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  • 特開-給水システム 図1
  • 特開-給水システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094667
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】給水システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240703BHJP
   E03C 1/046 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C02F1/00 W
C02F1/00 S
E03C1/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211363
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】濱口 真伍
(72)【発明者】
【氏名】石田 駿平
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤身
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】小西 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】石母田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】宗口 瑛
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB01
2D060BC30
2D060BE20
2D060CD09
(57)【要約】
【課題】希釈水中の特定成分の濃度ばらつきを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】原水が通流する給水流路50と、前記給水流路を通流する原水に液源から供給される原液を添加する原液流路62と、原液流路62に設けられ、原液を給水流路50に送液する送液部64と、給水流路50に設けられる流量センサ66と、原水流量の検出値に基づいて、原液が原水に添加されることで生成される希釈水中の原液の特定成分の濃度が目標濃度となるように、送液部64から送液される原液流量を制御する制御部86と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が通流する給水流路と、
前記給水流路を通流する原水に液源から供給される原液を添加する原液流路と、
前記原液流路に設けられ、前記原液を前記給水流路に送液する送液部と、
前記給水流路に設けられる流量センサと、
前記流量センサにより検出された原水流量を示す検出値に基づいて、前記原液が前記原水に添加されることで生成される希釈水中の前記原液の特定成分の濃度が目標濃度となるように、前記送液部から送液される原液流量を制御する制御部と、を備える給水システム。
【請求項2】
前記給水流路に設けられる開閉弁を備え、
前記制御部は、前記給水流路から被給水部への前記希釈水の給水を開始する場合、前記開閉弁を開いてから前記送液部による送液を開始する請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記給水流路に設けられる開閉弁を備え、
前記制御部は、前記給水流路から被給水部への前記希釈水の給水を停止する場合、前記送液部による送液を停止してから前記開閉弁を閉じる請求項1に記載の給水システム。
【請求項4】
前記希釈水中で前記特定成分を前記目標濃度にするための前記原水流量に応じた原液流量を目標原液流量というとき、
前記制御部は、前記送液部による送液を開始する場合、前記原水流量の検出値に応じた前記目標原液流量よりも多い始動原液流量になってから前記目標原液流量となるように前記送液部を制御する請求項1に記載の給水システム。
【請求項5】
前記原液流路上において前記送液部よりも下流側に設けられ上流側への逆流を阻止する逆止弁を備える請求項4に記載の給水システム。
【請求項6】
前記希釈水中で前記特定成分を前記目標濃度にするための前記原液流量を目標原液流量というとき、
前記制御部は、前記原水流量の検出値に基づいて前記目標原液流量で送液するために前記送液部に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出し、導出したパラメータの必要駆動電圧又は必要駆動電流を前記送液部に供給することで、前記送液部の原液流量が前記目標原液流量となるように制御する請求項1に記載の給水システム。
【請求項7】
前記目標原液流量で送液するために前記送液部に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータと前記原水流量との関係を示す関係情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記関係情報を用いて、前記原水流量の検出値から必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出する請求項6に記載の給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原水が通流する給水流路と、給水流路を通流する原水に液源から供給される原液を添加する原液流路と、原液流路に設けられる送液部と、給水流路に設けられた特定成分の濃度を検出する濃度センサと、を備える給水システムを開示している。特許文献1の給水システムは、濃度センサの検出値に基づいて送液部から送液される原液流量を制御することで、希釈水中の特定成分の濃度が目標濃度となるように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-90458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水流路を通流する原水流量に変動があった場合、希釈水における原液の特定成分の濃度にばらつきが生じる。本願発明者は、このような場合に、希釈水における原液の特定成分の濃度ばらつきを抑制するための新たなアイデアを見出した。
