ハンドルと、前記操作ハンドルの下方で走行時と駐車時で逆方向に回動可能な前記ブレーキ装置を作動させるブレーキハンドルを有することを特徴とする。
このように一対の前輪と一対の後輪の4輪が旋回自在であり、ユーザの手元で走行持と駐車時のブレーキ操作ができることで、歩行車が小回りしやすいとともに、歩行の安全性を確保しやすい。
【0006】
本発明において、前記後フレームは、上部が前記前フレームに連結されて前フレームとで側面視人字型を形成し、下部で支持する後輪が前記前フレームの左右方向外側に位置していてもよい。
前フレームとこれに上部を連結した後フレームとで側面視人字型が形成された歩行車は、例えば、一対の前フレームの上端側に配設された操作ハンドルが、後フレームの上方に位置してもよい。
後輪が前フレームの左右方向外側に位置することで、操作ハンドルを手押し操作するユーザの足と後輪は接触しにくく、ユーザの両足の左右外側で後輪が回転し、歩行車を使用するユーザは軽やかに歩行ができる。
【0007】
例えば、前記後フレームは、斜め下方に延在する後フレーム部と、前記後フレーム部の後端から後方外側に突出する突出部を有し、前記突出部で支持する後輪が前記前フレーム及び後フレーム部の左右方向外側に位置していてもよい。
これにより、ユーザの足は後フレーム部の間に位置し、ユーザが操作ハンドルを前後左右に手押しする際に後輪は突出部の下方で旋回する。
例えば、突出部で支持する後輪は、一対の後フレーム部の左右方向内側に入らないように旋回するものであれば、よりユーザの歩行を妨げにくい。
【0008】
本発明において、前記前輪は、歩行車の後進時に前記前フレームの延在線F上におよそ位置し、前記後輪は、歩行車の前進時に側面視で前記後フレーム部の延在線B上におよそ位置していてもよい。
これにより、ユーザは歩行車の前進、後進時に小さい力で歩行車を手押しすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る歩行車は、4輪が旋回自在で、ユーザの手元で走行持と駐車時のブレーキ操作ができ、歩行時の小回りや安全性、利便性に優れる。
本発明の歩行車は、例えば室内のような歩行スペースが狭い場所であっても使用しやすく、室内でのリハビリや、軽度の障害等を有する人が手摺りの代わりに使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る歩行車の構造例を、カゴ等を取り外した骨組構造の斜視図で示す。
【
図2】前フレームにステムを完全に収納した状態の側面図を示し、(a)は歩行車の前進時を、(b)はその後進時を示す。
【
図3】説明のためにステム、保持部、操作ハンドル及びブレーキハンドル等を除外した部分平面図を示し、(a)は歩行車の前進時を、(b)はその後進時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る歩行車について、図に基づいて説明するが、本発明は本実施例に限定されるわけではない。
図1に、歩行車1のカゴ等を取り外した骨組み状態を斜視図で示し、
図2に側面図を、
図3に部分平面図を示す。
本明細書において、歩行車1を手押し操作するユーザのお腹側を前方、背中側を後方、左手側を左方、右手側を右方とし、ユーザが前方を向いた状態で、歩行車1を前方、後方、左方及び右方に走行させることを、それぞれ前進、後進、左進及び右進という。
【0012】
歩行車1は、左右一対の前輪11をそれぞれ旋回自在に支持する左右一対の前フレーム12と、左右一対の後輪21をそれぞれ旋回自在に支持する左右一対の後フレーム22を有する。
本実施例は、前フレーム12が、
図2(a)に示すように前下方から後上方に向かって斜め上方に延びており、前フレーム12に上部を連結した後フレーム22とで、側面視人字型が形成されている。
後フレーム22は、前上方から後下方に向かって斜め下方に延在する後フレーム部22aと、この後フレーム部22aの後端から後方であって左右方向外側に向けて斜めに突出する突出部22bを有する。
ここで、外側とは、一対の前フレーム12の間を内側とした場合に、その外側を指す。
図3(a)に示すように、後フレーム部22aの後端から後方外側に突出する突出部22bは、その先端部22cが前フレーム12や後フレーム部22aよりも左右方向外側に位置し、この先端部22cの下端に後輪21とブレーキ装置23を備えている。
突出部22bが後方外側へ突出する程度は、その先端部22cに旋回自在に支持された後輪21が、
図3(a)、(b)の前後方向を向いた状態から左右方向を向いた状態に旋回する際にも、一対の後フレーム部22aより内側に入らない程度であることが好ましい。
本実施例は、
図1に示すように前フレーム12の上下方向略中央側に、連結部13を介して後フレーム22(後フレーム部22a)の上部を回動可能に連結してあり、前後フレーム12,22を前後方向に折り畳み可能な例である。
