(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094666
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】添加システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240703BHJP
【FI】
C02F1/00 K
C02F1/00 W
C02F1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211362
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】濱口 真伍
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】久志本 篤
(72)【発明者】
【氏名】河原 敏行
(72)【発明者】
【氏名】大屋 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】宗口 瑛
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
(57)【要約】
【課題】添加液流路内に侵入した微生物への対策を図ることのできる技術を提供する。
【解決手段】原水が通流する原水流路22と、原水流路22を通流する原水に添加液源26から供給される添加液を添加する添加液流路28と、添加液流路28に設けられ、添加液流路28内を通流する添加液を除菌する除菌部32と、を備える添加システム。添加液流路28に設けられ、添加液源26から原水流路22に添加液を送液する送液部30を備え、除菌部32は、添加液流路28において送液部30よりも上流側に設けられてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が通流する原水流路と、
前記原水流路を通流する原水に添加液源から供給される添加液を添加する添加液流路と、
前記添加液流路に設けられ、前記添加液流路内を通流する添加液を除菌する除菌部と、を備える添加システム。
【請求項2】
前記添加液流路に設けられ、前記添加液源から前記原水流路に前記添加液を送液する送液部を備え、
前記除菌部は、前記添加液流路において前記送液部よりも上流側に設けられる請求項1に記載の添加システム。
【請求項3】
前記添加液流路に設けられ、前記原水流路側から前記添加液源側への逆流を阻止する第1弁を備える請求項1に記載の添加システム。
【請求項4】
前記原水流路と前記添加液流路との合流部を形成する流路部材を備え、
前記第1弁は、前記流路部材内に設けられる請求項3に記載の添加システム。
【請求項5】
前記添加液源が着脱可能に接続される液源ホルダーと、
前記添加液流路に設けられ、前記液源ホルダーから前記添加液源が取り外されているときに閉状態を維持する第2弁と、を備える請求項1または3に記載の添加システム。
【請求項6】
前記第2弁は、前記添加液流路の上流側に設けられる請求項5に記載の添加システム。
【請求項7】
前記第2弁は、前記添加液流路の上流側端部に設けられる請求項5に記載の添加システム。
【請求項8】
前記添加液源が水密に接続され、前記添加液流路の一部が内部に形成された接続部材を備え、
前記第2弁は、前記接続部材内に設けられる請求項5に記載の添加システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、添加システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原水が通流する原水流路と、添加液源から供給される添加液を原水流路を通流する原水に添加する添加液流路とを備える添加システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
添加液流路内には微生物が侵入する場合があり得る。この観点から対策を講じた技術は未だ提案されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、添加液流路内に侵入した微生物への対策を図ることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の添加システムは、原水が通流する原水流路と、原水流路を通流する原水に添加液源から供給される添加液を添加する添加液流路と、前記添加液流路に設けられ、前記添加液流路内を通流する添加液を除菌する除菌部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の給水システムの模式的な全体構成図である。