【0005】
本開示の目的の1つは、希釈水中の特定成分の濃度ばらつきを抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の給水システムは、原水が通流する給水流路と、前記給水流路を通流する原水に液源から供給される原液を添加する原液流路と、前記原液流路に設けられ、前記原液を前記給水流路に送液する送液部と、前記給水流路に設けられる流量センサと、前記流量センサにより検出された原水流量を示す検出値に基づいて、前記原液が前記原水に添加されることで生成される希釈水中の前記原液の特定成分の濃度が目標濃度となるように、前記送液部から送液される原液流量を制御する制御部と、を備える給水システム。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の給水システムの模式的な全体構成図である。
図2】本実施形態の給水システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0009】
図1を参照する。給水システム10は、被給水部12に希釈水(後述する)を給水するために用いられる。本実施形態の被給水部12は、希釈水を吐き出す吐水装置の吐水部である。ここでは、吐水装置の一例として吐水管を示す。この他にも、吐水装置は、例えば、シャワーヘッド等でもよい。被給水部12の具体例は特に限定されず、この他にも、希釈水を溜めるためのタンク等でもよい。
【0010】
給水システム10は、被給水部12に希釈水を給水するための第1給水ライン16と、被給水部12に希釈水とは種類の異なる水として湯水混合水を給水するための第2給水ライン18と、を備える。第1給水ライン16及び第2給水ライン18のいずれも飲料水(希釈水、湯水混合水)を給水する。
【0011】
第2給水ライン18は、上水道等の給水源20から水道水である常温水が供給される水流路22と、給湯器等の湯源24から湯が供給される湯流路26と、水流路22及び湯流路26から供給される常温水及び湯を混合する混合弁28と、混合弁28により混合された湯水混合水を被給水部12に給水する混合水流路30と、を備える。混合弁28における常温水と湯の混合比率及び混合弁28から給水される湯水混合水の流量は、吐水装置14に設けられるシングルレバー32により操作可能である。水流路22には流れ方向に間を空けて上流側への逆流を阻止する第1逆止弁38及び第2逆止弁40が設けられる。湯流路26には上流側への逆流を阻止する第3逆止弁42が設けられる。
【0012】
第1給水ライン16は、水流路22から分岐し被給水部12に繋がる給水流路50と、給水流路50に設けられる改質カートリッジ52と、改質カートリッジ52を回避するように給水流路50から分岐して給水流路50に合流するバイパス流路54と、給水流路50とバイパス流路54との分岐部に設けられる三方弁等の切替弁56と、を備える。切替弁56は、給水流路50の改質カートリッジ52を経由するカートリッジ経由部とバイパス流路54とのそれぞれに原水の通流先を切り替え可能である。被給水部12に希釈水を給水するときは改質カートリッジ52を経由するように切替弁56により原水の通流先が切り替えられる。給水流路50とバイパス流路54との合流部よりも下流側の流路部分を、原水としての塩素入りの水道水により洗浄するときは、バイパス流路54を経由するように切替弁56により原水の通流先が切り替えられる。
【0013】
第1給水ライン16は、この他に、原液を溜める液源60と、給水流路50に繋がる原液流路62と、原液流路62に設けられる送液部64と、給水流路50に設けられる流量センサ66と、給水流路50に設けられる開閉弁68と、を備える。
【0014】
給水流路50には、上流側の給水源20から給水圧を付与された原水が供給される。本実施形態の給水流路50には、給水源20から水流路22を介して原水が供給される。給水流路50と原液流路62との合流部70において原水に原液が添加されることで原液を原水で希釈した希釈水が生成される。希釈水は、給水流路50と原液流路62との合流部70よりも下流側を通流して被給水部12に給水される。ここでの「原水」とは、原液の添加対象となる溶媒をいう。「原水」は、改質カートリッジ52を経由することによる改質の有無は問わない。原水は、塩素成分を含有する水道水の他、天然水等でもよい。
【0015】
給水流路50には、給水流路50と原液流路62との合流部70よりも給水流路50の上流側に設けられ上流側への逆流を阻止する第4逆止弁72が設けられる。給水流路50には、開閉弁68よりも上流側に給水流路50を通流する原水の流量を設定流量以下に制限する定流量弁74が設けられる。
【0016】