一対の前フレーム12の下側、一対の後フレーム部22aの上側、一対の連結部13はそれぞれ、連結フレーム31、32、33にて連結されている。
【0013】
歩行車1は、前フレーム12の内部に収納可能なステム12aの上端部に、保持部14を介して操作ハンドル15及びブレーキハンドル16を有する。
前フレーム12からのステム12aの伸縮量を変えることで、操作ハンドル15及びブレーキハンドル16の高さ調整が可能である。
操作ハンドルは、歩行車を手押し操作できれば、その形状等に特に制限はない。
例えば、一対の前フレームの上端側に一対の操作ハンドルや、本実施例のように一対の前フレームの上端側を連結する1つの操作ハンドルが設けられてあってもよく、車輪を支持するフレームと操作ハンドルを支持するフレームとが異なっていてもよい。
また、ブレーキ装置を作動させるブレーキハンドルは、操作ハンドルの形状に類似するものであってもよい。
本実施例は、操作ハンドル15が略U字形状で、その両端部が一対の保持部14に支持されている。
ブレーキハンドル16は、略U字形状の両端部が一対の保持部14内に回動可能に保持され、操作ハンドル15の下方に配設されたブレーキハンドル16の回動でワイヤ17が引っ張られる。
図4に示すように、ワイヤ17が引っ張られると、ワイヤ17に連結されたブレーキ装置23の押圧部23aが後輪21を押圧してブレーキをかける。
ブレーキハンドル16は、走行時と駐車時で逆方向に回動可能であり、例えば、走行持にスピードを緩めたい量だけブレーキハンドル16を上方に回動してブレーキ装置を作動させ、駐車時にはブレーキハンドル16を下方に回動してブレーキハンドル16側と保持部14側を互いに係合し、ワイヤ17が引っ張られた状態、すなわち後輪21のロック状態を維持して歩行車1を駐車できる。
【0014】
前輪11と前フレーム12、後輪21と後フレーム22について、より詳細に説明する。
図2(a)に示すように、前輪11は、タイヤを保持する前ホイール11aの前輪軸11bを断面略コ字形状の前ホルダー部11cの下端側に回転自在に支持させてある。
前フレーム12は、その下端部に固定したハウジング12bの内側に、円筒状で旋回自在な前軸部12cを有し、この前軸部12cと前ホルダー部11cの上端側を固定連結してある。
これにより、前フレーム12に対して、前輪11が旋回可能に支持される。
前輪11と前フレーム12とは、
図2(b)に示すように歩行車1の後進時において、前フレーム12の延在線F上におよそ前輪11が位置するように、前輪軸11bと前軸部12cの前後位置をずらして配設してある。
この場合、
図2(a)に示すように歩行車1の前進時には、前軸部12cが旋回して前輪11(前輪軸11b)が操作ハンドル15を後方から掴むユーザ側に移動する。
一方、後輪21は、タイヤを保持する後ホイール21aの後輪軸21bを断面略コ字形状の後ホルダー部21cの下端側に回転自在に支持させてある。
後フレーム22は、突出部22bの先端部22c内に円筒状で旋回自在な後軸部22dを有し、この後軸部22dと後ホルダー部21cの上端側を固定連結してあることで、後輪21が後フレーム22に旋回可能に支持される。
ブレーキ装置23は、
図4に示すように後ホルダー部21c内にブレーキ装置の装置軸23bを回転自在に支持させてあり、ブレーキ装置23の一端側がワイヤ17に引っ張られることで、他端側で下方に突出した押圧部23aが後輪21を押圧する。
後輪21と後フレーム22とは、
図2(a)に示すように歩行車1の前進時において、側面視における後フレーム部22aの延在線B上におよそ後輪21が位置するように、後輪軸21bと後軸部22dの前後位置をずらして配設してある。
この場合、
図2(b)、
図3(b)に示すように歩行車1の後進時には、後軸部22dが旋回して後輪21(後輪軸21b)がユーザにより近くなる。
これにより、歩行車1の前進時には、進行方向側の前輪11がユーザに近くなるとともに、側面視で後フレーム部22aの延在線B上におよそ位置する後輪21が追随しやすく、歩行車1を小さな力で前進できる。
また、歩行車1の後進時には、後輪21がよりユーザに近くなるとともに、前フレーム部12の延在線F上におよそ位置する前輪11が追随しやすいことで、歩行車1の後進時に手押しする力が小さくてよい。
【0015】
図5に、歩行車1のカゴ35を取り付けた状態例を示す。
例えば、一対の前フレーム12の上側に、さらにカゴ35を取り付けるための連結フレーム34を配設してあってもよい。
なお、カゴは例示であり、机や座面となるような板材等を取り付けてあってもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 歩行車
11 前輪
12 前フレーム
15 操作ハンドル
16 ブレーキハンドル
21 後輪
22 後フレーム
22a 後フレーム部
22b 突出部
23 ブレーキ装置