【
図2】本実施形態の水路形成部材を周辺構造とともに示す断面図である。
【
図3】本実施形態の液源ホルダーを周辺構造とともに示す正面図である。
【
図4】本実施形態の液源ホルダーの一部を周辺構造とともに示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0009】
図1を参照する。添加システム10は、原水に添加液を添加することで添加液を希釈した希釈水を生成する。添加システム10は、生成した希釈水を被給水部12に給水する給水システム14に用いられる。本実施形態の被給水部12は、希釈水を吐き出す吐水装置であり、その一例として吐水管が用いられる。この他にも、吐水装置は、例えば、シャワーヘッド等でもよい。被給水部12の具体例は特に限定されず、この他にも、希釈水を溜めるためのタンク等でもよい。
【0010】
給水システム14は、不図示の水源から供給される原水を添加システム10に供給する一次側流路16と、一次側流路16から供給された原水に添加液を添加することで希釈水を生成する添加システム10と、添加システム10の生成した希釈水が給水される二次側流路18と、を備える。二次側流路18の下流側端部には被給水部12が接続される。
【0011】
添加システム10は、原水が通流する原水流路22と、原水流路22に設けられる改質カートリッジ24と、添加液を溜める添加液源26と、原水流路22に繋がる添加液流路28と、添加液流路28に設けられる送液部30と、添加液流路28に設けられる除菌部32と、を備える。この他に、添加システム10は、原水流路22に設けられる開閉弁34と、添加システム10の動作を制御する制御部36と、を備える。
【0012】
原水流路22には一次側流路16から原水が供給される。原水流路22と添加液源26との合流部38において原水に添加液が添加されることで希釈水が生成される。希釈水は、原水流路22から二次側流路18に供給される。ここでの「原水」とは、添加液の添加対象となる溶媒をいう。「原水」は、改質カートリッジ24を経由することによる改質の有無は問わない。本実施形態では、一次側流路16から原水流路22に水道水が流入し、合流部38において、改質カートリッジ24を経由することで水道水を改質した改質水が原水として通流する。この他にも、合流部38において水道水が原水として通流してもよい。
【0013】
改質カートリッジ24は、自身の内部に原水流路22の一部が設けられ、その自分の内部を経由して通流する原水を改質可能である。ここでの「改質」とは、物理変化又は化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することをいう。本実施形態の改質カートリッジ24は、上流側から原水として流入する水道水に含まれる塩素成分の除去する浄水カートリッジであり、原水を浄化することで浄水を生成する。この他にも、原水の改質態様として、美容成分、匂い成分、炭酸成分、水素成分等を原水に付与してもよい。改質カートリッジ24は、不図示のカートリッジホルダーに着脱可能に保持される。なお、添加システム10は、改質カートリッジ24を備えずともよい。
【0014】
添加液源26は、後述する添加液ホルダーに着脱可能に接続される。本実施形態の添加液源26は、減容変形可能な密封容器である。この密封容器は、送液部30による吸い込みにより密封容器内の添加液が減少し、その添加液の減少に伴い容積が減少するように変形(減容変形)可能である。このような密封容器を用いることで、密封容器内の添加液を使い切った場合でも、添加液源26から添加液流路28への外気の侵入を避けることができる。添加液源26の具体例は特に限定されず、各種容器、タンク(開放式タンク等)等を採用してもよい。
【0015】
添加液は、例えば、希釈用飲料原液、食品添加物濃縮液、調味液等の飲用に用いられる。この他にも、添加液は、石けん水、化粧水、ボディオイル等の人体に触れる用途で用いられてもよい。この人体に触れる用途には、前述の飲用に用いられる希釈用飲料原液等が含まれる。
【0016】
添加液流路28は、添加液源26から供給される添加液を原水流路22を通流する原水に添加する。以下、添加液流路28の添加液源26側を上流側といい、原水流路22側を下流側という。
【0017】
送液部30は、添加液源26から原水流路22に添加液を送液する。送液部30は、添加液流路28の上流側から吸い出した添加液を下流側に向けて吐き出すことで添加液を送液する。本実施形態の送液部30はポンプであるが、その具体例は特に限定されず、例えば、コンプレッサー等でもよい。本実施形態の送液部30はチューブポンプであるが、この他にも、ギヤポンプ、ベーンポンプ等の各種ポンプを採用してもよい。また、本実施形態の送液部30は有電源で動作するが、無電源で動作してもよい。この場合、送液部30は、例えば、原水流路22を通流する原水の流れを用いて駆動する水流駆動型ポンプ等でもよい。