改質カートリッジ52は、自身の内部に給水流路50の一部が設けられ、その自身の内部を経由して通流する原水を改質可能である。ここでの「改質」とは、物理変化又は化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することをいう。本実施形態の改質カートリッジ52は、原水として流入する水道水に含まれる塩素成分を除去する浄水カートリッジであり、原水を浄化することで浄水を生成する。この他にも、原水の改質態様として、美容成分、匂い成分、炭酸成分、水素成分等を原水に付与してもよい。改質カートリッジ52は、不図示のカートリッジホルダーに着脱可能に保持される。なお、給水システム10は、改質カートリッジ52を備えずともよい。
【0017】
液源60は、不図示の原液ホルダーに着脱可能に保持される。液源60の具体例は特に限定されず、各種容器、タンク等を採用してもよい。原液は、例えば、希釈用飲料原液、食品添加物濃縮液、調味液等の飲用に用いられる。この他にも、原液は、石けん水、化粧水、ボディオイル等の人体に触れる用途で用いられてもよい。この人体に触れる用途には、前述の飲用に用いられる希釈用飲料原液等が含まれる。
【0018】
原液流路62には、液源60から供給される原液が通流し、その原液が給水流路50を通流する原水に添加される。原液流路62には送液部64よりも上流側に第5逆止弁76が設けられる。第5逆止弁76は、原液流路62において外気の下流側への流れを阻止する。原液流路62には原液流路62内での原液の有無を検知するセンサ78が設けられる。
【0019】
原液流路62には送液部64よりも下流側に第6逆止弁80が設けられる。第6逆止弁80は、原液流路62において上流側への逆流を阻止する。これにより、給水流路50の原水に混入した微生物等の第6逆止弁80よりも原液流路62の上流側への流入を抑制でき、原液流路62内の原液の衛生性を良好に保つことができる。第6逆止弁80は、送液部64による送液の有無に連動して無電源で開閉するように構成される。これを実現するうえで、第6逆止弁80は、送液部64により送液しているときは上流側から作用する原液の内圧により開き、送液部64により送液していないときは下流側から作用する液体(原水等)の内圧により閉じるように構成される。第6逆止弁80はダックビル弁等の各種逆止弁を採用してもよい。
【0020】
原液流路62には原液流路62を通流する原液を除菌する除菌部82が設けられる。除菌部82は、自身の内部に原液流路62の一部が設けられ、その自身を経由して原液流路62内を通流する原液を除菌する。除菌部82は、例えば、中空糸膜フィルタ、光触媒、紫外線等を用いて原液を除菌するように構成される。
【0021】
送液部64は、液源60側から吸い出した原液を給水流路50側に向けて吐き出すことで原液を送液する。本実施形態の送液部64は、後述する制御部86から供給される駆動電圧又は駆動電流により駆動され、その駆動電圧又は駆動電流に応じた原液の瞬間流量(以下、原液流量という)となるように連続的に原液を送液する。ここでの送液部64は、駆動電圧により駆動される例を説明する。これを実現する本実施形態の送液部64は、ポンプの他に、ポンプを駆動するモータを備え、モータを駆動する駆動電圧の電圧値を大きくするほどポンプから送液される原液流量を大きくすることができる。この他にも、送液部64は、例えば、ポンプの他に、ポンプを駆動するソレノイドを備え、ソレノイドを駆動する駆動電流に応じて原液流量を変更可能にしてもよい。本実施形態の送液部64のポンプはチューブポンプであるが、この他にも、ギヤポンプ、ベーンポンプ等の各種ポンプを採用してもよい。本実施形態の送液部64はポンプを用いて構成されるが、その具体例は特に限定されず、例えば、コンプレッサー等でもよい。
【0022】
本実施形態の流量センサ66は、給水流路50において原液流路62との合流部70よりも上流側に設けられる。また、本実施形態の流量センサ66は、給水流路50においてバイパス流路54との分岐部84よりも上流側に設けられる。流量センサ66は、給水流路50を通流する原水の瞬間流量(以下、原水流量という)を検出し、その原水流量を示す検出値を制御部86に出力する。本明細書での「流量」とは、言及対象の体積流量(L/min)をいう。流量センサ66の具体例は特に限定されず、羽根車式流量センサ等の各種流量センサを採用してもよい。
【0023】
開閉弁68は、電磁弁、電動弁等の自動開閉弁である。本実施形態の開閉弁68は、給水流路50において流量センサ66よりも上流側に設けられる。
【0024】
給水システム10は、給水システム10の動作を制御する制御部86を備える。制御部86は、例えば、マイクロコンピュータ等であり、CPU、ROM、RAMの組み合わせにより構成される。
【0025】
制御部86は、開閉弁68の開閉動作を制御可能である。制御部86は、送液部64を駆動するための駆動電圧又は駆動電流(ここでは駆動電圧)に関するパラメータを設定し、その設定したパラメータの駆動電圧又は駆動電流を送液部64に供給することで、送液部64から送液される原液流量を制御可能である。これを実現するうえで、本実施形態の制御部86は、駆動電圧に関するパラメータとして、PWM(Pulse Width Modulation)制御により生成される駆動電圧のデューティー比を設定する。この他にも、この駆動電圧に関するパラメータは、駆動電圧の電圧値等でもよい。駆動電流により送液部64を駆動する場合、駆動電流に関するパラメータは、駆動電流の電流値等でもよい。
【0026】
制御部86は、流量センサ66により検出された原水流量の検出値に基づいて、希釈水中の原液の特定成分(例えば、特定の食品添加物等)の濃度が目標濃度となるように、原液流量を制御する定濃度制御を行う。本明細書での濃度とは、質量パーセント濃度(wt%)をいう。この目標濃度は、特定成分に対して予め定められる目標範囲内に収まるように定められる。この目標範囲の上限値は、例えば、原液の特定成分の過剰摂取を避けるために定められる。
【0027】
給水流路50と原液流路62とが合流する合流部70に通流しようとする原水流量をQ(L/min)、その合流部70に通流しようとする原液流量をq(L/min)とする。この給水流路50の合流部70において原水流量Qの原水に原液流量qの原液が添加されると、その合流部70よりも給水流路50の下流側には流量(Q+q)の希釈水が通流する。この原液内での特定成分の濃度をA0(wt%)、希釈水中の特定成分の目標濃度をA1(wt%)とする。このとき、以下の式(1)が成立する。
(Q+q)×A1=q×A0 ・・・ (1)
【0028】
この式(1)を用いて、以下の関係式(2)を導出できる。
q={A1/(A0-A1)}×Q ・・・ (2)
【0029】
この関係式(2)から把握できるように、原水流量Qの原水が通流している場合、関係式(2)から原水流量Q、濃度A0、目標濃度A1に応じて定まる原液流量qとなるように送液部64から送液させれば、希釈水中の特定成分の濃度を目標濃度A1にすることができる。以下、希釈水中で特定成分を目標濃度A1にするための原水流量Qに応じた原液流量qを目標原液流量qtという。この目標原液流量qtは、目標濃度A1にするための目標原液流量qtと原水流量Qとの関係を示す関係式(2)から原水流量Q、濃度A0、A1に応じて定まる値となる。
【0030】
制御部86は、定濃度制御を行うにあたり、流量センサ66により検出された原水流量Qの検出値を取得する。この後、制御部86は、原水流量Qの検出値に基づいて、目標原液流量qtを送液するために送液部64に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出する。目標原液流量qtを送液するための必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータと原水流量Qとの間には相関関係がある。送液部64に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出するにあたっては、これらの相関関係を示す関係情報を予め記憶部88に記憶しておき、その関係情報に原水流量Qの検出値を入力することで実現してもよい。
【0031】
この関係情報は、例えば、原水流量Qを入力とし、目標原液流量qtを送液するための必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを出力とする式、テーブル等により特定される。この関係情報は、原液、希釈水の濃度A0、A1に応じて定まる。これら濃度A0、A1が固定された使用環境の場合、その濃度A0、A1を考慮せずに関係情報により特定される式等を用いればよい。これに対して、原液の種類等により濃度A0が異なる場合、ユーザの好み等により希釈水の濃度A1を変更できる場合、その濃度A0、A1の違いを考慮する必要がある。これに対応するうえで、関係情報は、不図示の入力部に対する操作によりユーザにより設定された原液、希釈水の濃度A0、A1と、流量センサ66により検出された原水流量Qとを入力とし、必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを出力とする式等により特定されてもよい。この他にも、異なる原液、希釈水の濃度A0、A1の組み合わせ毎に対応する複数の関係情報を予め記憶しておき、実際に使用する濃度A0、A1に応じた式等の関係情報を用いてもよい。
【0032】
制御部86は、その導出したパラメータの必要駆動電圧又は必要駆動電流を送液部64に供給することで、送液部64の原液流量が目標原液流量qtとなるように制御する。これにより、原水流量Qの検出値に応じて、希釈水中で特定成分を目標濃度A1にするための目標原液流量qtとなるように送液部64の原液流量を制御でき、それにより、希釈水中で特定成分の濃度が目標濃度A1となるようにすることができる。制御部86は、原水流量Qの検出値に基づいて、希釈水の特定成分の濃度が目標濃度A1となるように、送液部64の原液流量を制御することになる。このとき、制御部86は、原水流量Qの検出値が大きくなるほど原液流量が大きくなるように送液部64を制御する。
【0033】
以上の給水システム10による効果を説明する。
【0034】
給水システム10は、原水流量の検出値に基づいて、希釈水中の特定成分の濃度が目標濃度となるように送液部64の原液流量を制御する制御部86を備える。よって、給水流路50の原水流量に変動があった場合でも、その原水流量に応じて原液流量を制御することで、希釈水中の特定成分の濃度を目標濃度に近づけることができる。ひいては、原水流量に変動があった場合でも、希釈水中の特定成分の濃度ばらつきを抑制できるようになる。この原水流量のばらつきは、例えば、地域毎の給水源20の給水圧のばらつき、給水システム10の構成部品(開閉弁68、配管等)のばらつき等に起因して発生する。この他にも、原水流量のばらつきは、例えば、共通の給水源20から複数の給水流路に同時に給水する場合にも発生する。
【0035】