【0018】
除菌部32は、自身の内部に添加液流路28の一部が設けられ、その自身を経由して添加液流路28内を通流する添加液を除菌する。これを実現するうえで、本実施形態の除菌部32は、添加液に含まれる微生物を捕捉することで除菌する除菌フィルタ40を備える。この除菌フィルタ40として、本実施形態では、中空糸膜フィルタが用いられるが、各種除菌フィルタを採用してもよい。除菌部32は、除菌フィルタ40を備える場合、自身を経由して通流する添加液に含まれる異物を捕捉する役割も持つ。除菌部32は、微生物を除菌することができればよく、その具体例は特に限定されない。除菌部32は、例えば、光触媒、紫外線等を用いて微生物を除菌してもよい。
【0019】
除菌部32は、添加液流路28において送液部30よりも上流側に設けられる。除菌部32は、添加液流路28において通流方向両側に繋がる流路42よりも流路断面積の大きい液室44を備える。ここでの流路断面積とは流路の中心軸線方向に直交する断面での面積をいう。液室44内には除菌フィルタ40が配置される。液室44は、互いに着脱可能な複数の液室形成部材(不図示)により構成され、液室形成部材を分解することで除菌フィルタ40を出し入れ可能となる。つまり、本実施形態の除菌部32は除菌フィルタ40を出し入れすることで交換可能である。
【0020】
開閉弁34は、電磁弁、電動弁等の自動開閉弁である。制御部36は、例えば、マイクロコンピュータ等であり、CPU、ROM、RAMの組み合わせにより構成される。制御部36は、開閉弁34の開閉動作を制御可能であるとともに送液部30の動作を制御可能である。制御部36は、所定の給水開始条件を満たしたとき、添加システム10を経由して被給水部12に希釈水を給水するための給水動作を行う。給水開始条件は、例えば、外部操作機器(ハンドル等)から給水指令を受けることである。給水動作は、所定の給水停止条件を満たしたときに停止する。給水停止条件は、例えば、外部操作機器から止水指令を受けることだったり、給水動作を開始してから所定期間が経過すること等である。
【0021】
給水動作は、開閉弁34を開くことで原水流路22に原水を通流させるとともに送液部30により添加液を送液することで行う。これにより、合流部38において、原水流路22を通流する原水に添加液流路28から添加液が添加されることで希釈水が生成される。希釈水は、二次側流路18を経由して被給水部12に給水される。
【0022】
以上の添加システム10による効果を説明する。
【0023】
添加システム10は、添加液流路28に設けられる除菌部32を備える。これにより、添加液流路28から原水流路22に添加される添加液中の微生物を除菌部32により減らすことができる。よって、原水流路22に添加される添加液の衛生性を良好に保つことができ、添加液流路28内に侵入した微生物への対策を図ることができる。ここでの添加液中の微生物とは、添加液流路28内に侵入した微生物の他に、添加液流路28内で繁殖した微生物も含む。微生物は、例えば、添加液源26を取り外したり、添加液源26として開放型タンクを用いた場合に添加液流路28内に侵入する可能性がある。この他にも、微生物は、原水流路22から添加液流路28内に侵入する可能性がある。このような微生物への対策を図ることで、飲料、洗面、シャワー等の人体に触れる用途で希釈水を用いる場合に有効となる。
【0024】
除菌部32内には空気が残ってしまう場合がある。この場合に、送液部30よりも下流側に除菌部32が配置されると、送液部30から原液を押し込んで送ることで、除菌部32内に残った空気が圧縮される。この圧縮された空気により送液部30側に押し返す力が作用し、添加液流路28から原水流路22にスムーズに原液を送液し難くなるという問題がある。この点、送液部30よりも上流側に除菌部32を配置することで、除菌部32内に空気が残った場合でも、その残った空気が除菌部32内で圧縮される事態を回避できる。ひいては、添加液流路28から原水流路22にスムーズに原液を送液でき、希釈水における添加液の濃度ばらつきを抑制できる。
【0025】
この他にも、送液部30よりも下流側に除菌部32を配置することで、次の利点がある。除菌部32は、通常、その通流方向両側に繋がる流路42よりも大体積となる液室44を備える。除菌部32の液室44内には多くの添加液が貯溜される。この液室44内の多くの添加液が温度変化により体積変化すると、その内圧が変化する。送液部30よりも下流側に除菌部32が配置される場合、除菌部32の液室44内での内圧変化の影響により原水流路22に供給される添加液量が増減してしまう。例えば、除菌部32内の内圧が温度上昇により高まると、原水流路22に供給される添加液量が増加し、除菌部32内の内圧が温度低下により低まると、原水流路22に供給される添加液量が減少する。