また、商業施設等に設置されるドリンクサーバーの場合、給水システム10による給水先となる容器内に規定量の原水と原液を給水することで目標濃度の希釈水を生成している。このため、目標濃度の希釈水を生成するうえで、規定量の原水と原液を給水し終えるまで待つ必要があり、その給水途中は給水の有無をユーザにより自由に切り替えることができない。この点、本実施形態によれば、給水流路50内で目標濃度となるように希釈水を生成している。よって、給水システム10による給水先(被給水部12)への給水の有無をユーザにより自由に切り替えつつ、目標濃度の希釈水を被給水部12に安定して給水できるようになる。
【0036】
この濃度ばらつきは、原水流量に対する原液流量の割合である希釈倍率が小さくなるほど顕著となる。本実施形態の給水システム10は、この希釈倍率が1000倍以上となるように原液を原水により希釈している。このような場合でも、特定成分の濃度ばらつきを抑制した希釈水を給水できる利点がある。
【0037】
次に、給水システム10の他の特徴を説明する。
【0038】
制御部86は、ユーザによる給水操作部90に対する操作に従って動作可能である。給水操作部90は、被給水部12への給水の有無を切り替えるためにユーザにより操作される。給水操作部90の具体例は特に限定されず、本実施形態のような吐水装置に設けられる回転ハンドル等の機械部品の他、情報処理端末(スマートフォン、タブレット等)により構成されてもよい。給水操作部90は、ユーザによる操作に従って複数の指示のいずれかを選択可能であり、その選択された指示を制御部86に出力する。給水操作部90により選択可能な指示は、被給水部12に給水するための給水指示と、被給水部12への給水を停止するための止水指示とを含んでいる。
【0039】
図2を参照する。図2の最上段は、給水操作部90から制御部86に出力される指示が給水指示及び止水指示のいずれであるかを示す。図2の上から二段目は、開閉弁68の開閉状態を示す。図2の下から二段目は、制御部86から送液部64に出力される駆動電圧又は駆動電流の大きさを示す。図2の最下段は、流量センサ66による原水流量の検出の有無を示す。
【0040】
図2では、時刻t1において、制御部86が給水操作部90から給水指示を受け、時刻t5において、制御部86が給水操作部90から止水指示を受ける例を示す。
【0041】
制御部86は、給水指示を受けたとき、開閉弁68を開くとともに送液部64による原液の送液を開始する。これにより、原液流路62から給水流路50に原液が添加される。この結果、給水流路50において希釈水が生成され、その希釈水の給水流路50から被給水部12への給水が開始される。
【0042】
制御部86は、止水指示を受けると、開閉弁68を閉じるとともに送液部64による送液を停止する。これにより、給水流路50での原水の通流が停止するとともに、原液流路62から給水流路50への原液の添加が停止する。この結果、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水が停止される。このように、制御部86は、ユーザによる給水操作部90に対する操作に従って開閉弁68及び送液部64を制御することにより、被給水部12への希釈水の給水の有無を切り替え可能である。
【0043】
ここで、本実施形態の制御部86は、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水を開始する場合、開閉弁68を先に開いてから、予め定められた送液開始条件(後述する)を満たした場合に、送液部64による原液の送液を開始する(時刻t1、t3参照)。つまり、送液部64の送液開始タイミングよりも開閉弁68を開く開弁タイミングを先にする。ここでの開閉弁68を開くとは、開閉弁68を開くための開弁信号を制御部86から開閉弁68に出力し始めることをいう。また、送液部64による送液を開始するとは、制御部86から送液部64に駆動電圧又は駆動電流を供給し始めることをいう。この理由を説明する。
【0044】
原液流路62の送液部64よりも下流側にある下流側流路部には、被給水部12に希釈水を給水している途中に、送液部64から圧力を持った原液が送液されることで高内圧が作用している。よって、被給水部12への希釈水の給水を停止した後、原液流路62の下流側流路部内に高内圧の原液が残り易くなる。これは、後述のように、開閉弁68の閉弁タイミングが送液部64による送液停止タイミング以前となる場合に特に生じ易くなる。この原液流路62内に残る原液が給水流路50において静止している原水中に拡散すると、給水流路50の合流部70の近傍で特定成分が高濃度化した希釈水が生成されてしまう。仮に、送液部64による送液開始タイミングが開閉弁68による開弁タイミング以前となる場合を考える。この場合、給水流路50の合流部70において残っている高濃度化した希釈水が通流し始めるよりも先に、その合流部70において残っている希釈水に原液流路62から原液が添加され始め、希釈水の更なる高濃度化を招く恐れがある。
【0045】
この問題は、例えば、給水流路50の上流端から合流部70までの流路長が、原液流路62の送液部64から合流部70までの流路長よりも長くなるほど生じ易くなる。この他にも、この問題は、給水流路50の上流端から合流部70までの箇所に配置される部品(改質カートリッジ52、切替弁56、第4逆止弁72等)による圧力損失が大きくなるほど生じ易くなる。このような問題が生じると、目標濃度より過剰に高濃度の特定成分を持つ希釈水が過渡的に被給水部12に給水される事態が生じ得る。原水に対する原液の添加は、味、香り等の価値を付加した希釈水を提供するために行われる。希釈水において特定成分が過剰に高濃度化してしまうと、仕様通りの価値を希釈水に付加できなくなるため、これは避けることが望まれる。
【0046】
この対策として、本実施形態の制御部86は、開閉弁68を先に開いてから送液部64による送液を開始するようにしている。よって、給水流路50の合流部70において残っている高濃度化した希釈水が通流し始めてから、その合流部70を通流する原水に原液流路62から原液を添加し始めるようにし易くなる。ひいては、被給水部12への希釈水の給水を開始する場合に、給水流路50の合流部70において残っている希釈水に原液を添加させ難くでき、過剰に高濃度の特定成分を持つ希釈水が過渡的に被給水部12に給水される事態を回避し易くなる。
【0047】
なお、後述のように、希釈水における特定成分の高濃度化を防止するために、送液部64による送液を停止してから設定時間Δtbの経過後に開閉弁68を閉じる場合を考える。この場合、設定時間Δtbが長くなるほど、被給水部12への給水を停止するまでの待ち時間が長くなり、給水停止時の応答性が悪いとユーザに判断され得る。このため、設定時間Δtbを長くするにも限界がある。この点、開閉弁68を先に開いてから設定時間Δtaの経過後に送液部64による送液を開始する場合、設定時間Δtaを長くしても給水を停止するまでの待ち時間が長くなる事態を招かない。よって、希釈水における特定成分の高濃度化を防止するうえで設定時間Δtaを長くし易いという利点もある。
【0048】
本実施形態の送液開始条件は、給水流路50における原水の通流を流量センサ66により検出し始めてから、予め定められた設定時間Δtaが経過するまでの間、その原水の通流を流量センサ66により検出し続けることである。これは、図2の例において、時刻t2において流量センサ66により原水の通流を検出し始めてから設定時間Δtaが経過するまでの間、その原水の通流を検出し続けることを意味している。この送液開始条件のもとでは、開閉弁68を開いた後であっても、給水流路50において原水が通流していないことを流量センサ66により検出し続けている場合、送液部64による送液を開始しないことになる。流量センサ66により原水の通流を検出し始めてから設定時間Δta内に、流量センサ66により原水が通流していないことを検出した場合も同様である。この他にも、送液開始条件は、流量センサ66により原水の通流を検出し始めてから設定時間Δtaが経過することのみであってもよい。この他にも、送液開始条件は、流量センサ66の検出結果によらず、開閉弁68を開いてから予め定められた設定時間Δta’(図2参照)が経過することであってもよい。いずれの送液開始条件を満たした場合も、結果的に、開閉弁68を先に開いてから、送液部64による原液の送液を開始するように制御部86による制御が行われる。
【0049】
この設定時間Δta、Δta’は、前述したような給水流路50の合流部70において高濃度化した希釈水が通流し始めるために必要な時間を確保しつつ、過度に長くならない時間(例えば、Δtaは0.9秒、Δta’は1.0秒)となるように設定されると好ましい。
【0050】
本実施形態の制御部86は、被給水部12への希釈水の給水を停止する場合、送液部64による送液を先に停止してから、予め定められる設定時間Δtbの経過後に、開閉弁68を閉じる。つまり、開閉弁68を閉じる閉弁タイミングよりも送液部64の送液停止タイミングを先にする。これは、図2の例において、時刻t5において送液部64への駆動電圧の供給を停止することで送液を停止し、時刻t6において開閉弁68を閉じることに対応している。ここでの送液部64による送液を停止するとは、制御部86から送液部64に駆動電圧又は駆動電流の供給を停止し始めることをいう。ここでの開閉弁68を閉じるとは、開閉弁68を閉じるための閉弁信号を制御部86から開閉弁68に出力し始めることをいう。この理由を説明する。
【0051】
仮に、開閉弁68の閉弁タイミングが送液部64による送液停止タイミング以前となる場合を考える。この場合、前述したように、送液部64による送液を停止した後、原液流路62内に残る高内圧の原液が給水流路50の合流部70において静止する原水に拡散し、給水流路50の合流部70の近傍で特定成分が高濃度化した希釈水が生成され易くなる。この問題が生じると、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水を開始するときに、過剰に高濃度の特定成分を持つ希釈水が過渡的に被給水部12に給水される事態が生じ得る。
【0052】
この対策として、本実施形態の制御部86は、送液部64による送液を停止してから開閉弁68を閉じている。よって、給水流路50を通流し続ける原水に原液流路62の下流側流路部に残る高内圧の原液を放出してから、開閉弁68を閉じることができる。ひいては、原液流路62に残る高内圧の原液が給水流路50の合流部70において静止する原水に拡散させ難くすることができ、過剰に高濃度の特定成分を持つ希釈水が過渡的に被給水部12に給水される事態を回避し易くなる。
【0053】
この観点から、設定時間Δtbは、原液流路62の下流側流路部に残る高内圧の原液を給水流路50に放出するために必要な時間を確保しつつ、過度に長くならない時間(例えば、0.5秒)となるように設定されると好ましい。
【0054】
制御部86は、送液部64による送液を開始する場合、原水流量の検出値に応じた目標原液流量qtよりも多い始動原液流量qsになってから目標原液流量qtとなるように送液部64の原液流量を制御する。制御部86は、目標原液流量qtよりも多い始動原液流量qsとなるように送液部64の原液流量を制御するうえで、まず、目標原液流量qtを送液するための原水流量の検出値に応じた必要駆動電圧又は必要駆動電流に関する第1パラメータを導出する。ここでは、必要駆動電圧に関する第1パラメータとして、第1電圧値V1を得られる第1デューティー比を導出する例を示す。