【0026】
この点、送液部30よりも上流側に除菌部32が配置される場合、温度変化の影響で除菌部32の内圧が変化しても、送液部30を経由することで、送液部30よりも下流側において除菌部32の内圧変化による影響を緩和できる。よって、除菌部32の内圧変化の影響により原水流路22に供給される添加液量が増減する事態を回避できる。ひいては、除菌部32の内圧変化の影響による、希釈水における添加液の濃度ばらつきを抑制できる。
【0027】
また、除菌部32が除菌フィルタ40を備える場合、除菌フィルタ40の目詰まり量の変化に伴い除菌フィルタ40での圧力損失の度合いが変化し、除菌フィルタ40よりも下流側において通流する添加液の流量が変化する。よって、送液部30の下流側に除菌部32が配置される場合、除菌フィルタ40の目詰まり量に応じた流量の添加液がそのまま原水に添加されてしまう。この点、送液部30の上流側に除菌部32が配置される場合、除菌フィルタ40を経由した添加液は送液部30を経由する。よって、除菌フィルタ40の目詰まり量に応じた流量の添加液がそのまま原水に添加される事態を防ぐことができる。ひいては、除菌フィルタ40の目詰まり量の影響による、希釈水における添加液の濃度ばらつきを抑制できる。
【0028】
次に、添加システム10の他の特徴を説明する。添加システム10は、添加液流路28に設けられる第1弁50を備える。第1弁50は、添加液流路28において除菌部32よりも下流側(原水流路22側)に設けられる。第1弁50は、添加液流路28において原水流路22側から添加液源26側への逆流を阻止する。
【0029】
本実施形態の第1弁50は無電源で動作する逆止弁により構成される。この逆止弁となる第1弁50は、送液部30により送液しているときは自動的に開き、送液部30により送液していないときは自動的に閉じるように構成される。この他にも、第1弁50は、制御部36による制御に従って開閉可能な自動開閉弁(電磁弁、電動弁等)によって構成されてもよい。この場合、送液部30により添加液を送液しているときに自動開閉弁を開き、送液部30により送液していないときは自動開閉弁を閉じるように、制御部36により第1弁50を制御する。
【0030】
図2を参照する。添加システム10は、原水流路22と添加液流路28との合流部38を形成する流路部材52を備える。流路部材52は、合流部38の他に、原水流路22の一部となり原水流路22において合流部38よりも上流側に設けられる第1流入部54と、原水流路22の一部となり原水流路22において合流部38よりも下流側に設けられる流出部56と、を備える。この他に、流路部材52は、添加液流路28の一部となる第2流入部58を備える。第2流入部58の下流側端部には第2流入部58を通して合流部38に向かう流れを絞る絞り部60が設けられる。
【0031】
流路部材52には、第1流入部54から原水が流入し、第2流入部58から添加液が流入する。第1流入部54から流入した原水と第2流入部58から流入した添加液は合流部38において合流することで希釈水を生成する。希釈水は、流出部56を通して流路部材52の外部に流出し、原水流路22の下流側に向けて通流する。流路部材52の第2流入部58は添加液流路28の上流側に向かって開放している。第2流入部58の開口端部にはシール部材S1により第1継手部材62が水密に取り付けられる。第1継手部材62は、第1チューブ64と流路部材52を接続する。第1チューブ64は可撓性を持ち、その内部は添加液流路28の一部となる。
【0032】
第1弁50は、添加液流路28の下流側端部に設けられる。これを実現するうえで、本実施形態の第1弁50は、流路部材52の第2流入部58内に設けられる。第1弁50は、添加液流路28において第1チューブ64よりも合流部38側に設けられる。第1弁50は、第2流入部58内に開口端側から奥側に差し込まれている。第1弁50は、流路部材52の一部と第1継手部材62との間に挟み込まれることで流路部材52に対して固定される。
【0033】
本実施形態の第1弁50は逆止弁となるダックビル弁である。この第1弁50は、自身の先端側部分にスリット状の流出口50aを形成する一対のリップ部50b(ここでは単数のリップ部のみを図示)を備える。この第1弁50は、一対のリップ部50bの弾性変形を伴い流出口50aが開閉することで、添加液流路28から原水流路22への添加液の流通の有無が切り替えられる。この種の弁そのものは公知のため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
以上の第1弁50により、圧力差等に起因する添加液流路28における原水流路22側から添加液源26側への原水の逆流を阻止できる。よって、微生物、異物等が原水に含有されていた場合でも、添加液流路28において第1弁50よりも上流側にある添加液への微生物等の混入を防止できる。ひいては、添加液流路28において第1弁50よりも上流側での添加液の衛生性を良好に保つことができる。
【0035】
この第1弁50は、原水流路22と添加液流路28との合流部38を形成する流路部材52内に設けられる。これにより、添加液流路28においてできるだけ合流部38に近い位置に第1弁50を設けることができる。ひいては、添加液流路28において、できるだけ広い通流方向範囲で第1弁50により添加液の衛生性を良好に保つことができる。
【0036】
図1を参照する。添加システム10は、添加液流路28に設けられる第2弁70を備える。第2弁70は、添加液流路28の上流側に設けられる。ここでの添加液流路28の上流側は、添加液流路28の上流端から下流端までの流路長を二等分する位置よりも上流側をいう。第2弁70は、添加液流路28において送液部30よりも上流側に設けられる。第2弁70は、添加液流路28において除菌部32よりも上流側に設けられる。第2弁70は、添加液源26の交換等のために液源ホルダー72(後述する)から添加液源26が取り外されているときに閉状態を維持する。第2弁70は、添加液源26が取り外されたときに、添加液流路28における第2弁70よりも下流側部分に残る添加液の外部空間に対する露出を防止するともいえる。これにより、第2弁70は、液源ホルダー72から添加液源26が取り外されたときに、添加液流路28における外部空間側から原水流路22側への外気の流れを阻止することができる。
【0037】
本実施形態の第2弁70は無電源で動作する逆止弁により構成される。この場合、第2弁70は、送液部30により送液しているときは自動的に開き、送液部30により送液していないときは自動的に閉じるように構成される。この場合、第2弁70は、液源ホルダー72に添加液源26が取り外されているときは無電源で閉状態が維持される。この他にも、第2弁70は、制御部36による制御に従って開閉可能な自動開閉弁(電磁弁、電動弁等)によって構成されてもよい。この場合、第2弁70は、液源ホルダー72に添加液源26が取り外されているときに閉状態を維持し、添加液源26が取り付けられているときに添加液流路28を開くことができればよく、そのときの動作態様は特に限定されない。例えば、添加液源26が取り付けられているとき、送液部30の送液の有無に連動して第2弁70を開閉してもよいし、送液部30の送液の有無によらず第2弁70を開状態に維持してもよい。
【0038】
図3、
図4を参照する。添加システム10は、添加液源26が着脱可能に接続される液源ホルダー72と、シール部材S2により添加液源26が水密に接続され添加液流路28の一部が内部に形成された接続部材74と、接続部材74と第2チューブ76を接続する第2継手部材78とを備える。第2チューブ76は可撓性を持ち、その内部は添加液流路28の一部となる。
【0039】
液源ホルダー72は、不図示のハウジングに固定されている。添加液源26となる密封容器の先端部には液源ホルダー72に接続される第1接続部26aが設けられる。液源ホルダー72には、添加液源26の第1接続部26aが着脱可能に接続される第1被接続部72aが設けられる。第1接続部26aと第1被接続部72aは、ねじ構造、スナップフィット、磁力等を用いて着脱可能である。
【0040】
添加液源26となる密封容器の先端部には接続部材74がシール部材S2により水密に接続される第2接続部72bが設けられる。第1接続部26aと第2接続部72bは二重筒構造をなし、第1接続部26aの内周側に第2接続部72bが設けられる。接続部材74には、添加液源26の第2接続部72bが水密に接続される第2被接続部74aが設けられる。
【0041】
接続部材74の内側には添加液流路28の一部となる中空部74bが形成される。接続部材74の中空部74bは添加液源26の添加液を収容する内部空間26cと直接に連通している。本実施形態において中空部74bの添加液源26側の開口端は添加液流路28の上流端28aとなる。
【0042】
第2継手部材78は、接続部材74に対して添加液源26とは反対側には配置される。第2継手部材78は、ねじ止め等により液源ホルダー72に固定される。第2継手部材78と接続部材74との間には添加液流路28から外部への添加液の漏洩を阻止するシール部材S3が配置される。