【0055】
この後、導出した目標原液流量qtを送液するための必要駆動電圧又は必要駆動電流に関する第1パラメータに基づいて、始動原液流量qsを送液するための始動駆動電圧又は始動駆動電流に関する第2パラメータを導出する。ここでは、始動駆動電圧に関する第2パラメータとして、第1電圧値V1よりも高い第2電圧値V2を得られる第2デューティー比を導出する例を示す。この始動原液流量qsは、目標原液流量qtに対する始動原液流量qsの比率が所定比率(例えば、1.2倍)以上となるように設定される。本実施形態では駆動電圧の電圧値と駆動電圧を供給したときの原液流量とは線形関係にある。このため、始動駆動電圧の電圧値V2は、目標駆動電圧の電圧値V1に対する電圧値V2の比率が所定比率(例えば、1.2倍)以上となるように設定されるともいえる。なお、始動原液流量qsは、目標原液流量qtに対する始動原液流量qsの比率が送液部64による流量調整可能範囲の上限値を超える場合、その上限値に設定される。
【0056】
この後、導出した第2パラメータの始動駆動電圧又は始動駆動電流を送液部64に供給することで、始動原液流量qsとなるように送液部64の原液流量を制御する。制御部86は、始動駆動電圧又は始動駆動電流の供給を開始してから、その設定時間Δtcの経過後に導出した第1パラメータの必要駆動電圧又は必要駆動電流を送液部64に供給する。これは、図2の例において、時刻t3において電圧値V2(第2デューティー比)の始動駆動電圧を送液部64に供給してから、時刻t4において電圧値V1(第1デューティー比)の目標駆動電圧を送液部64に供給していることに対応する。制御部86は、設定時間Δtcが経過するまで始動原液流量qsとなるように送液部64を制御してから、設定時間Δtcの経過後に目標原液流量qtとなるように送液部64を制御することになる。制御部86は、設定時間Δtcの経過後、流量センサ66により検出された原水流量の検出値に基づいて、目標原液流量qtとなるように送液部64を制御する前述の定濃度制御を行う。制御部86は、送液部64による送液を停止するまでの間、定濃度制御を行う。図2の例では、時刻t4から時刻t5までの間に定濃度制御を行う。このように始動原液流量qsとなってから目標原液流量qtとなるように制御する理由を説明する。
【0057】
送液部64の構造によっては、目標原液流量qtに応じた必要駆動電圧又は必要駆動電流の送液部64への供給を開始してから、送液部64から実際に送液される原液流量が目標原液流量qtとなるまで遅れる送液遅れが生じ得る。この送液遅れは、例えば、送液部64のモータの始動遅れ、送液部64のポンプにおける吐出圧の上昇遅れ等に起因して生じ得る。この送液遅れが生じた場合、目標原液流量qtの原液を給水流路50の原水に添加できなくなるため、目標原液流量qtとなるまでの間、被給水部12から給水される希釈水の濃度が目標濃度よりも低くなる過渡的な低濃度化を招き得る。前述したように、被給水部12への希釈水の給水を停止した状態にあるとき、給水流路50の合流部70の近傍で特定成分が高濃度化した希釈水が生成された場合を考える。この場合、その高濃度化した希釈水が被給水部12に給水された後に、ここで説明した低濃度化した希釈水が被給水部12に過渡的に給水される。
【0058】
そこで、本実施形態の制御部86は、送液部64による送液を開始するとき、原水流量の検出値に応じた目標原液流量qtとするよりも先に、目標原液流量qtよりも多い始動原液流量qsとなるように送液部64を制御している。よって、送液遅れに起因して目標濃度よりも低濃度化した希釈水が被給水部12に給水された直後に、目標濃度よりも高濃度化した希釈水を被給水部12に一時的に給水することができる。これにより、希釈水の給水先において、先に給水された目標濃度より特定成分が低濃度化した希釈水に対して、目標濃度より高濃度化した希釈水を合流させることで、目標濃度からの低濃度化に伴う特定成分の不足分を補うことができる。ひいては、送液遅れがあった場合でも、希釈水の給水先において、特定成分が目標濃度にできるだけ近い希釈水を得ることができるようになる。なお、ここでの希釈水の給水先とは、被給水部12が吐水装置の場合、吐水装置から吐水された希釈水を受ける容器等をいう。
【0059】
このような観点から、設定時間Δtcは、送液遅れに起因して目標濃度より低濃度化した希釈水を給水した場合に、希釈水の給水先における目標濃度からの低濃度化に伴う特定成分の不足分を補うために必要な時間を確保しつつ、過度に長くならない時間(例えば、1.0秒)が設定されるとよい。目標原液流量qtに対する始動原液流量qsの比率も、同様の特定成分の不足分を補うために必要な原液流量を確保しつつ、過度に原液流量が大きくならない比率となるように設定されるとよい。
【0060】
原液流路62に第6逆止弁80が設けられる場合、始動原液流量qsを用いることで次の利点もある。原液流路62は、第6逆止弁80と送液部64との間に設けられる中間流路部を備える。送液部64により原液の送液を開始したとき、原液流路62の中間流路部での原液の内圧が徐々に高められる。第6逆止弁80は、このように原液の内圧が高められることで、第6逆止弁80に対して下流側にある原水の内圧に抗して第6逆止弁80の一部(弁体等)を移動させることで、閉弁状態から開弁状態となる。ここで、原液流路62の中間流路部に目標原液流量qtよりも多い始動原液流量qsを送液することで、その中間流路部での原液の内圧を早期に高めることができ、第6逆止弁80を閉弁状態から開弁状態に早期に移行できるようになる。また、制御部86は、始動原液流量qsになってから目標原液流量qtとなるように送液部64を制御している。よって、開弁状態に早期に移行してから目標原液流量qtとなるように送液部64を制御することになるため、目標濃度の希釈水を早期に生成できるようになる。