【0043】
第2弁70は、添加液流路28の上流側端部に設けられる。これを実現するうえで、本実施形態の第2弁70は、接続部材74の中空部74b内に設けられる。本実施形態の第2弁70は、弁孔70aを形成する弁孔部材70bと、弁孔70aを開閉可能な弁体70cと、弁孔70aを閉じる方向に弁体70cを付勢するスプリング等の付勢部材70dとを備える。この第2弁70(逆止弁)は、送液部30により送液しているとき、送液部30の吸込力により弁体70cが弁孔70aを開く方向に移動することで自動的に開く。これに対して、第2弁70は、送液部30により送液していないときは付勢部材70dの付勢力により弁体70cが弁孔70aを閉じる方向に移動することで自動的に閉じる。
【0044】
以上の第2弁70により、添加液流路28において第2弁70よりも下流側への外気の流れを第2弁70により阻止できる。よって、微生物、異物等が外気に含有されていた場合でも、第2弁70により、添加液流路28において第2弁70よりも下流側にある添加液への微生物等の混入を防止できる。ひいては、添加液流路28において第2弁70よりも下流側での添加液の衛生性を良好に保つことができる。
【0045】
また、第2弁70は、添加液流路28の上流側端部に設けられる。これにより、外気流入位置となる添加液流路28の上流端28aにできるだけ近い位置に第2弁70を設けることができる。ひいては、添加液流路28において、できるだけ広い通流方向範囲で第2弁70により添加液の衛生性を良好に保つことができる。これは、接続部材74内に第2弁70を設けたことによる効果でもある。
【0046】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0047】
除菌部32は、添加液流路28において送液部30よりも下流側に設けられてもよい。
【0048】
添加システム10は第1弁50を備えずともよい。第1弁50の添加液流路28での位置は特に限定されず、流路部材52の外部に設けられてもよいし、添加液流路28の中間部に設けてもよい。
【0049】
添加システム10は第2弁70を備えずともよい。第2弁70の添加液流路28での位置は特に限定されず、例えば、接続部材74の外部に設けられてもよいし、添加液流路28の中間部に設けてもよい。
【0050】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が当然に許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0051】
以上の実施形態、変形形態により具体化される技術的思想を一般化すると、以下の項目に記載の技術的思想が含まれているともいえる。
【0052】
第1項目は、原水が通流する原水流路と、前記原水流路を通流する原水に添加液源から供給される添加液を添加する添加液流路と、前記添加液流路に設けられ、前記添加液流路内を通流する添加液を除菌する除菌部と、を備える添加システムである。
【0053】
第2項目は、前記添加液流路に設けられ、前記添加液源から前記原水流路に前記添加液を送液する送液部を備え、前記除菌部は、前記添加液流路において前記送液部よりも上流側に設けられる第1項目に記載の添加システムである。
【0054】
第3項目は、前記添加液流路に設けられ、前記原水流路側から前記添加液源側への逆流を阻止する第1弁を備える第1項目及び第2項目のいずれかに記載の添加システムである。
【0055】
第4項目は、前記原水流路と前記添加液流路との合流部を形成する流路部材を備え、前記第1弁は、前記流路部材内に設けられる第3項目に記載の添加システムである。
【0056】
第5項目は、前記添加液源が着脱可能に接続される液源ホルダーと、前記添加液流路に設けられ、前記液源ホルダーから前記添加液源が取り外されているときに閉状態を維持する第2弁と、を備える第1項目~第4項目のいずれかに記載の添加システムである。
【0057】
第6項目は、前記第2弁は、前記添加液流路の上流側に設けられる第5項目に記載の添加システムである。
【0058】
第7項目は、前記第2弁は、前記添加液流路の上流側端部に設けられる第5項目及び第6項目のいずれかに記載の添加システムである。
【0059】
第8項目は、前記添加液源が水密に接続され、前記添加液流路の一部が内部に形成された接続部材を備え、前記第2弁は、前記接続部材内に設けられる第5項目~第7項目のいずれかに記載の添加システムである。
【符号の説明】
【0060】
10…添加システム、22…原水流路、26…添加液源、28…添加液流路、30…送液部、32…除菌部、38…合流部、50…第1弁、52…流路部材、70…第2弁、74…接続部材。