【0061】
本実施形態において、改質カートリッジ52、切替弁56、液源60、送液部64等は添加ユニット92として一体化されている。これらは一体化されていなくともよい。
【0062】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0063】
給水システム10は第2給水ライン18を備えなくともよい。この場合、第1給水ライン16の給水流路50には給水源20から水道水等の原水が供給されていればよい。
【0064】
制御部86は、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水を開始する場合、開閉弁68を開くタイミングと、送液部64により送液を開始するタイミングとを同時にしてもよい。これは、前述した設定時間Δta‘を零にすることになる。この他にも、制御部86は、この場合に、送液部64により送液を先に開始してから、開閉弁68を開いてもよい。
【0065】
制御部86は、給水流路50から被給水部12への希釈水の給水を停止する場合、開閉弁68を閉じるタイミングと、送液部64による送液を停止するタイミングとを同時にしてもよい。これは、前述した設定時間Δtbを零にすることになる。この他にも、制御部86は、この場合に、開閉弁68を先に閉じてから、送液部64による送液を停止してもよい。
【0066】
制御部86は、送液部64による送液を開始する場合、原水流量の検出値に基づき定まる目標原液流量qtよりも多い始動原液流量qsとせずに、その目標原液流量qtとなるように送液部64を制御してもよい。これは、前述した設定時間Δtcを零にすることになる。始動原液流量qsにするための制御の有無によらず、第6逆止弁80がなくともよい。
【0067】
前述したΔta(又はΔta’)、Δtb、Δtcのうちの少なくとも一つを零にしてもよい。
【0068】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が当然に許容される。
【0069】
以上の実施形態、変形形態により具体化される技術的思想を一般化すると、以下の項目に記載の技術的思想が含まれているともいえる。
【0070】
第1項目は、原水が通流する給水流路と、液源から供給される原液を前記給水流路を通流する原水に添加する原液流路と、前記原液流路に設けられ、前記原液を前記給水流路に送液する送液部と、前記給水流路に設けられる流量センサと、前記流量センサにより検出された原水流量を示す検出値に基づいて、前記原液が前記原水に添加されることで生成される希釈水中の前記原液の特定成分の濃度が目標濃度となるように、前記送液部から送液される原液流量を制御する制御部と、を備える給水システムである。
【0071】
第2項目は、前記給水流路に設けられる開閉弁を備え、前記制御部は、前記給水流路から被給水部への前記希釈水の給水を開始する場合、前記開閉弁を開いてから前記送液部による送液を開始する第1項目に記載の給水システムである。
【0072】
第3項目は、前記給水流路に設けられる開閉弁を備え、前記制御部は、前記給水流路から被給水部への前記希釈水の給水を停止する場合、前記送液部による送液を停止してから前記開閉弁を閉じる第1項目及び第2項目のいずれかに記載の給水システムである。
【0073】
第4項目は、前記希釈水中で前記特定成分を前記目標濃度にするための前記原水流量に応じた原液流量を目標原液流量というとき、前記制御部は、前記送液部による送液を開始する場合、前記原水流量の検出値に応じた前記目標原液流量よりも多い始動原液流量になってから前記目標原液流量となるように前記送液部を制御する第1項目~第3項目のいずれかに記載の給水システムである。
【0074】
第5項目は、前記原液流路上において前記送液部よりも下流側に設けられ上流側への逆流を阻止する逆止弁を備える第4項目に記載の給水システムである。
【0075】
第6項目は、前記希釈水中で前記特定成分を前記目標濃度にするための前記原液流量を目標原液流量というとき、前記制御部は、前記原水流量の検出値に基づいて前記目標原液流量で送液するために前記送液部に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出し、導出したパラメータの必要駆動電圧又は必要駆動電流を前記送液部に供給することで、前記送液部の原液流量が前記目標原液流量となるように制御する第1項目~第5項目のいずれかに記載の給水システムである。
【0076】
第7項目は、前記目標原液流量で送液するために前記送液部に供給すべき必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータと前記原水流量との関係を示す関係情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記関係情報を用いて、前記原水流量の検出値から必要駆動電圧又は必要駆動電流に関するパラメータを導出する第6項目に記載の給水システムである。
【符号の説明】
【0077】
10…給水システム、12…被給水部、28…原液流路、50…給水流路、62…原液流路、64…送液部、66…流量センサ、68…開閉弁、80…逆止弁、86…制御部、88…記憶部。
図1
図2